JP4394767B2 - 複合廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属やプラスチックを含有する廃家電等の複合廃棄物を多機能溶融炉により溶融して処理する方法に係り、特に鉄分総含有量が10%<TotalFe(以下、「T.Fe」という。)<80%の複合廃棄物の溶融処理が可能な複合廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用済みの洗濯機、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の廃家電は、金属の他、プラスチックやゴム等を含有する複合廃棄物である。従来、このような複合廃棄物は鉄、アルミニウム、銅等の有益な金属材料を含有しているにもかかわらず、まるごと小片に解体および破砕され、最終処分地に埋め立て処理されていた。
【0003】
しかし、最終処分地の不足やリサイクル新法の制定等の情勢にともなって、リサイクル実証プラントなどが建設され、複合廃棄物を分別処理して有益な金属材料を回収する試みがなされている。すなわち、複合廃棄物を洗濯機、冷蔵庫等の製品種別に応じて分類し、冷却媒体や潤滑油等の危険物質を抜き取った後、構成部品・部材ごとに解体し、その解体片を金属やプラスチック等の原材料ごとに分別して、その原材料に応じた処理を施している。例えば、分別後の金属屑はコークスなどとともに溶融炉内へ装入して溶融処理され、分別後のプラスチックは破砕して埋め立て処理されている。
【0004】
このような分別処理方法は、有益な金属材料を回収することができ、埋め立て処理する破砕片を減量化することができる点で有効な手段である。しかし、複合廃棄物の解体作業や分別作業には多大な労力を要し、その工数の増大がコスト高を招き、循環型社会を形成する上での阻害要因となっていた。特に、家電製品の多様化した今日では、その傾向が著しくなっている。
【0005】
そこで近年、複合廃棄物を分別せずに、そのまま竪型溶融炉内へ装入し、溶融処理して有益な金属材料を回収する方法の開発が注目されている。これに関連する技術としては、例えば特開平5−222424号公報において、「使用ずみ車両又は使用ずみ機器の有機及び無機非金属付随物質の環境を保護する廃棄処分方法」に係る発明が提案されている。
【0006】
この発明は「使用ずみ車両又は使用ずみ機器の鋼屑と一緒に付随物質を立炉へ入れることにより、付随物質を鋼屑又は鉄鉱石に含まれる鉄酸化物と化学反応させ、入れられる付随物質を、化学的に還元を行いかつスラグを形成する融剤として利用して、コークス、油又はガスのようなこの目的のための従来の融剤を少なくとも一部補う。」ことを要旨としており、使用ずみ車両又は洗濯機や冷蔵庫のような他の多量生産品の有機及び無機非金属付随物質の環境を保護する廃棄処分を行うというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複合廃棄物には大量のプラスチック類が含まれているが、プラスチック類が含まれている場合にも、ごみ溶融炉では有害物質を発生させることなく、安全に処理することが可能である。しかし、廃棄物は炉内を降下するに従って次第に温度上昇していくことから、炉下部に到着する前にプラスチック類が熱分解・ガス化してしまい、プラスチック類の持つ高い発熱量や、還元材としての能力が高温溶融の際に有効に活用されていない。
【0008】
また、特開平5−222424号公報に開示された廃棄処分方法に係る発明は、破砕された金属屑や、部分的に解体された使用ずみ車両又は使用ずみ機器を対象とした処分方法であり、複合廃棄物を解体せずに溶融処理する工夫は何らなされていない。
【0009】
さらに、この廃棄処理方法では、▲1▼竪型炉内の予熱域,燃焼域,溶融域の制御手段、▲2▼生成物であるガス,スラグ,溶銑のバランス、▲3▼燃焼排ガスは完全燃焼か、部分燃焼か、▲4▼燃焼空間は必要か、▲5▼装入方法(ガス流制御の必要性)、▲6▼周辺流形成か、中心流形成か、▲7▼多段吹き込みの際の送風条件、▲8▼主羽口は上段羽口、下段羽口のどちらか等の具体的な処理条件について、何ら考察されていない。
【0010】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、高温溶融の際にプラスチック類の持つ高い発熱量や、還元材としての能力を有効活用するとともに、具体的な処理条件を設定して、複合廃棄物を解体,分別せずに安全かつ効率的に溶融処理することができる複合廃棄物の処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、2段の送風羽口を有する溶融炉内へコークスを装入してコークスベットを形成した後、金属およびプラスチックを含有し、かつ鉄分総含有量[Total Fe]が10質量%<[Total Fe]<80質量%である複合廃棄物をコークスとともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して複合廃棄物を溶融処理するに際し、炉中心部に解体しない大径の前記複合廃棄物、破砕後の前記複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、および鉄スクラップを大径のコークスと混合して装入し、炉周辺部に破砕後の前記複合廃棄物のうち金属含有率の小さいもの、およびダスト塊成鉱を小径のコークスと混合して装入し、前記コークスベッド上端レベルを上段羽口と下段羽口との間に設定し、羽口送風量を上段羽口送風量>下段羽口送風量に設定し、下段羽口からコークスベッドヘレースウエイを形成せずに酸素富化量が2%以上の常温の酸素富化空気とともに、廃プラスチックを吹き込むものである。
