上記課題を解決するために本発明のパチンコ遊技機の第1は、遊技玉が打ち出される遊技領域を形成する遊技盤を備え、該遊技領域には、複数のゲートと、それらゲートを通過した遊技玉を受け入れる受け入れ部が外周に沿った複数箇所に形成されるとともに自身を貫く軸線の周りに回転可能な回転体とが配置され、回転体の受け入れ部は、遊技玉を特別入賞口に案内可能な当たり受け入れ部と、案内不能な複数のハズレ受け入れ部とを包含し、回転体が回転停止状態において、一のゲートを通過した遊技玉と、他のゲートを通過した遊技玉とが区別されて、互いに異なる受け入れ部に案内されるように、それらゲートと回転体との間の遊技玉通路が形成されるとともに、回転体が軸線周りにおける特定の回転角度姿勢を保持しているときに、ゲートを通過した遊技玉が当たり受け入れ部を通じて特別入賞口に入賞可能になっており、さらに、ゲートを通過して回転体に向かう遊技玉を検知する検知手段が各ゲートに対応して設けられ、検知手段によるゲートへの遊技玉の通過検知後、特別入賞口に遊技玉が入賞しなければ、回転体の回転角度姿勢を切り換える制御を行う一方、特別入賞口に遊技玉が入賞すれば、回転体の回転角度姿勢を継続して保持する制御を行うことで、次に遊技玉がゲートのいずれかを通過するまで、回転体が静止して保持するべき回転角度姿勢を決定する遊技制御装置を備えたことを主要な特徴とする。
上記本発明のパチンコ遊技機において、ゲートを通過した遊技玉は回転体に向かうこととなる。どの受け入れ部に入るかは通過したゲート(入賞ゲート)の位置と、回転体の回転角度姿勢とによって決まる。つまり、回転体が特定の回転角度姿勢で静止しているときに、特別入賞口への入賞が可能となる。一方、遊技玉がゲートを通過するたびに、その通過の検知結果と、特別入賞口への遊技玉の入賞の有無とに応じて回転角度姿勢を変化する。つまり、回転体の回転角度姿勢の変化が非周期的になり、回転体の動きが多彩化する。特別入賞口への入賞の困難性に変化を付与することが可能となり、パチンコ遊技機の遊技性の向上に寄与する。
好適な態様において、上記した回転体の回転角度姿勢を一の姿勢から他の姿勢に切り換えるためのアクチュエータを設けることができる。そして、回転体は、アクチュエータの非作動に基づき、ゲートを通過した遊技玉が受け入れ部に収容されるように軸線周りの回転角度姿勢が保持される一方、遊技制御装置は、検知手段によるゲートへの遊技玉の通過検知後、特別入賞口に遊技玉が入賞しなければ、回転体の回転角度姿勢を切り換え、特別入賞口に遊技玉が入賞すれば、回転体の回転角度姿勢を継続して保持する、のどちらかを決定し、その決定に基づいてアクチュエータの駆動制御を行うように構成されたものとすることができる。回転体の回転角度姿勢は、モータ等のアクチュエータを用いて制御するとよい。特に、サーボアクチュエータやステッピングアクチュエータの使用が精度の観点において望ましい。そして、遊技玉がゲートを通過した場合であっても、回転角度姿勢を保持するパターンを設定したりすれば、回転体の動きにより大きな変化を与えることができる。
さらに、上記した回転体は、形成された受け入れ部の数と一致するパターン数の回転角度姿勢で静止するとともに、その回転角度姿勢の切り換わりに応じて、ゲートと受け入れ部との対応関係が切り換わるように構成されることが望ましい。このようにすれば、アクチュエータの動作制御も比較的容易である。
また、ゲートを通過した遊技玉が特別入賞口に入賞した場合に、そのときの回転体の回転角度姿勢を保持する決定がなされるように構成することができる。一方、ゲートを通過した遊技玉がハズレ受け入れ部に入った場合には、回転体の回転角度姿勢を変更する決定がなされ、さらにその場合には、いずれのゲートを通過したかに応じてアクチュエータの駆動制御が行なわれるように構成することができる。つまり、特別入賞口に遊技玉が連続で入りつづける限り回転体が回転しない。すると遊技者は、連続して特別入賞口への入賞が得られるように遊技を行なうので、新たな遊技性の発生も期待できる。
より具体的には、遊技玉が通過したゲートに応じて、回転体の回転方向が定められ、定められた回転方向に一定角度変位するようにアクチュエータの駆動制御が行なわれるようにするとよい。このような構成によれば、特定のゲートを狙い打つことにより、所望の方向に回転体を回転させることができるので、遊技性の向上を期待できる。
当たり受け入れ部は回転体が特定の回転角度姿勢となった場合に、受け入れた遊技玉を特別入賞口に案内するように設けられる一方、ハズレ受け入れ部は受け入れた遊技玉を貯留して、特別入賞口に進むことを阻止するように設けられており、回転体の回転角度姿勢の切り換わりによって、当該ハズレ受け入れ部とハズレ口とが連通して、貯留された遊技玉が自重によりハズレ口に進む構成となっている。このような構成によれば、遊技玉の動きにも変化を付与することが可能となり、遊技性の向上に寄与する。
