JP4393035B2 - 配管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清浄な配管を用いて行う清浄な空気や水の輸送方法に関し、詳しくは、半導体部品などの精密製品や医薬品などの衛生製品の製造工程などに好適な、脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて行う清浄な空気や水の輸送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエハなどの精密基板、ハードディスク用部品などの電子部品、マイクロチップなどのバイオデバイス、その他の精密製品、医薬品、食料品などを製造する現場の空気に、水分、有機物、塵埃などの汚染物質が混入すると正常な製品の歩留まりが低下する。また、菌体培養液、化学分析用試薬などの低不純物薬液を用いる操作に、金属イオン、有機物などの汚染物質を含む水を使用するとデータの精度が低下する。そのため、精密製品等の製造や生化学的操作などに用いる空気や水は、汚染物質を極力含有しないことが要求されており、また、外部環境からも可能な限り汚染物質が混入しないことが要求されている。
上記精密製品とは、環境から汚染物質が混入しないように清浄化処理した空気や水を使用して製造する製品のことで、例えば、シリコンウエハ(集積回路チップなどの半導体部品への加工過程にあるウエハ基板を含む)、マスク原板、フォトマスク、磁気ディスク基板、液晶ディスプレイ基板、などの精密基板;精密製版、電子製版などの製版;ハードディスク用部品などの精密電子部品;レンズ、プリズムなどの精密光学部品;マイクロチップなどのバイオデバイス;シリンジ、カテーテル、透析装置などの医療器具;菌体培養液や化学分析試薬などの高純度薬液用容器;食品・医療・バイオ・医薬・農業・畜産などの雑菌防止や感染防止のための無菌室部品;宇宙・航空機器部品;微量分析・精密分析用装置・部品などである。
また、上記生化学的操作とは、クリーンルームなどのクリーン環境で、環境から汚染物質が混入しないように清浄化処理した空気や水を使用して行う生化学的操作のことで、例えば、菌体培養、組織培養、遺伝子組換え、遺伝子電気泳動分析などが挙げられる。
近年、これらの精密製品の高精度化や高密度化、上記の生化学的操作や化学分析技術の高精度化、高性能化等により、その製造や操作に使用される空気や水に対しては、従来以上の高純度化の要求が高まっている。
従来、空気や水の輸送用にステンレス製配管や塩化ビニル製配管などが用いられてきた。これらは、重く、また、透明性に欠けるため、施工性や操作性が不十分であった。また、これら従来の配管に高純度の空気や水を流しても配管出口においてはその純度が低下するということがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、精密製品製造などのための空気や水の輸送方法、より具体的には、高純度の空気や水を輸送しても、出口においてその純度が低下しない清浄空気や清浄水の輸送方法、及び、それに適した配管を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、脂環式構造含有重合体樹脂製の配管を用いることにより、清浄な空気や清浄な水を純度低下せずに輸送できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(7)が提供される。
(1) 脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて、水分含有量が5ppb以下であり有機物含有量が1ppb以下である空気を輸送する方法。
(2) 脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて、金属含有量が1ppb以下であり有機物含有量が10ppb以下である水を輸送する方法。
(3) 脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて、水分含有量が5ppb以下であり有機物含有量が1ppb以下である空気を輸送する方法であって、
前記脂環式構造含有重合体樹脂が、下記[1]および[2]の特性を満足することを特徴とする空気の輸送方法。
[1]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm 以下である。
[2]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下である。
(4) 脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて、金属含有量が1ppb以下であり有機物含有量10ppb以下である水を輸送する方法であって、
前記脂環式構造含有重合体樹脂が、下記[1]および[2]の特性を満足することを特徴とする水の輸送方法。
[1]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm 以下である。
[2]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下である。
【0005】
(5) 前記脂環式構造含有重合体樹脂製配管が、JIS K7210に基づいて測定したメルトインデックスが、230℃において0.1〜30g/10min、または、280℃において2〜100g/10minである脂環式構造含有重合体樹脂を、成形時の樹脂温度:220〜330℃、樹脂圧力:0.5〜100MPa、溶融部樹脂滞留時間:1時間以内の条件で成形されたものである請求項1または3記載の空気の輸送方法。
(6) 前記脂環式構造含有重合体樹脂製配管が、JIS K7210に基づいて測定したメルトインデックスが、230℃において0.1〜30g/10min、または、280℃において2〜100g/10minである脂環式構造含有重合体樹脂を、成形時の樹脂温度:220〜330℃、樹脂圧力:0.5〜100MPa、溶融部樹脂滞留時間:1時間以内の条件で成形されたものである請求項2または4記載の水の輸送方法。
(7) 水分含有量5ppb以下であり有機物含有量が1ppb以下である空気、または、金属含有量が1ppb以下であり有機物含有量が10ppb以下である水を輸送するための配管であって、
前記配管が、下記[1]および[2]の特性を満足する樹脂からなる配管。
[1]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm 以下である。
[2]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いて清浄な空気や水を輸送する方法である。
【0007】
本発明の方法で輸送できる、清浄な空気及び水は、上記精密製品の製造、生化学的操作、化学分析などに使用できるものであり、空気は、水分含有量が5ppb以下、好ましくは3ppb以下であり、かつ、有機物含有量が1ppb以下、好ましくは0.8ppb以下のものである。また、水は、金属含有量が1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下であり、かつ、有機物含有量が10ppb以下、好ましくは5ppb以下のものである。
【0008】
