図5に、従来の画像形成装置の一例であり、電子写真方式を採用した、カラーレーザプリンタを概略的に示す(例えば、特許文献1参照)。
このカラーレーザープリンタは、イエロー2Y、マゼンタ2M、シアン2C、およびブラック2Bkの4つの画像形成部(プロセスステーション)となるプロセスカートリッジ2を備えており、この各プロセスカートリッジ2内の像担持体である感光ドラム(電子写真感光体)21(21Y、21M、21C、21Bk)表面に形成された画像を一旦第2の像担持体であり転写媒体でもある中間転写体31に連続的に多重転写し、フルカラープリント画像を得る4連ドラム方式(インライン)プリンタである。
尚、プロセスステーションは、プロセスカートリッジ2として画像形成装置に着脱自在に設置されている。
このとき、プロセスカートリッジ2を鉛直方向に上下方向に積み上げる形で配置すると、設置面積を少なくすることができ、オフィスの省スペース化のメリットが大きく、カラーレーザプリンタのパーソナル化を計る上でも有効な手段である。
又、中間転写体31も、ここではベルト状部材であり、駆動ローラ32、従動ローラ33、二次転写対向ローラ34、テンションローラ35の4本のローラに巻架されている。そして、駆動ローラ32と従動ローラ33との間にては中間転写体31は、鉛直方向に張架され、その部分は、4体のプロセスカートリッジ2が並列されており、各プロセスカートリッジ2の各一次転写部T(TY、TM、TC、TBk)が構成された一次転写面(本面最書では、以下「ベルト対向面」と称す。)Xとされる。そして、ベルト対向面Xの各プロセスカートリッジ2の対向部における裏側には、それぞれのプロセスカートリッジ2にて形成された現像剤像(トナー像)を中間転写体31に一次転写する一次転写手段である一次転写ローラ36(36Y、36M、36C、36Bk)が配置されている。そして、これらの中間転写体31の内側に備えられた巻架ローラ32〜35、及び巻架ローラ32〜35を支持して中間転写体31を張架させる不図示の部材は一体化され、ベルトユニット、即ちここでは中間転写ユニット3として、画像形成装置から着脱自在とされている。
このカラーレーザプリンタでは、中間転写ユニット3は、プリンタの側面を開閉する開閉部材である開閉カバー61側に取り付けられ、図6に示すように、開閉カバー61を開けることで第2の状態となり、中間転写ユニット3が開閉カバー61と共に分離されて、各プロセスカートリッジ2が露出され、ユーザがプロセスカートリッジ2にアクセス可能となり、プロセスカートリッジ2の着脱、装着が行えるようになっている。尚、本明細書では、開閉カバー61を閉めた状態を「第1の状態」とする。
しかしながら、開閉カバー61と一体化した中間転写ユニット3は、開閉カバー61に固定されている場合は、回動するカバー61と共に回動するため、プロセスカートリッジ2との位置決め精度が安定しないといった問題点があった。
それを解決するために、中間転写ユニット3を、開閉カバー61にはラフに保持させて、水平方向、鉛直方向に移動可能なフローティング状態となるようにし、装置本体側にて、第1の状態即ち開閉カバー61を閉めた状態においてプロセスカートリッジ2を固定する固定部材である位置決め62、63が設けられる構成がある。
図6にて実施されている位置決め62、63による位置決め方法としては、位置決め62は、ベルト対向面Xの片端部である、中間転写ユニット3の駆動源となる駆動ローラ32側、つまり上方に高さ方向と奥行き方向を決定する断面がL字状部材であり、L字の垂直部分の内側にて、ローラ32の端部に突き出した部分である固定部材32aをプロセスカートリッジ2側且つ下方から固定し、位置決め63は、ベルト対向面Xのもう片端部である、従動ローラ33側、つまり下方は奥行き方向を決定する板状部材であり、ローラ33の端部突起部分である固定部材33aを中間転写体31のプロセスカートリッジ2側から固定している。この位置決め62、63に対し、中間転写ユニット5を装置側面側から押し付けるように、位置決め62、63のユニット3に対して反対側に付勢部材65、66が設けられている。
