JP4395081B2 - 鋼板の冷却設備 - Google Patents
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ここで、制御冷却を効果的に行なうには、細粒組織を得るために目標温度まで急速に冷却できる技術と、急速冷却を行なっても材質の均一性や鋼板の形状などを悪化させないための鋼板面内あるいは表裏面を均一に冷却する技術とが必要である。これらの技術に対する要求は、鋼板の性能に対する要求が高度化するにつれて厳しくなっており、これに対応し、高温の鋼板を冷却する場合の冷却速度を高めるには、冷却水量の増加や冷却水の高速化などが効果的であり、高圧水をスプレーノズル、あるいはスリットノズルから鋼板に噴出する方法が多く使用されてきている。
そこで、鋼板の上方に鋼板の板幅方向に沿ってノズルが並んで取付けられたノズルヘッダーを設置すると共に、ノズルヘッダーと鋼板の間に鋼板の板幅方向の少なくとも4箇所に遮蔽板を設けてノズルから噴出した水を部分的に遮って、鋼板の板幅方向の水量分布を調整して板幅方向に均一に冷却が行なわれるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、気水ノズルでは、空気と水の供給がそれぞれ配管を介して行なわれるため、高密度に気水ノズルを配置する場合には、設備構成の複雑化と共に気水ノズルの小径口化という問題が生じる。更に、気水ノズルの小径口化に伴って、使用中にノズルの閉塞が発生し易く、これにより鋼板の板幅方向の水量制御が困難になるという問題や、保守が困難になるという問題も生じる。
前記上及び下スプレーユニットのいずれか一方又は双方は、
水源に連結される水供給部材を備えた箱型のハウジングと、
前記ハウジング内に取り外し可能に収納されて、前記水供給部材に連通される水室を形成するケーシングと、
前記水室に連結され、それぞれは隙間を設けて配置される複数の水ノズルと、
前記ケーシングから突出するそれぞれの前記水ノズルの先部が嵌入する開口部を備え、前記ケーシングとは一体的に連結され、更に、前記ハウジングには複数のねじで、前記ケーシングと共に取り外し可能に取付けられたエプロンとを有する。
前記上及び下スプレーユニットのいずれか一方又は双方は、
エア源及び水源にそれぞれ連結されるエア供給部材及び水供給部材を備えた箱型のハウジングと、
前記ハウジング内に取り外し可能に収納されて、前記水供給部材に連通される水室及び前記エア供給部材に連通される空気室を上下2段に形成するケーシングと、
前記水室及び空気室に直接連結され、それぞれは隙間を設けて配置される複数の気水ノズルと、
前記ケーシングから突出するそれぞれの前記気水ノズルの先部が嵌入する開口部を備え、前記ケーシングとは一体的に連結され、更に、前記ハウジングには複数のねじで、前記ケーシングと共に取り外し可能に取付けられたエプロンとを有する。
更に、複数の気水ノズルをそれぞれ水室及び空気室に直接連結し、水室は水源に連結する水供給部材と連通させ、空気室はエア源に連結するエア供給部材と連通させているので、各気水ノズルに空気と水を供給する際に、各気水ノズルと水供給部材及びエア供給部材を接続する配管あるいはホース等を用いる必要がなくなり、設備構成を簡単にすることができる。その結果、設備の製作コストを低減することができると共に、設備全体の保守及び管理も容易に行うことが可能になる。
また、請求項5記載の鋼板の冷却設備は、上スプレーユニットが上水切りロールとは別に独立に昇降可能であるので、水ノズル又は気水ノズルと鋼板との距離を調整でき、鋼板に対する冷却効果を容易に調整することが可能になる。
更に、請求項6記載の鋼板の冷却設備は、水室が鋼板の板幅方向に複数設けられ、全部又は一部の水室への水は流量調整弁を介して供給され、鋼板の幅方向両側に位置する水室への供給水量を幅方向中央側に位置する水室より減量可能としているので、鋼板の幅方向端部の過冷却を防止でき、鋼板の面内及び表裏面を均一に冷却することが可能になる。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る鋼板の冷却設備の全体構成を示す側面図、図2は同鋼板の冷却設備における上スプレーユニットの側断面図、図3は同鋼板の冷却設備における上スプレーユニットに設けられた水室に水を供給する水供給系統の説明図、図4は本発明の第2の実施の形態に係る鋼板の冷却設備における上スプレーユニットの側断面図、図5は同鋼板の冷却設備における上スプレーユニットに設けられたケーシングに水及び空気を供給する供給系統の説明図である。
なお、下スプレーユニット16は、上スプレーユニット15を上下逆にした構成であるので、下スプレーユニット16の説明は省略する。
更に、縦部材29の上端部は、図示しない連結部材を介して吊りロッド27の下端部の内側に連結されている。これによって、上スプレーユニット15を上水切りロール12と一体的に昇降することができる。
