JP4388686B2 - 木目調模様を有する樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木目調模様を有する板材等の樹脂成形体、並びに、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性樹脂にセルロース系の微粉骨材を混入して、複合樹脂組成物を得ようとする試みが種々行われている。例えば、特公平4−27924号公報には、樹脂とセルロース系の微粉骨材からなる成形材に対して掻傷を一方向に揃えてサンディング処理を施すことにより表面スキン層の残留内部応力を除去し、その後、木目模様の型付けをしたものが開示されている。
【0003】
また、PEやPP等の熱可塑性樹脂に木粉を混入して、複合樹脂組成物を得ようとする試みも種々行われており、特に木目調模様を有するものが要求されている。例えば、特開平8−207022号公報には、サーキュラーダイを用いて樹脂材料を押出機によりチューブ状に押出成形する際に、押出方向の中間部において外周面側および内周面側の少なくともいずれか一方から内包に突出した多数個のフィンないし突起を有する抵抗部材を備えたダイを用い、該フィンないし突起による樹脂材料中の着色材の展伸配向により木目模様を付与する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記前者の従来技術では、サンディングに用いるロールの周面にランダムにサンディング刃を突設するものであり、ロールの接している部分のみが掻き取られ、隣接する表面スキン層との表面光沢の差が目立つ欠点がある。また、該掻傷は突設された金属片で付けられた「キズ」的側面が強く、水分の侵入等の観点から長期使用の際の成形品の欠点となり得る問題点がある。即ち、上記掻傷は、表面スキン層の残留内部応力除去のためのものであるが故に、傷の中央部分では深い溝となり、水分の侵入や滞留が生じ易い。
【0005】
また、後者の従来技術では、フィンないし突起を有する抵抗部材で一旦分流された樹脂材料がダイ内の樹脂流路中で再度合流して融着するが、この融着部はいわゆるウェルドラインとなり、機械的性質が他の部分より劣る。さらに、上記ウェルドラインが同種の同一層内に存在することとなることに起因して、亀裂伝搬的破損を生じやすい構造となる。また、上記抵抗部材で付与した模様は、その後の金型内の樹脂流路において熱を受けるために、ウェルドラインが消えることはないが、着色剤が分散してコントラストの弱いものとなり、模様の制御が困難となる。さらに、上記抵抗部材は金型内部に設けられているため、違う模様を形成するための別の抵抗部材と交換する際に多大な労力が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、掻傷によることなく、且つ、強度を犠牲にすることなく、木目調模様を付与した熱可塑性樹脂材料からなる樹脂成形体を提供するとともに、該樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0008】
即ち、本発明の木目調模様を有する樹脂成形体は、木目調模様を呈する表面を有する樹脂層を有し、該樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む混合材料からなり、前記模様は、非相溶の前記第1と第2の熱可塑性樹脂との色斑により形成されていることを特徴とするものである。なお、上記本発明の樹脂成形体は、上記樹脂層のみからなる単層構造であってもよく、上記樹脂層と木目調模様を有さない樹脂層との積層成形体であってもよく、また、内層となる基材の外表面に上記樹脂層(外層)が全面にわたって積層形成された成形体であってもよく、木目調模様を有する樹脂層の表面に透明乃至半透明の保護層が積層形成されたものであってもよい。また、上記樹脂層の木目調模様は、表面部分にのみ形成されていてもよく、樹脂材料の全体にわたって(即ち、内部にまで)形成されていてもよい。木目調模様は適宜のものであってよく、ベニヤ板の様な概略同一方向の引っ掻き状木目調模様であってよく、滝状等の板目状模様であってもよく、鱗状等の柾目状模様であってもよい。上記樹脂層を構成する混合材料としては、例えば、2以上の熱可塑性樹脂を含むポリマーブレンドを用いることができ、このポリマーブレンドと適宜の充填材とを混合してなる複合材料を用いることもできる。また、上記混合材料に含まれる各熱可塑性樹脂は、それぞれ着色されていてもよいが、着色されていなくとも異種の樹脂の色差や光沢等の違いにより色斑が生じ、この色斑により木目調模様を形成できる。
【0009】
上記本発明の樹脂成形体によれば、木目調模様が、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との色斑により形成されているので、成形体の表面に深い傷を設けることなく木目調模様を得ることができ、これにより耐久性の向上や強度向上を図り得る。さらに、ウェルドラインが形成されることなく上記色斑を設けることにより、強度低下を抑えることができ、曲げ強度や引張強度に優れた木目調模様を有する樹脂成形体を得ることができる。
【0010】
上記本発明の樹脂成形体において、前記混合材料は、第1及び第2の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂100重量部に対し、50重量部以上500重量部以下の充填剤を添加配合してなる熱可塑性樹脂材料であってよい。これによれば、コスト低減を図りつつ、樹脂と充填材とが均一に分散した樹脂成形体を得ることができる。
【0011】
