JP4388587B2 - バイオフィルム除去剤 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオフィルム除去剤に関するものであり、より詳細には、微生物が関与するさまざまな分野において、バイオフィルムを効果的に除去し、バイオフィルムに起因する危害を防止するためのバイオフィルム除去剤及びバイオフィルムとその他汚れとの複合汚れを効果的に除去する硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
バイオフィルムは生物膜やスライムとも言われ、一般に水系で微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して構造体を形成したものを指す。バイオフィルムが形成すると、微生物を原因とする危害が発生して、様々な産業分野で問題を引き起こす。例えば、食品プラントの配管内にバイオフィルムが形成されると、このバイオフィルムが剥がれ落ち製品内への異物混入につながるだけでなく、微生物由来の毒素で食中毒の原因となる。さらに、金属表面へのバイオフィルム形成は金属腐食の原因となり、設備の老朽化を促進する。
更に、バイオフィルムを形成した微生物集合体に対しては、水系に分散浮遊状態にある微生物と比較して、殺菌剤・静菌剤のような微生物制御薬剤の十分な効果が出せないことも多い。例えば医療の面では近年、内視鏡等の医療機器の狭い隙間や空孔内に微生物が残存してバイオフィルムを形成し、これを原因とする院内感染例が数多く報告されている。ヒト口腔内においては歯に形成するバイオフィルム、いわゆるデンタルプラーク(歯垢)がう食や歯周病の原因となることは良く知られており、 これらの問題について長い間検討されている。
これまでバイオフィルムの危害を防止するためには、微生物、特に細菌に対して殺菌作用もしくは静菌作用を与えることによって菌を増殖させない考え方が一般的に検討されてきた。特許文献1には、アルギニンの塩酸塩、アルギニンエチルエステル、アルギニングルタミン酸などのアルギニンまたはその誘導体と抗菌活性を示す化合物を配合した抗菌製剤が記載されているが、その効果はまだ満足できるものではなく、また、この文献は微生物集合体に対する抗菌効果を示したものであり、バイオフィルムの除去を目的としたものではない。
バイオフィルムを除去する方法として、殺菌剤を用いる方法、キレート剤を用いる方法、酵素を用いる方法などが試みられており、特許文献2では次亜塩素酸塩、アルカリ金属水酸化物と界面活性剤を組み合わせて使用する方法が開示されている。しかしながら、いずれの方法においても効果的にバイオフィルムを除去するには至っておらず、いまだに大きな課題となっている。
すなわち、殺菌性の高いカチオン性界面活性剤や次亜塩素酸塩など即効性の特徴を持つ殺菌性の高い薬剤を用いた場合、系内もしくはバイオフィルム中の有機物により殺菌性は速やかに失われるため、これらは長期間にわたって菌数低減効果を維持することは難しく、殺菌効果が失われると再び菌が増殖する。また、殺菌剤はバイオフィルムを除去するものではないため、微生物が表面に付着しバイオフィルムを形成するまでに作用させなければならない。
前述のようにバイオフィルムは菌体、多糖、タンパク質などいろいろな物質から形成されており、これらの化合物の一部だけを分解することでは、バイオフィルムを完全に除去することは困難であると考えられる。 従って、特許文献3に開示されているような酵素を利用しバイオフィルムを除去する方法においては、ある程度の除去効果は認められるもの完全な除去は困難であるとともに、バイオフィルムの生成抑制効果はないため、残存したバイオフィルム中の菌が再び増殖し、多糖やタンパク質などの高分子物質を産生する。
また、バイオフィルムは浴室、台所、厨房、トイレの便器、排水講、排水管などの水分が多く、微生物が増殖しやすい環境で形成されやすいが、各場所において汚れの種類が異なっている。例えば、台所周りでは油脂汚れが、浴室内においては金属石鹸、特に脂肪酸のカルシウム塩が、トイレの便器内では無機質汚れが主となっている。バイオフィルムはこのような汚れと共存し複合汚れとなった場合、通常の界面活性剤を主とした洗浄剤では除去することが困難となり、これら複合汚れを効果的に除去することが望まれている。
特開平8−151324号公報 特開2005−75873号公報 特表2001−508677号公報
従って、本発明の目的は、様々な領域において微生物ならびに微生物産生物質からなるバイオフィルムを効果的に除去するバイオフィルム除去剤及びバイオフィルム除去剤組成物並びにバイオフィルムと各種汚れが共存した複合汚れを効果的に除去する硬質表面用洗浄剤組成物及び医療機器用洗浄剤組成物を提供することにある。