なお、回転体としては、円盤状の形態を有し、かつ受け入れ部が周方向に沿う複数箇所に等角度間隔で形成された凹部であり、回転角度姿勢の制御容易性等の観点において好適である。また、回転軸線が遊技盤の盤面に垂直となる配置とするのがよい。
また、本発明のパチンコ遊技機の第2は、特別入賞口と、外周に沿った複数箇所に遊技玉を受け入れる凹部が形成されるとともに自身を貫く軸線の周りに回転可能な回転体とを備え、回転体の凹部は遊技玉を特別入賞口に案内可能な当たり凹部と、案内不能な複数のハズレ凹部とを包含し、それら凹部に遊技玉が嵌った状態に応じて軸線周りにおける回転体の回転角度姿勢が変化し、さらに特定の回転角度姿勢となった場合に、特別入賞口と当たり凹部とが連通して特別入賞口に遊技玉が入賞するように構成されたことを主要な特徴とする。
また、本発明のパチンコ遊技機の第3は、複数の入賞ゲートと、この複数の入賞ゲートとは異なる特別入賞口と、遊技玉を受け入れて特別入賞口に案内可能な案内体と、案内体の動作制御を行う制御手段とを備え、特別入賞口は、案内体が特定の動作姿勢を保持しているときに入賞が可能となり、制御手段は、入賞ゲートへの入賞後、特別入賞口に遊技玉が入賞しなければ案内体の動作姿勢を切り換える制御を行う一方、特別入賞口に遊技玉が入賞すれば案内体の動作姿勢を継続して保持する制御を行うことで、次に入賞ゲートのいずれかに入賞するまで動作姿勢を静止して保持する動作制御を行うことを主要な特徴とする。
上記本発明のパチンコ遊技機においては、ゲートを通過した遊技玉は案内体に向かうこととなる。案内体が特定の動作姿勢(位置および姿勢)を保持しているときに、特別入賞口への入賞が可能となる。一方、案内体は入賞ゲートへの入賞に基づいてその動作姿勢を変更される。したがって、案内体の動作姿勢の変化が次々と変化し、案内体の動きが多彩化する。これにより、特別入賞口への入賞の困難性に変化を付与することが可能となり、パチンコ遊技機の遊技性の向上に寄与する。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のパチンコ遊技機1の正面模式図である。パチンコ遊技機1は、台枠に取り付けられた正面ガラス扉5と、台枠の内側に配置されてガラス扉5によって覆われる遊技盤3を有する。遊技盤3は、円状の遊技領域を形成している。遊技盤3の下方には、玉供給皿6が設けられている。玉供給皿6に準備された遊技玉(パチンコ玉)は、ハンドル7等により構成される発射装置によって遊技盤3に向けて発射される。レールを通じて遊技盤3に達した遊技玉は、打玉発射口から飛び出し、遊技盤3に穿設された多数の釘に弾かれながら自重により落下するようになっている。
遊技盤3には、その中央付近に液晶表示部11(可変表示部)が配設されている。液晶の代わりに発光ダイオードを用いた表示装置や、リール式の表示装置も採用できる。液晶表示部11には、アラビア数字等のキャラクタが3つ(複数桁)表示される。液晶表示部11の下方には、スタートチャッカー17(スタート入賞口)が設けられている。スタートチャッカー17の下方には、大当たり(特賞ともいう)が発生することに応じて開放するアタッカー16と、アウト玉を回収するためのアウト玉回収口15が設けられている。アタッカー16は、可動扉が開閉する可変入賞装置として構成されている。
液晶表示部11の左側の遊技領域には、回転式役物装置14(単に役物装置ともいう)が配置されている。図3に回転式役物装置14の拡大正面図、そのIII-III断面図を図4に示す。図3および図4に示すように、回転式役物装置14は、左右2箇所のゲート24a,24b(いわゆるスルーゲート)と、それらゲート24a,24bの鉛直下方に配置された回転体22(回転式回転体)と、回転体22を覆うカバー21と、回転体22を駆動するためのモータ28と、当該回転式役物装置14を遊技盤3に着脱可能に取り付けるためのケーシング20とを備えている。モータ28の駆動軸27は、回転体22に直接または図示しない動力伝達機構を介して接続されており、モータ28を駆動することにより、回転体22を遊技盤3の盤面に垂直な軸線Oの周りに回転させることが可能になっている。モータ28が非作動状態においては、回転体22は駆動軸27に支持され、回転停止状態が保持される。
