JP4390230B2 - バッカチン誘導体及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はバッカチン誘導体及びその製造方法に関し、詳しくは7位及び10位の水酸基を保護したバッカチンに対してβ−ケトエステルを結合させた一般式(I)で表されるバッカチン誘導体及びその製造方法に関する。この物質は、パクリタクセルなどのタキソイド化合物を調製するために有用である。
【0002】
【従来の技術】
パクリタクセル(商品名、タキソール)は、イチイから採取される抗ガン剤の1種であり、とりわけ乳ガンや肺がんに効能があることが知られている。しかし、イチイから採取されるパクリタクセルはごく少量であり、樹皮をはがすことから森林の破壊が問題となっている。
一方、イチイの葉から採取される10−デアセチルバッカチンIIIは、再採取が可能であり、パクリタクセルやその誘導体であるドセタクセル(商品名、タキソテール)の前駆体として有用である。
該物質の合成法は半合成法として知られており、これまでに(a)βラクタムを使用する方法(ヨーロッパ特許第0400971号)、(b)オキサゾリン化合物を使用する方法(特表平7−504444号)、(c)チオエステル化合物を使用する方法(特表平10−505360号)、(d)ケイ皮酸を使用する方法(テトラヘドロン、第42巻、4451頁(1986年))等が報告されている。これらの方法は、バッカチンの無保護の13位の水酸基にカルボン酸化合物を結合させるエステル化反応もしくは活性化したカルボン酸(チオエステル)を用いたエステル化反応である。
【0003】
一般にエステル化合物を調製するには、ピリジンや4−ジメチルアミノピリジンなどの塩基存在下、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドなどの縮合剤を用いてカルボン酸化合物とアルコール化合物を結合させる方法や酸無水物・酸ハロゲン化物を用いる方法、酸触媒などを用いたエステル交換反応などで行なうことができる。
【0004】
これまでに、13位の水酸基上に側鎖部分を導入する反応は、上記の様にカルボン酸及び活性化カルボン酸(チオエステル)を結合させる方法のみであり、側鎖部分の前駆体としてのエステル化合物をエステル交換反応により13位の水酸基に導入する方法の報告はなかった。側鎖部分の前駆体としてのエステル化合物を導入することにより、これまでの側鎖部分とは官能基の異なる化合物の調製が容易となり、これまでとは異なる生理活性を有する化合物を得る可能性が示唆される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情を鑑み、本発明者らはエステル交換反応による側鎖部分前駆体の導入方法について研究を重ね、バッカチンの13位の水酸基にβ−ケトエステルをエステル結合により結合させたバッカチン誘導体及びその製造法の開発を試みた。
その結果、スズ化合物もしくはアミン塩基のいずれかの存在下、好ましくは減圧条件においてバッカチンにβ−ケトエステルを反応させると、β−ケトエステルがエステル交換反応によりエステル結合することを見いだし、本発明に到達したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、一般式(I)で表されるバッカチン誘導体である。
【化3】
【0007】
(式中、R1及びR2はトリエチルシリル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、アリルオキシカルボニル基のいずれか1つを、R3はフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、2−フリル基、シクロヘキシル基、シクロプロパニル基のいずれか1つを示し、Bzはベンゾイル基を示す。)
請求項2記載の本発明は、前記R 1 がトリエチルシリル基、R 2 はアセチル基又はアリルオキシカルボニル基である、請求項1記載のバッカチン誘導体である。
請求項3記載の本発明は、一般式(II)で表されるバッカチンをスズ化合物もしくはアミン塩基の存在下でβ−ケトエステルと反応させることを特徴とする請求項1記載の一般式(I)で表されるバッカチン誘導体の製造方法である。
【0008】
【化4】
(式中、R1及びR2はトリエチルシリル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、アリルオキシカルボニル基のいずれか1つを示し、Bzはベンゾイル基を示す。)
【0009】
請求項4記載の本発明は、前記R 1 がトリエチルシリル基、R 2 はアセチル基又はアリルオキシカルボニル基である、請求項3記載の製造方法である。
請求項5記載の本発明は、反応を減圧下で行なう請求項3又は4記載の製造方法である。
請求項6記載の本発明は、前記一般式(II)で表されるバッカチンが、イチイの葉より採取される10−デアセチルバッカチンIIIである、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明に使用するバッカチンは、イチイの葉より採取される10−デアセチルバッカチンIII及びその類縁体もしくは低分子量の化合物から合成によって得られる化合物を使用することができる。とりわけ10−デアセチルバッカチンIIIが本発明を効率的に達成するのに適している。
本発明に使用する保護基を導入した10−デアセチルバッカチンIIIは、前記一般式(II)によって表される。
【0011】
上記式中における水酸基の保護基としては、例えば「日本化学会編、新実験化学講座、14、有機合成V、第11−1章」に記載されている保護基が挙げられる。具体的にはトリエチルシリル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、アリルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0012】
次に、本発明に使用するβ−ケトエステルは、以下の式によって表される。
【化5】
【0013】
(式中、R3は無置換もしくは置換フェニル基、無置換もしくは置換フリル基、無置換もしくは置換ピリジニル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基、環状アルキル基、チエニル基の内のいずれか1つであり、好ましくはフェニル基、p−メトキシフェニル基、2−フリル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−フルオロフェニル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、R4はカルボキシル基とエステルを形成するアルコールの母核であり、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アリル基などが挙げられる。)
