JP4387530B2 - 無線基地局装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無線基地局装置に関し、例えば、基地局制御装置との間でATM(非同期転送モード)通信を行うための有線系と、無線端末との間で無線通信を行うための無線系とを接続する無線基地局装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の通信システムでのなかには、基地局制御装置と、基地局と、移動局を構成要素とし、当該基地局と基地局制御装置とのあいだはATM通信を行うための有線系で構成され、基地局と移動局とのあいだは無線通信を行うための無線系で構成されたものがある。
【0003】
ATM通信はSTM(同期転送モード)通信に比べて、通信速度が大きく異なる端末間の通信を収容したり、通信中に通信速度が大きく変化する通信を収容することができるなどの優れた特徴を備えているため、前記有線系には、このATM通信を採用する。
【0004】
移動局から基地局に向かう上りチャネル方向において、前記無線通信によって移動局から所定フレーム長(例えば2.5ms)の無線フレームを、複数チャネルに関し同一タイミングで(同一無線フレーム周期中に)受け取った基地局は、無線フレームからATMセルを再構成し、上りチャネル信号として前記有線系に送信する。
【0005】
1つの上りチャネル信号には通常、ATM通信における1つのVC(仮想チャネル)が対応する。
【0006】
同一無線フレーム周期で複数チャネル分の無線フレームを受信した場合、当該基地局は、各無線フレームに対応する各VCを、トラヒック情報に応じて多重した上で有線系に送信することになる。
【0007】
この時、例えば音声情報は音声の有無に従って、無線フレーム周期ごとに情報レートが変動するので、この音声情報のような通信の目的となる情報(以下、主情報とする)を有線回線(有線系)に送出する際のトラヒック制御にあたっては、情報レートが変動しても各チャネルの優先度に対応して各チャネルを偏り無く、公平に取り扱う為に、VC単位にバッファを用意するのが一般的である。
【0008】
各チャネルのATMセルにつき、該当する各バッファから読み出して有線回線に送出するタイミングを制御することによって、偏りのないトラヒック制御を実現することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無線基地局装置では無線上で同一タイミングで受信した情報をトラヒックに応じて多重する為、例えば優先度の高いチャネルにバースト的に大量の情報が発生した場合、優先度の低いチャネルのATMセルが該当するVCのバッファから読み出されるタイミングは遅延する。
【0010】
しかもその遅延時間は、上述した情報レートの変動の影響下、優先度の高い各チャネルのバッファから、ATMセルが読み出されるタイミングのゆらぎの最大値が累積したものとなり得るために、必要最小限の遅延時間よりも大きくなる。
【0011】
また従来の基地局には、VC単位にバッファを用意する必要が有る為、有線系にATMセルを送出する部分のバッファに関してメモリ量が増加し、ハードウエア規模が大きくなるという欠点が有った。
【0012】
さらに、従来は、このようなVC単位のバッファのほかに速度変換などの機能を持つ全VC共通のメモリも装備する必要があり、ハードウエア規模の増大が避けられなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明では、無線端末との間で無線フレーム周期に応じた無線通信を行うと共に、基地局制御装置との間で非同期通信を行う無線基地局装置であって、前記基地局制御装置と非同期通信を行う複数の即時性通信チャネルの数に対応した数で前記無線フレーム周期の1周期を分割した周期に設定された分割周期での信号出力を制御する制御手段と、前記複数の即時性通信チャネルの即時性信号と、非即時性通信チャネルの非即時性信号とを一時的に蓄積する合同蓄積手段と、前記即時性信号と前記非即時性信号とを前記合同蓄積手段から読み出して前記基地局制御装置に送信するインタフェース処理手段と、を有し、前記制御手段は、前記分割周期毎に、該分割周期に対応する即時性通信チャネルの即時性信号を非即時性信号よりも優先して前記合同蓄積手段に出力し、該分割周期内に出力する即時性信号が無い期間に非即時性信号を前記合同蓄積手段に出力することで、前記インタフェース処理手段は、前記即時性信号を前記非即時性信号よりも優先して前記基地局制御装置に送信できることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
