しかしながら、このように特許文献1の技術を適用した技術では、表示手段の表示領域における位置の変更を行うためのトラックボールと、当該トラックボールによって指定された位置を確定する際に操作されるスイッチとが分離されていたため、指定位置の移動を行った後に、引き続き上記スイッチを操作する際には、トラックボールから指を一旦離してから上記スイッチに指を移動させる必要があり、操作性が必ずしもよいとは言えない、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することのできる位置指定装置及び電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の位置指定装置は、表示手段の表示領域における任意の位置を指定する位置指定装置であって、任意の方向への回転操作及び所定方向への押圧操作が可能に設けられた回転体、当該回転体に対する回転操作を検出すると共に、前記回転体が押圧操作されたときに当該回転体の表面から離間する回転検出手段、及び当該回転体に対する押圧操作を検出するための押圧検出手段を有する操作検出手段と、前記回転検出手段による前記回転体に対する回転操作の検出結果に基づいて前記表示手段の表示領域における指定位置を変更すると共に、前記押圧検出手段により前記回転体に対する押圧操作が検出された時点の前記指定位置が最終的な指定位置であるものとして確定する指定位置確定手段と、を備えている。
請求項1に記載の位置指定装置は、表示手段の表示領域における任意の位置を指定するものである。なお、上記表示手段には、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイが含まれる。すなわち、本発明に係る位置指定装置は、所謂ポインティング・デバイスに属するものである。
ここで、本発明の位置指定装置には、任意の方向への回転操作及び所定方向への押圧操作が可能に設けられた回転体を有する操作検出手段が備えられており、当該回転体に対する回転操作が、前記回転体が押圧操作されたときに当該回転体の表面から離間する回転検出手段により検出され、当該回転体に対する押圧操作が押圧検出手段により検出される。なお、上記回転体は前述のトラックボールに相当するものであり、上記回転検出手段には、回転体の回転に応動して回転する回転軸を備えた各種エンコーダが含まれ、上記押圧検出手段には、回転体の押圧方向への移動に応動して閉状態とされる各種スイッチが含まれる。
そして、本発明では、指定位置確定手段により、回転検出手段による回転体に対する回転操作の検出結果に基づいて表示手段の表示領域における指定位置が変更されると共に、押圧検出手段により回転体に対する押圧操作が検出された時点の上記指定位置が最終的な指定位置であるものとして確定される。
すなわち、本発明では、表示手段の表示領域における指定位置を変更するためのトラックボールに相当する回転体を備えることにより目標位置を指定する際の微調整を容易にすると共に、上記指定位置を確定するための押圧検出手段を上記回転体の押圧操作を検出するものとして備えることにより、当該回転体に対する操作のみによって指を離すことなく、指定位置の変更から確定に至る一連の作業を行うことができるようにしており、これらの結果として、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができるようにしている。
このように、請求項1に記載の位置指定装置によれば、任意の方向への回転操作及び所定方向への押圧操作が可能に設けられた回転体、当該回転体に対する回転操作を検出すると共に、前記回転体が押圧操作されたときに当該回転体の表面から離間する回転検出手段、及び当該回転体に対する押圧操作を検出するための押圧検出手段を有する操作検出手段を備え、かつ回転検出手段による回転体に対する回転操作の検出結果に基づいて表示手段の表示領域における指定位置を変更すると共に、押圧検出手段により回転体に対する押圧操作が検出された時点の指定位置が最終的な指定位置であるものとして確定しているので、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる。
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記回転検出手段により前記回転体の回転操作が検出されているときに前記表示手段の表示領域に前記指定位置を示すマークを表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段を更に備えることが好ましい。これによって、表示手段の表示領域における任意位置の指定を行っているときには上記マークを参照することによって、その時点で指定されている位置を容易に確認することができ、任意位置の指定を行っていないときには上記マークが表示領域に表示されないので当該表示領域に表示された画像を参照しやすくすることができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記表示制御手段は、前記回転体の回転操作が停止されてから所定期間経過するまで前記マークの表示領域への表示を維持することが好ましい。これによって、回転体の操作者に対して、回転体に対する回転操作を行わない状態での指定位置の確認を行うための時間を設けることができ、より操作性を向上させることができる。