【0012】
さらに、上部羽口から蒸気吹き込みを行って炉内上部を冷却することが好ましい。
【0021】
本発明によれば、廃家電等の複合廃棄物を溶融処理する際して、原料として複合廃棄物をダスト塊成鉱とともに装入している。ダスト塊成鉱を装入するのは、熱余剰分をダスト塊成鉱の還元吸熱に利用すること、またスラグ塩基度調整材として活用するためであるからである。
【0022】
また、コークスベッド上端レベルを上段羽口と下段羽口との間に設定し、下段羽口からコークスベッドヘ常温の酸素富化空気を吹き込んでいる。これは次の理由によるものである。すなわち、複合廃棄物が装入され、予熱過程で乾留された後の状態の廃棄物(以下、「廃棄物チャー」と呼ぶ。)には、Cの他、鉄分も多く含有されている。したがって、この廃棄物チャー中のCを酸素富化空気により燃焼させると操業上の効果が大きく、そのためにはコークスベッド上端レベルを上段羽口と下段羽口との間に設定することが必要だからである。
【0023】
従来の処理方法は鉄分総含有量が約50%<T.Feである複合廃棄物を対象としていたが、本発明の処理方法は10%<T.Fe<80%と広範囲の複合廃棄物の処理に適している。本発明において、複合廃棄物の鉄分総含有量の下限を10%<T.Feとしたのは、10%以下は通常の可燃ごみとして扱われるからであり、その上限をT.Fe<80%としたのは、80%以上は複合廃棄物の破砕処理・分別処理等、事前処理を加えたものであり、一般にいう鉄屑として扱われからである。
【0024】
また、常温の酸素富化空気の酸素富化量を2%以上としたのは、2%未満では常温送風下でのコークスベッド温度維持が難しく、廃棄物チャーの燃焼および溶融後のスラグ、メタルの昇温に支障となるからである。
【0025】
さらに、上部羽口から蒸気吹き込みを行うのは、炉内上部を冷却することによって熱余剰を防止するためである。
【0026】
また、羽口送風量を上段羽口送風量>下段羽口送風量に設定するのは、上段羽口の送風量を増加させると廃棄物チャーの燃焼割合が増加し、コークス比低減に寄与するためである。
【0027】
さらに、下段羽口から常温の酸素富化空気とともに、廃プラスチックの吹き込みを併用するのは、廃プラスチックの燃焼ガスを熱源として使用することにより、低コークス化を実現するためである。
【0028】
そして、装入物のストックレベルを変更して、炉内の原燃料の昇温速度を制御するのは、排ガスηCOを適正に制御するためである。
【0029】
また、炉中心部に解体しない大径の複合廃棄物、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、および大径のコークスを、炉周辺部に破砕後の複合廃棄物のうち金属含有量の小さいもの、ダスト塊成鉱、および小径のコークスを区分け装入するのは、炉内中心部において溶解処理を行うとともに、炉内周辺部において還元処理を行い、さらに炉内中心部にガス流を形成して、多機能溶融炉の安定操業を行うためである。
【0030】
さらに、原料として複合廃棄物およびダスト塊成鉱に加えて、鉄スクラップをも装入するのは、複合廃棄物の燃焼に伴う余剰熱を、鉄スクラップの昇温・溶解に利用すること、および生産量調整やηCO制御の手段として活用するためである。
【0031】
そして、炉中心部に解体しない大径の複合廃棄物、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、鉄スクラップ、および大径のコークスを、炉周辺部に破砕後の複合廃棄物のうち金属含有量の小さいもの、ダスト塊成鉱、および小径のコークスを区分け装入するのは、炉内中心部において溶解処理を行うとともに、炉内周辺部において還元処理を行い、さらに炉内中心部にガス流を形成して、多機能溶融炉の安定操業を行うためである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複合廃棄物の処分方法における実施の形態を添付図面に基づいて詳述するが、本発明は以下の実施の形態に限るものではない。
図1(a)は、本発明の複合廃棄物の処分方法に使用する多機能溶融炉を示す概略図である。図示するように、この多機能溶融炉1の炉頂には、装入装置2が設けられている。装入装置2は、バケット3、ベル4、可動アーマー5および装入ガイド6を有しており、原料および燃料を半径方向に区分けして装入することが可能な装置として構成されている。
