JP4382985B2 - 細菌ヒドロラーゼを検出するための新規な発色基質 - Google Patents

細菌ヒドロラーゼを検出するための新規な発色基質 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有効な発色基質を使用することによる、ヒドロゲナーゼタイプの酵素、特にペプチダーゼの検出に関する。本発明はまた、単純且つ信頼性のある、微生物を同定するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特異的な基質は、細菌に特徴的な酵素活性の存在または不存在を測定するために、多年にわたり使用されている。反応が存在するか否かに依存する基質の選択によって、細菌の属の性質を特徴付けること、または得られた細菌属の種間を分類することが可能である。
【0003】
酵素の合成基質は二つの部分より成り、第一の部分は、検出される酵素活性に特異的であり、第二の部分は、ラベルとして機能し、以下ではラベリング部分と称される。
【0004】
これらの特異的基質は、蛍光基質または発色基質であり得る。実際、第一の部分と組み合わされない場合、それは蛍光または発色性であるのは第二の部分またはラベリング部分である。
【0005】
蛍光基質は、多様な組成物として存在し得る。
【0006】
まず第一に、ウンベリフェロンまたはアミノクマリンに基づく基質、及び2位で置換されたその誘導体は、紫外線(UV)ランプ(λex=365nm)の下で青色また緑色の範囲の色素を形成する蛍光化合物の放出が可能である。
【0007】
次に、レゾルフィン(及びその誘導体)に基づく基質は、天然光(λex=530nm)の下で蛍光ピンク色である化合物の放出が可能である。
【0008】
最後に、フルオレセイン(及びその誘導体)に基づく基質は、分解の後、天然光(λex=485nm)の下で蛍光黄色である化合物を放出する。
【0009】
これらの基質は、アガー培地での使用には適しておらず、液体培地で特に使用される。
【0010】
発色基質もまた、多様化した性質を有するであろう。
【0011】
第一に、酸素の存在下で、青色からピンク色の範囲の沈降物を生ずるインドキシルに基づく基質及びその誘導体が存する。
【0012】
その応用は、オシダーゼ及びエステラーゼに必須に制限され、ペプチダーゼ活性の検出には向いていない。それらは固体支持体(フィルター、アガー、電気泳動ゲル等)での使用によく適している一方で、液体水性培地での使用にはあまり適していない(沈降物の形成)。
【0013】
第二に、鉄塩の存在下で褐色の沈降物を生ずるヒドロキシキノリンまたはエスクレチンに基づく基質及びその誘導体が存する。
【0014】
この場合もまた、その応用はオシダーゼ及びエステラーゼに制限される。それらは固体支持体での使用に適しており、液体水性培地での使用には比較的適していない。
【0015】
第三に、黄色化合物の形成を導くニトロフェノール及びニトロアニリンに基づく基質並びにその誘導体が存する。
【0016】
それらは、ニトロフェノールベースの基質の場合、オシダーゼ及びエステラーゼ活性を検出することが可能であり、ニトロアニリンベースの基質の場合ペプチダーゼ活性を検出することが可能である。しかしながら、ペプチダーゼ活性を検出する場合、放出されるニトロアニリンは、同定または特徴付けされることが所望される細菌にとって毒性であり、当該分析または後の分析に負の影響を有するであろう。さらに、それらは固体支持体での使用に比較的適しておらず、液体培地での使用により適している。さらにそれらは、生物学的培地において比較的弱いコントラストしか与えない色素(黄色)の比較的低い吸光係数のため、特に発色性ではない。
【0017】
第四に、ナフトール及びナフチルアミンに基づく基質並びにその誘導体が存する。この場合、反応は二段階で実施される;酵素活性によって放出されるナフトールまたはナフチルアミンが、検出段階で加えられるジアゾニウム塩の存在下で「アゾ−カップリング」を受け、それが色素を有する不溶性の化合物の形成を導く。
【0018】
それらは、ナフトールによってオシダーゼ及びエステラーゼ活性を検出することが可能であり、並びにナフチルアミンによってペプチダーゼ活性を検出することが可能である。アゾ−カップリング反応は、しばしば化学的に腐食性で細菌に毒性である培地中で実施され、そのためサンプルを他の分析に不適切にし、とりわけナフチルアミンは発ガン性である。
【0019】
ナフチルアミン及びかくしてペプチダーゼ活性を検出するために、ジアゾニウム塩の代わりに、酵素反応の最後で酸性培地中にp-ジメチルアミノ-シンナムアルデヒドを加えることも可能であるが、これもまた分析されるサンプルに関して毒性であるという欠点を有する。
【0020】
特許出願FR-A-2 708 286は、発色基質の混合物の使用を提案し、それぞれの発色物質は、他の発色物質と関連する発色及び酵素とは異なる特異的な酵素に対して特に発色を与える。二つの発色及びかくして二つの酵素が存在する場合、「第三の発色」の形成が存在する。
【0021】
しかしながら、二つの酵素の一つが低濃度である場合、この酵素活性を検出できず、かくして濃度が優勢である酵素に関する発色によってマスクされてしまうため、この方法は不満足なものである。
【0022】
最後に、特許US-A-4 681 841及びUS-A-4 588 836は、アミノベンゼンとヒドロキシ芳香族誘導体(例えばα-ナフトール)との間のカップリングを使用する、単一の酵素活性を検出するための間接的方法を記載し、このカップリングは、オキシダーゼの存在下で発色インディケーターの形成を導く。二つの化合物の一方(アミノベンゼン)は、開始基質の組成の一部を形成する;もし酵素活性が存在するのであれば、この化合物が放出され、他の化合物と反応できるであろう。
【0023】
言うまでもなく、これらの文献は、少なくとも二つの非発色分子を介した少なくとも二つの酵素活性の検出が可能であることを推論することができない。かくしてこれらの少なくとも二つの活性の存在は、発色分子を生産するのみである。上記方法の利点は、同定される細菌が、他の細菌と共通する少なくとも一つの酵素活性と、これらの同じ他の細菌と異なる少なくとも一つの酵素活性を含む場合に妥当する。さらにこの方法の利点は、同定される細菌が、他の細菌と共通する少なくとも一つの酵素活性と、また別の他の細菌とは異なる少なくとも一つの酵素活性を含む場合に特に妥当するが、同定される細菌が少なくとも二つの酵素活性を有する場合のみに妥当する。