配管は、内径または外径の大小、断面形状、硬度、慣行などによって、配管の他、パイプ、ダクト、ホース、チューブ、管、筒など種々に呼称されるが、本発明においてはこれらを総称して配管と記す。
【0009】
本発明で用いる脂環式構造含有重合体樹脂製配管の内径は、特に限定されず任意の値を採ることができ、好ましくは0.0001〜1,000mm、より好ましくは10〜500mmであり、外径は、特に限定されず任意の値を採ることができ、好ましくは1〜2,000mm、より好ましくは10〜1,000mmで、肉厚は特に限定されないが、好ましくは0.1〜20mm、より好ましくは1〜10mmである。また、長さは、特に限定されず任意の値を採ることができるが、1本の長さは、好ましくは10〜10,000mm、より好ましくは10〜5,000mmで、必要に応じて複数本結合して用いられる。なお、以下、配管径をJIS G 3432規定の呼び径にて表記することがある。
本発明で用いる脂環式構造含有重合体樹脂製配管には、複数本の配管を結合するために使用するニップル、ソケット、チーズ、エルボ、フランジなどの結合具の管状部分も含まれる。
【0010】
本発明で用いる脂環式構造含有重合体樹脂製配管は、精密製品の製造や生化学的操作などのために、水分含有量が5ppb以下であり、有機物含有量が1ppb以下である空気(以下、Clean Dry Air、略して「CDA」と記すことがある。)の輸送、または、金属含有量が1ppb以下であり、有機物含有量が10ppb以下である水(以下、「超純水」と記すことがある。)の輸送に好適な、汚染物質をほとんど放出しない配管である。
該脂環式構造含有重合体樹脂は、その成形体が下記[1]および[2]の条件を満たす樹脂であることが好ましい。
[1]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度1ppb以下。不純物は窒素、水分など。)を流速1.2L(リッター)/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm以下である。さらに上記放出水分量は、より好ましくは20ppb以下、特に好ましくは10ppb以下、最も好ましくは5ppb以下である。放出水分量が30ppb/cmを越えると、例えば配管がシリコンウエハ基板製造工程への送気ダクトとして用いられる場合に、シリコンウエハの表面に自然酸化膜が生成して、該シリコンウエハ基板で半導体素子を製造すると絶縁不良などの不具合が発生するおそれがある。
[2]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下である。さらに上記放出有機物量は、より好ましくは100ng/g以下、特に好ましくは50ng/g以下である。放出有機物量が150ng/gを越えると、例えば配管がシリコンウエハ基板製造工程への送気ダクトとして用いられる場合に、有機物がシリコンウエハ基板上に付着することにより製造の歩留まりや信頼性が低下する可能性がある。
【0011】
樹脂成形体から放出される水分量を測定する方法について説明する。
試験片は、脂環式構造含有重合体樹脂を用いて押出成形、射出成形または圧縮成形によって成形した厚さ1mmのシート状成形体から切り出した、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cmの短冊状のものである。
【0012】
アルゴンガスの流路として、長さ200mmの呼び径1/2インチSUS316L−EP管(内面を電着塗装したステンレス管)の両末端にフランジを介して任意の長さの呼び径1/4インチSUS316L−EP管をそれぞれ連結した配管を使用する。
一方のフランジを外し、前記試験片を呼び径1/2インチ管の中に収めてフランジをボルトで結合した後、不純物濃度が1ppb以下である、温度25℃の超高純度アルゴンガスを流速1.2L/minで流して試験片を該高純度アルゴンガスと接触させ続け、流通開始から300分後に、アルゴンガス気流の下流側の呼び径1/4インチSUS316L−EP管出口のアルゴンガス中の水分量を大気圧イオン化質量分析計〔以下、「API−MS」と記す。〕で測定する。そして、測定値を試験片表面積で割った値を水分放出量(単位:ppb/cm)とする。
【0013】
次ぎに、樹脂成形体から放出される有機物量を測定する方法について説明する。試験片は、脂環式構造含有重合体樹脂を用いて押出成形、射出成形、または圧縮成形によって成形した厚さ1mmのシート状成形体から切り出した、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の短冊状のものを、重量を測定してから使用する。
試験片用容器として、長さ600mmの呼び径1/2インチSUS316L−EP管の両末端にブランクフランジを取り付けて密閉できるものを使用する。
放出有機物量の測定は、上記試験片をSUS管に収めてブランクフランジで密閉し、SUS管ごと100℃の沸騰水浴に浸し、300分間で試験片からSUS管内の空気中に放出される有機物積算放出量を熱脱着ガスクロマトグラフィー−質量分析計(以下、「TDS−GC−MS」と記す。)にて測定する。そして、測定値を試験片表面積で割った値を有機物放出量(単位:ng/g)とする。具体的な測定方法は、SUS管の壁面1箇所に内部の空気をサンプリングできるバルブを取り付けておき、そこから内部空気をサンプリングする。
【0014】
超純水中の金属含有量は、ICP質量分析装置(横河アナリティカルシステムズ社製:Agilent7500a)で測定することができる。超純水中の有機物含有量(TOC)は、全有機炭素測定装置(島津製作所製:TOC−5000)で測定することができる。
【0015】
上記CDAの調製方法は限定されず、例えば、3段直列に配置した除湿ローターにて空気中の汚染物質を吸着して系外に放出する装置〔CDASS−100、高砂熱学工業(株)〕で発生させるなどの方法がある。
また、上記超純水の調製法は限定されず、例えば、超純水製造装置を用いたり、市販の超純水を使用するなどの方法がある。
【0016】
樹脂製配管から放出される有機物は、通常、▲1▼樹脂中の未反応モノマーやオリゴマーまたはそれらの分解物、▲2▼樹脂中の残留溶剤(例えば、アセトン、キシレン、シクロヘキサンなど)、▲3▼樹脂に配合された酸化防止剤、可塑剤、滑剤などの添加剤またはそれらの分解物などである。
【0017】
本発明方法に用いる配管の原料樹脂である脂環式構造含有重合体樹脂は、水分及び有機物の放出が極めて少ないことに加えて、比重が0.90〜1.10と小さくて軽量で、かつ、透明性に優れる成形体を与えるので好ましい。
【0018】
脂環式構造含有重合体樹脂は、脂環式構造を有する繰り返し単位を重合体中に20重量%以上含有する重合体であって樹脂であるものである。
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環シクロアルケンの重合体、ビニルシクロアルカンの重合体などが挙げられる。また、脂環式構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環など)が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。脂環式構造の炭素数が上記範囲であると、機械的強度、耐熱性および成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。
脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は20〜100重量%、好ましくは30〜100重量%である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0019】
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体を付加(共)重合または開環(共)重合し、必要に応じてそれらの不飽和結合部分を水素化することによって得ることができる。
単環シクロアルケンの重合体は、単環シクロアルケン単量体または脂環式共役ジエン単量体を付加(共)重合し、必要に応じてそれらの不飽和結合部分を水素化することによって得ることができる。
ビニルシクロアルカンの重合体は、ビニルシクロアルカンの重合体;ビニルシクロアルケンの重合体またはビニルシクロアルカンもしくはビニルシクロアルケンと共重合可能な他の単量体との共重合体の不飽和結合部分の水素化物;芳香族ビニル系重合体または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体の芳香環およびオレフィン性不飽和結合部分の水素化物である。
これらの中で、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体およびその水素化物が好ましい。
【0020】
なお、本発明において、ノルボルネン系単量体、単環シクロアルケン、脂環式共役ジエンおよびビニルシクロアルケンを「脂環式構造含有単量体」と称することがある。
【0021】
脂環式構造含有単量体としては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体、トリシクロ〔4.3.0.12,5 〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5 〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.0.12,5 〕ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5 〕ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ〔4.4.0.12,5 〕ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13 .02,7 〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔8.4.0.111,14 .02,8 〕−テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、
【0022】
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、などの単環シクロアルケン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの脂環式共役ジエン;ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセンなどのビニルシクロアルケンや、ビニルシクロペンタン、2−メチル−4−ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタンなどのビニルシクロアルカンを含むビニル脂環式炭化水素などが挙げられる。
【0023】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記脂環式構造含有単量体及び芳香族ビニル化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0024】
脂環式構造含有重合体樹脂は、前記脂環式構造含有単量体または/および芳香族ビニル化合物と、脂環式構造含有単量体または芳香族ビニル化合物と共重合可能なその他の単量体とを共重合して得られるものであってもよい。
脂環式構造含有単量体または芳香族ビニル化合物と共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテンなどの鎖状オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
上記脂環式構造含有重合体樹脂は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、酸無水物基などの極性基を含有していてもよい。
【0026】
脂環式構造含有重合体樹脂の重合方法および必要に応じて行われる水素添加の方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0027】
上記ノルボルネン系単量体および単環シクロアルケンの開環重合は、開環重合触媒として、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用い、通常、溶媒中で温度−50℃〜100℃、圧力0〜5MPaで行う。
ノルボルネン系単量体および単環シクロアルケン、または、これらと上記共重合可能な単量体との付加共重合は、例えば、単量体成分を、チタン、ジルコニウム、またはバナジウム化合物と助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、通常、温度−50℃〜100℃、圧力0〜5MPaで行う。
【0028】
芳香族ビニル化合物、ビニルシクロアルケンまたはビニルシクロアルカンの重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の方法のいずれでもよいが、カチオン重合では重合体の分子量が小さくなり、ラジカル重合では分子量分布が広くなって成形体の機械的強度が低下する傾向があるので、アニオン重合が好ましい。また、懸濁重合、溶液重合、塊状重合のいずれでもよい。これらの重合体の中では芳香族ビニル化合物単独重合体、芳香族ビニル化合物単位を50重量%以上含有するランダムおよびブロック共重合体の水素化物が好ましい。水素化スチレン単独重合体は、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックのいずれでも良い。
【0029】
芳香族ビニル化合物、ビニルシクロアルケンまたはビニルシクロアルカンのアニオン重合は、具体的には有機溶媒中で、重合触媒としてn−ブチルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどの有機アルカリ金属を使用する。機械的強度や耐熱性の確保などの目的で、分子量分布の狭い重合体を得るためにジブチルエーテル、トリエチルアミンなどのルイス塩基を添加する。
上記有機溶媒は炭化水素系溶媒が好ましく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。有機溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%になる量である。
アニオン重合反応は、通常、−70〜150℃、好ましくは−50〜120℃で、通常、0.01〜20時間、好ましくは0.1〜10時間の反応である。
【0030】
