JP4391167B2 - 金属被覆炭素繊維の製造方法及び同繊維の製造装置 - Google Patents

金属被覆炭素繊維の製造方法及び同繊維の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数本の炭素繊維束に連続して電気メッキを施す金属被覆炭素繊維の製造方法に関する。
金属メッキされた炭素繊維は、コンピューター、デジタル機器の電磁波遮蔽用材料、いわゆるEMI(Electro Magnetic Interfere)シールド材として、また、電子機器から放射する電磁波をシールドする材料として注目を浴びている。
従来、これら炭素繊維に均一な金属メッキを施す方法として、メッキ液流を炭素繊維トウに、円弧状に或いは円錐状に噴出させて炭素繊維トウを開繊してメッキを施す方法や、メッキ槽の底部から炭素繊維トウにメッキ液を噴出させてメッキを施す方法、更には、炭素繊維トウをメッキ槽中のメッキ液上面近傍に接触するように導糸しながらメッキを施す方法が知られている。ここに用いるメッキ液は、その濃度管理やPH調整等においては、一般的にある範囲内の管理領域にて管理するようなメンテナンスを実施すべきであり、これら管理されたメッキ液をメッキ槽内から抜液するとともに、ポンプにて吐出圧力を与え、前述した如く噴出等を行っていた。或いは、メッキ槽からオーバーフローしたり、炭素繊維に保液され槽外に持ち出されるメッキ液を循環、又は新規にメッキ槽中に補充し、メッキ槽中の液量や組成を確保していた。
具体的には、例えば特開昭60−119269号公報(特許文献1)に、メッキ槽中を連続的に通過する炭素繊維束に、その通過方向を横切るようにして円弧状或いは円錐状に噴出するメッキ液流を衝突させることにより炭素繊維束をほぐしながら電気メッキを施す方法が開示されており、その実施例に記載されている如く、温調された槽中の、所定組成或いは所定PHのメッキ液を、同特許文献1の第6図に図示されている如く、メッキ槽中から抜液し、ポンプを用いて吐出圧力を与え、メッキ槽底部から噴流を発生させ、炭素繊維束を開繊させることにより、該炭素繊維束に均一な金属メッキを施している。
また、例えば特開平3−8867号公報(特許文献2)には、両端部がオーバーフロー板により区画されたメッキ槽を多数個配置し、炭素繊維束を電極ロールに接触させて連続走行させ、メッキ槽の中央区画部にはメッキ液を連続供給し、該繊維束に接触させながらオーバーフローさせる製造方法を記載されており、詳細には同特許文献2に図示された如く、メッキが施されるメッキ槽に付設された区画板上部からのオーバーフロー液を、オーバーフローした液の溜まり部分から抜液し、ポンプにてメッキ層底部に供給し、メッキ液に吐出圧力を与えることにより上方流となし、該繊維束近傍に供給する方法が記載されている。
特開昭60−119269号公報 特開平3−8867号公報
ところで、これらの特許文献1及び2に記載されているような従来技術によれば、炭素繊維束を開繊しながら連続的にメッキを施すことに主眼がおかれ、メッキ液の組成やPH、メッキ槽の液量を管理している。一方、極めて細いマルチフィラメントの集合体からなる炭素繊維束のような繊維束を用いる場合には、メッキ槽の導入前、或いはメッキ槽中でフィラメントの切断が発生しやすく、メッキ液中の該繊維束の通過抵抗によりフィラメント切断に起因する、いわゆる毛羽が必ず発生し、メッキ槽中に浮遊しながら徐々に増加する傾向にある。すなわち、これらの毛羽は一旦メッキ槽底部に堆積するが、堆積した毛羽が例えばメッキ液の噴流等のような、何らかの影響で浮遊する。
しかしながら、上述の各特許文献1及び2では、これら毛羽の舞い上がりと堆積とが如何に製品の品質に影響するかについて格別に着目しているとは考えにくい。何となれば、前述の如き毛羽の舞い上がりと堆積とを如何に抑制すべきであるかに関する記載は全くなされていないだけではなく、それを示唆する記載すらない。一方では、上述の如く従来もメッキ液の組成やPH、メッキ槽の液量を管理してはいるものの、メッキの欠落部分をもつ不良品が頻繁に発生しており、製造歩留りをも大幅に低下させ高コストとならざるを得なかった。そのため、こうした不良品の発生を早急になくすことが強く望まれていた。