また、前記木目調模様を呈する表面を有する樹脂層は、熱可塑性樹脂材料からなる基材の表面に積層形成されているものとすることができ、特に、内層となる基材の外周面に上記樹脂層が外層として積層形成されているものとすることができる。これによれば、例えば、基材により強度の確保を行い、木目調模様を付与するための樹脂層を薄肉層として、木目調模様の形成制御に重点を置いた金型設計をすることができる。
【0012】
また、前記樹脂層の木目調模様は、第1の熱可塑性樹脂中で分散して存在する第2の熱可塑性樹脂が略一方向に細長く引き伸ばされることにより形成されているものとすることができる。また、前記樹脂層の木目調模様は、第2の熱可塑性樹脂が第1の熱可塑性樹脂中で板目状若しくは柾目状に引き伸ばされることにより形成されているものとすることもできる。これによれば、高融点の第2の樹脂を引き伸ばす際に、低融点の第1の樹脂も溶融されることとなって、上記引き伸ばしが円滑に行われ、外観の良好な木目調模様が得られる。また、第1及び第2の樹脂が共に溶融した状態で該溶融材料に適宜の手段によって剪断応力を作用させることによって、両樹脂材料の粘度差等により第2の樹脂を木目調に引き伸ばすことができ、その後冷却固化すれば大きなウェルドラインが形成されることなく、耐久性にも優れた木目調樹脂成形品が得られる。なお、第2の樹脂の融点よりも少し低い温度で成形した場合でも、該第2の樹脂が半溶融状態で引き伸ばされる一方、第1の樹脂は完全に溶融されているため、木目調模様が円滑に形成されるとともに両樹脂の融着性が良好となる。
【0013】
上記本発明の樹脂成形体は適宜の成形法によって成形することができる。好適な本発明の樹脂成形体の製造方法は、少なくとも第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料を押出機より押し出して連続的に冷却賦形金型などで冷却賦形することにより樹脂層を形成し、該樹脂層の表面部分を加熱して該表面部分に分散された第2の熱可塑性樹脂を略一方向に細長く引き伸ばすことにより、前記樹脂層の表面に、前記第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との色斑からなる木目調模様を形成することを特徴とするものである。なお、上記製造方法により得られる樹脂成形体は、上記樹脂層のみからなる単層構造であってもよく、また、上記樹脂層が予め成形された基材の外表面に積層形成された多層構造であってもよい。
【0014】
また、本発明の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂材料を第1押出機より押し出して第1の冷却賦形金型で冷却賦形することにより基材を成形した後、該基材の表面に、少なくとも第1の熱可塑性樹脂と該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料を第2押出機より押し出して連続的に第2の冷却賦形金型で冷却賦形することにより樹脂層を積層形成し、該樹脂層の表面部分を加熱して該表面部分に分散された第2の熱可塑性樹脂を略一方向に細長く引き伸ばすことにより、前記樹脂層の表面に、前記第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との色斑からなる木目調模様を形成するものとすることができる。
【0015】
なお、上記各製造方法において、樹脂層の表面部分の加熱方法は、研磨体による表面研磨の際に生じる摩擦熱を利用することが好ましいが、ヒータ等の熱線照射装置を用いることも可能である。また、加熱温度は、得ようとする木目調模様の構成に応じて適宜調節することができるが、第2の熱可塑性樹脂を円滑に引き延ばせるように、該第2の熱可塑性樹脂が溶融状態若しくは半溶融状態となる程度とするのが好ましい。
【0016】
上記した本発明の各製造方法によれば、一旦、樹脂層を所定形状に冷却賦形した後、その表面部分を再加熱して、該表面部分の第2の熱可塑性樹脂を溶融状態若しくは半溶融状態とし、これを引き伸ばすことにより木目若しくは柾目状の木目調模様を形成するものであるから、第2の熱可塑性樹脂と第1の熱可塑性樹脂との融着性に優れ、機械的強度に優れたものとなる。
【0017】
上記各製造方法において、研磨ロールなどの研磨体で樹脂層の表面を略一方向に研磨することにより、その摩擦熱によって第2の熱可塑性樹脂を加熱して前記研磨体の研磨方向に細長く引き伸ばすことができる。これによれば、樹脂層表面に深い傷を付けることなく、表面のダメージを可及的少なくしつつ、均一な概略一方向の掻傷を研磨ロールによって付与することで木目調の触感が得られるとともに、第2の樹脂を引き伸ばすことにより視覚的にも木目調の模様が得られ、これら触感的並びに視覚的な木目調模様を研磨ロールによる単一工程で得ることができる。
【0018】
また、上記研磨体による研磨部に水を流すことができる。これによれば、研磨体により加熱され溶融状態若しくは半溶融状態とされた第2の熱可塑性樹脂を、研磨体による引き伸ばし後に即座に冷却固化させることができるとともに、研磨屑を洗い流すことができる。
【0019】
なお、上記研磨体は、樹脂成形体の押出成形ラインの中途部に設け、この研磨体に、押出成形法により成形された樹脂成形体を連続的に通過させることによって、長尺状の樹脂成形体の上記樹脂層の表面に連続的に木目調模様の加飾を行うことができる。
【0020】