【0033】
多機能溶融炉1の炉体7の上部には、炉内の向流ガスを排気するための排ガス管8が設けられている。排ガス管8に接続されている排ガス系統は、ごみ溶融炉用のものが流用されている。
【0034】
一方、炉体7の下部には、炉内下部に送風するための羽口9が設けられている。羽口9は、炉体7の側壁高さ方向に多段に設けられており、本実施形態では下段羽口9aと上段羽口9bとの2段羽口として形成されている。また、これらの羽口9a,9bは、炉体7の周方向に適宜間隔で複数配置されている。
【0035】
送風条件は、下段羽口9aから酸素富化量が8%以上の常温の酸素富化空気を吹き込み、上段羽口9bから蒸気を吹き込むようになっている。また、羽口9a,9bは、粉状鉄源や廃プラスチックを吹き込む場合にレースウェイを形成させることも考慮し、羽口径および炉内突き出し位置を変更しうるように構成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、炉体7の側壁高さ方向に設けられた多段羽口9が、下段羽口9aと上段羽口9bとの2段羽口として形成されているが、少なくとも最下段の羽口から酸素富化空気の送風が行われれば、3段以上の羽口を設けてもよい。例えば3段の場合には、中段に位置する羽口にレースウェイを形成することも一手段であり、この場合、中段の羽口はレースウェイを形成させて小径コークス内に廃プラスチックを吹き込む羽口とし、3段目の羽口は、炉内の燃焼効率を維持するものである。
【0037】
また、原料および燃料は、炉中心部11と炉周辺部12とに区分して装入することが可能であり、上述したように、炉頂部には半径方向に区分け装入が可能な装入装置2を有している(図1(b)、(c))。炉中心部11に廃家電等の複合廃棄物を解体せずにそのまま装入する場合には、上記装入装置2を退避させ、不図示の大径物用の装入装置を配置するものである。
【0038】
図2に示すように、炉内下部のコークスベッド13は、その上端レベルが下段羽口9aと上段羽口9bとの間に位置するように、高さ調整して形成される。したがって、酸素富化空気は下段羽口9aからコークスベッド13内へ吹き込まれることになる。
【0039】
この多機能溶融炉1は、キュポラとごみ溶融炉との中間形態の処理を行う溶融炉である。すなわち、廃家電等の複合廃棄物は、炉頂装入後、昇温過程で乾留され、タール等の油分、乾留ガスが炉頂より飛散するため、これまでのキュポラのような鉄源処理ではない。また、鉄分含有量が多いため、ごみ溶融炉のように可燃ごみの処理でもない。通常、可燃ごみはT.Fe<10%であり、鉄分は多くない。
【0040】
ごみ溶融炉とキュポラはコークス充填層を有する竪型炉に酸素含有ガスを吹き込む点で共通するが、以下の相違点がある。すなわち、ごみ溶融炉は、可燃物を多く含む都市ごみ等を乾留・予熱し、残渣を溶融処理する。また、燃焼が主体であり、大量のガスが発生する。さらに、集塵,有害ガスの処理、排ガスの浄化設備,方法、脱亜鉛,脱錫工程、及び低P,S化、Cu混入の解決策が必要であり、荷下がり調整、吹き抜け防止が課題である。不燃物は溶融し、スラグとして排出される。
【0041】
多機能溶融炉1は、鉄スクラップ、ダスト等を溶融し、溶銑を製造する。鉄の溶融が主体であり、廃プラスチックは燃料として使用する。発生ガスは主に燃料ガスとして使用(部分燃焼)されることになる。
【0042】
次に、上記の多機能溶融炉1を用いて実施する本発明の複合廃棄物の処理方法を説明する。
炉頂から装入する原料は、廃家電等の複合廃棄物(解体しないそのままの状態のもの)、破砕後の複合廃棄物、ダスト塊成鉱を主体とし、必要に応じて鉄スクラップを混合する。燃料は、コークスを主体とし、必要に応じて廃プラスチックを併用する。
【0043】
本発明の処理方法は、鉄分総含有量が10%<T.Fe<80%の複合廃棄物の処理に適している。本発明において、複合廃棄物の鉄分総含有量の下限を10%<T.Feとしたのは、10%以下は通常の可燃ごみとして扱われるからであり、その上限をT.Fe<80%としたのは、80%以上は複合廃棄物の破砕処理・分別処理等、事前処理を加えたものであり、一般にいう鉄屑として扱われるからである。
なお、一般に廃家電には、鉄分(T.Fe)が約37%含有され、廃プラスチック類が約37%含有され、廃車には鉄分(T,Fe)が70〜80%含有されている。
【0044】
装入方法は、コークスベッドを形成するためにコークスを装入した後、原燃料を完全混合または層状装入する通常の装入方法と、原燃料を半径方向に区分けして装入する方法とを採用する。図3に示すように、区分け装入方法は、そのまま状態の大径の複合廃棄物、および破砕後の複合廃棄物のうち金属含有率の大きいものを大径のコークスと混合して炉内中心部に装入し、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有量の小さいもの、およびダスト塊成鉱を小径のコークスと混合して周辺部に装入することで、反応効率の高い操業を指向する。炉周辺部にダスト塊成鉱を混合装入するのは、ダスト塊成鉱の還元性改善を図り、その結果、溶融時のスラグ融液量を低減することができ、棚吊り回避にも寄与するからである。