本発明は、かかる不良品の発生を排除でき、製品品質と製造歩留りを増加させ、製造コストの低減化を実現する金属被覆炭素繊維の製造方法と製造装置を提供することを目的としている。
本発明者等は、上述の如き不良品の発生原因を解明すべく鋭意検討を行ったところ遂にその不良品の発生原因が上述の浮遊する毛羽にあり、この浮遊する毛羽が炭素繊維束に付着した状態で金属メッキが施された場合、その部分は不良品となり、製品品質を著しく低下させるばかりではなく、製造歩留りをも大幅に低下させ高コストとならざるを得なくなることを知った。この知見に基づいて更に検討を重ねた結果、メッキ液の液量等の管理を実施可能としつつ、かつ、上述の如き毛羽の発生による影響を受けにくい良好な製品品質を安定的に得ることのできる金属被覆炭素繊維の製造方法とその製造装置を発明するに至った。
すなわち、本発明に係る金属被覆炭素繊維の製造方法の基本構成は、連続する炭素繊維を電極ロールを介して電気メッキ槽に連続的に導入し、電気メッキ施す金属被覆炭素繊維の製造方法であって、電気メッキ槽中のメッキ液を上方から下方に向けて積極的に流動させること、及び前記電気メッキ槽の底面が傾斜して形成され、その傾斜面の下傾斜端部に配されたメッキ液抜液口からメッキ液を抜液すること、を含んでなることを特徴としている。
そのため、前記製造方法を実施するに適した本発明に係る金属被覆炭素繊維の製造装置の基本構成を、炭素繊維が第一電極ロールを介して電気メッキ槽に連続的に導入され電気メッキを施す金属被覆炭素繊維の製造装置であって、電気メッキ槽中のメッキ液を積極的に上方から下方に向けて流動させる流動手段を備え、前記電気メッキ槽の底面が傾斜して形成され、その傾斜面の下傾斜端部にメッキ液抜液口を有してなることを特徴としている。
この流動手段として、好適にはメッキ液を電気メッキ槽の上部から注入するとともに、同メッキ槽の下部から抜液することを含んでおり、具体的には電気メッキ槽の上部にメッキ液注入口を配するとともに、同電気メッキ槽の下部にメッキ液抜液口を配することが好ましい。また他の好適な態様としては、メッキ液を電気メッキ槽の液面上方に配されたメッキ液注入部から導入するとともに、同メッキ槽の下部又は底部に配されたメッキ液抜液口から抜液する。
更に本発明にあっては、前記電気メッキ槽の底面を傾斜して形成しておき、その傾斜面の下傾斜端部に配された前記メッキ液抜液口からメッキ液を抜液するようにする。また、前記メッキ液注入口と前記メッキ液抜液口とを直線で結んだ距離が300mm以上であることが望ましい。
こうして、メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液を、貯留槽を介して再び前記電気メッキ槽の上部に導入して、メッキ液を再利用することが望ましい。更には、前記メッキ液抜液口と前記貯留槽との間にオーバーフロー口を有する一時保液槽をもうけておき、メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液を、一旦前記一時保液槽に保液させたのち、前記オーバーフロー口を介して前記貯留槽に貯留し、同貯留層に貯留されているメッキ液を再び前記メッキ槽の上部に戻すことが望ましい。しかし、この戻されるメッキ液だけでは、メッキ薬液の濃度が低下するめ、前記メッキ液貯留槽には新たなメッキ液が補充される。
更に、上記メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液をフィルターを通して濾過すれば、メッキ槽に戻されるメッキ液が清浄化されるため好ましい。
本発明に係る金属被覆炭素繊維の製造装置の基本構成が、上述のように電気メッキ槽中のメッキ液を積極的に上方から下方に向けて流動させる流動手段を備えており、その製造方法をのごとく前記電気メッキ槽中のメッキ液を上方から下方に向けて積極的に流動させて、メッキ液槽の液面近くに浮遊しようとする毛羽を電気メッキ槽の下部に向けて流動させるため、毛羽が炭素繊維束に付着することがなくなり、高品質の金属被覆炭素繊維が安定して得られるようになる。
