JP4386511B2 - 耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法 - Google Patents

耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛めっき鋼板の表面にはスパングルと呼ばれる凝固模様が発生する。大きなスパングルを有する亜鉛めっき鋼板は用途によっては意匠性を有するものであるが、これを塗装原板として使用した場合には、塗装後もスパングルが浮き上がり外観を損ねるという欠点がある。また、裸で使用する場合にも一部の用途を除き一般的には大きなスパングル模様は嫌われる傾向にある。この問題を解決するために、従来からスパングルを微細化させたいわゆるミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板が製造されている。
【0003】
スパングルの微細化には種々の方法が提案されている。例えば特開昭50−92831号公報,特開平7−18399号公報にはスパングル微細化効果を有するリン酸二水素ナトリウム等の薬剤を溶かした水溶液ミストを噴霧する方法が、特開昭61−15956号公報,特開昭63−157849号公報には金属粉末や酸化物粉末を噴霧する方法が、特開昭50−116331号公報には水を高圧で吹き付ける方法が開示されている。これらのうち一部は現在も実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの技術により、ミニマイズドスパングル鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板の主流となっている。しかし、このミニマイズドスパングル鋼板には、いまだ未解決の品質上の問題点が残されている。すなわち、コイル保管時などの比較的マイルドな環境において、めっき層表面が不均一に腐食し、外観上部分的に黒く変色することがある。これは、スパングルの結晶方位の違いに起因して、めっき層表面の化学的活性度およびスキンパス加工時に受ける歪み量に差が生じ、個々のスパングルで腐食速度が異なってくるためだと考えられる。
【0005】
このようなめっき層表面が部分的に黒く変色する現象(本明細書では単に「黒変」ということがある)を抑止するには、表面露呈部分が化学的に安定で、かつスキンパスによる変形抵抗の大きいスパングルを多く形成させればよいと考えられる。発明者らの実験の結果、このような点で最も好ましいスパングルは、亜鉛結晶の(0001)面が素地鋼板の表面に平行なスパングル(以下「底面スパングル」という)であることが確認された。しかしながら、従来公知の製造法では、十分微細化されたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板において、底面スパングル主体の配向を実現することは事実上極めて困難である。これは、従来の方法はいずれもスパングルの微細化に主眼をおいた製造技術であり、めっき層の集合組織に関して十分な検討がなされていない点に原因がある。
【0006】
本発明の目的は、底面スパングル主体の配向を有し、かつ十分微細化されたミニマイズドスパングルを形成させる手法を明らかにすることによって、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らの詳細な検討の結果、底面スパングル主体の配向は、めっき層が未凝固のうちにその表面に次のような液体を噴霧することによって実現できることがわかった。すなわち、水の沸点より高く溶融亜鉛めっき層の温度よりも低い温度域で吸熱反応を生じるような物質が、液体を噴霧したときに未凝固のめっき層表面に形成されるように成分調整された液体を用いるのである。またその際、スパングル微細化を促す物質も同時に形成されるよう、液体の成分を調整しておくことが重要となる。
【0008】
本発明は、このような知見に基づいて完成したものである。すなわち、前記目的は、溶融亜鉛めっき浴から引き出された鋼板に付着した未凝固状態にある溶融亜鉛めっき層表面に、100℃から500℃までの昇温過程で吸熱反応が生じる物質(塩)を構成するカチオンおよびアニオンを含有し、かつ、カチオン種としてナトリウムイオンを、アニオン種としてリン酸イオンを含有する水溶液を噴霧する、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法によって達成される。吸熱反応としては、物質の昇華や分解等が挙げられる。
【0009】
ここで特に、吸熱反応を生じる物質として塩化アンモニウムを掲げることができる。また同様にリン酸二水素アンモニウムを掲げることができる。
【0010】