回転体22は、略円盤状の形態を有し、その外周に沿った複数箇所に凹部T1〜T10が形成されている。これらの凹部T1〜T10は、ゲート24a,24bを通過した遊技玉を収容するために形成されており、軸線Oに接近する方向に深く形成された当たり凹部T1と、それよりも浅く形成された複数のハズレ凹部T2〜T10とを包含する。当たり凹部T1は1箇所に限定されず、2箇所以上設けてもよい。当たり凹部T1は、たとえば図3のように、回転体22が軸線O周りにおける特定の回転角度姿勢となった場合に、ケーシング20を前方側から後方側に連通する特別入賞口26a,26bに遊技玉を案内可能な凹部である。他方、ハズレ凹部T2〜T10は、回転体22がどのような回転角度姿勢となっても、特別入賞口26a,26bに遊技玉を案内不能な凹部である。特別入賞口26a,26bは、回転体22が特定の回転角度姿勢となったときにのみ、回転体22の当たり凹部T1に連通して遊技玉が入賞可能となるように設けられた入賞口である。また、全ての凹部T1〜T10は、軸線Oの周りにおいて等角度間隔で形成されている。そのため、回転体22の回転角度姿勢の制御は、モータ28の駆動を制御することにより容易に行なえる。つまり、モータ28としては、エンコーダ等の検知手段を含むフィードバック系を備えたサーボモータや、ステッピングモータが好適である。
パチンコ遊技機1においては、遊技者に対峙する側を前方側(または前面側)、これと反対側を後方側(または背面側)と定義する。カバー21は、回転体22を前方側で覆う(囲う)ように配置されている。カバー21は透明または半透明な樹脂で構成された部材であり、ゲート24a,24bを通過した遊技玉が、回転体22のいずれの凹部T1〜T10に入ったかを視認することが可能になっている。カバー21は、軸線Oを挟んでゲート24a,24bの配置されている側(上側)とは反対側(下側)において、遊技玉が役物装置14から排出されるように開放している。つまり、カバー21は、ゲート24a,24bから役物装置14に入った遊技玉が凹部T1〜T10のいずれかに必ず入るように回転体22を囲んで、ゲート24a,24bと回転体22との間における遊技玉の通路を形成する一方で、一部の凹部(図3中に示す凹部T4〜T6)については覆っていない。そのため、ハズレ凹部T2〜T10に収容された遊技玉は、回転体22の変位に応じて、カバー21が途切れてできたハズレ口から役物装置14外に排出される。
回転体22は、常時回転しているわけではなく、一定の条件を満足した場合に回転する。ゲート24a,24bを通過した遊技玉は、回転停止状態の回転体22の凹部T1〜T10に収容される。回転体22が図3の回転角度姿勢で静止している場合には、当たり凹部T1と特別入賞口26b(あるいは26a)とが遊技盤3と垂直な方向で重なり合うので、その当たり凹部T1に収容された遊技玉は、特別入賞口26a,26bにスムーズに案内される。回転体22をやや後方側下りに傾斜させたり、各凹部の底を後方側下りに形成したりすれば、遊技玉がよりスムーズに特別入賞口26a,26bに案内されるので好適である。ハズレ凹部T2〜T10は、回転体22がどのような回転角度姿勢であっても、遊技玉が特別入賞口26a,26bに進むことを阻止し、遊技玉を一時的に貯留する。また、回転体22が回転停止状態では、左側のゲート24a(第1ゲートとする)を通過した遊技玉と、右側のゲート24b(第2ゲートとする)を通過した遊技玉とが、異なる凹部に収容されることになる。なお、本実施形態においては、回転体22の凹部T1〜T10の形成数をゲート24a,24bの数よりも多くしているが、たとえば両者の数を一致させてもよい。
図2に示すのは、パチンコ遊技機1の遊技制御装置300の構成を示すブロック図である。遊技制御装置300は、遊技盤3の背面側に配置されるものである。図2に示すように、パチンコ遊技機1の遊技制御装置300は、主制御基板100(主制御部)、表示制御基板105(表示制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)、払出制御基板108(賞球制御部)および発射制御基板109(発射制御部)を含むものとして構成されている。各基板が個別にCPUやメモリを備える構成が一般的であるが、図2では省略している。また、各基板には、電源回路部110にて生成された所定電圧の電力が供給される。