そのための電気メッキ槽に設けるメッキ液の流動手段として、同電気メッキ槽の上部にメッキ液の導入口を設けるか、又は同メッキ槽のメッキ液面の上方にメッキ液の導入部を設けるとともに、同メッキ槽の下部にメッキ液抜液口を設けている。このように、メッキ槽の上部又は上方に設けられたメッキ液の導入口又は導入部からメッキ液を導入し、同メッキ槽の下部にメッキ液抜液口からメッキ液を抜液すれば、格別の流動手段を採用しなくとも、メッキ液はその注入口又は注入部からメッキ液抜液口へと自然に流れを作り、毛羽はその流れに乗って底部へと流動することになる。
前記電気メッキ槽の底面が傾斜して形成され、その傾斜面の下傾斜端部に配された前記メッキ液抜液口からメッキ液を抜液すれば、例えば電気メッキ槽の底部にもメッキ液の流れが直線的に作られことになり、底部に堆積しようとする毛羽を傾斜面に沿ってメッキ液抜液口に向けて積極的に流動させることができ、底部に毛羽を残留させることがない。また、以上のメッキ液注入口とメッキ液抜液口とを直線で結んだ距離を300mm以上に設定すると、底部に堆積された毛羽がメッキ液の注入により発生する渦流による影響がなく、底部から巻き上げられることがない。
更に本発明にあって、前記抜液口から抜液されたメッキ液を、貯留槽を介して再び前記電気メッキ槽の上部に導入するときは、メッキ液を有効に再利用できるだけでなく、メッキ液の工程外への排出量が激減され、しかも工場内で廃液処理が可能となるため、外部への環境汚染などの恐れをなくすこともできる。
また、前記メッキ液抜液口と前記貯留槽との間にオーバーフロー口を有する一時保液槽を設け、メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液を一旦前記一時保液槽に保液させたのち、前記オーバーフロー口を介して前記貯留槽に貯留し、同貯留層に貯留されているメッキ液を再び前記メッキ槽の上部に戻すようにすれば、保液槽からメッキ液貯留槽に導入されるメッキ処理後のメッキ液量が確認しやすくなるばかりでなく、新たなメッキ液をメッキ液貯留槽に補充するにあたっても、同貯留槽に導入される新たなメッキ液量の制御が容易となる。
更に、前記メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液をフィルターを通して濾過すれば、前記保液槽又は貯留槽に保液又は貯留されるメッキ処理後のメッキ液が清浄化されて、電気メッキ槽に戻されるメッキ液も異物を含有することがなく、安定したメッキ処理を行うことができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら実施例に基づいて具体的に説明する。
図3は、金属被覆炭素繊維の製造方法に適用可能な金属メッキ手順を概略で示す説明図である。
一般に、炭素繊維束1はボビン2から巻き出される。炭素繊維束1を巻き出すボビン2は、一般的な巻き形態を適用することができ、巻き出し張力についても、用いられる炭素繊維束のフィラメント数等により適宜調整すればよい。
本発明に用いられる炭素繊維束1は、例えば、モノフィラメントが1000から100000本束ねられたトウからなる。その好ましい本数は、1000本から48000本程度である。1000本を下回る本数であると、得られる金属被覆炭素繊維の生産性が不十分なことから価格が高くなる一方、48000本を上回ると、金属メッキを施す際にモノフィラメント1本1本の間にメッキ液が入り込みにくくなるため、均質な金属被覆が困難になる傾向がある。またメッキ槽4に供給される炭素繊維束1は1束に限らず、複数の炭素繊維束1を同時に工程に供給することも可能である。
ボビン2から巻き出された炭素繊維束1は、炭素繊維束1に付着した異物等を除去する目的で、メッキ工程4に供給される前に、洗浄槽3により表面を洗浄されることが好ましい。洗浄槽3は例えば、洗浄槽、複数のロール、洗浄液等から構成され、連続的に炭素繊維束を洗浄することができるようにする。また洗浄液の種類は、例えば酸やアルカリ、水などを用いることが可能であり、被洗浄物の材質やその表面に付着する異物の種類などに合わせて適宜選定することができる。また、複数種類の洗浄液を用いる場合は、図示した洗浄槽3を複数槽使用することが可能である。