【0014】
β−ケトエステルは、市販品を用いてもよいが、酸塩化物とアセト酢酸メチルを反応させて調製することができ、この場合の酸塩化物としては、一般的なカルボン酸と塩化オキサリルの反応により得られるものである。カルボン酸として具体的にはメトキシ安息香酸、モノフルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、トリフルオロメチル安息香酸などがある。
本発明に用いられるβ−ケトエステルとしては、例えばp−メトキシベンゾイル酢酸メチル、o−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル、m−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル、p−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル、o−フルオロベンゾイル酢酸メチル、m−フルオロベンゾイル酢酸メチル、2−フラノイル酢酸メチル、シクロヘキサノイル酢酸メチルなどがある。
【0015】
バッカチンとβ−ケトエステルの反応は、β−ケトエステルを過剰量(10〜30当量)用いることにより、他の溶媒を加えることなく行なうことができる。しかし、必要に応じて他の溶媒の存在下に反応を行なうこともでき、その際に用いる溶媒としては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、シメンなどの高沸点溶媒がある。
【0016】
また、この反応はスズ化合物もしくはアミン塩基の存在下で行なわれる。前記化合物以外にもチタン酸テトライソプロピルのような一般的にエステル交換反応で使用されるチタン化合物を用いても、低収率で多量の副生成物が存在するものの、目的とする化合物を得ることができる。スズ化合物としては1−クロロ−3−ヒドロキシ−テトラブチルジスタノキサン、1,3−ジクロロテトラブチルジスタノキサンなど、また、アミン塩基としては4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリ−n−オクチルアミンなどが挙げられる。スズ化合物はバッカチンに対して0.5〜2%、好ましくは1%、アミン塩基はバッカチンに対して0.5〜2当量、好ましくは1当量を加えて反応を行なうことができる。
さらに、バッカチンとβ−ケトエステルの反応は常圧下で行なうこともできるが、低収率及び副生成物の生成のため、アスピレーターや真空ポンプ等の減圧装置を用いて、0.5〜40mmHgの減圧条件で行なうことが好ましい。とりわけ、無溶媒で反応を行なう時は0.5〜1mmHg、溶媒を加える時は30〜40mmHgの条件が好適である。反応は、80〜120℃、好ましくは90℃で1.5〜24時間、好ましくは2.5〜5時間行なう。
なお、過剰量のβ−ケトエステルは、減圧するためのライン上でトラップすることにより回収され、再利用が可能である。
【0017】
以下に、バッカチンとして10−デアセチルバッカチンIIIを使用した場合を代表例として、本発明を具体的に説明する。
7位及び10位の水酸基を保護した10−デアセチルバッカチンIIIは、下記の反応工程Iによって製造することができる。
【0018】
【数1】
【0019】
10−デアセチルバッカチンIII(化合物(1))に塩化トリエチルシリル、イミダゾール及び塩化メチレンを加え、0〜100℃、好ましくは20℃にて0.5〜100時間、好ましくは3時間反応させて、7位の水酸基を保護した10−デアセチルバッカチンIII(化合物(2))を得る。
該化合物(2)に、塩化ベンジルオキシカルボニル、4−ジメチルアミノピリジン及び塩化メチレンを加え、−20〜30℃、好ましくは0℃にて0.5〜100時間、好ましくは14時間反応させて、10位にベンジルオキシカルボニル基を導入した化合物(3)を得る。
【0020】
7位及び10位の水酸基を保護した10−デアセチルバッカチンIIIの13位の水酸基にエステル交換反応によりβ−ケトエステルを導入した一般式(I)で表される化合物は、下記の反応工程IIによって製造することができる。
【0021】
【数2】
【0022】
7位及び10位の水酸基を保護した10−デアセチルバッカチンIII、すなわち化合物(3)にβ−ケトエステルとスズ化合物もしくはアミン塩基を加え、減圧下80〜120℃、好ましくは90℃にて1.5〜24時間、好ましくは5時間反応させて、エステル化合物(化合物(4))を得る。
【0023】
本発明で得られるバッカチン誘導体を原料として用い、数工程を経てタキソイド化合物を調製することができる。
得られるタキソイド誘導体としてはパクリタクセルやドセタクセルの他、側鎖部分の3’位にフェニル基以外の官能基を有する化合物、3’位のアミノ基上にベンゾイル基やt−ブトキシカルボニル基以外の官能基を有する化合物、7位や10位の水酸基に種々のアシル基が結合した化合物などを得ることができ、これまでに知られている化合物とは異なる抗腫瘍活性を有する化合物を得ることが期待できる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1 (β−ケトエステルの製造)
テトラヒドロフラン100mlに分散させた水素化ナトリウム4.4gに、0℃にてアセト酢酸メチル5.4mlを加えた。30分後、そのまま0℃にてテトラヒドロフラン10mlに溶解させた塩化p−メトキシベンゾイル9.4gを加えた後、3時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液とメタノールを加えた後、抽出・精製することにより所望のβ−ケトエステルを得た。
この化合物を重クロロホルムに溶解し、1H-NMRで解析し、それぞれのピークを帰属して構造を決定し、下記の構造式で表されるβ−ケトエステルであることを確認した。
【0025】
【化6】
【0026】
p−メトキシベンゾイル酢酸メチルの1H-NMR(500MHz、CDCl3)
3.75 (0.95H*3, s), 3.79 (0.05H*3, s), 3.85 (0.05H*3, s), 3.88 (0.95H*3, s), 3.96 (0.95H*2, s), 6.90-7.00 (2H, m), 7.72-7.78 (0.05H*2, m), 7.90-7.99 (0.95H*2, m), 12.55 (0.05H, s)
