JP4388760B2 - 歯車対 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯面の摩擦係数を低減することにより駆動側歯車から被駆動側歯車に対する動力伝達効率を向上し得るようにした歯車対に関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動側回転軸に設けられた駆動歯車と、被駆動側回転軸に設けられた被駆動歯車とを噛み合わせることにより、対をなす2つの歯車を介して駆動側回転軸の回転は被駆動側回転軸に伝達される。それぞれの歯車としては、平歯車、傘歯車およびハイポイド歯車などがあり、車両用の動力伝達装置に組み込まれる歯車は伝達トルクが大きいので、このような歯車の歯面には大きな面圧が加わることになり、歯面の強度を高める必要がある。一方、歯車を介して駆動側回転軸から被駆動側回転軸に対して動力を伝達する時には対をなす歯車相互間の歯面が滑り接触するので、駆動歯車から被駆動歯車に対する動力伝達効率は、歯面に加わる面圧と歯面の摩擦係数とに大きく依存している。特に、駆動歯車と被駆動歯車の回転中心軸が相互に交わらずかつ平行でもないハイポイド歯車は歯面の滑り量が大きいので、面圧のみならず歯面の摩擦係数を低減することが動力伝達効率を向上する上で重要な要素となっている。摩擦係数を低減するには、歯車対の歯面間に潤滑油膜が所望の厚みで形成されるようにする必要がある。
【0003】
歯面強度を高めるために、特許文献1に記載されるように、歯面の表面粗さの偏りであるスキューネス(Rsk)を規定するようにした技術が提案されている。また、特許文献2に記載されるように、軸受の転動体と内外輪の転動面の表面粗さをスキューネス(Rsk)に加えて二乗平均粗さにより規定するようにした技術が提案され、特許文献3に記載されるように、カムローラの転がり接触面の粗さを、中心線高さRpと中心線深さRvとの比および粗さの最大高さにより規定するようにした技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3127710号公報
【0005】
【特許文献2】
特許第2724219号公報
【0006】
【特許文献3】
国際公開WO97/19278号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
対をなす歯車の歯面は、軸受のローラと内外輪との間のような転がり接触ではなく、摺動して接触することになる。このため、従来のように歯面の表面粗さをスキューネス(Rsk)で規定した場合には、歯面の強度を保持することが可能であっても、歯面の摺動抵抗つまり摩擦抵抗を低減することや耐焼き付け性の向上には限度があった。特に、車両の動力伝達装置に使用されるハイポイド歯車は、前述のように、歯面の滑り量が大きいので、接触面積を増加させて面圧を低下させるだけでなく、歯面の摩擦係数を低減することが、動力伝達効率を低減し、ひいてはエンジンの燃費を低減する上で重要な要素となっている。
【0008】
そこで、本発明者により歯面の接触面積を増加させて所望の歯面強度を維持しつつ歯面の摩擦係数を低減して歯車の動力伝達効率を高めるべく、種々の研究と実験が行われた。その結果、スキューネスに加えて、歯面の表面粗さの最大高さRyと算術平均粗さRaとの比(Ry/Ra)を所定の範囲に規定することにより、歯面強度を保持しつつ潤滑油の保持率を高めることができるということが判明した。
【0009】
本発明の目的は、歯面における潤滑油の保持率を高めて歯面相互間に充分な油膜を形成し歯車の動力伝達効率を向上するとともに耐焼き付け性、耐摩耗性を向上することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の歯車対は、相互に噛み合って対をなす第1と第2の歯車を有する歯車対であって、それぞれの歯車の歯面の表面粗さの算術平均粗さをRaとし、最大高さをRyとし、スキューネスをRskとしたときに、前記第1と第2の歯車の一方の前記スキューネスRskを−1以下とし、前記最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを6〜12とし、他方の歯車の前記スキューネスRskを0〜1.5とし、前記最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを前記一方の歯車よりも小さい値に設定することを特徴とする。