本発明の無線基地局装置を、無線基地局制御装置とのあいだの有線回線にATM通信を用いた基地局(無線基地局装置)に適用した場合を例に、実施形態について説明する。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
本実施形態の基地局10は、図1に示すように、無線基地局制御装置11と、移動局12とを含む通信システム13の1構成要素である。ここで、無線基地局制御装置11と基地局10とは、ATMセルを伝送する有線回線ELで接続され、基地局10と移動局12とは、無線フレームを伝送する無線回線WLで接続されている。移動局12の例としては、例えばCDMA(符号分割多元接続)方式の携帯電話機などであってよい。
【0016】
図1において、基地局10は、無線部14と、無線チャネル処理部(無線ch処理部)15〜20と、有線信号処理部21と、無線基地局制御部22とを備えている。
【0017】
このうち無線部14は、移動局12との間で無線フレーム周期Tで無線通信するとともに、ATMで多重されるVC毎に分割周期t(t≦T/n、ここでnは基地局10が処理する即時性チャネルの数に相当する自然数)単位に送出位置を可変にして主情報Uを各無線チャネル処理部15〜20とのあいだで送受する部分である。
【0018】
ここで、主情報Uは、例えば、ITU−T I363.2で示されるようなCPSパケット(ショートパケット)を示し、通信制御のための制御情報や、エンド−エンドのユーザ情報に対応する。
【0019】
すなわち、当該無線部14は、無線回線WLで送受信される無線フレームと図1中で無線チャネル処理部15〜20よりも左側で使用される主情報Uとの相互間で、変換処理を行う機能を備えている。本実施形態で着目している移動局12から当該基地局10を経て無線基地局制御装置11へ向かう上り方向UDの処理では、この無線部14は、無線フレームをATMセルのペイロード部に含まれる主情報U(1,2,…,i,i+1,…,m1など)に変換する処理を実行することになる。
【0020】
無線部14に接続され、当該主情報Uを受け取るN個の無線チャネル処理部15〜20は、論理的な構成要素であり、当該主情報Uに対して信号処理を施す部分である。
【0021】
無線チャネル処理部15と16のあいだには、図示しない1または複数の無線チャネル処理部があってもよい。同様に、無線チャネル処理部17と18のあいだ、19と20のあいだにも、それぞれ図示しない1または複数の無線チャネル処理部があってもよい。
【0022】
このような無線チャネル処理部15〜20には論理的なグルーピングが施される。当該グルーピングでは、例えば、無線チャネル処理部15〜16が1つのグループGR1を形成し、無線チャネル処理部17〜19が1つのグループGR2を形成し、無線チャネル処理部19〜20が1つのグループGR3を形成する。
【0023】
グループGR1には無線チャネル処理部15〜16のm1(1〜m1)個の無線チャネル処理部が含まれ、グループGR2には無線チャネル処理部17〜18のmn(m1+1〜m1+mn)個の無線チャネル処理部が含まれ、グループGR3には無線チャネル処理部19〜20のp(m1+mn+1〜m1+mn+p)個の無線チャネル処理部が含まれている。
【0024】
そして同じグループに属する全ての無線チャネル処理部、例えばグループGR1の場合には無線チャネル処理部15〜16のm1個の無線チャネル処理部すべてが、1つの通信チャネル(1つのVC)のなかの主情報Uを処理するために機能する。
【0025】
したがって、例えば無線チャネル処理部15から送信される主情報U(1)と無線チャネル処理部16から送信される主情報U(m1)は、後述する有線信号処理部21における処理で、同じATMセルにマッピングされて伝送され得る。
【0026】
なお、図1中、各主情報Uの時間幅T方向(あるいはt方向)の長さは、単位時間内における主情報Uの情報量に対応している。したがって図示の状態では、例えば、無線チャネル処理部20から送出される主情報U(p)や無線チャネル処理部19から送出される主情報U(1)は、無線チャネル処理部15から送出される主情報U(1)に比べて、単位時間あたりの情報量が多い。