しかしながら、従来のこの方法では、確実に中間転写ユニット3側の固定部材32a、33aを、装置本体側位置の位置決め部材62、63に突き当てるにはかなり大きな付勢力で中間転写ユニット3を押し付ける必要があり、その付勢力に対する開閉カバー61の剛性不足や、又、剛性不足を解消するための大型化、重量アップ等の問題の発生につながっていた。
又、付勢部材65、66の付勢力に伴う反力の増大により、実際の開閉動作における操作性が悪化する傾向があった。
又、開閉カバー61上で、中間転写ユニット3がラフにフローティング状態に保持されているため、開閉カバー61を閉じていくと中間転写ユニット3が、自重で下方に重心が偏ってしまい、開閉カバー61を閉じたときに(第1の状態)、中間転写ユニット3の装置本体側の位置決め部材62、63へのスムーズな受け渡しができずに、操作性の悪化、ひいては、確実な位置決めができないといった信頼性の悪化につながっていた。
又、これとは別に、中間転写体31が回動するときは離間し且つ二次転写工程実施時には対向当接している二次転写ローラ71と、中間転写ユニット3と、の間のアライメントについても精度が出にくいため、装置全体として信頼性が悪いものとなっていた。
特開平8‐160839号公報
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一形態である本実施例のレーザープリンタの全体構成説明図であり、装置の動作時の様子を表す図である。この画像形成装置も、従来例である図5、図6を用いて説明したものと同様に、複数の画像形成部(プロセスステーション)を構成するプロセスカートリッジ2が鉛直方向上下に配置され且つベルトユニットである中間転写ユニット3が側面に設けられた開閉部材(開閉カバー)61と一体化しており、開閉カバー61を開くとそれに伴って中間転写ユニット3も移動し、プロセスカートリッジ2が露出する構成をとる。
まず、カラーレーザプリンタの全体構成について、図1を参照して概略説明する。
カラーレーザプリンタは図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)各色毎に、一定速度で回転する感光ドラム21(21Y、21M、21C、21Bk)を有し、その感光ドラム21表面にそれぞれの色の現像剤にて現像剤像(トナー像)を形成する画像得形成部(プロセスステーション)をそれぞれ構成している。そして、各プロセスステーションは、それぞれ色毎にプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)として、感光ドラム21とそれに作用する画像形成手段が一体化されている。このプロセスカートリッジ2はプリンタ本体に対して着脱自在に支持され、感光ドラム21の寿命に合わせて容易にユニット交換可能であるよう構成されている。
そして各プロセスカートリッジ2にて感光ドラム21表面に形成されたトナー像は、中間転写体31に重ねて転写され、ここで4色が重なったカラー画像となる。多重転写されたカラー画像(トナー像)を保持し給送部から給送された転写材Pに更に転写する中間転写体31は、それを巻架するローラ32〜35と共に中間転写ユニット3を構成する。
カラー画像を転写された転写材Pは、定着手段5へ搬送され、カラー画像を転写材Pに定着し、排出ローラ群53、54、55によって装置上面の排出トレイ56上へ排出される。
上記画像形成装置の各部の構成について順次詳細に説明する。尚、以下に説明する画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
像担持体:本実施例に係わる感光ドラム21(21Y、21M、21C、21Bk)は、アルミシリンダの外側に有機光導電体層を塗布して構成され、プロセスカートリッジ2の枠体に回転自在に支持された、ドラム状の電子写真感光体である感光ドラムである。そして、図示後方の一方端に備えられた不図示の駆動モータの駆動力が伝達されることにより、表面が、画像形成工程に従ってそれぞれの画像形成動作がなされる画像形成手段を通過するように、図示反時計回りに回転する。プロセスカートリッジ2において、感光ドラム21は、現像容器としてのプロセスカートリッジ2枠体と一体的に構成されている。
帯電手段:帯電手段23(23Y、23M、23C、23Bk)は、ローラ帯電方法を採用した帯電ローラである。感光ドラム2の周面に設けられ、画像形成工程のうち、帯電ローラにより印加電圧を感光ドラム21の表面に一様に帯電させる帯電工程を実施するものである。