【0011】
本発明の歯車対は、前記第1の歯車をハイポイドピニオン歯車とし、前記第2の歯車をハイポイドリング歯車とすることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、歯車対を構成する一方の歯車の歯面と他方の歯車の歯面とを上述した範囲に設定することにより、歯面の接触面積を増加させて面圧を低下させることにより面圧強度が向上する。さらに、一方の歯車の歯面に形成される多数の谷の溝幅が潤滑油の保持性を確保することができる幅になり、他方の歯面に形成される油溜まり空間を大きくすることができるので、摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができる。これにより、歯面の耐焼き付け性と耐摩耗性が向上するとともに歯車の動力伝達効率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は歯車の一例であるハイポイド歯車を示す斜視図であり、図1には駆動側回転軸10に設けられたハイポイドピニオン歯車11と、図示しない被駆動側回転軸に設けられたハイポイドリング歯車12とが噛合って歯車対となった状態が示されており、一方の歯車が第1の歯車になり、他方の歯車が第2の歯車になる。この歯車対が車両の動力伝達装置に使用されるときには、駆動側回転軸10は変速機出力軸に連結され、ハイポイドリング歯車12はデファレンシャルのケースに取り付けられることになる。ハイポイドピニオン歯車11の回転中心軸O1と、ハイポイドリング歯車12の回転中心軸O2は、偏心量Eだけずれて直角となっており、回転中心軸が相互に交わらずかつ平行ともなっておらず、動力伝達時の歯面の滑り量が、平歯車や傘歯車の歯面に比して大きくなっている。
【0014】
図2(A),(B)は歯面の表面粗さの一般例を示す粗さ曲線であり、このような表面粗さを示す基本的ファクターとしては、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzおよび二乗平均粗さRqがある。算術平均粗さRaは、以下の式(1)により表される。なお、この式(1)においてYiは平均線mからの偏差を示す。
【0015】
【数1】
Figure 0004388760
最大高さRyは、図2(A)に示されるように、粗さ曲線からその平均線mの方向に基準長さLだけ抜き取って、この抜き取り部分の山頂線Rpと谷底線Rvとの間隔の合計値を示す。
【0016】
十点平均粗さRzは、図2(B)に示されるように、粗さ曲線から平均線mの方向に基準長さLだけ抜き取って、この抜き取り部分の最も高い山頂から5番目までの山頂の標高Ypの絶対値の平均と最も低い谷から5番目までの谷底の標高Yvの絶対値の平均値であり、以下の式(2)により表される。また、二乗平均粗さRqは、平均値のまわりの二次モーメントであって、表面粗さの分散を示す指標であり、以下の式(3)により表される。
【0017】
【数2】
Figure 0004388760
【0018】
【数3】
Figure 0004388760
上述した二乗平均粗さRqと平均線からの偏差Yiにより、スキューネスRskが以下の式(4)により定義され、さらにクルトシスRkuが以下の式(5)により定義される。
【0019】
【数4】
Figure 0004388760
【0020】
【数5】
Figure 0004388760
このスキューネスRskは、平均値のまわりの三次モーメントをRq3で正規化した値であり、表面粗さの平均線mに対する偏り、つまり平均値のまわりの非対称性を示す指標である。一方、クルトシスRkuは、平均値まわりの四次モーメントをRq4で正規化した値であり、波形の尖鋭度を示す指標である。
【0021】
図3(A)はスキューネスRskが負の場合の表面粗さの一例を示す粗さ曲線図であり、図3(B)はスキューネスRskが正の場合の表面粗さの一例を示す粗さ曲線図である。これらの比較から分かるように、スキューネスRskが負の表面粗さは山の幅が大きくなって表面の面積が増加するので、歯面をこのような表面粗さにすると、歯車の接触面積が増加して面圧強度が高くなる。しかしながら、スキューネスRskが負となる表面粗さに設定しただけでは、谷の溝幅が小さすぎて谷の中での潤滑油の保持性を確保することができない。
