JP4394901B2 - 金属表面疵の消去方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製品の製造過程において金属表層に形成され、製造後も金属表層に残存する表面疵を、放電により選択的に消去する方法および装置と、該方法により金属表層が平滑・清浄化された金属製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧延等で製造された金属製品、特に、金属薄板製品の表層には、表層部で延伸した介在物が剥離したり、または、延伸した介在物がそのまま残存したり、あるいは、鋳造パウダーが鋳片表面に付着したり、または、鋳片内部に巻き込まれたり、さらに、鋳造後の加工工程で、スケールが剥離しないで、金属表層に食い込んだりして、疵が形成される場合がある。
【0003】
このような疵が、金属薄板製品の外観を損ね商品価値を低めるのは勿論、金属薄板製品にめっきを施す場合、めっきされないかめっき不充分の箇所となったりする。それ故、金属薄板表層に残る疵(スリバー疵等)は、製品として出荷する前、または、次の工程に供する前、できるだけ除去する必要がある。
【0004】
従来、金属薄板の表層に残る疵は、疵を含む金属表層部を機械的に研削する方法や、化学薬品を用いて消去する方法(酸洗浄法)により、除去されていた。
【0005】
例えば、特許文献1には、過流式表面疵探傷装置とグラインダーを組み合わせて疵を消去する疵取り研削装置が開示されている。しかし、上記装置においては、疵を検出する装置と補修する装置が別々に配置されるので、装置の構成が複雑になるとともに、疵の検出において疵を見逃す可能性もあり、さらに、グラインダーによる機械研削では、疵の除去にも限界がある。
【0006】
機械的研削によらないものとしては、特許文献2に、真空中で、多段列状の複数電極により表面疵を検出し、真空アーク放電により表面疵を消去する方法が開示され、また、特許文献3に、疵検査装置と補修用レーザーを組み合わせて疵を消去するた疵補修レーザー照射装置が開示されている。
【0007】
しかし、これらの方法および装置においても、疵を検出する方法・装置と補修する方法・装置が別々に配置されるので、方法・装置の構成が複雑になるとともに、疵の検出において疵を見逃す可能性を否定できない。
【0008】
したがって、いずれの方法および装置においても、金属薄板製品の表層部に残る金属介在物、鋳造パウダー、および、スケール等に起因する疵を完全に消去することはできないのが現状である。
【特許文献1】
特開平8−300250号公報
【特許文献2】
特開平5−112815号公報
【特許文献3】
特開平6−315779号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、金属製品の製造過程において金属表層に形成され、製造後も金属表層に残存する表面疵を、放電により選択的に、完全に消去する方法および装置、さらに、該方法で金属表層が完全に平滑・清浄化された金属製品を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、金属などの導体中に含有される介在物などの不導体物質に電圧を印加すると、金属と不導体の境界領域に分極が生じて、その部分を狙い選択的に放電が起き(介在物の選択的放電現象)、この放電光を測定、解析することにより、介在物の存在個数、直径、含有量、または、平均直径を所定の式に従って求めることができることを、特開平4−238250号公報で既に開示した。
【0011】
また、特開平9−43150号公報には、特開平4−238250号公報開示の知見を踏まえ、同様に、上記放電光を測定、解析して、介在物の組成および粒度分布を求める方法が開示されている。
【0012】
このように、選択的放電現象は介在物に係る多くの情報をもたらすことが知られているが、本発明者は、この選択的放電現象に伴うエネルギーが介在物に対し何らかの影響を及ぼすのではないかとの発想の下に、介在物への選択的放電現象の時系列的な変化についてさらに調査した。
【0013】
その結果、本発明者は、この選択的放電を続行すると、介在物が微細拡散、蒸発し、ついには、金属表層において、介在物に起因する疵が消失することを見出した。
【0014】
また、表面疵の原因となるスケールや、鋳造過程で用いるパウダーについても、同様の調査を行った結果、該スケールやパウダーに起因する疵も、上記選択的放電を続行すると、金属表層から消失することを見出した。
【0015】
本発明は、上記知見に基づくものであり、その要旨は、以下のとおりである。
【0016】
(1)金属製品の表層に存在する、介在物、鋳造過程で用いるパウダー、および、スケールのいずれか1種または2種以上に起因する表面疵を該表層から消去する方法において、