【0024】
かくして、少なくとも一つのペプチダーゼ活性を検出することに関して特に有効で利点を有する非発色基質が全く存在しないことが、容易に予期されるであろう。
【0025】
同定方法及び装置に関して、従来技術では、以下の三段階操作を含む同定方法が存在する:
− 同定されるコロニーのサンプルの取得、
− 開始試験の実施、並びに
− 観察されるものと同じコロニーの探索、及び接種物の調製。
開始試験は、同定系を使用する前に実施されるべきである。これは特に、顕微鏡による観察を必要とするグラム染色の場合に該当する。
【0026】
しかしながら、この発色は、実施、とりわけ分析するのが常に容易であるわけではない。さらに、この試験の費用は、無視するわけにはいかない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
かくして本発明の目的の一つは、グラム染色の結果を確認すること、及びその接種物を調製することの両者の単純な一工程を実施する可能性を生物学者に提供するための、培養培地と抗生物質アッセイと同定系の間の結合を創造することである。かくして、抗生物質アッセイと同定試験の選択は、信頼できるように実施される。
【0028】
特許出願EP-A-0 122 028は、生物学的サンプル中に存在すると予測される少なくとも一つの酵素の存在を検出するための、発色方法を提案する。それは、検出することが所望される酵素に対して特異的な少なくとも一つの基質をその中に吸収するための、ボトルブラシのような固い支持体に配置された吸収材料の調製を推奨する。基質を含む吸収材料は、使用の前に乾燥される。
【0029】
本発明は、二つの化合物に基づく合成基質の補助の下で、ヒドロラーゼ(オシダーゼ、エステラーゼ、ホスファターゼまたはペプチダーゼ)タイプの酵素活性の発色検出を許容し、並びに液体及び固体反応培地の両者に適用できる新規な方法を許容する。
【0030】
本発明はまた、微生物の同定のための方法及び装置を提案し、それは同定に向けられ、接種物の調製を可能にするための上記微生物の回収を可能にする。この接種物は、同定または抗生物質アッセイのような、一つ以上の他の工程のために同じ微生物を使用することを可能にする。
【0031】
基質を加水分解した後、上述の二つの化合物の酸化カップリングから得た着色化複合体の形成に基づいて、酵素活性を検出する。この酸化カップリングは、反応培地に加えられる、若しくはこの培地内での代謝プロセスの間で生産される酸化剤によって、またはより単純にこの同じ培地中の内因性酸素の存在によって、容易になされ得る。
【0032】
【課題を解決するための手段】
第一の説明に従って、本発明は、二つの別個の物の組み合わせに関し、一方は非発色分子であり、他方は少なくとも酵素活性または少なくとも一つの酵素の存在を検出するための基質である。基質は、酵素の特異的部分、並びに第一の分子以外の非発色分子より成ることを特徴とし、非発色分子は、基質のラベリング部分を構成する;二つの非発色分子は、遊離形態である場合に共に反応し、発色分子を生産できる。
【0033】
この第一の説明にさらに従って、本発明はまた、二つの別個の物の組み合わせに関し、それぞれは異なる基質に相当し、少なくとも二つの酵素の酵素活性の存在を検出可能である。各基質は、所望の酵素の特異的部分、及び基質のラベリング部分を構成する非発色分子より成り、二つの基質に相当する二つの非発色分子は、遊離形態である場合に共に反応し、発色分子を生産できることを特徴とする。
【0034】
とりわけ以下で使用される、第二の説明に従って、この結果に到達するために、基質の新規な形態を使用することが必要である。かくして、本発明に従った基質は、二つの異なる分子を含む。分子の一方は、特異的部分酵素活性及びラベリング部分より成り、発色分子とは区別される。他の分子は、少なくとも一つの特異的部分から遊離したまたはそれと関連する、発色分子とは別個の、酵素活性のラベリング部分を常に含む。かくして本発明の目的は、もし酵素活性が存在するならば、二つのラベリング部分が一度放出されてから会合する場合にのみ有効な、発色分子の形成を明らかにすることである。
【0035】
この目的のために、本発明は、第一の分子が、酵素の少なくとも一つの特異的ターゲット部分と会合する非発色ラベリング部分より成り、第二の分子が、別の非発色基質より成る、少なくとも二つの分子より成り、非発色ラベリング部分は、一度放出されると、発色分子を形成するために第二の分子と反応することを特徴とする、少なくとも一つの酵素の酵素活性の存在を検出するための発色基質に関する。
【0036】
本発明はまた、第一の分子が、第一の酵素の少なくとも一つの特異的ターゲット部分と会合する非発色ラベリング部分より成り、第二の分子が、第二の酵素の特異的ターゲット部分と会合する別の非発色ラベリング部分より成る、少なくとも二つの分子より成り、非発色ラベリング部分は、一度放出されると、発色分子を形成するために反応することを特徴とする、少なくとも二つの酵素の酵素活性を存在を検出するための発色基質に関する。
【0037】
【発明の実施の形態】
基質の調製の方法に関係なく、第一の分子の非発色ラベリング部分は、アミノベンゼンまたはその誘導体より成る:
【化7】
Figure 0004382985
第二の分子の非発色ラベリング部分は、α-ナフトールまたはその誘導体より成る:
【化8】
Figure 0004382985
得られる発色分子は、以下のものより成る:
【化9】
Figure 0004382985
【0038】
この場合、R1基は、−OH、−SHまたは以下の式:
【化10】
Figure 0004382985
より成り、R10基は、−Hまたは−Br、−Cl若しくは−Iのような原子、または酸化カップリングの間で除去できる−SHのような原子の基より成り、R2からR9、R11若しくはR12基は、−H、−OH、−Br、−Cl、−Iまたは−CH3、−CH2CH3、−OCH3、−OCH2CH3若しくは−COOHのような他のより複雑な置換基より成る。