表示制御基板105は、主制御基板100より入力される表示制御信号に応じて、液晶表示部11に画像を表示させるための処理を実行する。音声制御基板106は、入力される音声制御信号に応じてスピーカ116より音声を出力させる。ランプ制御基板107は、入力されるランプ制御信号に応じてランプ類117の点滅を制御する。払出制御基板108は、入力される賞球信号に応じて払出装置118を制御する。これにより、遊技者に対して所定量の賞球が払い出される。発射制御基板109は、遊技者がハンドル7(操作部)を操作することに応じて、該ハンドル7に対応して設けられた発射装置119を作動させる。ハンドル7の操作量に応じて、玉の打出し強さ(玉の飛距離)を調節することが可能となっている。主制御基板100は、CPU50と、プログラム格納用のROM51と、ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられるRAM52と、入出力ポート53とを備えており、これらはバスを介して相互通信を行なうようになっている。
主制御基板100には、スタートチャッカー17に設けられたスタート入賞検知部170、アタッカー16に付設されたアタッカー入賞検知部160、第1ゲート24aに付設された第1ゲート通過検知部241、第2ゲート24bに付設された第2ゲート通過検知部242、左側の特別入賞口26a(第1特別入賞口とする)に付設された第1特別入賞検知部261、右側の特別入賞口26b(第2特別入賞口とする)に付設された第2特別入賞検知部262が電気的に接続されている。各検知部は、有接点式または無接点式のセンサ(スイッチ)により構成することができる。また、可変入賞装置として構成されているアタッカー16の開閉は、アタッカー用ソレノイド161の励磁/非励磁が切り換えられることにより行なわれる。同様に、回転体駆動用モータ28が主制御基板100に接続されている。ソレノイド161および/または回転体駆動用モータ28は図示しないドライブ回路等を介して主制御基板100に接続することができる。前述したように、回転体駆動用モータ28には、ステッピングモータを好適に採用できる。ステッピングモータを採用すれば、ドライブ回路(図示省略)に入力する駆動パルス数に応じて、回転体22の回転角度姿勢を容易かつ正確に制御できる。また、ドライブ回路(図示省略)への回転方向切換信号の入力により回転方向を切り換えることができる。
スタートチャッカー17、アタッカー16に玉が入賞すると、各入賞検知部170,160にて入賞検知信号が生成される。主制御基板100のCPU50は、スタート入賞検知部170からスタート入賞検知信号を取得して、その信号取得タイミング(入力タイミング)に応じて、所定の電気的処理を実行する。その電気的処理は、パチンコ遊技機1に大当たりを発生させるか否かを決定するための当否抽選処理、その当否抽選処理における抽選結果を液晶表示部11に導出表示するための表示処理を含む。
具体的には、大当たりを発生させるかどうかを決定するための当否抽選処理が実行される(CPU50:当否抽選手段)。当否抽選処理の結果を受けて、液晶表示部11に導出表示させるべき図柄が決定され、その決定に基づく表示制御信号(制御コマンド)が表示制御基板105に入力される。表示制御基板105は、入力された表示制御信号に応じて、液晶表示部11に図柄、背景等を表示させる。当否抽選処理により大当たりを発生させる旨の決定がなされた場合、液晶表示部11には、所定の変動時間を経て、大当たり図柄(たとえば「777」等のゾロ目)が導出表示されることとなる。同様に、音声出力やランプの点滅について各制御基板は、主制御基板100から送られてくる制御信号(制御コマンド)に基づいて制御を実行する。このような制御を行なうためのプログラムは、主制御基板100のROM51、各制御基板のROM(図示省略)に格納されている。
パチンコ遊技機1の遊技制御装置300(具体的には主制御基板100)においては、スタートチャッカー17に玉が入賞したタイミングに応じて乱数生成手段から乱数を取得し、その乱数が大当たり乱数に一致するか否かを判定することにより大当たりの当否抽選処理を実行している。具体的には、CPU50のタイマ割込み毎に更新される当否抽選用乱数カウンタが、乱数生成手段としてRAM52の所定領域(エリア)に設定され、そのカウンタから取得した乱数が、たとえば「7」等の大当たり乱数に一致する場合に大当たりである旨の判定がなされる。CPU50のタイマ割込みは、主制御基板100に設けられたカウンタ/タイマ回路部等(図示省略)を用いて、たとえば約2msecおきに発生するように設計することができる。そして、このタイマ割込みを契機にして、パチンコ遊技機1を制御するための割込みプログラムを起動することができる。なお、本明細書中に記す“乱数”とは、決められた範囲の数から等確率で取り出される値のことをいう。
次に、回転体22の作用と制御手順について説明する。
