以下、本発明の実施の形態に係る埋設部材、廊下構造およびナビゲーションシステムを、図面に基づいて説明する。なお、埋設部材は、タイル状に形成されたタイル状埋設部材として説明する。また、廊下構造は、このタイル状埋設部材を複数個、地下道の床面に埋設する場合を例として説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るタイル状埋設部材1を示す斜視図である。図2は、図1のタイル状埋設部材1の分解斜視図である。
タイル状埋設部材1は、ハウジング11を有する。このハウジング11は、たとえば鋼板などの剛性部材を薄い略立方体形状に形成したものである。また、ハウジング11の上面には開口部12が形成され、この開口部12からハウジング11の内部にかけて略立方体形状の空洞13が形成される。
ハウジング11の開口部12には、カバー部材16が配設される。カバー部材16は、ガラス、ポリカーボネートなどの透明な材料あるいは半透明な材料により形成される。カバー部材16は、ハウジング11の開口部12の略全体を塞ぐ大きさの立方体形状に形成される。なお、このカバー部材16とハウジング11との間に隙間が形成される場合には、この隙間をゴムなどの弾性部材や接着剤で封止するとよい。
カバー部材16には、開口部12に配設した取り付け姿勢において、その上面中央部に上面凹部17が形成されている。上面凹部17は、略立方体形状に形成され、その底面が平面に形成される。なお、この上面凹部17の底面を機械加工などによって形成した場合には、その加工に使用した工具による凹凸が形成されることがある。このような凹凸は、加工後に、透明あるいは半透明な材料で平らにコーティングすることで目立たなくすることができる。
カバー部材16の上面の周縁部は、斜めにカットされる。カバー部材16は、この斜めにカットされた部位がハウジング11の開口部12から突出した状態で、ハウジング11の開口部12に配設される。
カバー部材16の裏面中央部には、略立方体形状の裏面凹部18が形成され、上面凹部17の底面と対向する面が平面に形成される。裏面凹部18には、シート材21が配設される。シート材21は、たとえば、耐水紙(耐水耐光紙)や、プラスチックなどを薄いシート状に形成したものである。
図3は、図2中のシート材21の表面を示す正面図である。シート材21の表面には、識別番号22と、二次元コードパターン23と、タイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24と、が形成される。これらの文字および図形は、たとえばコンピュータにおいて作図して、レーザプリンタを使用して耐水紙に印刷すればよい。
シート材21の表面に形成される識別番号22は、各タイル状埋設部材1を他のタイル状埋設部材1から区別するための番号であり、各タイル状埋設部材1に固有の番号となる。
シート材21の表面に形成される二次元コードパターン23は、タイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列が、QR(Quick Response)コードによりコード化されたものである。二次元コードには、たとえば、Code49、PDF417などのスタック型の二次元コードと、Veriコード、データ・マトリックス、QRコード、マイクロQRコードなどのマトリックス型の二次元コードとがある。そして、QRコードは、パターンの30%が汚れていたり欠損していたりしたとしても、コード化されているデータを復元(デコード)することができる特徴がある。なお、この二次元コードパターン23をシート材21の表面に形成する場合、二次元コードパターン23を構成する2つの色(一般的には白色と黒色)の中の一方の色を印刷により形成するとともに、その他方の色をシート材21の色としてもよい。これにより、単色のレーザプリンタにて二次元コードパターン23を形成することができる。
シート材21の表面に形成されるタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24は、人が読み取り可能な数字あるいは文字で構成される。この緯度経度の文字列24の位置情報は、二次元コードパターン23にコード化されている先の緯度経度の文字列と一致する。
カバー部材16の裏面凹部18にはさらに、密閉部材26が配設される。密閉部材26は、ガラス、ポリカーボネートなどの透明な材料あるいは半透明な材料により形成しても、不透明な材料で形成してもよい。この密閉部材26をカバー部材16の裏面凹部18に配設することで、裏面凹部18内に配設されるシート材21が外気に触れないようになる。これにより、シート材21や、そのシート材21に形成した二次元コードパターン23などの耐用年数が向上する。なお、密閉部材26とカバー部材16との間に隙間が形成される場合には、その隙間を接着剤などで封止するとよい。
カバー部材16の下には、プリント基板31が配設される。プリント基板31は、カバー部材16と略同じあるいはそれよりも一回り小さい大きさに形成される。図4は、図2中のプリント基板31を示す斜視図である。
プリント基板31の表面中央部には、発電部材としての圧電素子32が実装される。圧電素子32は、圧力が加えられることで変形し、この変形によって電界を発生する。そして、圧電素子32に2つの配線を接続し、その2つの配線の間の部位を変形させることで、2つの配線の間に電圧を発生させることができる。圧電素子32としては、たとえば、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3などの単結晶材料や、ZnO、AlNなどの薄膜材料、Pb(Zr,Ti)O3系などの焼結体を分極処理した圧電セラミックス材料、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの圧電高分子膜材料などが使用できる。
プリント基板31の表面周縁部には、そのプリント基板31の外周に沿って複数の発光ダイオード33が配列されている。発光ダイオード33には、たとえば、赤色、青色、緑色、白色、多色あるいはフルカラーに光るものがある。この実施の形態1では、複数の発光ダイオード33の発光色は、白色に統一している。
プリント基板31の下の中央部には、スペーサ36が配設される。スペーサ36は、たとえば鋼板などを立方体形状に形成したものである。これにより、ハウジング11の空洞13内には、スペーサ36、プリント基板31、圧電素子32およびカバー部材16がその順番にて積み重ねられた状態となる。また、このスペーサ36の高さを調整することで、ハウジング11からのカバー部材16の突出量を調整することができる。
スペーサ36の周囲には、複数個の蓄電部材37が配設される。蓄電部材37は、電気を蓄えるものであり、たとえば、リチウムイオン電池などの固体二次電池がある。蓄電部材37の厚さは、スペーサ36の厚さよりも薄い。
図5は、図1のタイル状埋設部材1に組み込まれる電気回路を示す回路図である。
蓄電部材37のプラス端子は、プラス配線41に接続される。蓄電部材37のマイナス端子は、マイナス配線42に接続される。プラス配線41には、逆流防止ダイオード43のカソードが接続される。圧電素子32には、逆流防止ダイオード43のアノードとマイナス配線42とが離間して接続される。
また、プラス配線41は、送信回路としてのFM(Frequency Modulation)波送信回路44と、複数の発光ダイオード33のアノードと、に接続される。マイナス配線42は、FM波送信回路44と、発光制御回路45と、に接続される。
FM波送信回路44は、プラス配線41およびマイナス配線42を介して供給される電力に基づいて動作する。そして、FM波送信回路44は、二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24と同じビット列を、所定の周波数の搬送波にて周波数変調して出力する。この周波数変調されたビット列は、指向性を有するアンテナから無線送信される。なお、このアンテナの指向方向は、図1においてタイル状埋設部材1の上方となるように設定するとよい。