具体的には、溶融亜鉛めっき浴から引き出された鋼板に付着した未凝固状態にある溶融亜鉛めっき層表面に、カチオン種としてナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンを含有し、かつアニオン種として塩化物イオン0.66g/L以上およびリン酸イオン0.68g/L以上を含有する水溶液を噴霧する、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法によって達成される。
【0011】
ここで特に、アニオン種として塩化物イオンを1g/L(リットル)以上、リン酸イオンを1g/L以上含有する水溶液を噴霧する手段を提供する。
【0012】
また、前記目的は、溶融亜鉛めっき浴から引き出された鋼板に付着した未凝固状態にある溶融亜鉛めっき層表面に、特に塩化アンモニウム:2g/L以上、およびリン酸水素二ナトリウム:2g/L以上を溶解させた水溶液を噴霧する、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法によって好適に達成される。
【0013】
ここで特に、塩化アンモニウム:2〜50g/L、およびリン酸水素二ナトリウム:2〜50g/Lを溶解させた水溶液を噴霧する手段を提供する。
【0014】
また以上の方法のうち、噴霧する液が、カチオン種としてナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンを含有し、かつアニオン種として塩化物イオンおよびリン酸イオンを含有する水溶液である場合、および特に、塩化アンモニウムとリン酸水素二ナトリウムを溶解させた水溶液である場合において、その水溶液のpHを6〜7に調整する手段を提供する。
【0015】
さらに、以上に記載の発明において、特に未凝固のめっき層表面に鋼板1m2あたり10〜100gとなるように水溶液のミストを噴霧する手段を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
発明者らは、スパングルの配向性を支配する要因について種々検討した結果、未凝固状態の亜鉛めっき層に外部から大きな抜熱があるとき、底面スパングル主体の配向が得られることを知見した。その抜熱の程度は、水の顕熱および気化潜熱による吸熱量を遥かに超えた大きなものでなくてはならない。実験の結果、液体を噴霧する方法によって外部からこのような大きな抜熱をもたらすには、水の沸点より高くめっき層の温度より低い温度域(概ね100〜500℃の範囲)で吸熱反応を生じるような物質が未凝固のめっき層表面で生成されるよう、溶質の配合組成を調整した水溶液を噴霧する手法が有効であることを知った。また、水溶液として噴霧するうえで、その物質は塩であることが望ましい。
【0017】
そのような吸熱性の物質として、例えば塩化アンモニウムが非常に有効である。塩化アンモニウムは338℃付近から昇華が始まり、500℃までに約1.96kJ/gもの吸熱を生じる。外部からこのような大きな抜熱があるとき、めっき層表面付近においては、素地鋼板の厚み方向からの抜熱の影響をあまり受けずに、凝固核周囲からほぼ均等に凝固核に向かって熱の流れが形成されると考えられる。このため亜鉛のデンドライトは表面の凝固核からその周囲に向かってほぼ均等に成長する。その際、亜鉛の結晶の優先成長方向は<1,0,-1,0>方向であるから、これに属する等価な優先成長方向のそれぞれが凝固核からその周囲に向かってほぼ均等な位置関係になるようにデンドライトが成長することとなる。その結果、(0001)面が鋼板表面に平行になるようなスパングルが形成されるものと考えられる。なお、従来の液体噴霧による方法では外部からの著しい抜熱がないので、表面付近でも素地鋼板の厚み方向からの抜熱の影響を受け易くなっていると考えられ、そのために表面の凝固核近傍の熱流は必ずしも凝固核に向かって一様にはならず、したがって底面スパングル主体の配向は得られないものと推察される。
【0018】
他の吸熱性の物質として、リン酸二水素アンモニウムを挙げることができる。この物質は500℃までに約0.50kJ/gの吸熱を生じ、底面スパングルの形成に寄与する。
【0019】
スパングルの微細化については、吸熱の大小ではなく、水溶液を噴霧した場合にめっき層表面に残る物質が関与する考えられる。このような物質として、リン酸ナトリウムが挙げられる。例えばリン酸水素二ナトリウムの場合、めっき層の表面でピロリン酸ナトリウムに変化すると考えられるが、このピロリン酸ナトリウム自体、またはピロリン酸ナトリウムとめっき成分の亜鉛もしくはアルミニウムとの反応生成物が亜鉛の凝固核となって、スパングルの微細化に有効に作用するものと推測される。
【0020】