洗浄槽3で異物を除去された炭素繊維束1は、メッキ工程4に導入され、金属メッキが施され、その後、メッキ工程4から送り出される。本実施例1によるメッキ工程4は、例えば図1に示すように、メッキ槽45と、同メッキ槽45の槽外に配された電極ロール41と、同じくメッキ槽45の槽外に配されたガイドロール43と、同メッキ槽45の内部に配された2個のロール42に対向して配される陽極11と、メッキ液44から構成される。メッキ工程4は、施すメッキ厚さや炭素繊維束1の工程速度などによりその仕様を適宜決定すればよく、例えば該工程速度を向上させるためには、複数段のメッキ工程4を採用するとよい。
またメッキ槽中のメッキ液についても、施すメッキの種類により、その組成を適宜選定することができる。ここで、メッキの種類とは、通常の電気メッキが可能な全ての金属が対象となり、例えば、ニッケルや銅、コバルト、スズ、銀、金、さらにはそれらの合金が挙げられる。
本発明の金属被覆炭素繊維の製造方法に適用可能なメッキ工程4の第1実施例について、その詳細例を、図2を用いて説明する。図2は、図3における上記メッキ槽並びにその付帯設備の一例を概略で示している。
同図において、洗浄槽3から送り出された炭素繊維束1は電極ロール41に接触する。電極ロール41は炭素繊維束1に電流を供給し、メッキ液44中の金属成分を炭素繊維束1表面に付着せしめるためのものである。電極ロール41から供給される電流値は、金属メッキの種類や厚さ、炭素繊維束1の工程速度等により適宜決定することができる。
炭素繊維束1は、前述の如く電極ロール41に接した後にメッキ液44中で2本のロール42にて担持された状態でメッキが施され、その後、ガイドロール43を介してメッキ工程4から排出される。
本実施例による金属被覆炭素繊維の製造方法にあって、メッキ槽45の底部に抜液口46が形成されており、該抜液口46からメッキ液44中に存在する毛羽を伴ってメッキ液44を抜液する。このメッキ槽45の底部から抜液されるメッキ液44や、炭素繊維束1に付着してメッキ槽45から持ち出されるメッキ液44のため、メッキ槽45内のメッキ液44の量が減少する。また、このとき同時にメッキ処理がなされているため、メッキ槽45内に残るメッキ液44を構成する成分の組成も不足してくる。
本発明にあっては、これらの不足分をメッキ槽45の上部、あるいは上方から補給するとともに、上述のごとくメッキ液44の抜液口46をメッキ槽45の底部又は底面を共有できる側壁下部にメッキ液44の抜液口46を形成することが重要である。
すなわち、メッキ工程4に至るまでの前工程、或いは該メッキ工程4において、極めて細いマルチフィラメントの集合体からなる炭素繊維束1のような繊維束はフィラメントの切断が発生しやすく、特にメッキ液中では該繊維束1の通過抵抗によるフィラメント切断が発生して、いわゆる毛羽が必ず生じる。メッキ液中で切断した毛羽はメッキ槽45内で浮遊しながら徐々に増加する。これらの毛羽は、メッキ槽45の底部に堆積するため、底部又はその周辺に形成された抜液口46より毛羽を伴ってメッキ液44を抜液する。
その結果、メッキ液45の品質を安定化させることが可能となる。一方、メッキ槽45の底部の一部に残留した毛羽については、例えばメッキ液に噴流等のような過度な流動を与えた場合、浮遊し炭素繊維束1に付着し、この状態で金属メッキが施された場合、その部分は不良品となるため、上述の如く、メッキ液44を構成する組成の不足分をメッキ槽45の上部側壁、或いはメッキ槽45の上方に設けられた注入部49から供給することは、その注入部49から前記抜液口46に向けてメッキ液に積極的な流れを作り、その流れに乗せて浮遊する毛羽をメッキ液44の上部から下部へと積極的に流動させるため、炭素繊維束1に浮遊する毛羽が付着することがなくなり、品質の良い金属被覆炭素繊維を安定的に得ることができるため、極めて重要である。
本発明に用いる抜液口46の形成部位については、メッキ槽45の下方に位置された底部付近であればよく、堆積した毛羽を効率的に除去できる場所であれば任意に選定することができる。また、抜液口46の数や直径も特に限定されるものではなく、メッキ槽45の寸法に応じて、適宜選定できる。