発光制御回路45は、受光ダイオード51と、基準電圧抵抗素子52と、コンパレータ53と、駆動トランジスタ54と、を有する。受光ダイオード51は、プリント基板31の表面に実装される。
コンパレータ53は、反転入力端子および非反転入力端子を有し、反転入力端子の電位よりも非反転入力端子の電位が高くなるとハイレベルを出力し、反転入力端子の電位よりも非反転入力端子の電位が低くなるとローレベルを出力する。
反転入力端子には、受光ダイオード51のアノードが接続される。受光ダイオード51のカソードは、マイナス配線42に接続される。非反転入力端子には、基準電圧抵抗素子52の一端が接続される。基準電圧抵抗素子52の他端は、マイナス配線42に接続される。
駆動トランジスタ54は、ベースの電位がエミッタの電位よりも高くなるとオン状態になる。オン状態にある駆動トランジスタ54では、コレクタからエミッタへ電流が流れる。また、駆動トランジスタ54は、ベースの電位がエミッタの電位と同じあるいはそれよりも低くなるとオフ状態になる。オフ状態にある駆動トランジスタ54では、コレクタからエミッタへ電流が流れなくなる。駆動トランジスタ54のベースは、コンパレータ53の出力が接続される。駆動トランジスタ54のエミッタは、マイナス配線42に接続される。駆動トランジスタ54のコレクタは、複数の発光ダイオード33のカソードに接続される。
図6は、図1のタイル状埋設部材1の埋設状態の一例を示す説明図である。タイル状埋設部材1は、そのハウジング11の上面が、地下道や建物の床面と均一な面となるように、床面に埋設される。この状態では、カバー部材16の上部は、床面から突出する。しかしながら、カバー部材16の周縁部は斜めにカットされているので、歩行者は、カバー部材16につまずき難い。なお、タイル状埋設部材1の二次元コードパターン23には、この埋設場所の位置を示す緯度経度の文字列24がコード化される。
そして、このように床面に埋設されたタイル状埋設部材1の上を歩行者が通過し、その歩行者がカバー部材16を踏むと、カバー部材16に加えられた体重によって圧電素子32に圧力が加えられて変形して、圧電素子32に電界が発生する。この電界によって圧電素子32に発生する電圧は、逆流防止ダイオード43を介してプラス配線41およびマイナス配線42に印加される。これにより、蓄電部材37は充電される。
蓄電部材37に電力が蓄電されると、その電力によってFM波送信回路44は、動作を開始する。FM波送信回路44は、二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24と同じビット列を周波数変調し、アンテナに無線送信させる。
プリント基板31の表面に実装される受光ダイオード51は、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が明るい場合、その外界の光を受光する。これにより、受光ダイオード51には、電流が流れ、電圧が発生する。受光ダイオード51のアノードの電位は、基準電圧抵抗素子52の一端の電位よりも高くなり、コンパレータ53は、ローレベルを出力し、駆動トランジスタ54は、オフ状態になる。その結果、プラス配線41と駆動トランジスタ54のコレクタとの間に接続された複数の発光ダイオード33には電流が流れないので、これら複数の発光ダイオード33は、消灯状態となる。
逆に、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が暗くなると、受光ダイオード51には、電圧が発生しなくなる。受光ダイオード51のアノードの電位は、基準電圧抵抗素子52の一端の電位よりも低くなり、コンパレータ53は、ハイレベルを出力し、駆動トランジスタ54は、オン状態になる。その結果、プラス配線41と駆動トランジスタ54のコレクタとの間に接続された複数の発光ダイオード33に電流が流れ、これら複数の発光ダイオード33は、発光状態となる。
次に、図1に示すタイル状埋設部材1を用いたナビゲーションシステムについて説明する。このナビゲーションシステムは、複数のタイル状埋設部材1と、情報提供システム2と、で構成される。
図7は、ナビゲーションシステムの複数のタイル状埋設部材1が埋設される地下街である。この地下街では、複数の地下道(廊下)が交差している。複数のタイル状埋設部材1は、各地下道の道筋に沿って二次元的に配列されるとともに、地下街の各店舗の前に設置される。すなわち、複数のタイル状埋設部材1は、地下街の廊下に二次元的に配列される。各タイル状埋設部材1の二次元コードパターン23には、それぞれの埋設位置の位置情報を示す緯度経度の文字列24がコード化される。
なお、複数のタイル状埋設部材1には、互いに異なる識別番号22が割り当てられている。この識別番号22によって各タイル状埋設部材1をその他のタイル状埋設部材1から区別することができる。タイル状埋設部材1の埋設作業を行う地下街の工事担当者は、この識別番号22にもとづいて各タイル状埋設部材1をそれぞれの指定場所へ適切に埋設することができる。
図8は、ナビゲーションシステムの情報提供システム2を示すシステム構成図である。情報提供システム2は、携帯電話端末などの携帯端末61と、基地局62と、ネットワークとしての通信網63と、サーバ64と、を有する。
通信網63は、たとえば、ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換網、インターネット網などで構成される。これらの交換網では、通信データをパケット化して伝送する。
サーバ64は、通信網63に接続され、通信網63から自分宛てのパケットを受信する。そして、サーバ64は、受信したパケットに含まれる通信データを解読し、たとえばダウンロード要求を示す通信データを受信した場合には、その要求に係るナビゲーションプログラムおよび地図データをパケット化して応答送信する。このパケットには、先のダウンロード要求の送信元が指定される。
基地局62は、通信網63に接続されるとともに、その基地局62の無線通信ゾーン内の携帯端末61と無線通信による通信データの送受信を行う。具体的には、基地局62は、携帯端末61から受信した通信データをパケット化して通信網63へ送信する。また、基地局62は、通信網63から自分宛てのパケットを受信してそのパケットに含まれる通信データを携帯端末61へ無線送信する。
図9は、図8中の携帯端末61のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯端末61は、中央処理装置(CPU:Central Processiog Unit)71と、RAM(Random Access Memory)72と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)73と、無線通信デバイス74と、I/Oポート75と、これらを接続するシステムバス76と、を有する。また、I/Oポート75には、キー入力デバイス77と、液晶モニタなどの表示デバイス78と、FM受信デバイス79と、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどの撮像デバイス80と、が接続されている。
図10は、図9中のEEPROM73に記憶されるプログラムおよびデータを示す説明図である。EEPROM73には、組込オペレーティングシステムプログラム群(以下、組込OSプログラム群と記載する。)と、アプリケーションプログラム群(以下、APプログラム群と記載する。)と、データ群と、が記憶されている。組込OSプログラム群には、プログラム実行制御プログラム81と、無線通信制御プログラム82と、が含まれる。APプログラム群には、ダウンロードプログラム83と、ナビゲーションプログラム84と、が含まれる。データ群には、地図データ85が含まれる。
次に、図7に示す地下街においてナビゲーションを行うためのナビゲーションシステムの動作について説明する。
携帯端末61を用いて地下街のある店舗までの経路を案内して欲しいユーザは、たとえば図7の地下街への入口(A地点)において、携帯端末61のキー入力デバイス77を操作する。