更に、請求項2又は請求項3に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記表示手段の未使用時に前記表示制御手段による制御を禁止する禁止手段を更に備えることが好ましい。これによって、表示制御手段による不必要な制御の実行を回避することができ、制御上の負荷を軽減することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項5記載の電子機器は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の位置指定装置と前記表示手段を有する電子機器であって、撮像により被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像情報により示される被写体像を前記表示手段の表示領域に表示するように当該表示手段を制御すると共に、前記表示領域に表示された被写体像に対するズーミングを前記位置指定装置により確定された指定位置を中心として行うための制御を行う制御手段と、を備えている。
請求項5に記載の電子機器には、本発明の位置指定装置と表示手段とが備えられている。従って、本発明においても、本発明の位置指定装置と同様に、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる。
ここで、本発明では、撮像手段による撮像により被写体像を示す画像情報が取得され、制御手段により、取得された画像情報により示される被写体像が表示手段の表示領域に表示されるように当該表示手段が制御されると共に、表示領域に表示された被写体像に対するズーミングを上記位置指定装置により確定された指定位置を中心として行うための制御が行われる。従って、本発明では、表示手段の表示領域に表示された被写体像における任意位置を中心としたズーミングを、高い操作性で行うことができる。
なお、上記撮像手段には、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の固体撮像素子が含まれる。
このように、請求項5に記載の電子機器によれば、本発明の位置指定装置と表示手段を備えているので、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができると共に、表示手段の表示領域に表示された被写体像をズーミングする際の中心位置の指定を本発明の位置指定装置で行うようにしたので、当該被写体像における任意位置を中心としたズーミングを、高い操作性で行うことができる。
なお、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記位置指定装置における回転体の近傍に所定方向への押圧操作が可能に設けられた操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記ズーミングを行うための制御を、前記操作手段に対する操作に応じて行うことが好ましい。このように、本発明のズーミングを、当該ズーミングの中心位置を指定ないし確定するために操作される回転体の近傍に設けた操作手段に応じて行うことにより、より快適なズーミング操作が実現できる。
また、上記目的を達成するために、請求項7記載の電子機器は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の位置指定装置と前記表示手段を有する電子機器であって、撮像により被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像情報により示される被写体像を前記表示手段の表示領域に表示するように当該表示手段を制御すると共に、前記位置指定装置により確定された指定位置を合焦対象とする位置として前記被写体像に対する合焦制御を行う制御手段と、を備えている。
請求項7に記載の電子機器には、本発明の位置指定装置と表示手段とが備えられている。従って、本発明においても、本発明の位置指定装置と同様に、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる。
ここで、本発明では、撮像手段による撮像により被写体像を示す画像情報が取得され、制御手段により、取得された画像情報により示される被写体像が表示手段の表示領域に表示されるように当該表示手段が制御されると共に、本発明の位置指定装置により確定された指定位置を合焦対象とする位置として上記被写体像に対する合焦制御が行われる。従って、本発明では、表示手段の表示領域に表示された被写体像における合焦対象とする位置の指定を、高い操作性で行うことができる。
なお、上記撮像手段には、CCD、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子が含まれる。
このように、請求項7に記載の電子機器によれば、本発明の位置指定装置と表示手段を備えているので、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができると共に、表示手段の表示領域に表示された被写体像の合焦対象とする位置の指定を本発明の位置指定装置で行うようにしたので、当該位置の指定を高い操作性で行うことができる。