【0027】
実施例1 (7−トリエチルシリル−10−ベンジルオキシカルボニル−13−(3−フェニル−3−ケト−プロパノイル)−バッカチンIIIの製造)
10−デアセチルバッカチンIII(1)を常法により7位の水酸基をトリエチルシリル基、10位の水酸基をベンジルオキシカルボニル基で保護した化合物(化合物(3)、C43H56O12Si、分子量792.99)1.586gに、ベンゾイル酢酸エチルエステル6.9mlと1−クロロ−3−ヒドロキシ−テトラブチルジスタノキサン11mgを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で3時間反応させた後、過剰のベンゾイル酢酸エチルエステルをクーゲルロール蒸留装置を用いて留去した。
残分をシリカゲルカラムにて精製しエステル化合物1.901g(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
この化合物を重クロロホルムに溶解し、1H-NMRで解析し、それぞれのピークを帰属して構造を決定し、反応工程IIの化合物(4)として示した構造式で表されるものであることを確認した。
【0028】
エステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
σ(ppm)
12.51 (0.30H, s), 8.03-8.12 (2H, m), 7.95-8.03 (0.70H*2, m), 7.78-7.85 (0.30H*2, m), 7.30-7.68 (11H, m), 6.32 (0.30H, s), 6.27 (0.70H, s), 6.19-6.30 (1H, m),5.75 (0.30H, s), 5.63-5.72 (1H, m), 5.17, 5.24 (0.30H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.16-5.22 (0.70H*2, ABq, J=12.2 Hz), 4.97 (0.30H, bd, J=8.3 Hz), 4.92 (0.70H, bd, J=7.9 Hz), 4.50 (0.30H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.45 (0.70H, dd, J=10.7, 6.7 Hz), 4.26-4.33 (1H, m), 4.09-4.20 (1H+0.70H*2, m), 3.84 (0.30H, d, J=6.7 Hz), 3.79 (0.70H, d, J=7.0 Hz), 2.48-2.59 (1H, m), 2.20-2.44 (2H, m), 2.37 (0.30H*3, s), 2.23 (0.70H*3, s), 2.14 (0.30H*3, d, J=0.9 Hz), 2.01 (0.70H*3, d, J=0.9 Hz), 1.85-1.95 (1H, m), 1.71 (0.30H*3, s), 1.69 (0.70H*3, s), 1.22 (0.30H*3, s), 1.20 (0.70H*3, s), 1.19 (0.30H*3, s), 1.17 (0.70H*3, s), 0.86-0.95 (9H, m), 0.52-0.63 (6H, m)
【0029】
実施例2
スズ化合物として1、3−ジクロロテトラブチルジスタノキサンを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)238mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル1.03ml及び1,3−ジクロロテトラブチルジスタノキサン3mgを加えて90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で3時間反応させた後、過剰のベンゾイル酢酸エチルエステルをクーゲルロール蒸留装置を用いて留去した。
残分をシリカゲルカラムにて精製しエステル化合物252mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。この化合物は、1H-NMRによる解析でも実施例1で得られた化合物と同一であることが示された。
【0030】
実施例3
実施例1の1−クロロ−3−ヒドロキシ−テトラブチルジスタノキサンの代わりにアミン塩基として4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を使用して化合物(4)を製造した。
実施例1の化合物(3)396mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル1.72ml及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)61mgを加えて90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で5.5時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物449mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。この化合物は、1H-NMRによる解析でも実施例1で得られた化合物と同一であることが示された。
【0031】
実施例4、5
実施例3ではバッカチンの10位はベンジルオキシカルボニル基であったが、アセチル基やアリルオキシカルボニル基でも同様の反応を行なうことができることを示す。
7位をトリエチルシリル基、10位をアセチル基もしくはアリルオキシカルボニル基で保護したバッカチン(0.3mmol)に、ベンゾイル酢酸エチルエステル1.03ml、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)36mgを加えて90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で3時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物を得た。収量、1H-NMRなどの測定結果は次の通りである。
【0032】
(実施例4:10位の保護基がアセチル基であるバッカチンを使用)
収量:231mg、収率:90.9%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0033】
【化7】
【0034】