【0022】
図4(A)〜図4(E)はクルトシスRkuを相違させた場合の表面粗さの変化を模式的に示す粗さ曲線図であり、クルトシスRkuの値が大きくなると、粗さ曲線の尖端度が大きくなり、多くの谷部が形成され潤滑油を充分に捕捉することができる。
【0023】
ところで、表面粗さの最大高さRyと算術平均粗さRaとの比(Ry/Ra)とクルトシスRkuとには一定の相関関係がある。図5は前述した比(Ry/Ra)とクルトシスRkuとの関係を示す相関特性図であり、Ry/Raの値が大きくなるとクルトシスRkuの値も大きくなり、最大高さRyと算術平均粗さRaとを求めると、クルトシスRkuを求めることができる。
【0024】
発明者は、図1に示すように、相互に噛み合うハイポイドピニオン歯車11とハイポイドリング歯車12の接触面積を大きくして歯面強度を確保しつつ潤滑油の保持性を高めることができる表面粗さを求めた。表面粗さを調整することによって、歯面の接触面積を増加させて面圧強度を高めつつ潤滑油の保持性を高めることができると、歯面の摩擦係数μを小さくすることができ、結果的に歯車の動力伝達効率ηを高くし、さらに歯車の耐焼き付け性や耐摩耗性を向上することができる。
【0025】
図6はそれぞれハイポイド歯車からなる多数の歯車対について測定した表面粗さと歯車の動力伝達効率との関係を示す実験データであり、縦軸はスキューネスRskを示し、横軸はRy/Raを示す。図6においては、動力伝達効率ηが設定値以上になった場合を白抜き三角で示し、動力伝達効率ηが設定値以下になった場合を黒塗り四角で示している。この実験結果から、動力伝達効率ηが所定値以上になるスキューネスRskは−1以下であることが判明した。
【0026】
図7は動力伝達効率ηを向上させることができる歯面粗さを示す断面図であり、図7(A)はスキューネスRskを負に設定した場合の表面粗さを示す。このようにスキューネスRskを負に設定しただけでは、谷の溝幅が大きく、数が少なくなってしまい、その中で潤滑油を充分に保持することができない。これに対して、図7(B)に示すように、最大高さRyを変化させることなく、谷の溝幅を小さくしかつ谷の数を増やせば、潤滑油を捕捉することができることになる。これにより、摩擦係数μを小さくすることが可能となり、動力伝達効率ηを高めることができる。図7(B)に示す表面粗さは、スキューネスRskを負に設定するとともに、算術平均粗さRaを小さくしてRy/Raの値を図7(A)よりも大きくすることにより設定される。このように、Ry/Raの値を大きくするとクルトシスRkuの値が大きくなり、面圧強度を高めつつ潤滑油の保持性が向上して摩擦係数μを小さくすることができる。これに加えて、最大高さRyを小さくすれば、図6(B)に示される波形が相似的に小さくなり、さらに摩擦係数μを小さくすることができる。
【0027】
このような観点から種々の表面粗さと歯車の動力伝達係数ηとの関係を実験により求めたところ、図8および図9に示す結果が得られた。これらの実験では、歯面の接触面積を確保するために駆動歯車と被駆動歯車の一方のスキューネスRskを−1に設定した。
【0028】
図8は歯車の動力伝達効率ηと│Rsk│×Ry/Raとの関係を示す実験データであり、伝達効率ηは図においてa点に達するまでは、大きく一定値Cに向けて増加し、a点を過ぎると、ほぼCの値に漸次接近した。このa点のRy/Raの下限値は6であり、この値を6以上に設定すると、η=Cの値に漸次接近するが、歯面の加工効率を考慮すると、12以下が限度であり、この値は6〜12の範囲に設定される。
【0029】
図9は歯車の動力伝達効率ηと│Rsk│/Ryとの関係を示す実験データであり、伝達効率ηは図9においてb点に達するまでは、大きく一定値Cに向けて増加し、b点を過ぎると、ほぼη=Cの値に漸次接近した。このb点の値となる最大高さRyの上限値は、スキューネスの絶対値が1であるので、Ry=3であった。最大高さRyをこれよりも小さい値とすると、η=Cの値に漸次接近する。
【0030】
このように、歯面の表面粗さの算術平均粗さをRaとし、最大高さをRyとし、スキューネスをRskとしたときに、ハイポイドピニオン歯車11とハイポイドリング歯車12の少なくとも一方の歯車の歯面のスキューネスRskを−1以下とし、前記最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを6〜12とすることにより、歯面強度を維持しつつ歯面の摩擦係数を低減して歯車の動力伝達効率を高めることができる。
