JP4381968B2 - 打錠用粉末ガム、それを用いた打錠チューインガム、打錠チューインガムの酸化防止方法及び生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法 - Google Patents
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Description
上記のような打錠チューインガムは、独特の食感を有するユニークな形態であるが、チューインガム生地を粉末化することによって表面積が増大し、これが製造工程中や保存中に外気と触れることによって、ガムベース(特に弾性体や樹脂)の酸化を促進し、不快な酸化臭を発したり、ガムベース本来の粘弾性が失われて、打錠チューインガムを口中で咀嚼すると、ぼろぼろに崩壊し、まとまりにくく、一塊のチューインガムとして味わうことができないという欠点がある。
一般の食品において、酸化防止には従来抗酸化剤(ビタミンE、BHT等)を配合することが行われているが、薬剤を含めた機能性成分も配合することを考慮するとビタミンEやBHT等の抗酸化剤は含まない方が好ましい。
しかしながら、このチューインガムは、第5頁下から7〜5行目に記載の通り、活性試薬のような熱感受性化合物が、ガムベースの溶融混合工程で加熱分解されることを防止する方法であり、上述のような、チューインガムの粉末化によってガムベースが酸化する問題や、機能性成分等の生地吸着性成分を含有する際の問題点であるガムベースへの吸着による難溶出性を防止することを示唆するものではない。
しかしながら、この方法では、機能性成分の酸化や水分との接触からは保護されるものの、ガムベースが酸化する問題や、機能性成分のガムベースへの吸着防止には効果がない。
末ガムと、吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方とが共に成形されてなるチューインガム、及び吸水性成分もしくは水難溶性成分を、粉末ガムと粉体混合して成形することによる成分吸着防止方法を提案した。この提案によれば、吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着してチューインガム全体を劣化させたり、水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されて、成分が口中に溶出しにくくなることを防止することができるというものである。
しかしながら、この方法では、上記効果は得られるものの、更なる改良の余地があった。
本発明においては、生地吸着性成分を共に打錠してもよい。
その結果、従来のように、打錠された後の打錠チューインガム全体や機能性成分等の生地吸着性成分自体を被覆するのではなく、個々の粉末ガム表面を被覆して保護するという逆転の発想により問題を解決することを見出した。
時間にわたり一塊のチューインガムとして味わうことができる打錠チューインガムを得ることができるのである。
また、本発明によれば、機能性成分等の生地吸着性成分を含有させた場合でも、該生地吸着性成分が打錠時及び口中での咀嚼時によってガムベースに吸着されて、口中に溶出しにくくなることがない。従って、従来のチューインガムでは有効量を溶出させるために過剰に添加していた生地吸着性成分を、必要最小限にすることができ、また、有効量を十分に口中に溶出させることができる。
なお、上記粉末ガムとは、被覆層は形成されていない状態のガムである。
これらの中でも、砂糖、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノースは、粉末ガムにした時の流動性、打錠した時の杵への付着防止、打錠時の粉末ガム同士の結着性を得る点で好ましく、特に還元パラチノースが好適である。
本発明の打錠用粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとする際、適宜副原料を配合(粉体混合等)し、共に打錠してもよい。
上記副原料としては、上述した副原料や、生地吸着性成分等が挙げられる。特に、打錠の際、上記粉末ガムと共に打錠時及び咀嚼時にガムベースに吸着しやすい生地吸着性成分を粉体混合して共に打錠しても、ガムベースに吸着されることなく、喫食時にそれら成分が口中で充分溶出し得る点で本発明に好適に用いられる。
上記機能性成分は、公知の機能性成分全般を使用すればよいが、特に水難溶性成分は、水に溶けにくく、ガムベースへの親和力があり、ガムベース中に吸着されると、咀嚼時に口中に溶出しにくい成分であることから、本発明に好適に用いられる。上記水難溶性成分としては、例えばCoQ10や、小麦抽出物や、下記の一般式(1)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分や、下記一般式(2)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分等が挙げられる。この中でも、CoQ10は、ガムベースへの吸着性が強いため、本発明の効果が顕著に得られる。
製品としては、「Wheat Slimer−1」(協同乳業(株)製)等が挙げられる。
のようにして製造される。
まず、ガムベース、糖質甘味料、必要に応じて副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化し、冷却した後、粉砕機(例えばハンマーミル、オシレーター等)で粉砕することにより粉末ガムを得る。この後、更なる粒度の均一化のため、ふるいにかけて粒度を分別してもよい。
次いで、予め被覆成分を溶液化しておいた被覆溶液を、上記粉末ガムを空中に吹き上げたところに噴霧し、その後乾燥するという工程を適宜の回数繰返すことにより、粉末ガム表面に被覆層を形成した打錠用粉末ガムを得ることができる。
上記乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、各種送風機等を用いればよい。乾燥条件は、噴霧と乾燥を繰返し行い、粉末ガムがダマにならない程度に行なえばよい。
《打錠用粉末ガムの調製》
表1に示す組成を加熱混合して均質化し、20℃に冷却した後、ハンマーミルで粒度8メッシュパス〜120メッシュオンの粉末状に粉砕することにより粉末ガムを調製した。
次に、表2に示す組成で、上記のようにして得られた粉末ガム表面に、デキストリンを用いて、流動層造粒装置にて流動層コーティングを行うことにより粉末ガムの表面に被覆層が形成されてなる打錠用粉末ガムを調製した。
粉末ガムに被覆層を設けない他は、実施例1と同様にして粉末ガムを得た。
《酸化抑制試験》
粉末ガムを粉体状態で、55℃で3週間保存し、過酸化物価の測定を行った。
上記実施例1〜2の打錠用粉末ガム及び比較例1の粉末ガムを用い、表3に示す組成でCoQ10等を粉体混合した後、圧力0.4ton/個で共に打錠して1個当たり0.4グラム、直径10mmの打錠チューインガムを得た。これを包装機に供給し、ポリエチレン製包装材料で1個ずつ個包装した。
なお、打錠は、単発式打錠機で連続的に50個製造した。
《吸着抑制試験》
打錠チューインガムを、常温でエージングした。その後、水抽出を行い、抽出液中のCoQ10をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて測定した。
これに対し、比較例の粉末ガムは、酸化が進み、過酸化物価の増加量が高かった。従って、打錠チューインガムとした際に、不快な酸化臭が感じられ、粘弾性の低下が生じて口中で咀嚼してもぼろぼろでまとまりにくかった。また、CoQ10の溶出率も少なかったため、有効量を摂取することができなかった。
Claims (5)
- 粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとするための打錠用粉末ガムであって、酸化防止及び/又は水難溶性の機能性成分のガムベースへの吸着防止のために、上記打錠用粉末ガム表面に、打錠用粉末ガム全体重量中0.05〜5重量%である被覆層を設けてなることを特徴とする打錠用粉末ガム。
- 被覆層が、デキストリンを被覆成分とする請求項1記載の打錠用粉末ガム。
- 請求項1又は2記載の打錠用粉末ガムを打錠してなる打錠チューインガム。
- 更に、水難溶性の機能性成分を共に打錠してなる請求項3記載の打錠チューインガム。
- 打錠用粉末ガム表面に、打錠用粉末ガム全体重量中0.05〜5重量%である被覆層を設け、該打錠用粉末ガムと水難溶性の機能性成分とを共に打錠してなることを特徴とするガムベースの酸化及び/又はガムベースへの水難溶性の機能性成分吸着の防止方法。
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