JP4380064B2 - 円筒状部品の耐圧試験用固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軸方向引張荷重が作用しない円筒状部品に対して耐圧試験を実施するときに用いる固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の圧力容器において、該圧力容器の外壁部が円筒状部品によって構成される場合、通常は、該円筒状部品の耐圧強度を確認すべく、耐圧試験が実施される。
【0003】
図2は一般的に実施されている円筒状部品の耐圧試験要領を示すもので、円筒状部品aの軸方向両端の開口を蓋bとcで塞いで密閉容器構造とし、かかる状態において、円筒状部品aの内部に圧力Pを負荷することにより、耐圧試験を実施するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図2に示すような耐圧試験では、密閉容器構造内に作用する膨張荷重により、円筒状部品aに軸方向の引張荷重Tが作用するため、円筒状部品aが、たとえば、ガスタービンのケーシングである場合には、正確な耐圧荷重をかけることができないという問題がある。
【0005】
すなわち、ガスタービンのケーシングの場合、前後には、ケーシング内部の圧力を増すための圧縮機翼や、内部の圧力を用いて仕事をするタービン翼などが存在し、これらはシャフトを介して前後方向に結合されていて、ケーシングには直接結合されておらず、圧縮機翼とタービン翼に働く圧力によって生ずる軸方向引張荷重はシャフトで受けるようになっている。したがって、ケーシングには軸方向引張荷重は作用しないので、図2に示したような要領で耐圧試験を実施すると、ケーシングにとって過剰な荷重が加わった試験となり、適正な耐圧試験とはならない。
【0006】
そこで、本発明は、軸方向引張荷重が作用しない円筒状部品に対して耐圧試験を実施するのに好適な円筒状部品の耐圧試験用固定装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、ベースプレート上の外周部に所要高さを有する円筒状のシールドフレームを立設し、該シールドフレームの上端開口部に蓋を着脱可能に取り付け、上記シールドフレームの内側に位置するベースプレート上に、円筒状部品の下端部を着脱可能に取り付けるための固定リングを設置し、上記蓋の下面に、円筒状部品とほぼ同径のサポートリングの上端を固定して、該サポートリングの下端部に、円筒状部品の上端部に着脱可能に取り付けるためのダミーケーシングを、Oリングを介して円筒状部品の軸心方向へ摺動自在に嵌合させ、上記ベースプレート、固定リング、円筒状部品、ダミーケーシング、サポートリング及び蓋により囲まれる部分に密閉された内側耐圧試験空間を形成させるようにした構成とする。
【0008】
内側耐圧試験空間に内圧力を作用させると、膨張荷重に基づく軸方向の伸び力がダミーケーシングとサポートリングとの軸方向の相対摺動変位で吸収されるため、円筒状部品には軸方向の引張荷重が作用せず、径方向の膨張荷重のみが作用することになる。
【0009】
又、内側耐圧試験空間の外側で、シールドフレームとベースプレートと蓋により囲まれる部分に、密閉された外側耐圧試験空間を形成させるようにした構成とした場合は、円筒状部品の耐圧試験を外圧力により実施することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1(イ)(ロ)は本発明の実施の一形態を示すもので、円筒状部品として、ガスタービンのケーシング1を対象とした場合について示す。すなわち、円形のベースプレート2上の中央部に、所要の高さを有する円形の架台3を設置して、該架台3上の外周部に、ケーシング1の径に対応する径を有し且つ上端部外周に取付フランジ4aを設けた背丈の低い固定リング4を設置し、上下両端部外周に取付フランジ1a,1bを設けておいたケーシング1を、固定リング4上に載置して、取付フランジ1bと4aをシール材5を挟持させてボルト6で結合することにより固定リング4上にケーシング1を固定できるようにし、又、上記ベースプレート2上の外周部に、上記架台3上の固定リング4上に配置されたケーシング1の高さ位置よりも更に上方の位置まで達する高さとした円筒状のシールドフレーム7を立設し、該シールドフレーム7の上端開口部に、上記ケーシング1の径よりも大きい開口8aを中心部に形成したリング状の外側蓋8の外周部を取り付けると共に、該リング状の外側蓋8の開口8a部上に、円形の中央蓋9を、ボルト10により着脱可能に取り付け、且つ該中央蓋9の下面に、下端が上記ケーシング1の上端付近まで延びるようにした円筒状のサポートリング11を、上端のフランジ11aを蓋8,9間に挟み込ませるようにして固定し、更に、下端部外周にケーシング1の上端部の取付フランジ1aに対応する取付フランジ12aを設けたダミーケーシング12を、ケーシング1上に載置して、取付フランジ1aと12aをシール材5を挟持させてボルト6で結合し、更に、ダミーケーシング12の上端部の内周面と上記サポートリング11の下端部外周面との間に、Oリング13を介在させて、ケーシング1の軸心方向となる上下方向へ摺動自在に嵌合する。