潜像形成手段(露光手段):本実施例は電子写真方式を採用した構成であり、潜像形成は、帯電工程にて一様帯電された感光ドラム21表面を露光することによってなされる。感光ドラム21への露光は、露光手段であるスキャナ部1(1Y、1M、1C、1Bk)によって行われる。スキャナ部1の画像信号がレーザダイオードに与えられると、このレーザダイオードは画像信号に対応する画像光12(12Y、12M、12C、12Bk)をポリゴンミラー13(13Y、13M、13C、13Bk)へ照射する。このポリゴンミラー13はスキャナモータ14(14Y、14M、14C、14Bk)によって高速回転し、ポリゴンミラー13で反射した画像光12が結像レンズ15(15Y、15M、15C、15Bk)を介して一定速度で回転する感光ドラム21の表面を各色の画像信号に基づいて選択的に露光し、その結果、感光ドラム21表面に静電潜像を形成する。
現像手段:本実施例が各プロセスカートリッジ2の枠体が、現像手段を構成する現像剤を収容する現像容器を兼ねている。現像手段は、上記静電潜像を可視像化するための、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの現像剤(トナー)をそれぞれ収容する、各色現像を可能とする4個のプロセスカートリッジ2として構成される。4色の各プロセスカートリッジ2は、感光ドラム21に対向する現像剤担持体としてのスリ−ブ22(22Y、22M、22C、22Bk)を有し、スリーブ22は、プロセスカートリッジ2内のトナーを汲み上げ、その周面にトナーを担持し回転しながら、トナー担持面の一部を感光ドラム21に対向し接触する位置に配置され、感光ドラム21表面に形成された静電潜像に各色のトナーを搬送し、各色トナーによる可視像(トナー像)を形成する。
中間転写ユニット3:第一の像担持体としての感光ドラム21からトナー像が転写される第二の像担持地としての中間転写体31は、本実施例では、周長約620mmのシームレス樹脂ベルトで形成された無端のベルト状部材である中間転写ベルト31であり、駆動ローラ32、従動ローラ33、二次転写対向ローラ34、テンションローラ35、の4軸で張架され、ベルト31とその張架ローラ32〜35とが一体化されて、ベルトユニットである中間転写ユニット3を構成している。中間転写ユニット3は、テンションローラ35の両端がばね(不図示)で荷重されて、中間転写ベルト31の周長が本体内の温湿度や経時変化により変化しても、変化量を吸収できる構成になっている。中間転写ユニット3において、中間転写体31の内側で、プロセスカートリッジ2の対向位置に一次転写手段である一次転写ローラ36(36Y、36M、36C、36Bk)が各色のプロセスカートリッジ2毎に配置されている。
中間転写体31は、カラー画像形成動作時には各プロセスカートリッジ2にて可視化された感光ドラム21上のトナー像を多重転写するため、感光ドラム21の外周速度と同期して図示時計回りに回転する。感光ドラム21表面のトナー像が担持された部分は、中間転写体31を挟んで一次転写ローラ36の対向位置に移動し、電圧を印加された一次転写ローラ36との接点である一次転写部T(TY、TM、TC、TBk)で中間転写体31上に多重転写(一次転写)される。
ここで、鉛直方向に並べて配置されたプロセスカートリッジ2の共通の対向面となる、各一次転写部Tが配置された中間転写ベルト31の、駆動ローラ32と従動ローラ33との間に張架された部分に形成される面をベルト対向面Xとする。
多重転写を受けた中間転写体31表面は、二次転写部T2において、電圧を印加された二次転写手段である二次転写ローラ71によって転写材Pを挟持搬送することにより、転写材Pに中間転写体31上の一次転写によって形成された各色トナー像(カラー画像)を一括転写(二次転写)する。
本実施例では、中間転写体31の内側の片側縁部全周には、ゴムで形成されたガイドリブ(不図示)が接着剤により貼り付けられている。そして、従動ローラ33の片側端部には勾配を持ち、樹脂で形成したフランジ(不図示)が配置されていて、ガイドリブ(不図示)とフランジ(不図示)で中間転写体31の走行方向と直行する方向の動き(以下「寄り」という。)を規制している。