【0039】
1基の場合、X/またはZは、−Hまたは−CH3、−CH2CH3、以下の式:
【化11】
Figure 0004382985
のような他のより複雑な置換基より成る。
【0040】
一つの実施態様に従って、R2/R3基及びR4/R5基の対の少なくとも一つは、芳香族、脂環式、若しくは複素環系より成る。
【0041】
本発明はまた、以下の工程より成る上述の基質を経た、酵素活性を検出するための方法に関する:
− 少なくとも一つのタイプの細菌と、基質を接触させること、
− 基質を加水分解するために、細菌を用意すること、並びに
− 二つのラベリング部分の酸化カップリングから得た着色化複合体の形成に基づいて、酵素活性を検出すること。
【0042】
本発明の別の目的は、分子が吸収材料中に存在し、サンプルと接触するように配置され、検出の後、かくして導かれた微生物が次の分析(同定、抗生物質アッセイ等)を可能にするように再懸濁される方法を提案することである。
【0043】
吸収材料中に含まれる反応組成物の一部を形成する分子及び他の化合物は、以下のものである:
− アミノベンゼン若しくはその誘導体より成る第一の分子、並びに
− α-ナフトール若しくはその誘導体より成る第二の分子。
【0044】
反応組成物はまた、フェリシアン化カリウムのような酸化剤を含む。
【0045】
他の化合物の中では、試験されるサンプル中に存在する、少量の第一の分子及び/または第二の分子のような反応アクチベーターを有することができる。
【0046】
さらに他の化合物の中では、組成物が、ポリビニルピロリドン(PVP)のようなバインダーまたは接着分子を含むことが可能である。
【0047】
該方法は、細菌種のグラム同定を試験するために使用でき、この場合第一の分子は、AlaDMpPDより成り、第二の分子はα-ナフトールより成る。
【0048】
さらに、吸収材料によって吸収される反応混合物の組成は、以下のものである:
− 0.01g/lから5g/l、好ましくは0.1g/lから1g/l、例えば0.5g/lのα-ナフトール
− 0.01g/lから5g/l、好ましくは0.1g/lから1g/l、例えば0.5g/lのフェリシアン化カリウム、並びに
− 0.01g/lから5g/l、好ましくは0.1g/lから1g/l、例えば0.35g/lのAlaDMpPd。
【0049】
一つの変形例に従って、アクチベーターは、0.01g/lから0.5g/l、好ましくは0.05g/lから0.1g/l、例えば0.075g/lの濃度のAla-DMpPDより成る。
【0050】
別の変形例に従って、組成物はまた、1g/lから50g/l、好ましくは10g/lから25g/l、例えば15g/lのPVPを含む。
【0051】
本発明はまた、ペプチダーゼタイプの酵素活性を検出するための、上述の基質の使用に関する。
【0052】
最後に本発明は、含まれる吸収材料及び基質に関して、並びに/またはビスコースのような吸収材料より成るヘッドに配置された試験サンプルに関して不活性である、例えばプラスチックで作製された支持体より成る、上述の同定方法を実施するための同定装置に関する。
【0053】
I−新規な発色基質及び調製法:
以下に記載されるであろう本発明は、本発明のいくつかの特異的な実施態様に関する。それ故これらの実施態様は、ヒドロラーゼタイプのような何れかのタイプの酵素活性、並びに何れかの属またはタイプの微生物を検出するために使用できる、本発明の範囲を制限するものではない。
【0054】
少なくとも一つの酵素の酵素活性の存在を検出するための発色基質は、少なくとも二つの分子より成り、第一の分子は、酵素の少なくとも一つの特異的ターゲット部分と会合する非発色ラベリング部分より成り、第二の分子は、別の非発色基質より成る。非発色ラベリング部分は、一度放出されると、発色分子を形成するために第二の分子と反応する。
【0055】
別の場合、少なくとも二つの酵素の酵素活性を存在を検出するための発色基質は、少なくとも二つの分子より成り、第一の分子は、第一の酵素の少なくとも一つの特異的ターゲット部分と会合する非発色ラベリング部分より成り、第二の分子は、第二の酵素の特異的ターゲット部分と会合する別の非発色ラベリング部分より成る。一度放出されると、非発色ラベリング部分は、発色分子を形成するために反応する。
【0056】
一つのみの酵素活性の検出の場合、二つの非発色分子が存在し、即ち第一の分子は、検出される酵素活性に特異的である部分とラベリング部分とを有し、一方で第二の分子は、ラベリング部分のみより成る。二つのラベリング部分は、それぞれ以下の化合物I及びIIより成る:
【化12】
Figure 0004382985
式中、
・R1=−OH若しくは−SH若しくは以下の式:
【化13】
Figure 0004382985
で、X及び/またはZ=−H若しくは−CH3、−CH2CH3、以下の式:
【化14】
Figure 0004382985
のような他のより複雑な置換基、
・R10=−H若しくは−Br、−Cl、−I、−SH等のような酸化カップリングの間で除去できる基または原子、
・R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11及びR12=−H、−OH、−Br、−Cl、−I、−CH3、−CH2CH3、−OCH3、−OCH2CH3、−COOH、若しくは他のより複雑な置換基、R2/R3及びR4/R5はまた、以下のもののような芳香族、脂環式若しくは複素環系の部分を形成できる:
【化15】
Figure 0004382985
【0057】
かくして二つの化合物I及びIIを組み合わせることによって得られる化合物IIIは、以下のものである:
【化16】
Figure 0004382985
【0058】
本発明を理解するために、ヒドロラーゼ酵素基質の式は、以下の形態で図式的に表され得ることが想起される:
【0059】
・オシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、またはスルファターゼ基質の場合、A−O−B。