【0045】
もしくは、図4に示すように、そのまま状態の大径の複合廃棄物、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、および鉄スクラップを大径のコークスと混合して炉内中心部に装入し、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有量の小さいものを小径のコークスと混合して周辺部に装入する。炉中心部に鉄スクラップを混合装入するのは、炉中心部のコークスベッドの高さ制御を容易にすること、中心ガス流を確保すること、低燃料比操業を指向することにある。
【0046】
または、図5に示すように、そのまま状態の大径の複合廃棄物、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、および鉄スクラップを大径のコークスと混合して炉内中心部に装入し、破砕後の複合廃棄物のうち金属含有量の小さいもの、およびダスト塊成鉱を小径のコークスと混合して周辺部に装入する。炉周辺部にダスト塊成鉱を混合装入するとともに、炉中心部に鉄スクラップを混合装入するのは、ダスト塊成鉱装入と鉄スクラップ装入との相乗効果を狙ったものである。
このような原料および燃料の区分け装入を実施することにより、炉中心部のガス流化を促進して、高ηCO条件を継続することができる。
【0047】
多機能溶融炉の操業は、コークスベッドの上端レベル高さ、ストックレベル位置の調節、原燃料の大小に応じた区分け装入法、上段羽口突き出し位置等で制御する。本発明では、上述したように、コークスベッド13の上端レベルの高さを下段羽口9aと上段羽口9bとの間に設定している。これは次の理由によるものである。すなわち、複合廃棄物が装入され、予熱過程で乾留された後の状態の廃棄物チャーには、Cの他、鉄分も多く含有されている。したがって、この廃棄物チャー中のCを酸素富化空気により燃焼させるのと操業上の効果が大きく、そのためにはコークスベッド13の上端レベルを下段羽口9aと上段羽口9bとの間に設定することが必要だからである。
なお、コークスベッド内では、コークスの燃焼反応と、燃焼後のソルーションロス反応が進行するが、両反応の反応速度を、燃料粒度、ガス流速、送風温度等により調整する。
【0048】
特に、本発明の処理方法は、下段羽口9aから酸素富化量2%以上の常温の酸素富化空気を吹き込むとともに、上段羽口9bから蒸気を吹き込んでいる。常温の酸素富化空気の酸素富化量を2%以上としたのは、2%未満では常温送風下でのコークベッド温度維持が難しく、廃棄物チャーの燃焼および溶融後のスラグ、メタルの昇温に支障となるからである。また、上部羽口から蒸気吹き込みを行うのは、炉内上部を冷却することによって熱余剰を防止するためである。さらに、下段羽口9aは、低燃料比での操業を指向するため、レースウェイを形成させずにメイン送風を行い、燃焼率を高くして高ηCO条件とする。一方、下段羽口9aから廃プラスチックを吹き込む場合には、廃プラスチックの吹き込み量に応じて、レースウェイ形成有無を判断する必要があるが、基本的には廃プラスチックをコークス代替え燃料として利用し、低コークス化を指向する。
【0049】
つぎに、本発明の炉内ηCOの制御フローの概要について説明する。本発明の制御は次の▲1▼〜▲5▼のようにまとめられる。
▲1▼多機能溶融炉への複合廃棄物の含有成分および配合量(使用量)から、平均金属含有率(平均M.Fe/T.Fe)を求める。より効率の良い操業を指向する場合は半径方向区分け装入を実施するが、この装入法を適用する場合には中心部、周辺部に装入する複合廃棄物に対し、それぞれ平均金属含有率を求める。
【0050】
▲2▼この装入廃棄物の平均金属含有率(平均M.Fe/T.Fe)と、複合廃棄物中の含C量とから、操業に適したηCOレベル範囲を特定する。半径方向区分け装入法を適用する場合、中心部、周辺部それぞれに適正ηCOを特定する。
【0051】
▲3▼溶融炉の操業条件(出銑量の目安)により、炉内平均ガス流速(Nm/s)が決まるため、使用する燃料粒度により、下段羽口からのコークスベッド高さを設定する。
【0052】
▲4▼ストックレベルについては、目標ηCOに対応したストックレベル(下段羽口からの装入面高さ)H(m)を特定し、設定する。半径区分け装入法を採用する場合、中心部、周辺部にそれぞれ別々に、ストックレベルを設定するのが好ましい。
【0053】
▲5▼燃料比については、炉の特性である炉体放散熱(kcal/h)と、目標出銑量(t/d)並びに複合廃棄物の種類、品質等を含む操業条件に加え、上記に示す目標ηCOが決まれば、熱・物質バランスから燃料比(kg/t)レベルが求まることから、最終的には、下段羽口送風量の微調整、ストックレベルの微調整を実施して、目標ηCOレベルを維持するようにして操業する。半径区分け装入法を採用する場合、中心部、周辺部それぞれ別々に、燃料比を設定して装入する。
