JP4385100B2 - インク保持体とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボールペンやサインペン等の筆記用具に使用されるインク保持体とその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性ボールペンやサインペンはケースの内部にインク保持体が収容され、このインク保持体の一端に押し込まれた芯体の筆記部分がケースより突出した状態で設けてある。このインク保持体はフエルト状の繊維集合体としたもの、あるいは綿状体からなるもの等が使用されている。
【0003】
このインク保持体はインクの流動性、インク保持性等の特性に合わせて形成されたもので、例えばボールペン用のものであると、芯体の先端部あるいはケースと芯体との嵌合部から漏れるようなことがなく、更に優れた毛細管特性を有し、その上、季節や使用者の体温等の温度の影響や雰囲気等の気圧の影響を受けることがななく、安定して一定の線が描けるものであることが要求されている。
【0004】
また、このボールペン等は使用者が手に持っていたものを不用意に落下させることがあることから、例えば人の身長程度の高さから落下した場合でも、ケースに対してインク保持体がずれたり、内部の組織の状態が変化することがなく、インクを安定して保持しながら筆記に応じて微量づつ、しかも円滑に送り出す特性を持つ特性を持つことが必要である。
【0005】
通常のインク保持体の材料は、天然繊維や合成繊維の短繊維を無作為に絡み合わせて形成した繊維集合体、あるいは長繊維を長手方向にからませて一体化した繊維束等を使用し、この繊維束の間にインクを保持しながら導出する微細な毛細管路を形成している。
【0006】
このようなインク保持体に使用される繊維は、以前はセルロースアセテート繊維を使用した繊維集合体を形成し、これに少量の接着剤を付加して塊状に固めたものであった。しかし、最近のボールペンやサインペン等の筆記具はインクの色彩や濃度に変化がある上に、長期間の保管中に劣化することがあり、前記のような繊維材料からなるインク保持体は太字用の特殊な用途のものを除いて適合しなくなっている。
【0007】
最近では前記セルロースアセテート繊維製のインク保持体に代って、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の衣料用の合成繊維が多く使用されるようになっている。このような合成繊維は各種の繊度や強度のものを容易に、大量生産できる上に、ストレートな繊維からクリンプやカールした各種の形態と特性を持つものに加工することができ、インク保持体として適した特性を持つものを安定して大量に生産することができるようになった。
【0008】
最近、インク保持体に適した秀れた繊維の一つとして、伸縮性を持つ“ストレッチヤーン”を使用する方法が提案されている。
この繊維のストレッチ加工方法としては、エッジに繊維を擦過させてコイル状またはウエーブ状に細かいケン縮を与えた擦過型のもの、仮ヨリ法によってマルチフイラメントに螺旋状の形態を与えて嵩高にした仮ヨリ型のもの、ノズル中を繊維束を通して空気あるいは蒸気のジエット流と接触させて攪乱と収縮させてバルキー性を与えた熱収縮型もの、更に加熱された充填筒の中に繊維を強く押し込んでケン縮を与えた充填型のものがある。
【0009】
また、ストレッチヤーンにはあまり使用されていないが、繊維束をノズル内に供給し、このノズル内において圧縮空気の噴流中に供給して攪乱させることによって、全体として収束させた“インターレースヤーン”等があり、このインターレースヤーンは単にノズル中を繊維束を通過させて処理するものでありながら、撚糸と同程度あるいはそれ以上の取扱性があり、衣料用繊維やタイヤコードに使用されている。なお、このインターレースヤーンは撚糸スピンドルを使用しない関係で極めて高速の処理に適している。
【0010】
このように所定の倍率で延伸した合成繊維からなるマルチフイラメントに仮ヨリ加工等を施して得られたストレッチヤーン(以下、本発明においては単位仮ヨリ加工糸と称する)を多数本収束して所定の繊度(トウ状)とした形成された繊維束(以下、単位仮ヨリ加工糸集合体と称する)は、これを横断した断面を形成する繊維の分散状体が比較的均一である。
【0011】
また、この単位仮ヨリ加工糸集合体は、その長手方向の密度にムラも小さく、更に衣料用あるいは工業用の合成繊維製造工程において連続的に大量生産でき、また、このようなストレッチヤーンはインク保持体としても適した性質のものを得ることができる。
【0012】
しかしながらこのストレッチヤーンを使用したインク保持体を形成したものにおいては、表面が平滑で細デニールの単繊維(モノフイラメント)を集合させたマルチフイラメント(例えば、3デニールの単繊維を50本集合させたもの)に仮ヨリ加工等のストレッチ加工したもので、多数の繊維がカールし、絡み合っており、従って個々のストレッチヤーンは小さな集合体を形成している。
【0013】