【0031】
歯車の動力伝達効率ηは、図8に示すようにRy/Raに比例し、図9に示すようにRyに反比例することが判明した。前述のように、一方の歯車のスキューネスRskを−1以下に設定することにより局部的な面圧を低く設定することができるが、潤滑油を摺動面間で保持するという観点からは歯車対の間の接触点間に空間を形成して油溜まり量を向上することが好ましい。
【0032】
そこで、相互に噛み合う2つの歯車の一方の歯車の歯面を上述した表面粗さとする一方、他方の歯車の歯面粗さを上記条件とは相違させることにより、両方の歯面の間に保持される潤滑油の量をさらに増加させて動力伝達効率を向上させることができる歯面粗さの条件を求めた。ところで、スキューネスRskは平均線mからの偏りを示す要素であるので、歯車対としてのスキューネスRskを考慮すると、歯車対としてのスキューネスRskは対をなす両方の歯車のスキューネスRskの差に比例することがと予測される。
【0033】
図10は歯車対をなす2つの歯車11,12の表面粗さを示す概略図であり、上述した予測のもとで歯車対の歯面間に油溜まり量を増加させるために、両方の歯車11,12の表面粗さを相違させている。
【0034】
便宜上、歯車対としてのスキューネスをRskとし、一方の歯車11のスキューネスをRsk1とし、他方の歯車12のスキューネスをRsk2とすると、歯車対としてのスキューネスRskは以下のように示される。
【0035】
│Rsk│=│Rsk1−Rsk2│
このように、歯車対としてのスキューネスRskは両方の歯車11,12のスキューネスRsk1、Rsk2の差に比例して大きくなるので、一方の歯車11のスキューネスを負の値としたときに、他方の歯車12のスキューネスRsk2を正のスキューネスとすると、歯車対としてのスキューネスRskを大きくすることができ、両方の歯車11,12の歯面間の多量の潤滑油を保持することができる。そこで、歯車12の表面粗さのスキューネスRskを0〜1.5に設定した。スキューネス上限値の1.5は、図6に示す実験データに基づいて、実用上可能な値から求めた。
【0036】
一方、歯車12のRy/Raは、歯面間における油溜まり量を向上させるために、歯車11のRy/Raよりも小さい値に設定し、最大高さRyは歯車11と同様に3以下に設定した。
【0037】
このように、一方の歯車11のスキューネスRskを−1以下とし、最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを6〜12とする一方、他方の歯車12のスキューネスRskを0〜1.5とし、最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを6以下とすることにより、歯面強度を維持しつつ両方の歯車11,12の歯面間の空間に貯められる潤滑油の量が増加することから歯面の摩擦係数が低減され歯車の動力伝達効率を高めることができる。なお、両方の歯車11,12の表面粗さの関係は、前述した場合と逆に設定するようにしても良い。
【0038】
図11は図10に示す表面粗さの歯車11,12を加工するための歯車の製造方法を示す工程図であり、歯車素材をホブ盤を用いたホブ切り、あるいはピニオンカッタやラックカッタを用いた歯切りにより歯車素材からそれぞれの歯車11,12が切削加工される。ホブ切りはホブと歯車素材との相対運動によって歯車を削り出すようにした創成歯切り法であり、ホブは円筒面上にラックの歯形をした切れ刃がねじ状に形成された工具で、このホブの回転とともに一定の比率で歯車素材を回転させ、同時にホブを歯車軸方向に送ることにより歯車の創成歯切りが行われる。歯車のうち歯筋がねじれた曲線となっているハイポイド歯車は、環状カッタを用いた創成歯切りや、円錐ホブを用いた創成歯切りにより機械加工される。
【0039】
歯車素材を創成歯切りにより加工された歯車11,12は、歯面に所定の厚みの表面硬化層を形成するために浸炭焼き入れ処理され、その後に、疲労強度向上のためショットピーニング処理が行われる。ショットピーニング処理が行われた後には、歯面の歯形を形成するためにラッピング加工が行われ、更に歯面の表面粗さを出すためバレル研磨仕上げなどの仕上げ研磨加工が行われる。両方の歯車11,12の表面粗さの条件は、ショットピーニング処理と仕上げ研磨加工の条件を相違させることにより設定される。