中間転写ユニット3は、本体側に設けられた従来例と同様の固定部材である位置決め部62に対して駆動ローラ32の同軸上端部に突起して設けられた固定部材である位置決めボス32aを支点とし支持され、駆動ローラ32の図示後方の一方端に図示しない駆動モータの駆動力を伝達することにより、中間転写体31を画像形成動作に応じて図示時計回りに回転させるようにしている。
尚、本発明に係る中間転写ユニット3の位置決め方法、開閉時の動作等の詳細については、後述する。
給紙部:給紙部は画像形成部へ転写材Pを給送するものであり、複数枚の転写材Pを収納したカセット7と給紙ローラ72、分離パッド73、給紙ガイド(ガイド板)74、レジストローラ対75から主に構成される。画像形成時には給紙ローラ72が画像形成動作に応じて駆動回転し、カセット7内の転写材Pを一枚ずつ分離給送すると共に、ガイド板74によってガイドしてレジストローラ75に至る。画像形成動作中にレジストローラ75は、転写材Pを静止待機させる非回転の動作と転写材Pを中間転写体31と二次転写ローラ71との対向部である二次転写部T2に向けて搬送する回転の動作とを所定のシーケンスで行い、次工程である転写工程時の画像と転写材Pとの位置合わせを行う。
二次転写部:中間転写体31から転写材Pへの転写が行われる二次転写部T2は、二次転写時工程に中間転写体31と対向し、それ以外は中間転写体31との対向部から離間可能な、移動可能な転写ローラ71にて構成される。転写ローラ71は、金属軸を中抵抗発泡弾性体で巻いて構成されており、図示略上下方向に移動可能で且つ駆動を有す。転写材Pに二次転写工程にてカラー像を転写するタイミングに合わせて、転写ローラ71は図示しないカム部材により上方の位置、即ち転写材Pを介して中間転写ユニット3に所定の圧で押しつけられる。この時、同時に転写ローラ71にはバイアスが印加され、中間転写体31上のトナー像は転写材Pに転写される。ここで、中間転写体31と転写ローラ71とは夫々駆動されているため、両者に挟まれた状態の転写材Pは転写工程が行われると同時に、図示左方向に所定の速度で搬送され、搬送ベルト76により次工程である定着手段5にむけて搬送される。
又、この転写ローラ71の位置が決まる摺動溝71aは、後に詳述する中間転写ユニット3の下方の位置決め部である嵌合溝64が設けられた部材64aに設けられている。
定着手段:定着手段5は、上記現像手段により形成されたトナー像を中間転写体31を介して転写材P上に形成したトナー像を定着させる定着工程がなされる部分であり、転写材Pに熱を加えるためのセラミックヒータ50を内蔵しているフィルムガイドユニット51と転写材Pをフィルムガイドユニット51に圧接させるための加圧ローラ52とから構成される。即ちトナー像を保持した転写材Pは、フィルムガイドユニット51と加圧ローラー52とにより搬送されると共に熱及び圧力を加えられることによりトナー像が転写材Pに定着される。
画像形成動作:上記に説明した画像形成手段から、構成された装置によって所望の通常画像を形成する場合の通常画像形成工程における画像形成動作について説明する。帯電工程から一次転写工程までは、各プロセスカートリッジ2においてそれぞれの色毎に別々に行われる。
帯電工程、潜像形成工程:先ず図1に示す給紙ローラ72を回転して給紙カセット7内の転写材Pを一枚分離し、レジストローラ75へと搬送する。一方、各プロセスカートリッジ2における感光ドラム21と中間転写体31とが、各々所定の外周速度V(以下「プロセス速度」と称す。)で図示矢印方向へ回転する。感光ドラム21の帯電手段23を通過した表面部分が、帯電手段23によって表面を均一に帯電され(帯電工程)、露光位置を通過する時に、レーザ露光12を受け所望画像における画像信号に基づいて潜像形成が行われる(潜像形成工程)。
現像工程、一次転写工程:現像工程にて、各色のトナー像がそれぞれのプロセスカートリッジ2に備えられた感光ドラム21上に形成され、一次転写工程にて、それぞれの一次転写部Tにて中間転写体31に一次転写される。以下に各色毎の現像工程及び一次転写工程について説明する。