これら抜液口46からメッキ液44を抜液する方法としては、種々の手段を採用するることができ、たとえば、重力による抜液等が挙げられるが、抜液量を制御可能とすること、及びメッキ槽45の内部のメッキ液に強制的に上部から下部に向けて流れを形成することができる点で、ポンプを用いることが好ましい。
一方、本発明に用いられる注入口49については、メッキ槽45の側方、あるいは上方に位置され、供給したメッキ液により底部に堆積した状態で残留した毛羽を実質的に巻き上げない場所に配置することが好ましく、例えば、注入部49と抜液口46を直線で結んだ距離が300mm以上であることがより好ましい。また、注入口49の個数や直径は特に限定されるものではなく、メッキ槽45の寸法に応じ、適宜選定されることが好ましい。
中でも、例えば図2に示した如く、該メッキ槽45の底面に形成される抜液口46の部位としては、該メッキ槽45の底面が凹凸面を有する場合には、メッキ液を抜液する抜液口の高さが他の部位と連続して最も低い部位であることが望ましい。その典型例としては、前記メッキ槽45の底面を傾斜面とすることが好ましく、前記抜液口46をその最も低い部位に形成する。
ここで、図2は、図3に示したメッキ槽並びに付帯設備の他の実施例であるメッキ工程を概略で示す説明図である。この実施例にあっても、電気メッキ槽45中に浮遊する毛羽は、巨視的に見た場合、上部から下部に向かうメッキ液44の流れに沿って下方に流動し、メッキ槽45の底面に堆積する。本実施例にあっては、図2に示すようにメッキ槽の底面が上下にジグザグ状の傾斜面を有しており、最も低い部位が2箇所に作られている。この最も低い部位に、それぞれメッキ液抜液口46を形成している。その結果、メッキ液中を底面へと流動して堆積される毛羽は、メッキ液の流れに乗って傾斜面に沿って最も低い抜液口46周辺へと移動し、抜液口46の近傍に集合した毛羽が排出されやすくなる。すなわち、炭素繊維に電気メッキにより金属を被覆する工程において、炭素繊維の表面に更に毛羽が付着しにくくなることから、良好に、かつ安定的に金属被覆炭素繊維を得ることができる。
更に本実施例にあっては、、図2に示す如く、この抜液されたメッキ液を、オーバーフロー口51を有する一時保液槽50に流入させ、該オーバーフロー口51より流出したメッキ液を貯留槽52に一時的に貯留させ、再び電気メッキ槽45に流入させている。すなわち、前記抜液口46に接続された抜液管路Aの途中に保液槽50を配しており、その下流側には更に貯留槽52が配されている。前記一時保液槽50の上部にオーバーフロー口51が形成されており、同オーバーフロー口51まで上昇したメッキ液44は、同オーバーフロー口51から溢れて貯留槽52へと流入する。この貯留槽52の底部付近にはポンプ47を介して上記メッキ槽45の上部又は上方に配されたメッキ液注入口又は注入部49に接続するメッキ液供給管路Bが配されている。
また、図示例では前記メッキ液供給管路Bの前記ポンプ47の下流側に、フィルター48が配されており、ポンプ47で汲み出されたメッキ液中の異物を除去している。このフィルター48の設置位置は、図示のように前記ポンプ47の下流側に限定されるものではなく、例えばメッキ槽45の下方から抜液されたメッキ液44の抜液と同時に排出された毛羽を回収するため、上記抜液管路Aに配設することができる。該フィルタ48は、その種類も限定されず、金網を内蔵する一般的に用いられるフィルタ又は高精密フィルターであってもよく、その濾過目的に応じて適宜採用することが可能である。その他の構成は、上記第1実施例と実質的に変わるところがない。
電気メッキ槽45の抜液口46から抜液されたメッキ液は、所定の位置に設置された一時保液槽50に導入されるが、その一時保液槽50のオーバーフロー口51によって、一時保液槽50内のメッキ液面は常時一定に維持される。このオーバーフロー口50の配設位置は、メッキ槽45中の予め設定されたメッキ液面高さと概ね一致するように、一時保液槽50の設置高さを調節できるようにしている。このように、一時保液槽50の設置高さを調整することで、メッキ槽45中のメッキ液面高さを、特別な制御を行うことなく、維持することができると同時に、メッキ槽45中の毛羽の除去が効率的に行うことができる。なお本実施例にあって、図示は省略しているが、上記抜液口46と前記一時保液槽50との間の抜液管路Aに抜液用ポンプを配設すれば、積極的な抜液と前記一時保液槽50への抜液の供給を積極的に行うことができるようになる。