【0027】
ここで、主情報Uの括弧内の符号は、同一グループ中での主情報Uを相対的に識別するためのものであり、別グループ間では重複していている。
【0028】
論理的な構成要素であるから、無線チャネル処理部15〜20は、必ずしも物理的に図示したようなN(=m1+mn+p)個の構成部分である必要はない。
【0029】
したがって無線チャネル処理部15〜20と有線信号処理部21とのあいだのを接続する信号線も、図示したようなN(=m1+mn+p)本の信号線である必要はない。
【0030】
例えば、時分割多重HW(時分割多重ハイウエイ)により各チャネルの送出位置をタイムシェアリングした形で接続するHW形式のもの、或いは主情報Uの有無に従い無線チャネル処理部15〜20と有線信号処理部21との間で競合制御を実施するバス形式の信号線等も使用可能である。
【0031】
有線信号処理部21は、N個の無線チャネル処理部15〜20と基地局制御装置11との間でやり取りされる主情報Uを多重・分離し、ATMセルと主情報Uの相互間で変換操作を行い、信号処理を施す部分である。
【0032】
基地局10の内部に設けられた無線基地局制御部22は、移動局12や無線基地局制御装置11からの制御情報に応じて、あるいは基地局10自体の内部状態に応じて自律的に、無線部14や有線信号処理部21など、基地局10内部の構成要素の動作を直接制御する部分である。無線チャネル処理部15〜20のグルーピングなども、この無線基地局制御部22によって制御される。
【0033】
有線回線ELは上述したように、ATMセルを伝送する伝送路であるが、上り方向UDに関しては、前記有線回線処理部21で主情報Uを多重されたATMセルを無線基地局制御装置11へ向けて伝送することになる。
【0034】
この有線回線処理部21の内部の機能ブロック構成を図2に示す。
【0035】
(A−1−1)有線回線処理部の内部構成
図2において、有線回線処理部21は、主情報多重部30と、非即時性データ保持バッファ31と、ATMバッファ制御部32と、ATMバッファ33と、有線回線対応部34と、主情報分離部35と、無線チャネル処理部インタフェース部36とを備えている。
【0036】
無線チャネル処理部インタフェース部36は、無線チャネル処理部15〜20と当該有線信号処理部21とのあいだで信号処理を行う部分である。
【0037】
主情報多重部30は、上り方向UDにおいて機能し、主情報Uを多重してATMセルのペイロード部を構成し、ヘッダを付与してATMセルの組立てを行う部分である。
【0038】
主情報多重部30の出力端子に接続された非即時性データ保持バッファ31は、要求されるリアルタイム性の条件が緩やかな非即時性チャネルのATMセルを一時的に蓄積するバッファである。
【0039】
一方、主情報多重部30の出力端子に接続されたATMバッファ33は、上り方向UDに伝送されるすべてのATMセルを一時的に蓄積するバッファである。
【0040】
要求されるリアルタイム性の条件が前記非即時性チャネルよりも厳しい即時性チャネルのATMセルは、主情報多重部30から出力されると直ちにATMバッファ33に供給されて蓄積され、前記非即時性チャネルのATMセルは一旦、非即時性データ保持バッファ31に蓄積されたあとで、ATMバッファ33に蓄積されることになる。
【0041】
非即時性データ保持バッファ31もATMバッファ33も、FIFO(先入れ先出し)タイプのメモリであってよい。
【0042】
主情報多重部30の制御入力端子とバッファ31,33の制御入力端子に接続されたATMバッファ制御部32は、非即時性チャネルのATMセルをバッファ31に振り分け、即時性チャネルのATMセルをバッファ33に振り分ける等、主情報多重部30、非即時性データ保持バッファ31、ATMバッファ33に関連するATMセルの転送の制御を実行する部分である。
【0043】
ATMバッファ33に書き込むATMセルが無い時、主情報多重部30は、その事実をATMバッファ制御部32に通知し、ATMバッファ制御部32は非即時性データ保持バッファ32に対して、ATMバッファ33ヘの書込み指示を出す。この指示は、主情報多重部30からATMバッファ33に対する書込みの要求が発生するまで継続して行い、非即時性データ保持バッファ31はその間、蓄積しているATMセルを、ATMバッファ33に書込み続ける。
