JP4387647B2 - 排水集合管の鋳造用消失模型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水集合管の鋳造用消失模型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における排水集合管の鋳造用消失模型として、関連のあるものとしては、図5に示すように、排水集合管胴体2cが枝管受け口接続孔10とテーパー管部8との間で上下に分割して個別に成形して上部胴体2aと下部胴体2bとを相互に接合一体化してなる鋳造用消失模型がある(特許文献1参照)。
また、特許文献1の接合部形状がそれぞれ上下の壁面よりも肉厚状の接合部が形成されると共にこれらの接合部の端面同士が溶融金属の注入時に分割模型と共に燃焼気化する接着剤により相互に接合されている鋳造用消失模型がある(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2601559号公報(図面)
【0004】
【特許文献2】
特許第2831294号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の鋳造用消失模型については、上下胴体2a,2bの上下分割位置が枝管受け口接続孔10よりも下方となる位置P′であり、単に突き合わせて接着接合しているものであり、以下のような課題を伴うものであった。
▲1▼作業性が悪い
・左右方向の接合ズレが出やすい(接合部の内外に段差が生じる)。
(理由)上部胴体と下部胴体の模型の収縮差および変形(楕円状)により各々の接合面寸法に差が生じるため。
【0006】
接着剤が当然使用されるが、その接着剤は一般的に瞬間接着剤が多く、手作業にて接合する場合、心出しが困難。また、治具を使って接着する場合、接着面全面を圧着することができない。
・接着ズレ調整が困難となる。
(理由)接合に使われる接着剤は一般的に瞬間接着剤のため。
ちなみに、硬化の遅い接着剤を使用すると、硬化するまで接着部を圧着する必要があり、圧着治具および保管場所が多く必要となる。接着部分のズレは鋳造品の寸法不良につながる。
【0007】
▲2▼鋳造前工程の塗型において塗型が接着面より差し込み易い。
(理由)模型の接着面の収縮、へこみ等や圧着不十分により相互の接着面に隙間が生じ、その箇所より塗型の差し込みを生じるほか、接着剤の塗り溜まりやダレが生じ易く、それが鋳造品の鋳バリとなり、鋳造欠陥の要因となる。
▲3▼接着剤のはみ出しが生じ易い。
(理由)相互の接着面がフラットのため、圧着時に接着剤が接着面の内外にはみ出す。また、はみ出し分を処理(拭き取り等)する場合、手間である。処理しない場合、鋳物の外観が悪くなり、鋳物の塗装がし難い。
【0008】
▲4▼胴体部の上下分割位置に接着バリが出易い。
(理由)上下胴体部相互の接合部における接着バリが胴体内部に出ると鋳物でもそのまま形状化され、枝管より流出される排水や汚物の流出の妨げとなる可能性がある。
そこで、本発明においては、上部胴体と下部胴体との分割位置を枝管受け口よりの排水や汚物の流出の妨げにならないように、枝管受け口接続孔よりも上方となる位置にし、さらに接合作業性を容易且つ確実になるように、上部胴体と下部胴体とが嵌合による差込式の接合となるようにして、上記した課題を解決しようとしたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題解決に適応できる本発明の排水集合管の鋳造用消失模型としては、請求項1に記載したように、上部胴体(a)と下部胴体(b)とを含んでおり、上部胴体(a)と下部胴体(b)は、それぞれ合成樹脂発泡体で一体に形成されていて、上部胴体(a)と下部胴体(b)との分割位置(P)は枝管受け口接続孔(1)よりも上方となる位置にだけ設けてあり、下部胴体(b)には、枝管受け口接続孔(1)が形成されてある径大部の下方に下方へ漸次細くなったテーパ管部(6)が形成されていて、上部胴体(a)の接合部形状が凹状部又は凸状部に形成されてあると共に下部胴体(b)の接合部形状が凸状部又は凹状部に形成されてあって、互いに嵌合にて差込式に接合し合えるよう構成されてあることを特徴としている。
【0010】
上記請求項1記載の本発明によると、上下胴体の分割位置が枝管受け口接続孔よりも上方となる位置のため、枝管からの排水や汚物の流出に対して何等の妨げにならないほか、上下胴体の接合が嵌合による差込式のため、相互の胴体に寸法収縮差や多少の変形があっても、接合ズレが出難く、接合部の内外周に段差が生じたりするおそれはなくなる。しかも、接合作業が非常に行い易いものとなる。
次いで、請求項1に従属する請求項2に記載された本発明は、上記上部胴体又は下部胴体の凹状部と、下部胴体又は上部胴体の凸状部との接合に接着剤が付加されることを特徴としている。
【0011】