次に本発明に係わる金属被覆炭素繊維の製造方法の実施例及び比較例について具体的数値をもって詳しく説明する。
炭素繊維束として、繊度8000dTex 、フィラメント数12,000本、サイジング剤が付着していない炭素繊維束(三菱レイヨン(株)パイロフィルTR50S-12K )を用いた。電気メッキ槽は、100mmの高さで底部の中央が最も低い1/4の勾配の付いた傾斜底面形状を有し、直胴部寸法が、長さ800mm、巾520mm、高さが535mmであった。この底部中央の1箇所に、寸法が50φの抜液口を設けた。この抜液口から抜液したメッキ液を三進精製作所製濾過機(型式EA4−マグネットポンプ型式MD−100RM−3Sイワキ製−濾過精度呼称1μmフィルタ付き)で送液し、前記メッキ槽の上方に設置された電極ロール上にシャワーリングし、メッキ液をメッキ槽中に戻した。
炭素繊維束の処理速度を1.5m/min、メッキ前の繊維束幅を5mm、メッキ液を800ml/本、張力0.04cN/dTexとし、4本の電極ロールをもって槽電流30Aにて50mの長さで連続的にメッキを施した。
設備運転中のメッキ槽中の温度を連続的に測定したところ、64±5℃で安定しており、メッキ液の均一な攪拌、置換がなされていることがわかった。
得られた金属被覆炭素繊維の表面には異物等の付着によるメッキの欠陥はなく、良好な品質であった。
比較例1
第3実施例に対し、メッキ液の抜液口の位置を、メッキ槽中の液面付近のオーバーフロー口とし、かつメッキ液の温度や濃度等を均一化させる目的で、メッキ液槽底部から15m3 /m2 hrの割合でエアバブリング(図示せず)を実施する以外は、全て実施例3と同一条件として金属被覆炭素繊維を製作した。
得られた金属被覆炭素繊維の表面には、毛羽が原因と考えられる異物が付着した上にメッキが施されており、製品品質は不良であった。
以上の説明からも理解できるように、本発明の金属被覆炭素繊維の製造方法によれば、炭素繊維束から発生する毛羽を格別の装置を付加することなくメッキ槽中からの除去することにより、メッキ液の組成を安定化せしめるとともに、品質の良い金属被覆炭素繊維を安定的に得ることができる。また、抜液されたメッキ液から毛羽をフィルタにより分離回収することでメッキ液を清浄化し、再度注入口よりメッキ槽に戻されるように付帯設備を配置することにより、原料を効率的に再利用でき、環境汚染をも効果的に排除できる。
本発明の第1実施例であるメッキ槽並びに付帯設備を概略で示す構成説明図である。 本発明の第2実施例であるメッキ槽並びに付帯設備を概略で示す構成説明図である。 金属被覆炭素繊維の製造方法に適用可能な金属メッキ工程の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 炭素繊維束
2 ボビン
3 洗浄槽
4 メッキ工程
11 陽極
41 電極ロール
42 ロール
43 ガイドロール
44 メッキ液
45 メッキ槽
46 抜液口
47 ポンプ
48 フィルタ
49 注入部
50 一時保液槽
51 オーバーフロー口
52 貯留槽

Claims (16)

  1. 連続する炭素繊維を電極ロールを介して電気メッキ槽に連続的に導入し、電気メッキ施す金属被覆炭素繊維の製造方法であって、
    電気メッキ槽中のメッキ液を上方から下方に向けて積極的に流動させること、及び
    前記電気メッキ槽の底面が傾斜して形成され、その傾斜面の下傾斜端部に配されたメッキ液抜液口からメッキ液を抜液すること、を含んでなることを特徴とする金属被覆炭素繊維の製造方法。