【0044】
ATMバッファ33の出力端子に接続された有線回線対応部34は、上り方向UDではATMバッファ33から読み出したATMセルを有線回線ELに送出し、下り方向DDでは有線回線ELから受け取ったATMセルを主情報分離部35に供給する部分である。
【0045】
主情報分離部35は、有線回線対応部34から受け取った下り方向DDのATMセルを分解して主情報Uを分離する部分である。
【0046】
ここで分離された主情報Uが制御情報である場合、一斉呼び出しなどのリンク確立前の制御に関する制御情報は、当該主情報分離部35から直接的に無線基地局制御部22に供給し、リンク確立後の制御に関する制御情報は無線チャネル処理部15〜20を介して無線基地局制御部22に供給するようにするとよい。
【0047】
有線回線ELを介して基地局10(有線回線対応部34)と接続されている図1の無線基地局制御装置11は、当該基地局10を含む複数の基地局とのあいだでもELと同様な有線回線で接続されていて、上り方向および下り方向のATM通信を行い、各基地局を(主として無線基地局制御部(22)を介して)間接的に制御している。
【0048】
例えば、ソフトハンドオフを行う場合などに、ソフトハンドオフを開始するタイミングを決定したり、どの基地局とどの基地局の間で当該ソフトハンドオフを実行するかを決定すること等も、この基地局制御装置11の役割である。
【0049】
以下、上記のような構成を有する本実施形態の動作について説明する。
【0050】
(A−2)実施形態の動作
無線チャネル処理部15〜20は無線基地局制御部22からの指示によりVC単位にグルーピングされる。VC1〜VCn+qのVCをグルーピングする場合を例に、その設定の一例を以下に示す。
【0051】
VC1:無線チャネル処理部1,2,…,m1
VCi:無線チャネル処理部Mi−1+1,…,Mi−1+mi (Mi=m1+m2+…+mi,1≦i≦n)
VCn:無線チャネル処理部Mn−1+1,…,Mn−1+mn
VCn+1〜VCn+q:無線チャネル処理部Mn+1,…,N (N=Mn+p)
ここで、例えば「VC1:無線チャネル処理部1,2,…,m1」は、仮想チャネルVC1に対応して同一グループ(GR1)にグルーピングされた無線チャネル処理部は1〜m1、すなわち無線チャネル処理部15〜16であり、無線チャネル処理部15〜16から分割周期tの期間に出力される全主情報U(1)…U(i)…U(m1)は、図2に示すATMセルC1等の1つのATMセルにマッピングされ得ることを示している。
【0052】
図2の場合、主情報U(1)〜U(m1)の情報量が多いために1つのATMセルには収容し切れず、ATMセルC1には主情報U(1)〜U(i)がマッピングされ、ATMセルC2には主情報U(j+1)〜U(m1)がマッピングされている。
【0053】
ここで、主情報多重部30の出力端子から直接出力されたATMセルC1とC2が属するVC1は、即時性チャネルであり、C1、C2に収容されている主情報U(1)〜U(m1)は、音声通信や移動局ごとに設定される終話等の、即時性のユーザ情報あるいは制御情報である。
【0054】
VCi〜VCn+qについてもこのVC1と同様である。
【0055】
ただし、VC1〜VCnの各チャネルは即時性チャネルであり、VCn+1〜VCn+qの各チャネルは非即時性チャネルであるものとする。非即時性チャネルの主情報Uには、例えば電子メールなどの非即時性のユーザ情報や非即時性の制御情報が該当する。
【0056】
図2に示す分割周期t1の期間には、即時性チャネルVC1のATMセルC1、C2を収容しても余裕期間ts1だけの余裕があるため、当該余裕期間ts1中に、非即時性データ保持バッファ31に蓄積されていたATMセルC3を伝送している。
【0057】
ATMセルC3は、即時性チャネルVC1とは別な非即時性のチャネルVCS1に属するATMセルであって、非即時性データ保持バッファ31に蓄積されていたATMセルのなかでは最先に蓄積されたATMセルである。当該非即時性チャネルVCS1には、前記VCn+1〜VCn+qのいずれかのチャネルが該当し得る。
【0058】