このように、底面スパングル主体の配向とスパングル微細化を同時に達成するためには、塩化アンモニウムやリン酸二水素アンモニウムのようにめっき層が凝固して冷却される温度域で吸熱反応を生じる物質と、リン酸ナトリウムのように凝固核になる物質の双方が、未凝固状態のめっき層表面に存在することが非常に重要となる。そのためには、高温のめっき層表面に向けて液体を噴霧したときに、これらの作用を呈する物質がめっき層表面上に形成されるよう、当該液体の組成を工夫する必要がある。
【0021】
そのような液体として、次の▲1▼および▲2▼の要件を同時に満たす水溶液を採用することができる。
▲1▼100℃から500℃までの昇温過程で吸熱反応が生じる物質(塩)を構成するカチオンおよびアニオンを含有すること。
▲2▼カチオン種としてナトリウムイオンを、アニオン種としてリン酸イオンを含有すること。
ここで、▲1▼の要件は、底面スパングル主体の配向を実現するための条件を規定したものである。吸熱反応を生じる物質(塩)が、例えば上述の塩化アンモニウムの場合、それを構成するカチオンはアンモニウムイオン、アニオンは塩化物イオンである。また、リン酸二水素アンモニウムの場合、カチオンはアンモニウムイオン、アニオンはリン酸イオンとなる。もちろん、複数の吸熱物質が生じるようなイオン構成となっていてもよい。
▲2▼の要件は、スパングルの微細化をもたらすリン酸ナトリウムが生成する条件を規定したものである。前記▲1▼の規定によるイオン構成にナトリウムイオンまたはリン酸イオンが含まれていても差し支えない。
【0022】
発明者らは、種々の薬液を用いて底面スパングルの生成とスパングルの微細化に及ぼす影響を調査した。その結果、カチオン種としてナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンを含有し、かつアニオン種として塩化物イオンおよびリン酸イオンを含有する水溶液を噴霧液体として使用した場合に、底面スパングル主体の配向とスパングルの微細化が極めて効果的に達成できることを知見した。これら4種類のイオンが含まれる水溶液を未凝固状態のめっき層に噴霧すると、めっき層上で、塩化アンモニウム,リン酸アンモニウム(第一塩〜第三塩),リン酸ナトリウム(第一塩〜第三塩),および塩化ナトリウムが形成されると考えられる。これらの中で、塩化アンモニウムと、リン酸アンモニウム(例えばリン酸二水素アンモニウム)は、吸熱反応を生じて底面スパングルの形成に寄与する。このことは前述のとおりであるが、発明者らはこれらの試薬をそれぞれ単独で溶解させた水溶液を用いて、その底面スパングル配向作用を確認している。また、リン酸ナトリウムは前述のようにスパングルの微細化に寄与するが、このことはリン酸水素二ナトリウムを単独で溶解させた水溶液を用いて確認している。なお、塩化ナトリウムには、これらいずれの作用に関しても特段の寄与は認められなかった。
【0023】
これらのイオンを含む水溶液において、特にアニオン種として塩化物イオンを1g/L以上、かつリン酸イオンを1g/L以上含有していることが望ましい。前記4種類のイオンを含有しているとき、塩化物イオンの濃度が1g/L未満でも底面スパングルの配向性を高める作用は発揮され、同様にリン酸イオンの濃度が1g/L未満でもスパングルを微細化する作用は発揮される。しかし、塩化物イオンを1g/L以上、かつリン酸イオンを1g/L以上含有した水溶液を用いることによって、これらの作用はほぼ最大限発揮され、広い濃度範囲にわたって概ね一定の優れた効果が安定して得られるのである。なお、これらのイオンの含有量の上限は必然的に溶解度によって制限を受けるが、あまり高濃度のイオンを溶解させても効果が飽和するだけでメリットはない。したがって、塩化物イオンは25g/L以下、リン酸イオンは25g/L以下の範囲で含有させることが好ましい。
【0024】
これらのイオンを含有する水溶液の好適な例として、塩化アンモニウムおよびリン酸水素二ナトリウムを溶解させた水溶液を挙げることができる。この水溶液中には前記4種類のイオンが存在し、これを未凝固状態のめっき層に噴霧したとき、めっき層表面には塩化アンモニウム,リン酸アンモニウム,リン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの各物質が形成される。このうち塩化アンモニウムとリン酸アンモニウムは吸熱反応を生じて底面スパングルの形成に寄与し、リン酸ナトリウムは凝固核となってスパングルの微細化に寄与する。
【0025】
実験の結果、塩化アンモニウムを2g/L以上、かつ、リン酸水素二ナトリウムを2g/L以上の濃度で溶解させた水溶液を用いたとき、底面スパングルの配向と微細化の効果はほぼ最大限発揮されることがわかった。これらの物質の濃度の上限は溶解度によって必然的に制限されるが、あまり高濃度にしても効果が飽和するだけでメリットはないため、塩化アンモニウムは50g/L以下、リン酸水素二ナトリウムは50g/L以下の濃度とすることが好ましい。