脂環式共役ジエンの重合は、例えば特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に記載された公知の方法によって行うことができる。
【0031】
上記脂環式構造含有重合体樹脂の重合転化率は、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。重合転化率を高くすることにより放出有機物量のより少ない配管が得られる。また、本発明においては、脂環式構造含有重合体樹脂の重量平均分子量が、ヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで(GPC)で測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)で、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるものを用いることにより、配管に成形する際の熱分解等が抑制でき、より放出有機物量が少ない配管を得ることができる。
【0032】
上記脂環式構造含有重合体樹脂は、重合反応後に環や主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより、得られる配管の放出有機物量がより少なくなる。水素化による脂環式構造含有重合体樹脂中の全炭素−炭素結合数に対する炭素−炭素二重結合数の割合は、0.15重量%以下、好ましくは0.07重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下である。二重結合の割合を少なくする程、放出有機物量の少ない配管が得られる。
【0033】
水素化反応は、水素化する重合体の種類により、反応温度、水素分圧、反応時間及び反応溶液濃度を適宜に最適な範囲に設定する。水素化反応においては、水素化触媒を重合体100重量部あたり0.01〜50重量部用いて、反応温度25〜300℃、水素分圧0.5〜10MPaにて0.5〜20時間反応させる。水素化触媒としては、例えば、ニッケル、コバルトなどの金属化合物と有機アルミニウムや有機リチウムと組み合わせてなる均一系触媒が好ましい。必要に応じて活性炭、ケイソウ土、マグネシアなどの担体を用いる。水素化触媒の使用量は、触媒成分が水素化対象重合体100重量部当たり、通常、0.03〜50重量部となる量である。
【0034】
脂環式構造含有重合体樹脂は、反応溶液を濾過して水素添加触媒を濾別した溶液から溶媒などの揮発成分を除去することにより回収する。前記揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法などが挙げられるが、直接乾燥法を用いることにより放出有機物量のより少ない配管が得られる。
【0035】
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下で加熱して溶媒を除去する方法である。この方法は、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置などの公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択することができる。
脂環式構造含有重合体樹脂は凝固や直接乾燥した後、さらに減圧下で加熱して乾燥することにより、放出水分量及び放出有機物量のより少ない配管が得られる。乾燥の際の圧力は、通常、10kPa以下、好ましくは3kPa以下で、加熱温度は、通常、260℃以上、好ましくは280℃以上である。このような条件で乾燥することにより有機物放出量のより少ない配管が得られる。
【0036】
脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)により昇温速度10℃/分で測定する値が、50〜300℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜160℃である。
また、JIS K 7210に基づくメルトインデックスは、温度230℃で、0.1〜30g/10min、好ましくは0.1〜10g/10min、より好ましくは0.1〜5g/10min、または、温度280℃で、2〜100g/10min、好ましくは3〜50g/10min、より好ましくは5〜30g/10minである。脂環式構造含有重合体樹脂のメルトインデックスが上記範囲であると成形を比較的低温で行うことができ、また、溶融流動性が良好なので成形時に局所的な温度上昇が起きにくいので、樹脂の分解や劣化に伴う低分子量成分の生成を防ぐことができるので、放出有機物量がより少ない配管の成形に有効である。
【0037】
脂環式構造含有重合体樹脂には、ゴム質重合体を配合して使用することができる。かかるゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム、共役ジエン系ゴム、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、アクリル酸アルキルエステル系重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。
脂環式重合含有重合体樹脂にゴム質重合体を配合すると、配管の機械強度が向上し、脂環式構造含有重合体樹脂では特にその効果が大きい。ゴム質重合体の配合量は、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常、1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部である。
【0038】
また、脂環式構造含有重合体樹脂に、その性能を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を少量配合することによっても、機械強度を向上させることができる。そのような他の熱可塑性樹脂としては、例えば、α−オレフィン系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。他の熱可塑性樹脂の添加量は、本発明効果を損なわない範囲で限定されない。
【0039】
脂環式構造含有重合体樹脂には、その他必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤などの各種の配合剤を適宜配合することができる。これらの酸化防止剤は、脂環式構造含有重合体樹脂の透明性、低吸水性を低下させることなく成形時の酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できるので、配合剤として特に重要である。
【0040】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物、アクリレート系化合物、トリアジン基含有フェノール系化合物などが挙げられ、中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0041】
紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物などが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用でき、配合量は、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0042】