そこで本発明者は、バイオフィルムを効果的に除去するバイオフィルム除去剤を得るべく鋭意研究を行ったところ、特定のアミノ酸誘導体にバイオフィルムの除去作用があることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 0004388587
(式中、R1は炭素数4〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、X及びYは次の式
Figure 0004388587
で示される基から選ばれる基を示し、mは1〜5の整数を示す。)
で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩を含有するバイオフィルム除去剤を提供するものである。
また、本発明は、アルギニンまたはその塩とグリシジルエーテルとを反応させて得られるアルギニン誘導体又はその塩を含有するバイオフィルム除去剤を提供するものである。
さらに本発明は、上記のいずれかのバイオフィルム除去剤と、これ以外の界面活性剤及びキレート剤からなる群より選ばれる1種以上とを含有するバイオフィルム除去剤組成物をも提供するものである。
また、本発明は、上記一般式(1)で表わされる塩基性アミノ酸誘導体若しくはその塩又は上記アルギニン誘導体若しくはその塩を含有する硬質表面用洗浄剤組成物を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記一般式(1)で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩と、これ以外の界面活性剤及びキレート剤からなる群より選ばれる1種以上とを含有する硬質表面用洗浄剤組成物を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記一般式(1)で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩を含有する医療機器用洗浄剤組成物を提供するものである。
さらにまた、本発明は、該医療機器用洗浄剤組成物に医療機器を浸漬するか、該水溶液の水流中に医療機器を置くか、又は超音波振動を与えつつ該水溶液と医療機器を接触させる、医療機器の洗浄方法を提供するものである。
本発明によれば、様々な領域において微生物ならびに微生物産生物質からなるバイオフィルムを効果的に除去することができ、かつバイオフィルムと各種汚れが共存した複合汚れも効果的に除去することができる。
本発明のバイオフィルム除去剤は、下記一般式(1)
Figure 0004388587
(式中、R1は炭素数4〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、X及びYは次の式
Figure 0004388587
で示される基から選ばれる基を示し、mは1〜5の整数を示す。)
で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩を1種以上含有する。
1で示されるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、バイオフィルム除去効果の点から炭素数4〜18のものであり、炭素数6〜14のものが好ましく、炭素数8〜14のものがより好ましく、炭素数10〜14のものがさらに好ましい。具体的には、n−へキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基等が挙げられる。R1で示されるアルキル基又はアルケニル基は単一あるいは混合であってもよい。また、天然由来、例えばヤシ油やパーム核油由来の混合アルキル組成であってもよい。
一般式(1)中、mは、1〜5の整数を示すが、2〜4が好ましく、さらに3が好ましい。また、Xは−OCH2−CH(−OH)CH2−が好ましく、Yは−NH−C(−NH2)=NHが好ましい。
塩基性アミノ酸誘導体(1)の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸の塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩などの有機酸の塩が挙げられ、好ましいものとしては、塩酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルチニン、ヒスチジン、ヒドロキシヒスチジン等とグリシジルエーテル、脂肪酸クロライド、脂肪酸無水物、エポキシアルカンなどの化合物とを反応させることにより得られる。好ましいものとしては、アルギニンとグリシジルエーテル、脂肪酸クロライド、酸無水物、エポキシアルカンなどの化合物とを反応させることにより得られる化合物で、さらに好ましくはアルギニンとグリシジルエーテルとの反応により得られる、下記一般式(2)の化合物である。
Figure 0004388587
(R2は、炭素数4〜18の直鎖または分岐鎖のアルキルまたはアルケニル基を示す。)
