JP4394308B2 - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のエンジン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホイール建設車両及びホイール式産業車両等の車両に搭載するエンジンは、例えばホイールローダのエンジンは、エンジン回転速度が低速でもホイールローダを走行でき、かつその作業機を操作できるローアイドル回転速度に設定されている。ここに、例えば特許第2567220号公報に記載の技術では、エンジンのローアイドル回転速度を、ステアリング操作及び/又は作業機操作を行わないときにエンストしない程度のエンジン許容最低回転速度近くの第1のローアイドル回転速度(以下「低速側ローアイドル」とする)と、この低速側ローアイドルよりも高速側であって走行できかつ作業機操作できる第2のローアイドル回転速度(以下「高速側ローアイドル」とする)との2モードに設定し、そして、両2モード間(低速側及び高速側ローアイドル間)での切換を、ステアリング操作及び/又は作業機操作の有無に基づき行うようにしている。このようにすると、ステアリング操作及び/又は作業機操作を行わないときは、エンジン回転速度が高速側ローアイドルから低速側ローアイドルへと自動的に下がるために燃料消費率(以下単に「燃費」とする)及び騒音公害が改善される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで例えばホイールローダは、Vシェープ走行又は前後進走行を行いつつ、その作業機による掘削及び積込作業を実施可能とされている。掘削及び積込作業は、オペレータが、ホイールローダを前進走行させて作業機を地山に突っ込ませ、作業機で地山を掘削させつつ作業機を上昇させて掘削土砂を作業機内に取込み、次いでホイールローダを後進走行させ、この後進走行中に変速レバーを前進位置へと一気に切換えて前進走行させ、そののち作業機内に取込んだ土砂をダンプトラック等に積込む作業である。ここに、前方の地山と斜め前方に停車したダンプラック等とに対して交互にホイールローダを前後進走行させてその走行軌跡がVシェープとなるのが上記Vシェープ走行である(いわゆるVシェープ作業)。一方、ホイールローダの前進走行路内に進入してホイールローダに対面して停車したダンプトラック等に対してホイールローダを前後進走行させてその走行軌跡がほぼ直進となるのが上記前後進走行である(いわゆる前後進作業)。
【0004】
即ちホイールローダのVシェープ作業ではステアリング操作及び作業機操作を伴うために、一方、前後進走行作業では作業機操作を伴うためにら、これらの間、エンジンは高速側ローアイドルとなり、エンストは生じないものの、まだローアイドルでの燃費が高く、かつローアイドルでの騒音も高い不具合がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目し、本当の必要時に必要量の燃料を供給するようにローアイドルを切換えて燃費及び騒音を低減できる車両のエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両のエンジン制御装置は、アクセル開度が大きくなるほど多くなる燃料を燃焼するエンジンと、エンジン出力トルクを受けてホイールを回転自在とし、かつ前後進切換信号を受けてホイールの回転方向を反転自在とするトルク伝達部とを備えて前後進走行自在とされた車両において、
アクセル開度を所定の小開度よりも小さくしたときを示す第1情報と、
トルク伝達部に前後進切換信号を与えたときを示す第2情報とを受け、
第1、第2情報を共に受けたとき、アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力することを特徴としている。
尚、かかる構成において、さらに、
(1)第1情報がアクセルを解放したときを示す情報であり、かつ第2情報がトルク伝達部に後進から前進への切換信号を与えたときを示す情報と限定してもよい。
(2)「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する期間」は、第1、第2情報を共に受けたときからホイールの回転方向が反転したときまでとしてよく、又はホイールの回転方向が反転したときまでとしてよい。
(3)また、トルク伝達部が入力軸からエンジン出力トルクを受けて出力軸から変換トルクをホイールへと出力するトルクコンバータを有する車両における上記「期間」は、「第1、第2情報を共に受けたときからトルクコンバータの入出力軸回転速度差が所定値になったときまでの期間」とするのがよい。尚、「変換トルク」とは、トルクコンバータがトルク変換装置であることに由来する。
(4)また、トルク伝達部としては、前記「油圧ポンプ及び油圧モータを備える油圧駆動部」を備えてもよい。ここに、油圧駆動部とは、入力軸からエンジン出力トルクを受けて回転する油圧ポンプと、油圧ポンプに対して閉回路接続され、かつ油圧ポンプの吐出圧を受けて回転トルクをホイールへと出力する油圧モータとを有する構成である。
(5)さらに、「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料の量」は、第1、第2情報を共に受けたときの車速情報に基き調整するのが望ましい。
【0007】