【0040】
この仕上げ研磨加工は、バレル研磨仕上げの他に電解研磨、化学研磨あるいは鏡面ショットピーニング加工等によって行われるが、特に歯車12の歯面の表面粗さについては、鏡面ショットピーニング加工やバレル研磨仕上げによって行われる。この仕上げ研磨によって、歯面強度向上に不利となる表面の粒界酸化層が除去されるとともに、歯形の精度が向上する。鏡面ショットピーニング加工は、弾性担体に粒子が付着された複合粒子を歯面に傾斜させて吹き付ける加工であり、ラッピング加工やバレル研磨によっても同様に粒界酸化層の除去を行うことができる。
【0041】
従来では、歯面が仕上げられた後には、回転伝達時に対となる2つの歯車を噛み合わせた状態で回転させることにより、噛合い面を平坦になじませる処理つまりラッピング処理を行った後に、リューブライト処理つまり表面にリン酸塩被膜を形成する化学処理を行って歯車の初期なじみ改善を行っていたが、本発明の歯車にあっては、このリューブライト処理が不要となる。
【0042】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、実施の形態では図1に示すハイポイド歯車に本発明を適用した場合を示すが、平歯車や傘歯車などの他の歯車の歯面を同様に加工するようにしても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、歯面の接触面積を増加さて面圧を低下させることにより面圧強度が向上し、さらに、一方の歯車の歯面に形成される多数の谷の溝幅が潤滑油の保持性を確保することができる幅になり、他方の歯面に形成される油溜まり空間を大きくすることができるので、摺動面の摩擦抵抗を小さくすることができる。これにより、歯面の耐焼き付け性と耐摩耗性が向上するとともに歯車の動力伝達効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯車の一例であるハイポイド歯車を示す斜視図である。
【図2】(A),(B)は歯面の表面粗さの一般例を示す粗さ曲線である。
【図3】(A)はスキューネスRskが負の場合の表面粗さの一例を示す粗さ曲線図であり、(B)はスキューネスRskが正の場合の表面粗さの一例を示す粗さ曲線図である。
【図4】(A)〜(E)はクルトシスRkuを相違させた場合の表面粗さの変化を模式的に示す粗さ曲線図である。
【図5】表面粗さの最大高さRyと算術平均粗さRaとの比(Ry/Ra)とクルトシスRkuとの関係を示す相関特性図である。
【図6】多数の歯車対について測定した表面粗さと歯車の動力伝達効率との関係を示す実験データである。
【図7】(A),(B)は本発明の表面粗さを持つ歯面を示す断面図である。
【図8】歯車の動力伝達効率ηと│Rsk│×Ry/Raとの関係を示す実験データである。
【図9】歯車の動力伝達効率ηと│Rsk│/Ryとの関係を示す実験データである。
【図10】歯車対をなす2つの歯車の表面粗さを示す概略図である。
【図11】本発明の表面粗さを持つ歯車を加工するための歯車の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
11 ハイポイドピニオン歯車(歯車)
12 ハイポイドリング歯車(歯車)

Claims (2)

  1. 相互に噛み合って対をなす第1と第2の歯車を有する歯車対であって、
    それぞれの歯車の歯面の表面粗さの算術平均粗さをRaとし、最大高さをRyとし、スキューネスをRskとしたときに、
    前記第1と第2の歯車の一方の前記スキューネスRskを−1以下とし、前記最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを6〜12とし、
    他方の歯車の前記スキューネスRskを0〜1.5とし、前記最大高さRyを3以下とし、Ry/Raを前記一方の歯車よりも小さい値に設定することを特徴とする歯車対。
  2. 請求項1記載の歯車対において、前記第1の歯車をハイポイドピニオン歯車とし、前記第2の歯車をハイポイドリング歯車とすることを特徴とする歯車対。
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