【0054】
つぎに、複合廃棄物と燃料からなる装入物の溶融炉内の装入高さ(ストックレベル)を変更することが、ηCO制御に有効なことを説明する。
ストックレベルについては、例えば、大径の鋳物用コークスを使用し、鉄屑,鋳物屑を溶解処理するキュポラ操業では、通常、下段羽口からストックレベルまでの高さ(H)/炉径(D)=4〜5に設定されているが、高炉用コークスなどの小径コークスを使用し、かつ廃プラスチックを燃料として使用する多機能溶融炉に関しては、ストックレベルに関する検討結果が見当たらない。そこで、複合廃棄物の多量使用条件下で、ストックレベル変更試験を実施し、排ガスηCOとの関係を図6に整理した。
【0055】
炉床径D=1.4mの多機能溶融炉を用いた試験結果によると、H/D ≦3と小さく設定することで、排ガスηCO>50%と高く維持できること、ストックレベルを上昇することで、排ガスηCOを低下させることが可能なことが判明した。
これは、ストックレベルを高くすると、ガスから原燃料への伝熱が良好となり、燃料の予熱、昇温がより上部から進行する結果、下記(1)式のソルーションロス反応領域が炉上部に拡がるためで、この結果、Cの消費量が多くなり、ηCOが低下することを示唆している。
C+CO2 =2CO ・・・(1)
このように、ストックレベルの変更は、炉内の原燃料の昇温速度を制御する役割があり、排ガスηCOの制御手段となる。
【0056】
つぎに、多機能溶融炉の炉内下部のコークスベッド高さを調整すること、さらには、送風量、羽口径、羽口突き出し位置の変更が、ηCO制御に有効なことを説明する。
図7は、コークス粒度を変化させて、羽口からのコークスベッド高さと、その部位のηCOの推移を調査したオフラインシミュレータによる実験結果である。図7によると、羽口から送風された空気中の酸素並びに富化酸素は、下記(2)式の反応でコークスと燃焼してCO2 を生成し、O2 が消失した部位で完全燃焼に至る。この部位が、最もガス温度が高く、これより上部では、吸熱反応である(1)式のソルーション反応が進行して、ηCOが低下し、ガス温度も低下する。
C+O2 →CO2 ・・・(2)
【0057】
コークス粒度が小さくなると、(2)式の燃焼速度が速くなるため、最高ガス温度(O2 =0%でηCO=100%)の部位は、羽口に近くなる。また、送風量を増量し、ガス流速を上げた場合、羽口から吹き込まれた酸素の炉内流速が上昇し、羽口近傍のCとの接触時間が短くなるため、(2)式の燃焼反応は炉上部に拡がる。そのため、同じコークス粒度で、流速を上げると、図8に見られるように、炉内におけるηCOは流速の低い場合に比べて、全体的に高くなる。上段羽口を炉内に突き出すこと、あるいは羽口径を絞り、羽口風速を上げることは、送風酸素とCとの接触時間を短縮することに相当し、炉内流速を上げるのと同様の効果がある。このように、溶融炉内下部のコークスベッド高さを変更すること、さらには、送風量、羽口径、羽口突き出し位置を変更することは、炉内ηCO制御に有効な手段となる。
【0058】
つぎに、半径方向の区分け装入法を採用した複合廃棄物の処理方法が、操業の安定性、低燃料比操業に有効で、複合廃棄物の種類、粒度によらず、効率の良い操業が指向できること、また、複合廃棄物、燃料の性状に応じて、効率の良い操業を指向するための操業方法について、説明する。
半径方向の区分け装入法については、複合廃棄物の種類によって、適正な装入法がある。一つは、炉内のηCOを高くして、効率の良い操業を指向する例で、複合廃棄物のM.Fe/T.Feによる分別法であり、一方は複合廃棄物の粒度に応じた分別法である。
【0059】
まず、最初に、複合廃棄物の金属含有率(M.Fe/T.Fe)による分別法が、操業安定化に寄与し、効率の良い操業が指向できることを説明する。
複合廃棄物が数種類に及び、M.Fe/T.Feの大小で分別できる場合、好ましくは、金属含有率の高い複合廃棄物、例えば一部の洗濯機等のように金属材料を多く使用した複合廃棄物等は炉中心部に装入し、金属含有率の低い複合廃棄物、例えば分解・破砕後のプラスチック部品・部材等を炉周辺部に装入する。炉周辺部に金属含有率の低い複合廃棄物を装入し、炉中心部に金属含有率の高い複合廃棄物を装入する理由は、炉中心部のコークスベッドの高さ制御を容易にすること、中心ガス流を確保すること、低燃料比操業を指向することにある。
【0060】
この操業を指向する場合、上段羽口は、羽口先端が炉壁よりも炉内部に突き出した構造とし、基本的には、上段羽口の先端位置を、炉中心部と炉周辺部の境界に設けるのが理想的である。また、ガス流を中心流とすることを重視すると、周辺部の燃料は小径が好ましく、中心部の燃料は大径が好ましい。
【0061】
上段羽口を炉の中心部と周辺部の境界に設定する理由は、上段羽口からの送風を周辺部に存在する燃料の燃焼に使用させないためで、上段羽口からの送風はCOガス燃焼用に作用させるためである。炉中心部は溶解機能を促進させるため、炉中心部のηCO>90%の操業を指向すれば最も効率的であり、炉中心部の燃料は最低燃料比である浸炭分程度とすることができる。そのため、急激なコークスベッド高さの変化を抑制できる上、粒径を維持したコークスがコークスベッドとなるため、通気・通液性を確保した低燃料比操業が可能となる。