帯電防止剤としては、長鎖アルキルアルコール、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルスルホン酸ホスホニウム塩、脂肪酸エステル、ヒドロキシアミン系化合物、アルキルホスフェートアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジエタノールアミド;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、有機ホウ素系界面活性剤、カチオン界面活性剤、無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉などを例示することができる。
帯電防止剤の量は、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部の範囲である。
【0043】
脂環式構造含有重合体樹脂には、必要に応じて、その他の配合剤として、さらに光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、アンチブロッキング剤、蛍光増白剤、防臭剤、有機または無機充填剤、架橋剤、加硫剤などを配合することができ、これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用でき、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0044】
脂環式構造含有重合体樹脂は、上記の配合成分と混合して成形用材料として調製される前に予備乾燥することが好ましい。該予備乾燥の条件は、通常、脂環式構造含有重合体樹脂のTgより5℃〜80℃、好ましくは10℃〜50℃低い温度で、2時間以上10時間以内、好ましくは4時間以上8時間以内である。
このような条件で予備乾燥を行うと、成形時に樹脂焼けが少なく色調が無色透明で良好となり、放出有機物量もより少ないものとなる。
成形用樹脂組成物の調製方法としては、通常、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機、ロールなどの公知の混合機を用いてこれらの成分を160〜350℃で溶融混練する方法が採られる。溶融混練後は、通常は、ペレットに成形される。
【0045】
ペレットは、通常、上記成形用樹脂組成物を押出機で溶融混練した後に、直径1〜5mmのストランド状に押出し、このストランドを冷却後にペレタイザーで長さ2〜15mmにカットして作製される。
ペレット化された成形用樹脂組成物を精密基板用容器の部品の成形に用いるまでの保管は、ステンレス製の容器に入れて窒素シールしておくことが好ましい。このような保管方法によれば、成形用樹脂組成物に環境から水分や有機物が混入することが防止でき、また、成形配管には曇りや白化などがなく外観も良好となる。
【0046】
上記成形用樹脂組成物を使用して本発明に用いる配管を成形するには、脂環式構造含有重合体樹脂の熱分解温度未満の温度に加熱して溶融状態にして配管に成形する。具体的には、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、ブロー成形法などがある。これらの溶融成形を行った直後に、冷却条件としてTgより高くて(融点−20)℃以下の温度に10分〜数時間保持(アニール処理)すると、配管が割れにくくなるので好ましい。特に、アニ−ルの冷却媒体を超純水にすると、汚染性物質の洗浄を兼ねることができるので好ましい。
また、押出成形法で配管を押出した後に延伸成形法を行うことも可能である。
【0047】
また、本発明に用いる配管は、成形体が前記〔1〕および〔2〕の特性を満足する脂環式構造含有重合体樹脂層を最内層とする2〜4層などの多層配管であってもよい。多層配管は、押出機のマンドレルの壁面に沿って他の押出機から層数に見合う数の成形用樹脂組成物を導入して共押出して製造される。外層に使用することができる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0048】
脂環式構造含有重合体樹脂を用いる配管成形における加熱、加圧条件としては、成形機、樹脂の特性などにより適宜選択することができるが、温度は、好ましくは180〜330℃、より好ましくは200〜320℃で、特に好ましくは220〜300℃ある。圧力は、好ましくは0.5〜100MPa、より好ましくは1〜50MPaである。また、押出機におけるシリンダーのような溶融部での樹脂の滞留時間は、60分以下が好ましく、30分以下がより好ましく、10分以下が特に好ましい。このような条件で加熱溶融成形することにより、放出有機物量のより少ない配管が得られる。
【0049】
押出機のダイのダイリップは、溶融樹脂との剥離強度が小さい材質のものを用いると、樹脂が固着して熱分解することを抑制でき、放出有機物量が少なくなるので好ましい。このような材質としては、例えば炭化タングステンが挙げられる。また、金型やダイリップの表面に窒化チタン、窒化クロム、炭化クロムなどをコートしたり、DLC(Diamond Like Carbon)膜、BLC(Bluish Like Carbon)膜、GLC(Graphite Like Carbon)膜、FLC(Fluorine Like Carbon)膜などを形成することにより放出有機物量のより少ない配管が得られる。
【0050】
こうして成形される本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂配管の断面形状は、中空であれば特に限定されず、円、楕円、三角、四角(台形、菱形など含む)、多角、星形など種々の形状のものが可能である。
また、成形体が前記〔1〕および〔2〕の条件を満足する脂環式構造含有重合体樹脂で製造した板やシートを接着剤で貼り合わせて、あるいは、金属製またはプラスチック製の枠体やベルトで組み付けて三角、四角、多角、星形など角型の断面を有する配管を形成することも可能である。
【0051】
精密製品の製造やクリーン環境での生化学的操作などの場に、脂環式構造含有重合体樹脂配管を通してCDAや超純水を輸送するに際しては、バルブ、パッキン、ボトルなどの配管以外の輸送関連設備、部品も水分、有機物、金属などをほとんど放出しない材料、すなわち本発明配管の材料で製造されたものを使用することが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中、「部」および「%」は、特記しない限り重量基準である。
<試験及び評価方法>
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
【0053】
(2)ガラス転移温度(Tg)
重合体のTgは、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度10℃/minで測定した。単位℃。
(3)メルトインデックス
ペレットのメルトインデックスをJIS K 7210に従い、温度230℃または280℃にて測定した。単位はg/10分である。
【0054】
(4)放出水分量
樹脂ペレットをペレット製造直後から、ステンレス製の容器内で窒素シールして一週間保管した後、温風循環型乾燥機を用いて110℃で4時間予備乾燥した。このペレットを用いてTダイ式フィルム溶融押出し成形機を用いて、シリンダー滞留時間3分で、幅500mmのTダイより、厚さ1mm、幅500mm、長さ1,000mmのシートを押出成形し、このシートから幅8mm、厚さ1mm、表面積32cmの短冊状の試験片を切り出した。