既に説明した通り、回転体22は遊技玉がゲート24a,24bを通過しない間は、回転停止状態を保持する。遊技玉がゲート24a,24bを通過し、ハズレ凹部T2〜T10に収容されたら、回転体22は一定角度(本実施形態では108°)回転する。たとえば、回転体22が図5(a)に示す回転角度姿勢で停止している状態で、第1ゲート24aから遊技玉Wが役物装置14内に入賞した場合、遊技玉Wは、回転体22のハズレ凹部(T2〜T10)に収容される。この場合、主制御基板100のCPU50は、第1特別入賞口26aへの入賞が無いことを確認したのち、回転体22を反時計回りに一定角度回転させる。これにより、回転体22が図5(b)の状態となり、ハズレ凹部T2〜T10に貯留された遊技玉がカバー21の切れ目から排出される。他方、回転体22が図5(a)に示す回転角度姿勢で停止している状態で、第2ゲート24bから入賞した場合、遊技玉Wは当たり凹部T1に収容され、さらに第2特別入賞口26bに入賞する。第1特別入賞口26aまたは第2特別入賞口26bに遊技玉Wが入賞した場合、回転体22は回転せず、そのときの回転角度姿勢を保持する。
また、回転体22が図5(c)に示す回転角度姿勢で停止している状態で、第2ゲート24bから入賞した場合、遊技玉Wはハズレ凹部に収容され、回転体22は、時計回りに回転して図5(d)の状態となる。逆に、回転体22が図5(c)に示す回転角度姿勢で停止している状態で、第1ゲート24aから入賞した場合、遊技玉Wは第1特別入賞口26aに入賞するので、回転体22は回転しない。また、回転体22が図5(e)に示す回転角度姿勢で停止している状態では、いずれのゲート24a,24bから入賞した遊技玉Wも、ハズレ凹部に収容されるので、通過したゲートの位置(左または右)に応じて回転体22が一定角度回転する。これを繰り返していると、当たり凹部T1と特別入賞口26a,26bとがそのうち重なり合う。
要するに、ゲート24a,24bを遊技玉が通過することと、通過した遊技玉がハズレ凹部T2〜T10の一に収容されることとを条件に、回転体22の回転角度姿勢が一の状態から他の状態に切り換わるようになっており、尚且つ左側のゲート24aから遊技玉が入ったときには反時計回り、右側のゲート24bから遊技玉が入ったときには時計回りに回転するように構成されている。もちろん、回転方向はこの逆でもよい。回転体22は、凹部T1〜T10の数と一致するパターン数の回転角度姿勢で静止することが可能であり、その回転角度姿勢の切り換わりに応じて、ゲート24a,24bと凹部T1〜T10との対応関係が切り換わる。特別入賞口26a,26bへの入賞が検知された場合には、回転体22は回転しない。したがって、特別入賞口26a,26bへの入賞を、連続して得やすくなっている。
また、ゲート24a,24bを通過した遊技玉が特別入賞口26a,26bに入賞するまでに、ある程度時間がかかる。そのため、ゲート24a,24bで遊技玉の通過が検知された場合には、そのときから所定の待機時間内において特別入賞口26a,26bへの入賞の有無を監視するとよい。上記待機時間を計測するタイマ(計測手段)は、主制御基板100のRAM52等に設定することができる。タイマが待機時間の計測を終了するよりも前に、特別入賞口26a,26bへの入賞が検知された場合には、回転体22は回転しない。他方、タイマが待機時間の計測を終了した場合には、特別入賞口26a,26bへの入賞は無かったものとみなし、回転体22を時計回りまたは反時計回りに所定角度(本実施形態では108°)回転させる。この一連の処理は、役物処理として実行することができる。図6および図7に示すのは、役物処理のフローチャートである。
図6および図7に示す役物処理は、主制御基板100にて実行される割込み処理のサブルーチンとして設定することができる。前述したように割込み処理は、CPU50にタイマ割込みが発生することに基づいて起動することができる。割込み処理は、図6および図7に示す役物処理のほか、エラーチェック処理、入賞スイッチ処理、抽選処理、メイン図柄変動処理、特賞処理、データ出力処理、モータ駆動処理、賞球処理、音声処理等の図示しない公知のサブルーチンが含まれるが、本明細書中では簡単のため省略する。