これら反応生成物はバイフィルム除去性能を阻害しない範囲で未反応物、副生成物を含んでいてもよい。
なお、特開平9−271655号公報にグリシジルエーテルと塩基性アミノ酸またはその塩とを反応させて得られる塩基性アミノ酸誘導体またはその塩を含有する化粧料及び洗浄剤組成物が開示されているが、これは、皮膚及び粘膜に対して低刺激であり、毛髪等に対するコンディショニング効果を向上させる目的で用いられており、本発明の効果、すなわちバイオフィルム除去効果やバイオフィルムと各種汚れが共存した複合汚れの除去効果を何ら予見、推測しうるものではない。
本発明のバイオフィルム除去剤の使用量は用途、剤型により適宜決定することができるが、バイオフィルムへ作用させる場面においては、通常、水溶液の状態で用いられ、その濃度としてはコストと取り扱い性とバイオフィルム除去性能の面から一般式(1)の化合物濃度として0.001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.002〜7重量%、さらに好ましくは0.005〜5重量%の範囲である。
本発明のバイオフィルム除去剤は、バイオフィルムを形成した面に水溶液を接触させることにより効果を発揮し、その方法としては浸漬、塗布あるいは散布するなどがある。さらに、スポンジ、タオル、ブラシ、水流などの物理力を加えてもよい。また、バイオフィルム除去剤を作用させておく時間は、付着しているバイオフィルムの量、バイオフィルム除去剤を作用させる濃度、作用温度、物理力の有無により異なるが、通常は数秒から数時間の範囲である。また、作用後は流水などにより、除去されたバイオフィルムを速やかにすすぎ流すことが望ましい。
本発明のバイオフィルム除去剤組成物及び硬質表面用洗浄剤組成物は、一般式(1)で表される化合物の溶解性を高める、あるいはバイオフィルム除去性能を向上させる、さらには洗浄効果を高める目的で、一般式(1)で表される化合物以外の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤から選ばれる1種以上を併用することができる。
陰イオン性界面活性剤としては、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEと記す)アルキルスルホン酸塩、POEアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、POEアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、POEアリールフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸エステル塩、POEアリールフェニルエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、POEトリベンジルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、POEトリベンジルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩(石けん)、POEアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられ、中でもアルキル硫酸エステル塩やPOEアルキルエーテル硫酸エステル塩又はPOEアルキルエーテル酢酸塩を用いることがより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン・POE(ブロック又はランダム)アルキルエーテル、POEアリールフェニルエーテル、POEスチレン化フェニルエーテル、POEトリベンジルフェニルエーテル等の1価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミド等の多価アルコール誘導体型非イオン性界面活性剤等が挙げられ、中でもPOEアルキルエーテル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル又はPOEソルビタン脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、脂肪酸アミドベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられ、中でもアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルヒドロキシスルホベタインを用いることが好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、中でもアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。前記塩としては、ハロゲン化物が好ましく、塩化物、臭化物がより好ましい。