更に、上記目的を達成するために、請求項8記載の電子機器は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の位置指定装置と前記表示手段を有する電子機器であって、撮像により被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、前記位置指定装置における回転体の近傍に所定方向への押圧操作が可能に設けられた操作手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像情報により示される被写体像を前記表示手段の表示領域に表示するように当該表示手段を制御すると共に、前記回転体及び前記操作手段の各々に対する押圧操作が同時に、又は連続して行われたときに前記被写体像の撮像に関する予め定められた制御を行う制御手段と、を備えている。
請求項8に記載の電子機器には、本発明の位置指定装置と表示手段とが備えられている。従って、本発明においても、本発明の位置指定装置と同様に、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる。
また、本発明では、撮像手段による撮像により被写体像を示す画像情報が取得される。なお、上記撮像手段には、CCD、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子が含まれる。
ここで、本発明に係る電子機器には、上記位置指定装置における回転体の近傍に所定方向への押圧操作が可能に設けられた操作手段が備えられており、制御手段により、撮像手段によって取得された画像情報により示される被写体像が表示手段の表示領域に表示されるように当該表示手段が制御されると共に、上記回転体及び上記操作手段の各々に対する押圧操作が同時に、又は連続して行われたときに上記被写体像の撮像に関する予め定められた制御が行われる。従って、本発明では、表示手段の表示領域に表示された被写体像の撮像に関する予め定められた制御を、高い操作性で行うことができる。
このように、請求項8に記載の電子機器によれば、本発明の位置指定装置と表示手段を備えているので、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができると共に、表示手段の表示領域に表示された被写体像の撮像に関する予め定められた制御を、本発明の位置指定装置における回転体と当該回転体の近傍に設けた操作手段の各々に対する押圧操作を同時に、又は連続して行うことにより実行するようにしたので、当該制御を高い操作性で行うことができる。
なお、本発明は、請求項9に記載の発明のように、前記回転体の近傍に前記操作手段を複数備え、前記制御手段は、前記操作手段の種類毎に予め定められた制御を行うことが好ましい。これによって、複数種類の制御を高い操作性で行うことができるようになる。
更に、本発明の電子機器は、請求項10に記載の発明のように、前記位置指定装置の回転体を、前記電子機器を把持した状態で親指で操作可能な位置に配置することが好ましい。これによって、より高い操作性を実現することができる。
本発明に係る位置指定装置及び電子機器によれば、任意の方向への回転操作及び所定方向への押圧操作が可能に設けられた回転体、当該回転体に対する回転操作を検出するための回転検出手段、及び当該回転体に対する押圧操作を検出するための押圧検出手段を有する操作検出手段を備え、かつ回転検出手段による回転体に対する回転操作の検出結果に基づいて表示手段の表示領域における指定位置を変更すると共に、押圧検出手段により回転体に対する押圧操作が検出された時点の指定位置が最終的な指定位置であるものとして確定しているので、表示手段の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明を適用したデジタルカメラ10の外観上の構成を説明する。
図1(A)に示すように、このデジタルカメラ10の正面には、撮影する被写体の構図を決定するために用いられるファインダ20と、被写体像を結像させるためのレンズ21と、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズボタン(所謂シャッター)56Aと、が備えられている。
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10のレリーズボタン56Aは、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が、内蔵された2つのスイッチにより検出可能に構成されている。
そして、デジタルカメラ10では、レリーズボタン56Aを半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光(撮影)が行われる。
一方、図1(B)に示すように、デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ20の接眼部と、撮影された被写体像やメニュー画面等の各種情報を表示するための液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)38と、が備えられている。
また、デジタルカメラ10の背面には、撮影を行うモードである撮影モード及び被写体像をLCD38に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際にスライド操作されるモード切替スイッチ56Bと、LCD38にメニュー画面を表示する際に押圧操作されるメニューキー56Cと、LCD38における表示内容を決定する際に押圧操作される決定キー56Dと、LCD38の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キーにより構成された十字カーソルキー56Eと、が更に備えられている。