【0062】
この操業においては、コークスベッド高さにより、上段羽口の適正送風量が決まる。コークスベッド高さは、前記したように、コークス粒度や炉内ガス流速等によって異なるが、最適位置にコークスベッド上端レベルをセットした場合(ηCO>90%)には、上段羽口からの送風は不要となる。コークスベッド上端レベルのηCOが90%以下の場合には、上段羽口からの送風によりηCO>90%に設定することが可能であり、炉中心部に関して理想的な操業が可能となる。
【0063】
つぎに、ダスト塊成鉱および金属含有率の低い複合廃棄物を炉周辺部に装入する場合に燃料と混合する装入法が効率的であることを説明する。
ηCOの高い操業を指向できれば、低燃料比の操業が可能となるが、ダスト塊成鉱をηCO>30%の条件で還元させる実験を実施したところ、コークスと混合しない条件では、還元反応は進行せず、高温部で操業に悪影響を及ぼす溶融還元を引き起こす。それに対し、ダスト塊成鉱をコークスと混合して装入すると、コークスと混合しない場合に比べ、少なくとも20%以上の還元率改善効果があることが、オフラインシミュレータの検討結果で明かとなった。
【0064】
このことは、ダスト塊成鉱を装入する操業では、燃料(小径コークス)と混合する装入法が、燃料(小径コークス)と混合しない操業に比べると、ダスト塊成鉱の還元性改善に効果があり、その結果、溶融時のスラグ融液量を低減することができ、棚吊り回避にも寄与することを示している。また、金属含有率の低い複合廃棄物はCを多く含有するため、周辺部に挿入してコークス代替えに活用できる。
【0065】
つぎに、コークスベッド高さを維持するための制御方法について述べる。
コークスベッド高さの制御が難しいのは、これが炉の中心下部にあり、コークス比が適当でなければ、未還元のFeO分が炉下部で溶融還元し、コークスベッドを消費することによって、コークスベッドの異常消耗が引き起こされるためである。特に、炉の中心下部で、このようなコークスの異常消耗が生じると、鉄分の溶解に支障となる上、スラグの固化等により、操業不能に陥る可能性もあり、問題となる。
【0066】
そこで、上述したように、炉中心部には、主として金属含有率の高い複合廃棄物を装入し、必要に応じて鉄スクラップを混合装入することにより、炉中心部で溶融還元の生じ難い操業とし、炉中心部のコークスベッドの異常消耗を抑制する。また、コークスのソルーションロス反応を極力抑制するために、炉中心部に装入する燃料を、炉周辺部に装入する燃料と区別し、大径コークスを使用する。これによって、炉中心部のコークスベッドの異常損耗を抑制でき、さらに、炉下部の燃焼効率ηCOを高めた操業が可能となる。
一方、炉周辺部には、主として金属含有率の低い複合廃棄物を装入し、必要に応じてダスト塊成鉱を混合装入することにより、炉周辺部で溶融還元の生じ易い操業とする。
【0067】
上段羽口の設置位置は、コークス粒度、送風量等の操業諸元によって、適正位置が存在するが、基本的には、下段羽口部でのηCOレベルが、65%<ηCO<90数%程度が目安となる。
【0068】
コークスベッド高さを制御または監視する簡易法として、下段羽口部での肉眼観察、炉内圧損値による判定などがある。下段羽口部での観察は、少なくとも複合廃棄物の溶融部位が上段羽口の上部か下部のいずれかに存在することを判定できる。また、下段羽口と上段羽口の圧損差を検知することにより、コークスベッド上端位置の確認が可能である。操業例によると、コークスベッドの上端レベルが上段羽口より下にある場合、下段羽口と上段羽口の圧損差が大きく検知される。これは、溶融部位の存在が圧損値を大きくするためである。
【0069】
また、コークスベッド高さを、精度良く測定する方法としては、炉上部から装入した垂直ゾンデもしくは鉄線類の降下挙動を測定することによって、判定可能である。垂直ゾンデの場合、炉内温度が急に上昇し、1200℃以上となる部位に相当し、鉄線類を用いた場合、降下速度がストップした地点が、コークスベッドの上端部に相当する。
なお、本実施形態では、上段羽口9bから蒸気を吹き込んで処理することにより、炉頂温度は300℃以下に抑えられ、効率の良い操業が可能となる。
【0070】
本発明でいう炉中心部と炉周辺部の境界位置は、複合廃棄物の金属含有率やコークス粒度によって、多少は炉半径方向で移動する。
この炉中心部と炉周辺部の境界位置riは、各部に装入する複合廃棄物と燃料の量が決まれば、下記(3)式によって求められる。
但し、ri:中心部と周辺部との無次元境界半径(−)
Wm(c) : 中心部に装入する廃棄物重量(kg/チャージ)
Wc(c) : 中心部に装入する燃料重量(kg/チャージ)
Wm(p) : 周辺部に装入する廃棄物重量(kg/チャージ)
Wc(p) : 周辺部に装入する燃料重量(kg/チャージ)
ρm(c) : 中心部に装入する廃棄物の嵩密度(kg/m3)