これらの界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤が好ましい。また、これらの界面活性剤は一般式(1)の化合物と目的に応じて任意の割合で併用することができる。好ましい割合は、製品の安定性と洗浄効果の点で、重量比で、一般式(1)の化合物:他の界面活性剤=1:99〜99: 1であり、より好ましくは、5:95〜95:5であり、更に好ましくは、10:90〜80:20である。
本発明のバイオフィルム除去剤及び硬質表面用洗浄剤組成物はその効果を高める目的で、キレート剤を併用することができる。キレート剤としては、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸ジ酢酸、アミノメチルグリシンジ酢酸などのアミノカルボン酸誘導体及び/又はそれらの塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸など有機酸の塩、ポリアクリル酸及び/又はその塩、ポリアクリル酸/マレイン酸共重合体及び/又はその塩などの高分子電解質系化合物、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩などのリン酸系化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/又はその塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及び/又はその塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及び/又はその塩などのホスホン酸系化合物、A型ゼオライト、B型ゼオライトなどのアルミノケイ酸などが挙げられ、中でもニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、トリポリリン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及び/又はその塩が好ましい。
また、これらのキレート剤は一般式(1)の化合物と目的に応じて任意の割合で併用することができる。好ましい割合は、洗浄効果の点で、重量比で、一般式(1)の化合物:キレート剤=1: 99〜99:1であり、更に好ましくは、5:95〜95:5である。
本発明のバイオフィルム除去剤組成物及び硬質表面用洗浄剤組成物の製品形態中の一般式(1)の化合物の濃度としては、用途、剤型により適宜決定することができるが、製品化難易度と効果の観点から、0.001〜80重量%が好ましく、さらに0.002〜60重量%が好ましく、よりさらに0.005〜40重量%の範囲が好ましい。
本発明のバイオフィルム除去剤、バイオフィルム除去剤組成物及び硬質表面用洗浄剤組成物の剤型としては、用途、目的に応じて、水、エタノール、イソプロパノールなどの溶剤に溶かした溶液、あるいは固体、ゲル状、乳化・分散状、粉末状、エアゾールなどが挙げられ、これらから適宜選択することができ、作用濃度に合わせた製品形態はもちろんのこと、高濃度の製品形態にしておき、使用場面において希釈する、あるいは使用場面において一般式(1)の化合物と界面活性剤及び又はキレート剤を配合し使用することも可能である。
本発明のバイオフィルム除去剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、増粘剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、蛍光剤、賦形剤、ソイルリリース剤、漂白剤、漂白活性化剤、粉末化剤、造粒剤、コーティング剤などを配合することができる。
本発明品はバイオフィルムの危害が懸念される広い分野に使用することが可能である。例えば菌汚染リスクの高い食品製造又は飲料製造プラント用洗浄剤、台所、厨房、浴室、トイレの便器、キッチン又は厨房などの排水溝、排水管に応用できる。また、産業用の冷却タワーなどの冷却水系、脱塩装置、パルプ及び紙製造系や浴槽、プール、人工池などの循環水系路に応用できる。バイオフィルムが形成しやすい医療機器、例えば内視鏡やカテーテル、人工透析機等の洗浄剤にも応用できる。更に、高い安全性を有することから、身体を対象とした洗浄剤、歯磨き剤、口腔ケア剤、入れ歯ケア剤、コンタクトレンズ洗浄剤などに使用することも可能である。
本発明の医療機器用洗浄剤組成物は、上記一般式(1)で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩を含有するものである。
ここで、医療機器としては、内視鏡、カテーテル、人工透析機(特に人工透析液の回路)等の体液が付着する可能性の高い医療機器が挙げられる。ここで内視鏡としては、喉頭内視鏡、気管支鏡、上部消化器内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、胸腔鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、胆道鏡、間接鏡、血管内視鏡等が挙げられる。