一方、デジタルカメラ10には、トラックボール装置60が装備されている。そして、デジタルカメラ10の背面壁10Bには、トラックボール装置60に設けられた後述するトラックボール62の一部を外部に露出させるための開口10Cが形成されている。従って、ユーザは、開口10Cを介して外部に露出されたトラックボール62の一部を指先にてデジタルカメラ10の正面方向に押圧したり、トラックボール62を回転させたりすることができる。
ここで、開口10Cは、十字カーソルキー56Eを構成する4つの矢印キーの近傍で、かつ当該4つの矢印キーの中心位置に中心が略一致するように形成されており、トラックボール62は当該4つの矢印キーの略中心位置に一部が露出された状態で設けられている。従って、ユーザは、トラックボール62に対する操作と、十字カーソルキー56Eに対する操作を同一の指で行うことができるため、これらに対する連続した操作又は同時の操作を行う際の操作性が極めて高い。
また、十字カーソルキー56Eを構成する4つの矢印キーとトラックボール62は、ユーザがデジタルカメラ10を把持した状態で当該ユーザの親指で操作可能な位置(デジタルカメラ10の背面視右上の位置)に配置されている。これにより、デジタルカメラ10を把持した状態での十字カーソルキー56E及びトラックボール62に対する操作性を向上するようにしている。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るトラックボール装置60の構成を詳細に説明する。
図2(A)に示すように、本実施の形態に係るトラックボール装置60は、前述したトラックボール62と、エンコーダ機構64と、マイクロスイッチ66と、板バネ68と、を備えている。
トラックボール62は、或る程度重量感を持たせた球状の回転体であり、背面壁10Bに形成された開口10Cを介して球面の一部が露出した状態で全方向に回転操作可能かつ押圧操作可能に設けられている。なお、トラックボール62の表面の材質としてはゴムが用いられており、エンコーダ機構64の後述するローラ64Aとの摩擦係数を増加させている。
エンコーダ機構64は、トラックボール62の表面に当接する円柱状のローラ64Aと、トラックボール62の直交する2方向(X方向、Y方向)の移動量に応じたパルス信号を出力する回転量検出部64Bと、を有する2組のエンコーダ65A、65Bを備えている。
ローラ64Aは、軸部分の材質が、例えばプラスチックからなり、トラックボール62との摩擦で容易に回転可能とされている。なお、ローラ64Aの軸の長さは、トラックボール62の径に合うように調整されている。また、回転量検出部64Bは、ローラ64Aの回転量に応じたパルス信号を出力するものとして構成されている。従って、回転量検出部64Bから出力されたパルス信号に基づいてトラックボール62の回転量(移動量)を検出することができる。
一方、トラックボール装置60には、トラックボール62の表面積の半分を越えた部分を囲むことによってトラックボール62を保持すると共に、トラックボール62が外部から押圧されたときにトラックボール62と共に当該押圧の方向と同一の方向に移動される保持部材70が備えられている。
保持部材70は、トラックボール62を保持する面が当該トラックボール62の被保持面と略同一サイズで略同形状(一部球状)のものとされている。そして、保持部材70のトラックボール62保持側の面(内面)には、トラックボール62と保持部材70との間の摩擦力を低下させるための化学繊維で構成された摩擦低下部材70Aが貼り付けられている。
また、保持部材70の図2における上端位置及び下端位置には、それぞれ保持部材70の移動方向をデジタルカメラ10の正面方向(図2(A)矢印A方向)に規制する規制壁72A、72Bが設けられている。
従って、本実施の形態に係るトラックボール装置60では、トラックボール62が押圧されると、トラックボール62及び保持部材70は移動方向が規制壁72A、72Bに規制されて図2(A)矢印A方向に一体的に移動され、図2(B)に示す状態となるが、このとき、エンコーダ65A及びエンコーダ65Bは、トラックボール62の表面から離間するように、一端部が背面壁10Bに固定された支持部材64Cによって固定的に位置決めされている。
一方、マイクロスイッチ66は、トラックボール62が押圧操作されたか否かを検出するためのものである。マイクロスイッチ66は、トラックボール62が押圧操作され、保持部材70を介して作動片66Aが押圧されたときにオンし、トラックボール62が押圧操作された旨を示す信号(以下、「押圧信号」という。)を出力し、トラックボール62が通常位置(図2(A)の位置)にあるときにはオフするようにプリント配線板80上に実装されている。
また、板バネ68は、トラックボール62への押圧操作が解除されたときに当該押圧操作に応じて移動した保持部材70を元の位置に復帰させる方向に付勢力を与えるためのものであり、一端部がプリント配線板80に取付けられ、他端部が保持部材70の外壁に当接するように配設されている。
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気的な構成について説明する。