(a)不活性ガス雰囲気中で金属製品の表層と電極の間に電場を印加することにより、表面疵と電極との間に選択的な放電を誘起し、
(b)上記選択的な放電に係る発光を分光装置で分光し、分光信号を演算処理して解析することにより、金属表層に存在する表面疵の組成・形態を特定し、さらに、
(c)上記選択的な放電を、上記特定した表面疵の組成・形態に応じ、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、不活性ガスの少なくとも1つを制御して続行し、不活性ガスイオンおよび/または不活性ガスメタステーブル分子を生成して、上記表面疵を金属表層から選択的に消去する、
ことを特徴とする金属表面疵の消去方法。
【0017】
(2)前記電極を、金属製品の幅方向に複数個配置することを特徴とする前記(1)に記載の金属表面疵の消去方法。
【0018】
(3)前記電極を、金属製品の移動方向に、多段階に複数個配置することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属表面疵の消去方法。
【0019】
(4)前記金属製品が、圧延で製造される金属薄板であることを特徴とする前記(1)、(2)または(3)に記載の金属表面疵の消去方法。
【0021】
(5)金属表層から所定の距離離れた位置に配置され、介在物、鋳造過程で用いるパウダー、および、スケールのいずれか1種または2種以上に起因する金属表面疵を消去する装置であって、
(a)(1)不活性ガス雰囲気中で金属製品の表層と電極の間に電場を印加することにより、表面疵と電極との間に選択的な放電を誘起する電極を有する放電装置を含む発光部と、
(2)上記選択的な放電に係る発光を分光する電極近傍に配置した分光装置からの分光信号を演算処理して解析することにより、金属表層に存在する表面疵の組成・形態を特定し、さらに、上記特定した表面疵の組成・形態に応じ、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、雰囲気ガスである不活性ガスの少なくとも1つを制御しつつ、放電装置に選択的な放電の続行を指令する演算処理装置を含むデータ処理部、
を一体化した表面疵消去放電装置、および、
(b)金属表層と電極の間に不活性ガス雰囲気を形成し、必要に応じ、上記演算処理装置により制御される不活性ガス供給装置、
を備え、上記選択的な放電により不活性ガスイオンおよび/または不活性ガスメタステーブル分子を生成し、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて選択的な放電を制御することを特徴とする金属表面疵の消去装置。
【0022】
(6)前記表面疵消去放電装置が、金属の幅方向に複数個配置されていることを特徴とする前記(5)に記載の金属表面疵の消去装置。
【0023】
(7)前記表面疵消去放電装置が、金属の移動方向に、多段階に複数個配置されていることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の金属表面疵の消去装置。
【0024】
(8)前記金属製品が、圧延で製造される金属薄板であることを特徴とする前記(5)、(6)または(7)に記載の金属表面疵の消去装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明について、詳細に説明する。
【0029】
本発明の方法(本発明方法)は、本発明者が見出した知見に基づき、
(a)金属製品の表層と電極の間に電場を印加することにより、介在物、鋳造過程で用いるパウダー、および、スケールのいずれか1種または2種以上に起因する表面疵と電極との間に選択的な放電を誘起し、
(b)上記選択的な放電に係る発光を測定、解析することにより、金属表層に存在する表面疵の組成・形態を特定し、さらに、
(c)上記選択的な放電を、必要に応じ、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および/または、雰囲気ガスを制御して続行し、上記表面疵を金属表層から選択的に消去することを基本思想とするものである。
【0030】
図1に、本発明者が見出した知見、即ち、介在物と電極との間に生じる選択的放電現象により介在物が選択的に消去される様子を模式的に示す。なお、ここでは、介在物を例にとり説明するが、鋳造過程で用いるパウダーや、加工工程で発生するスケールについても同様である。
【0031】
図1(a)に示すように、金属2の金属表層1に、導電率の低い介在物4が存在する時、金属表層1と電極3の間に電場を印加すると、導電率の低い介在物4はコンデンサーとして作用して、金属2と介在物4の境界に分極が発生する(図中「e」で示す。)。
【0032】