なお、隣り合う水ノズル21間の距離は、鋼板13の搬送方向(図2参照)と板幅方向(図3参照)とで実質的に同一にするのがよく、例えば、一つの水ノズルに対して、その水ノズルの位置を中心とした正六角形の各頂点位置に最近接の水ノズルを配置するのがよい。更に、水ノズル21からの水の噴出パターンは、平面視して円形が好ましい。
これによって、ケーシング20内に鋼板13の板幅方向に並んだ複数の水室19を構成することができる。
このような構成とすることにより、各水室19への水の供給量を流量調整弁39により独立して調整することができ、鋼板13の幅方向両側近傍に位置する水室19への供給水量を鋼板13の幅方向中央部に位置する水室19に対して減量することができる。
これによって、水室19内に常時水を貯めて排出口34aを水没させた状態にすることができる。このため、水噴出時の応答性を向上することができると共に、水供給停止時においては水配管17からの水抜けを防止することができ、水停止時の応答性を向上できる。
先ず、図2に示すように、ケーシング20の底板35の外表面に当接させてエプロン24をねじ36aでケーシング20に締結する。更に、ハウジング18の縦部材29の下端部にねじ23によりエプロン24を固定する。その結果、エプロン24に形成された開口部22内に水ノズル21の先部が嵌入した状態になっている。
このとき、上スプレーユニット15が上水切りロール12と一体的に昇降するので、鋼板13の厚さTが変わっても、水ノズル21と鋼板13との距離を一定に保持することができ、鋼板13に対する冷却効果を一定に保持することが可能になる。また、鋼板13の幅方向両側近傍に位置する水室19への供給水量を減量しているので、鋼板13の幅方向端部の過冷却を防止でき、鋼板13の面内及び表裏面を均一に冷却することが可能になる。
ここで、ケーシング45には、搬送される鋼板13側に水配管43に連通する水室46を配置し、水室46の背面側に空気配管42に連通する空気室47を配置した上下2段の構成とする。これによって、高温状態の鋼板13からの輻射熱を水室46内の水で吸収することができ、ケーシング45内部の温度を100℃以下に保つことができ、ケーシング45の熱変形を防止することができる。
また、上スプレーユニット41は、空気室47及び水室46に直接連結され、相互に隙間を設けてケーシング45の底板48に取付けられた気水ノズル49を有している。更に、上スプレーユニット41は、ケーシング45の下端から突出するそれぞれの気水ノズル49の先部が嵌入する開口部50を備え、ケーシング45とは一体的に連結され、ハウジング44に複数のねじ51で、ケーシング45と共に取り外し可能に取付けられたエプロン52を有している。以下、これらについて詳しく説明する。
なお、空気室に流入する空気及び上下反対からの注水によって、高温状態の鋼板13からの輻射熱を吸収してケーシングの熱変形が防止できる場合では、水室と空気室の配置を逆にしてもよい。
そして、貫通孔56内には脱着シール58を介して一端側にエア供給口59が設けられ他端側が空気室47に連通する空気配管42が貫通している。また、貫通孔57内には脱着シール60を介して一端側に水供給口61が設けられ他端側が水室46に連通する水配管43が貫通している。このような構成とすることにより、エア供給口59から空気配管42内に空気を流入させることで、空気室47内に空気を供給することができる。また、水供給口61から水配管43内に水を流入させて、水室46内に水を供給することができる。
更に、縦部材53の上端部は、図示しない連結部材を介して吊りロッド27の下端部の内側に連結されている。これによって、上スプレーユニット41を上水切りロール12と一体的に昇降することができる。
ここで、各気水ノズル49間の距離は鋼板13の搬送方向(図4参照)と板幅方向(図5参照)とで実質的に同一にするのがよく、例えば、一つの気水ノズルに対して、その気水ノズルの位置を中心とした正六角形の各頂点位置に最近接の気水ノズルを配置するのがよい。更に、気水ノズル49からの水の噴出パターンは、平面視して円形が好ましい。
そして、ケーシング45において、底板48、中板64、及び側板65で囲まれて形成される下部空間内には、上下方向の両端が中板64及び底板48の内面にそれぞれ連結し、長手方向の両端が鋼板13の搬送方向に直交する側板65の内面にそれぞれ連結する下仕切板66が、鋼板13の板幅方向に隙間を開けて設けられている。
また、各空気室47への空気は、空気配管42のエア供給口59に取付けられた流量調整弁70を介して接続する空気供給枝管71により供給され、各空気供給枝管71は図示しない空気源に接続した空気供給本管71aと連通している。これによって、各空気室47への空気の供給量を流量調整弁70により独立して調整することができる。
更に、気水ノズル49で極低水量噴出のために水のノズル背圧を低下(例えば0.01MPa)させても、水配管43内への空気の侵入を防止でき、安定した噴出パターンを確保することができる。