図6に示すように、まず第1ゲート側タイマが作動中か否か判断する(S1)。第1ゲート側タイマは、第1ゲート24aを遊技玉が通過した場合に待機時間の計測を行なうタイマである。第1ゲート側タイマが非作動のときは、第2ゲート側タイマが作動中か否か判断する(S2)。第2ゲート側タイマは、第2ゲート24bを遊技玉が通過した場合に待機時間の計測を行なうタイマである。両タイマが非作動の場合には、ゲート24a,24bを遊技玉が通過したか否か判断する(S3)。ゲート24a,24bを遊技玉が通過した場合には、第1ゲート通過検知部241、第2ゲート通過検知部242からの検知信号がCPU50に入力され、その旨がRAM52に記憶されるので、RAM52を読んで通過の有無を判断する。通過有りの判断がされた場合には、遊技玉が通過したゲートが第1ゲート24aであるか否か判断する(S4)。このステップにおける判断結果に応じて、第1ルーチン(S5)、第2ルーチン(S6)を実行する。なお、CPU50が各検知部からの信号を取り込む処理は、割込み処理における入賞スイッチ処理に含まれる。
図7は図6中に示す第1ルーチンの詳細である。S11において、第2特別入賞口26bへの連続入賞がゼロか否か、第2連続入賞カウンタの値を読むことで判断する。本実施形態では、第1特別入賞口26aまたは第2特別入賞口26bに入賞し続けることを条件に、回転体22を回転させない制御を行なうので、1回でもハズレ凹部T2〜T10に遊技玉が入ったら、連続入賞カウンタをクリアする必要がある。(イ)第1ルーチンは第1ゲート24aを遊技玉が通過した場合に実行する処理であること、(ロ)第1ゲート24aを通過した遊技玉が第2特別入賞口26bに入賞することが無いこと、これら(イ)(ロ)の理由から、第2特別入賞口26bへの連続入賞を計数する第2連続入賞カウンタがゼロで無い場合には、S12において、第2連続入賞カウンタをゼロクリア(初期化)する。連続入賞カウンタは、RAM52に設定する。
また、図8(a)に示すように、パチンコ遊技機1には、特別入賞口26a,26bへの連続入賞数を表示する表示部11aを設けることができる。この場合、RAM52上の連続入賞カウンタをクリアするとともに、連続入賞数を表示する表示部11a(本実施形態では液晶表示部11に兼用)の表示更新準備を行なう。表示更新準備は、表示制御基板105に出力するべき表示制御コマンドを、RAM52の所定エリアにセットする処理とされる。セットした表示制御コマンドは、表示制御にかかるサブルーチンで表示制御基板105に送られる。図8(a)に示すように、遊技者から向かって左側の特別入賞口(第1特別入賞口26a)に連続入賞中には画面左側から、遊技者から向かって右側の特別入賞口(第2特別入賞口26b)に連続入賞中には画面右側から、順次表示形態を変更するようにしている。したがって、図8(a)の例は、第1特別入賞口26aに3連続入賞中であることを示している。なお、連続入賞数を表示する表示部には、LED等で構成されたランプを採用してもよい。LED等で構成した表示部を複数箇所(たとえば2箇所)に設け、この表示部に左の特別入賞口26aまたは右の特別入賞口26bへの連続入賞数を表示するようにしてもよく、この場合、どちらに連続入賞しているのかが一見して把握できるようになる効果がある。
一方、S11において、第2特別入賞口26bへの入賞にかかる第2連続入賞カウンタがゼロである旨の判断がなされた場合には、第1ゲート側タイマをスタートして、前述した待機時間の計測を開始する。S15では、第1ゲート側タイマをインクリメントする。役物処理を開始したときに第1ゲート側タイマが作動中ならば(図6のフロー参照)、ここにジャンプするようになっている。
次に、第1特別入賞口26aに遊技玉が入賞したか否か判断する(S16)。前述したように、第1特別入賞口26aに入賞があった場合には、第1特別入賞検知部261からの検知信号がCPU50に入力され、その旨がRAM52に記憶されるので、RAM52を読んで入賞の有無を判断する。S16において、入賞有りの場合には、S17に進み、第1ゲート側タイマをクリアする。次に、第1特別入賞口26aへの入賞にかかる第1連続入賞カウンタをインクリメントする(S18)。次に、S19において、連続入賞数の表示更新の準備を行なう。表示更新準備については、前述した通りである。
なお、回転体22の変位(回転角度姿勢の変更)を伴うことなく、特別入賞口26a,26bに連続して一定個数(たとえば10個)入賞した場合には、特賞を発生させたり、大当たり確率を一定期間(たとえば次に大当たりが発生するまで)高くする確率変動状態としたりするなど、遊技者に一定の賞を付与するとよい。本実施形態では前者を採用している。すなわち、フローチャートのS20に示すように、連続入賞カウンタが10に到達したか否かを判断する(S20)。連続入賞カウンタが10に到達した場合には、大当たり乱数を強制的に取得し、これを保留玉メモリに書き込む(S21)。記憶された保留玉にかかる図柄変動で、大当たりが発生する。図8(b)に示すように、その旨を遊技者に知らせるメッセージを液晶表示部11に表示したのちに大当たりを発生させれば、遊技者の期待感も高まるので好適である。