長さ200mmの呼び径1/2インチSUS316L−EP管の両末端にフランジを介して長さ4,000mmの呼び径1/4インチSUS316L−EP管をそれぞれ連結した配管に、予め、400℃に加熱した高純度アルゴンガス気流を2時間通して内部の表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した。
一方のフランジのボルトを外し、前記試験片を1/2インチ管の中に収めてフランジをボルトで結合した後、不純物濃度が1ppb以下で、温度25℃の超高純度アルゴンガスを1.2L/minで流して試験片を該高純度アルゴンガスと接触させ続け、流通開始から300分後の出口側のアルゴンガス中の水分量をAPI−MS(UG−400P、日立エレクトロニクス(株)製)で、ドリフト電圧23.1V、スキャン速度256msec/massの条件にて測定した。この値を試験片から放出される水分量とした。単位はppb(水分)/cm(試験片表面積)である。
【0055】
(5)放出有機物量
両末端に付けたブランクフランジを外した長さ600mmの呼び径1/2インチSUS316L−EP管に対して上記(4)と同様にして表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した後、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm の短冊状の重量既知の試験片を入れ、両末端にブランクフランジをして配管ごと温度100℃の沸騰水に浸し、300分後、市販の活性炭チューブをSUS管壁に取り付けられたバルブに連結して内部の気体を連続的に捕集し、TDS−GC−MSで分析して有機物の積算放出量を測定した。単位はng(有機物)/g(試験片重量)である。
【0056】
(6)CDA配管の放出物試験
試験配管として内径100mm、外径110mm、長さ4,000mmの脂環式構造含有重合体樹脂製配管を成形し、温度80℃の超純水で洗浄後、老化防止剤無添加のポリエチレンフィルム袋に入れてクラス100のクリーンルーム(温度23℃、相対湿度50%)に保存し、24時間以内に試験に供した。
CDA発生装置(CDASS−100、高砂熱学工業社製)により発生させた温度23℃、水分含有量5ppb以下で、有機物含有量1ppb以下のCDAを試験配管に2m/hrで導入し、3日間経過後、によって内面に付着している水分、有機物等を除去した。次いで再び水分含有量5ppb以下、有機物含有量1ppb以下、温度23℃のCDAを該試験配管に通気し、出口から出た空気中の水分含有量および有機物含有量をそれぞれAPI−MSおよびTDS−GC−MSで測定し、各々の増加率を求めた。
また、該試験配管の出口に容量30リットルのステンレス製容器を接続し、その中に直径5インチ、厚さ0.2mmのシリコンウエハを入れた状態で上記CDAを3日間通気させた後、シリコンウエハにつき、曇り度(ヘイズ)を見ると同時に、MOSキャパッシタを作製して絶縁破壊特性を調べた。
【0057】
(7)シリコンウエハの曇り度(ヘイズ)
上記(6)CDA配管の放出物試験でCDAを配管を経て3日間受けたシリコンウエハ表面における曇りの度合いを目視にて評価した。
【0058】
(8)MOSキャパシタの絶縁破壊特性
上記(6)CDA配管の放出物試験の一環で配管で輸送されたCDAに3日間曝されたシリコンウエハを用いて、MOSキャパシタを作製し、その絶縁破壊特性を測定し、破壊確率50%の注入電荷量(後述)を求めた。注入電荷量(単位C/cm)が大きいほどMOSキャパシタの絶縁破壊特性に優れる。
〔MOSキャパシタ作製条件〕
下記に記す工程を順次行ってMOSキャパシタを作製した。
▲1▼シリコンウエハ基板準備:
6インチn型シリコンウエハを繰り抜いて直径33mmのシリコンウエハ基板を作製した。
▲2▼フィールド酸化工程:
このシリコンウエハ基板を洗浄後、アルゴン雰囲気下でフィールド酸化した。フィールド酸化条件:1000℃×1h/パイロジェニック式ウエット酸化(H:O=1:1)
フィールド酸化後、該ウエハ基板をアルゴン中で1,000℃にて1時間アニール処理を行った。
▲3▼ボロンドープ(BSGデポジション)工程:
フィールド酸化及びアニール処理後のウエハ基板を、常圧でCVD法により以下の条件でボロンドープ(シリコン中へのホウ素の添加)を行った。
ボロンドープ条件:SiH(シラン)、O(酸素)、B(ジボラン)の混合気体中、400℃、17.5分間処理した。
ボロンドープ後、該ウエハ基板を窒素中で1000℃にて30分間アニール処理を行った。
▲4▼ゲート酸化膜形成工程:
ボロンドープおよびアニール処理後のウエハ基板を、酸素中で900℃にて5分間処理して、ゲート酸化膜を形成させた。
【0059】
▲5▼容器保管試験:
ゲート酸化膜形成後のウエハ基板を前述の容器中に入れ、保管した。
保管条件:25℃で減圧状態(圧力100torr)にて48時間保管した。
▲6▼多結晶シリコン膜形成(ポリシリコンデポジション)工程:
容器中に保管したウエハ基板を用い、以下の条件でポリシリコンデポジションを行った。
ポリシリコンデポジション条件:SiH(シラン)、PH(ホスフィン)混合気体中、600℃、20分間処理した。
ポリシリコンデポジション後、該ウエハ基板を窒素中で850℃にて30分間アニール処理を行った。
▲7▼電極層(アルミ)蒸着工程:
ポリシリコンデポジションおよびアニール処理後のウエハ基板にアルミ蒸着処理を行った。
▲8▼欠陥部分水素化(水素シンタリング)工程:
アルミ蒸着処理したウエハ基板を、400℃で30分水素シンタリングした。
尚、上記工程は▲5▼を除き公知のMOSキャパシタ製造方法である。上記工程の間に洗浄、リソグラフィー及びエッチングが含まれる。
【0060】
〔絶縁破壊特性測定法〕
上記手法で作製したMOSキャパシタを、デシケータ内に25℃、100torrで48時間保管した。次いで該MOSキャパシタに一定電流ストレスを下記条件で加えた(電流ストレスを加える時間を段階的に変化させた)、電流ストレスを加えた時間から注入した電荷量を求め、その注入電荷量に対する破壊確率をプロットして検量線を作成し、破壊確率50%となる注入電荷量を求めた。
条件
ゲート面積:1×10−4cm(0.1mm×0.1mm)
ストレス条件:ゲート電極から基板側へ0.1A/cmで電子を注入
サンプルの酸化膜厚:5.0nm
測定系
測定器:Vector Semiconductor社製、MX−1100A
計測部:LCRメーター、HP4284A(20Hz−1MHz)
電源部:スイッチングコントローラー、HP4156A
コンピューター:HP382
【0061】
(9)塵埃付着量
上記(6)CDA配管の放出物試験において容器内に3日間置いた後のシリコンウエハ表面における径0.2μm以上の異物数をウエハ表面検査装置(TOPCON製WM−3)にて測定した(単位:個/5インチウエハ)。
評価は、径0.2μm以上の粒子を見て、下記により表記した。
1:非常に少ない、2:ある程度の数が見られる、3:多数見られる
【0062】
(10)超純水配管の放出物試験
試験配管として、内径100mm、外径110mm、長さ4,000mmの脂環式構造含有重合体樹脂製配管を成形し、温度80℃の超純水で洗浄後、老化防止剤無添加のポリエチレンフィルム袋に入れてクラス100のクリーンルーム(温度23℃、相対湿度50%)に保存し、24時間以内に試験に供した。