携帯端末61の中央処理装置71は、携帯端末61の電源が投入されると、EEPROM73からRAM72へ組込OSプログラム群のプログラム実行制御プログラム81や無線通信制御プログラム82を読み込んで実行する。これにより、プログラム実行制御部および無線通信制御部が実現される。プログラム実行制御部は、中央処理装置71でのプログラムの実行を管理する。無線通信制御部は、中央処理装置71のプログラムの実行によって生成される通信データを無線通信デバイス74に送信させる。また、無線通信デバイス74が受信した通信データを実行中のプログラムへ受け渡す。
そして、先の案内要求操作に応じてキー入力デバイス77が経路案内要求を出力すると、この経路案内要求は、I/Oポート75およびシステムバス76を介して中央処理装置71へ入力される。中央処理装置71において実行されているプログラム実行制御部は、その経路案内要求にかかるナビゲーションプログラム84および地図データ85がEEPROM73に記憶されているか否かを確認する。そして、これらがEEPROM73に記憶されていない場合には、プログラム実行制御部は、ダウンロードプログラム83をEEPROM73からRAM72へ読み込み、このダウンロードプログラム83を中央処理装置71に実行させる。これにより、ダウンロード部が実現される。引き続き、プログラム実行制御部は、経路案内要求をダウンロード部へ受け渡す。
ダウンロード部は、先の経路案内要求に基づいて、ナビゲーションプログラム84および地図データ85のダウンロード要求を示す通信データを生成する。この通信データの送信先は、サーバ64が指定される。この通信データは、プログラム間通信によって無線通信制御部に受け渡される。無線通信制御部は、このダウンロード要求の通信データを、システムバス76を介して無線通信デバイス74へ出力する。無線通信デバイス74は、この通信データを無線送信する。
なお、地下街への入口などに、サーバ64のURL(Uniform Resource Locator)などをコード化した二次元コードパターンを配設して、これを携帯端末61に読み取らせることで、ダウンロード部から、ナビゲーションプログラム84および地図データ85のダウンロード要求を示す通信データを生成させるようにしてもよい。また、この二次元コードパターンに、その入口の位置情報を示す緯度経度の文字列を併せてコード化してもよい。これにより、汎用的な二次元コードパターンの読取プログラムでこの二次元コードパターンを読み取ることで、サーバ64のURLや、現在の位置情報を携帯端末61へ入力することができる。
無線通信デバイス74によって無線送信された通信データは、基地局62に受信される。基地局62は、その通信データに基づいてその送信先としてサーバ64を指定し、この通信データを含むパケットを通信網63へ送出する。通信網63に伝送されているこのパケットは、サーバ64に受信される。そして、サーバ64は、このパケットに含まれる通信データを解読し、ダウンロード要求に係るナビゲーションプログラムおよび地図データをパケット化して応答送信する。この地図データは、地下街の全体の地図データである。これにより、ユーザは、地下街の入口(図7の地点A)において、地下街全体の地図の地図データを一括して入手することができる。
なお、サーバ64において地図データが複数存在する場合には、サーバ64は、携帯端末61が無線通信をしている基地局62の位置情報や、携帯端末61がGPSから受信している位置情報を通信データとして取得し、その取得した位置情報に基づいて、たとえばその位置情報に示される位置が含まれている地図データを1つ選択すればよい。
通信網63へ応答送信されたパケットは、基地局62に受信される。基地局62は、この受信したパケットに含まれるサーバ64からの通信データを無線送信する。携帯端末61の無線通信デバイス74は、この通信データを受信し、システムバス76を介して中央処理装置71へ出力する。中央処理装置71では、この通信データは無線通信制御部を介してダウンロード部へ受け渡される。そして、ダウンロード部は、この通信データに含まれるナビゲーションプログラム84および地図データ85をEEPROM73に記憶させる。
ダウンロード部によるナビゲーションプログラム84および地図データ85のダウンロード処理が完了すると、プログラム実行制御部は、このナビゲーションプログラム84をEEPROM73からRAM72へ読み込み、中央処理装置71に実行させる。これにより、デコード手段としてのナビゲーション部が実現される。
なお、EEPROM73に予めナビゲーションプログラム84および地図データ85が記憶されている場合には、プログラム実行制御部は、先のキー入力デバイス77から経路案内要求が出力された際に、このナビゲーションプログラム84をEEPROM73からRAM72へ読み込み、中央処理装置71に実行させる。これにより、ナビゲーション部が実現される。
図11は、ナビゲーション部による制御フローを示すフローチャートである。ナビゲーション部は、まず、目的地の入力待ち状態となる(ST1)。
そして、キー入力デバイス77から目的地が入力されると、ナビゲーション部は、EEPROM73から地図データ85を読みこみ、現在位置から目的地までの経路を探索し、その地図データ85の地図に目的地および探索経路とを明示した表示データを生成する(ST2)。この表示データは、システムバス76およびI/Oポート75を介して表示デバイス78に入力される。表示デバイス78には、先の目的地および探索経路とが明示された地図が表示される。図12は、図7の地下街への入口(A地点)における経路案内の要求に応じて、表示デバイス78に表示される表示画面の一例である。図12の表示画面では、目的地が「×」で示され、探索経路が点線で示されている。
目的地を含む地図を表示デバイス78に表示させると、ナビゲーション部は、キー入力待ち状態になる(ST3)。
そして、このキー入力待ち状態においてキー入力デバイス77が操作され、キー入力デバイス77から二次元コードの読取指示が出力される(ST4)と、ナビゲーション部は、二次元コードの読取処理を行う。具体的には、ナビゲーション部は、まず、撮像デバイス80が順次撮像する各撮像画像について二次元コードパターン23の抽出処理を開始する。そして、ある撮像画像から二次元コードパターン23を抽出することができたら、ナビゲーション部は、その抽出処理を止めて、抽出した二次元コードパターン23のデコード処理を行う。これにより、二次元コードパターン23にコード化されていた、タイル状埋設部材1の埋設位置の位置情報を示す緯度経度の文字列のデータが携帯端末61において生成される(ST5)。
次に、ナビゲーション部は、表示データに、最後に確認した地点(たとえばA地点)から生成されたその緯度経度の文字列24に示される地点までの通過経路を実線で追加する(ST6)。図13は、図7の地下街のB地点において二次元コードの読取指示操作に応じて、表示デバイス78に表示される表示画面の一例である。図13の表示画面では、A地点からB地点までの経路は、点線で示される案内経路から、実線で示される通過経路へ変更されている。なお、生成された緯度経度の文字列24に示される地点が、表示デバイス78に表示される地図に含まれなくなった場合には、ナビゲーション部は、その新たな地点を含むように表示デバイス78に表示される地図を切り換える。
以上の二次元コードパターン23に基づく表示データの更新処理が完了すると、ナビゲーション部は、再び、キー入力待ち状態になる(ST3)。
また、このキー入力待ち状態においてキー入力デバイス77が操作され、キー入力デバイス77からFM波の受信指示が出力される(ST7)と、ナビゲーション部は、FM受信デバイス79の受信周波数をFM波送信回路44の搬送波周波数に設定する受信周波数設定情報を、システムバス76およびI/Oポート75を介してFM受信デバイス79へ出力する。これにより、FM受信デバイス79は、この受信周波数設定情報にて指定された周波数の受信状態になる。