図1(a)に示す状態において、電場をさらに印加すると、試料と電極間に絶縁破壊が発生し、電子雪崩現象で細い糸状の放電チャンネルが形成される。この急激な通電でArが、Ar+イオンやAr*メタステーブル原子へと励起される。次に、試料表面の電界不均一部に陰極点が形成され爆発が起きる。
この時、上述した介在物と母材地鉄との境界部は典型的な電界不均一部であるため介在物は自らが帯電爆発して崩壊する。
この時、崩壊した介在物の一部は、微細化して母材の地鉄中に分散するとともに、一部は、ベーパージェット流として陽極電極側に噴出し、Ar+,Ar* メタステーブル原子など活性種と衝突しプラズマ光を形成する。
このようにして、図1(b)に示すように、金属表層上の介在物と電極との間に選択的放電6が発生する。
【0033】
放電は、不活性ガス雰囲気中で、例えば、大気圧下で、電極と金属表層の間に形成した不活性ガス雰囲気中で発生させるが、放電で生じるAr+イオンおよび電子(図1(b)、参照)が、電流を運ぶ役割を果たすので、安定な放電を形成・維持することができる。なお、不活性ガスとしては、純度やコストの点で、アルゴンガスが好ましい。
【0034】
この選択的放電6による発光を測定、解析することにより、金属表層に存在する介在物の組成・形態を特定することができる。
【0035】
この選択的放電6を、特定した介在物の組成・形態に応じ、適宜、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、雰囲気ガスの少なくとも1つを制御して続行すると、介在物が放電エネルギーにより破壊され微細分散されると同時に、介在物構成元素が金属表層下に拡散・固溶する(図1中「7」、参照)か、もしくは、原子化またはイオン化して蒸発・逃散する(図1中「8」、参照)。
【0036】
このように、金属表層上に存在する介在物と電極との間に生じる選択的な放電を続行することにより、表面疵を選択的に消去することができる。
【0037】
本発明方法は、圧延で製造され、表層に介在物、パウダー、スケール等に起因する疵が発生し易い金属薄板、金属厚板、棒鋼、線材等に対し特に有効なものであるが、基本的には、電極と介在物、パウダー、および、スケール等との間に選択的放電が生じれば、その効果が得られるのであるから、本発明でいう金属製品は、特定の材質や組成の金属製品や、特定の形態の金属製品に限定されない。
【0038】
本発明方法は、例えば、冷延鋼板にめっきを施す場合、めっき前の酸洗工程の前工程として実施すれば、冷延鋼板の全幅、全長に対して、介在物、パウダー、スケール等に起因する疵を完全に消去することが可能である。
【0039】
このように、金属表層上の表面疵の消去に効果的な本発明方法は、(a)(1)放電を誘起する電極を有する放電装置を含む発光部と、(2)電極近傍に配置した分光装置からの光信号を処理し、必要に応じ、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、雰囲気ガスの少なくとも1つを制御し、放電装置に放電の続行を指令する演算処理装置を含むデータ処理部を一体化した表面疵消去放電装置、および、(b)金属表層と電極の間に不活性ガス雰囲気を形成し、必要に応じ、上記演算処理装置により制御される不活性ガス供給装置を備える金属表面疵の選択的消去装置により実施することができる。
【0040】
ここで、本発明の表面疵消去放電装置の一態様を図2に示す。図2において、発光部10に備えた放電装置9により、金属表層1と電極3の間に電圧を印加して選択的放電6を生じせしめる。放電で生じた光を、集光レンズ11で集光し、分光装置12に送り、分光装置12で分光した後、その分光信号を、信号配線13を介して、発光部10と一体化して設けたデータ処理部15に備えた演算処理装置14aへ送り演算処理する。演算処理した信号を、さらに、演算処理装置14bにより演算処理し、その結果に基づいて放電装置9を制御しつつ放電の続行を指令する。
【0041】
本発明の装置(本発明装置)は、発光部10とデータ処理部15を一体化した表面疵消去放電装置と、電極の周辺に不活性ガス雰囲気を形成し、必要に応じ、演算処理装置14bにより制御される不活性ガス供給装置(図示されていない。)を備えるものであり、本発明装置を一つ用いても本発明方法を実施できるが、金属製品に所定の幅がある場合、表面疵消去放電装置(電極)を、金属製品の幅方向に複数個配置すると、該幅方向において、表面疵の選択的消去を効果的に行なうことができる。
【0042】
また、金属製品が一方向に連続的にもしくは不連続に移動するような場合、該移動方向に、表面疵消去放電装置(電極)を、多段階に複数個配置すると、金属製品の移動中に、金属表層上の表面疵を、もれなくかつ能率よく選択的に消去することができる。
【0043】