次いで酵素的加水分解は、以下のように示され得る:
A−O−B+H2O→A−OH+B−OH
式中、本発明に従って:
A−OH=オス、ホスファート、スルファート、脂肪酸(単純には酢酸)並びにB−OH=R1=−OHである化合物I、若しくは化合物II。
【0060】
・ペプチダーゼ基質である場合、A−CO−NH−B
次いで酵素的加水分解は、以下のように示され得る:
A−CO−NH−B+H2O→A−COOH+B−NH2
式中、本発明に従って:
A−COOH=アミノ酸若しくはブロッキング試薬で終結され得るアミノ酸の鎖、並びに
B−NH2=化合物I。
【0061】
本発明に従った方法は、一方で、以下のもの:
− オシダーゼ、ホスファターゼまたはエステラーゼ基質について、R1=OHである、アミノベンゼンから由来する化合物I、若しくは
− α-ナフトールから由来する化合物II
のいずれかに基づく、上述の酵素的基質を使用し、
他方で、反応培地中に最初に存在する、または酵素的反応の間で若しくはその後に加えられ得る検出化剤を使用し、この剤は以下のもの:
・化合物Iに基づく基質の酵素的加水分解から生ずる化合物Iの検出のための化合物II、若しくは
・化合物IIに基づく基質の酵素的加水分解から生ずる化合物IIの検出のための化合物Iのいずれかである。
【0062】
IとIIの酸化カップリングから生ずる着色化化合物III(インドフェノールから由来する)の反応培地中での形成は、基質の加水分解と、かくして含まれる酵素活性の検出を可能にする。
【0063】
化合物IIIの着色は、化合物IとIIの置換基に依存する。
【0064】
例えば、R1=−OHで且つR2からR11=−Hである場合、それは紫色であり、R1=−OH、R2及びR5=−Clで且つR3からR11=−Hである場合、それは青色である。
【0065】
かくして記載される方法は、特にペプチダーゼタイプの活性を発色的に検出するために非常に有利である。とりわけ従来技術に従って、着色化反応の選択は、比較的非発色的であるニトロアニリンに基づく基質の使用、及び非常に毒性であるナフチルアミンに基づく基質の使用に制限されており、放出されるアミンを検出するために反応の最後で試薬(例えばジアゾニウム塩)を加えることが必要であった。
【0066】
本発明は、アミノベンゼンまたはその誘導体(化合物I)に基づく、ペプチダーゼに対する基質の新規なタイプを提案する。
【0067】
この化合物Iは、酵素的加水分解の間で反応培地中に段階的に放出されるため、それはこの培地中に存在するα-ナフトールまたはその誘導体(化合物II)との酸化カップリングにより、強力な着色化複合体(一般的に赤色から青色の着色)を形成する。
【0068】
もし化合物IIIの添加が、酵素的反応の最後に実施されるのであれば、カップリング反応はまた、試験の最後に得ることができる。
【0069】
本発明の別の重要な利点は、反応培地中に二つの基質を組み合わせることにあり、本方法に従って、一方は化合物Iに基づき、他方は化合物IIに基づく。
【0070】
かくして、二つの酵素活性(例えばペプチダーゼとオシダーゼ、エステラーゼとオシダーゼ、二つのオシダーゼ等)を同時に検出するための何れかのタイプの組み合わせが考慮され得る。これらの場合、着色化複合体IIIは、二つの基質が加水分解される場合にのみ形成されるであろう。この組み合わせは、特に微生物を特徴付けする場合に、高い特異性を必要とする診断試験について非常に有用であろう。
【0071】
挙げられる例の一つは、細菌を同定する分野での二つの酵素活性のこの同時検出についての利点を説明する。
【0072】
本発明の他の利点の中では、化合物Iに二重官能性を与えることが可能である。特に、化合物Iに、一方で−NH2基に、アミノ酸若しくはブロッキング剤で終結することが可能なアミノ酸の鎖を、他方でもしヒドロキシル基(−OH)であるならばR1に、オス、ホスファート若しくは脂肪酸を、化学的に接合することが可能である。二重基質と称される分子で、反応培地中で遊離形態の化合物Iを生じるために、R1に接合される物の性質に依存して、一方でペプチダーゼ、他方でオシダーゼ、ホスファターゼまたはエステラーゼといった、二つの別個の酵素活性によって加水分解されるべき分子が得られる。
【0073】
かくして、化合物IIの存在下で、二つの酵素活性が存在する場合のみ、着色化複合体IIIを得ることができる。二重官能性を有する上記基質の利点は、例えば微生物を特徴付けるために発揮されるであろうその非常に高い特異性に存する。
【0074】
同じ意味で、上述のような化合物Iに基づく二重官能性を有する基質と、化合物IIに基づく基質の混合物が、別のオシダーゼ、ホスファターゼ若しくはエステラーゼに対する研究のために、本発明に従って考慮され得る。この場合、着色化複合体IIIの生産は、化合物I及びIIを放出するために、三つの酵素活性の同時存在を必要とする。二つの酵素活性は、化合物Iに基づく分子を加水分解することが可能であり、一つの酵素活性は、化合物IIに基づく分子を加水分解することが可能である。かくして試験の特異性は、さらに向上する。
【0075】
本発明に従って、特に従来技術で周知である基質と、クレームされる本方法に従った基質といった、異なるタイプの基質を同じ反応培地中で組み合わせることも可能である。これにより、異なる着色反応を実施することが可能であり、かくして同じ反応培地中でいくつかの酵素活性を同時に検出することが可能である。
【0076】
本発明は、生物学的若しくは非生物学的サンプルの異なるタイプ中の酵素活性に対する研究に適用できる。
【0077】
本発明はまた、細菌若しくは酵母のような微生物を特徴付けるためにも使用できる。この場合、酵素的試験は、個々のチューブ、または例えばミクロタイトレーションプレートのような区画化支持体中の液体培地で実施できる。それらはまた、所望の酵素活性を生産するコロニーの染色が可能な、アガー培地(例えばペトリ皿)で実施できる。
【0078】
かくして本発明は、以下の工程より成る、上述の基質による酵素活性を検出するための方法に関する:
− 少なくとも一つのタイプの細菌と、基質を接触させること、
− 基質を加水分解するために、細菌を用意すること、並びに