このように個々に小さな集合体を形成しているストレッチヤーン、即ち、単位仮ヨリ加工糸を、単に多数本集めて集束させただけでは、全体として1本にまとまった太い繊維集合体を形成することができない。従って、個々のストレッチヤーンは分離し易い上に、ふんわりとしたバルキー性を持ったものとなっている。
【0014】
従って、このような性質を持つストレッチヤーン、例えば3dのモノフイラメントのものを50本集めたマルチフイラメントを使用して合計が36,000dとし、これをインク保持体用材料に適したものとするためには、前記のようなストレッチヤーンを多数本集合させ、しかもこれを「一体化」する必要がある。
【0015】
もし、多数のストレッチヤーンが一体的に集束していない場合には、このインク保持体にインクを保持させてケースに入れて組上げた筆記具を落下させたり、強い衝撃を与えたりすると、このインク保持体がケースから微妙にズレることになり、筆記の状態が変化してしまう。
【0016】
ストレッチヤーンを多数本集合させることによって1本の繊維束、あるいは棒状の繊維集合体のように集束させ、かつ一体化する方法としては、分散させた繊維束に接着剤をスプレーしてこの繊維束を形成している組織の内部まで微粒子状の接着剤を分散させ、この接着剤によって繊維同士を局部的に接着させながら集束する方法がある。
【0017】
しかし、この方法では微粒子状の接着剤を集合体の内部まで分散させることができず、接着剤が偏って付着した部分が発生する欠点がある。これを改善するために接着剤を多少多目にスプレーして付与すると、得られた繊維集合体の強度が不均一となる恐れがある。また、インク保持体として必要な、繊細な毛細管路を繊維集合体の横断面方向に均一に分散させると共に、長手方向に連続的に形成することが困難となる。
【0018】
このような接着剤の不均一な分散の問題点を解消するために、繊維集合体を接着剤の溶液中に全体的に浸漬して必要な付着量になるように絞る方法(ドブ漬け法)もあるが、この方法によると一般に接着剤が多目に付与される上に、インクの保持と微妙な流出に適した繊細な毛細管路を連続的に形成することが困難となることから、最近の多種多彩な特性を持つインクを使用するインク保持体に適したものを得ることができない。
【0019】
このように、優れた特性を持つ合成繊維のストレッチヤーンを使用したインク保持体を製造するためには、多数のストレッチヤーンを集め、これを一体化する集束性あるいは集合性が重要であり、これを解決することが良質なインク保持体を製造するために不可欠なことである。
【0020】
合成繊維のストレッチヤーンを使用し、接着剤を使用することなく、これらを一体化したインク保持体に関して、例えば米国特許第4822193号が提案されている。 この米国特許は、ポリエステル繊維を連続的に仮ヨリ加工した多数本のストレッチヤーンを集束して1本の繊維束としたものをノズルのガイド孔内に導入し、このガイド孔に向かって繊維束の進行方向とは逆向きに貫通開口している孔から、蒸気あるいは加熱空気を噴出することによって、この繊維束内のストレッチヤーンを攪乱すると同時に熱を加えることによって、繊維にカールと繊維同士の絡み合いと、更に加熱による収縮作用によって、繊維同士を強固に集合させてインク保持体に適した性質を与えようとするものである。
【0021】
しかし、ノズル内を通過する繊維束に対して、高速で蒸気を噴出して繊維束の内部まで均一に攪乱しようとしても、前記のようにマルチフイラメントで構成されている個々のストレッチヤーンは小さな繊維束(小集団)を形成しており、しかも、この方法においてはノズルの前後でこの繊維束に張力が付与されていることから、繊維束の断面内においては、高速で噴射される蒸気や加熱空気を均一に繊維束の内部まで作用させて攪乱することは困難である。従って、このようにして得られたストレッチヤーンからなる繊維束はかなりの攪乱ムラと熱処理ムラとが発生することを回避することができないと言う問題がある。
【0022】
この特許によって製造されたインク保持体は、この特許の明細書中に記載された先行技術によって製造されたものに比較して優れた特性を持っているものと考えられるが、このインク保持体は蒸気や加熱空気を繊維束に噴射することによって繊維束の“ブルーミング”作用(Blooming:熱収縮作用)でカールや絡れを発生させ、繊維束をあたかも1本の棒状に集合させたものである。
【0023】
従って、このインク保持体には、繊細な毛細管路が不均一に分散される傾向がある上に、蒸気等で攪乱している間にカールや絡み作用に不均一な部分が発生し、その結果、この方法でこの加工された繊維束は単位長さの重量にバラツキが大きい。更に、繊維間に形成されているインクを保持する空間が不均一に分散している点にも問題がある。
【0024】
前記米国特許に図示説明されているように、繊維束はカールして混合され、そして立体的に絡み合って1本の繊維集合体を形成しているが、前記したようにこの繊維集合体によって製造されたインク保持体を使用して、実際にインクを充填して所定の方法の筆記試験を行うと、前記のようにインクが通過する毛細管路にバラツキがあることから、インクの種類によっては筆記ができないような状態に終わった段階でもインクが残留することがある。