これによって、水室46内に常時水を貯めて排出口74を水没させた状態に保持することができる。このため、水噴出時の応答性を向上することができると共に、水供給停止時においては水配管43からの水抜けが防止でき水停止時の応答性を向上できる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る鋼板の冷却設備の上スプレーユニット41(下スプレーユニットも同じ)の使用方法及び作用は、第1の実施の形態に係る鋼板の冷却設備10の上スプレーユニット15と実質的に同一であるので、説明は省略する。
例えば、水室を鋼板の板幅方向に複数設け、それぞれの水室への水の供給は流量調整弁を介して行ったが、鋼板の板幅方向に均一な冷却が不要の場合では水室を1個として流量調整弁を設けなくてもよい。
また、上スプレーユニットを上水切りロールと一体的に昇降するようにしたが、上スプレーユニットを上水切りロールとは別に独立に昇降可能とすることもできる。これによって、上スプレーユニットと鋼板との距離を任意に調整でき、鋼板に対する冷却効果を容易に調整することができる。
更に、鋼板の板幅方向の中央部では冷却能が低いため多量の水や空気が必要になるので、鋼板の板幅方向の中央部に位置する水室及び空気室では、流量調整弁を介さず、水供給部材及び空気供給部材にそれぞれ導水枝管及び空気供給枝管を直接接続してもよい。
また、前記実施の形態では、上及び下スプレーユニットの双方に、ハウジング、ケーシング、水ノズル(気水ノズル)及びエプロンを設けたが、いずれか一方が有するようにしてもよい。
Claims (6)
- 並べて配置された複数の下水切りロールと、該下水切りロールの上方にそれぞれ昇降可能に配置された上水切りロールと、隣り合う前記下水切りロール及び前記上水切りロール間にそれぞれ配置され、前記下水切りロールと前記上水切りロールとに挟まれながら搬送される高温状態の鋼板を冷却する複数の上及び下スプレーユニットとを有する鋼板の冷却設備において、
前記上及び下スプレーユニットのいずれか一方又は双方は、
水源に連結される水供給部材を備えた箱型のハウジングと、
前記ハウジング内に取り外し可能に収納されて、前記水供給部材に連通される水室を形成するケーシングと、
前記水室に連結され、それぞれは隙間を設けて配置される複数の水ノズルと、
前記ケーシングから突出するそれぞれの前記水ノズルの先部が嵌入する開口部を備え、前記ケーシングとは一体的に連結され、更に、前記ハウジングには複数のねじで、前記ケーシングと共に取り外し可能に取付けられたエプロンとを有することを特徴とする鋼板の冷却設備。 - 並べて配置された複数の下水切りロールと、該下水切りロールの上方にそれぞれ昇降可能に配置された上水切りロールと、隣り合う前記下水切りロール及び前記上水切りロール間にそれぞれ配置され、前記下水切りロールと前記上水切りロールとに挟まれながら搬送される高温状態の鋼板を冷却する複数の上及び下スプレーユニットとを有する鋼板の冷却設備において、
前記上及び下スプレーユニットのいずれか一方又は双方は、
エア源及び水源にそれぞれ連結されるエア供給部材及び水供給部材を備えた箱型のハウジングと、
前記ハウジング内に取り外し可能に収納されて、前記水供給部材に連通される水室及び前記エア供給部材に連通される空気室を上下2段に形成するケーシングと、
前記水室及び空気室に直接連結され、それぞれは隙間を設けて配置される複数の気水ノズルと、
前記ケーシングから突出するそれぞれの前記気水ノズルの先部が嵌入する開口部を備え、前記ケーシングとは一体的に連結され、更に、前記ハウジングには複数のねじで、前記ケーシングと共に取り外し可能に取付けられたエプロンとを有することを特徴とする鋼板の冷却設備。 - 請求項2記載の鋼板の冷却設備において、前記水室を前記鋼板側に、前記空気室を前記水室の背面側に配置したことを特徴とする鋼板の冷却設備。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板の冷却設備において、前記上スプレーユニットは、前記上水切りロールと一体的に昇降することを特徴とする鋼板の冷却設備。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板の冷却設備において、前記上スプレーユニットは、前記上水切りロールとは別に独立に昇降可能とすることを特徴とする鋼板の冷却設備。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼板の冷却設備において、前記水室は、前記鋼板の板幅方向に複数設けられ、全部又は一部の前記水室への水は流量調整弁を介して供給され、前記鋼板の幅方向両側に位置する前記水室への供給水量を幅方向中央側に位置する前記水室より減量可能としていることを特徴とする鋼板の冷却設備。
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