上記した本発明の木目調模様を有する樹脂成形体の別の製造方法は、熱可塑性樹脂材料からなる基材を押出成形する工程と、該基材の表面に被覆金型を用いて木目調模様を呈する樹脂層を積層押出成形する工程とを有し、前記樹脂層は、少なくとも第1の熱可塑性樹脂と該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料からなり、前記樹脂層の成形温度を所定の温度(例えば、第2の熱可塑性樹脂の融点以上、或いは、第2の熱可塑性樹脂の融点よりも低く第1の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度など)に調節することにより、前記被覆金型内で第2の熱可塑性樹脂を木目調模様を呈するように引き伸ばすことを特徴とするものである。これによれば、上記被覆金型内で第2の熱可塑性樹脂を溶融状態若しくは半溶融状態として、金型内の樹脂流れ方向に作用する剪断力によって、溶融状態若しくは半溶融状態の第2の熱可塑性樹脂を樹脂流れ方向に引き伸ばすことができ、樹脂層に傷を付けることなく、且つ、ウェルドラインが形成されることなく、被覆金型内の樹脂流れを制御することによって強度を犠牲にすることなく多様な木目調模様を得ることができ、耐久性の高い木目調模様の樹脂成形体を得ることができる。
【0021】
上記被覆金型は、樹脂材料の賦形用の流路と、該賦形用流路へ前記熱可塑性樹脂材料を供給するための供給用流路とを備え、該供給用流路が、賦形用流路と交差状に設けられているものを用いることができる。なお、賦形用流路において冷却賦形するものであってもよく、第2の熱可塑性樹脂の融点よりも少し低い温度に温調された状態で賦形するものであってもよい。
【0022】
そして、供給用流路内に流路厚方向に突出する突起を設けることにより、被覆金型内の樹脂流れを制御することができ、これによれば、第2の熱可塑性樹脂をうろこ状に引き伸ばされるようになって、概略柾目状の木目調模様を形成できる。
【0023】
また、上記供給用流路を、基材への樹脂層の被覆幅全体にわたるスリット状に構成し、前記突起を、被覆幅方向に間隔を有して複数並設することができる。これによれば、簡単な金型構造と簡素な工程で、板幅方向全体にわたってうろこ状等の板目模様を付すことができる。
【0024】
また、上記供給用流路を構成する金型壁面に溝を設けることにより樹脂流れを制御することで、例えば柾目状の木目調模様を付すこともできる。さらに、上記供給用流路を、基材への樹脂層の被覆幅全体にわたるスリット状に構成し、前記溝は、供給用流路内の樹脂流れ方向に沿う垂直方向溝を有し、該垂直方向溝を、被覆幅方向に間隔を有して複数並設することで、成形体の板幅方向全体にわたって滝状等の柾目状模様を付すことができる。さらに、複数の垂直方向溝の先端を連結溝で連結することもでき、これによれば、第2の熱可塑性樹脂が板幅方向に均一に分散するようになって、板幅方向に均一な幅で柾目状模様を形成することができる。なお、上記溝は、押出機から供給される樹脂材料の主たる流路となるマニホールドとすることができ、断面形状の大きな主マニホールド(主溝)を基材の全周にわたる環状に設け、この主マニホールドから上記垂直方向溝などから構成される枝マニホールドを延設することもできる。そして、これらマニホールドからスリット状の供給用流路に押し流される樹脂の流れの態様に応じて多様な木目調模様を形成できる。
【0025】
なお、上記した本発明において、基材を構成する熱可塑性樹脂や、木目調模様が加飾される樹脂層を構成する樹脂材料中の第1の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリフェニレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合体など、適宜の熱可塑性樹脂を用いることができるが、特に、コスト性等の観点から、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
【0026】
また、第2の熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂などの適宜の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に、第1の熱可塑性樹脂との相溶性が小さく、かつ、第1の熱可塑性樹脂よりも融点と粘度とが高いものを好適に用いることができる。さらに、第2の熱可塑性樹脂は、その融点が130℃〜300℃のものがより好ましく、さらには、第1の熱可塑性樹脂との融点差が10℃〜120℃のものがより好ましい。なお、多層構造の樹脂成形体の場合は、第2の熱可塑性樹脂は少なくとも最外層を構成する樹脂材料に含まれていればよい。
【0027】
また、充填材の種類は特に限定されるものではなく、例えば、材木,木板,合板,パルプ若しくは竹材などの切削屑,研磨屑,切断鋸屑,粉砕物の様な木粉を用いることができる。また、充填材として、籾殻や胡桃殻などの穀物ないしは果実の殻またはその粉砕物等の植物系充填材、水酸化アルミニウム、エトリンガイト、硅砂、ホウ砂、アルミナ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化マグネシウム、マイカ、フライアッシュ、ケイ酸カルシウム、雲母、二酸化モリブデン、滑石、ガラス繊維、ガラスビーズ、酸化チタン、アスベスト、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、クレー、ドロマイト、カルシウム・アルミネート水和物、鉄粉等の金属粉等、適宜の充填材を使用することができる。これら充填材は単独で使用してもよく、2以上併用して使用することもできる。
【0028】
この充填材の充填量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、50〜500重量部が好ましい。50重量部未満であるとコスト高となり、500重量部を越えると樹脂との混練が不十分になり、熱可塑性樹脂に均一に分散することが困難となる。より好ましい充填量は100〜300重量部である。