上記構成において、「アクセル開度を所定の小開度よりも小さくしたとき(第1情報)」とは、エンジンが低速回転域となるときである。一方、「トルク伝達部に前後進切換信号を与えたとき(第2情報)」とは、エンジン負荷が加わるときである。即ち、「第1、第2情報を共に受けたとき」とは、エンジン低速回転域においてエンジン負荷が生じ、エンジン低速回転域でのエンジン出力トルクと要求トルクとのマッチング不適問題が生ずる。ところが、上記エンジン制御装置は、第1、第2情報を共に受けたとき、アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する。つまり、アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料がエンジンで燃焼し、エンジン出力トルクがアクセル開度に基く場合よりも高まる。即ち、上記エンジン制御装置によれば、エンジン低速回転域においてもエンジン負荷を充分に吸収できるようになる。換言すれば、上記エンジン制御装置によれば、エンジン低〜高速回転域でのエンジン出力トルクを車両の要求トルクに好適にマッチングさせることができるようになる。
尚、例えば前記ホイールローダでは、後進走行中に変速レバーを前進位置に一気に切換える操作は普通であるものの、前進走行中に変速レバーを後進位置に一気に切換える操作は殆どないから、かかる場合を考慮すると、「第1情報はアクセルを解放したときを示す情報であり、かつ第2情報がトルク伝達部に後進から前進への切換信号を与えたときを示す情報である」と限定してもよいとしたものでである。
また、かかるエンジン制御装置において、「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する期間」は、各種準備できるものの、上記第3構成では、先ず「第1、第2情報を共に受けたときから所定時間が経過したときまでの期間」と例示し、さらに第4構成では「第1、第2情報を共に受けたときからホイールの回転方向が反転したときまでの期間」と、例示している。
さらに、トルク伝達部がトルクコンバータを備える場合(第5構成)は、「第1、第2情報を共に受けたときからトルクコンバータの入出力軸回転速度差が所定値になったときまでの期間」と、例示したものである。
尚、第6構成は、トルク伝達部が第5構成でのトルクコンバータ(及びトランスミッション等)を「油圧ポンプ及び油圧モータを備える油圧駆動部」に代えて備える場合でも、上記同様の作用効果が得られるからである。
ところで、上記各構成での「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料の量」を、第1、第2情報を受けたときの車速情報に基き調整すれば、エンジン出力トルクと要求トルクとをエンジン低〜高速回転域において、無駄無く、より好適にマッチングさせることができる。
即ち、上記各構成によれば、本当の必要時に必要量の燃料を供給するようにローアイドルを切換えて燃費及び騒音を低減できる。より詳しくは、小形かつ高出力のエンジンを燃費良く車両に搭載でき、しかも前後進切換走行を応答性良く行える。つまり、車両が例えばホイールローダであれば、前後進作業及びVシェープ作業を能率よく行える。また、オペレータにとっても、例えばエンジン回転速度の急低下に基くエンスト感を感ずることがなく、快適操縦性及び作業性を感受できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を図面を参照し説明する。尚、従来技術と同一要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0009】
第1実施例を図1〜図4を参照し説明する。図1は、実施例を備えた例機なるホイールローダの外観形状と走行用トルク伝達系との側面図である。図2は例機の走行用トルク伝達系のブロック図、図3は例機でのVシェープ作業の説明図、図4はエンジン制御プログラムのフローチャートである。
【0010】
図1に示すように、例機W(ホールローダW)は、エンジン1の出力トルクがトルク伝達部2を経てフロント及びリアホイール3F、3Rに伝達される。トルク伝達部2は、トルクコンバータ21と、トランスミッション22と、フロント及びリアドライブシャフト23F、23Rと、フロント及びリアディファレンシャル24F、24Rと、フロント及びリアアクスルシャフト25F、25R等とをこの順に備えて構成される。尚、以下、図示しないが、フロント及びリアホイール3F、3Rはホイール3とし、フロント及びリアドライブシャフト23F、23Rはドライブシャフト23とし、フロント及びリアディファレンシャル24F、24Rはディファレンシャル24とし、かつフロント及びリアアクスルシャフト25F、25Rはアクスルシャフト25とすると共に、これらは、図2においては、他の伝達部26として一括表示している(詳細を後述する第2実施例の図6においても同様である)。
【0011】
図2に示す通り、トルクコンバータ21の入力軸21aの近傍には、トルクコンバータ入力軸回転速度Niを検出する入力回転センサS1aを備える。一方、トルクコンバータ21の出力軸21bの近傍には、トルクコンバータ出力軸回転速度Noを検出する出力回転センサS1bを備える。両センサS1a、S1bは検出した回転速度Ni、Noをエンジンコントローラ5Aに入力する。
【0012】
エンジンコントローラ5Aはタイマ6を備える。タイマ6には、詳細を後述するエンジン1への燃料供給量が増加する期間を定める所定時間toを予め設けてある。また、エンジンコントローラ5Aは、通常は詳細を後述する図4のステップ6で述べる通り、アクセルペダル又はアクセルレバー等のアクセル1aからのアクセル開度情報Saを受け、そのアクセル開度情報Saに対応する制御指令Sb1を生成して燃料噴射ポンプ1bに入力する。
【0013】