【0012】
上記構成において、架台3がベースプレート2及び固定リング4に接する部分、サポートリング11のフランジ11aが外側蓋8及び中央蓋9に接する部分、シールドフレーム7がベースプレート2及び外側蓋8に接する部分には、図示してないが、それぞれシール材を介在させるようにしてあり、これにより、架台3と中央蓋9との間で固定リング4、ケーシング1、ダミーケーシング12、サポートリング11に囲まれる部分に密閉された内側耐圧試験空間14aが形成され、その外側でベースプレート2とシールドフレーム7と外側蓋8により囲まれる部分に密閉された外側耐圧試験空間14bが形成されるようにする。又、上記内側耐圧試験空間14aに耐圧試験用の圧力流体を供給するための圧力流体配管15aを、ベースプレート2の下方から、ベースプレート2の架台3下部位置を貫通させて架台3に設けた圧力流体供給口16に導設すると共に、該圧力流体配管15aのベースプレート2貫通部には、着脱プラグ17を設け、一方、ベースプレート2の外側耐圧試験空間14bに対応する位置には、着脱プラグ18を備えた圧力流体供給口19を設けて、圧力流体配管15bを着脱プラグ18に導設する。
【0013】
なお、図1(イ)において、20はそれぞれ圧力計を示す。
【0014】
タービンのケーシング1の耐圧試験を内圧力により実施する場合には、中央蓋9、サポートリング11、外側蓋8及びシールドフレーム7を取り外した状態にしておいて、予め、上端部の取付フランジ1a上に取付フランジ12aを介してダミーケーシング12をボルト6で取り付けた状態のケーシング1を、下端部の取付フランジ1bを架台3上の固定リング4の上端部の取付フランジ4aにボルト6により取り付けて、ケーシング1を架台3上に固定リング4を介して固定配置した状態とする。
【0015】
次に、シールドフレーム7をベースプレート2に取り付け、シールドフレーム7の上端部に外側蓋8を固定する。
【0016】
次いで、取り外しておいた中央蓋9を外側蓋8の開口8a部上に載せてボルト10により取り付けるようにし、このとき、中央蓋9の下面に固定してあるサポートリング11の下端部をダミーケーシング12の内周部に嵌装させるようにする。これにより、架台3の上方にケーシング1の内側耐圧試験空間14aが形成されることになる。
【0017】
かかる状態とした後、圧力流体配管15aを通して導いた圧力流体(水や空気)を、架台3の圧力流体供給口16から内側耐圧試験空間14aに供給し、たとえば、8〜10MPaの圧力を負荷するようにする。
【0018】
上記において、内側耐圧試験空間14aを形成している部材には、内圧力により、ケーシング1の軸方向に沿う膨張荷重や径方向の膨張荷重が作用するが、サポートリング11とダミーケーシング12が軸方向に摺動自在に嵌合しているため、軸方向の膨張荷重による伸び力は、サポートリング11とダミーケーシング12との軸方向の相対摺動変位によって吸収されることになる。この際、嵌合状態にあるサポートリング11の下端部外周面とダミーケーシング12の内周面との間にはOリング13が介在しているため、両者の間から圧力流体が漏れることはなく、したがって、ケーシング1には、径方向の膨張荷重は作用するが軸方向の引張荷重は作用せず、過剰な荷重が加わることがないので、適正な荷重による耐圧試験を行うことができる。
【0019】
次に、ケーシング1の耐圧試験を外圧力により実施する必要がある場合には、外側耐圧試験空間14bに、圧力流体配管15bを通して圧力流体を供給し、たとえば、1MPa程度の圧力を負荷するようにする。なお、この際、中央蓋9は取り外しておくようにしてもよい。
【0020】
この場合も、ケーシング1の軸方向に沿う伸び力は、内圧試験時と同様に、サポートリング11とダミーケーシング12とのOリング13を介しての軸方向の相対摺動変位によって吸収されるため、ケーシング1には軸方向の引張荷重が作用することはなく、適正な圧力荷重で耐圧試験を行うことができる。
【0021】