また、S16において、第1特別入賞口26aに遊技玉が入賞していない旨の判断がされた場合には、第1ゲート側タイマがタイムアップであるか否かを判断する(S22)。タイムアップの場合には、第1ゲート側タイマをクリアして、回転体22の回転制御を行なう準備、すなわちモータ28の駆動処理を開始するためのフラグ等を設定する(S24)。このようにして、次に遊技玉がゲート24a,24bのいずれかを通過するまで、回転体22が停止して保持するベき回転角度姿勢が決定される仕組みとなっている。なお、第2ゲート24bを遊技玉が通過した場合の第2ルーチンは、第1ルーチンと同様なので省略する。また、フローチャートは、実際のパチンコ遊技機での制御シーケンスと必ずしも一致しないことを断っておく。
ところで、回転体駆動用モータ28にステッピングモータを用いれば、回転体22の回転角度姿勢をRAM52等の記憶手段に常時記憶させておくことができるので、フローチャートに示した構成を採用しないことも考え得る。つまり、RAM52が記憶する回転体22の回転角度姿勢と、ゲート通過検知部241,242から送られてくる通過検知信号とに基づいて、回転体22の回転角度姿勢の切り換え制御を行なうようにしてもよい。
また、本実施形態では回転体22の凹部T1〜T10を等角度間隔で形成し、回転角度を一定(時計回りまたは反時計回りに108°)としているが、これをランダムにすることも容易である。具体的には、下記(1)式に沿って回転角度を定義しておく。「n」を主制御基板100のCPU50において乱数抽選等で決めるようにすれば、回転体22の回転角度を常に一定とせずに、ランダムに決定することが可能となる(CPU50:回転体22の回転角度を決定するための抽選を行なう抽選手段)。下記(1)式に則って回転角度を決定するので、回転体22が呈することのできる回転角度姿勢は、当該回転体22に形成された凹部の数に一致する。ゲート24a,24bを通過した遊技玉が回転体22の凹部T1〜T10に確実に収容される構成となる。
{360°/(凹部の総数)}×n(n:正の整数)…(1)
上記のように、回転体22の回転角度を乱数抽選にて決定する場合、その抽選タイミング(乱数サンプリングタイミング)は、ゲート24a,24bを遊技玉が通過したとき、役物装置14への入賞とは関係の無い入賞口への入賞時(たとえばスタート入賞口への入賞時に大当たり乱数とともに乱数を取得する)とすることも可能である。さらには、大当たり終了時に当該乱数抽選を行なって大当たり単位で回転角度を抽選するようにしてもよい。
以上に本発明にかかる第1構成を説明したが、その変形実施例として、当たり凹部T1のみを設けた回転体を用いて、回転式役物装置14を構成する例を示すこともできる。また、ハズレ凹部にセンサ等の検知手段を設け、ゲート24a,24bへの遊技玉の通過と、ハズレ凹部への入玉とに応じて回転体22を回転させるようにしてもよい。また、特別入賞口26a,26bへの入賞を参照せず、ゲート24a,24bを遊技玉が通過することだけを回転の条件としてもよい。また、ゲート24a,24bを遊技玉が通過することに応じて、回転体22の回転駆動を開始し、回転体22の凹部に収容された遊技玉が特別入賞口26a,26bに入賞した場合には、回転駆動をキャンセルするとともに、回転角度姿勢をゲート24a,24bを遊技玉が通過する前の状態に戻して回転体22を静止させるようにしてもよい。
次に、本発明にかかるパチンコ遊技機の第2構成について説明する。
第2構成においては、図9(a)の正面図に示すように、図3の役物装置14のカバー21を除去して回転体22のみとし、遊技玉の衝突によって付与される荷重で回転するようになっている。つまり、モータのような電気的な手段での回転制御を行なわない。この場合、回転体22の自由回転を制限する回転制限手段を設けることができる。具体的には、図9(b)の断面図に示すように、回転体22と遊技盤3との間に難燃性不織布等で構成されたシート部材30を設ける。シート部材30の厚さ調整を適切に行なうことにより、釘等の軸部材23を貫く軸線O周りの回転体22の自由回転が適度に制限される。構成が簡略であり、ソフトウェアの設計の必要性が無いため、どのようなパチンコ遊技機に適用することもできるメリットがある。特別入賞口26bは、たとえばスタートチャッカー17への誘導路(ワープルート)の入口としたり、スタートチャッカー自身としたりすることができる。この点は、前述した実施態様にも採用できる。