近年、これらの内視鏡の応用分野は拡大しており、本発明の洗浄剤組成物は、これらの内視鏡洗浄用として特に有用である。
医療機器用洗浄剤組成物の使用方法としては、該医療機器用洗浄剤組成物に医療機器を浸漬するか、該水溶液の水流中に医療機器を置くか、又は超音波振動を与えつつ該水溶液と医療機器を接触させる、等の方法が挙げられる。該医療機器用洗浄剤組成物を希釈して使用する場合0.2〜20%、特に、0.3 〜15重量%、更に0.4〜12重量%の水溶液が好ましい。
製造例1
N-[2-ヒドロキシ-3-(2-エチルヘキシル)オキシプロピル]-L-アルギニン塩酸塩の製造
還流冷却管、滴下ロート、温度計及び撹拌羽根を備えた200mLの四つ口フラスコに、L(+)-アルギニン9.4g(53.7mmol)、水50.0g、エタノール50.0gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌を行いながら78℃に昇温した。次に、反応系内を78〜80℃に保ち、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル10.0g(53.7mmol)を滴下した。その後、78〜80℃で4時間熟成を行った後、室温に戻した。次に、6mol/Lの塩酸水溶液9.8g(53.7mmol)を添加し、中和を行った。反応溶液から減圧で水とエタノールを完全に留去し、N-[2-ヒドロキシ-3-(2-エチルヘキシル)オキシプロピル]-L-アルギニン塩酸塩の白色固体21.6g得た。この化合物は、表1の化合物2に相当する。
同様の方法で、C10(イソデシル)、C12(直鎖)を有する化合物を製造した。これらの化合物は、それぞれ表1の化合物3、化合物4に相当する。
実施例1
<バイオフィルム除去能の検定>
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、セラチア菌(Serratia marcescens NBRC12648)、表皮ブドウ球菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)をそれぞれ大豆−カゼインダイジェストアガー(Soybean-Casein Digest Agar)〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて、37℃、24時間の前培養してコロニー形成したものから極少量の菌塊を、滅菌済みの竹串を用いて、ミューラーヒントン培地を各1.5mL注加した24ウェルマイクロプレート内に接種した。これを37℃、24時間培養後に培養液を廃棄し、精製水2mLで各ウェルを5回リンスし、マイクロプレート壁にバイオフィルムを形成、付着させた。ただちに、表2及び3に示す調製したバイオフィルム除去剤を含む配合品(本発明品1〜24及び対照としての比較品1〜19)を2mL注加し、室温で10分間作用させた後、各ウェル中のバイオフィルム制御剤を廃棄した。精製水2mLで各ウェルを2回リンスした後、0.1%クリスタルバイオレット2mLを注加し、マイクロプレート壁に残存するバイオフィルムを染色した。余分な染色液を水でリンス後に80%エタノール2mLを注加し、バイオフィルムを染色したクリスタルバイオレットを均一に溶解後、570nmで吸光度を測定し測定値とした。同様にバイオフィルム除去剤を作用させていないウェルについて0.1%クリスタルバイオレットで処理後、吸光度を測定し初期値とした。また、24ウェル中にミューラーヒントン培地を各1.5mLはするが菌塊を接種しないものを同様に行い、吸光度を測定してブランク値とした。各試験は5回行い平均した値を用いた。除去率は下記の式にて算出した。表中の濃度は全量に対する有効分濃度(重量%)で示し、また、pHは必要に応じて水酸化カリウムあるいは塩酸を用いて調整した。
除去率(%)=100×[{(初期値−ブランク値)−(測定値−ブランク値)}/(初期値−ブランク値)]
得られたバイオフィルム除去率を表2及び3に示した。
なお、表中の化合物1〜5は次の表1に示すものである。
Figure 0004388587
Figure 0004388587
以上の結果より、本発明のバイオフィルム除去剤を用いることによりバイオフィルムを良好に除去できることがわかる。
実施例2
<風呂汚れに対する洗浄試験>
4人家族の家庭の風呂の排水溝に縦80mm×横20mm×厚さ1mmのポリプロピレン製のテストピースを設置し、2ヶ月放置後に取り出し試験片とし、洗浄力を以下のように評価した。表3に示す洗浄剤組成物(本発明品10〜24及び対照としての比較品10〜19)を3mL含ませたテストピースと同じ大きさの木綿布を、試験片に5分間密着させた後、スポンジでこすった後の汚れの状態を視覚によって下記の5段階で評価し、5回の平均値である風呂汚れに対する洗浄性の結果を表3に示した。