燃料噴射ポンプ1bは、従来技術と同じく基本的には、エンジンコントローラ5Aからの制御指令Sb1に基き、エンジン1への燃料噴射量を調整し、これによりエンジン出力トルクを調整する。具体的には、エンジン1は、基本的にはオペレータがアクセル1aを操作してアクセル開度を大きくするほど多くの燃料を受けて燃焼し、燃焼に見合ったトルクによりトルクコンバータ21の入力軸21aを回転させる。
尚、エンジン出力トルクは、トルク伝達部2の駆動源となるほか、例機の油圧駆動式作業機4を油圧作動させる不図示の油圧ポンプの駆動源ともなる。
さらに尚、燃料噴射ポンプ1bは電子制御式であって、電子制御式燃料噴射ノズルを用いたもの、またコントロールラックの機械的移動量に基く燃料噴射量増減に対して制限を与える電子制御式アクチュエータを用いたもの等、各種例示できる。
【0014】
トランスミッション22は、トルク伝達用油圧離合式の4速度段切換用クラッチと、前後進切換用クラッチとを内臓し、これらクラッチに対する組合せ離合に基く前後進各4速位置(F1〜F4位置及びR1〜R4位置)と中立位置なるN位置とでなる各変速位置を、オペレータの変速レバー7の切換操作により選択自在としてある。
尚、図面に記載してないが、Fは前進、F1は前進1速位置、F2は前進2速位置、F3は前進3速位置、F4は前進4速位置、Rは後進、R1は後進1速位置、R2は後進2速位置、R3は後進3速位置、R4は後進4速位置、Nは前記の通り中立位置である。以下、説明を簡単にするため、符号F、F1〜F4、R、R1〜R4及びNのみを用いて説明する個所もある。
【0015】
変速レバー7は1本レバー式であり、変速センサS2を備える。変速センサS2は各変速位置F1〜F4、R1〜R4、Nを「変速位置情報」として検出し、検出した変速位置情報F1〜F4、R1〜R4、Nをトランスミッションコントローラ5Bに入力する。この場合、前進走行中又は後進走行中(即ち、走行中)のまま、トルク伝達部2での瞬時の前後進切換(FからR、又はその逆)は、変速レバー7を例えばF3位置からR2位置又はR3位置までの間で、N位置を一気に通過させて切換えることとなる。
尚、図2に二点鎖線で付記するように、変速レバー7を速度段切換レバー7aと二点鎖線で示す前後進切換レバー7bとの2本レバー式としたものでもよい。この場合、速度段切換レバー7aは4速度段の各位置間での切換用であり、前後進切換レバー7bはF、N及びRの各位置間での切換用である。この場合、走行中のまま、トルク伝達部2での瞬時の前後進切換は、速度段切換レバー7aを例えば第2速度段位置又は第3速度段位置を維持したまま、前後進切換レバー7bをF、R位置間で、N位置を一気に通過させて切換えることとなる。さらに尚、2本レバー式においては、変速センサS2もまた、速度段センサS2aと前後進センサS2bとに個別設定する必要がある。速度段センサS2aは4速度段のうちから速度段切換レバー7aで選択した位置だけを検出し、一方、前後進センサS2bはF、N及びRのうちから前後進切換レバー7bで選択した位置だけを検出する。検出した位置情報は変速情報となってトランスミッションコントローラ5Bに入力する。
【0016】
トランスミッション22の出力軸22bの近傍には、例機の車速Vを検出する車速センサS3aと、例機の走行方向を検出する方向センサS3bとを設けてある。尚、車速Vと走行方向と一つのセンサで一括検出する走行センサS3もある。従って、特に区別する必要のないときは、以下、車速センサS3aと方向センサS3bとを一つの走行センサS3として説明する。
走行センサS3は検出した車速V及び走行方向を「走行情報」としてトランスミッションコントローラ5Bに入力する。
トランスミッションコントローラ5Bは、エンジンコントローラ5Aに電気信号的に接続してそれぞれの生成信号を交信する。尚、コントローラ5A、5Bは、図2では個別表示したが一体物である(勿論、個別化し配置してもよい)。
【0017】
次に、上記構成での例機によるVシェープ作業例を図3を参照し説明する。
【0018】
図3に示す通り、オペレータは変速レバー7を例えばF2に位置させると共にアクセル1aを踏み込んで例機Wを位置Aから前進走行させる。例機Wが前進走行して位置Bに至ると、作業機4は地山Mdに突っ込む。このとき、オペレータはアクセル1aの踏み込み量を加減してエンジン回転速度を制御しながら、作業機4を操作して地山Mdを掘削する。
【0019】
オペレータは掘削土砂を積載した作業機4を上昇させると共に、変速レバー7を例えばR2位置にして例機Wを位置Bから後進走行させる。そして、位置Cでオペレータは変速レバー7をR2位置から例えばF2位置に一気に切換える。
尚、変速レバー7が、2本レバー式の場合での位置Cでの切換えは、速度段切換レバー7aに触れることなく(即ち、第2速度段を維持したまま)、前後進切換レバー7bをR位置からF位置へとN位置を素早く通過させて一気に切換える。つまり、R2からF2に一気に切換わる。
この切換時、オペレータはアクセル1aを解放するのが普通である。ここでは、オペレータがアクセル1aを解放したものとする。従って、エンジン1の回転速度はアクセル開度に応じてローアイドル回転(従来技術における低速側ローアイドルである)まで低下する。
【0020】
位置Cで変速レバー7がF2位置に切換わった例機Wは(又は前後進切換レバー7bがF位置に切換わった例機Wは)、次の位置Dまでの間に次の動作を示す。例機Wは、位置Cではその位置Cでの車速Vに見合った後進方向への慣性力を備える。この慣性力は、ホイール3の走行路面に対する転がり抵抗と、トルクコンバータ21でのポンプ翼及びタービン翼との相互逆回転による発熱と、エンジンブレーキとして、それぞれにおいて急ぎ吸収される。これにより、例機Wは位置Dにおいて慣性力の吸収を完了して一旦停止し、前進走行へと引き続いて移行する。本実施例ではこの間、詳細を後述するように、コントローラ5Aが位置Cでの車速Vに見合った増加燃料を燃料噴射ポンプ1bを介してエンジン1に供給させる。つまり、位置Cでの切換後の燃料増加時間だけ、オペレータのアクセル1aの解放によるエンジン回転の低速化の度合いが制限される。