そして、FM受信デバイス79は、FM波送信回路44が送信した電波を受信すると、この電波から搬送波成分を取り除いてビット列を生成し、出力する。このビット列は、I/Oポート75およびシステムバス76を介して中央処理装置71に入力される。これにより、ナビゲーション部は、FM波送信回路44が送信した二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列(=文字列24)を得ることができる(ST8)。
次に、ナビゲーション部は、表示データに、最後に確認した地点(たとえばA地点)から生成されたその緯度経度の文字列に示される地点までの通過経路を実線で追加する(ST9)。なお、生成された緯度経度の文字列に示される地点が、表示デバイス78に表示される地図に含まれなくなった場合には、ナビゲーション部は、その新たな地点を含むように表示デバイス78に表示される地図を切り換える。
以上のFM波送信回路44が送信したビット列に基づく表示データの更新処理が完了すると、ナビゲーション部は、再び、キー入力待ち状態になる(ST3)。
さらに、このキー入力待ち状態においてキー入力デバイス77が操作され、キー入力デバイス77から手入力の指示が出力される(ST10)と、ナビゲーション部は、手入力のための表示データを出力する。この表示データは、システムバス76およびI/Oポート75を介して表示デバイス78に入力される。表示デバイス78には、手入力のための画面が表示される。図14は、手入力の指示に応じて、表示デバイス78に表示される表示画面の一例である。図14の表示画面では、緯度の入力ボックス91と、経度の入力ボックス92と、が表示されている。
そして、この手入力のための表示画面が表示デバイス78に表示されている状態で、キー入力デバイス77が操作されると、ナビゲーション部は、そのキー入力デバイス77から入力された文字列を、緯度の入力ボックス91および経度の文字列へ割り当てる。これにより、ナビゲーション部は、キー入力デバイス77から入力された二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24を得ることができる(ST11)。
なお、ナビゲーション部は、これら手入力で緯度および経度が入力される緯度の入力ボックス91および経度の入力ボックス92に、その手入力の指示がなされた時点で判っている緯度および経度の値、たとえば最後に現在位置を確認した緯度および経度の値の一部(たとえば度分まで)あるいは全部を、自動的に割り付けてもよい。歩行者などのナビゲーションなどにあってはその移動距離が比較的に短い場合が多いので、最後に確認した位置の緯度および経度の度分と、新たに確認しようとしている現在位置の緯度および経度の度分とは、一致する場合が多い。これにより、ユーザは、緯度の入力ボックス91および経度の入力ボックス92に表示されている緯度および経度の値を編集することで、現在位置の緯度および経度の値を入力することができる。その結果、実際にユーザがキー入力デバイス77を操作して入力しなければならない文字数を減らすことができ、ユーザの手間をかけないようにすることができる。
また、キー入力デバイス77が緯度および経度の入力完了指示を出力すると、ナビゲーション部は、表示データに、最後に確認した地点(たとえばA地点)から生成されたその緯度経度の文字列24に示される地点までの通過経路を実線で追加する(ST12)。なお、生成された緯度経度の文字列24に示される地点が、表示デバイス78に表示される地図に含まれなくなった場合には、ナビゲーション部は、その新たな地点を含むように表示デバイス78に表示される地図を切り換える。
以上のキー入力デバイス77から入力された緯度経度の文字列24に基づく表示データの更新処理が完了すると、ナビゲーション部は、再び、キー入力待ち状態になる(ST3)。
そして、携帯端末61を用いて地下街のある店舗までの経路を案内して欲しいユーザは、たとえば地下街への入口(図7のA地点)から目的地(図12の×)までの案内経路に埋設されている各タイル状埋設部材1の埋設位置(たとえば図7のB地点)において、キー入力デバイス77へ二次元コードの読取指示、FM波の受信指示あるいは手入力の指示をすることで、図13に示すような案内経路およびそれまでの通過経路が表示された地下街の地図を得ることができる。特に、FM波の受信指示あるいは手入力の指示が可能なので、二次元コードが読み取れない場合でも、地図を得ることができる。また、ユーザは、この地図にしたがって移動することで、目的地まで迷うことなく移動することができる。
このように、この実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、現在の位置情報およびそれに関連する情報を、GPSの電波を受信することができない場所において提供することができる。すなわち、太陽の光やGPSの電波が届かない地下街などにこのタイル状埋設部材1を埋設することで、表示デバイス78に地図を表示し、その地下街などにおいて歩行者を誘導することができる。
特に、携帯端末61は、ナビゲーションの開始地点において、サーバ64から通信網63を介して予め地図データ85を一括してダウンロードし、且つ、二次元コードから得られた位置情報の位置をこの地図データ85による地図とともに表示デバイス78に表示するので、携帯端末61が通信できないような地下街であっても、歩行者を誘導することができる。
しかも、この実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、タイル状埋設部材1を、地下街の床面などに埋設するだけなので、大規模な投資や大掛かりな工事は基本的に必要ない。
また、この実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、地下道が停電になった場合でも、タイル状埋設部材1によって明かりを提供することができ、被災者に経路を誘導することができる。
さらに、この実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、FM波送信回路44が位置情報を無線送信するので、この電波を受信することで、位置情報を得ることができる。したがって、太陽の光やGPSの電波が届かない地下街などにこのタイル状埋設部材1を埋設することで、その地下街などにおいて歩行者を誘導することが可能となる。
なお、この実施の形態1では、二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24と同じビット列を、FM波送信回路44から無線送信するようにしているが、この他にもたとえば、そのビット列を赤外線通信回路から無線送信するようにしてもよい。
この実施の形態1では、二次元コードパターン23はシート材21に形成されている。この他にもたとえば、電気的あるいは無線通信によって表示画像の再書き込みが可能な表示デバイスに、二次元コードパターン23を表示させるようにしてもよい。このような表示画像の再書き込みが可能な表示デバイスを使用することで、それを交換することなく位置情報を更新することができる。
この実施の形態1では、圧電素子32の発電のみで蓄電部材37を充電しているが、この他にもたとえば、ソーラー発電素子、風力発電機器あるいは商用電源を用いて蓄電部材37を充電したり、これらを併用して蓄電部材37を充電したりしてもよい。
この実施の形態1では、人の体重が直接に圧電素子32を加圧して変形する構造となっているが、この他にもたとえば、人の体重によって振動を発生する振動発生部材を設け、この振動発生部材の振動によって圧電素子32を変形するようにしてもよい。
この実施の形態1では、サーバ64からダウンロードした地図データ85の地図を携帯端末61に表示している。したがって、このサーバ64に、日本語以外の英語、中国語、その他の言語で表記された地図データ85を記憶させておくことで、日本語を読むことができない外国人に対しても経路の誘導ができる。また、サーバ64に、音声ガイド付きの地図データ85などを記憶させておくことで、視覚が弱い人などのハンディキャップを持った人に対して音声などによる経路の誘導ができる。
実施の形態2.
