JP4379629B2 - 有彩色金属光沢積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題を解決するものであり、有彩色の金属光沢を有し、簡便に得ることができ、加工性に優れた有彩色金属光沢積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記「染料」としては、色彩を有するものであれば特に限定されず用いることができ、無彩色であっても有彩色であってもよく、親油性であっても水溶性であってもよい。
この染料としては、樹脂への分散性に優れるため有機染料が好ましい。この有機染料としては、例えば、複素環系染料(シアニン系染料、トリアジン系染料、ピリミジン系染料、キノリン系染料及びキノキサリン系染料等)、アンスラキノン系染料、アゾ系染料(モノアゾ系染料、ジアゾ系染料、ビスアゾ系染料、トリスアゾ系染料及びスチルベン系染料等)、インジゴイド系染料(インジゴ系染料及びチオインジゴ系染料等)、ナフトール系染料、トリフェニルメタン系染料及びインダンスレン系染料等の染料を挙げることができる。尚、これらの染料は直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、建染染料、分散染料、反応染料及び蛍光増白染料等のいずれであってもよい。
更に、エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック系共重合体、その水素添加ブロック共重合体等)、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリアミド系エラストマー、熱可塑性1、2−ポリブタジエン系エラストマー、シリコーン樹脂系エラストマー及びフッ素樹脂系エラストマー等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、ゴムとしては、スチレン−ブタジエン系ゴム、イソブチレン−イソプレン系ゴム、アクロルニトリル−ブタジエン系ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、これら第1樹脂層を構成する重合体の種類によって、含有されている染料の後述する第2樹脂層への移行の有無、及び、移行する量等を変化させることが可能である。
上記のうち、金属箔を単独で金属膜層として用いる場合以外は、他の層に金属膜層を形成して用いる。他の層は特に限定されず、種々の材料を用いることができるが、上記第1樹脂層及び後述する第2樹脂層と同様な重合体を適用することができるが、特に、第1樹脂層及び/又は第2樹脂層の少なくとも1面に形成されることが好ましい。
また、この第2樹脂層は、第1樹脂層から移行される染料の含有前後において色差値が0.8以上(好ましくは1以上)異なることが好ましい。この色差の測定方法には後述する実施例における方法が適用できる。
尚、この第2樹脂層は、第1樹脂層と同様にして得ることができる。
上記のうち保護層を構成する材料は特に限定されないが、第1樹脂層及び第2樹脂層を構成する樹脂として例示したものと同様な重合体等を用いることができる。この保護層の厚さも特に限定されないが、通常、5〜1000μm(好ましくは10〜750μm、より好ましくは10〜500μm)である。5μm未満であると保護層としての役目を十分に発揮できない場合があり、1000μmを超えて厚いと成形が困難となる場合がある。
このうち、顔料としては、雲母状酸化鉄、黒色酸化鉄、炭酸鉛、四酸化三鉛、クロム酸鉛、硫化亜鉛、硫化水銀、硫酸バリウム、群青、紺青、酸化コバルト、二酸化チタン、酸化クロム、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、モリブデン酸鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、アセト亜ヒ酸銅、及び硫化カドミニウム等を含有する無機系顔料を挙げることができる。また、アゾ系顔料(溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料及び縮合アゾ顔料)、フタロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン、ジオキサジンバイオレット、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料等の有機系顔料を挙げることができる。
また、本発明の有彩色金属光沢積層体を成形する方法は特に限定されないが、例えば、加熱圧縮成形、真空成形、ブロー成形等の方法により成形することができる。
尚、本発明の有彩色金属光沢積層体は、塗装等の二次加工を施すこともできる。
また、この加熱時の加熱温度及び加熱時間により、未接合第1樹脂層から未接合第2樹脂層へ移行する染料の量及び染料の種類を変化させることができ、色の濃さ及び色調を所望のものとすることができる。この加熱時間は特に限定されないが、通常、1秒〜30分(好ましくは5秒〜20分、より好ましくは10秒〜10分)とすることができる。1秒未満では加熱を行う効果が得られ難い場合があり、30分を超えて加熱時間を長くしても変化が得られ難い。
本発明の有彩色金属光沢積層体(III)は、染料を含有する第1樹脂層と金属膜層とを備え、該金属膜層は該第1樹脂層から移行された該染料を含有し、且つ、少なくとも該金属膜層側において有彩色の金属光沢を有することを特徴とする{図1(b)参照}。
本発明の他の有彩色金属光沢積層体は、未接合の第1樹脂層と未接合の金属膜層とを接合すると共に、加熱を行うことで未接合金属膜層内に未接合第1樹脂層内に含有される染料を移行して得ることができる。更に、接合された第1樹脂層と、接合された金属膜層とを備える接合積層体を加熱し、上記と同様に染料の移行を行って得ることができる。