σ(ppm)
12.51 (0.4H, s), 8.08 (2H, d, J=8.2 Hz), 7.96-8.02 (0.6H*2, m), 7.79-7.83 (0.4H*2, m), 7.43-7.68 (6H, m), 6.49 (0.4H, s), 6.44 (0.6H, s), 6.18-6.30 (1H, m), 5.75 (0.4H, s), 5.63-5.72 (1H, m), 4.98 (0.4H, d, J=7.9 Hz), 4.93 (0.6H, d, J=7.9 Hz),4.51 (0.4H, dd, J=6.7, 10.7 Hz), 4.46 (0.6H, dd, J=6.7, 10.6 Hz), 4.26-4.33 (1H, m), 4.09-4.20 (1H+0.6H*2, m), 3.87 (0.4H, d, J=7.0 Hz), 3.82 (0.6H, d, J=7.1 Hz), 2.47-2.60 (1H, m), 2.15-2.43 (2H, m), 2.37 (0.4H*3, s), 2.23 (0.6H*3, s), 2.19 (0.4H*3, s), 2.17 (0.6H*3, s), 2.12 (0.4H*3, d, J=0.9 Hz), 1.99 (0.6H*3, d, J=0.9 Hz), 1.70 (0.4H*3, s), 1.68 (0.6H*3, s), 1.25 (0.4H*3, s), 1.22 (0.6H*3, s), 1.20 (0.4H*3, s), 1.18 (0.6H*3, s), 0.88-0.98 (9H, m), 0.53-0.65 (6H, m)
【0035】
(実施例5:10位の保護基がアリルオキシカルボニル基であるバッカチンを使用)
収量:257mg、収率:96.3%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0036】
【化8】
【0037】
σ(ppm)
12.51 (0.3H, s), 8.03-8.12 (2H,m), 7.94-8.03 (0.7H*2, m), 7.77-7.85 (0.3H*2, m), 7.44-7.70 (6H, m), 6.31 (0.3H, s), 6.18-6.31 (1H, m), 6.25 (0.7H, s), 5.90-6.01 (1H, m), 5.75 (0.3H, s), 5.65-5.71 (1H, m), 5.35-5.42 (1H, m), 5.24-5.32 (1H, m), 4.98 (0.3H, d, J=6.3 Hz), 4.92 (0.7H, d, J=6.2 Hz), 4.59-4.72 (2H, m), 4.50 (0.3H, dd, J=6.7, 10.7 Hz), 4.45 (0.7H, dd, J=6.7, 10.4 Hz), 4.26-4.34 (1H, m), 4.09-4.20 (1H+0.7H*2, m), 3.84 (0.3H, d, J=7.1 Hz), 3.79 (0.7H, d, J=7.0 Hz), 2.48-2.58 (1H, m), 2.20-2.44 (2H, m), 2.37 (0.3H*3, s), 2.24 (0.7H*3, s), 2.13 (0.3H*3, bs), 2.00 (0.7H*3, bs), 1.86-1.95 (1H, m), 1.71 (0.3H*3, s), 1.69 (0.7H*3, s), 1.24 (0.3H*3, bs), 1.22 (0.7H*3, bs), 1.21 (0.3H*3, s), 1.20 (0.7H*3, s), 0.88-0.98 (9H, m), 0.54-0.64 (6H, m)
【0038】
実施例6
アミン塩基として4−ピロリジノピリジンを用いたこと以外は実施例3と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)79mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル343μl及び4−ピロリジノピリジン15mgを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で3時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物82mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0039】
実施例7
アミン塩基としてN,N−ジメチルアニリンを用いたこと以外は実施例3と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)79mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル343μl及びN,N−ジメチルアニリン13μlを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で2.5時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物84mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0040】
実施例8
アミン塩基としてトリ−n−オクチルアミンを用いたこと以外は実施例3と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)79mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル343μlとトリ−n−オクチルアミン44μlを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で2.5時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物102mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0041】
実施例9
アミン塩基として1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)を用いたこと以外は実施例3と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)79mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル343μlとDBU15μlを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で2.5時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物82mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0042】