ρc(c) : 中心部に装入する燃料の嵩密度(kg/m3 )
ρm(p) : 周辺部の装入する廃棄物の嵩密度(kg/m3 )
ρc(p) : 周辺部に装入する燃料の嵩密度(kg/m3 )
【0071】
なお、このriは、無次元半径で表されており、炉中心部と炉周辺部の装入物の降下速度を一定とした場合の境界位置を示している。このriで示される境界位置を調節するための装入方法については、種々考えられるが、ベル式の装入装置を使用する場合でも、アーマーを使用し、装入チャージ毎に中心装入、周辺装入を交互に繰り返して装入することにより、一部混合層が生成するものの、所定の境界設定は可能である。
【0072】
また、羽口送風量を上段羽口送風量>下段羽口送風量に設定する。これは、上段羽口の送風量を増加させると廃棄物チャーの燃焼割合が増加し、コークス比低減に寄与するためである。
【0073】
さらに、下段羽口から常温の酸素富化空気とともに、廃プラスチックの吹き込みを行う。廃プラスチックの吹き込みを併用するのは、廃プラスチックを燃料として併用し、その燃焼ガスを熱源として使用することにより、低コークス化を実現するためである。
【0074】
また、コークス使用量の低減について考察した結果、次のことから廃プラスチックの吹き込み位置が廃プラスチックの果たす役割に大きく影響することが判明した。
図9は、通常のコークスベッド内に廃プラスチックを吹き込んだ場合のコークスベッド内でのηCO変化の一例を示す図である。
コークス中のCまたは廃プラスチック中のCの消費には下記の2形態が存在する。
C + O2 → CO2 ・・・(4)
C + CO2 → 2CO ・・・(5)
【0075】
(4)式の反応は、発熱反応でコークス中のCが有効に利用されるが、(5)式の反応は吸熱反応でCが有効に利用されないことになる。従って、コークスには極力(4)式の反応をさせる必要があるが、O2のない状態で、高温のCO2に接すると(5)式の反応によりコークスのソルーションロスが起こり、コークスが無駄に消費されることになる。
【0076】
廃プラスチックはコークスに比べ燃焼速度が速いため、コークスベッド内に廃プラスチックを吹き込むと、吹き込まない場合に比べて、O2の消失位置が下ることになる。従って、廃プラスチックを吹き込まない条件のままで、むやみにコークスベッド内へ廃プラスチックを吹き込んでも、O2の消失位置より上方にコークスが存在することになり、(4)式のコークス消費量を減少できても、(5)式でコークス消費量が増大し、結果的に廃プラスチック吹き込みがコークス消費量の低減に寄与することができなくなる。
【0077】
こうした状況を回避し、廃プラスチック吹き込みによりコークス代替を行わせるには、以下の二つの方法が有効である。即ち(5)式の反応をコークスベッド内で行わせないようにするか、(5)式で反応するコークス中のCを廃プラスチック中のCに置き換えることによりコークスのソルーションロスを起こさせないようにすることである。
【0078】
第一の方法は、下段羽口から吹き込まれたO2が廃プラスチックも加味して消失する高さにコークスベッドの上端レベルを設定し、O2の存在しない領域にはコークスも存在しないようにして、廃プラスチックを下段羽口レベルとコークスベッド上端レベルとの間に吹き込む方法である。この場合、廃プラスチックの吹き込み位置は、下段羽口レベルとコークスベッド上端レベルとの間であれば下段羽口をも含めて任意の位置で良く、一段でも復数段でも良い。
【0079】
第二の方法は、下段羽口から吹き込まれたO2が廃プラスチックも加味して消失する高さよりコークスベッドの上端レベルを上方に設定する場合で、このときは、廃プラスチックを下段羽口レベルとコークスベッド上端レベルとの間に吹き込むとともに、O2の存在しないコークスベッド上部領域にもコークスに代替してソルーションロスを起こさせるための廃プラスチックを吹き込む方法である。この場合、下部の廃プラスチック吹き込み位置は、下段羽口レベルとO2消失点レベルとの間であれば下段羽口をも含めて任意の位置で良く、一段でも複数段でも良い。また、上部の廃プラスチック吹き込み位置もO2消失点レベルとコークスベッド上端レベルとの間であれば任意の位置で良く、一段でも複数段でも良い。この方法によれば、上部に吹き込む分だけ廃プラスチックの吹き込み量を増やすことが可能となる。
【0080】
【実施例】
図10は、本実施例の複合廃棄物の処理方法を実施する装置構成を示す概略図である。図示するように、多機能溶融炉1内には、不図示の装入装置によって廃家電等の複合廃棄物が装入されるとともに、炭素含有量3.8%のダスト塊成鉱および鉄スクラップが装入される。本実施例では、複合廃棄物は、解体されて一部処理されるか、或いは解体されずにまるごと処理される。多機能溶融炉1の操業条件は、下記表1に示されている。多機能溶融炉1下部からスラグ、メタルが排出され、排気ガスはサイクロン14を介して排ガス処理装置15によって燃焼,冷却処理され、煙突16から放出される。
【0081】
【表1】