【0025】
本発明は、この米国特許で製造されるインク保持体の持つ欠点を解消し、合成繊維ストレッチヤーンを使用し、インクを保持する繊細な毛細管路を均一に分散させたインク保持体及びその製造方法を提供することを第1の目的とするものである。
【0026】
更に、このインク保持体を使用した筆記具を所定の高さから落下させてもこのインク保持体のズレやインクの滲み出し不良の少ないインク保持体およびその製造方法を提供することを第2の目的とするものである。
また、種々のインクに適合することができるインク保持体を提供することを第3の目的とするものである。
また、長い距離を安定して線を描くことができる筆記具用インク保持体を提供することを第4の目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
1)前記目的を達成するための本発明に係るインク保持体は、ペン本体の内部に挿入され、一端に芯が突入して使用されるインク保持体であって、このインク保持体は、合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を複数本集合させて加工糸集合体を形成し、この加工糸集合体の表面の一部に、熱可塑性樹脂からなる接着剤を溶融状態で付与した接着性加工糸集合体を、前記インク保持体の寸法を有する断面に分散させて集束することによって、そのインク保持体の長手方向に接着剤を分散させて配置し、更にこの集束した加工糸集合体の外周面に前記合成繊維とは異なる合成樹脂からなる薄い外皮を溶融成形法によって形成しており、前記インク保持体は、前記単位仮ヨリ加工糸がこのインク保持体の全長にわたって延長配列され、その断面に熱可塑性樹脂からなる接着剤が分散配置され、更にこの接着剤がインク保持体の長手方向に延長して構成されている。
【0028】
2)本発明に係るインク保持体の製造方法は、合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を集合させた単位仮ヨリ加工糸集合体を、複数本集合させて第1の加工糸集合体を形成する工程と、この第1の加工糸集合体を平板状に引き揃えて第2の加工糸集合体とする工程と、この第2の加工糸集合体を僅かに弛ませて、この第2の加工糸集合体を構成している第1の加工糸集合体を僅かに膨らませながら移送する工程と、前記平板状の第2の加工糸集合体の片面に、熱可塑性合成樹脂の溶融液を付与して第3の加工糸集合体とする工程と、前記第3の加工糸集合体を断面円弧状に丸め、更にこの第3の加工糸集合体の円弧の直径を次第に円錐状に縮小させて、インク保持体の直径にほぼ近い断面形状の円柱形とした第4の加工糸集合体とする工程と、更に第4の加工糸集合体の表面に前記単位仮ヨリ加工糸とは別の材質の溶融樹脂の薄い外皮を形成する工程とから構成されている。
【0029】
3)前記インク保持体の製造方法における第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られた単位合成繊維に仮ヨリ加工を施した単位仮ヨリ加工糸を、複数本引き揃えて集合させたものである。
【0030】
4)前記インク保持体の製造方法における第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られたポリエステルマルチフイラメントを仮ヨリ加工した繊維を、複数本集合させたたものである。
【0031】
5)前記インク保持体の製造方法において、ポリエステルマルチフイラメントからなる仮ヨリ加工糸集合体で構成された第4の加工糸集合体の表面に、ポリプロピレン樹脂の薄い外皮を溶融形成している。
【0032】
6)前記インク保持体の製造方法における第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られたポリエステルマルチフイラメントにインターレース加工をしたものを仮ヨリ加工した繊維を複数本集合させたものである。
【0033】
本発明に係るインク保持体を具体的に説明すると、
1.例えば合成繊維の紡糸工程において、2.1〜5デニールの単糸からなるポリエステル繊維を100本、好ましくは3デニール単糸からなるマルチフイラメントとして紡糸する。
【0034】
このマルチフイラメントは前記のように紡糸同時延伸工程において、この紡糸工程において延伸しない場合は別の延伸工程において、所定の延伸倍率で延伸する。
【0035】
2.次にこのマルチフイラメントを仮ヨリ加工することによって単位仮ヨリ加工糸とする。なお、本発明の実施の形態で使用した単位仮ヨリ加工糸のTR値は35%前後、CR値は36%前後である。
【0036】
3.更に、この単位仮ヨリより加工糸を15本集めて4500dとしたものが第1の単位仮ヨリ加工糸集合体であり、この状態でボビンに巻取られる。このボビンはクリールに供給され、このクリールより8本の第1の単位仮ヨリ加工糸集合体を引出し、これを平面的に配列して第2の加工糸集合体を形成する。