【0029】
上記充填材の粒径は、1〜1000μmのものを使用でき、より好ましくは5〜300μmのものを使用できる。その理由は、5μm未満であると均一に分散することが困難となるとともに、押出機内での材料粘度が上昇して押出成形性が低下し、一方、300μmを越えると、粒が目立ち外観が荒くなり、成形品の表面性が低下するからである。なお、必要に応じて充填材をシランカップリング剤やチタンカップリング剤等で表面処理することもできる。
【0030】
また、木目調模様が付与される上記樹脂層の成形材料である熱可塑性樹脂材料は、上記樹脂や充填材以外に、必要に応じて、ガラス繊維や炭素繊維等の補強材、可塑剤、発泡剤、難燃剤、抗酸化剤、造核剤、顔料、紫外線吸収剤、紫外線劣化防止剤、酸化劣化防止剤、α,β不飽和カルボン酸系モノマー等の添加剤や、酸変性オレフィン、酸変性低分子オレフィンなどの親和性向上剤を配合することもできる。
【0031】
本発明の樹脂成形体の成形法は、射出成形法や押出成形法等の適宜の成形法を採用することができるが、連続生産性を考慮する場合は押出成形法を採用するのが好ましい。押出成形法を採用する場合に用いる押出機は、特定の構造に限定されるものではないが、混練性を高めるために二軸以上の押出機を用いることが好ましい。さらに好ましくは、押出機の上流側(スクリュー根本側)に主原料投入口が設けられ、下流側に例えばサイドフィーダーのような副原料投入部(設備)が設けられた押出機を用いることができ、これによれば充填材の充填量制御を正確に行うことができ、成形品の材料特性を向上することができる。
【0032】
また、上記冷却賦形金型や賦形金型としては、通過する成形体の樹脂温度よりも10℃以上低い温度から成形体の固化温度までの間に温度調節された金型を用いることができる。
【0033】
また、冷却賦形金型の上流側に、押出機から押し出された直後の溶融状態の樹脂材料をその状態保ちながら所望の形状に賦形する金型(加熱賦形金型)を設けることができる。この加熱賦形金型と冷却賦形金型とを連続的に(即ち隙間なく)設置することもでき、また、加熱賦形金型と冷却賦形金型の間にエアギャップによる空冷工程を設けてもよい。
【0034】
加熱賦形金型及び冷却賦形金型の温度調節手段は、特に限定されるものではなく、例えば、プレートヒーター、バンドヒーター、近赤外線ヒーター、遠赤外線ヒーター、オイルや水などを媒体とした温調機等を用いることができる。
【0035】
上記加熱賦形金型及び冷却賦形金型は、それぞれ1つずつ設けてもよく、それぞれが複数の金型から構成されるものであってもよい。また、複数の金型がそれぞれ加熱賦形や冷却賦形を行い得るものであれば、各金型ごとに制御されている温度がそれぞれ異なっていてもよい。即ち、加熱賦形金型が複数の金型により構成されている場合、そのうちの一つの金型が樹脂材料の冷却を行うものであっても、全体として加熱賦形として機能していればよい。また、冷却賦形金型が複数の金型により構成されている場合、そのうちの一つの金型が樹脂材料の加熱を行うものであっても、全体として冷却賦形として機能していればよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の第1実施形態として、樹脂成形体の押出成形後に研磨体により木目調模様の加飾を行った樹脂成形体ならびにその製造方法について説明する。この実施形態に係る木目調模様を有する樹脂成形体は、少なくとも熱可塑性樹脂100重量部と、充填材50〜500重量部とを混練してなる熱可塑性樹脂複合材料を押出成形してなる樹脂層を有するものであり、該樹脂層のみの単層構造であってもよく、該樹脂層を最外層に含む多層構造であってもよい。
【0037】
上記熱可塑性樹脂複合材料に含まれる上記熱可塑性樹脂は、その母材となる第1の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂A」という)と、樹脂Aよりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂B」という)とが混合されたものである。したがって、樹脂Aの融点に合わせた温度条件で成形した場合、樹脂Bは完全には溶融分散せず、樹脂Bは粒状となって樹脂A中に存在し、これら樹脂A,Bが非相溶の状態となる。
【0038】
上記熱可塑性樹脂複合材料を押出成形し、連続的に冷却賦形金型を通過させ、表面温度を結晶化温度以下にすること等により形状保持できる状態に成形した後に、連続的に回転する研磨体を用いて成形体の表面に木目調模様の加飾を行うことができる。この際、成形体表面は回転する研磨体と接触するので、この接触部分に摩擦熱が発生して温度が局部的に上昇する。この温度が樹脂Bの融点以上であるとき、樹脂A及び樹脂Bはともに溶融状態となり、回転する研磨体の表面で樹脂Bが研磨方向に細長く引き伸ばされて視覚的な木目調の模様を形成する。また、上記摩擦熱により加熱された温度が樹脂Bの融点よりも少し低いとき、樹脂Bは半溶融状態となり、回転する研磨体の表面で研磨方向に細長く引き伸ばされて、視覚的な木目調の模様を形成する。
【0039】
ここで、成形体表面に連続的に木目調模様を加飾するための研磨体としては、回転駆動される研磨ロールやエンドレスベルト、或いは、ブラシ状や櫛状のものなどを採用できる。また、研磨体の表面材質は、サンドペーパー、ナイロン繊維と砥粒、樹脂、金属など、成形体の表面に浅い掻傷を付けることができるものを採用できる。
【0040】
なお、上記研磨体により連続的に加飾を行う際に、引き伸ばされた樹脂Bを素早く固めるため、並びに、加飾を行った際に生じる研磨屑を洗い流すために、研磨部(加飾部)に直接水をかけながら加飾を行うことが望ましい。