超純水製造装置により製造された金属含有量1ppb以下、有機物含有量10ppb以下、温度23℃の水を試験配管に2m/hrで導入し、出口から出た水中の金属含有量および有機物含有量をそれぞれ全有機炭素測定装置(TOC−5000、島津製作所製)及びICP質量分析装置(Agilent7500a、横河アナリティカルシステムズ社製)で測定し、各々の増加率を求めた。
【0063】
[脂環式構造含有重合体樹脂製造例1(脂環式構造含有重合体樹脂Aの製造)]
室温、窒素雰囲気の反応器に、脱水したシクロヘキサン250部を入れ、さらに1−ヘキセン0.84部、ジブチルエ−テル0.06部及びトリイソブチルアルミニウム0.11部を入れて混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−デカ−3−エン(以下DCPと略す)38部、テトラシクロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−3−エン(以下TCDと略す。)35部およびテトラシクロ[7.4.110,13 .01,9 .02,7 ]−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(以下MTFと略す)27部及び六塩化タングステンの0.7%トルエン溶液15部を2時間かけて連続的に添加して重合した。重合転化率は100%であった。
得られた重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)5部およびシクロヘキサン100部を加え、150℃、水素圧4.4MPaで8時間反応させた。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)を行い、水素化触媒を除去して無色透明な溶液を得た。
上記溶液に、酸化防止剤ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバガイギー社製)を、水素化した重合体100部に対し0.05部となる量を添加した。その後、該溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径3μm、ニチダイ社製)、ゼータープラスフィルター30H(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)にて順次濾過し、さらに別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した。
次いで、上記溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及び有機物ガス発生の原因となる低分子量成分を、円筒形濃縮乾燥機(日立製作所製)を用いて除去して、DCP−TCD−MTF開環重合体水素化物(脂環式構造含有重合体樹脂A)を回収した。溶媒及び低分子量成分の除去は、2段階に分けて行った。濃縮の条件は、第1ステップ:温度260℃、圧力13.4kPa(100Torr)、第2ステップ:温度270℃、圧力0.7kPa(5Torr)とした。溶媒及び低分子量成分の除去された開環重合体水素化物を、クラス1000のクリーンルーム内で、濃縮機に直結したダイから溶融状態で押し出し、水冷した後、ペレタイザー(OSP−2、長田製作所製)で切断し、ペレット状で回収した。得られた脂環式構造含有重合体樹脂AのMwは31,000、全炭素−炭素結合数に対する二重結合数の割合は0.02%で、重合体中のノルボルナン環構造を有さない繰り返し単位の含有率は89%で、ガラス転移温度は101℃であった。メルトインデックスは、230℃で4.2g/10min、280℃で17.8g/10minであった。
【0064】
[脂環式構造含有重合体樹脂製造例2(脂環式構造含有重合体樹脂Bの製造)]
脂環式構造含有重合体樹脂製造例1において、DCP38部、TCD35部およびMTF27部の代りにDCP85部および8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン(以下ETDと略す。)15部を用い、溶媒と低分子量成分の除去(濃縮)の第1ステップの温度を280℃、第2ステップの温度を280℃とした以外は脂環式構造含有重合体樹脂製造例1と同様に行い、DCP−ETD開環重合体水素添加物(脂環式構造含有重合体樹脂B)のペレットを得た。得られた脂環式構造含有重合体樹脂BのMwは34,000、全炭素−炭素結合数に対する二重結合数の割合は0.02%で、重合体中のノルボルナン環構造を有さない繰り返し単位の含有率は67%で、ガラス転移温度は140℃であった。メルトインデックスは、230℃で12.1g/10min、280℃で42.5g/10minであった。
【0065】
[脂環式構造含有重合体樹脂製造例3(脂環式構造含有重合体樹脂Cの製造)]
十分に乾燥し窒素置換した、撹拌装置を備えたステンレス鋼製重合器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレン37.5部およびジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。重合反応を1時間行った後、反応溶液にスチレン8部とイソプレン12部とからなる混合モノマー20部を添加してさらに1時間重合し、スチレン37.5部をさらに添加して1時間反応した後、イソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
こうして、スチレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、「St」と略記す。)、およびスチレンとイソプレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、「St/Ip」と略記す。)を有するSt−(St/Ip)−Stの三元ブロック共重合体の溶液を得た。
次いで、上記重合反応溶液400部を、撹拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ坦持型ニッケル触媒(E22U、日揮化学工業社製)10部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を撹拌しながら水素を供給し、温度を160℃に維持しつつ、圧力4.5MPaで8時間反応することにより、芳香族環も含めて水素化を行った。
水素化触媒の除去工程以降は脂環式構造含有重合体樹脂製造例1と同様にして、St−(St/Ip)−Stブロック共重合体水素添加物(脂環式構造含有重合体樹脂C)のペレットを得た。
得られた脂環式構造含有重合体樹脂CのMwは84,900、Mw/Mnは1.20、全炭素−炭素結合に対する二重結合数の割合は0.14%、ガラス転移温度は127℃、メルトインデックスは230℃で7.2g/10min、280℃で11.3g/10minであった。
【0066】
〔実施例1〕
脂環式構造含有重合体樹脂Aのペレットをペレット製造直後から、ステンレス製の容器内で窒素シールして5日間保管した後、温風循環型乾燥機を用いて110℃で4時間予備乾燥した。このペレットを用いて東芝機械(株)製の二軸押出機にて樹脂の溶融温度280℃、シリンダー滞留時間3分で押出成形して、内径100mm、外径110mm、長さ4,000mmの断面円形の配管を得た。