そしてこの第2の加工糸集合体の片面(好ましくは上面)に熱可塑性樹脂溶液からなる接着剤を付与して第3の加工糸集合体とする。
【0037】
次に、この第3の加工糸集合体を、前記接着剤が内側に移動するように丸めてインク保持体の直径に近い状態のものとする。この場合、接着剤は繊維束の断面に分散され、そして繊維の長手方向に延長された状態として第4の加工糸集合体とする。
【0038】
そしてこの第4の加工糸集合体の外表面にこの仮ヨリ加工糸とは異なる合成樹脂からなる薄い被覆を形成法によって形成して繊維束の層に密着した被覆を形成する。
次いでこの被覆された繊維束を適宜整形して外形寸法を合わせたインク保持体の材料とし、この材料を所定の寸法に切断じてインク保持体を形成している。
【0039】
本発明において使用する仮ヨリ加工糸の特性は、「TR,CR値」で表示するのが適している。これらの数値の測定方法は次の通りである。
【0040】
a)TR値:乾熱でのケン縮度測定値であって、一定長のカセを150℃で3分加熱し、これに初荷重(低荷重)をかけカセ長〔A〕を測定する。次に、
150℃で3分加熱後、一定荷重をかけた状態でカセ長〔B〕を測定し、下記によりTR値を算出する。
【0041】
TR値(%)=(B−A)/B×100
例えば下記の実施の形態で使用した仮ヨリ加工糸のTR値は25〜30%である。
【0042】
b)CR値:温熱でのケン縮度測定値であって、同上のカセをサンプリングし、90℃の熱水中で20分間加熱する。そしてこれを室温で乾燥後、25℃の水中でカセ長(初荷重)〔A〕を測定する。更に一定荷重をかけてカセ長〔B〕を測定し、下記によりCR値を算出する。
【0043】
CR値(%)=(B−A)/B×100
例えば下記の実施の形態で使用しかた仮ヨリ加工糸のCR値は41〜45%であった。
【0044】
c)長繊維の場合と異なるって短繊維の場合は、ケン縮の程度をケン縮数、即ち1インチ当りの山数を目測し、13/inと表現する。
【0045】
また、ケン縮度は、一定長〔A〕(完全に短繊維を伸ばした状態)に対して一定荷重時の長さ〔B〕をケン縮度として表現し、前記ケン縮数の繊維の場合は約17%であった。
【0046】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0047】
図1及び図2はインク保持体の製造装置の前段の概略図であって、図7に示すように多数の単位仮ヨリ加工糸Sを複数本集束させた第1の加工糸集合体Y1を巻いたボビン2をクリール1の支持棒に支持させ、このボビン2より複数本の第1の加工糸集合体Y1を引き出して平行に植立されたガイド4の間を通して図8(A)の状態に並べ、そして金属製の駆動ローラ5aと従動ローラ5bからなる一対の供給ローラ5で引取り、このローラ部分において図8(B)のように第1の加工糸集合体Y1を偏平ないし楕円形の状態(シート状)に集束させる。
【0048】
単位仮ヨリ加工糸Sとは、合成繊維紡糸工程において紡糸され、同時に所定の倍率で延伸されたマルチフイラメント、あるいは紡糸されたマルチフイラメントを延伸機で所定の倍率に延伸したものに仮ヨリ加工して得た糸を意味する。
【0049】
なお、このマルチフイラメントは、通常の衣料用合成繊維の製造工程で製造されたものを主として使用するが、本発明のために特に用意された衣料用より本数の多いマルチフイラメントであっても良い。
【0050】
具体的には、単位仮ヨリ加工糸Sは、3dのフイラメントを100本のマルチフイラメントとして紡糸・延伸した糸に対して仮ヨリ加工を施したものを単位仮ヨリ加工糸Sとして使用している。そしてこの単位仮ヨリ加工糸Sを集束させて第1の加工糸集合体Y1を形成している。
【0051】
この第1の加工糸集合体Y1は、この単位仮ヨリ加工糸Sを15本集束して4500dとしたものである。また、この第1の加工糸集合体Y1は単位仮ヨリ加工糸Sを15本集束したままのものであっても良いが、集束したものをエヤーノズルを通して糸束に圧縮空気で攪乱してインターレース加工を施したものであっても良い。
【0052】
本発明に係るインク保持体に使用される単位仮ヨリ加工糸Sは、2.1〜5デニールのポリエステル繊維の集合体であって、全体として150デニールとしている。そしてこの単位仮ヨリ加工糸Sを15〜60本集束させて4500〜9000デニールの第1の加工糸集合体Y1を形成している。
【0053】
第1の加工糸集合体Y1は製品のサイズ(インク保持体の外径)によって適宜総デニールが変更されるものであるが、具体的には次の通りである。
【0054】
φ5.8=4500d×6本 φ6.3=4500d×7本
φ6.8=4500d×8本 φ13 =4500d×36本
そして図1及び図2に示す移動ガイド6cと、金属製の駆動ローラ6aとゴムライニングした金属製の従動ローラ6bからなる一対の引取ローラ6と、前記供給ローラ5との間で所定の張力を与えながら、シート状の加工糸集合体Y1を引き揃えて第2の加工糸集合体Y2に成形する。