【0041】
木目調模様が加飾される樹脂層が最外層を構成する多層構造の樹脂成形体の場合、上記樹脂層の肉厚は、0.1〜20.0mmとするのが好ましく、より好ましくは0.2〜7.0mmとすることができる。その理由は、0.2mm未満の場合は加飾時の掻傷が内層に影響を及ぼす可能性が高く、一方、7.0mmより厚い場合は成形時の冷却性が悪く、生産性が劣化するからである。
【0042】
本実施形態によれば、樹脂A中に樹脂Aよりも融点及び粘度の高い樹脂Bが含まれている熱可塑性樹脂材料により樹脂層を成形し、該樹脂層の表面を、連続的に回転する研磨体で研磨する際に、樹脂層表面が研磨体との接触により摩擦熱が発生して局部的に温度が上昇し、樹脂Bが溶融状態若しくは半溶融状態となって、回転する研磨体の表面で引き伸ばされ、視覚的な木目調の模様を形成することができる。さらに、視覚的な木目調の意匠の形成と同時に、研磨体によって、樹脂層表面のダメージを可及的に均一にしつつ概略一方向の掻傷を付けることによって、触感的にも木目調の表面を得ることができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態として、被覆金型中で樹脂Bを引き伸ばすことによって木目調模様を形成した樹脂成形体並びにその製造方法について説明する。本実施形態の樹脂成形体では、強度確保のために樹脂成形体を複層構造とし、内層基材で強度負担をするとともに、最外層に積層形成した樹脂層で木目調模様を付与している。この最外層の樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂A」という)と、該熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂B」という)とを少なくとも含む熱可塑性樹脂材料からなり、該樹脂材料には充填材が混合されていてもよく混合されていなくともよい。また、内層は適宜の組成の熱可塑性樹脂材料を押出成形することにより得られたものとすることができる。
【0044】
木目調模様が加飾される上記樹脂層(最外層)の肉厚は、0.1〜10.0mmとするのが好ましく、より好ましくは0.2〜7.0mmとすることができる。その理由は、0.2mm未満の場合は下地となる内層基材の表面性の影響が最外層表面に表れやすく、一方、7.0mmより厚い場合は成形時の冷却性が悪く、生産性が劣化するからである。
【0045】
第2実施形態の樹脂成形体は、内層基材を押出成形した後に連続的に冷却金型を通過させ、一旦形状保持できる状態とした後、クロスヘッドダイ等の被覆金型を用いて、形状保持されたほぼ剛体である内層基材の外周面に上記樹脂層を積層成形することによって得られる。そして、最外層の樹脂層に含まれる樹脂Bの融点よりも少し低い成形温度(融点−50℃〜−5℃程度)で上記樹脂層を成形することにより、被覆金型内で樹脂Bが樹脂Aと相溶せずに半溶融状態の粒状で分散され、該樹脂Bが被覆金型内の樹脂流路を通過する際に樹脂流れ方向に引き伸ばされて、木目調模様が形成される。また、樹脂Aに対する樹脂Bの相溶性が小さい場合等においては、上記成形温度が樹脂Bの融点以上であっても、被覆金型内で樹脂Bが樹脂Aと相溶せずに溶融状態の粒状で分散され、樹脂Bが被覆金型内の樹脂流路を通過する際に樹脂流れ方向に引き伸ばされて、木目調模様が形成される。
【0046】
上記被覆金型の構造は適宜のものとすることができるが、好ましくは、図9に示すように、最終成形体の形状に賦形するための賦形用流路21(出口流路部)と、該賦形用流路21の上流端に接続され且つ賦形用流路に直交するスリット状の材料供給用流路22とを備えるものとすることができる。この場合、上記のように樹脂Bが引き伸ばされる部位は、内層基材との合流部位X(即ち、供給用流路と賦形用流路の交差部)の直前から、ほぼ剛体である内層基材と被覆用金型との間に形成されるクリアランスである賦形用流路内である。即ち、供給用流路内の樹脂材料の流れを制御することで樹脂Bを樹脂A中で所望の状態に分散させ、この状態で賦形用流路内を通過させると、内層基材と被覆金型との間の剪断力によって溶融状態若しくは半溶融状態の樹脂Bが押出方向に強く引き伸ばされ、上記樹脂流れの制御に応じて多様な木目調模様が形成される。
【0047】
供給用流路内の樹脂流れの制御法は適宜のものとすることができ、例えば、該流路内に、流路厚(クリアランス)方向に突出する突起を成形体の板厚方向に複数設けることにより樹脂流れを制御することができる。この突起の突出高さは、流路を完全には遮断しないようにクリアランスの5〜50%とすることができる。なお、上記突起の形状は、適宜のものとすることができ、例えば丸型、角形、多角形などとすることができる。また、突起の材質も特に限定されるものではなく、金属、特に好ましくは金型用鋼材等によって突起を構成でき、メッキがなされていてもなされていなくとも良い。また、突起の数は一つでも複数個でもよく、複数個の場合には、等間隔で配置してもよく、非幾何学的なランダムな配置であってもよい。
【0048】
また、内層との合流部直前から上流部に設けられたクリアランスを持つ流路内に環状に施された溝を、該流路を構成する金型壁面に設けることで、溶融樹脂が溝を通過する際に非相溶である樹脂Aと樹脂Bとの色斑模様が生じる。さらに、該溝を環状に構成することで、該色斑模様が合流するなどしてより多彩な色斑が発生し、それを滝状に押出被覆することによって、より本物に近い柾目系の木目調模様を付与できる。
【0049】