(1)イエロー画像形成:スキャナ部1Yによりイエロー画像のレーザ12Y照射を行い、感光ドラム21Y上にイエロー潜像を形成する。この潜像形成と同時にイエロー現像器22Yを駆動し感光ドラム21Y上の潜像にイエロートナーが付着するように感光ドラム21Yの帯電極性と同極性で略同電位の電圧を印加してイエロー現像を行う。同時に現像部の下流の第一転写位置TYで感光ドラム21上のイエロートナー像を中間転写体31の外周に一次転写する。この時中間転写体31には上記イエロートナーと逆特性の電圧を印加して一次転写を行う。
(2)マゼンタ画像形成:次いで中間転写体31の外周のイエロー画像の先端が一致するように、スキャナ部1Mによりマゼンタ画像のレーザ12M照射がスタートされイエローと同様にして感光ドラム21M上の潜像にマゼンタトナー像が現像され、感光ドラム21M上のマゼンタトナー像を第一転写位置TMで中間転写体31上に転写する。
(3)シアン画像形成:次いで中間転写体31の外周のイエロー及びマゼンタ画像の先端が一致するように、スキャナ部1Cによりシアン画像のレーザ12C照射がスタートされ、マゼンタ同様にして感光ドラム21C上の潜像にシアントナー像が現像され、感光ドラム21C上のシアントナー像を第一転写位置TCで中間転写体31上にイエロー、マゼンタの各トナー像に重ねて転写する。
(4)ブラック画像形成:次いで中間転写体31の外周のイエロー、マゼンタ、シアン画像の先端が一致するように、スキャナ部1Bkによりブラック画像のレーザ12Bk照射がスタートされ、シアン同様にして感光ドラム21Bk上の潜像にブラックトナー像が現像され、感光ドラム21Bk上のブラックトナー像を、第一転写位置TBkで中間転写体31上に更に重ねて転写する。
以上イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で潜像形成及び現像及び中間転写体31へのトナー転写をそれぞれの一次転写部TY、TM、TC、TBkで行い、中間転写体31の表面にイエロー、マゼンター、シアン、ブラックの4種のトナーが重畳されたフルカラー画像のトナー像を形成することになる。
二次転写工程、定着工程:ブラックトナーの中間転写体31への一次転写が終了する前に、即ち4色目のブラックトナーの一次転写を終えて、フルカラートナー像が形成された中間転写体31の画像先端が第二転写部T2へ到達する前に、先述のレジストローラ75で待機させておいた転写材Pをタイミングを合わせて搬送スタートさせる。上記4色の中間転写体31上への各色の画像形成時には下方に待機し、中間転写体31とは非接触状態であった二次転写ローラ71を同時に上方へカム(図示せず)で移動させ転写材Pを中間転写体31の二次転写部T2で圧接すると同時に二次転写ローラ71にトナーと逆特性のバイアスを印加することで、中間転写体31上のフルカラー画像を転写材Pに一括して4色同時に転写する。第二転写部T2を経た転写材Pは中間転写体31から剥離され、定着手段5へ搬送されトナー定着を行った後に排出ローラ対53、54、55を介して本体上部の排出トレイ56上へ画像面を下向きにして排出され、画像形成動作を終了する。
そして、上記に説明した本実施例の画像形成装置は、メンテナンスのために開閉カバー61が側面に設けられ、ベルトユニットである中間転写ユニット3は開閉部材である開閉カバー61と一体化されており、開閉カバー61の開閉に従って移動し、開閉カバー61を開けた時は、プロセスカートリッジ2から離間することによって、プロセスカートリッジ2が外部に露出するように構成されている。このような画像形成装置では、従来例にて説明したように、カバー61を閉めた状態において、中間転写ユニット3の位置決めのために大きな付勢力が必要であったため、カバー6の剛性不足となったり、開閉動作の操作性が悪化する傾向があった。
そこで、本発明では、中間転写ユニット3の位置決めのために固定部材を、開閉カバー61が閉口した状態で中間転写ユニット3上下端部の位置に、装置固定側、中間転写ユニット側に設け、そして、ベルト対向面X下端部の位置において水平方向の位置を決める固定部材として、装置固定側に嵌合溝64と中間転写ユニット側に嵌合ボス33aを設け、中間転写ユニット3の端部の固定部材とそれに対応する装置本体側の固定部材が嵌合するようにし、更に、そしてその嵌合部64、33aは、中間転写ユニット3等のベルトユニットの第2の回動中心となるように固定した。