実施例10
アミン塩基としてイミダゾールを用いたこと以外は実施例3と同様にして反応を行なった。
実施例1の化合物(3)79mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル343μlとイミダゾール7mgを加え、90℃、減圧条件(0.5mmHg)下で3時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物76mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0043】
実施例11
実施例1では無溶媒であったが、この例では溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテルを用いて反応を行った。
実施例1の化合物(3)396mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル430μl、実施例1と同じスズ化合物5mg及びジエチレングリコールジメチルエーテル2mlを加え、90℃、減圧条件(0.5〜1mmHg)下で15時間反応させた後、過剰のベンゾイル酢酸エチルエステルをクーゲルロール蒸留装置を用いて留去した。残分をシリカゲルカラムにて精製しエステル化合物434mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0044】
実施例12
溶媒としてp−シメンを用いて反応を行った。
実施例1の化合物(3)396mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル430μl、実施例1と同じスズ化合物5mg及びp−シメン2mlを加え、90℃、減圧条件(30〜40mmHg)下で11時間反応させた後、過剰のベンゾイル酢酸エチルエステルをクーゲルロール蒸留装置を用いて留去した。残分をシリカゲルカラムにて精製しエステル化合物460mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
【0045】
実施例13
溶媒としてトリエチレングリコールジメチルエーテルを用いて反応を行った。実施例1の化合物(3)396mgに、ベンゾイル酢酸エチルエステル430μl、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)61mg及びトリエチレングリコールジメチルエーテル0.2mlを加え、90℃、減圧条件(30〜40mmHg)下で5時間反応させた後、反応溶液を1N−塩酸水溶液中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重曹水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルカラムにて精製しエステル化合物417mg(化合物(4)、C52H62O14Si、分子量939.14)を得た。
なお、実施例6−13で得られた化合物の1H-NMRは、実施例1で得られた化合物と同一であることが示された。
【0046】
実施例14−20
β−ケトエステルとして、ベンゾイル酢酸エチルエステル以外の種々のβ−ケトエステルを用いて所望の化合物を製造した。以下に種々のβ−ケトエステルを用いた場合の収率等を示す。
実施例1の化合物(3)396mgに、β−ケトエステル(化合物(3)に対して5当量)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)61mg及びトリエチレングリコールジメチルエーテル0.2mlを加え、90℃、減圧条件(30〜40mmHg)下で5時間反応させて、各種バッカチン誘導体を得た。収量、1H-NMRなどは次の通りである。
【0047】
(実施例14:p−メトキシベンゾイル酢酸メチル)
収量:379mg、収率:78.1%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0048】
【化9】
【0049】
σ(ppm)
12.56 (0.2H, s), 8.03-8.12 (2H, m), 7.93-8.00 (0.8H*2, m), 7.75-7.79 (0.2H*2, m), 7.57-7.64 (1H, m), 7.14-7.52 (7H, m), 6.95-7.02 (2H, m), 6.32 (0.2H, s), 6.27 (0.8H, s), 6.17-6.30 (1H, m), 5.62-5.70 (1H, m), 5.17, 5.24 (0.2H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.14, 5.23 (0.8H*2, ABq, J=12.2 Hz), 4.98 (0.2H, bd, J=9.8 Hz), 4.92 (0.8H, bd, J=7.9 Hz), 4.50 (0.2H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.45 (0.8H, dd, J=10.7, 6.7 Hz), 4.26-4.33 (1H, m), 4.13-4.20 (1H, m), 4.06, 4.11 (0.8H*2, ABq, J=15.2 Hz), 3.90 (0.8H*3, s), 3.88 (0.2H*3, s), 3.84 (0.2H, d, J=6.7 Hz), 3.79 (0.8H, d, J=6.7 Hz), 2.48-2.58 (1H, m), 2.37 (0.2H*3, s), 2.25 (0.8H*3, s), 2.13 (0.2H*3, d, J=1.2 Hz), 2.02 (0.8H*3, d, J=1.2 Hz), 1.85-1.94 (1H, m), 1.71 (0.2H*3, s), 1.69 (0.8H*3, s), 1.22 (0.2H*3, s), 1.18-1.22 (1H, m), 1.17 (0.8H*3, s), 0.86-0.97 (9H, m),0.52-0.63 (6H, m)
【0050】
(実施例15:o−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル)