ATMセルC3を収容してもなお、余裕期間ts1には他の非即時性チャネルのATMセルを収容するだけの残量があり、非即時性データ保持バッファ31中でATMセルC3以降に蓄積されたATMセル(これはATMセルC3と同じ非即時性チャネルのATMセルであってもよく、別な非即時性チャネルのATMセルであってもよい)が蓄積順にしたがって順次、当該余裕期間ts1に収容されることになる。
【0059】
t1の次の分割周期t2では、最初に前記VC1〜VCnのいずれかの即時性チャネルに属するATMセルC4が主情報多重部30から出力されている。
【0060】
この分割周期t2においても、前記分割周期t1と同様な動作が繰り返され得る。
【0061】
ただし、もしも分割周期t2の期間において、即時性チャネルVC1〜VCnのいずれついても、伝送する主情報Uが存在しなければ、当該分割周期t2の最初から、非即時性チャネルVCn+1〜VCn+qのいずれかに属するATMセルが蓄積順序にしたがって非即時性データ保持バッファ31から読み出されて、ATMバッファ33に伝送される。
【0062】
したがってまた本実施形態の動作によると、無線フレームの1周期T中における各チャネルのフレームの位置はVC毎に無線フレームTの先頭(例えば図2に示したF1)を起点にt時間間隔に設定されることになり、
上述したようにiを、1≦i≦nとすると、一般的なVCiの位置は、
t・(i−1) …(1)
で示される。
【0063】
但し、非即時性のVCn+1〜VCn+qに関しては無線リソースの状況(即時性チャネルのトラヒック)に応じてVC1〜VCnの何れかと同一のフレーム位置となり得る。
【0064】
以上のような処理を行うためには、VC1〜VCnの各チャネルの最大スループットをBj(ここで、jは1〜mi)bit/s、有線回線ELのスループットをAbit/sとした時に、各VCの最大スループットと有線回線ELのスループットの関係が、
A≧B1+…+Bmi …(2)
になるようにするとよい。
【0065】
これにより、優先度の低い非即時性チャネルに属するATMセルであっても、統計多重の効果により最大の遅延時間が分割周期tの期間以内で、有線回線ELに送出することが可能なだけの回線容量を確保できる。
【0066】
また、FIFOタイプのATMバッファ33の容量Cは、有線回線のスループットがAbit/sの時、
C≧A・t …(3)
である。
【0067】
これらの式(2)および式(3)により、優先度の高い即時性チャネルにバースト的に大量のトラヒックが発生しても、各分割周期t(t1、t2など)には、必ず十分な余裕時間tsを確保でき、ATMバッファ33でATMセルのオーバーフローが発生することがない。
【0068】
また、非即時性のいずれかのチャネルにバースト的なトラヒックが発生した場合でも、分割周期tの期間内には必ず、非即時性データ保持バッファ31から、すでに蓄積されているすべての非即時性チャネルのATMセルを読み出すことができる。
【0069】
さらに、有線回線対応部34は、ATMバッファ33にATMセルが格納されている時は読み出しを実施して、読み出したATMセルを有線回線EL上に送出し、ATMバッファ33に格納されているATMセルが無くなったらアイドルセルを送出する。
【0070】
下り方向DDについては、主情報分離部35においてVC単位に識別を行い、無線基地局制御装置11からの基地局10に対する制御情報については無線基地局制御部22に送出し、その他の情報については更にVC単位に分解して各無線チャネル処理部15〜20に送出する。
【0071】
(A−3)実施形態の効果
以上のように本実施形態によれば、無線チャネルをVC毎にグルーピングして分割周期t毎に送出位置を変え、各VC毎にグルーピングされる無線チャネルの分割周期tの期間におけるATMセル毎にリソース管理を行い、統計多重効果により分割周期tごとに生じた余裕時間で非即時性チャネルのATMセルを送信することにより、優先度の低い非即時性チャネルに関してもATMの揺らぎ時間を分割周期t時間以下に低減することが可能になる。
【0072】
また、本実施形態では、全VCに共通なATMバッファ(33)を設けておくことにより、従来のようにVC単位のATMバッファを設ける必要がなくなる。
【0073】
VC単位のATMバッファを設ける必要がなくなったことにより、VC全体に関してメモリの利用効率が高まり、メモリ量の低減、ハードウエア規模の縮小が可能となる。
【0074】