同図に示されるように、デジタルカメラ10は、前述のレンズ21を含んで構成された光学ユニット22と、レンズ21の光軸後方に配設された電荷結合素子(以下、「CCD」という。)24と、を含んで構成されている。
また、デジタルカメラ10は、被写体像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給する表示制御部14と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)11を含んで構成された制御部12と、可搬型の記録メディア18をデジタルカメラ10でアクセス可能とするためのメモリ制御部16と、デジタルカメラ10において実行される各種プログラムやテーブル等が記憶されたROM及び撮影により得られたデジタル画像データ等を記憶するRAMを備えた記憶部26と、を含んで構成されている。なお、本実施の形態のデジタルカメラ10では、記録メディア18としてスマートメディア(Smart Media(R))が用いられている。
上記表示制御部14、CCD24、メモリ制御部16及び記憶部26は、それぞれ制御部12に接続されている。したがって、制御部12のCPU11は、LCD38に対する表示制御部14を介した各種情報の表示、CCD24による被写体像を示す画像情報の取得、記録メディア18へのメモリ制御部16を介したアクセス、及び記憶部26のROMやRAMへのアクセスを各々行うことができる。
なお、制御部12には、上記CPU11の他、CCD24から入力された被写体像を示すアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行った後、デジタルデータに変換し、さらに、当該デジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行う信号処理部(図示省略)が含まれる。
また、デジタルカメラ10は、エンコーダ65Aの回転量検出部64Bにおけるパルス信号を出力する出力端に接続されたX方向移動量検出部28と、エンコーダ65Bの回転量検出部64Bにおけるパルス信号を出力する出力端に接続されたY方向移動量検出部30と、トラックボール装置60のマイクロスイッチ66に接続されたトラックボール押圧検出部32と、を含んで構成されている。
X方向移動量検出部28では、接続された回転量検出部64Bから入力されたパルス信号に基づいてトラックボール62のX方向に対する所定時間当たりの回転量を検出し、当該回転量を示す検出信号を出力する。同様に、Y方向移動量検出部30では、接続された回転量検出部64Bから入力されたパルス信号に基づいてトラックボール62のY方向に対する所定時間当たりの回転量を検出し、当該回転量を示す検出信号を出力する。更に、トラックボール押圧検出部32では、マイクロスイッチ66のオン/オフの状態に応じた検出信号を出力する。
X方向移動量検出部28、Y方向移動量検出部30及びトラックボール押圧検出部32は、それぞれ制御部12に接続されており、制御部12のCPU11はトラックボール装置60のトラックボール62に対する回転操作及び押圧操作の各操作状態を常時把握できる。そして、CPU11では、トラックボール62に対する回転操作に応じてLCD38の表示領域に対するカーソルマーク50(図1(B)も参照)の表示位置を変更させると共に、トラックボール62に対する押圧操作が行われた時点のLCD38上のカーソルマーク50により示される位置が最終的な指定位置であるものとして確定されたものと判断する。
さらに、デジタルカメラ10は、決定キー56Dが押圧操作されることによりオン状態とされるスイッチSW3と、メニューキー56Cが押圧操作されることによりオン状態とされるスイッチSW4と、スイッチSW3に接続された決定キー押圧検出部38と、スイッチSW4に接続されたメニューキー押圧検出部40と、を含んで構成されている。
これら決定キー押圧検出部38及びメニューキー押圧検出部40は、接続されたスイッチのオン/オフの状態に応じた検出信号をそれぞれ出力する。
また、デジタルカメラ10は、十字カーソルキー56Eを構成する4つの矢印キーに対する操作状態に応じた検出信号を出力する十字カーソルキー操作状態検出部36と、モード切替スイッチ56Bに対する操作状態に応じた検出信号を出力するモード切替スイッチ操作状態検出部42と、上記レリーズボタン56Aが半押し状態とされた場合にオンするスイッチSW5と、レリーズボタン56Aが全押し状態とされた場合にオンするスイッチSW6と、スイッチSW5及びスイッチSW6に接続され、これらのスイッチのオン/オフの状態に応じた検出信号を出力するレリーズ検出部44と、を含んで構成されている。
十字カーソルキー操作状態検出部36、決定キー押圧検出部38、メニューキー押圧検出部40、モード切替スイッチ操作状態検出部42及びレリーズ検出部44はそれぞれ制御部12に接続されており、制御部12のCPU11は、これら各検出部に接続されたスイッチのオン/オフ状態を常時把握できる。
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時における全体的な動作について簡単に説明する。
まず、CCD24は、光学ユニット22を介した撮像を行い、被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)毎のアナログ信号を制御部12に順次出力する。