【0021】
位置D又はその近傍でオペレータはアクセル1aを踏み込み、かつ同時に例機WをダンプトラックTrの方向に対面させるべくステアリングを回す。すると、例機Wは位置Eに向かって前進走行する。位置Eの先には位置Eに近接してダンプトラックTrが停車しており、例機Wが位置Eまで前進走行すると、オペレータは例機Wを停止させ、作業機4内の土砂をダンプトラックTr内に積込む。
【0022】
積込実完了後、オペレータは例機Wを前記位置Aに対応した位置Gまで戻すべく、アクセル1aを踏み込みながら、変速レバー7を例えばR2に位置させて例機Wを位置Eから後進走行させる。そして、位置Fでオペレータは変速レバー7をR2位置から再び例えばF2位置へと一気に切換える。この切換時でもオペレータはアクセル1aを解放する。すると、例機Wは位置F〜位置Gの間において上記位置C〜位置Dの間での挙動と同じ動作を示す。
【0023】
オペレータは、例機Wに対し上記位置A〜Gでの各動作を繰り返えさせることにより、Vシェープ作業を継続する。
【0024】
尚、位置C及び位置Fでの動作は後進走行から前進走行への切換例であるが、前進走行から後進走行への切換もまた同様である(尚、例機Wなるホイールローダでは、前進走行から後進走行への切換は実際上少ない)。そして、これら切換はコントローラ5A、5Bに予め記憶した動作プログラムに則して行なわれる。動作プログラム例を図4のフローチャートを参照し説明する。
尚、上記第1実施例の説明では、変速レバー7なる1本レバー式を2本レバー式に置換した場合も例示した。そこで、2本レバー式については、1本レバー式の各要素符号の後に括弧を設け、括弧内に2本レバー式での関係符号を付して重複説明は省略する。
【0025】
トランスミッションコントローラ5Bは、変速レバー7(7a、7b)から変速情報(速度段位置及び前後進位置の各情報)を変速センサS2(S2a、S2b)から受ける(ステップ1)。尚、エンジンコントローラ5Aは、前記の通り、アクセル1aからのアクセル開度情報Saを受け、そのアクセル開度情報Saに対応する制御指令Sb1を生成して燃料噴射ポンプ1bに入力している。
【0026】
トランスミッションコントローラ5Bは、変速センサS2(S2a、S2b)からの変速情報が所定の走行位置情報である(YES)否か(NO)を判定する(ステップ2)。ここに、所定の走行位置とは、例機の場合、次の(a1)〜(a4)を例示できる。
【0027】
(a1)全速度段F1位置〜F4位置及びR1位置〜R4位置を所定の走行位置としてもよい。つまり、N位置以外の総べての位置としてもよい。
【0028】
(a2)ホイールローダには、F1位置及びR1位置を作業機4の地山Mdへの突っ込み力を高めるためのインチング走行専用(即ち、微動前後進専用)とするものがある。この場合、F2位置〜F4位置及びR2位置〜R4位置が所定の走行位置となる。
尚、この場合でも、F1位置及びR1位置もまた所定の走行位置とし、前後進切換時には、F1位置からR2位置又はR3位置への自動切換を許容させ、同様に、R1位置からF2位置又はF3位置への自動切換を許容させてもよい。この自動切換えは、速度段レバー7aが、例えばD位置:2〜4速度段間自動切換位置、1位置:2−3速度段間自動切換位置及び2位置:1速度段位置等でなる自動速度段変速モード切換レバーの各自動切換位置に対する前記許容を強要させる割り込み切換え動作である」とすれば、理解が速くなる(次の(a3)、(a4)での「尚書き構成」においても同じ)。
【0029】
(a3)上記(a2)の「F1位置及びR1位置をインチング走行専用」としたホイールローダには、さらにF4位置及びR4位置を走行専用としたものがある。この場合、F2位置、F3位置、R2位置及びR3位置を所定の走行位置とする。
尚、この場合でも、F4位置及びR4位置もまた所定の走行位置とし、前後進切換時には、F4位置からR3位置又はR2位置への自動切換を許容させ、同様に、R4位置からF3位置又はF2位置への自動切換を許容させてもよい。
【0030】
(a4)勿論、F4位置及びR4位置を走行専用としただけのホイールローダもある。この場合、F1位置〜F3位置及びR1位置〜R3位置を所定の走行位置とする。
尚、この場合もまた、前後進切換時には、F4位置からR3位置又はR2位置への自動切換を許容させ、同様に、R4位置からF3位置又はF2位置への自動切換を許容させてもよい。
【0031】
ステップ2でYESであると、トランスミッションコントローラ5Bは、変速センサS2(S2b)からの変速情報が前後進切換か(YES)否か(NO)を判定すると共に、YESであるときこの結果をエンジンコントローラ5Aに入力する。すると、エンジンコントローラ5Aは、アクセル1aからのアクセル開度信号Saが予め記憶した所定の小開度Soと比較して「Sa≦So」であるか(YES)否か(NO)を判定する(ステップ3)。
要するに、コントローラ5B、5Aは、このステップ3において、前後進切換であり、かつ「Sa≦So」であるか(YES)否か(NO)を判定する。
【0032】
ここに、「所定の小開度So」とは、本実施例では、前記従来技術で述べた「高速側ローアイドル」をもたらす大きさのアクセル開度信号Saとしてあり(図5参照)、エンジンコントローラ5Aに予め設定してあるものである。
