JP4386183B2 - 落下試験装置および落下試験方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、第1に、落下衝突時の落下物の姿勢を精度よく同一に保つことができるようにすることであり、第2に、高精度な速度安定性を維持できるようにすることであって、これらを実現することによって落下試験の信頼性を向上させ、ばらつきの少ない試験によって少数のサンプルでも信頼性の高い試験結果を得ることができるようにしようとするものである。
そして、好ましくは、前記筐体を水平方向に弾性的に押圧する。一層好ましくは、前記支持機構には、水平方向の軸を中心に回転し、前記筐体の二側面に接触する対をなすガイドローラと、前記軸を軸の中心線と垂直方向でかつ水平方向に押圧する弾性体とが備えられる。また、好ましくは、前記スライドは、循環式のクロスローラガイドにより前記直動案内に沿って移動する。
そして、好ましくは、落下開始から完了までの間、試験物の変形量および試験物上に形成された配線パターンの抵抗値を常時監視する。また、一層好ましくは、前記筐体の衝突時の姿勢を観察する。
第1に、落下姿勢を高精度に常に同じ状態を保つことで、落下姿勢変化による誤差の少ない、信頼性の高い落下試験装置、方法を提供することができる。
第2に、落下衝突速度のばらつきが小さいため、衝撃荷重を一定に保つことができ、信頼性の高い落下試験装置、方法を提供することができる。
第3に、第1、第2の効果より、個々のデータの信頼性が向上するため落下させる試験物の数を減らすことができるため、試験時間の短縮が可能となる。
[第1の実施の形態]
[構造]
図1は、本発明の落下試験装置の第1の実施の形態を示す斜視図であり、図2は、図1のA部の拡大図である。図1に示されるように、外枠21に囲まれた領域内にベース22が配置されており、ベース22には、フレーム23がL金具24により固定されている。フレーム23の前面には垂直ベース板25が設置されており、垂直ベース板25上には、直動案内4がバックバー12を介して取り付けられている。直動案内4には、落下筐体を支持する筐体ホルダ3が自由落下に近い状態で落下できるように摺動自在に設置されている。さらに、垂直ベース板25には筐体ホルダ3に制動をかけるブレーキ装置7が設置されており、またベース22上には、落下筐体が衝突する衝突受け体5が固定されている。そして、外枠21にはスタートスイッチとなるスイッチ13が設置されている。
制動板3eは、筐体ホルダ3に制動をかけるためのL字状の部材であって、落下筐体2が衝突受け体5に衝突した後にブレーキ装置7によって制動がかけられる。
ひずみゲージ8の端子および配線抵抗測定用パッド9は図示が省略された極細線を介して外部の測定システムに接続されている。すなわち、それぞれ外部の測定システムに設けられたホイーストンブリッジ回路に接続されている。そして、落下筐体の落下の開始から完了に至るまで継続して測定する。このことにより、落下途中および落下直後の配線抵抗値とひずみ波形の取得が可能になると同時に破損が生じた場合に詳細な破断情況の把握が可能となる。
e=(R1・R3−R2・R4)V/(R1+R2)・(R3+R4) (1)
よって、直列配線接続体の抵抗R2は(2)式により求まる。
R2={R1・R3V−R1(R3+R4)e}/{R4V+(R3+R4)e} (2)
次に、図1〜10を参照して第1の実施の形態の動作方法を説明する。落下衝撃試験に先だって、評価対象のプリント基板を模した試験基板が作成される。それにはバンプ間が配線で接続された半導体チップやチップ抵抗等のチップ部品が搭載され、これらの部品のバンプ間の配線は試験基板上の配線を介して直列に接続される。また試験基板上にはあらかじめひずみ測定用のひずみゲージを貼り付け、抵抗測定用の直列配線接続体と共に極細線にて外部へ取り出す。
上記のようにチップ部品とひずみゲージを配した試験基板を試験物として落下筐体にねじ止めにて固定する。本実施の形態では、図4に示すように、落下筐体内に両端支持(支持間距離80mm)で固定される。この落下筐体を、図5に示すように、筐体ホルダ3の支持アーム上に載置し、持ち上げてリリース装置のツメ6aに固定する。スイッチ13を二つ同時に押下すると、リリース装置のエアシリンダによってツメ6aが移動して落下筐体が筐体ホルダと共に落下を開始する。筐体ホルダが自由落下をしながら、速度センサ15を通過すると、その通過時間から、落下速度が計算される。その直後に、図8に示すように、落下筐体は衝突受け体に衝突し、筐体ホルダはブレーキ装置が作動することにより減速停止する(図9)。一方、落下筐体は支持アームのガイドローラに保持されたまま衝突し、衝突直後にガイドローラの転動によって筐体ホルダから分離され、衝突受け体の跳ね返り係数にもよるが、一般に垂直方向へ跳ね返り、着地してそのまま衝突受け体上に停止する。ガイドローラは上下2段になっているが、ガイドローラの把持力が衝突時の衝撃に与える影響を最小限とするため、下側に比べ、上側のローラは把持力を極めて小さく設定してある。
リリース装置からリリースされた後、落下筐体が停止するまでの間、直列配線接続体の抵抗の変化をモニタリングしつつ、試験基板に貼付したひずみゲージによって変形量を測定する。これにより、落下時の経時的挙動が明らかになると共に断線が発生した場合にはその断線故障を起こすタイミングを観察することができる。
図13は、本発明の第2の実施の形態を示す斜視図である。上記第1の実施の形態では、自由落下を前提条件としているが、自由落下させる代わりに、筐体ホルダにシャフトタイプのリニアモータを取り付け、加速度、終端速度をさらに高度に制御することも可能である。本実施の形態では、筐体ホルダ3の両側に、円筒型リニアモータ17を取り付け、これを永久磁石を内蔵したシャフト16にこれとの間に隙間を保って設置する。回転型のモータを用いて筐体ホルダを直線駆動する場合に比べ、リニアモータでは摩擦抵抗等が発生しないため、速度安定性に優れ高速化に向いている。またリニアモータの回路を遮断しておけば、本来の自由落下試験も可能である。勿論、シャフト型ではなく、面形状のリニアモータを使用することも可能であるし、筐体ホルダに永久磁石を取り付けて、固定側にコイルを設置してもよい。この場合は、落下する部分に駆動用の配線を回さなくてすむが、固定側にコイルを並べるため、固定側の構造が大きくなる。この結果、高い加速度負荷中の変形挙動も確認できる。さらに、上記第1の実施の形態では筐体ホルダを落下開始点に移動させるとき、人手で行っているため、1試験物あたり数百回にも及ぶ落下試験により肉体的負荷が大きいが、上昇時もモータで動作させることができることから、この肉体的負荷を大幅に削減でき、試験効率の改善にも役立つ。