【0055】
前記第2の加工糸集合体Y2は、4500dの第1の加工糸集合体Y1を8本使用したもので、上下のローラ5a,5bからなる供給ローラ5で押圧されて図8(B)に示すように偏平になっているが、この第2の加工糸集合体Y2を構成する第1の加工糸集合体Y1は、元の円形の状態から偏平に変化すると共に、個々の第1の加工糸集合体Y1の間にはガイド4による間隙Kが形成されている。
【0056】
3dの単糸を100本を集束した300dのマルチフイラメントは、紡糸・延伸した状態では個々の単糸は長手方向にほぼ平行に保たれており、このマルチフイラメントに仮ヨリ加工、即ち、ストレッチ加工して単位仮ヨリ加工糸Sである“ストレッチヤーン”としたものであるから、個々の繊維には小さなカールやクリンプや凹凸が形成されてはいる。
【0057】
しかし、この単位仮ヨリ加工糸Sを構成する全体の繊維は略平行に配列され、そして弾力性(ストレッチ性)を持っていることになる。このように300dのストレッチ性を持っている繊維を単に15本集束して4500dの第1の加工糸集合体Y1は、依然として個々の単位加工糸Sは平行な状態に保持されていることになる。
【0058】
前記のように単位仮ヨリ加工糸Sを集束させた第1の加工糸集合体Y1を所定長巻取ったボビン2をクリール1に支持させ、このボビン2より解き出した複数本、例えば8本の第1の加工糸集合体Y1を集めたものがインク保持体を構成するものである。前記例示したように、この第1の加工糸集合体Y1の本数は製品の用途によって調節されて得られるインク保持体として最適の密度や太さに調節することができるのである。
【0059】
紡糸・延伸工程で得られたマルチフイラメント(糸)に仮ヨリ加工を施し、これを集束して単位仮ヨリ加工糸Sとしたストレッチヤーンは、複数本のマルチフイラメントの集合体であり、仮ヨリ加工によって微細なカールや凹凸が連続的に形成されており、このような仮ヨリ加工糸を集めて繊維束とした単位仮ヨリ加工糸Sには、微細な空間が断面全体に分散し、更に長手方向にも分散して形成されており、この微細な空間によってインクを安定して保持する性質を高めることができるのである。
【0060】
図1及び図2に示すように、供給ローラ5でシート状に引き揃えて形成された第2の加工糸集合体Y2を後続して配列されているノリ付け装置7に供給し、この第2の加工糸集合体Y2の上面のみに図8(B)にしすめように、ノリ付け装置7で薄くノリ付けを行って略シート状に連続された第3の加工糸集合体Y3を形成する。
【0061】
前記ノリ付け装置7は、図3に示すように第2の加工糸集合体Y2に直交する2本のローラ7a,7b(電熱ローラ)を水平方向に対峙させ、この対面している部分が互いに逆向きに下側に回転するように駆動すると共に、上流側のローラ7a側を下流側のローラ7bに対して矢印Bのように接近離反するように移動させて両ローラ7a,7bの間隙を微細に調整してノリの厚みを調整できるように構成している。
【0062】
そして両ローラ7a,7bの上部の両側に堰7c,7dを設けてノリ溜め部7eを形成し、このノリ溜め部7eにノズル7fよりノリN、即ち、低融点で溶融する熱可塑性樹脂の粉体を供給して溶融状態にできるように構成している。また、このローラ7a,7bの下方にはガイド板7gを設けて第2の加工糸集合体Y2を矢印のように移動させ、この第2の加工糸集合体Y2の上面のみに薄く熱可塑性樹脂からなるノリNを付与して図8(C)に示すようにシート状の第3の加工糸集合体Y3とするように構成している。
【0063】
ノリNは低融点で溶融する熱可塑性樹脂を使用しているが、このノリNとしてはポリスチレン系樹脂(東亜合成株式会社製“アンメルトPPET-2001"):スチレン系ブロックコポリマー、飽和炭化水素系粘着付与剤、オレフイン系ワックス、その他添加剤で構成されたものである。なお、前記製品名の他に、アンメルトPPET-2009,2110も同様に使用することができる。前記ノリNの添加量は仮ヨリ加工糸の重量に対して5%〜19%程度であり、本実施の形態においては10%である。
【0064】
前記のように第2の加工糸集合体Y2の上面にノリNを付与する際に、図3に示すようにガイド板7gを矢印Cのように上下することによって、図8(B)に示したように断面が楕円形の第1の加工糸集合体Y1を膨らんだ状態で少量のノリNを付与したり、あるいはこの第1の加工糸集合体Y1全体、即ち第2の加工糸集合体Y2をローラ7a,7bに押付けてこの第2の加工糸集合体Y2に付与するノリNの量を調節して第3の加工糸集合体Y3を形成することができる。
【0065】
前記ノリ付け工程に続いて、この第3の加工糸集合体Y3をクロスヘッド8に供給して、前記工程において片面(上面)にノリNを付与した第3の加工糸集合体Y3を図6(A)に示すように円弧状に丸め、次いでこれを更に半径を縮小させ、前記ノリNを内部に包み込むように折り畳んで図6(B)に示すように集束させ、更にこのノリNを断面に分散させることによって目的とするインク保持体に近い外径を持つ円形断面で棒状の第4の加工糸集合体Y4(図1に示すようにクロスヘッド8の内部で形成される)に形成する。
