JP4393902B2 - 傾斜角測定装置 - Google Patents
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Description
一方で、傾斜角の測定は、特許文献1に示されるように、携帯機器における方位角測定の補正用途として使用される。通常、方位角測定はコンパス(方位磁針)等の測定機器を水平に静止した状態で行われるものであるが、当該機器の傾斜角を測定すれば、例え機器が水平でなくても方位角の測定が可能となることが当該文献に示されている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、歩行時における傾斜角の測定結果の遅延を小さくするとともに、加速度センサの温度出力変動に依存しない簡単な傾斜角測定装置を提供することを目的としている。
この構成によれば、歩行時の傾斜角の算出結果に基づいて、加速度センサのオフセットレベルを求めることができるので、従来であれば温度変動が大きいために測定が面倒であった加速度センサのオフセットレベルを簡便に求めることが可能となる。これは、使用者に意識させることなく自動的に求めることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る傾斜角測定装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す傾斜角測定装置100は、一般的に知られているX,Y軸の2軸が互いに垂直に交わる関係となるように配置された2軸の加速度センサ20と、X出力BPF部3と、Y出力BPF部4と、X出力振幅算出部5と、Y出力振幅算出部6と、位相算出部7と、傾斜角算出部8と、傾斜角格納部9と、オフセット電圧算出部10とを備えて構成されている。
本実施の形態では加速度ゼロのときの出力電圧(以下、オフセット電圧と言う)を予め知らなくても求めることが可能となっている。
一方、加速度が一定値(例えば重力加速度=9.8m/s2)変化したときの出力電圧変動(以下、検出感度と言う)は、X軸とY軸との比(例えば1:2)が分かっていれば、傾斜角を求めることが可能となっている。但し、X軸とY軸との何れもゼロでないことを前提とする。
X出力BPF部3及びY出力BPF部4は、加速度センサ20の歩行に伴って生じる加速度センサ出力電圧変動のうち、1歩につき1回振動する電圧変動成分のみを抽出するバンドパスフィルタである。一般に、歩行体の周波数は1〜3Hz程度であるため、この帯域のみを通過するような特性を持ったバンドパスフィルタを用いるのがよい。後の説明の便宜のため、X出力BPF部3の出力をBPX(t)、Y出力BPF部4の出力をBPY(t)とする。tは時間である。
又は、X出力振幅算出部5及びY出力振幅算出部6を、回路を用いて実現する場合は、例えば図2に示すような、オペアンプOpAmpに、抵抗器R1,R2と、コンデンサC1,C2と、ダイオードD1,D2とを組み合わせて構成されるピークトウピーク検出回路22を用いてもよい。
AX(t)=√{Σ((BPX(t))2)}
と表される。AY(t)も同様である。
BPX(t)*BPY(t)
を計算する処理が用いられる。仮に、畳込み積分BPX(t)*BPY(t)の値が正{BPX(t)*BPY(t)>0}ならば、図3(a)に示すように、X出力であるBPX(t)とY出力であるBPY(t)とは同位相であり、前述した「歩行体の加速度は上下方向の振動に対して変化する」という性質を考慮すれば、図3(b)に示すように、加速度センサ20は、重力方向GがX軸の負方向とY軸の負方向との間となるような傾斜の状態にあるということが導かれる。
また、位相算出部7での同位相か逆位相かの算出を、回路を用いて実現する場合は、畳込み積分を行う代わりに、乗算器とLPF(ローパスフィルタ)を組み合わせた回路を用いても測定が可能である。本回路は本質的には畳込み積分と同等の処理と言ってよい。
ここで、傾斜角算出部8の具体的な計算例について説明する。
図5は、歩行体が携帯機器である傾斜角測定装置100を水平に持ったときの加速度センサ20のイメージ図であり、(a)は上から見た図、(b)は右側から見た図である。
AX(t)=0
AY(t)=A(一定値)
とすることができる。この場合、畳込み積分、
BPX(t)*BPY(t)=0
となることがわかる。
これは、例えば携帯電話のディスプレーを見ているときの加速度センサ20の傾斜の方向を図示したものと考えてよい。歩行の進行方向は、前記同様(a)の図では紙面の上向き、(b)の図では紙面の右向きである。この場合の歩行時の加速度センサ20の出力電圧波形は、図6とは異なり、図8(a)及び(b)に示すように、X成分とY成分とに分離されて出力される。しかし、前述の歩行体の性質を考慮すれば、X成分の振幅AX、Y成分の振幅AY、及び傾斜角φとの間には、
AX=A・sin(φ)
AY=A・cos(φ)
なる関係式が成立していることがわかる。Aは前述した一定値である。この関係式から、傾斜角の大きさは、Aによらず、
φ=arctan(AX/AY)
として求めることができる。例えば、これを図5の場合に当てはめると、
φ=arctan(0)=0°
として正しい傾斜角を求めることができる。
BPX(t)*BPY(t)>0
であるから、加速度センサ20は正の方向に傾斜しており、傾斜角φ(t)は、
φ(t)=+arctan{AX(t)/AY(t)}
として求めることができる。
BPX(t)*BPY(t)<0
であれば、傾斜角φ(t)は、
φ(t)=−arctan{AX(t)/AY(t)}
として求めることができる。
このように、従来よく知られている重力を基準にした傾斜角の測定とは全く異なる算出処理によって傾斜角を測定することができる。
オフセット電圧算出部10は、上述の処理手順によって傾斜角の測定結果が相異なる複数の地点で得られた場合に、これらの測定結果を用いて加速度センサ20のオフセット電圧を計算する。
具体的に、相異なる傾斜角から加速度センサ20の未知のオフセット電圧を求める処理について説明する。なお、次の説明では、加速度センサ20のX軸オフセットをXO、Y軸オフセットをYO、X軸感度をSX、Y軸感度をSYとする。
図7の状態で傾斜角がφ1と算出された時間においては、次式(1)の方程式が成立する。
一方、傾斜角がφ2(但し、φ2≠φ1)と算出された時間においては、次式(2)の方程式が成立する。
上式(1)と(2)の連立方程式を解き、これに、既知のη=SY/SX(検出感度の比)を用いれば、次式(3)のオフセット電圧XOと、式(4)のオフセット電圧YOを求めることができる。但し、Z1=tan(φ1)、Z2=tan(φ2)とする。
2 加速度センサY成分
3 X出力BPF部
4 Y出力BPF部
5 X出力振幅算出部
6 Y出力振幅算出部
7 位相算出部
8 傾斜角算出部
9 傾斜角格納部
10 オフセット電圧算出部
20 加速度センサ
100 傾斜角測定装置
Claims (3)
- 2乃至は3軸が互いに直交する加速度センサと、
前記加速度センサで測定された各軸の加速度に対応する信号の振幅値を算出する振幅算出手段と、
前記振幅算出手段で算出された各軸の振幅値の比の逆正接値から加速度センサの傾斜角の大きさを算出する傾斜角算出手段と
を備えたことを特徴とする傾斜角測定装置。 - 前記加速度センサで測定された各軸の加速度に対応する信号が同位相及び逆位相の何れであるかを算出する位相算出手段を更に備え、
前記傾斜角算出手段は、前記位相算出手段で算出された同位相及び逆位相の何れかの結果に応じて加速度センサの傾斜の向きを更に算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の傾斜角測定装置。 - 前記傾斜角算出手段で相異なる地点で算出された複数の傾斜角と、これら複数の傾斜角が算出された時間が含まれる任意時間幅において前記加速度センサで得られる信号の平均値とを用いて、加速度センサのオフセットレベルを算出するオフセットレベル算出手段
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の傾斜角測定装置。
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