金属製品が連続的に移動する場合において、該移動方向に、表面疵消去放電装置を多段階に複数個配置した一態様を図3に模式的に示す。図3に示す態様において、電極3を有する表面疵消去放電装置が、金属製品の移動方向16において多段階に複数個連結されて、表面疵消去放電装置列19が構成され、該放電装置列19が不活性ガス供給装置18と連結されている。
【0044】
また、図3中、送給速度演算・入力装置17は、表面疵消去放電装置列19の演算装置に、金属製品の移動速度を、送給ロール20の回転速度に基づいて演算し、入力する装置である。
【0045】
金属製品が連続的に移動する場合、金属表面疵と電極との選択的放電を金属製品の移動速度に合わせて的確に制御するため、本発明装置に、このような送給速度演算・入力装置17を付設することが好ましい。
【0046】
なお、金属製品が、圧延で製造される金属薄板であるような場合、表面疵消去放電装置(電極)を、金属薄板の幅方向に複数個、かつ、移動方向に多段階に複数個設け、所定面積の金属表層を表面疵消去放電装置(電極)で覆うと、この所定面積の金属表面疵を、もれなくかつ能率よく選択的に消去することができる。
【0047】
本発明方法または本発明装置により、疵が存在しない平滑・清浄な表層を有する金属製品を得ることができる。
【0048】
なお、本発明方法は、前述したように、圧延で製造され、表層に介在物、パウダー、スケール等に起因する疵が発生し易い金属薄板、金属厚板、棒鋼、線材等に対し、特に効果を発揮するが、基本的には、電極と介在物、パウダー、および、スケール等との間に選択的な放電が生じれば、その効果が得られるのであるから、本発明でいう金属製品は、特定の材質や組成の金属製品や、特定の形状・形態の金属製品に限定されない。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例で用いた諸条件に限定されるものではない。
【0050】
(実施例)
表層に介在物が存在する冷延鋼板を供試材として用いて、以下の放電条件により本発明を実施した。
【0051】
(1)供試材;冷延鋼板、
(2)放電条件;電圧:300V、周波数:333Hz、放電形態:スパーク
放電パルス数:0、1000、2000、4000(パルス)
図4および図5に、SEM写真(倍率×400と×4000)で、冷延鋼板表層上の介在物が消失していくことを示す。
【0052】
図4(a)および図5(a)は、放電前の冷延鋼板の表層に存在する介在物に起因するアルミナ系スリバー疵を示すSEM写真である。
【0053】
図4(b)および図5(b)は、約10パルスの放電をした時のSEM写真である。この写真から、地鉄と介在物の境界に強い選択的放電を受け、介在物の形状が丸く小さくなったことを確認することができる。
【0054】
図4(c)および図5(c)は、約4000パルスの放電をした時のSEM写真である。この写真において、冷延鋼板の表層に介在物に起因する疵の痕跡は見出せない。即ち、この写真から、冷延鋼板表層上の介在物が、選択的放電により完全に消去され、その結果、疵も消失したことを確認できる。
【0055】
本発明者は、約1000パルスおよび約2000パルスの放電において、疵が消失する様子をSEM写真で確認した。その結果によれば、通常、約2000パルスの放電で、疵を消去することができ、さらに、疵消去後の表層に、適正にめっきできることを確認した。
【0056】
なお、介在物と電極との間に生じる選択的放電は、金属表層下に埋没して存在する介在物をも誘爆させる効果を有しているので、選択放電を続行すれば、さらに、埋没介在物をも消去してしまい、介在物消去の効果をあげることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、金属表層上の介在物、パウダー、スケール等と電極の間に放電を生じせしめ、選択的に表面疵を消去することができるので、介在物、パウダー、スケール等に起因する疵を完全に消去して、平滑で、清浄な表層を有する金属製品を市場に供給することができる。
【0058】
また、本発明によれば、大面積の金属製品に対しても、表面疵消去放電装置(電極)を複数個および/または多段階に設置して、表面疵を選択的に消去することができるので、疵の存在しない平滑で、清浄な表層を保証することができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、大気圧下で放電を発生させ、かつ、表面疵の特定と消去を一つの装置構成で行なうので、装置構成を簡単にすることができ、金属製品の表層の平滑化、清浄化に伴うコストを低減することができる。
【0060】