【0066】
そして図4及び図5に示すように前記クロスヘッド8に続いて設けたダイス9によって前記第4の加工糸集合体3Cの外表面に、合成樹脂被覆Gを所定の厚さで形成して第5の加工糸集合体Y5とする。なお、図5より理解できるように合成樹脂被覆Gはダイス9の出口端において第4の加工糸集合体Y4の表面に薄く膜状に形成される。
【0067】
クロスヘッド8は、図5に示すように第3のシート状で上面にノリNの層が薄く形成された加工糸集合体Y3を導入して案内する通路8aを開口した内筒8bと、この内筒8bの外面に嵌合する外筒8cと、この外筒8cの外面に嵌合する本体8dを有している。そしてこのクロスヘッド8の後部に合成樹脂被覆Gを吐出成形するダイス9が接続されている。
【0068】
このダイス9は、前記内筒8bの後端部に形成したネジ部8eに、ダイス9の内部構造である縮小筒9aの前部を螺合し、そしてこの縮小筒9aのテーパー面等を覆ってダイス9の本体9bを配置し、更にこの本体9bの前端に形成されているフランジ9cをリング体9dで押さえ、このフランジ9cをボルト9eで、また、前記リング体9dをボルト9fで本体8dにそれぞれ固定している。
【0069】
インク保持体の外皮を形成する溶融樹脂(仮ヨリ加工糸より高融点の樹脂、例えばポリプロピレン)は、供給口9gから外筒8cと本体8dとの間に形成された円筒状の通路9hに供給され、そして前記縮小筒9aの外表面に形成されている円錐状の通路9jを流れて円筒状の吐出口9kより第4の加工糸集合体Y4の表面に吐出被覆される。なお、前記通路8a内に導入された第3の加工糸集合体Y3が縮小筒9aのテーパー部9mで縮小され、更にこのテーパー部9mに続く整形部9nでインク保持体の外径寸法となって図6(B)に断面を示すような第4の加工糸集合体Y4を形成する。
【0070】
そして前記第4の加工糸集合体Y4の外周には、吐出口9kより前記供給口9gから供給された溶融樹脂が円筒のフイルム状で吐出されて外表面に接着した状態で図9に示すように外皮Gが形成されて第5の加工糸集合体Y5、即ち、本発明のインク保持体の材料となる。
【0071】
図4に示すようにダイス9より送り出された直後の第5の加工糸集合体Y5はダイス9より吐出されて次の工程に移送されるが、この第5の加工糸集合体Y5の表面を形成している合成樹脂のの外皮Gが未だ軟化状態にある。そこで図4に示すように、このダイス9に引き続いて設けたサイジングダイ10を通過させて第5の加工糸集合体Y5の外形と寸法を所定の値に調節する。このサイジングダイ10は冷却槽11に設けられており、このサイジングダイ10より送り出された第5の加工糸集合体Y5の外表面はサイジング加工の直後に水冷されることになる。
【0072】
この冷却槽11に続いて上下にエンドレスベルトを配置した引取装置12が設けてあり、前記第5の加工糸集合体Y5はこれによって所定の速度で引き取られて続いて設けたカッタ13によって所定の寸法に切断されてインク保持体Hとなるのである。
【0073】
前記インク保持体Hをボールペンに組上げる際は、別工程で準備され、先端に小ボールBを保持した先端部材をインクの導体を形成する棒状の繊維集合体からなる芯Pを前部ペンホルダーの先端部に固定しておく。そして前記工程で製造されたインク保持体Hを後部ペンホルダー内に供給し、次にインク充填機で所定量のインクを前記インク保持体Hに供給して保持させる。そして後部ペンホルダーの後端開口部に蓋体を挿入固定して完成するものである。なお、図10にインク保持体Hの一端に芯Pを取付けた様子を斜視図で示している。
【0074】
前記のように構成された本発明に係るインク保持体を使用した筆記具の一つとしてボールペンを例にとって行なった試験結果は下記の通りである。
【0075】
試験には、短繊維スライバー(綿重が 400mg)を使用した従来のインク保持体と、本発明に係る仮ヨリ加工糸(綿重が 350mg)を使用したインク保持体を使用して組立て、同量の水性インクを充填したした水性ボールペンによる筆記試験等を行なった。その結果は表1に示す通りである。
【0076】
【表1】
【0077】
試験験結果について
A)第1項の筆記性のインクの「初期流量」は、製造後3ケ月を経過したものについて試験機に取付けて所定の筆圧で筆記した場合の初期のインクの流れやカスレの状態を試験したもので、本発明品も従来品も良好であった。
【0078】
B)第2項の「筆記寿命」は、所定の筆圧と速度で筆記される線の長さを比較するもので、本発明品は従来品に比較して約10%程度も伸びていることが分かる。
【0079】
なお、前記したように1本のインク保持体に使用される綿重は、従来品が400mg、本発明品が350mgであり、本発明品の方が13%少ない点に留意すべきである。
【0080】