収量:397mg、収率:78.8%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0051】
【化10】
【0052】
σ(ppm)
12.37 (0.70H, s), 8.05-8.12 (2H, m), 7.78 (1H, d, J=7.3 Hz), 7.55-7.78 (4H, m), 7.30-7.51 (7H, m), 6.30 (0.70H, s), 6.28 (0.30H, s), 6.18-6.27 (1H, m), 5.65-5.71 (1H, m), 5.41 (0.70H, s), 5.24, 5.17 (0.70H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.23, 5.16 (0.30H*2, ABq, J=12.2 Hz), 4.94 (1H, bd, J=9.5 Hz), 4.47 (1H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.30 (1H, bd, J=8.5 Hz), 4.18 (1H, bd, J=8.5 Hz), 4.10, 3.98 (0.30H*2, ABq, J=15.9 Hz), 3.77-3.85 (1H, m), 2.48-2.57 (1H, m), 2.35-2.44 (0.70H, m), 2.28 (0.30H*3, s), 2.27 (0.70H*3, s), 2.24-2.32 (0.70H+0.30H*2, m), 2.10-2.13 (0.70H*3, m), 2.05-2.08 (0.30H*3, m), 1.86-1.93 (1H, m), 1.70 (0.70H*3, s), 1.69 (0.30H*3, s), 1.23 (0.70H*3, bs), 1.20 (0.7H*3+0.3H*3, s), 1.16 (0.30H*3, s), 0.87-0.96 (9H, m), 0.52-0.63 (6H, m)
【0053】
(実施例16:m−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル)
収率:284mg、収率:56.3%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0054】
【化11】
【0055】
σ(ppm)
12.50 (0.55H, s), 8.24 (0.45H, bs), 8.18 (0.45H, bd, J=8.0 Hz), 8.05-8.12 (2H, m), 8.05 (0.55H, bs), 7.98 (0.55H, bd, J=8.0 Hz), 7.92 (0.45H, bd, J=7.9 Hz), 7.79 (0.55H, bd, J=8.0 Hz), 7.70 (0.45H, t, J=7.9 Hz), 7.56-7.65 (1H+0.55H, m), 7.30-7.51 (7H, m), 6.32 (0.55H, s), 6.27 (0.45H, s), 6.19-6.30 (1H, m), 5.78 (0.55H, s), 5.65-5.71 (1H, m), 5.24, 5.17 (0.55H*2, ABq, J=12.3 Hz), 5.23, 5.16 (0.45H*2, ABq, J=12.0 Hz), 4.97 (0.55H, bd, J=8.3 Hz), 4.92 (0.45H, bd, J=8.0 Hz), 4.50 (0.55H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.45 (0.45H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.28-4.35 (1H, m), 4.19, 4.13 (0.55H*2, ABq, J=15.4 Hz), 4.13-4.19 (1H, m), 3.84 (0.55H, d, J=7.0 Hz), 3.79 (0.45H, d, J=7.1 Hz), 2.48-2.60 (1H, m), 2.35-2.44 (1H, m), 2.36 (0.55H*3, s), 2.23-2.32 (1H, m), 2.27 (0.45H*3, s), 2.15 (0.55H*3, d, J=1.2 Hz), 2.03 (0.45H*3, d, J=1.2 Hz), 1.86-1.94 (1H, m), 1.71 (0.55H*3, s), 1.69 (0.45H*3, s), 1.23 (0.45H*3, s), 1.21 (0.45H*3, s), 1.20 (0.55H*3, s), 1.17 (0.55H*3, s), 0.88-0.94 (9H, m), 0.53-0.61 (6H, m)
【0056】
(実施例17:p−トリフルオロメチルベンゾイル酢酸メチル)
収量:362mg、収率:71.8%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0057】
【化12】
【0058】
σ(ppm)
12.51 (0.60H, s), 8.11 (0.40H*2, d, J=8.2 Hz), 8.05-8.10 (2H, m), 7.92 (0.60H*2, d, J=8.8 Hz), 7.81 (0.40H*2, d, J=8.2 Hz), 7.73 (0.60H*2, d, J=8.8 Hz), 7.57-7.64 (1H, m), 7.32-7.52 (7H, m), 6.32 (0.60H, s), 6.27 (0.40H, s), 6.20-6.30 (1H, m), 5.79 (0.60H, s), 5.65-5.71 (1H, m), 5.24, 5.17 (0.60H*2, ABq, J=12.3 Hz), 5.22, 5.16 (0.40H*2, ABq, J=12.1 Hz), 4.97 (0.60H, bd, J=8.3 Hz), 4.93 (0.40H, bd, J=8.0 Hz), 4.50 (0.60H, dd, J=10.6, 6.9 Hz), 4.45 (0.40H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.29-4.34 (1H, m), 4.18, 4.13 (0.4H*2, ABq, J=15.6 Hz), 4.12-4.20 (1H, m), 3.84 (0.60H, d, J=6.7 Hz), 3.79 (0.40H, d, J=7.0 Hz), 2.48-2.59 (1H, m), 2.23-2.44 (2H, m), 2.36 (0.60H*3, s), 2.26 (0.40H*3, s), 2.15 (0.60H*3, bd, J=1.2 Hz), 2.03 (0.40H*3, bd, J=1.2 Hz), 1.86-1.95 (1H, m), 1.71 (0.60H*3, s), 1.69 (0.40H*3, s), 1.22 (0.60H*3, s), 1.204 (0.40H*3, s), 1.200 (0.60H*3, s), 1.17 (0.40H*3, s), 0.87-0.95 (9H, m), 0.53-0.61 (6H, m)