この動作例では、上記ステップ3での前後進切換時は、前記図3の位置Cを参照して述べた通り、オペレータがアクセル1aを解放している。つまり、エンジン1の回転速度はエンジンが無負荷状態ならば前記従来技術での低速側ローアイドルまで低下していることとなる。もっとも、例機はホイールローダであるからエンジンの燃料自動調整特性はオールスピードガバナ特性とされているために、さらにこの前後進切換時にはこの切換による負荷がエンジンに加わるために、エンジン回転速度は、そのオールスピードガバナ特性と前後進切換負荷とに基き、図5の点線Y1に従ってエンジン出力トルクは上昇するもののエンジン回転速度は無負荷時の低速側ローアイドル回転速度よりもさらに低下してエンストする。尚、このように「低下しよう」とさせないのが以降に述べるステップであり、そしてこれが、本実施例の特徴である(即ち本発明の特徴の一つである)。
【0033】
ステップ3で変速情報が前後進切換であると(即ち、YESであると)、トランスミッションコントローラ5Bは、走行センサS3(S3a)から前後進切換時の車速Vを特定する(ステップ4)。
【0034】
そして、トランスミッションコントローラ5Bは、特定した車速Vが予め記憶した所定車速Vaと比較して「V≧Va」であるか(YES)否か(NO)を判定する。YESであると、トランスミッションコントローラ5Bは、その車速Vをエンジンコントローラ5Aに入力する(ステップ5)。尚、比較車速Vaは例えば1km/hといった微速でよい。そして、この比較車速Vaは微速でよい故に、このステップ5は省略しても構わない。
【0035】
尚、ステップ2、3及び5でNOであるとき、トランスミッションコントローラ5Bはエンジンコントローラ5Aに対して何ら情報を交信しない。従って、エンジンコントローラ5Aは、アクセル1aからのアクセル開度情報Saに対応する制御指令Sb1を生成して燃料噴射ポンプ1bに入力する(ステップ6)。
【0036】
説明を元に戻す。ステップ5でYESである場合は次の通り。エンジンコントローラ5Aは、車速V毎に各車速Vに応じたエンジン1への燃料供給量をマトリクス又は関数として予め記憶する。そこで、ステップ5でYESであってエンジンコントローラ5Aがトランスミッションコントローラ5Bから車速Vを入力すると、エンジンコントローラ5Aは、車速Vと前記マトリクス又は関数とから特定した車速Vに応じたエンジン1への燃料供給量を演算する(ステップ7)。
例えば、車速Vが遅い場合(概ねF1、F2、R1又はR2のときであり、例えば「V=2km/h」のとき)、図5のトルクカーブSwで示すように、エンジンコントローラ5Aはエンジン出力トルクの基本的性能カーブY(アクセル1aをハイアイドルに固定したときに負荷の大きさによって得られる性能カーブ)に対し、アクセル開度Saが従来の高速側ローアイドルSoで達成されるトルクカーブSwを得られるように、燃料噴射ポンプ1bからの燃料供給量を増加させる。簡単に言えば、アクセル1aからの開度信号Saは低速側ローアイドルの達成を指示しているが、エンジンコントローラ5Aはこれを無視してアクセル1aからの開度信号Saを高速側ローアイドルSoであると見做す処理を行っている。
一方、車速Vが速い場合(概ねF3、F4、R3又はR4のときであり、例えば「V=6km/h」のとき)、図5のトルクカーブSpで示すように、エンジンコントローラ5Aは、上記従来技術における高速側ローアイドルよりもさらに高い値に設定する。
このようにしたので、エンジン中〜高速回転域でエンジン出力トルクを要求トルクにマッチングさせても、エンジン低速回転域でもまたエンジン出力トルクが要求トルクにマッチングする。従って、エンジン低速〜高速回時までの燃費及び騒音の低減を達成できる。
【0037】
ステップ7で燃料供給量を演算すると、エンジンコントローラ5Aは演算値に応じた大きさの制御指令Sb2を生成して燃料噴射ポンプ1bに入力する。燃料噴射ポンプ1bは、制御指令Sb2に基き、車速Vに応じた燃料をエンジン1に供給する(ステップ8)。
尚、前記制御指令Sb1はアクセル開度情報Saに依存したエンジン1への燃料供給量であり、一方、この制御指令Sb2はアクセル開度情報Saに代わるエンジン1への燃料供給量である。つまりエンジンコントローラ5Aは、制御指令Sb1及び制御指令Sb2のいずれか一方を燃料噴射ポンプ1bに入力することとなる。
即ち、燃料噴射ポンプ1bがエンジンコントローラ5Aから制御指令Sb2を受けて前記「車速Vに応じたエンジン1への燃料の量」をエンジン1に供給すると、エンジン出力トルクは、ステップ7で説明した通り、制御指令Sb1に基くときよりも増加する。
【0038】
尚、エンジンコントローラ5Aには、前記の通り、タイマ6を備える。そして、タイマ6には、前記の通り、エンジン1への燃料供給量が増加する期間を定める所定時間toを予め設けてある。
即ち、エンジンコントローラ5Aは、燃料増加開始後の時計時間tが所定時間toを経過する(「t≧to」で表記した)と(ステップ9)、この経過時に制御指令Sb2の生成を停止し(ステップ10)、燃料噴射ポンプ1bへは通常のアクセル開度情報Saに依存した燃料の量に相当する指令を入力する(ステップ6)。
尚、所定時間toに至る前にオペレータがアクセル1aを操作してアクセル開度信号Saの大きさを「Sa>So」とすると、エンジンコントローラ5Aは、制御指令Sb2を制御指令Sb1に戻す(尚、これは微妙時間での制御となるから、所定時間toに至るまで制御指令Sb1に戻すことなく、制御指令Sb2aをそのまま持続させてもよい)。この場合の所定時間toとは、換言すれば、オペレータが変速レバー7で前後進位置を切換えたときからアクセル1aを操作してアクセル開度信号Saの大きさを「Sa>So」としたときまでである。これをさらに発展させれば、所定時間toは予めに定めず、オペレータが変速レバー7で前後進位置を切換えたときからアクセル1aを操作してアクセル開度信号Saの大きさを「Sa>So」としたときに制御指令をSb2からSb1に戻してもよいということであり、これも所定時間toとして捕らえてよい。