− 二つのラベリング部分の酸化カップリングから得た着色化複合体の形成に基づいて、酵素活性を検出すること。
【0079】
酸化カップリングは、以下のそれぞれによって容易になる:
− 反応培地中への少なくとも一つの酸化剤の添加、
− この反応培地中での代謝プロセスの間の、少なくとも一つの酸化剤の生産、
− 上記反応培地中での内因性酸素の存在。
【0080】
以下に与えられる実施例は、本発明をより明確に理解させるであろう。それらは特に細菌学の分野に関するが、本方法が、ヒドロラーゼを探索することを含む、いずれかの他の酵素学の分野にも適用できることは明らかである。
【0081】
【実施例】
実施例1:液体培地中のβ-グルコシダーゼの検出(方法1):
この実施例で提案される反応培地は、以下の製剤を有する:
・ミートペプトン 10g
・NaCl 5g
・α-ナフチル-β-グルコピラノシド 0.5g
・4-アミノフェノール 50mg
・H2O 1000ml
・pH 7.0
【0082】
この培地を、0.22μMilliporeフィルターを通す濾過によって滅菌し、5ml/チューブの速度で滅菌チューブ内に配置する。
【0083】
β-グルコシダーゼに対する探索のための試験を、Trypticase-Soyaアガーで35−37℃で24時間培養した4種の株で実施する。これらの株は、それぞれ以下の種に属する:
− Escherichia coli、
− Staphylococcus sciuri、
− Streptococcus pyogenes、
− Enterococcus faecalis。
【0084】
上記培養物で開始し、0.5McFarlandに調節した水性懸濁液を調製する。
【0085】
100マイクロリットルのこれらの懸濁液を、4種の反応培地のチューブを接種するために使用し、各チューブは、一つの株に相当する。
【0086】
栓をしたチューブを、35−37℃で18から24時間インキュベーションする。
【0087】
インキュベーションの後、インドフェノール複合体の形成に相当し、β-グルコシダーゼ活性の存在を反映する、紫色の発色の出現を観察する。
【0088】
得られた結果は、以下のものである:
【表1】
Figure 0004382985
【0089】
実施例2:液体培地中のβ-グルコシダーゼの検出(方法2):
この実施例で提案される反応培地は、以下の製剤を有する:
・ミートペプトン 10g
・NaCl 5g
・α-ナフトール 0.5g
・4-アミノフェノール-β-D-グルコピラノシド 50mg
・H2O 1000ml
・pH 7.0
【0090】
培地の調製、試験株の選択、及び試験の操作は、実施例1に記載された方法と同一である。
【0091】
インドフェノール複合体の形成による紫色発色の出現は、β-グルコシダーゼ活性の存在を示す。
【0092】
得られた結果は、実施例1のものと同一である:
【表2】
Figure 0004382985
【0093】
これらの結果は、化合物Iに基づく基質または化合物IIに基づく基質の何れかを本発明に従って使用して、オシダーゼタイプの活性を検出することが可能であることを示す。これは、エステラーゼまたはホスファターゼタイプの活性の調査の場合にも同様であろう。
【0094】
実施例3:液体培地中のピログルタミル-アミノペプチダーゼの検出
この実施例で提案される反応培地は、以下の製剤を有する:
・ミートペプトン 10g
・NaCl 5g
・α-ナフトール 50mg
・L-ピログルタミル-4-アミノ-2,6-ジクロロフェノール 0.5g
・H2O 1000ml
・pH 7.0
【0095】
培地の調製、試験株の選択、及び試験の操作は、実施例1に記載された方法と同一である。
【0096】
インドフェノール複合体の形成による青色発色の出現は、ピログルタミル-アミノペプチダーゼ活性を表す。青色の発色は、4-アミノフェノールの2位と6位の塩素基の存在から生ずることに注意すべきである。
【0097】
得られた結果は、以下のものである:
【表3】
Figure 0004382985
【0098】
実施例4:本発明の方法に従った二つの酵素活性の組み合わせた調査。β-グルコシダーゼとピログルタミル-アミノペプチダーゼの同時検出に対する応用:
この実施例で提案される反応培地は、以下の製剤を有する:
・ミートペプトン 10g
・NaCl 5g
・α-ナフチル-b-D-グルコピラノシド 0.5g
・L-ピログルタミル-4-アミノ-2,6-ジクロロフェノール 0.5g
・H2O 1000ml
・pH 7.0
【0099】
培地の調製、試験株の選択、及び試験の操作は、実施例1に記載された方法と同一である。
【0100】
インドフェノール複合体の形成による青色発色の出現は、二つの基質が加水分解された場合にのみ可能である。それ故これは、同じ反応培地中でのβ-グルコシダーゼとピログルタミル-アミノペプチダーゼ活性の組み合わせを反映する。活性の一方の不存在は、発色複合体の形成を妨げる。
【0101】
得られた結果は、以下のものである:
【表4】
Figure 0004382985
【0102】
この実施例は、微生物(この応用ではE. Faecalis)の特徴付けにおいて、より高い特異性を許容することによって、本発明の利点の一つを明白に説明する。
【0103】
実施例5:β-ガラクトシダーゼ(βGAL)及びL-アラニン-アミノペプチダーゼ(Ala)活性の同時検出による、アガー培地中での細菌の特徴付け:
α-ナフチル-β-D-ガラクトピラノシド及びL-アラニル-イドラジドを、トリプチカーゼsoyaアガー培地に加える。この基質は、本発明に従った化合物Iから由来する。
【0104】
この培地を配置し、以下の方法で接種する:
・精製培養物で6個の皿:
− Escherichia coli [βGAL(+), Ala(+)]
− Klebsiella pneumoniae [βGAL(+), Ala(+)]
− Salmonella typhimurium [βGAL(-), Ala(+)]
− Pseudomonas aeruginosa [βGAL(-), Ala(+)]
− Staphylococcus xylosus [βGAL(+), Ala(-)]