また、図10に示すような構造の回転体を採用することも可能である。図10(a)はシート部材とは異なる回転制限手段によって自由回転を制限するようにした回転体29の断面模式図であり、その部分拡大図が図10(b)である。図10(a)(b)に示すように、回転体29は、遊技盤3に釘等の軸部材23によって固定されている。回転体29には、遊技盤3(支持面を有する支持体)と向かい合う側において、回転軸O周りに等角度間隔で複数の凹部29hが形成されている。その凹部29hには、バネ31等の弾性部材と、回転制限手段としてのベアリングボール25とが収容されている。ベアリングボール25は、バネ31によって遊技盤3に向けて付勢される形となっているが、遊技盤3の表面を摺動可能である。一方、遊技盤3には、回転体29が特定の回転角度姿勢となった場合に、該回転体29に形成された凹部29hと対向するように、複数の凹部3hが形成されている(図11参照)。遊技盤3の凹部3hは、ベアリングボール25の全部が入り込めないように、開口の広さが調整されている。回転体29が特定の回転角度姿勢となり、その凹部29hと、遊技盤3の凹部3hとがちょうど重なり合うと、遊技盤3に向けて付勢されていたベアリングボール25の頂部が遊技盤3の凹部3hに入り込む。すると、ベアリングボール25が遊技盤3の凹部3hに引っ掛かってストッパの役割を担うようになり、回転体29の自由回転が制限される。しかしながら、回転体29に比較的大きな力が加わった場合には、バネ31が縮んで、ベアリングボール25が遊技盤3の凹部3hより抜け出す。すると、回転体29は、次にその凹部29hが遊技盤3の凹部3hに対向する回転角度姿勢となるまで、比較的小さな力で回転できる。このように、回転体29は、従来の風車のように自由回転しないので、遊技玉の動きにより多彩な変化を付与することが可能である。つまり、このような回転体29は、遊技玉の動きに変化を付与するための風車の代わりとして、遊技盤3上に配置するようにしてもよい。
次に、図12に示すのは、回転体の代わりに設けられるものであって、モータ等の駆動手段により略水平方向にスライド可能に装置され、ゲート24a,24bを通過した遊技玉を受け入れる複数の凹部401〜405が設けられた案内体40の正面模式図である。案内体40は、凹部401〜405に受け入れた遊技玉を特別入賞口26a,26bまたはハズレ口41に案内する。凹部401〜405は、当たり凹部405と、ハズレ凹部401〜404とを含む。ゲート24a,24bを通過して当たり凹部405に受け入れられた遊技玉は、特別入賞口26a,26bに案内される一方、ハズレ凹部401〜404に受け入れられた遊技玉は、ハズレ口41に案内される。遊技玉がハズレ凹部401〜404に入ると、案内体40は左方向または右方向に変位する一方、遊技玉が当たり凹部405に入ると、案内体40は変位しない。
具体的に、ゲート24a,24bを通過した遊技玉は、遊技盤3に固定的されたゲート24a,24bに対して案内体40が特定の動作姿勢を呈するときに、特別入賞口26a,26bへの入賞が可能となる。すなわち、ゲート24a,24bと当たり凹部405とが連通する位置を案内体40が占有した場合に、当たり凹部405に受け入れられた遊技玉が特別入賞口26a,26bへの入賞が可能となる。左側のゲート24aを遊技玉が通過し、その遊技玉がハズレ凹部401〜404に受け入れられた場合には、遊技玉は左側にスライド移動する。右側のゲート24aを遊技玉が通過し、その遊技玉がハズレ凹部401〜404に受け入れられた場合には、遊技玉は右側にスライド移動する。案内体40が右側ないし左側への移動限界位置に到達した場合には、それ以上の移動がなされないようにアクチュエータの駆動を停止する、あるいは行なわない。なお、案内体40の変位方向および変位量は規則的であってもよいし、抽選等によって全くランダムに決定するようにしてもよい。
さらに、図13に示すように、モータ等の駆動手段により略水平方向にスライド移動可能とされた、ハズレ凹部を有さない案内体42を設けることもできる。この例においては、ゲート24a,24bを通過して当たり凹部421に収容された遊技玉以外は、当該案内体42によって弾かれて特別入賞口26a,26bには入賞することができないようになっている。
また、ゲート24a,24bを通過した遊技玉の一部が回転体22の凹部T1〜T10に収容されるようにすることもできる。すなわち、図14に示すように、回転体22をカバーで覆わない開放状態とし、ゲート24a,24bと回転体22との中途に釘等の1または複数の障害物45を設け、障害物45を通過してきた遊技玉が回転体22の凹部にちょうど収容されるように構成できる。
最後に、本明細書および特許請求の範囲において、「入賞」と記載している場合にも、賞玉の払出が無い場合を包含することを断っておく。