【0039】
また、所定時間toは、次の(b1)〜(b3)に基き決定してタイマ6に設定できる。尚、これら(b1)〜(b3)はいずれもコントローラ5A、5Bでも比較判断できるから、この判断をコントローラ5A、5Bの動作プログラムに比較条件として織り込み、これによりタイマ6を無くしてよい。
【0040】
(b1)タイマ6に設定する所定時間toは、略「V=0」となるまでの推定時間とする。簡単に言えば、ホイール3が略反転したときである。
これを動作プログラムに織り込むときは、変速センサS2(S2a)で車速Vを継続監視し、「V=0」となるまでとする。
勿論、変速レバー7による切換え先側での車速Vが、例えば「V=5km/h」となるまでの時間としてもよい。
【0041】
(b2)タイマ6に設定する所定時間toは、走行方向が先の前後進切換後の方向に略一致するまでの推定時間としてもよい。簡単に言えば、これも(b1)と同じく、ホイール3が略反転したとき(V=0)である。
これを動作プログラムに織り込むときは、走行センサS3(S3b)により走行方向を継続監視し、走行方向が先に検出した変速センサS2(S2b)の前後進切換後の位置に一致するまでとすればよい。
【0042】
(b3)タイマ6に設定する所定時間toは、トルクコンバータ入出力軸回転速度Ni、No間での回転速度差ΔN(=Ni−No)が略所定値Nc(ΔN=Nc)になるまでの推定時間としてもよい。詳しくは次の通り。
変速レバー7(7b)の前後進切換位置を切換えると、トルクコンバータ21の出力軸21bの回転方向はそれまでの慣性力に基く走行によって逆駆動されてトルクコンバータ21の入力軸21aの回転方向と逆方向に回転する。そして、例機の停止時なる慣性力を吸収した時が、トルクコンバータの出力軸21bの回転停止時(No=0、いわゆるストール状態)である。
ここに、仮に出力軸回転速度Noを入力軸21aの回転方向に合わせて正(+)とすると、変速レバー7(7b)での前後進切換時から例機のストール前までの出力軸21bの回転方向に基く出力軸回転速度Noは負(−)となり、そしてストール後の出力軸回転速度Noに正(+)となる。従って、上記、回転速度差ΔNは、ストール前では「Ni−(−No))=Ni+No」となるが、ストール後は「Ni−(+No))=Ni−No」となる。つまり、回転速度差ΔNは、前後進切換時が最大であり、ストール状態を経て通常走行へと移行するほど小さくなる。従って、仮に略ストール状態又はストール後の暫し経過後の回転速度差ΔNを所定値Ncとすると、所定時間toは、「ΔN≦Nc」になったときまでの時間として扱える。
ところがこの「ΔN≦Nc」になったときまでの時間は、次のようにも言える。
即ち仮に入出力軸回転速度Ni、Noを互いの回転方向に係らず絶対値として回転速度差ΔNを演算すると、ストール前後に係らず「ΔN=Ni−No」となるから、回転速度差ΔNはストール時が最大となる。この場合は、上記同様に仮に略ストール状態の回転速度差ΔNを所定値Ncとすると、所定時間toは、上記とは逆に「ΔN≧Nc」となったときまでの時間となる。一方、ストール後の暫し経過後の回転速度差ΔNを所定値Ncとすると、所定時間toは、先ずストール前で「ΔN≧Nc」が生じ、次いでストール後で再び「ΔN≧Nc」が生じるときまでの時間となる。
このように、数式上は「ΔN≦Nc」とも、また「ΔN≧Nc」とも扱えるから、「ΔN=Nc」となったときまでの時間としたものである。
以上を動作プログラムに織り込むときは、入力回転センサS1aが検出したトルクコンバータ入力軸回転速度Niと、出力回転センサS1bが検出したトルクコンバータ出力回転速度Noとの差ΔN(=Ni−No)が所定値Ncとなるまでとする(ΔN=Nc)。
補足すれば、位置D及び位置Gでのストール状態からの例機の発進には大きな起動トルクが必要である。ここに、トルクコンバータ21の出力トルク(いわゆる「変換トルク」である)はストール時で最大値を示すものの、トルクコンバータ21の出力トルクそれ自体はエンジン回転速度の2乗に比例する。従って、エンジン回転速度を高めておかないと、トルクコンバータ21によるトルク変換機能を充分に得られない。それ故、ストール発生時から暫し後までのストールを脱却するまでの期間、エンジン回転速度を高めてトルクコンバータ21の出力トルクを高める必要がある。そしてエンジン回転速度を高めるためには、エンジン出力トルクを高める必要がある。従って、トルクコンバータ21を装着した例機では、所定値Ncをストール時の値とするのではなく、ストール発生後から暫し経過後の値とするのが望ましい。つまり、所定時間toを、変速レバー7の切換時からストール状態を経て暫し後までの時間とするのが望ましい。具体的には、変速レバー7の切換時からストール発生までの時間に対しさらに例えば4〜5秒だけ加算してストール状態を脱却するまでの時間とするのが望ましい。
【0043】
上記の如くオペレータが例機の走行中に、アクセル1aを解放しながら例機に対する進行方向指令を反対方向に切換えても、エンジンコントローラ5Aが予め定めた所定時間toだけ、アクセル1aの解放による燃料量の低下の程度を小さくする制御を行っている。つまり、アクセル1aの解放時、この解放による本来の燃料の量よりも多い燃料の量にする増量制御を行うため、エンジン低速回転域ではエンジン1の出力トルクが増する。