【0059】
(実施例18:m−フルオロベンゾイル酢酸メチル)
収量:367mg、収率:76.6%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0060】
【化13】
【0061】
σ(ppm)
12.49 (0.50H, s), 8.03-8.12 (2H, m), 7.74-7.79 (0.50H, m), 7.66-7.72 (0.50H, m), 7.30-7.64 (11H, m), 6.32 (0.50H, s), 6.27 (0.50H, s), 6.19-6.30 (1H, m), 5.73 (0.50H, s), 5.63-5.71 (1H, m), 5.24, 5.17 (0.50H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.23, 5.16 (0.50H*2, ABq, J=12.1 Hz), 4.97 (0.50H, bd, J=8.0 Hz), 4.92 (0.50H, bd, J=7.9 Hz), 4.50 (0.50H, dd, J=10.6, 6.6 Hz), 4.45 (0.50H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.27-4.34 (1H, m), 4.08-4.20 (3H, m), 3.84 (0.50H, d, J=6.7 Hz), 3.79 (0.50H, d, J=6.7 Hz), 2.48-2.59 (1H, m), 2.20-2.43 (2H, m), 2.36 (0.50H*3, s), 2.25 (0.50H*3, s), 2.14 (0.50H*3, d, J=1.3 Hz), 2.02 (0.50H*3, d, J=1.4 Hz), 1.86-1.94 (1H, m), 1.79 (0.50H*3, s), 1.69 (0.50H*3, s), 1.22 (0.50H*3, s), 1.20 (0.50H*3, s), 1.19 (0.50H*3, s), 1.18 (0.50H*3, s), 0.86-0.95 (9H, m), 0.52-0.63 (6H, m)
【0062】
(実施例19:2−フラノイル酢酸メチル)
収量:224mg、収率:48.2%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0063】
【化14】
【0064】
σ(ppm)
12.03 (0.15H, s), 8.03-8.12 (2H, m), 7.13-7.68 (12H, m), 6.62 (0.85H, dd, J=3.7, 1.9 Hz), 6.56 (0.15H, dd, J=3.6, 1.8 Hz), 6.31 (0.15H, s), 6.27 (0.85H, s), 6.18-6.30 (1H, m), 5.71 (0.15H, s), 5.65-5.70 (1H, m), 5.23, 5.16 (0.15H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.22, 5.15 (0.85H*2, ABq, J=12.1 Hz), 4.98 (0.85H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.97 (0.15H, bd, J=9.8 Hz), 4.93 (0.85H, bd, J=8.3 Hz), 4.84 (0.15H, d, J=7.0 Hz), 4.80 (0.85H, d, J=7.0 Hz), 4.50 (0.15H, dd, J=10.4, 6.4 Hz), 4.27-4.35 (1H, m), 4.13-4.20 (1H, m), 4.04, 3.94 (0.85H*2, ABq, J=15.5 Hz), 2.47-2.57 (1H, m), 2.37 (0.15H*3, s), 2.29 (0.85H*3, s), 2.20-2.40 (2H, m), 2.12 (0.15H*3, bs), 2.04 (0.85H*3, bs), 1.85-1.93 (1H, m), 1.72 (0.15H*3, bs), 1.71 (0.85H*3, bs), 1.23 (0.15H*3, s), 1.22 (0.85H*3, s), 1.20 (0.15H*3, s), 1.19 (0.85H*3, s), 0.88-0.95 (9H, m), 0.52-0.62 (6H, m)
【0065】
(実施例20:シクロヘキサノイル酢酸メチル)
収量:279mg、収率:59.0%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0066】
【化15】
【0067】
σ(ppm)
12.06 (0.4H, s), 8.03-8.12 (2H, m), 7.57-7.63 (1H, m), 7.43-7.51 (2H, m), 7.31-7.43 (5H, m), 6.30 (0.4H, s), 6.28 (0.6H, s), 6.22 (0.6H, bt, J=8.4 Hz), 6.14 (0.4H, bt, J=8.6 Hz), 5.66 (1H, d, J=7.0 Hz), 5.16, 5.23 (2H, ABq, J=12.2 Hz), 5.05 (0.4H, s), 4.90-4.99 (1H, m), 4.42-4.51 (1H, m), 4.26-4.33 (1H, m), 4.16 (1H, d, J=8.5 Hz), 3.81 (0.4H, d, J=7.4 Hz), 3.78 (0.6H, d, J=7.0 Hz), 3.56, 3.66 (0.6H*2, ABq, J=15.5 Hz), 2.66 (0.6H*3, bs), 2.48-2.57 (2H, m), 2.32 (0.4H*3, s), 2.26 (0.6H*3, s), 2.15-2.35 (2H, m), 2.09 (0.4H*3, bs), 1.78-1.95 (5H, m), 1.70 (0.4H*3, s), 1.69 (0.6H*3, s), 1.59-1.74 (3H, m), 1.25-1.43 (3H, m), 1.20 (3H, bs), 1.17 (3H, bs), 0.87-0.95 (9H, m), 0.53-0.62 (6H, m)