また、従来のようにVC単位の多数のバッファを制御するよりも、本実施形態のように全VC共通の1つのバッファ(非即時性データ保持バッファ31も含めると2つのバッファ)を制御する方が制御そのものが簡単になる。
【0075】
さらに、従来はVC単位のバッファのほかに速度変換などを目的としたバッファも必要であったが、本実施形態のATMバッファ(33)は、全VCに共通なので、速度変換機能なども持たせることが可能であり、メモリの利用効率をいっそう向上させることができる。
【0076】
(D)他の実施形態
なお、上記実施形態では、基地局10と無線基地局制御装置11のあいだでは固定長のATMセルを使用するATM通信を行うようにしたが、本発明では、可変長のパケットを使用することも可能である。
【0077】
また、上記実施形態の前記式(2)、式(3)は、即時性、非即時性のすべてのチャネルにバースト的なトラヒックが発生した場合にも対応できる十分な条件を示している。
【0078】
しかしながらネットワーク(通信システム)全体の構成上、すべてのチャネルにバースト的なトラヒックが同時発生する可能性が無いか、あったとしてもその発生頻度が極めて小さい場合には、式(2)、(3)の条件を満たす性能は、過剰性能となる。したがって、式(2)、式(3)が満たされず、A<B1+…+Bmiや、C<A・tの場合でも、実用上十分な性能を確保し、実用上十分な信頼性を得ることができる可能性がある。
【0079】
また、本発明の無線基地局装置の通信相手は、移動局に限らず、固定的に設置された無線通信装置であってもかまわない。
【0080】
すなわち、本発明は、無線端末との間で所定の無線フレーム周期に応じた無線通信を行うと共に、基地局制御装置との間で所定の単位信号を用いた非同期通信を行うことで、複数通信チャネルを処理する無線基地局装置について、広く適用することができる。
【0081】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、即時性通信チャネル毎にバッファを設ける必要がなく、従来よりも小さなハードウエア規模でありながら、非即時性信号の伝送に関しても、遅延時間を減少することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る通信システム中の基地局が搭載した有線信号処理部の内部構成を示す概略図である。
【符号の説明】
10…基地局(無線基地局装置)、11…無線基地局制御装置、12…移動局、13…通信システム、14…無線部、15〜20…無線チャネル処理部、21…有線信号処理部、22…無線基地局制御部、30…主情報多重部、31…非即時性データ保持バッファ、33…ATMバッファ、34…有線回線対応部、35…主情報分離部、36…無線チャネル処理部インタフェース部、T…無線フレーム周期、t、t1、t2…分割周期。
Claims (2)
- 無線端末との間で無線フレーム周期に応じた無線通信を行うと共に、基地局制御装置との間で非同期通信を行う無線基地局装置であって、
前記基地局制御装置と非同期通信を行う複数の即時性通信チャネルの数に対応した数で前記無線フレーム周期の1周期を分割した周期に設定された分割周期での信号出力を制御する制御手段と、
前記複数の即時性通信チャネルの即時性信号と、非即時性通信チャネルの非即時性信号とを一時的に蓄積する合同蓄積手段と、
前記即時性信号と前記非即時性信号とを前記合同蓄積手段から読み出して前記基地局制御装置に送信するインタフェース処理手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記分割周期毎に、該分割周期に対応する即時性通信チャネルの即時性信号を非即時性信号よりも優先して前記合同蓄積手段に出力し、該分割周期内に出力する即時性信号が無い期間に非即時性信号を前記合同蓄積手段に出力することで、前記インタフェース処理手段は、前記即時性信号を前記非即時性信号よりも優先して前記基地局制御装置に送信できる
ことを特徴とする無線基地局装置。 - 前記即時性通信チャネルに対応してグルーピングされた複数の無線チャネル処理部をさらに有し、
前記インタフェース処理手段は、前記グルーピングされた無線チャネル処理部毎に、前記即時性信号を読み出すことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
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