制御部12では、内蔵された不図示の信号処理部により、CCD24から入力されたアナログ信号に対して相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を施した後にデジタル画像データに変換(A/D変換)し、更に、当該デジタル画像データに対してホワイトバランス調整、ガンマ処理、シャープネス処理、YC信号処理等のデジタル信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成した後に、該YC信号を記憶部26のRAMに順次出力する。
なお、LCD38は、CCD24による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができるものとして構成されており、LCD38をファインダとして使用する場合にCPU11は、生成したYC信号を、表示制御部14を介して順次LCD38に出力する。これによってLCD38にスルー画像が表示されることになる。
ここで、レリーズボタン56Aがユーザによって半押し状態とされた場合、前述のようにAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態とされた場合、制御部12のCPU11は、この時点で記憶部26のRAMに格納されているYC信号を所定の圧縮形式(本実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後にメモリ制御部16を介して記録メディア18に電子化ファイル(画像ファイル)として記録する。
ところで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、ユーザによって再生モードが設定され、撮影により記録メディア18に記録された画像ファイルによって示される被写体像をLCD38に表示(再生)した際には、当該被写体像を電子的に拡大ないし縮小する(ズーミングする)ことのできる電子ズーム機能が搭載されている。なお、当該電子ズーム機能はデジタルズーム機能とも呼ばれているものであり、近年のデジタルカメラの多くに搭載されている機能である。
次に、当該電子ズーム機能を働かせる際にデジタルカメラ10において実行される電子ズーム処理について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は、このとき制御部12のCPU11において実行される電子ズーム処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、該プログラムは記憶部26のROMに予め記憶されている。
まず、同図のステップ100では、この時点でLCD38が使用されているか否かを判定し、否定判定となった場合は本電子ズーム処理プログラムを終了し、肯定判定となった場合にはステップ102に移行する。本ステップ100の処理が本発明の禁止手段に相当する。
ステップ102では、LCD38の表示領域における任意の位置の指定入力を行なう指定位置特定処理を実行する。以下、図5を参照して、本実施の形態に係る指定位置特定処理を説明する。なお、図5は、当該処理を実行するときにCPU11において実行される
指定位置特定処理プログラム(サブルーチン)の処理の流れを示すフローチャートであり、該プログラムも記憶部26のROMに予め記憶されている。
同図のステップ200では、ユーザによってトラックボール62が回転操作されるまで待機し、次のステップ202では、LCD38の表示領域における所定位置(本実施の形態では、当該表示領域の中心の位置)へのカーソルマーク50の表示を開始するように、表示制御部14を介してLCD38を制御する。これにより、一例として図6に示すように、LCD38の表示領域における中心位置へのカーソルマーク50の表示が開始される。
次のステップ204では、X方向移動量検出部28及びY方向移動量検出部30から入力されている検出信号の状態に基づいてトラックボール62に対する回転操作が行なわれたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ206に移行して、当該検出信号に基づいてトラックボール62に対する操作方向及び操作量を導出し、次のステップ208にて、導出した操作方向に、導出した操作量に応じた距離だけ、LCD38の表示領域におけるカーソルマーク50の表示位置を変更するようにLCD38を制御し、その後に上記ステップ204に戻る。
一方、上記ステップ204において否定判定となった場合はステップ210に移行し、トラックボール押圧検出部32から入力された検出信号の状態に基づいてトラックボール62に対する押圧操作が行なわれたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ212に移行する。
ステップ212では、その時点でカーソルマーク50により示されるLCD38の表示領域における位置を、最終的な指定位置であるものとして確定して当該位置を示す情報(以下、「確定位置情報」という。)を記憶部26のRAMの所定領域に記憶し、次のステップ214にて、カーソルマーク50の表示を停止させた後に本指定位置特定処理プログラムを終了する。