このように、本発明は、金属製品の表層を低コストで平滑化し、清浄化する点において、顕著な効果を奏するものであり、金属製品のより幅広い利用を促進するものである。したがって、本発明は、産業上の価値が極めて高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が基とする知見を模式的に示す図である。(a)は、金属表層と電極の間に電場を印加し、金属と介在物の境界に分極が発生した状態を示す図であり、(b)は、介在物と電極との間に選択的放電が生じた状態を示し、また、(c)は、介在物中の元素が金属中に微細分散するとともに、原子化またはイオン化して蒸発する状態を示す図である。
【図2】金属表面疵を選択的に消去する本発明の放電装置の態様を模式的に示す図である。
【図3】金属製品の移動方向に、表面疵消去放電装置を多段階に複数個配置した本発明装置の一態様を模式的に示す図である。
【図4】SEM写真(倍率×400)で、冷延鋼板表層上の介在物が消失すること示す図である。
【図5】SEM写真(倍率×4000)で、冷延鋼板表層上の介在物が消失していくことを示す図である。
【符号の説明】
1…金属表層
2…金属
3…電極
4…介在物
5…金属中に固溶している元素
6…選択的放電
7…介在物が分解微細化して金属中に拡散・固溶した元素
8…イオン化または原子化した元素
9…放電装置
10…発光部
11…集光レンズ
12…分光装置
13…信号配線
14a、14b…演算処理装置
15…データ処理部
16…金属製品の移動方向
17…送給速度演算・入力装置
18…不活性ガス供給装置
19…表面疵消去放電装置列
20…送給ロール
Claims (8)
- 金属製品の表層に存在する、介在物、鋳造過程で用いるパウダー、および、スケールのいずれか1種または2種以上に起因する表面疵を該表層から消去する方法において、
(a)不活性ガス雰囲気中で金属製品の表層と電極の間に電場を印加することにより、表面疵と電極との間に選択的な放電を誘起し、
(b)上記選択的な放電に係る発光を分光装置で分光し、分光信号を演算処理して解析することにより、金属表層に存在する表面疵の組成・形態を特定し、さらに、
(c)上記選択的な放電を、上記特定した表面疵の組成・形態に応じ、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、不活性ガスの少なくとも1つを制御して続行し、不活性ガスイオンおよび/または不活性ガスメタステーブル分子を生成して、上記表面疵を金属表層から選択的に消去する、
ことを特徴とする金属表面疵の消去方法。 - 前記電極を、金属製品の幅方向に複数個配置することを特徴とする請求項1に記載の金属表面疵の消去方法。
- 前記電極を、金属製品の移動方向に、多段階に複数個配置することを特徴とする請求項1または2に記載の金属表面疵の消去方法。
- 前記金属製品が、圧延で製造される金属薄板であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の金属表面疵の消去方法。
- 金属表層から所定の距離離れた位置に配置され、介在物、鋳造過程で用いるパウダー、および、スケールのいずれか1種または2種以上に起因する金属表面疵を消去する装置であって、
(a)(1)不活性ガス雰囲気中で金属製品の表層と電極の間に電場を印加することにより、表面疵と電極との間に選択的な放電を誘起する電極を有する放電装置を含む発光部と、
(2)上記選択的な放電に係る発光を分光する電極近傍に配置した分光装置からの分光信号を演算処理して解析することにより、金属表層に存在する表面疵の組成・形態を特定し、さらに、上記特定した表面疵の組成・形態に応じ、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて、電圧、電流、周波数、放電パルス幅(時間)、および、雰囲気ガスである不活性ガスの少なくとも1つを制御しつつ、放電装置に選択的な放電の続行を指令する演算処理装置を含むデータ処理部、
を一体化した表面疵消去放電装置、および、
(b)金属表層と電極の間に不活性ガス雰囲気を形成し、必要に応じ、上記演算処理装置により制御される不活性ガス供給装置、
を備え、上記選択的な放電により不活性ガスイオンおよび/または不活性ガスメタステーブル分子を生成し、上記分光信号を演算処理して解析した結果に基づいて選択的な放電を制御することを特徴とする金属表面疵の消去装置。 - 前記表面疵消去放電装置が、金属の幅方向に複数個配置されていることを特徴とする請求項5に記載の金属表面疵の消去装置。
- 前記表面疵消去放電装置が、金属の移動方向に、多段階に複数個配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載の金属表面疵の消去装置。
- 前記金属製品が、圧延で製造される金属薄板であることを特徴とする請求項5、6または7に記載の金属表面疵の消去装置。
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