【0026】
さらに、ナトリウムイオン,アンモニウムイオン,塩化物イオンおよびリン酸イオンを含有する水溶液を使用するに際しては、水溶液のpHを6〜7の範囲に調整することが好ましい。このようなイオンを含む水溶液においてpHが7を超えると、アンモニアの発生が徐々に増加する傾向がある。一方、pHが6未満になると、当該水溶液が接触する金属製貯蔵タンクや配管に腐食が生じやすくなる。噴霧ノズル近傍でこの腐食が生じた場合、水素ガスの発生により局部的にpHが上昇し、水溶液中のカルシウムにより不溶性のリン酸カルシウムが生成し、ノズル閉鎖を引き起こす恐れがある。このような理由で水溶液のpHは6〜7の範囲とするのがよい。pHの調整には、塩酸など、一般的な無機酸を使用すればよい。
【0027】
以上のような水溶液を未凝固状態の溶融亜鉛めっき層表面に噴霧するにあたっては、噴霧量を、鋼板1m2あたり10〜100gとなるようにコントロールすることが望ましい。噴霧は、鋼板の片面だけに施してもよいし、両面に施してもよい。
【0028】
なお、溶融亜鉛めっき浴中にスパングル成長効果を有するSbが添加されている場合、スパングルの微細化と底面スパングル主体の結晶配向を両立させることは一層困難となる。具体的には、約0.003質量%以上のSb濃度からこの困難が生じる。しかし、噴霧液として上述の水溶液を用いることによって、Sb濃度が0.003質量%以上の場合でも十分な微細化効果と底面スパングル主体の結晶配向を得ることができる。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕
極低炭素Ti添加鋼の鋼板(板厚0.6mm)をZn−0.18質量%Al−0.002質量%Sb組成の溶融亜鉛めっき浴(浴温460℃)に浸漬して引き上げた後の未凝固状態にあるめっき層に、表1に記載した組成からなる水溶液を鋼板1m2あたり50gとなるように噴霧した。めっき付着量は90g/m2で一定とした。噴霧液の調製は、塩化アンモニウムおよびリン酸水素二ナトリウムの試薬を水に溶解させることによって行った。ここで、例えば塩化アンモニウムの濃度が2g/Lのとき、塩化物イオン:1.32g/L,アンモニウムイオン:0.68g/Lに相当し、リン酸水素二ナトリウムの濃度が2g/Lのとき、リン酸イオン:1.35g/L,ナトリウムイオン:0.65g/Lに相当する。なお、ここでは水溶液のpHのコントロールは行っていないが、測定の結果、いずれの水溶液もpH:5〜9の範囲であった。
【0030】
得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、スパングルの平均粒径と結晶配向、および耐黒変性を調査した。
結晶配向は、めっき層のX線回折パターンの(0004)面強度によって評価した。(0004)面強度が大きいものほど底面スパングルの配向性が高いと評価される。X線回折測定条件は、Cu管球、管電流:40mA,管電圧:150kVの一定条件で行った。また、耐黒変性は、70℃,相対湿度95%の雰囲気に試料を96時間曝した後、目視で不均一な黒変の有無を調べることによって評価した。これらの結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0004386511
【0032】
ここで、スパングル粒径が1.2mm以下であればスキンパスにより塗装後の「浮き上がり模様」をほとんど目立たなくすることができるので、良好と判定される。特に粒径1.0mm未満においてはスキンパスによりスパングルの凹凸をほぼ完全に消去できるので、非常に良好であると判定される。また、上記条件によるX線回折の(0004)面強度が15kcps以上であれば、上記耐黒変性試験において不均一黒変の発生はわずかに認められる程度であり、大幅な改善が見られるので、良好と判定される。特に当該面強度が25kcps以上の場合には底面スパングルの存在率が90%を超えることが凝固組織の観察結果から判明しており、このとき上記条件での不均一黒変の発生は全く認められないので、非常に良好であると判定される。
【0033】
本発明例である表1のNo.A-1〜A-20においては、スパングルの微細化および耐黒変性において優れた効果が認められた。
【0034】
〔実施例2〕
Zn−0.18質量%Al−0.02質量%Sb組成の亜鉛めっき浴を用いた以外、実施例1と同じ条件・方法で実験を行った。結果を表2に示す。なお、水溶液のpHは5〜9の範囲であった。
【0035】
【表2】
Figure 0004386511
【0036】