C)第3項の「落下試験」は、水性ボールペンにキャップをした状態で下向きに保持し、高さ1.5mから落下させた場合における先端部の小孔(空気孔)からインクが漏出するかどうかを試験するものである。従来品は50本を試験した中3本に漏出が確認された。
【0081】
D)第4項のインクの「直流性」は、水性ボールペンを落下させたり、高温に保持された際における先端部の小孔からのインクの漏れやニジミの状態を試験するもので、従来品は100本中1本に漏れあるいはニジミが確認された。
【0082】
E)第5項のインクの「切れ性」は、ボールペンを上向きに3ケ月保持した状態で筆記した際の筆記途中の筆記のカスレの状態やインク切れを試験するもので、従来品は100本中1本にインキ切れが見られたが、本発明品は全部良品であった。
【0083】
F)第6項の「経時初筆性」は横向き3ケ月保管された水性ボールペンを使用して所定の筆圧で筆記を開始した際のインクの流れや線の太さの変化の状態を試験するもので、両者とも問題はなかった。
【0084】
前記A)〜F)の試験結果より、1本のインク保持体に使用される綿重が従来品の400mgに対して350mgと10%以上も少ないことが分かる。
そしてB)の筆記寿命が本発明品の方が従来品に比較して10%以上も延び、更にC)の落下試験やD)の直流性及びE)のインク切れ性の全てにおいて本発明品の方が従来品に比較して秀れていることが分かる。
【0085】
特に本発明に係るインク保持体は、連続した合成繊維マルラフイラメントに仮ヨリ加工した糸を使用してこれを次々に集束して各種の加工をするもので、生産性に著しく優れている。
【0086】
また、大量のノリ剤を使用して固めたり、繊維の集合体をノズル中で空気加工したり、蒸気加工をすることがないことから、繊維の断面の状態、特にインクを良好に保持して均一に最後まで導くための毛細管を形成するタメ微細な間隙が均一に分散しており、保管し易く、そして粗い取扱いにも耐えることができる水性ボールペン等の筆記具を、安価に製造することができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、ペン本体の内部に挿入され、一端に芯が突入して使用されるインク保持体であって、このインク保持体は、合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を複数本集合させて加工糸集合体の表面の一部に、熱可塑性樹脂からなる接着剤を溶融状態で付与した加工糸集合体を、前記インク保持体の寸法を有する断面に集束することによって、そのインク保持体の断面に接着剤を分散配置すると共に長手方向に延長させ、更にこの集束された加工糸集合体の外周面に、前記合成繊維とは異なる合成樹脂からなる薄い外皮を溶融成形法によって形成されている。
【0088】
従って、前記インク保持体は、前記単位仮ヨリ加工糸がこのインク保持体の全長にわたって延長して整列配列され、そしてその断面に熱可塑性樹脂からなる接着剤が分散配置され、更にこの接着剤がインク保持体の長手方向に延長されて構成されている。
【0089】
従って、本発明に係る加工糸集合体を使用したインク保持体は、合成繊維加工糸が全長にわたって平行すると共に接着剤が横断面に分散して配置され、更に長手方向に延長して形成されており、その結果、インクを保持して安定して導出させる毛細管路がインク保持体の横断面全体に分散し、そして長手方向に連続している。
【0090】
そのために、インクを保持体内に偏りなく保持しながら、筆記に応じて保持されたインクを適量づつ送り出すための毛細管路をインク保持体全体に形成することができる。特に本発明に係るインク保持体においては、インクの粘度や色調に関係なく、各種のインクを保持することができる。
【0091】
また、本発明に係るインク保持体の製造方法は、合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を集合させた単位仮ヨリ加工糸集合体を、複数本集合させて第1の加工糸集合体を形成する工程と、この第1の加工糸集合体を平板状に引き揃えて第2の加工糸集合体とする工程と、この第2の加工糸集合体を僅かに弛ませて、この第2の加工糸集合体を構成している第1の加工糸集合体を僅かに膨らませながら移送する工程と、前記平板状の第2の加工糸集合体の片面に、熱可塑性合成樹脂の溶融液を付与して第3の加工糸集合体とする工程と、前記第3の加工糸集合体を断面円弧状に丸め、更にこの第3の加工糸集合体の円弧の直径を次第に円錐状に縮小させて、インク保持体の直径にほぼ近い断面形状の円柱形とした第4の加工糸集合体とする工程と、更に第4の加工糸集合体の表面に前記単位仮ヨリ加工糸とは別の材質の溶融樹脂の薄い外皮を形成する工程とから成ることを特徴としている。
【0092】
従って、本発明においては合成繊維製造工程で得られた単位となる合成繊維を使用し、これに連続的に仮ヨリ加工して単位仮ヨリ加工糸(ストレッチヤーン)を製造し、これを基本構成として集束し、そして必要な加工を行うことができ、しかも、単位仮ヨリ加工糸を集束する以降の一連の工程においては空気や蒸気等の気体処理を伴わないことから、横断面における繊維の偏りがなく、また、長手方向にも繊維は略平行している。従って、均質な加工糸集合体を製造することができることから、これを使用したインク保持体は、繊維の分布に偏りがなく、インク保持性とインクの導出性に優れたものを高い生産性によって製造することができる。