同配管を用いて測定した放出水分量、放出有機物量、CDA配管放出物試験、シリコンウエハ曇り度、キャパシタの50%破壊注入電荷量、塵埃付着量及び超純水配管放出物試験の評価結果を表1に示す。
【0067】
〔実施例2〕
実施例1において、ペレットをポリエチレン袋内で窒素シールせずに保管してから使用した他は実施例1と同様に行った。放出水分量、放出有機物量、CDA配管放出物試験、シリコンウエハ曇り度、キャパシタの50%破壊注入電荷量、塵埃付着量及び超純水配管放出物試験の評価結果を表1に示す。
【0068】
〔実施例3〕
実施例1において、樹脂として脂環式構造含有重合体樹脂Bを用い、予備乾燥温度を90℃とし、押出成形での溶融樹脂温度を300℃とした他は実施例1と同様に行った。放出水分量、放出有機物量、CDA配管放出物試験、シリコンウエハ曇り度、キャパシタの50%破壊注入電荷量、塵埃付着量及び超純水配管放出物試験の評価結果を表1に示す。
【0069】
〔実施例4〕
実施例1において、樹脂として脂環式構造含有重合体樹脂Cを用いた他は実施例1と同様に行った。実施例1同様に行った放出水分量、放出有機物量、CDA配管放出物試験、シリコンウエハ曇り度、キャパシタの50%破壊注入電荷量、塵埃付着量及び超純水配管放出物試験の評価結果を表1に示す。
【0070】
〔比較例1〕
試験配管として、ポリカーボネート樹脂(PC)を用いて二軸押出機で、内径100mm、外形110mm、長さ4,000mmの配管を成形し、温度80℃の超純水で洗浄後、老化防止剤無添加のポリエチレンフィルム袋に入れてクラス100のクリーンルーム(温度23℃、相対湿度50%)に保存し、24時間以内に、実施例1と同様に行った放出水分量、放出有機物量、CDA配管放出物試験、シリコンウエハ曇り度、キャパシタの50%破壊注入電荷量及び塵埃付着量試験並びに超純水放出物試験に供した。結果を表1に記す。
【0071】
【表1】
Figure 0004393035
【0072】
表1が示すように、脂環式構造含有重合体樹脂成形体は水分および有機物をほとんど放出しないので、脂環式構造含有重合体樹脂製配管を用いてCDAを輸送した後のCDA中の水分含有量および有機物含有量の増加率と、超純水を輸送した後の金属含有量および有機物含有量の増加率は、共にいずれも小さかった。さらに、CDAを輸送するこれらの配管の出口に接続した容器中に置いたシリコンウエハは、曇り度は小さく、ほとんど塵埃は付着せず、キャパシタは絶縁破壊特性が極めて良好であった。また、これらの配管に超純水を通しても金属および有機物をほとんど放出しなかった(実施例1〜4)。
これに対し、成形体から水分および有機物を多く放出するPC製配管を用いてCDAを輸送した場合は、CDAに曝されたシリコンウエハの曇り度が高く、50%破壊電荷注入量が少なかった。また、PC製配管で超純水を輸送すると、配管から超純水中に金属および有機物が多く放出された。(比較例1)。
【0073】
【発明の効果】
本発明方法によれば、精密製品製造、生化学的操作、化学分析などのために高純度の空気や水を輸送したパイプ出口においてそれらの純度が低下せず、精密製品の製造における歩留まりが向上し、生化学的操作や化学分析においてデータ精度の低下が防止される。

Claims (3)

  1. 脂環式構造含有重合体樹脂によって形成された配管であって、前記脂環式構造含有重合体は、DCP−TCD−MTF開環重合体水素化物によって形成され、当該DCP−TCD−MTF開環重合体水素化物は、下記[1]〜[5]の特性、即ち
    [1]重合転化率99%以上、
    [2]全炭素−炭素結合数に対する炭素−炭素二重結合数の割合が0.15重量%以下、
    [3]JIS K7210に基いて測定したメルトインデックスが、230℃において0.1〜30g/10min、または、280℃において2〜100g/10min、
    [4]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm2 以下、
    [5]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下、
    を満足し、特に、前記重合転化率が100%、前記二重結合数の割合が0.02%、及び前記メルトインデックスが230℃で4.2g/10min、280℃で17.8g/10minであることを特徴とする配管。
  2. 脂環式構造含有重合体樹脂によって形成された配管であって、前記脂環式構造含有重合体は、DCP−ETD開環重合体水素化物によって形成され、当該DCP−ETD開環重合体水素化物は、下記[1]〜[5]の特性、即ち、
    [1]重合転化率99%以上、
    [2]全炭素−炭素結合数に対する炭素−炭素二重結合数の割合が0.15重量%以下、
    [3]JIS K7210に基いて測定したメルトインデックスが、230℃において0.1〜30g/10min、または、280℃において2〜100g/10min、
    [4]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm2 以下、
    [5]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下、
    を満足し、特に、前記二重結合数の割合が0.02%及びメルトインデックスが230℃で12.1g/10min、280℃で42.5g/10minである脂環式構造含有重合体樹脂によって形成されたことを特徴とする配管。
  3. 脂環式構造含有重合体樹脂によって形成された配管であって、前記脂環式構造含有重合体は、St−(St/Ip)−Stブロック共重合体水素添加物によって形成され、当該St−(St/Ip)−Stブロック共重合体水素添加物は、下記[1]〜[5]の特性、即ち
    [1]重合転化率99%以上、
    [2]全炭素−炭素結合数に対する炭素−炭素二重結合数の割合が0.15重量%以下、
    [3]JIS K7210に基いて測定したメルトインデックスが、230℃において0.1〜30g/10min、または、280℃において2〜100g/10min、
    [4]呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積32cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、25℃において超高純度アルゴンガス(不純物濃度:1ppb以下)を流速1.2L/minで流通したときに、流通開始から300分後の前記アルゴンガス中の水分量を成形体の表面積で割った値が30ppb/cm2 以下、
    [5]長さ600mm、呼び径1/2インチのSUS−EP管内に、幅8mm、厚さ1mm、表面積100cm2 の脂環式構造含有重合体樹脂成形体を置き、密閉して100℃の状態で300分放置した後の前記SUS−EP管内の空気中の有機物の増加量を成形体の重量で割った値が150ng/g以下、
    を満足し、特に、前記二重結合数の割合が0.14%、メルトインデックスが230℃で7.2g/10min、280℃で11.3g/10minであることを特徴とする配管。
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