なお、シールドフレーム7の上端開口部に取り付ける蓋は、必ずしも外側蓋8と中央蓋9とに別体化する必要はなく、一体のものであってもよいこと、又、サポートリング11とダミーケーシング12との内外の配置関係は逆であってもよいこと、更に、タービンケーシング1以外の円筒状部品についても同様に実施できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の円筒状部品の耐圧試験用固定装置によれば、ベースプレート上の外周部に所要高さを有する円筒状のシールドフレームを立設し、該シールドフレームの上端開口部に蓋を着脱可能に取り付け、上記シールドフレームの内側に位置するベースプレート上に、円筒状部品の下端部を着脱可能に取り付けるための固定リングを設置し、上記蓋の下面に、円筒状部品とほぼ同径のサポートリングの上端を固定して、該サポートリングの下端部に、円筒状部品の上端部に着脱可能に取り付けるためのダミーケーシングを、Oリングを介して円筒状部品の軸心方向へ摺動自在に嵌合させ、上記ベースプレート、固定リング、円筒状部品、ダミーケーシング、サポートリング及び蓋により囲まれる部分に密閉された内側耐圧試験空間を形成させるようにした構成としてあるので、内側耐圧試験空間に内圧力が作用すると、円筒状部品の軸方向に沿う膨張荷重による伸び力をダミーケーシングとサポートリングとの軸方向の相対摺動変位によって吸収することができて、円筒状部品には軸方向の引張荷重を作用させることがなく、これにより、円筒状部品に対して適正な荷重による耐圧試験を実施することができ、又、内側耐圧試験空間の外側で、シールドフレームとベースプレートと蓋により囲まれる部分に、密閉された外側耐圧試験空間を形成させるようにした構成とすることにより、円筒状部品に対し、外圧による耐圧試験を適正な荷重によって実施することができる、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒状部品の耐圧試験用固定装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は切断側面図、(ロ)は(イ)のA部拡大図である。
【図2】従来における円筒状部品の耐圧試験要領を示す概要図である。
【符号の説明】
1 ケーシング(円筒状部品)
2 ベースプレート
3 架台
4 固定リング
7 シールドフレーム
8 外側蓋(蓋)
9 中央蓋(蓋)
11 サポートリング
12 ダミーケーシング
13 Oリング
14a 内側耐圧試験空間
14b 外側耐圧試験空間
Claims (2)
- ベースプレート上の外周部に所要高さを有する円筒状のシールドフレームを立設し、該シールドフレームの上端開口部に蓋を着脱可能に取り付け、上記シールドフレームの内側に位置するベースプレート上に、円筒状部品の下端部を着脱可能に取り付けるための固定リングを設置し、上記蓋の下面に、円筒状部品とほぼ同径のサポートリングの上端を固定して、該サポートリングの下端部に、円筒状部品の上端部に着脱可能に取り付けるためのダミーケーシングを、Oリングを介して円筒状部品の軸心方向へ摺動自在に嵌合させ、上記ベースプレート、固定リング、円筒状部品、ダミーケーシング、サポートリング及び蓋により囲まれる部分に密閉された内側耐圧試験空間を形成させるようにした構成を有することを特徴とする円筒状部品の耐圧試験用固定装置。
- 内側耐圧試験空間の外側で、シールドフレームとベースプレートと蓋により囲まれる部分に、密閉された外側耐圧試験空間を形成させるようにした請求項1記載の円筒状部品の耐圧試験用固定装置。
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JP2000398788A JP4380064B2 (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 円筒状部品の耐圧試験用固定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000398788A JP4380064B2 (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 円筒状部品の耐圧試験用固定装置 |
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JP2002202231A JP2002202231A (ja) | 2002-07-19 |
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ID=18863683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000398788A Expired - Lifetime JP4380064B2 (ja) | 2000-12-27 | 2000-12-27 | 円筒状部品の耐圧試験用固定装置 |
Country Status (1)
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2000
- 2000-12-27 JP JP2000398788A patent/JP4380064B2/ja not_active Expired - Lifetime
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