− Candida albicans [βGAL(-), Ala(-)]
・E. coli/S. xylosus及びS. typhimurium/C. albicansの株の混合物で2個の皿。
【0105】
培地を35−37℃でインキュベーションする。18−24時間のインキュベーションの後、E. coliとK. pneumoniae株[βGAL(+), Ala(+)]を含む皿のみ、青色染色コロニーを含む。
【0106】
E. coli/S. xylosusの混合物について、E. coliコロニーのみが青色であり、S. xylosusのコロニーは無色のままである。
【0107】
実施例4に示されるように、かくしてインドフェノールに基づく着色化複合体IIIの生産は、二つの酵素活性、この場合β-ガラクトシダーゼ及びL-アラニン-アミノペプチダーゼの両者の存在を必要とした。
【0108】
しかしながら、これら二つの活性の一方のみの存在または両者の不存在は、着色化複合体の形成を引き起こさない。
【0109】
実施例5の場合では、適切なフェニレンジアミン誘導体の選択は、コロニーの直ぐ近傍に存在する発色を得ることが可能であり、かくして混合物中の二つの異なる集団を識別することが可能である。
【0110】
この実施例は、本発明に従って、アガー培地の表面での特異的な着色化コロニーを得ることが可能であり、かくしてそれらを特徴付けることが可能である。この場合、β-ガラクトシダーゼ及びL-アラニン-アミノペプチダーゼ活性の両者を有するグラム陰性細菌である腸内細菌の検出に適用できるであろう。
【0111】
実施例6:本発明の方法に従った三種の酵素活性の組み合わせた調査。β-ガラクトシダーゼ(βGAL)、β-グルコシダーゼ(βGLU)及びL-アラニン-アミノペプチダーゼ(Ala)の同時検出への応用:
この実施例で提案される反応培地は、以下の製剤を有する:
・ミートペプトン 10g
・NaCl 5g
・α-ナフチル-b-D-グルコピラノシド 0.5g
・L-ピログルタミル-4-アミノ-2,6-ジクロロフェニル-
β-D-ガラクトピラノシド 0.5g
・H2O 1000ml
・pH 7.0
【0112】
培地の調製は、実施例1に記載された方法と同一である。
【0113】
3種の酵素活性の調査のための試験を、Trypticase-Soyaアガーでの35−37℃で24時間培養された5種の株で実施する。これらの株は、それぞれ以下の種に属する:
− Escherichia coli [βGAL(+), βGLU(-), Ala(+)]
− Klebsiella pneumoniae [βGAL(+), βGLU(-), Ala(+)]
− Salmonella typhimurium [βGAL(-), βGLU(-), Ala(+)]
− Stenotrophomonas maltophilia [βGAL(-), βGLU(+), Ala(+)]
− Staphylococcus saprophyticus [βGAL(+), βGLU(-), Ala(-)]

【0114】
インドフェノール複合体の形成による青色の発色の出現は、3種の基質が加水分解された場合のみ可能である。かくしてそれは、K. pneumoniaeの株の場合のように、同じ反応培地中にβ-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ及びL-アラニン-アミノペプチダーゼ活性の組み合わせを反映する。活性の一つの不存在は、着色化複合体の形成を妨げる。
【0115】
得られた結果は、以下のものである:
【表5】
Figure 0004382985
【0116】
この実施例は、高い選択的試験を実施するための本発明の可能性を再び示す。
【0117】
示された6個の実施例は、本発明に従った酵素試験を記載するのみである。
【0118】
発色基質または蛍光基質を使用して、本分野の周知の試験とこれらの試験を組み合わせることは、非常に明白に可能である。
【0119】
II.−同定方法及び装置:
同定方法及び装置で使用される培地の原理は、上述の対にした基質の使用に基づく。
【0120】
代表的な実施例に従って、GRAM同定法は、アミノベンゼンまたはジメチル-パラフェニレンジアミン(DMpPD)のようなその誘導体に基づく基質を使用する。以下の実施例において、基質は、アラニン-ジメチル-パラフェニレンジアミン(AlaDMpPD)より成る。かくして示される活性は、アラニン-アミノペプチダーゼであり、この活性はグラム陰性細菌に特異的である。
【0121】
それは以下のように機能する。酵素的加水分解により、DMpPD基の放出が生ずる。次にDMpPDが、酸化剤、フェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)によって容易にされる酸化カップリングによってα-ナフトール(またはその誘導体)と結合する。次いでこれは、灰紫色の複合体の形成を生ずる。
【0122】
第一の工程において、装置は以下のように定義される:
− 基質としてAlaDMpPDを含むバイオゲリトン培地、並びに
− α-ナフトール及びフェリシアン化カリウムより成る反応混合物で飽和されたボトルブラシ。
【0123】
グラム同定により特異的であり、Columbiaタイプの血液アガーでも使用できる別の装置が定義される。それは以下のものより成る:
− Columbiaタイプの血液アガーより成る培地(AlaDMpPDを含むまたは含まない)、並びに
− ボトルブラシを飽和し、α-ナフトール、フェリシアン化カリウム及びAlaDMpPDに基づいて構成され、次いで乾燥された反応混合物。
【0124】
ボトルブラシにに含まれる反応混合物は、後の操作を容易にする、ボトルブラシの乾燥工程を加えることによってさらに改良された。
【0125】
正確な組成は以下のものである:
・アガーについて、0.075グラム/リットル(g/l)のAlaDMpPDの存在または不存在、並びに
・ボトルブラシについて
− 0.01から5g/l、好ましくは0.1から1g/l、例えば0.5g/lのα-ナフトール
− 0.01から5g/l、好ましくは0.1から1g/l、例えば0.5g/lのフェリシアン化カリウム、並びに