【0093】
その結果、本発明に係るインク保持体を使用した筆記具は、前記のようにインクを、保持体内に偏りなく保持しながら、筆記に応じて保持されたインクを適量づつ送り出すための毛細管路をインク保持体全体に形成することができるので、各種のインクに対応できる筆記具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインク保持体の製造工程の概要を説明する平面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】ノリ付け装置の要部を示す斜視図である。
【図4】図1及び図2に示したインク保持体の製造工程の後段の平面図である。
【図5】クロスヘッドとダイスの内部構造を示す断面図である。
【図6】(A)は、クロスヘッドの加工糸集合体との関係を示す横断面図、(B)はこのクロスヘッドより送り出された繊維集合体の横断面図である。
【図7】単位仮ヨリ加工糸の集合体(第1の仮ヨリ加工糸集合体)を示す斜視図である。
【図8】(A)は第1の単位仮ヨリ加工糸集合体の斜視図、(B)は第2の単位仮ヨリ加工糸集合体の斜視図、(C)は第2の単位仮ヨリ加工糸集合体の上面に接着剤を設けたものを示す断面図である。
【図9】本発明に得られたインク保持体の内部構造を示す断面図である。
【図10】先端に筆記用の芯を取付けたインク保持体の斜視図である。
【符号の説明】
1 クリール
2 ボビン
4 ガイド
5 供給ローラ
6 引取りローラ
7 ノリ付け装置
8 クロスヘッド
8a 通路
8b 内筒
8c 外筒
8d 本体
9a 縮小筒
9b 縮小筒
9d リング体
9e ボルト
9g
10 サイジングダイ
11 冷却装置
12 引取装置
13 カッター
Claims (7)
- ペン本体の内部に挿入され、一端に芯が突入して使用されるインク保持体であって、このインク保持体は、合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を複数本集合させて加工糸集合体を形成し、この加工糸集合体の表面の一部に、熱可塑性樹脂からなる接着剤を溶融状態で付与した接着性加工糸集合体を、前記インク保持体の寸法を有する断面に分散させて集束することによって、そのインク保持体の長手方向に接着剤を分散させて配置し、更にこの集束した加工糸集合体の外周面に前記合成繊維とは異なる合成樹脂からなる薄い外皮を溶融成形法によって形成しており、前記インク保持体は、前記単位仮ヨリ加工糸がこのインク保持体の全長にわたって延長配列され、その断面に熱可塑性樹脂からなる接着剤が分散配置され、更にこの接着剤がインク保持体の長手方向に延長されているインク保持体。
- 合成繊維からなる単位仮ヨリ加工糸を集合させた単位仮ヨリ加工糸集合体を、複数本集合させて第1の加工糸集合体を形成する工程と、この第1の加工糸集合体を平板状に引き揃えて第2の加工糸集合体とする工程と、この第2の加工糸集合体を僅かに弛ませて、この第2の加工糸集合体を構成している第1の加工糸集合体を僅かに膨らませながら移送する工程と、前記平板状の第2の加工糸集合体の片面に、熱可塑性合成樹脂の溶融液を付与して第3の加工糸集合体とする工程と、前記第3の加工糸集合体を断面円弧状に丸め、更にこの第3の加工糸集合体の円弧の直径を次第に円錐状に縮小させて、インク保持体の直径にほぼ近い断面形状の円柱形とした第4の加工糸集合体とする工程と、更に第4の加工糸集合体の表面に前記単位仮ヨリ加工糸とは別の材質の溶融樹脂の薄い外皮を形成する工程とからなるインク保持体の製造方法。
- 第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られた単位合成繊維に仮ヨリ加工を施した単位仮ヨリ加工糸を、複数本引き揃えて集合させた請求項2記載のインク保持体の製造方法。
- 第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られたポリエステルマルチフイラメントを仮ヨリ加工した繊維を、複数本集合させた請求項2記載のインク保持体の製造方法。
- ポリエステルマルチフイラメントからなる仮ヨリ加工糸集合体で構成された第4の加工糸集合体の表面に、ポリプロピレン樹脂の薄い外皮を溶融形成した請求項2記載のインク保持体の製造方法。
- 第1の加工糸集合体は、紡糸工程で得られたポリエステルマルチフイラメントにインターレース加工をしたものを仮ヨリ加工した繊維を複数本集合させた請求項2記載のインク保持体の製造方法。
- 接着剤としてスチレン系のホットメルト剤を使用した請求項1記載のインク保持体。
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