図14は、本発明の第3の実施の形態の部分斜視図である。本実施の形態では、衝突受け体5の四隅に高速サンプリングの渦電流式やレーザ式の変位センサ18を埋め込んでおき、落下衝突時の姿勢誤差を観察する機能を付加する。この機能によって、繰り返し動作の再現性を確認できると共に、衝突受け体に対して垂直に衝突した場合と、角度を持って衝突した場合の差を調査することも可能になり、試験の信頼性を高めまた試験の多様化を実現することができる。
2 落下筺体
3 筐体ホルダ
3a 支持板
3b 支持アーム
3c センサプレート
3d スライダ
3e 制動板
3f 予圧調整ねじ穴
4 直動案内
5 衝突受け体
6 リリース装置
6a ツメ
7 ブレーキ装置
8 ひずみゲージ
9 配線抵抗測定用パッド
10 ガイドローラ
11 板ばね
12 バックバー
13 スイッチ
14 通過センサ
15 速度センサ
16 シャフト
17 リニアモータ
18 変位センサ
21 外枠
22 ベース
23 フレーム
24 L金具
25 垂直ベース板
26 第1基板支持ロッド
27 第2基板支持ロッド
28 ロッド受け
29 半導体チップ
29a バンプ
31、32 高さ調整手段
50 試験基板上の直列配線接続体
51 端子台
52 ブリッジ回路
53 可変抵抗ツマミ
54 電源
55 コネクタ
56 測定器
Claims (16)
- 試験物を保持する筐体と、垂直に直立する直動案内と、前記直動案内に沿って上下動するスライドと、前記スライドと一体的に上下動する支持機構と、前記支持機構と衝突することなく前記筐体と衝突する衝突受け体と、を備える落下試験装置において、前記支持機構は前記筐体の底面の一部に接触することによりこれを支持しており、かつ、落下中は前記筐体が前記支持機構から浮き上がることのない程度の弾性力にて前記支持機構が前記筐体を弾性的に押圧していることを特徴とする落下試験装置。
- 前記支持機構は、水平方向に作用する弾性力により前記筐体を押圧していることを特徴とする請求項1に記載の落下試験装置。
- 前記支持機構には、水平方向の軸を中心に回転し、前記筐体の二側面に接触する対をなすガイドローラと、前記軸を軸の中心線と垂直方向でかつ水平方向に押圧する弾性体とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の落下試験装置。
- 前記対をなすガイドローラが、上下2段に分かれて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の落下試験装置。
- 上側に配置されたガイドローラの前記筐体に対する押圧力は、下側に配置されたガイドローラの前記筐体に対する押圧力より小さいことを特徴とする請求項4に記載の落下試験装置。
- 前記スライドは、循環式のクロスローラガイドにより前記直動案内に沿って移動することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の落下試験装置。
- 前記直動案内および前記スライドは対をなして設置されており、分離型の循環式クロスローラガイドを構成していることを特徴とする請求項6に記載の落下試験装置。
- 前記試験物が板状物であって、前記試験物上にはひずみゲージが設置されるとともに配線抵抗を測定するための配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の落下試験装置。
- 前記配線パターンが、前記試験物上に形成された配線と該試験物上にフリップチップ接続された半導体チップ上に形成された配線とをバンプを介して交互に接続した直列配線接続体であるを含むことを特徴とする請求項8に記載の落下試験装置。
- 前記支持機構を上下動させるリニアモータが付設されており、該リニアモータを用いて落下動作を行わせることができることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の落下試験装置。
- 前記衝突受け体に前記筐体までの距離を測定することのできる変位センサが複数個設置されており、落下衝突時の前記筐体の姿勢を測定することが可能であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の落下試験装置。
- 前記筐体が前記衝突受け体に衝突した後に、前記支持機構に制動をかける制動機構が備えられていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の落下試験装置。
- 前記筐体が前記衝突受け体に衝突する直前の前記支持機構の落下速度を検出する速度センサが備えられていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の落下試験装置。
- 試験物を保持する筐体と、これを底面より支持する支持機構とを一体的に落下させ前記支持機構により支持された状態で筐体のみを衝突受け体に衝突させる落下試験方法において、落下中には空気抵抗による前記筐体の前記支持機構からの浮遊が防止される程度の強度の弾性力により前記筐体は前記支持機構から押圧されていることを特徴とする落下試験方法。
- 落下開始から完了までの間、試験物の変形量および試験物上に形成された配線パターンの抵抗値を常時監視することを特徴とする請求項14に記載の落下試験方法。
- 前記筐体の衝突時の姿勢を観察することを特徴とする請求項14または15に記載の落下試験方法。
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