− 0.01から5g/l、好ましくは0.1から1g/l、例えば0.35g/lのAlaDMpPD。
【0126】
かくして感度及び特異性に関して得られた結果は、得られた最高のものである。この場合、反応の検出は、即時的ではない。何れかの発色の出現を観察するために15から30秒かかり、これは細菌のアミノペプチダーゼによる基質の加水分解に必要とされる時間である。
【0127】
Polyvitex chocolateアガー(登録商標)、CPS ID2培地(登録商標)、TSA +/-血液及びColumbia +/-血液のような異なる培地で61株が、α-ナフトール、フェリシアン化カリウム及びAlaDMpPDで飽和され、次いで乾燥されたボトルブラシで試験された。この研究により、この系が従来の培地及び一般的な発色試薬の大部分と適合的であることが示された。
【0128】
反応時間をさらに改良するために、反応アクチベーターを培地中に取り込ませた。
【0129】
反応を活性化するというこの意図において、少量のAlaDMpPD及び/またはα-ナフトールの培地への添加は、感度を減少することなく反応の検出を可能にすることが見出された。さらに、かくして検出時間は、0から10秒となり、顕著に減少された。上記少量は、0.01から0.5g/l、好ましくは0.05から0.1g/l、例えば0.075g/lに相当する。
【0130】
一つの実施態様に従って、ボトルブラシにバインダーを加えることも可能である。バインダーの添加は、ボトルブラシの頭部の繊維を共に集合させ、接種懸濁液内でのボトルブラシに存在する製品の放出を制限することが可能である。上記バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)より成り、それは実際、上記項目を満足するだけでなく、感度を実質的に増大することが可能である。上述の濃度を有する上述の組成物において、PVPは、1から50g/l、好ましくは10から25g/l、例えば15g/lの濃度でボトルブラシのビスコース頭部のの構成中に取り込まれる。
【0131】
1.実験:
かくしてこの培地の評価を、以下の種の中で分けた133種の株で実施した。以下の表6と7は、試験された種と各種に対する株の数を掲載する。
【表6】
Figure 0004382985
【表7】
Figure 0004382985
表6及び7:試験された株及び各種に対する株の数
【0132】
表8は、得られた結果を示す:
【表8】
Figure 0004382985
表8:試験された種の感度と特異性
【0133】
試験された株で得られた結果の中で、特定の株は偽の陰性である。これらの偽の陰性は、P. aeruginosaの4個の株で2個、P. fluorescensの5個の株で2個、及びH. influenzaeの2個の株で1個である。特定の株は、偽の陽性である。これらの偽の陽性は、E. faecalisの5個の株で1個、S. pyogenesの3個の株、S. agalactiaeの4個の株で2個、C. guilliermondiiの株、及びC. parapsilosisの株である。
【0134】
2.試験の読み取り性:
Pseudomonas細菌を除くグラム陰性細菌の実質的に全てが、その強度が2より大きい(4までの半定量的スケールで)灰紫色の鋭い発色を与え、一方でグラム陽性細菌またはS. pyogenesを除く偽の陽性であるものは、この同じスケールで1より小さい発色強度を有する。
【0135】
3.検出時間:
約90%のグラム陽性細菌が、0から10秒の間で検出される;グラム陽性細菌または偽の陽性の細菌のほとんどは、S. pyogenesの株を除いて、10秒後に検出される。
【0136】
かくしてこの実施例の培地は、良好な感度と良好な特異性を有する。他の偽の陽性の株は、一般的に非常に弱い強度を有し、10秒より大きい検出時間を有する。かくしてこれらの株は、偽の陽性のものより疑わしい株である。
【0137】
4.ボトルブラシの定義:
特に有利であるボトルブラシモデルは、以下の項目を満足するボトルブラシである:
− 直径が2.5ミリメーター(mm)で且つ長さが150mmであるプラスチックのスティック、並びに
− 直径が4.5mm以下でアルビスコース頭部を有する。
【0138】
5.ボトルブラシの製造及び操作のための方法:
製造条件は、以下のものである:
− 2から3分間上述の溶液に浸す、
− 37℃で2時間乾燥する、並びに
− 光から保護されたリークプルーフプラスチックバッグで実装する。
【0139】
6.ボトルブラシの実装:
ボトルブラシを、例えば1,25または100から1000のこれらのボトルブラシを含むラッピングに滅菌態様(ガンマ線)で貯蔵できる。しかしながら、乾燥後に滅菌の必要のない20から25のボトルブラシの実装は、完全に想像できる。実装は、乾燥剤の存在下または不存在下で実施され、光から隔離される。
【0140】
7.必須のパラメーター:
かくして対になった基質の使用は、本気債の最初で述べられたものと同一である。かくしてボトルブラシの頭部は、少なくとも二つの分子を含む。かくして、示された実施例において、第一の分子(AlaDMpPD)は、酵素の少なくとも一つの特異的ターゲット部分(DMpPD)より成り、第二の分子は、非発色基質より成り、非発色ラベリング部分(AlaDMpPD)は一度放出されると、発色分子を形成するために第二の分子と反応する。
【0141】
ボトルブラシの使用は、試薬の支持体として機能し、上述の評価された同じ株に基づいて、他の同定及び抗生物質アッセイ系で使用される接種懸濁液の調製を許容する。かくしてこれは、引き続く同定及び抗生物質アッセイ操作等を実施するための新規な「同じ」微生物の接種の間のエラーを顕著に減少する。
【0142】
さらに、例えばオキシダーゼ、インドール、エステラーゼ、ホスファターゼ等の、他のタイプの試験のためのボトルブラシを調整することが可能である。

Claims (24)

  1. いずれのオキシダーゼをも加えることなく、試験サンプル中に含まれる微生物の存在下で、
    以下の二つの分子:酵素の特異的ターゲット部分と会合する非発色ラベリング部分より成り、前記第一の分子が