【0068】
実施例21−23
実施例14−20では、溶媒存在下で反応を行なったが、この例では無溶媒条件下においてもバッカチン誘導体を調製した。以下に種々のβ−ケトエステルを用いた場合の収率等を示す。
実施例1の化合物(3)79mg(実施例23は396mg)に、β−ケトエステル(化合物(3)に対して20当量)と4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)12mg(実施例23は37mg)を加え、90℃、減圧条件下で1.5時間(実施例23は4時間)反応させて、各種バッカチン誘導体を得た。収量、1H-NMR等は次の通りである。
【0069】
(実施例21:p−メトキシベンゾイル酢酸メチル)
収量:103mg、収率:定量的
下記の構造式で表されるエステル化合物であり、その1H-NMR(500MHz、CDCl3)は実施例14に記載したとおりである。
【0070】
【化16】
【0071】
(実施例22:o−フルオロベンゾイル酢酸メチル)
収量:91mg、収率:94.8%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0072】
【化17】
【0073】
σ(ppm)
12.56 (0.45H, s), 8.18-8.22 (0.45H, m), 8.03-8.12 (0.55H*2+0.45H, m), 7.92-8.01 (1H, m), 7.14-7.70 (11H, m), 6.31 (0.45H, s), 6.29 (0.55H, s), 6.20-6.29 (1H, m), 6.00 (0.45H, s), 5.68 (0.45H, d, J=6.9 Hz), 5.67 (0.55H, d, J=6.9 Hz), 5.17, 5.242 (0.45H*2, ABq, J=12.2 Hz), 5.16, 5.236 (0.55H*2, ABq, J=12.2 Hz), 4.96 (0.45H, bd, J=8.2 Hz), 4.93 (0.55H, bd, J=8.6 Hz), 4.50 (0.45H, dd, J=10.4, 6.7 Hz), 4.47 (0.55H, dd, J=10.7, 6.8 Hz), 4.28-4.33 (1H, m), 4.13-4.20 (1H+0.55H, m), 4.09 (0.55H, dd (AB), J=16.6, 3.5 Hz), 3.85 (0.45H, d, J=7.0 Hz), 3.81 (0.55H, d, J=7.0 Hz), 2.48-2.58 (1H, m), 2.38 (0.45H*3, s), 2.26 (0.55H*3, s), 2.23-2.40 (2H, m), 2.13 (0.45H*3, bs), 2.09 (0.55H*3, bs), 1.86-1.93 (1H, m), 1.71 (0.45H*3, s), 1.70 (0.55H*3, s), 1.22 (0.45H*3, s), 1.20 (0.55H*3, s), 1.19 (0.45H*3, s), 1.17 (0.55H*3, s), 0.91 (9H, t, J=15.9 Hz), 0.52-0.62 (6H, m)
【0074】
(実施例23:シクロプロパノイル酢酸メチル)
収量:400mg、収率:88.6%
下記の構造式で表されるエステル化合物の1H-NMR(500MHz、CDCl3)
【0075】
【化18】
【0076】
σ(ppm)
12.18 (0.05H, s), 8.04-8.10 (2H, m), 7.58-7.64 (1H, m), 7.45-7.52 (2H, m), 7.31-7.43 (5H, m), 6.30 (0.05H, s), 6.28 (0.95H, s), 6.20-6.28 (0.95H, m), 6.11-6.17 (0.05H, m), 5.66 (1H, d, J=7.0 Hz), 5.16, 5.23 (1H*2, ABq, J=12.2 Hz), 4.94 (1H, bd, J=8.2 Hz), 4.46 (1H, dd, J=6.7, 9.7 Hz), 4.30 (1H, d, J=8.5 Hz), 4.15 (1H, d, J=8.5 Hz), 3.79 (1H, d, J=7.0 Hz), 3.74, 3.69 (1H*2, ABq, J=15.0 Hz), 2.52 (1H, ddd, J=6.7, 9.5, 14.4 Hz), 2.22-2.37 (2H, m), 2.29 (3H, s), 2.05-2.12 (1H, m), 2.08 (3H, s), 1.85-1.93 (1H, m), 1.70 (3H, s), 1.15-1.23 (2H, m), 1.20 (3H, s), 1.17 (3H, s), 1.00-1.08 (2H, m), 0.87-0.96 (9H, m), 0.53-0.63 (6H, m)
【0077】
【発明の効果】
本発明は、10−デアセチルバッカチンIIIなどのバッカチンの13位の水酸基に、β−ケトエステルをスズ化合物もしくはアミン塩基の存在下、減圧下で行うエステル交換反応によりエステル結合させることによって得られるバッカチン誘導体およびその製造方法を提供するものである。
また、本発明のバッカチン誘導体は、抗ガン剤であるパクリタクセルなどのタキソイド化合物を調製するための出発原料として有用である。
Claims (6)
- 前記R 1 がトリエチルシリル基、R 2 はアセチル基又はアリルオキシカルボニル基である、請求項1記載のバッカチン誘導体。
- 前記R 1 がトリエチルシリル基、R 2 はアセチル基又はアリルオキシカルボニル基である、請求項3記載の製造方法。
- 反応を、減圧下で行なう請求項3又は4記載の製造方法。
- 前記一般式(II)で表されるバッカチンが、イチイの葉より採取される10−デアセチルバッカチンIIIである、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
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