本発明の有彩色金属光沢積層体(I)は、第1樹脂層と金属膜層とを含み且つ該金属膜層の内部に染料が含有されていることを特徴とする。斯かる本発明は、言わば、染料について「第1樹脂層から移行された」との限定により方法的要素を含む前述の有彩色金属光沢積層体において、完全な製品として表現された発明である。従って、有彩色金属光沢積層体(I)の詳細は、当業者にとっては前述の有彩色金属光沢積層体に関する説明から容易に理解される。
[1]有彩色金属光沢積層体の製造方法:
(1)未接合第1樹脂層となるペレットの製造
表1〜3に示す(i)〜(iii)の重合体100質量部に対して、表1〜3に示す質量部のA〜Gの染料を添加した混合物を、タンブラー機に投入して混合し、その後、二軸押出機によりペレット化した。
(i);ABS樹脂(テクノポリマー株式会社製、品名「ABS330」)
(ii);難燃ABS樹脂(テクノポリマー株式会社製、品名「ABSF5450」)
(iii);ポリカーボネート樹脂(出光石油化学株式会社製、品名「FN2200」)
B;橙色ペリノン系化合物(三菱化学株式会社製、品名「DIAREGIN ORANGE HS」)
C;赤色チオインジゴ系化合物;(ヘキスト社製、品名「HOSTASOL RED 5B」)
D;紫色アンスラキノン系化合物(三菱化学株式会社製、品名「DIAREGIN VIOLET D」)
E;青色アンスラキノン系化合物(BASF社製、品名「MACROLEX BLUE RR」)
F;緑色アンスラキノン系化合物(BASF社製、品名「MACROLEX GREEN G」)
G;茶色モノアゾ系化合物(三菱化学株式会社製、品名「DIAREGIN BROWN A」)
未接合第2樹脂層及び金属膜層としては、これらの層以外に剥離可能な保護層及び接着用層とを既に備える市販の蒸着金属膜層を備える樹脂フィルムを使用した。この樹脂フィルム(合計厚さ約26μm)の構成を以下に示す。
剥離可能な保護層; ポリエチレンテレフタレート(15μm)
未接合第2樹脂層; ポリウレタン(10μm)
金属膜層 ; クロム膜層(40nm)
接着用層 ; シリカ粒子を含有するポリウレタン(1.2μm)
(1)で得られた未接合第1樹脂層用のペレットを押出成形機に投入し、シート状の未接合第1樹脂層を成形した。同時に上記の樹脂フィルム(未接合第2樹脂層及び金属膜層)を未接合第1樹脂層にラミネート成形により接合した。この時の、未接合第1樹脂層の温度は、実験例1、7、12、16及び27については250℃であり、この温度における未接合第1樹脂層と樹脂フィルムとの接触時間(加熱時間)は10秒程度とした。また、上記実験例以外の実験例では、未接合第1樹脂層の温度は230℃であり、接触時間は5秒程度とした。
重合体(i)〜(iii)の各々に染料を含有させていない参考例の未接合第1樹脂層を上記[1]の(1)と同様に成形し、上記[1]の(2)と同様な未接合第2樹脂層及び金属膜層を備える樹脂フィルムを用い、上記[1]の(3)と同様にして接合して標準試料を作製した。
この標準試料を用い、色差測定機(倉敷紡績株式会社製、形式「アウカラー7e」)を用い、光源としてD65を用い、10度視野において色差値ΔEの測定を行った。色差式はCIE1976(L*a*b)に従った。
この結果、標準試料との色差値ΔEが0.8を超えた積層体には表1〜表3中の「彩色」の欄に「○」と示し、色差値ΔEが0.8となった積層体には「△」と示した。尚、財団法人日本色彩研究所が設定している評価基準である「並べてみれば、ほとんどの人に色差が感じられるレベル」としてΔE=0.8以上が示されている。このため、ΔE=0.8を判断基準とした。
また、金属光沢の有無を目視判定し、金属光沢を有している積層体には表1〜表3中の「金属光沢」の欄に「○」と示した。
表1〜3の結果より、いずれの重合体及び染料を用いた場合においても、ほとんどの実験例において色差値ΔEは0.8以上となっている。また、実験例1に対して実験例2〜6を、実験例7に対して実験例8〜11を、実験例12に対して実験例13を、実験例16に対して実験例18を、実験例27に対して実験例29を各々比べることにより、概して染料の量が多い方がΔEは0.8以上となり易いことが分かる。
実験例9と同じ重合体及び同じ染料を同じ量で含有する未接合第1樹脂層を製造し、上記[1]におけると同様に未接合第2樹脂層及び金属膜層を備える樹脂フィルムを接合して本発明の有彩色金属光沢積層体を得た。その後、この有彩色金属光沢積層体を部分的に更に加熱及び加圧して、接合第2樹脂層側から観察される色の濃さを変化させた有彩色金属光沢積層体1〜4を得た。各有彩色金属光沢積層体の加熱及び加圧の条件は表4に示す通りである。
11:第1樹脂層
12:第2樹脂層
13:金属膜層
Claims (5)
- 染料を含有する第1樹脂層と金属膜層と第2樹脂層とをこの順で備え、該第2樹脂層は該第1樹脂層から移行された該染料を含有し、且つ、少なくとも該第2樹脂層側において有彩色の金属光沢を有することを特徴とする有彩色金属光沢積層体。
- 上記金属膜層は、上記第1樹脂層又は上記第2樹脂層に蒸着されたものである請求項1記載の有彩色金属光沢積層体。
- 上記第2樹脂層は、上記染料の上記移行の前後において0.8以上の色差値の変化を生じている請求項1又は2に記載の有彩色金属光沢積層体。
- 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の有彩色金属光沢積層体の製造方法であって、染料を含有する未接合第1樹脂層と、少なくとも一面に金属膜層が形成された未接合第2樹脂層とを加熱して、該未接合第1樹脂層と該金属膜層とが対向して配置されるように接合すると共に、該染料の一部を該未接合第2樹脂層内に移行させることを特徴とする有彩色金属光沢積層体の製造方法。
- 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の有彩色金属光沢積層体の製造方法であって、染料を含有する接合第1樹脂層、金属膜層及び接合第2樹脂層をこの順で備える接合積層体を加熱し、該染料の一部を該接合第2樹脂層内に移行させることを特徴とする有彩色金属光沢積層体の製造方法。
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