図15は、本発明の実施の形態2に係るタイル状埋設部材1の電気回路を示す回路図である。図16は、図15中の発光制御回路101および複数の発光ダイオード102を示す詳細な回路図である。このタイル状埋設部材1の電気回路は、圧電素子32と、逆流防止ダイオード43と、プラス配線41と、マイナス配線42と、蓄電部材37と、FM波送信回路44と、発光制御回路101と、複数の発光ダイオード102と、を有する。発光制御回路101および複数の発光ダイオード102以外の構成は、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
発光ダイオード102は、通電により赤色の光を発光する赤色PN接合部と、通電により青色の光を発光する青色PN接合部と、通電により黄色の光を発光する黄色PN接合部と、を有する。そして、発光ダイオード102は、この3つのPN接合部のすべてに通電されることで白色に発光する。複数の発光ダイオード102は、プリント基板31の外周に沿って配列されている。
発光制御回路101は、受光ダイオード51と、基準電圧抵抗素子52と、コンパレータ53と、4つの分割駆動回路105と、を有する。そして、各分割駆動回路105には、コンパレータ53の出力と、プリント基板31の4つの各辺毎に複数の発光ダイオード102をグループ分けした場合の各グループの複数の発光ダイオード102と、が接続される。4つの分割駆動回路105以外の構成は、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
なお、複数の発光ダイオード102のグループ数は、3つ以下であっても、5つ以上であってもよい。この場合、分割駆動回路105は、そのグループ数と同数設ければよい。
図17は、図16中の分割駆動回路105およびその周辺回路の構成を示す詳細な回路図である。なお、この図において、各発光ダイオード102は、青色PN接合部102bと、黄色PN接合部102yと、赤色PN接合部102rとに分けて、そのPN接合部毎に発光ダイオード102の符合を用いて記載されている。
分割駆動回路105は、第二の発光ダイオード111と、発光制御部112と、第二の受光ダイオード113と、第一の受光制御部114と、第三の受光ダイオード115と、第二の受光制御部116と、第一の受光論理積回路117と、第二の受光論理積回路118と、論理和回路121と、第一の発光論理積回路120と、青色用駆動トランジスタ119と、第二の発光論理積回路123と、黄色用駆動トランジスタ122と、赤色用駆動トランジスタ124と、反射板125と、を有する。
なお、第二の発光ダイオード111と、発光制御部112と、第二の受光ダイオード113と、第一の受光制御部114と、第三の受光ダイオード115と、第二の受光制御部116と、反射板125とにより、間隔検出手段が構成され、第一の受光論理積回路117と、第二の受光論理積回路118と、論理和回路121と、第一の発光論理積回路120と、第二の発光論理積回路123とにより、発光制御手段が構成されている。
コンパレータ53の出力は、発光制御部112と、第一の発光論理積回路120と、第二の発光論理積回路123と、赤色用駆動トランジスタ124と、に接続される。発光制御部112は、第二の発光ダイオード111に接続される。第一の受光制御部114は、第二の受光ダイオード113に接続される。第二の受光制御部116は、第三の受光ダイオード115に接続される。
第一の受光論理積回路117には、第一の受光制御部114の出力と、第二の受光制御部116の出力とが接続される。なお、第二の受光制御部116の出力は、反転入力となっている。第二の受光論理積回路118には、第一の受光制御部114の出力と、第二の受光制御部116の出力とが接続される。なお、第一の受光制御部114の出力は、反転入力となっている。論理和回路121には、第一の受光論理積回路117の出力と、第二の受光論理積回路118の出力とが接続される。
第一の発光論理積回路120には、コンパレータ53の出力とともに、第一の受光論理積回路117の出力が接続される。第一の発光論理積回路120の出力は、青色用駆動トランジスタ119のベース端子に接続される。青色用駆動トランジスタ119のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。青色用駆動トランジスタ119のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の青色PN接合部102bのカソードに接続される。青色PN接合部102bのアノードは、プラス配線41に接続される。
第二の発光論理積回路123には、コンパレータ53の出力とともに、論理和回路121の出力が接続される。第二の発光論理積回路123の出力は、黄色用駆動トランジスタ122のベース端子に接続される。黄色用駆動トランジスタ122のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。黄色用駆動トランジスタ122のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の黄色PN接合部102yのカソードに接続される。黄色PN接合部102yのアノードは、プラス配線41に接続される。
赤色用駆動トランジスタ124のベース端子には、コンパレータ53の出力が接続され。赤色用駆動トランジスタ124のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。赤色用駆動トランジスタ124のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の赤色PN接合部102rのカソードに接続される。赤色PN接合部102rのアノードは、プラス配線41に接続される。
図18は、図17中の第二の発光ダイオード111、第二の受光ダイオード113、第三の受光ダイオード115および反射板125の配置を示す説明図である。各分割駆動回路105のこれらの部材111,113,115,125は、それぞれが対応する複数の発光ダイオード102の辺の近傍に、この辺と平行に並べて配設される。また、反射板125を中心として、第二の発光ダイオード111と、第二の受光ダイオード113および第三の受光ダイオード115とは、互いに反対側に配列される。これにより、図18に示すように、各第二の発光ダイオード111と、第二の受光ダイオード113および第三の受光ダイオード115との間に、近隣に埋設される他のタイル状埋設部材1の反射板125が対向する。また、第二の受光ダイオード113は、第三の受光ダイオード115と反射板125との間に配置される。
実施の形態2に係るタイル状埋設部材1の以上で説明した構成以外の構成は、実施の形態1に係るタイル状埋設部材1と同様であり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、タイル状埋設部材1の電気回路の動作について説明する。これ以外のタイル状埋設部材1の動作、およびこのタイル状埋設部材1を用いたナビゲーションシステムの動作は、実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
発光制御回路101は、圧電素子32によって蓄電部材37に蓄えられた電力で動作する。
タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が明るい場合、受光ダイオード51がその外界の光を受光するので、コンパレータ53からはローレベルが出力される。第一の発光論理積回路120は、ローレベルを出力する。したがって、青色用駆動トランジスタ119はオフ状態となり、青色PN接合部102bは発光しない。同様に、第二の発光論理積回路123はローレベルを出力するので、黄色用駆動トランジスタ122はオフ状態となり、黄色PN接合部102yは発光しない。また、赤色用駆動トランジスタ124はオフ状態となり、赤色PN接合部102rは発光しない。
したがって、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が明るい場合には、複数の発光ダイオード102の3つのPN接合部102r,102b,102yはすべて発光しない。
タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が暗くなると、受光ダイオード51に電圧が発生しないので、コンパレータ53からはハイレベルが出力される。コンパレータ53の出力がハイレベルになると、発光制御部112は、第二の発光ダイオード111を点灯させる。
第二の発光ダイオード111の光は、外界を介して、近隣に埋設される他のタイル状埋設部材1の反射板125によって反射される。そして、この第二の発光ダイオード111を発光させたタイル状埋設部材1と、その他のタイル状埋設部材1との間隔が所望の間隔である場合には、この反射光は、第二の受光ダイオード113に受光される。第二の受光ダイオード113が受光すると、第一の受光制御部114は、ハイレベルを出力する。第一の発光論理積回路120には、この第一の受光制御部114のハイレベルの出力と、コンパレータ53のハイレベルの出力とが入力される。第一の発光論理積回路120は、ハイレベルを出力する。これにより、青色用駆動トランジスタ119はオン状態となり、青色PN接合部102bは発光する。
他のタイル状埋設部材1の反射板125による反射光が第二の受光ダイオード113によって受光されている状態では、第三の受光ダイオード115には反射光が入射されない。第二の受光制御部116は、ローレベルを出力する。第一の受光制御部114がハイレベルを出力し、第二の受光制御部116がローレベルを出力するので、第一の受光論理積回路117は、ハイレベルを出力する。論理和回路121も、ハイレベルを出力する。なお、第二の受光論理積回路118は、ローレベルを出力する。第二の発光論理積回路123には、この論理和回路121のハイレベルの出力と、コンパレータ53のハイレベルの出力とが入力される。第二の発光論理積回路123は、ハイレベルを出力する。これにより、黄色用駆動トランジスタ122はオン状態となり、黄色PN接合部102yは発光する。
また、コンパレータ53からの出力がハイレベルになると、赤色用駆動トランジスタ124はオン状態となり、赤色PN接合部102rは発光する。
以上の動作により、タイル状埋設部材1の各辺に配列される複数の発光ダイオード102は、その辺の側に近隣に他のタイル状埋設部材1との間隔が所望の間隔になっていると、赤色PN接合部102r、黄色PN接合部102yおよび青色PN接合部102bのすべてが点灯し、白色に点灯する。