ここで、以下に、本発明の特徴的部分である中間転写ユニット3の説明を行っていく。
本発明を最もよく表す図2は、第1の状態である図1より開閉カバー61がわずかに開いた状態で、中間転写ユニット3の位置決めが完了する直前の状態を表す概略断面図である。図3は、図2の状態より更に開閉カバー61が開いた状態であり、位置決め動作において前段階の状態を表す概略断面図である。図4は、開閉カバー61が完全に開いた状態である第2の状態をあらわす概略断面図であり、更に位置決め動作において前段階を表す。つまり、この3つの図のうち、最も閉の状態に近いのが図2であり、開の状態が図4、そして、開閉動作中の状態が図3である。
中間転写ユニット3の開閉カバー61に対しての保持方法を、以下に説明する。
上記に説明したように、画像形成部であるプロセスカートリッジ2は鉛直方向に配列され、ベルト状部材である中間転写体31が各プロセスカートリッジ2の一次転写部Tに沿って、各色のトナー像の一次転写が行われるベルト対向面Xを鉛直方向に形成しており、ベルト対向面Xは下方から上方へと移動するようにされる。そして、図2〜4を参照すれば理解されるように、開閉カバー61は側面鉛直方向に設けられ、断面でその下端の支点60を回動中心とし、ベルト対向面Xと同じ方向に設置された状態(図1)から回動し、カバー61上端61aが下方へ向かうようにして開けられている。
そして、図1〜図4に示すように、本実施例では、開閉カバー61は、その内側で中間転写ユニット3との間にバネ受け板金67が設けられ、中間転写ユニット3に対して付勢力を与えるためのバネ65、66が第1の状態における上部と下部にそれぞれ本体幅方向の両端に2個、計4個設けられている。バネ65、66の付勢力により、開閉カバー61開口時に、つまり図4に示すように開閉カバー61を開けて、カバー61が下部60を中心として約90°回動した第2の状態にて、カバー61と共に回動して転写対向面Xが水平方向となった中間転写ユニット3を開閉カバー61上に保持できる。そして、その時にバネ65、66を対向するためのストッパ受け部材68、69が、カバー61の本体上部と下部に、それぞれ本体幅方向の両端に2箇所ずつ、計4箇所設けられている。又、中間転写ユニット3側には、ストッパ受け部材68、69と係合するストッパボス37、38が、これも本体上部と下部にそれぞれ本体幅方向の両端に2箇所ずつ、計4箇所設けられている。
つまり、上記の構成において、中間転写ユニット3は、図4に示すように開閉カバー61開口時には、バネ65、66により付勢力を受け持ち上がり、カバー61側のストッパ受け部材68、69に対して中間転写ユニット3側のストッパボス37、38が所定の限られた範囲で移動可能に係合していることにより、ストッパ受け部材68、69とストッパボス37、38が突き当たることで、開閉カバー61が完全に開いた第2の状態では、プリント動作時の位置よりも飛び出した位置で鉛直方向、水平方向ともに移動可能なフローティング状態で仮保持されている。
そして、開閉カバー61が閉口した第1の状態(図1)での中間転写ユニット3の本体に対する位置決め方法は、中間転写ユニット3の第1の状態での上部及び下部において、中間転写ユニット3側及び画像形成装置本体側にそれぞれ設けられた固定部材によって固定される。
中間転写ユニット3の上部に位置する駆動ローラ32の同軸上に設けられている固定部材(嵌合部材)である位置決めボス32aに対して、本体側には鉛直方向と水平方向を位置決めする固定部材として従来と同様の略L字形状の位置決め部材62が設けられている。
そして、下部に位置する従動ローラ33の軸方向端部に突起して設けられている固定部材としての位置決めボス(嵌合ボス)33aに対しては、本体側に、水平方向を決めるための固定部材64aが設けられ、固定部材64aには嵌合溝64が設けられている。この嵌合溝64と位置決めボス33aは互いに嵌合寸法であり、嵌合して位置が決まるようになっている。嵌合溝64の形状は、位置決めボス33aが位置決めしやすいように奥行き方向が高くなって、手前側が低い形状であり、手前側の入り口は呼び込みのためのテーパ形状がついている。