一方、上記ステップ210において否定判定となった場合はステップ216に移行し、トラックボール62が最後に回転操作された時点からの経過期間が所定期間(本実施の形態では、10秒間)に達したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ218に移行してカーソルマーク50の表示を停止させた後に上記ステップ204に戻り、否定判定となった場合には、上記ステップ218の処理を実行することなく上記ステップ204に戻る。
以上のステップ204〜ステップ218の繰り返し処理により、ユーザによってトラックボール62が回転操作されている間は当該回転操作に応じた方向及び量でカーソルマーク50のLCD38上の表示位置が変更され、トラックボール62が押圧操作されることにより、その時点で表示されているカーソルマーク50によって示されるLCD38上の位置が最終的な指定位置であるものとして確定される。また、トラックボール62に対する回転操作が停止されてから所定期間経過するまではカーソルマーク50のLCD38への表示を維持し、当該所定期間経過後にはカーソルマーク50が消去されることになる。
以上の指定位置特定処理プログラムが終了すると電子ズーム処理プログラム(図4参照。)のステップ104に移行して十字カーソルキー56Eの上矢印キーが押圧操作されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はLCD38の表示領域に表示されている被写体像の拡大が指定されたものと見なしてステップ106に移行し、当該被写体像を示すデジタル画像データを、当該画像データにより示される被写体像が上記確定位置情報により示される位置を中心として所定倍率(本実施の形態では0.1倍)だけ拡大されるように既知の手法により補正し、その後にステップ108に移行し補正後のデジタル画像データを用いて被写体像を表示するようにLCD38を制御した後、上記ステップ104に戻る。
一方、上記ステップ104において否定判定となった場合にはステップ110に移行して十字カーソルキー56Eの下矢印キーが押圧操作されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はLCD38の表示領域に表示されている被写体像の縮小が指定されたものと見なしてステップ112に移行し、当該被写体像を示すデジタル画像データを、当該画像データにより示される被写体像が上記確定位置情報により示される位置を中心として所定倍率(本実施の形態では0.1倍)だけ縮小されるように既知の手法により補正し、その後にステップ114に移行して補正後のデジタル画像データを用いて被写体像を表示するようにLCD38を制御した後、上記ステップ114に戻る。
一方、上記ステップ110において否定判定となった場合にはステップ116に移行し、十字カーソルキー56Eの上矢印キー及び下矢印キー以外のキーが押圧操作されたか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ104に戻り、肯定判定となった場合には本電子ズーム処理プログラムを終了する。
上記ステップ104〜ステップ116の繰り返し処理により、十字カーソルキー56Eの上矢印キーが押圧操作されている間はLCD38によって表示されている被写体像が所定倍率ずつ拡大され、十字カーソルキー56Eの下矢印キーが押圧操作されている間はLCD38によって表示されている被写体像が所定倍率ずつ縮小される。そして、上矢印キー及び下矢印キー以外のキーが押圧操作されたことを以て電子ズーム処理が終了される。
ところで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、前述したAF機能が働いて合焦制御を行なう際の合焦対象とする被写体上の位置の指定も、トラックボール62に対する操作によって行なうことができるように構成されている。そして、この際の合焦対象とする位置の指定時にも、前述した指定位置特定処理プログラム(図5参照。)がCPU11により実行されて当該位置の指定が行なわれる。なお、合焦対象とする位置の指定後の合焦制御は従来既知の手法を適用して行われるため、ここでの説明は省略する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、任意の方向への回転操作及び所定方向への押圧操作が可能に設けられたトラックボール62、当該トラックボール62に対する回転操作を検出するためのエンコーダ65A、65B、及び当該トラックボール62に対する押圧操作を検出するためのマイクロスイッチ66を有するトラックボール装置60を備え、かつエンコーダ65A、65Bによるトラックボール62に対する回転操作の検出結果に基づいてLCD38の表示領域における指定位置を変更すると共に、マイクロスイッチ66によりトラックボール62に対する押圧操作が検出された時点の指定位置が最終的な指定位置であるものとして確定しているので、LCD38の表示領域における任意の位置を高い操作性で指定することができる。