ところで、タイル状埋設部材1と他のタイル状埋設部材1との間隔が所望の間隔よりも若干(たとえば5cm)広がっていると、他のタイル状埋設部材1の反射板125による反射光は、図17で点線で示すように、第三の受光ダイオード115に入射される。第二の受光制御部116は、ハイレベルを出力し、第一の受光制御部114は、ローレベルを出力する。第一の受光制御部114がローレベルを出力すると、第一の発光論理積回路120はローレベルを出力し、青色用駆動トランジスタ119はオフ状態となり、青色PN接合部102bは発光しない。
また、第二の受光制御部116がハイレベルを出力し、第一の受光制御部114がローレベルを出力すると、第一の受光論理積回路117はローレベルを出力する。第二の受光論理積回路118がハイレベルを出力するので、論理和回路121の出力は、ハイレベルに維持される。黄色用駆動トランジスタ122はオン状態となり、黄色PN接合部102yは発光する。また、赤色PN接合部102rも発光する。
以上の動作により、タイル状埋設部材1の各辺に配列される複数の発光ダイオード102は、その辺の側に近隣に他のタイル状埋設部材1との間隔が所望の間隔よりも若干広がっていると、赤色PN接合部102rおよび黄色PN接合部102yのみが点灯し、橙色に点灯する。
タイル状埋設部材1と他のタイル状埋設部材1との間隔がさらに広がると(たとえば所望の間隔よりも7cm広がると)、他のタイル状埋設部材1の反射板125による反射光は、第二の受光ダイオード113および第三の受光ダイオード115のいずれにも入射されなくなる。第二の受光制御部116および第一の受光制御部114はともに、ローレベルを出力する。第一の発光論理積回路120はローレベルを出力し、青色用駆動トランジスタ119はオフ状態となり、青色PN接合部102bは発光しない。また、第二の受光制御部116もローレベルを出力するので、論理和回路121の出力はローレベルとなる。黄色用駆動トランジスタ122はオフ状態となり、黄色PN接合部102yは発光しない。
以上の動作により、タイル状埋設部材1の各辺に配列される複数の発光ダイオード102は、その辺の側に近隣に他のタイル状埋設部材1との間隔が所望の間隔よりもさらに広がると、赤色PN接合部102rのみが点灯し、赤色に点灯する。
したがって、複数のタイル状埋設部材1を、それらの間隔が所望の間隔となる状態で埋設する。この状態では、その複数のタイル状埋設部材1は白色に点灯する。
その後、たとえば地震などによって地下道が割れ、複数のタイル状埋設部材1の間隔が所望の間隔よりもたとえば5cmほど広がると、その間隔が広い部位のタイル状埋設部材1は橙色に点灯する。その間隔がさらにたとえば2cm(合計7cm)ほど広がると、そのさらに間隔が広い箇所のタイル状埋設部材1は赤色に点灯する。そのため、発光色が変化していない埋設部材の周囲は、ひび割れなどが発生していないことになる。これにより、複数のタイル状埋設部材1が赤く発光している部位を避けて白く発光している部位を通過させることで、被災者に安全性の高い経路を誘導することができる。
このように各タイル状埋設部材1が独立した電源を有し、それを二次元的に組み合わせて通路に埋設しているので、たとえばその一部のタイル状埋設部材1が破損して発光しなくなったとしても、災害時に被災者へ適切な経路を示すことができる。
実施の形態3.
図19は、本発明の実施の形態3に係るタイル状埋設部材1の発光制御回路101の1つの分割駆動回路105およびその周辺回路の構成を示す詳細な回路図である。タイル状埋設部材1の分割駆動回路105は、第二の逆流防止ダイオード131と、コネクタ132と、二入力論理積回路133と、青色用駆動トランジスタ119と、黄色用駆動トランジスタ122と、赤色用駆動トランジスタ124と、を有する。
なお、間隔検出手段は、第二の逆流防止ダイオード131と、コネクタ132と、で構成され、発光制御手段は、二入力論理積回路133で構成されている。
コネクタ132は、2つの接点134,135を有する。一方の接点134は、第二の逆流防止ダイオード131のカソードに接続される。第二の逆流防止ダイオード131のアノードは、プラス配線41に接続される。
コネクタ132の他方の接点135は、二入力論理積回路133の一方の入力に接続される。二入力論理積回路133の他方の入力には、コンパレータ53の出力が接続される。二入力論理積回路133の出力は、青色用駆動トランジスタ119のベース端子に接続される。青色用駆動トランジスタ119のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。青色用駆動トランジスタ119のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の青色PN接合部102bのカソードに接続される。青色PN接合部102bのアノードは、プラス配線41に接続される。
二入力論理積回路133の出力は、また、黄色用駆動トランジスタ122のベース端子に接続される。黄色用駆動トランジスタ122のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。黄色用駆動トランジスタ122のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の黄色PN接合部102yのカソードに接続される。黄色PN接合部102yのアノードは、プラス配線41に接続される。
コンパレータ53の出力は、また、赤色用駆動トランジスタ124のベース端子に接続される。赤色用駆動トランジスタ124のエミッタ端子は、マイナス配線42に接続される。赤色用駆動トランジスタ124のコレクタ端子は、複数の発光ダイオード102の赤色PN接合部102rのカソードに接続される。赤色PN接合部102rのアノードは、プラス配線41に接続される。
図20は、図19中のコネクタ132の配置を示す説明図である。各コネクタ132は、それぞれが対応する複数の発光ダイオード102の辺側のハウジング11側面に配設される。そして、コネクタ132は、たとえばツイストペアケーブルなどの配線136によって、近隣に埋設される他のタイル状埋設部材1のコネクタ132に接続される。なお、この配線136の長さは、この2つのタイル状埋設部材1の間隔と同じくらいの長さにするとよい。
実施の形態3に係るタイル状埋設部材1の以上で説明した構成以外の構成は、実施の形態2に係るタイル状埋設部材1と同様であり、実施の形態2と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、タイル状埋設部材1の電気回路の動作について説明する。これ以外のタイル状埋設部材1の動作、およびこのタイル状埋設部材1を用いたナビゲーションシステムの動作は、実施の形態2と同様であり、その説明を省略する。
発光制御回路101の分割駆動回路105は、圧電素子32によって蓄電部材37に蓄えられた電力で動作する。
タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が明るい場合、受光ダイオード51がその外界の光を受光するので、コンパレータ53からはローレベルが出力される。したがって、二入力論理積回路133の出力はローレベルとなり、青色用コンパレータ117はオフ状態となり、青色PN接合部102bは発光しない。同様に、黄色用駆動トランジスタ122はオフ状態となり、黄色PN接合部102yは発光しない。コンパレータ53の出力がローレベルなので、赤色用駆動トランジスタ124はオフ状態となり、赤色PN接合部102rは発光しない。したがって、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が明るい場合には、複数の発光ダイオード102の3つのPN接合部102r,102b,102yはすべて発光しない。
タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が暗くなると、コンパレータ53からはハイレベルが出力される。また、コネクタ132の他方の接点135には、配線136を介して、近隣に埋設される他のタイル状埋設部材1の一方の接点134が接続される。この一方の接点134は、第二の逆流防止ダイオード131を介して、プラス配線41に接続されている。したがって、コネクタ132の他方の接点135のレベルは、プラス配線41と同じハイレベルである。その結果、二入力論理積回路133の出力はハイレベルとなり、青色用駆動トランジスタ119はオン状態となり、青色PN接合部102bは発光する。同様に、黄色用駆動トランジスタ122はオン状態となり、黄色PN接合部102yは発光する。また、コンパレータ53の出力がハイレベルなので、赤色用駆動トランジスタ124はオン状態となり、赤色PN接合部102rは発光する。したがって、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が暗くなると、通常は、複数の発光ダイオード102はその3つのPN接合部102r,102b,102yはすべて発光して白色に発光する。
その後、たとえば地震などによって地下道が割れ、複数のタイル状埋設部材1の間隔が広がって配線136が断線すると、コネクタ132の他方の接点135のレベルは、ローレベルとなり、二入力論理積回路133の出力は、ローレベルとなる。その結果、青色用駆動トランジスタ119および黄色用駆動トランジスタ122はオフ状態となり、青色PN接合部102bおよび黄色PN接合部102yは発光しない。なお、コンパレータ53の出力がハイレベルなので、赤色用駆動トランジスタ124はオン状態となり、赤色PN接合部102rは発光する。したがって、配線136が断線している状態では、タイル状埋設部材1が埋設された場所の周囲が暗くなると、複数の発光ダイオード102は赤色に発光する。そのため、発光色が変化していないタイル状埋設部材1の周囲は、ひび割れなどが発生していないことになる。これにより、複数のタイル状埋設部材1が赤く発光している部位を避けて白く発光している部位を通過させることで、被災者に安全性の高い経路を誘導することができる。
なお、タイル状埋設部材1が橙色あるいは赤色で点灯するときには、FM波送信回路44は、タイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24と同じビット列に替えて、危険な状態であることを通知するビット列を送信するようにしてもよい。
実施の形態4.