実施例1に比べてめっき浴のSb含有量が多いため、全体的にスパングル粒径は大きくなっている。しかし、本発明の方法に従ったNo.B-1〜B-20では1.2mm以下のスパングル粒径が得られており、顕著な微細化効果が認められた。また、耐黒変性についても優れた効果が認められた。
【0037】
〔実施例3〕
ここでは、噴霧する水溶液のpHを塩酸にてすべて6.8にコントロールした以外、実施例2の表2のNo.B-1〜B-16と同じ条件・方法で実験を行った。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004386511
【0039】
表3の結果を表2のNo.B-1〜B-16と比較すると、塩酸を使用したpHのコントロールによってスパングル粒径および(0004)面強度は影響を受けないことが確認された。
【0040】
水溶液からのアンモニアガスの発生量についても調査した。測定対象の水溶液を1リットルのビーカーに入れ常温で10分間静置し、この水溶液の液表面上10mmの位置で検知管にてアンモニアガス濃度を測定した。その結果、pHを6.8にコントロールした実施例3の水溶液では、pHをコントロールしなかったことによりpHが7を超えた実施例2のものよりアンモニアガスの発生量が大幅に減少しており、pHコントロールによる効果が確認された。その一例を示すと、表2のNo.B-7の水溶液(pH:7.45)では6〜8ppmのアンモニアが検出されたが、表3のNo.C-7の水溶液(pH:6.8)では2ppm未満まで発生量が減少していた。
【0041】
〔比較実験例〕
比較のため、噴霧液として、リン酸水素二ナトリウムの試薬のみを溶解させた水溶液、またはリン酸二水素アンモニウムの試薬のみを溶解させた水溶液を用いて実験を行った。水溶液が異なる以外、実施例1〜3と同じ条件・方法で行った。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004386511
【0043】
リン酸水素二ナトリウムのみを溶解させた水溶液を噴霧したNo.D1〜D4では、スパングルの微細化効果は得られたものの、底面スパングルの配向性が悪く、その結果、不均一黒変を生じた。一方、リン酸二水素アンモニウムのみを溶解させた水溶液を噴霧したNo.D5〜D8では、底面スパングルの配向性は良好であったが、スパングルの微細化は不十分であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、ミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板を保管倉庫などの比較的マイルドな環境に置いたときに問題となっていた、めっき層表面の部分的黒変化現象の発生を大幅に抑制することが可能となった。その解決手段は、めっき直後の鋼板表面に特定のイオン種を含む水溶液を噴霧するものであるから、従来のミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造現場において実施化が容易である。したがって本発明は、めっき後出荷前のコイルの保管管理を容易にするとともに、市場におけるミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の品質レベル向上に寄与するものである。

Claims (5)

  1. 溶融亜鉛めっき浴から引き出された鋼板に付着した未凝固状態にある溶融亜鉛めっき層表面に、カチオン種としてナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンを含有し、かつアニオン種として塩化物イオン0.66g/L以上およびリン酸イオン0.68g/L以上を含有する水溶液を噴霧する、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法。
  2. アニオン種として塩化物イオンを1g/L以上、リン酸イオンを1g/L以上含有する水溶液を噴霧する請求項に記載の製造法。
  3. 溶融亜鉛めっき浴から引き出された鋼板に付着した未凝固状態にある溶融亜鉛めっき層表面に、塩化アンモニウム:2g/L以上、およびリン酸水素二ナトリウム:2g/L以上を溶解させた水溶液を噴霧する、耐黒変性に優れたミニマイズドスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造法。
  4. 塩化アンモニウム:2〜50g/L、およびリン酸水素二ナトリウム:2〜50g/Lを溶解させた水溶液を噴霧する、請求項に記載の製造法。
  5. 水溶液のpHを6〜7に調整する、請求項4のいずれかに記載の製造法。
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