なお、上記溝は、その断面形状が半円状もしくは略半円状が加工面からも好ましいものであるが、角形やV字形であってもその効果は同等である。また、該溝の配置形態は適宜のものとすることができ、例えば、図10に示すように、被覆金型に設けられた主流となる主マニホールドM(例えば、基材の周囲に設けられた環状溝など)から垂直方向に複数の支流となる枝マニホールドS(垂直方向溝)を設けたものとすることができる。これによれば、樹脂材料が枝マニホールドSからスリット状の供給用流路内に流出する際の樹脂流れが、図10に示すように略山形に広がるようになり、略板目状の木目調模様を形成できる。さらに、図11に示すように、複数の枝マニホールドSの先端を連結する連結溝Cを設けることもできる。これによれば、連結溝Cから板幅方向全体にわたって略均一に樹脂材料が流出するようになって、略柾目状の木目調模様を形成できる。
【0050】
上記第2実施形態の樹脂成形体は、複層構造の成形体であり、かつ、その最外層に樹脂Aと該樹脂Aより融点及び粘度の高い樹脂Bが含まれる成形体であって、ほぼ剛体である内層基材に垂直に最外層樹脂を供給することにより最外層を被覆する工程において、内層成形体との合流部直前に設けたクリアランスを持つ流路内において、該クリアランスに突き出した突起、或いは、クリアランスを構成する金型壁面の溝を有することにより、木目調模様を付与した熱可塑性樹脂複合材料成形体が得られるとともに、容易に木目調模様の変更を行い得る製造方法となる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、研磨体により樹脂Bを引き伸ばすことにより木目調模様を施したものを実施例1及び実施例2として例示し、被覆金型内で樹脂Bを引き伸ばすことにより木目調模様を施したものを実施例3及び実施例4として例示するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
【0052】
〔実施例1〕
図1は、図2に示すような内層基材2と外側樹脂層3とからなる2層構成の樹脂成形体1を製造するための製造装置(成形機)10であり、該装置10は、基材2の成形用の第1押出機11、加熱賦形金型12並びに冷却賦形金型13と、外層3の被覆成形前の予備加熱用の加熱プレート14と、外層3の成形用の第2押出機15並びに冷却賦形をも行うクロスヘッド型の被覆金型16と、樹脂成形体1の成形後に樹脂層3の表面に加飾を施すための研磨体17とを備えている。
【0053】
内層基材2の成形用の第1押出機11として二軸同方向押出機(日本製鋼所製:TEX44)を用い、基材2の成形樹脂材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム製:ノバテックPP:融点165℃)100重量部を主原料投入口18から投入し、次いで充填材として木粉(45メッシュ)200重量部を副原料投入口19から第1押出機11内に投入した。
【0054】
一方、外側樹脂層3の成形用の第2押出機15としては単軸押出機(池貝製:VS30)を用い、上記と同じ融点165℃のポリプロピレン(樹脂A)と、融点220℃のポリエステル系樹脂(樹脂B)とを混合してなる熱可塑性樹脂材料を上記第2押出機15の材料投入口から投入した。
【0055】
第1押出機11の押出ヘッド11aに取り付けられた加熱賦形型12は200℃に温調されており、成形温度200℃で押し出された溶融樹脂材料は、加熱賦形型12を通過する際に溶融状態を保ちながら所定形状に賦形され、該加熱賦形型12と連続的に設置された100℃に温調された冷却金型13を通過する際に冷却賦形され、基材2が形状保持できる状態に成形される。
【0056】
加熱プレート14は150℃に温調されており、上記冷却金型13で一旦冷却賦形された基材2の表面を再び加熱し、第2押出機15の押出ヘッド15aに取り付けられた被覆金型16に、上記樹脂Aと樹脂Bの混合材料である熱可塑性樹脂材料を押出成形温度220℃で供給し、該樹脂材料を200℃に温調された該被覆金型16内で基材2の外周に積層被覆して、内層基材2の肉厚5.0mm、外側樹脂層3の肉厚0.5mmの合計肉厚6.0mm、板幅50mmの板状の樹脂成形体を成形した。
【0057】
また、上記研磨体17として、モーターの先に取り付けられたナイロン製バフロール(#400)を用い、この研磨体17を樹脂成形品1の表面に対して水平に設置し、モーターを連続的に回転させて研磨体17を図1に矢視する方向に回転駆動することで、該研磨体17により樹脂成形品1の外側樹脂層3の表面を板幅方向全長にわたって研磨し、同一方向の引っ掻き状木目調模様を施した。
【0058】
〔実施例2〕
上記実施例1のナイロン製バフロールに代えて、サンドペーパー仕様(#80)の加飾ロールを研磨体として使用して、同一方向の引っ掻き状木目調模様を施した。
【0059】
〔比較例〕
上記実施例1の成形機で得られた樹脂成形体に、研磨体による加飾を施さなかった。
【0060】
上記実施例1、実施例2及び比較例の樹脂成形体についての評価結果は表1の通りであった。この評価結果から明らかなように、樹脂成形体の表面荒さは研磨体による表面研磨を行った実施例1及び2が、比較例よりも細かくなり、優れた表面性状が得られている。また、耐候性評価のためにサンシャインウェザーメーターを用いて1000時間促進暴露試験を行い、該試験前後の成形体表面の色差を測定・算出したところ、実施例1,2のいずれもわずかに3以下であった。吸水率も非常に僅かであり、耐久性に優れたものとなっていることが解る。また、比較例に比して実施例の方が視覚的にも触感的にも木質感に優れたものとなった。
【0061】
【表1】
【0062】
〔実施例3〕
本実施例3の樹脂成形体は2層構造であって、図3に示す製造装置1(成形機)を用いて成形される。該製造装置1並びに製造方法は、研磨体が設けられていない点と、被覆金型の構造が異なる点以外は、上記第1実施例と同様であるので詳細説明を省略する。