    Figure 0004382985
    のアミノベンゼンまたはその誘導体より成る第一の分子、及び
    Figure 0004382985
    のα-ナフトールまたはその誘導体より成る非発色ラベリング部分からなる第二の分子より成る基質を配置させる工程、
    − 前記微生物が前記基質を加水分解するのを待つ工程、並びに
    − 二つのラベリング部分の酸化カップリングから得た着色化複合体の形成を検出する工程であって、前記着色複合体が以下の分子
    Figure 0004382985
    に相当し、式中、
    基が、−OH、−SH、N(CH 、N(CH CH OH)
    Figure 0004382985
    もしくは−NXZより成り、X及び/またはZが−H、−CH 、−CH CH より成り、
    10 基が、−Br、−Clもしくは−I、あるいは−SHから成り、並びに
    からR 、R 11 もしくはR 12 基のそれぞれが、−H、−OH、−Br、−Cl、−I、−CH 、−CH CH 、−OCH 、−OCH CH もしくは−COOHのいずれかから成ることを特徴とする、ペプチダーゼ酵素活性を検出するための方法。
  2. 前記微生物が細菌であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一及び第二の分子が吸収材料中に存在し、サンプルと接触するように配置され、検出の後、導かれた微生物が、次の分析(同定、抗生物質アッセイを可能にするように再懸濁されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記吸収材料がビスコースであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記第一及び第二の分子を酸化剤と組み合わせることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記酸化剤がフェリシアン化カリウムであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  7. 反応アクチベーターを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記反応アクチベーターが、試験しようとするサンプル中に存在する、さらなる量の前記第一の分子及び/または第二の分子であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. バインダーを含むことを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記バインダーがポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  11. 前記第一の分子が、アラニン-ジメチル-パラフェニレンジアミン(AlaDMpPD)より成り、前記第二の分子が、α-ナフトールより成ることを特徴とする、試験しようとする細菌種のグラム同定のための、請求項から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記吸収材料の組成が、以下のもの:
    − 0.01g/lから5g/lのα-ナフトール
    − 0.01g/lから5g/lのフェリシアン化カリウム
    − 0.01g/lから5g/lのAlaDMpPD
    であることを特徴とする、請求項11と組み合わせた請求項から10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記吸収材料が0.1g/lから1g/lのα‐ナフトールを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記吸収材料が0.1g/lから1g/lのフェリシアン化カリウムを含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記吸収材料が、0.1g/lから1g/lのAlaDMpPDを含むことを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記吸収材料が0.5g/lのα-ナフトールを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  17. 前記吸収材料が0.5g/lのフェリシアン化カリウムを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  18. 前記吸収材料が、0.5g/lのAlaDMpPDを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  19. 前記アクチベーターが、0.01g/lから0.5g/lの濃度のAlaDMpPDより成ることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  20. 前記アクチベーターが、0.05g/lから0.1g/lの濃度のAlaDMpPDより成ることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 前記アクチベーターが、0.075g/lのAlaDMpPDより成ることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
  22. 組成物がまた、1g/lから50g/lのPVPを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  23. 前記組成物が10g/lから25g/lのPVPを含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. 前記組成物が15g/lのPVPを含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
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