【0044】
次に第2実施例を図6及び図7を参照し説明する。図6は、例機なるホイールローダの走行用トルク伝達系のブロック図、図7は配管に発生する油圧のタイムチャートである。尚、以下、従来技術及び第1実施例と同一要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0045】
図6の走行用トルク伝達系もまた、エンジン1と、トルク伝達部2と、ホイール3とを備える。尚、トルク伝達部2は、エンジン出力トルクを受ける油圧駆動部8と、油圧駆動部8から出力トルクを受けてホイール3に伝達する他の伝達部26とを備える。
【0046】
油圧駆動部8は、エンジン出力トルクを受ける油圧ポンプ81と、他の伝達部26に出力トルクを与える油圧モータ82とを閉回路接続したものである。尚、油圧駆動部8は油圧モータ82の出力軸82bの回転方向が正逆制御可能であればよく、従って、吐出方向反転式油圧ポンプと油圧モータとの組合せ、吐出方向一定式油圧ポンプと方向切換弁と油圧モータとの組合せ等を例示できる。さらに、油圧ポンプ及び油圧モータにはそれぞれ可変容積形と固定容積形とがあるがいずれでもかまわない。本実施例では、油圧ポンプ81を吐出方向反転式可変容積形とし、油圧モータ82は固定容積形としてある。具体的には、次の通り。
【0047】
油圧ポンプ81及び油圧モータ82は、第1、第2配管83a、83bで閉回路として接続し、オペレータによる変速レバー7の操作により油圧ポンプ81の吐出方向が第1、第2配管83a、83b間で交互に切換えられ、この切換えにより例機が前後進するものである。
【0048】
第1、第2配管83a、83bは、リリーフ弁84a、84bと、第1、第2配管83a、83bへの油流れのみを許容するチェック弁85a、85bとを備える。そして、油圧駆動部8は、両チェック弁85a、85bに圧油を補給するチャージポンプ86を有する。第1、第2配管83a、83bには第1、第2圧力センサ87a、87bを設けてある。各圧力センサ87(87a、87b)が検出した油圧は、油圧駆動コントローラ5Cに入力する。また、変速レバー7にはその前後進位置を検出する変速センサS2(S2b)が設けてあり、検出した前後進情報は油圧駆動コントローラ5Cに入力する。油圧駆動コントローラ5Cは、エンジンコントローラ5Aに電気信号的に接続して各生成信号を交信する。尚、コントローラ5A、5Cも図6では個別化したが一体化してもよい。
【0049】
第2実施例もまた、図3を参照して説明した上記第1実施例での動作と同様の動作を達成する。そこで、上記第1実施例に対する相違点なる第2実施例での前後進切換時の油圧変化を図7を参照し説明する。尚、図7の横軸に示す位置C、Dは図3の位置C、Dに対応する。また、図7の横軸には記載しないが、図7の位置C、Dは図3の位置F、Gにも対応する。
【0050】
図3において、位置Bから位置Cまでの後進走行は、第2実施例においては、油圧ポンプ81の吐出油が図7の点線で示される油圧Pkとなって第1配管83aを経て油圧モータ82に流入し、かつ油圧モータ82の排出油が図7の実線で示される油圧Pbとなって第2配管83bを経て油圧ポンプ81に戻ることにより達成する。図3での位置Eから位置Fまでの後進走行についても同様である。ここに、油圧Pkは第1圧力センサ87aにより検出され、一方、油圧Pbは第2圧力センサ87bにより検出され、油圧駆動コントローラ5Cに入力する。
【0051】
そして、位置Cでオペレータが変速レバー7を操作して後進位置から前進位置に切換える(位置Fでも同じ)。このとき、油圧ポンプ81の吐出方向が第1配管83aから第2配管83bへと切換わる。これにより、第2配管83bは昇圧し、リリーフ弁84bの設定圧Pd(いわゆる「リリーフ圧」である)となると、リリーフ弁84bが開弁して第2配管83b内の圧油がリリーフ弁84bを経てタンク内にドレンする。つまり、リリーフ油が生ずる。このリリーフ油はリリーフ弁84bの通過時に圧力損失を生じて発熱する。この発熱量が慣性力を吸収する(いわゆる「制動」が生ずる)。勿論、ホイール3の走行路面に対する転がり抵抗と、エンジンブレーキも生じて慣性力を吸収する。そして、慣性力の吸収の完了時が、位置Dである(位置Gでも同じ)。この慣性力の吸収期間、第1配管83aには油が不足するが、チャージポンプ86がチェック弁85aを開いて不足油を補給する。
尚、位置C(位置F)でオペレータが変速レバー7を操作して前進位置から後進位置に切換えたときは、上記各要素名をそのように読み替えればよい。
【0052】
この間、油圧駆動コントローラ5Cは、車速センサS3(S3a)で車速Vが所定速度Va●以上であることを検出したとき、エンジンコントローラ5Aに車速Vに応じた燃料をエンジン1に供給するように制御指令Sb2を出力する。
【0053】
この後、例機は、位置Dから前進走行を開始する(位置Gでも同じ)。これにより、油圧ポンプ81の吐出圧は、リリーフ弁84bの設定圧Pdから漸次低下する。この低下した吐出圧は、第2圧力センサ87bで検出され、油圧駆動コントローラ5Cに入力する。油圧駆動コントローラ5Cは、第2圧力センサ87bからの検出圧が所定圧Poまで低下すると、そして、エンジンコントローラ5Aはこれを受けると、それまでの制御指令Sb2を制御指令Sb1に戻す。つまり、アクセル1aの制御に従属させる。
尚、位置C(位置F)でオペレータが変速レバー7を操作して前進位置から後進位置に切換えたときは、上記各要素名をそのように読み替えればよい。
【0054】
以上の制御によっても、上記第1実施例と同じく、エンジン低速回転域でのエンジン出力トルクを要求トルクにマッチングできる。
【0055】