  2. メッキ液を電気メッキ槽の上部から注入するとともに、同メッキ槽の下部から抜液することを含んでなる請求項1に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  3. メッキ液を、前記電気メッキ槽の上部側面部に配されたメッキ液注入口から注入するとともに、同メッキ槽の下部側面部に配されたメッキ液抜液口から抜液することを含んでなる請求項2に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  4. メッキ液を電気メッキ槽の液面上方に配されたメッキ液注入部から注入するとともに、同メッキ槽の下部に配されたメッキ液抜液口から抜液することを含んでなる請求項1に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  5. 前記抜液されたメッキ液を、貯留槽を介して再び前記電気メッキ槽の上部に注入する請求項3又は4に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  6. 前記メッキ液抜液口と前記貯留槽との間にオーバーフロー口を有する一時保液槽を有し、メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液を一旦前記一時保液槽に保液させたのち、前記オーバーフロー口を介して前記貯留槽に貯留し、同貯留層に貯留されているメッキ液を再び前記メッキ槽の上部に戻すことを含んでなる請求項5に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  7. 前記メッキ液抜液口から抜液されたメッキ液をフィルターを通して濾過することを含んでなる請求項3〜6のいずれかに記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  8. 前記メッキ液貯留槽に新たなメッキ液を供給することを含んでなる請求項6又は7に記載の金属被覆炭素繊維の製造方法。
  9. 炭素繊維が第一電極ロールを介して電気メッキ槽に連続的に導入され電気メッキを施す金属被覆炭素繊維の製造装置であって、
    電気メッキ槽中のメッキ液を積極的に上方から下方に向けて流動させる流動手段を備え、前記電気メッキ槽の底面が傾斜して形成され、その傾斜面の下傾斜端部にメッキ液抜液口を有してなることを特徴とする金属被覆炭素繊維の製造装置。
  10. メッキ液の前記流動手段が、電気メッキ槽の上部に配されたメッキ液注入口と、同電気メッキ槽の下部に配されたメッキ液抜液口とを有してなる請求項9に記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  11. メッキ液の前記流動手段が、電気メッキ槽のメッキ液の液面上方に配されたメッキ液注入部と、同電気メッキ槽の下部に配されたメッキ液抜液口とを有してなる請求項9に記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  12. 前記メッキ液注入口と前記メッキ液抜液口とを直線で結んだ距離が300mm以上である請求項10又は11に記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  13. 前記メッキ液抜液口に接続され抜液後のメッキ液を貯留する貯留槽と、同貯留槽と上記メッキ液導入口又はメッキ液導入部との間を接続するメッキ液管路に配された液体ポンプとを有してなる請求項10〜12のいずれかに記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  14. 前記メッキ液抜液口と前記貯留槽との間に、オーバーフロー口を有する一時保液槽を更に有し、前記メッキ液抜液口と前記一時保液槽とを配管にて接続するとともに、前記一時保液槽のオーバーフロー口と前記貯留槽とを配管にて接続してなることを含んでなる請求項10〜13のいずれかに記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  15. 前記メッキ液抜液口と前記貯留槽との間にフィルター装置を有してなる請求項13又は14に記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
  16. 前記メッキ液貯留槽が新たなメッキ液を供給管路に接続されてなる請求項13〜15のいずれかに記載の金属被覆炭素繊維の製造装置。
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