また、本実施の形態によれば、エンコーダ65A、65Bによりトラックボール62の回転操作が検出されているときにLCD38の表示領域に上記指定位置を示すカーソルマーク50を表示するようにLCD38を制御しているので、LCD38の表示領域における任意位置の指定を行っているときにはカーソルマーク50を参照することによって、その時点で指定されている位置を容易に確認することができ、任意位置の指定を行っていないときにはカーソルマーク50が表示領域に表示されないので当該表示領域に表示された画像を参照しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、トラックボール62の回転操作が停止されてから所定期間経過するまでカーソルマーク50の表示領域への表示を維持しているので、トラックボール62の操作者に対して、トラックボール62に対する回転操作を行わない状態での指定位置の確認を行うための時間を設けることができ、より操作性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、LCD38の未使用時に指定位置特定処理(図5参照。)を禁止しているので、不必要な制御の実行を回避することができ、制御上の負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態によれば、LCD38の表示領域に表示された被写体像をズーミングする際の中心位置の指定をトラックボール装置60で行うようにしたので、当該被写体像における任意位置を中心としたズーミングを、高い操作性で行うことができる。
また、本実施の形態によれば、トラックボール装置60におけるトラックボール62の近傍に所定方向への押圧操作が可能に設けられた十字カーソルキー56Eを設け、上記ズーミングを行うための制御を、十字カーソルキー56Eに対する操作に応じて行っているので、より快適なズーミング操作が実現できる。
また、本実施の形態によれば、LCD38の表示領域に表示された被写体像の合焦対象とする位置の指定をトラックボール装置60で行うようにしたので、当該位置の指定を高い操作性で行うことができる。
また、本実施の形態によれば、LCD38の表示領域に表示された被写体像に関する予め定められた制御(ここでは、ズーミングの制御)を、トラックボール装置60におけるトラックボール62と当該トラックボール62の近傍に設けた十字カーソルキー56Eの各々に対する押圧操作を連続して行うことにより実行するようにしたので、当該制御を高い操作性で行うことができる。
更に、本実施の形態によれば、トラックボール装置60のトラックボール62を、デジタルカメラ10を把持した状態で親指で操作可能な位置に配置しているので、より高い操作性を実現することができる。
なお、本実施の形態では、トラックボール62の押圧操作と十字カーソルキー56Eとの間の押圧操作の組み合わせの一例として、トラックボール62に対する押圧操作に引き続いて十字カーソルキー56Eの上矢印キー及び下矢印キーが押圧操作されたときにズーミングを実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、他の矢印キーに対する押圧操作をトラックボール62に対する押圧操作と組み合わせる形態とすることもできる。
図7には、当該形態において制御部12のCPU11により所定期間(ここでは、0.1秒)毎に実行される組合せ操作処理プログラムの処理の流れの一例が示されている。
すなわち、同図に示される例では、ステップ300で、トラックボール押圧検出部32から入力された検出信号の状態に基づいてトラックボール62に対する押圧操作が行なわれたか否かを判定し、否定判定となった場合は本プログラムを終了し、肯定判定となった場合にはステップ302に移行する。
ステップ302では、十字カーソルキー操作状態検出部36から入力された検出信号に基づいて十字カーソルキー56Eの左矢印キーが押圧操作されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ304に移行してユーザによる直前の設定をキャンセルし、その後に本プログラムを終了する。
一方、上記ステップ302において否定判定となった場合にはステップ306に移行し、十字カーソルキー操作状態検出部36から入力された検出信号に基づいて十字カーソルキー56Eの右矢印キーが押圧操作されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ308に移行して直前の連写によって得られたデジタル画像データによる被写体像の再生を行ない、その後に本プログラムを終了する。また、上記ステップ306において否定判定となった場合には、何れの制御も行なうことなく本プログラムを終了する。
この場合は、十字カーソルキー56Eを構成する矢印キーの種類毎に予め定められた制御(図7に示す例では、直前の設定のキャンセルの制御、連写画像の再生の制御)を行うことができ、これによって、複数種類の制御が高い操作性で行うことができるようになる。
なお、図7に示した例では、トラックボール62に対する押圧操作に連続して矢印キーが押圧操作された場合に予め定められた制御を行なう場合について説明したが、これに限らず、トラックボール62に対する押圧操作と矢印キーに対する押圧操作が同時に行われた場合に予め定められた制御を行なう形態とすることもできることは言うまでもない。
また、本実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明は、PDA、携帯電話機等の表示手段を備えたものであれば、あらゆる電子機器に適用することができる。
また、本実施の形態で説明した各種処理プログラム(図4、図5、図7参照。)の処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
更に、本実施の形態で説明したデジタルカメラ10の構成(図1〜図3参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。