このように接合に接着剤が付加される場合の接合方法の詳細は後述するが、接着剤は上部胴体を上下逆転させて、その凹状部の溝下部に供給されるため、下部胴体の凸状部を嵌合しても接着剤の外部へのはみ出しを防止でき、塗型の差し込みも防止できる。しかも、接着作業性が非常に良好になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明の排水集合管の鋳造用消失模型について図を参照しながら以下に説明する。
図1は鋳造用消失模型Mの断面図、図2は上下胴体a,bの接合前の断面図を示している。図に示す筒状の模型胴体Mは、上部胴体aと下部胴体bとを含んでおり、上部胴体aと下部胴体bとの分割位置Pを枝管受け口接続孔1よりも上方となる位置に設けてある。そして、上部胴体aの接合部形状が凹状部2に形成されてあると共に下部胴体bの接合部形状が凸状部20に形成されてあって、互いに嵌合にて差込式に接合し合えるようになっている。
【0013】
また、上部胴体aには上部排水立管接続部3が形成されてあり、下部胴体bには下部の排水立管接続部4が形成されてあるほか、先の枝管受け口接続孔1が形成されてある径大部5と下部排水立管接続部4との間に下方へ漸次細くなったテーパ管部6が形成されている。図中7は下部胴体bの管軸線に対して傾斜させて設けてある整流羽根、cは枝管受け口接続孔1において凸状部40に凹状部50が接続される枝管であり、枝管受け口接続孔1が複数形成される場合には複数が設置されることになる。
【0014】
また、上記した上部胴体a、下部胴体bおよび枝管cについては、合成樹脂発泡体例えば発泡ポリスチレンにて形成されている。
次に、上部胴体aと下部胴体bとの接合をより強力にするため接着剤を凹状部2および凸状部20間に介在付加させることもでき、この実施態様について図3(1)〜(3)に基づき説明する。
先ず図3(1)のように、上部胴体aを下側に、下部胴体bを上側になるよう上下を逆転させ、次に図3(2)のように上部胴体aの凹状部2の溝下部に接着剤Jをガン等で流し込んだ後、図3(3)のように下部胴体bの凸状部20を、先の凹状部2に差し込み嵌合させ接着接合させる。このとき凹状部2にある接着剤Jは凸状部20の差し込みによって溝底から凸状部20および凹状部2の垂直接合部分へと若干行き渡ることになるが、その接合形態からして外部へは塗りダレ(はみ出し)を生じないものである。
【0015】
従って、接着剤による接合状態は良好となる。
なお、図4には上部胴体aの上部排水立管接続部3にパッキング60を介して排水立管30を接続した状態を示しており、排水立管30の内径S内に排水立管30からの排水の流出を妨げるものがない接続状態となっている。
【0016】
【発明の効果】
本発明による鋳造用消失模型は、以下のような効果を奏することができる。
請求項1による本発明では、上下胴体の分割(接合)位置を枝管受け口接続孔よりも上方となる位置にしたことにより、枝管からの排水や汚物の流出を妨げることが一切なくなる。
また、上下胴体相互の凹凸状接合形態により以下の長所が発揮できる。
【0017】
接合作業性が容易となる。
相互の模型の寸法収縮差、変形があっても嵌合によって吸収し、左右方向の接着ズレおよび接合部内外周の段差が生じない。
塗型の差し込みを防止できる。
また請求項2による本発明では、上記請求項1による上下胴体相互の凹凸状接合状態と相挨って、接着剤のはみ出しを防止した接着接合が簡単に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上下胴体を接合した状態の断面図である。
【図2】上下胴体の接合前を示す断面図である。
【図3】(1)〜(3)は接着剤接合を行う場合の順序を示す断面図である。
【図4】上部排水立管を上部胴体に接合した状態を示す断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
M 筒状の模型胴体
a 上部胴体
2 凹状部
3 上部排水立管接続部
b 下部胴体
P 分割位置
J 接着剤
1 枝管受け口接続孔
4 下部排水立管接続部
c 枝管

Claims (2)

  1. 上部胴体(a)と下部胴体(b)とを含んでおり、上部胴体(a)と下部胴体(b)は、それぞれ合成樹脂発泡体で一体に形成されていて、
    上部胴体(a)と下部胴体(b)との分割位置(P)は枝管受け口接続孔(1)よりも上方となる位置にだけ設けてあり、
    下部胴体(b)には、枝管受け口接続孔(1)が形成されてある径大部の下方に下方へ漸次細くなったテーパ管部(6)が形成されていて、
    上部胴体(a)の接合部形状が凹状部又は凸状部に形成されてあると共に下部胴体(b)の接合部形状が凸状部又は凹状部に形成されてあって、互いに嵌合にて差込式に接合し合えるよう構成されてあることを特徴とする排水集合管の鋳造用消失模型。
  2. 上記上部胴体又は下部胴体の凹状部と、下部胴体又は上部胴体の凸状部との接合に接着剤が付加されることを特徴とする請求項1記載の排水集合管の鋳造用消失模型。
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