5: 汚れ落ちが非常に良好
4: 汚れ落ちが良好
3: 汚れ落ちにムラがある
2: 若干汚れが落ちる程度
1: ほとんど汚れが落ちない
実施例3
<台所汚れに対する洗浄試験>
4人家族の家庭の台所の排水溝に縦80mm×横20mm×厚さ1mmのステンレス製のテストピースを設置し、2ヶ月放置後に取り出し試験片とし、洗浄力を以下のように評価した。表3に示す洗浄剤組成物(本発明品10〜24及び対照としての比較品10〜19)を3mL含ませたテストピースと同じ大きさの木綿布を、試験片に5分間密着させた後、スポンジでこすった後の汚れの状態を視覚によって下記の5段階で評価し、5回の平均値である台所汚れに対する洗浄性の結果を表3に示した。
5: 汚れ落ちが非常に良好
4: 汚れ落ちが良好
3: 汚れ落ちにムラがある
2: 若干汚れが落ちる程度
1: ほとんど汚れが落ちない
Figure 0004388587
実施例4:テフロン(登録商標)チューブでのバイオフィルム除去試験
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)およびクレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)を大豆−カゼインダイジェストアガー(Soybean-Casein Digest Agar)〔SCD寒天培地:日本製薬(株)製〕を用いて37℃24時間の前培養を行った。
得られた寒天培地上の細菌コロニーを1白金耳接種し、コール−パーマーインストルメント(株)(Cole-Parmer Instrument Company)製のマスターフレックス(Masterflex)定量ポンプシステム(システムモデルNo.7553-80、ヘッドNo.7016-21)を用い、テフロン(登録商標)製チューブ(内径5mm、外径7mm)に細菌を懸濁させた培養液を流量50〜60mL/分として30℃で48時間循環させ、テフロン(登録商標)チューブ内表面にバイオフィルムを形成させた。培養液を廃棄し、表2に示した組成物を滅菌精製水で10%濃度に調製した。この液を流量50〜60mL/分として30℃で循環させ、処理前及び処理30分後にテフロン(登録商標)チューブ内に付着したバイオフィルムを0.1%クリスタルバイオレットで染色処理後、目視で確認した。バイオフィルム形成状態は、コントロールのバイオフィルム付着量の0〜10%を◎、10〜40%を○、40〜80%を△、80%以上を×とした。
結果を表4に示す。
Figure 0004388587
以上の結果から、本発明品のバイオフィルム除去効果は明らかである。なお、テフロン(登録商標)チューブは、内視鏡用途に使用されているものであり、当該効果より、本発明は、内視鏡用途のバイオフィルム除去効果にすぐれていることがわかる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004388587
    (式中、R1は炭素数4〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を示し、X及びYは次の式
    Figure 0004388587
    で示される基から選ばれる基を示し、mは1〜5の整数を示す。)
    で表わされる塩基性アミノ酸誘導体又はその塩を含有するバイオフィルム除去剤。
  2. 一般式(1)中、mが3である請求項1記載のバイオフィルム除去剤。
  3. 一般式(1)中、Xが−OCH2−CH(−OH)CH2−である請求項1又は2記載のバイオフィルム除去剤。
  4. アルギニン又はその塩とグリシジルエーテルとを反応させて得られるアルギニン誘導体又はその塩を含有するバイオフィルム除去剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のバイオフィルム除去剤と、これ以外の界面活性剤及びキレート剤からなる群より選ばれる1種以上とを含有するバイオフィルム除去剤組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のバイオフィルム除去剤を含有する硬質表面用洗浄剤組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載のバイオフィルム除去剤、これ以外の界面活性剤及びキレート剤からなる群より選ばれる1種以上とを含有する硬質表面用洗浄剤組成物。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項記載のバイオフィルム除去剤を含有する医療機器用洗浄剤組成物。
  9. 医療機器が内視鏡である請求項8記載の医療機器用洗浄剤組成物。
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