尚、中間転写ユニット3の高さ方向は上部の位置決め部材62によって決まるので、この嵌合溝64の鉛直方向は位置決めボス33aを逃がすような形状になっている。又、この嵌合溝64が設けられた固定部材64aが二次転写位置T2近辺まで達する大きさを有し、固定部材64aの二次転写部T2の下部の近辺部分に二次転写ローラ71の摺動溝71aが設けられている。
次に、図1〜図4を用いて開閉カバー61の開閉動作に伴う中間転写ユニット3の動きを説明する。
まず、図4に示すように開閉カバー61が完全に開いた第2の状態においては、先ほど説明したように中間転写ユニット3は、プリント動作時の第1の状態に比べて飛び出した状態でフローティング状態で保持されている。ちなみに、開閉カバー61の回転中心は開閉カバーピボット60であり、図4における開閉角度は約115°である。
次に、図3に示す位置まで開閉カバー61を閉じていく。図4の開口状態からカバー61を閉じていくと中間転写ユニット3の自重方向の力により中間転写ユニット3は、その可動範囲の中で装置鉛直方向下方に下がってしまう。このような状態で従動ローラ33の位置決めボス33aが嵌合溝64に突き当たる。
更に、開閉カバー61を閉じていくと、図2に示すように従動ローラ33の位置決めボス33aが嵌合溝64の中で中間転写ユニット3の新たな第2の回動中心となり、開閉カバー61の回動動作とは、分かれて図に示すように位置決めボス33aを中心として矢印Aの方向に回動していく。このとき、中間転写ユニット3の移動より開閉カバー61が先行して移動しようとして、開閉カバー61内でのバネ65、66による力のつりあいが崩れ、中間転写ユニット3に加わる付勢力が一時的に増えることで、より中間転写ユニット3の回動動作が促され、中間転写ユニット3のストッパ部材37、38の装置本体側の突き当て部であるストッパ受け部材68、69への導入が容易にできるようになり、操作性も向上する。
最後に、開閉カバー61を閉じきると、図1に示すような第1の状態で、中間転写ユニット3の本体に対しての位置決めが完了する。
つまり、開閉カバー61の閉口が完了した状態において、本体下側の位置決めは嵌合溝64により確実に決定される、この状態で下部に設けたバネ66は、中間転写ユニット3がフローティング状態を実現できるのに足りる付勢力でこと足りるので、上部の位置決め部材62に確実に突き当たる付勢力が上部側のバネ65で確保できていれば、中間転写ユニット3に加わる付勢力は比較的小さくて済むことになる。
よって、中間転写ユニット3に加わる力が小さくなるので、開閉カバー61に加わる反力も小さくなり、開閉カバー61及び開閉カバー61に係わる構造体も剛性アップの必要がないもので実現できる。もちろん、開閉カバー61を閉じる際に必要なユーザの加力も小さなものとなり、カバー開閉の操作性においても良好なものとなる。
又、このとき、下部の嵌合溝64、嵌合ボス33aが開閉カバー61を閉じていくときに開閉カバー回動中心60とは別の第2の回動中心になることで、本体側との位置決め部へセットする際のスムーズな受け渡しができるようになるため、これにより良好な操作性、信頼性の高い位置決めの実現が可能となる。
又、中間転写ユニット3の位置決めである嵌合溝64と、中間転写ユニット3と対向する二次転写ローラ71の摺動溝71aが、共に固定部材64aに設けられているため、二次転写ローラのアライメントも高精度で実現できる。
本実施例においては、ベルト状部材として中間転写体を用いた場合について説明したが、この部分は、転写材担持体である搬送ベルトに置き換えたとしても、全く同様の効果が得られる。
又、本実施例においては、開閉カバーに中間転写ユニットが保持するような構成としたが、本体の開閉カバーとは別に中間転写ユニットを保持、回動するような構造体を設けた場合においても同様の効果を得ることができる。
又、本実施例においては、中間転写ユニットを4本のローラを懸架する構成としたが、複数本以上のローラであればよく、又、位置決めにおいても互いの相対関係が満足するのであれば本実施例とは逆にボスや溝を構成したり、位置決め部材形状を替えたとしても同様の効果を得ることができる。
又、本実施例では、画像形成部であるプロセスカートリッジを鉛直方向に並列されたが、水平方向に並列させても、中間転写ユニットをプロセスカートリッジの上部に設けることによって、本発明は適用できる。