表1に示すように、本実施例はηCOを45%に制御する場合を示している。廃家電は1000kgずつ装入され、CRは各実施例のコークス比を表わしている。廃家電とともに、実施例1〜4では1400kgの鉄スクラップが装入され、実施例5〜9では1000kgのダスト塊成鉱が装入され、実施例10〜13では500kgのダスト塊成鉱とともに500kgの鉄スクラップが装入され、実施例14〜17では1000kgのダスト塊成鉱とともに500kgの鉄スクラップが装入されている。
【0082】
下段羽口からコークスベッド内へ酸素富化量2%以上の常温の酸素富化空気が吹き込まれ、上段羽口から蒸気が吹き込まれる。羽口送風量は、上段羽口送風量(2次羽口送風量)>下段羽口送風量(1次羽口送風量)となるように設定されている。上段羽口からの蒸気吹き込み量は、実施例1〜4、6〜15が3g/Nm3であり、実施例5が123g/Nm3、実施例16が30g/Nm3、実施例17が50g/Nm3である。
【0083】
複合廃棄物の処理ではタールなどの排出があるため、炉頂ガスの温度を極力300℃以上に制御して操業することが好ましく、より好ましくは300℃〜450℃の範囲にあることが好ましい。したがって、特に実施例1、5、6、10、および14の条件が好適であり、実施例2、7、11、および15も近い値を示し適している。
【0084】
実施例1〜17では、複合廃棄物の溶融処理に際して、ダスト塊成鉱および鉄スクラップを混合装入し、下段羽口と上段羽口との間にコークスベッド上端レベルを設定して、下段羽口からコークスベッド内へ酸素富化量8%以上の常温の酸素富化空気を吹き込み、上段羽口から蒸気を吹き込むことにより、廃家電等の複合廃棄物に含まれるプラスチックを燃料成分として使用することができ、コークス使用量を低減しても多機能溶融炉の安定操業を行うことができた。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多機能溶融炉の具体的な処理条件を設定することにより、廃家電等の複合廃棄物を解体,分別せずに安全かつ効率的に溶融処理することができ、廃プラスチック処理が行えるとともに、コークス使用量を低減して溶融炉の安定操業を行うことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合廃棄物の処分方法に使用する多機能溶融炉であり、(a)はその全体構成を示す概略図、(b)はその装入装置の炉中心部への装入状況を示す概略図、(c)はその装入装置の炉周辺部への装入状況を示す概略図である。
【図2】コークスベッドの上端レベルを示す概略図である。
【図3】原料として複合廃棄物およびダスト塊成鉱を採用する場合の炉半径方向区分け装入状況を示す概略図である。
【図4】原料として複合廃棄物および鉄スクラップを採用する場合の炉半径方向区分け装入状況を示す概略図である。
【図5】原料として複合廃棄物、ダスト塊成鉱、および鉄スクラップを採用する場合の炉半径方向区分け装入状況を示す概略図である。
【図6】ストックレベル変更試験における排ガスηCOとの関係を示す説明図である。
【図7】コークスベッド高さとηCOの推移のオフラインシミュレータによる実験結果を示す説明図である。
【図8】同じコークス粒度で流速を変化させた場合のηCOの変化を示す説明図である。
【図9】廃プラスチック吹き込み時のηCO変化を示す説明図である。
【図10】本実施例の複合廃棄物の処理方法を実施する装置構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 多機能溶融炉
2 装入装置
3 バケット
4 ベル
5 可動アーマー
6 装入ガイド
7 炉体
8 排ガス管
9 羽口
9a 下段羽口
9b 上段羽口
11 炉中心部
12 炉周辺部
14 サイクロン
15 排ガス処理装置
16 煙突
Claims (2)
- 2段の送風羽口を有する溶融炉内へコークスを装入してコークスベットを形成した後、金属およびプラスチックを含有し、かつ鉄分総含有量[Total Fe]が10質量%<[Total Fe]<80質量%である複合廃棄物をコークスとともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して複合廃棄物を溶融処理するに際し、炉中心部に解体しない大径の前記複合廃棄物、破砕後の前記複合廃棄物のうち金属含有率の大きいもの、および鉄スクラップを大径のコークスと混合して装入し、炉周辺部に破砕後の前記複合廃棄物のうち金属含有率の小さいもの、およびダスト塊成鉱を小径のコークスと混合して装入し、前記コークスベッド上端レベルを上段羽口と下段羽口との間に設定し、羽口送風量を上段羽口送風量>下段羽口送風量に設定し、下段羽口からコークスベッドヘレースウエイを形成せずに酸素富化量が2%以上の常温の酸素富化空気とともに、廃プラスチックを吹き込むことを特徴とする複合廃棄物の処理方法。
- 上部羽口から蒸気吹き込みを行って炉内上部を冷却することを特徴とする請求項1に記載の複合廃棄物の処理方法。
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