図21は、本発明の実施の形態4に係るタイル状埋設部材1の電気回路を示す回路図である。タイル状埋設部材1の電気回路は、圧電素子32と、逆流防止ダイオード43と、プラス配線41と、マイナス配線42と、蓄電部材37と、FM波送信回路44と、送信制御回路141と、発光制御回路101と、複数の発光ダイオード102と、を有する。
送信制御回路141は、信号検出回路としての赤外線受光器142と、タイマ143と、反転回路144と、第二の論理積回路145と、給電制御部材としてのスイッチ146と、を有する。赤外線受光器142の出力は、第二の論理積回路145の一方の入力と、タイマ143と、に接続される。タイマ143の出力は、反転回路144に接続される。反転回路144の出力は、第二の論理積回路145の他方の入力に接続される。第二の論理積回路145の出力は、スイッチ146に接続される。スイッチ146の一方の端子は、プラス配線41に接続される。スイッチ146の他方の端子とマイナス配線42との間に、FM波送信回路44が接続される。
実施の形態4に係るタイル状埋設部材1の以上で説明した構成以外の構成は、実施の形態2に係るタイル状埋設部材1と同様であり、実施の形態2と同一の符号を付して説明を省略する。
図22は、本発明の実施の形態4に係る携帯端末61のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯端末61は、中央処理装置71と、RAM72と、EEPROM73と、無線通信デバイス74と、I/Oポート75と、これらを接続するシステムバス76と、を有する。また、I/Oポート75には、キー入力デバイス77と、表示デバイス78と、FM受信デバイス79と、撮像デバイス80と、赤外線通信デバイス147と、が接続されている。
赤外線通信デバイス147は、I/Oポート75から入力されるデータで変調した赤外線を出力する。
図23は、図22中のEEPROM73に記憶されるプログラムおよびデータを示す説明図である。EEPROM73には、組込OSプログラム群、APプログラム群と、データ群と、が記憶されている。組込OSプログラム群には、プログラム実行制御プログラム81と、無線通信制御プログラム82と、が含まれる。APプログラム群には、ダウンロードプログラム83と、ナビゲーションプログラム148と、が含まれる。データ群には、地図データ85が含まれる。
実施の形態4に係る携帯端末61の以上で説明した構成以外の構成は、実施の形態1に係るタイル状埋設部材1と同様であり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、この実施の形態4に係るナビゲーションシステムの動作について説明する。
携帯端末61を用いて地下街のある店舗までの経路を案内して欲しいユーザが、携帯端末61のキー入力デバイス77を操作し、キー入力デバイス77から経路案内要求が出力されると、ナビゲーションプログラム148がEEPROM73からRAM72へ読み込まれ、デコード手段としてのナビゲーション部が実現される。
図24は、ナビゲーション部による制御フローを示すフローチャートである。そして、キー入力デバイス77から目的地が入力される(ST1)と、ナビゲーション部は、EEPROM73から地図データ85を読みこんで、目的地および探索経路とを明示した地図を表示デバイス78に表示させる(ST2)。その後、ナビゲーション部は、キー入力待ち状態になる(ST3)。
このキー入力待ち状態においてキー入力デバイス77が操作され、キー入力デバイス77からFM波の受信指示が出力される(ST7)と、ナビゲーション部は、まず、システムバス76およびI/Oポート75を介して所定のデータを赤外線通信デバイス147へ出力する(ST21)。赤外線通信デバイス147は、このデータで変調した赤外線を出力する。
タイル状埋設部材1の赤外線受光器142は、この携帯端末61から出力される赤外線を受光すると、ハイレベルを出力する。これにより、第二の論理積回路145の一方には、ハイレベルが出力される。通常、タイマ143は、ローレベルを出力し、反転回路144はハイレベルを出力する。したがって、赤外線受光器142の出力がハイレベルになると、第二の論理積回路145の出力はハイレベルへ変化する。これにより、スイッチ146が閉じ、プラス配線41がFM波送信回路44に接続される。FM波送信回路44は、タイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24に同じの所定のビット列を変調した電波の送信を開始する。
所定のデータを赤外線通信デバイス147へ出力した後、ナビゲーション部は、受信周波数設定情報をFM受信デバイス79へ出力する。これにより、FM受信デバイス79は、この受信周波数設定情報にて指定された周波数の受信状態になり、FM波送信回路44が送信した電波を受信する。また、FM受信デバイス79は、受信した電波から搬送波成分を取り除いてビット列を生成して中央処理装置71へ出力する。これにより、ナビゲーション部は、FM波送信回路44が送信した二次元コードパターン23にコード化されているタイル状埋設部材1の埋設位置を示す緯度経度の文字列24を得ることができる(ST8)。
次に、ナビゲーション部は、表示データに、最後に確認した地点(たとえばA地点)から生成されたその緯度経度の文字列24に示される地点までの通過経路を実線で追加する(ST9)。
以上のFM波送信回路44が送信したビット列に基づく表示データの更新処理が完了すると、ナビゲーション部は、再び、キー入力待ち状態になる(ST3)。なお、図4に示すこれ以外のステップは、実施の形態1で説明した処理と同様であり、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
また、タイル状埋設部材1では、赤外線受光器142が携帯端末61から出力される赤外線を受光し、その出力をハイレベルにすることで、タイマ143がカウント動作を開始する。そして、所定の値をカウントすると、タイマ143は、ハイレベルを出力し、反転回路144は、ローレベルを出力する。これにより、第二の論理積回路145の出力はローレベルとなり、スイッチ146が開き、FM波送信回路44からの電波の送信が停止する。
以上のように、携帯端末61から出力可能な赤外線を用いて、FM波送信回路44からの電波の送信を制御することができる。このように、タイル状埋設部材1は赤外線を受信したときのみ電波を送信するように構成することで、複数のタイル状埋設部材1が近接して埋設されてそれらの電波が混信してしまうような場合であっても、各タイル状埋設部材1の電波を携帯端末61で受信し、適切な経路表示が可能となる。また、FM波送信回路44が電波を送信する時間が短くなるので、蓄電部材37に蓄電される電力を無駄に消費しなくなる。
実施の形態5.