【0063】
本実施例の被覆金型16は、図4及び図5に示すように、外側樹脂層3を構成する熱可塑性樹脂材料の賦形用の流路21と、該賦形用流路21へ上記樹脂材料を供給するための供給用流路22とを備えている。該供給用流路22は、賦形用流路21と直交状に設けられているとともに、基材2への樹脂層3の被覆幅全体、即ち、樹脂成形体である板材1の板幅全体にわたるスリット状に構成されている。より具体的には、図5に示すように、被覆金型16は、上流側の第1の金型部材16aと、下流側の第2の金型部材16bとを備えており、これら第1の金型部材16aと第2の金型部材16bとが所定のクリアランスを有して設置されており、このクリアランスによって供給用流路22が構成されている。第1の金型部材16aには、基材2と同形・同大の基材通過孔30が形成されている。また、第2の金型部材16bと基材2との間にも所定のクリアランスが形成されており、該クリアランスにより賦形用流路21が構成されている。
【0064】
上記第1の金型部材16aには、供給用流路22内に位置して流路厚方向に突出する突起31が設けられており、該突起31によって供給用流路22内の樹脂流れに変化を生じさせるように制御している。この突起31は、樹脂成形体1である板材の表裏両側にそれぞれ複数(図示例では4つずつ)設けられている。この複数の突起31の配置はどのようなものであってもよいが、図示例では、表裏とも一直線上に略等間隔に配置している。なお、本実施例では、上記供給用流路22の流路厚(クリアランス)は1mmとし、各突起31の形状は略円柱状とし、突起31の直径を2mm、突出高さを0.3mmとし、突起31間の間隔を10mmとした。
【0065】
また、第1の金型部材16aには、図4に示すように、基材通過孔30及び上記複数の突起31を取り囲むように環状溝(主マニホールド)32が形成されており、第2押出機15から押し出された樹脂材料は、環状溝32を流れて基材2の全周にわたって供給され、この環状溝32から上記スリット状の供給用流路22に流れ込み、突起31で樹脂流れに変化を生じさせつつ、基材2外周面に供給され、賦形用流路21内で所定厚の樹脂層3を形成するように賦形される。
【0066】
本実施例の製造装置を用いて上記の成形条件で樹脂成形体1を成形したところ、図8(a)に示すようなウロコ状の柾目模様が樹脂層3に形成された。
【0067】
〔実施例4〕
本実施例4の製造装置では、上記実施例3の被覆金型16を図6及び図7に示すものに変更した。この被覆金型は、ほぼ剛体である内層基材3に垂直に押出により最外層樹脂を供給することにより最外層3を被覆する金型16は、内層基材3との合流部直前に設けられたクリアランスにより構成される供給用流路22内に、断面半円状主マニホールド32を設けるとともに、該主マニホールド32に接続されかつ垂直方向に延びる長さ10mmの枝マニホールド33(垂直方向溝)を、10mm間隔で表裏それぞれに4本ずつ設け、さらにこれら4本の枝マニホールド33の先端部間を、枝マニホールド33と同じ形状の連結溝34(溝状流路)で連結したものである。
【0068】
本実施例の製造装置を用いて上記と同様の成形条件で樹脂成形体1を成形したところ、図8(b)に示すような滝状の板目模様が樹脂層3に形成された。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、融点の異なる2以上の熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を用いて少なくとも最外層を形成し、高融点の熱可塑性樹脂を溶融状態若しくは半溶融状態としてこれを引き伸ばすことにより木目調模様を付与したので、樹脂成形体の表面に大きな傷やウェルドライン等が形成されることなく多様な木目調模様を形成することができ、耐久性並びに生産性にも優れた木目調模様を有する樹脂成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2実施例に係る樹脂成形体の製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る樹脂成形体の縦断面図である。
【図3】本発明の第3及び第4実施例に係る樹脂成形体の製造装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施例の被覆金型の一方の金型部材の型合わせ面の正面図である。
【図5】同被覆金型の要部を示す断面斜視図である。
【図6】本発明の第4実施例の被覆金型の一方の金型部材の型合わせ面の正面図である。
【図7】同被覆金型の要部を示す断面斜視図である。
【図8】(a)は第3実施例の製造方法で製造された樹脂成形体の表面模様を示す平面図であり、(b)は第4実施例の製造方法で製造された樹脂成形体の表面模様を示す平面図である。
【図9】本発明の被覆金型内において樹脂Bが引き伸ばされる作用を説明するための作用説明図である。
【図10】本発明の被覆金型に垂直方向溝を設けた場合の樹脂流れを説明するための作用説明図である。
【図11】本発明の被覆金型に垂直方向溝と連結溝を設けた場合の樹脂流れを説明するための作用説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形体
2 内層基材
3 外側樹脂層(最外層)
10 樹脂成形体の製造装置
11 第1押出機
13 冷却賦形金型
15 第2押出機
16 被覆金型
21 賦形用流路
22 供給用流路
Claims (14)