尚、上記各実施例では、例機を用いて説明したが、ホイール式油圧ショベル、振動ローラ等のホイール式建設車両及びフォークリフト、ラフテレンクレーン等のホイール式産業車両、その他にも適用できる。
【0056】
さらに尚、上記各実施例では、制御指令Sb2での燃料の増量程度を車速Vに応じて設定したが、変速レバー7の前後進切換時のエンジン回転速度に応じて設定してもよく、また無条件に所定量だけ一律に増量する設定としてもよい。要するに、エンジンコントローラ5Aは、上記ステップ3で述べた通り、前後進切換であり、かつ「Sa≦So」であるとき、アクセル開度Saに基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジン1に供給させる信号を燃料噴射ポンプ1bに入力すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を用いた例機なるホイールローダの外観形状と走行用トルク伝達系との側面図である。
【図2】本願発明の第1実施例に係る走行用トルク伝達系のブロック図である。
【図3】ホイールローダでのVシェープ作業の説明図である。
【図4】第1実施例でのエンジン制御プログラムを示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るエンジン出力トルクカーブである。
【図6】本願発明の第2実施例に係る走行用トルク伝達系のブロック図である。
【図7】第2実施例のエンジン制御で配管に発生する油圧のタイムチャート図である。
【符号の説明】
1:エンジン、1a:アクセル、1b:燃料噴射ポンプ、21:トルクコンバータ、21a:トルクコンバータ入力軸、21b:トルクコンバータ出力軸、22:トランスミッション、22b:トランスミッション出力軸、3a、3b:ホイール、4:作業機、5A:エンジンコントローラ、5B:トランスミッションコントローラ、5C:油圧駆動コントローラ、6:タイマ、7:変速レバー、7a:速度段切換レバー、7b:前後進切換レバー、8:油圧駆動部、81:可変容積形油圧ポンプ、82:固定容積形油圧モータ、87a:第1圧力センサ、87b:第2圧力センサ、Ni:トルクコンバータ入力軸回転速度、No:トルクコンバータ出力軸回転速度、Sa:アクセル開度信号、Sb1、Sb2、:制御指令、S1a:入力回転センサ、S1b:出力回転センサ、S2:変速センサ、S2a:速度段センサ、S2b:方向センサ、S3:走行センサ、S3a:車速センサ、S3b:前後進センサ。
Claims (7)
- アクセル開度が大きくなるほど多くなる燃料を燃焼するエンジンと、エンジン出力トルクを受けてホイールを回転自在とし、かつ前後進切換信号を受けてホイールの回転方向を反転自在とするトルク伝達部とを備えて前後進走行自在とされた車両において、
アクセル開度を所定の小開度よりも小さくしたときを示す第1情報と、
トルク伝達部に前後進切換信号を与えたときを示す第2情報とを受け、
第1、第2情報を共に受けたとき、アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力することを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 前記第1情報がアクセルを解放したときを示す情報であり、前記第2情報がトルク伝達部に後進から前進への切換信号を与えたときを示す情報であることを特徴とする請求項1記載の車両のエンジン制御装置。
- 前記「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する」期間を、第1、第2情報を共に受けたときから所定時間が経過したときまでとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両のエンジン制御装置。
- 前記「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する」期間を、第1、第2情報を共に受けたときからホイールの回転方向が反転したときを示す第3情報を受けたときまでとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両のエンジン制御装置。
- 前記トルク伝達部は、入力軸からエンジン出力トルクを受けて出力軸から変換トルクをホイールへと出力するトルクコンバータを有し、
入力軸回転速度情報と、
出力軸回転速度情報とを受け、
前記「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料をエンジンに供給させる信号を出力する」期間を、第1、第2情報を共に受けたときから入出力軸回転速度差が所定値になったときまでとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両のエンジン制御装置。 - 前記トルク伝達部は、入力軸からエンジン出力トルクを受けて回転する油圧ポンプと、油圧ポンプに対して閉回路接続され、かつ油圧ポンプの吐出圧を受けて回転トルクをホイールへと出力する油圧モータとを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両のエンジン制御装置。
- 車速情報を受けて、
前記「アクセル開度に基く量の燃料よりも多い量の燃料」の量を、第1、第2情報を共に受けたときの車速情報に基き調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両のエンジン制御装置。
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