図25は、本発明の実施の形態5に係るタイル状埋設部材1の分解斜視図である。タイル状埋設部材1は、ハウジング11と、カバー部材16と、シート材21と、密閉部材26と、プリント基板31と、スペーサ36と、複数個の蓄電部材37と、を有する。プリント基板31の表面中央部には、発電部材としての発電ユニット151が実装される。タイル状埋設部材1のプリント基板31以外の構成は実施の形態4と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
図26は、図25のタイル状埋設部材1の電気回路を示す回路図である。タイル状埋設部材1の電気回路は、発電ユニット151と、逆流防止ダイオード43と、プラス配線41と、マイナス配線42と、蓄電部材37と、送信制御回路141と、FM波送信回路44と、発光制御回路101と、複数の発光ダイオード102と、を有する。なお、複数の発光ダイオード102は、プリント基板31の表面周縁部において、そのプリント基板31の外周に沿って配列されている。
発電ユニット151は、ユニットハウジング152を有する。ユニットハウジング152は、略直方体形状に形成され、発電ユニット151のカバー部材16側となる上面に、開口部153が形成されている。
ユニットハウジング152の開口部153の上には、昇降プレート154が配設される。昇降プレート154は、平板形状を有し、その下面にラックギア155が配設される。ラックギア155のギア歯は、昇降プレート154の下面に垂直な方向に配列される。
昇降プレート154とユニットハウジング152の底面との間には、ゴムなどの弾性部材156が配設されている。この弾性部材156の高さは、ユニットハウジング152の開口部153の深さより若干大きい。したがって、無荷重時には、昇降プレート154は、ユニットハウジング152から少し浮いた状態になる。
このラックギア155には、入力ピニオンギア157が噛み合わされる。入力ピニオンギア157は、一方向の回転力のみを伝達する図示外のラチェット機構を介してフライホイール158に取り付けられる。フライホイール158は、ユニットハウジング152に回転可能に軸支される。
また、フライホイール158には、出力ピニオンギア159が固定される。この出力ピニオンギア159は、発電モータ160の回転子に固定される従動ピニオンギア161に噛み合わされる。発電モータ160の2つの端子の中の一方の端子は、逆流防止ダイオード43のアノードに接続される。他方の端子は、マイナス配線42に接続される。
以上の構成以外のタイル状埋設部材1の電気回路の構成は、実施の形態4と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、このような構成を有するタイル状埋設部材1の動作について説明する。
床面などに埋設されたタイル状埋設部材1の上を歩行者が通過し、その歩行者がカバー部材16を踏むと、カバー部材16に加えられた体重によって弾性部材156が撓み、昇降プレート154が下がる。昇降プレート154が下がると、ラックギア155に噛み合わされている入力ピニオンギア157が回転する。入力ピニオンギア157の回転は、ラチェット機構を介してフライホイール158に伝達される。これにより、フライホイール158が回転する。
また、フライホイール158が回転すると、出力ピニオンギア159も回転し、さらにその出力ピニオンギア159に噛み合わされている従動ピニオンギア161も回転する。従動ピニオンギア161とともに回転子が回転して、発電モータ160は、その2つの端子の間に電圧を発生する。この電圧は、逆流防止ダイオード43、プラス配線41およびマイナス配線42を介して蓄電部材37に印加され、蓄電部材37は充電される。
歩行者の足がカバー部材16から離れると、カバー部材16に加えられた荷重がなくなるので、弾性部材156が伸張し、昇降プレート154が上がる。昇降プレート154が上がると、ラックギア155に噛み合わされている入力ピニオンギア157が先ほどとは逆方向に回転する。入力ピニオンギア157とフライホイール158との間にはラチェット機構が介在しているので、この入力ピニオンギア157の逆方向への回転は、フライホイール158に伝達されない。これにより、フライホイール158は、先ほどの回転方向へ回転し続ける。
引き続き、次の歩行者がカバー部材16を踏むと、ラックギア155、入力ピニオンギア157およびラチェット機構を介して、フライホイール158に回転力が伝達される。この時、フライホイール158の回転が遅かったり停止したりしている場合には、フライホイール158の回転は増速される。
以上のように、複数の歩行者がカバー部材16を順番に踏むことで、フライホイール158は回転しつづけ、発電モータ160の発電電力で蓄電部材37は充電される。
なお、この実施の形態5では、加圧による変形によって発電する圧電素子32の換わりに、フライホイール158に蓄積した運動エネルギーにより発電する発電ユニット151を使用している。この他にもたとえば、圧力によって化学反応を起こすような物質を使用し、その化学反応で生じる電界(電圧)で発電するようなものを使用してもよい。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。たとえば、上記各実施の形態では、薄い略立方体形状の外形を有するタイル状埋設部材1を例としている。この他にもたとえば、車道と歩道との境界や駐車スペースなどに設置される車止め部材と同様な外形形状を有する埋設部材としてもよい。なお、実施の形態1,4,5は、間隔検出手段および発光制御手段を備えた形態と組み合わせて用いられる。
また、実施の形態5において、ラチェット機構を省略し、ダイオード43の代わりに全波整流用のダイオードブリッジを使用するようにしてもよい。
上記各実施の形態では、各タイル部材1の蓄電部材37は、それぞれのタイル部材1に設けられた圧電素子32や発電ユニット151などの発電部材によって充電される。この他にもたとえば、二次元に配列される複数のタイル部材1の蓄電部材37が、少なくとも近くにある他のタイル部材1の蓄電部材37と、並列あるいは直列に接続されるようにしてもよい。これにより、他のタイル部材1で発電した電力で、各タイル部材1の蓄電部材37を充電することができる。
その結果、たとえば一部のタイル部材1の発電部材に不具合が発生したとしても、そのタイル部材1の蓄電部材37を充電し、そのタイル部材1の発光ダイオード33,102を発光させることができる。また、廊下内での人の流れに偏りがあって、一部のタイル部材1が他のタイル部材1よりも多く発電したとしても、複数のタイル部材1の発光ダイオード33,102の発光輝度のばらつきを抑えることができる。その結果、正しい避難路などを好適に誘導することができる。このように、複数のタイル部材1の蓄電部材37を直列あるいは並列に接続することで、これらへの電力供給の多様化を図ることができる。特に、たとえば地下道の全体において複数のタイル部材1の蓄電部材37を他のタイル部材1の蓄電部材37と並列あるいは直列に接続することで、この複数のタイル部材1を発電装置の群として機能させることができる。