- 木目調模様を呈する表面を有する樹脂層を有し、該樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む混合材料からなり、前記模様は、非相溶の前記第1と第2の熱可塑性樹脂との色斑により形成されていることを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体。
- 前記木目調模様を呈する表面を有する樹脂層は、熱可塑性樹脂材料からなる基材の表面に積層形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木目調模様を有する樹脂成形体。
- 前記樹脂層の木目調模様は、第1の熱可塑性樹脂中で分散して存在する第2の熱可塑性樹脂が略一方向に細長く引き伸ばされることにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木目調模様を有する樹脂成形体。
- 前記樹脂層の木目調模様は、第2の熱可塑性樹脂が第1の熱可塑性樹脂中で板目状若しくは柾目状に引き伸ばされることにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木目調模様を有する樹脂成形体。
- 少なくとも第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料を押出機より押し出して連続的に冷却賦形金型で冷却賦形することにより樹脂層を形成し、該樹脂層の少なくとも表面部分を加熱するとともに該表面部分に分散された第2の熱可塑性樹脂を略一方向に細長く引き伸ばすことにより、前記樹脂層の表面に、前記第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との色斑からなる木目調模様を形成することを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂材料を第1押出機より押し出して第1の冷却賦形金型で冷却賦形することにより基材を成形した後、該基材の表面に、少なくとも第1の熱可塑性樹脂と該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料を第2押出機より押し出して連続的に第2の冷却賦形金型で冷却賦形することにより樹脂層を積層形成し、該樹脂層の表面部分を加熱するとともに該表面部分に分散された第2の熱可塑性樹脂を略一方向に細長く引き伸ばすことにより、前記樹脂層の表面に、前記第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との色斑からなる木目調模様を形成することを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 研磨体で樹脂層の表面を略一方向に研磨することにより、その摩擦熱によって第2の熱可塑性樹脂を加熱して前記研磨体の研磨方向に細長く引き伸ばすことを特徴とする請求項5又は6に記載の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 研磨体による研磨部に水を流すことを特徴とする請求項7に記載の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂材料からなる基材を押出成形する工程と、該基材の表面に被覆金型を用いて木目調模様を呈する樹脂層を積層押出成形する工程とを有し、
前記樹脂層は、少なくとも第1の熱可塑性樹脂と該第1の熱可塑性樹脂よりも融点の高い第2の熱可塑性樹脂とを非相溶状態で含む熱可塑性樹脂材料からなり、
前記樹脂層の成形温度を所定の温度に調節することにより、前記被覆金型内で第2の熱可塑性樹脂を木目調模様を呈するように引き伸ばす
ことを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。 - 前記被覆金型は、樹脂材料の賦形用の流路と、該賦形用流路へ前記熱可塑性樹脂材料を供給するための供給用流路とを備え、該供給用流路が、賦形用流路と交差状に設けられている請求項9に記載の樹脂成形体の製造方法において、
前記供給用流路内に流路厚方向に突出する突起を設けることにより樹脂流れを制御することを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。 - 前記供給用流路を、基材への樹脂層の被覆幅全体にわたるスリット状に構成し、前記突起を、被覆幅方向に間隔を有して複数並設することを特徴とする請求項10に記載の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 前記被覆金型は、樹脂材料の賦形用の流路と、該賦形用流路へ前記熱可塑性樹脂材料を供給するための供給用流路とを備え、該供給用流路が、賦形用流路と交差状に設けられている請求項9に記載の樹脂成形体の製造方法において、
前記供給用流路を構成する金型壁面に溝を設けることにより樹脂流れを制御することを特徴とする木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。 - 前記供給用流路を、基材への樹脂層の被覆幅全体にわたるスリット状に構成し、前記溝は、供給用流路内の樹脂流れ方向に沿う垂直方向溝を有し、該垂直方向溝を、被覆幅方向に間隔を有して複数並設することを特徴とする請求項12に記載の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
- 複数の垂直方向溝の先端を連結溝で連結することを特徴とする請求項13に記載の木目調模様を有する樹脂成形体の製造方法。
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