JP4378035B2 - 繊維強化複合体のリサイクル方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層よりなり、各層が強固に接着している熱可塑性樹脂被覆繊維強化複合体(以後、繊維強化複合体と称する)のリサイクル方法に関する。特に、熱可塑性樹脂層(前記中芯及び外層)として、ABS、AS、AES、AAS、PS等のスチレン系樹脂、又は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使用した各種繊維強化複合体のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一方向に引き揃えられたガラス繊維強化FRP層をABS樹脂などのスチレン系熱可塑性樹脂で被覆、或いは、サンドイッチした構造の繊維強化複合体は軽量でありながら高強度、高剛性といった特性を備え、また、電気絶縁性、耐久性、耐腐食性も良好である。更に、木材などの天然材と違って、部材毎にも経時的にも安定した性状の物性が得られ、例えば長期間荷重がかかってもクリープ現象等がほとんど発生しない。このような特性から、水産業用資材(海苔ひび、養殖生け簀歩み板、浮き桟橋床板等)、土木建築資材(構造材料、足場材、フェンス、ポール等)、電設材料(床板、ピットの蓋、巡視路等)、並びに水処理資材(覆蓋)など、種々の用途に使用されている。
【0003】
このように広範な用途に用いられる繊維強化複合体は、その優れた強度特性及び耐久性のため廃棄物として処理される機会は当然少ない。しかしながら、使用方法の誤りなどによる早期の廃棄処分品や、工場生産時における不良品、或いは長さ調整のために切断した端尺品などの廃棄物が発生する場合は勿論生じている。このような廃棄物を有効活用し再利用することは、地球環境保全のためにも、また、材料コストを抑制する意味でも非常に重要なことである。
【0004】
従来は、リサイクル対象としてFRPが挙げられており、素材自体を変性させずに再利用するマテリアルリサイクル法において充填材として使用する方法が考えられている。この方法はFRPを粗粉砕、微粉砕してSMCやBMCの充填材として炭酸カルシウムの代替物として使用する方法である。
また、例えばセメント製造工程の燃料として用いるなど、FRPを燃焼させ熱エネルギーとしてリサイクルさせる、エネルギーリサイクル法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のリサイクル方法には次に述べるような、課題を有していた。従来のリサイクル方法はいずれも繊維強化複合体全てを対象としたものではなく、あくまでもFRP部分だけがリサイクル対象となっていた。その上、上記のように充填材として従来品と代替できる量(添加できる量)は充填材全体の30wt%程度が上限であり、これ以上の添加は充填対象物の物性低下や外観不良などを引き起こすため添加することが出来ない問題があった。
【0006】
また、繊維強化複合体からFRP部分を取り分けて分離するために、繊維強化複合体全体を粉砕しふるい分けする作業を行う場合、FRPを形成する熱硬化性樹脂が比較的固く脆いのに対し、熱可塑性樹脂は比較的柔軟であるために、FRPの粉砕物は粒径が細かくなる一方、熱可塑性樹脂の粉砕物は粒径が大きいものとなり、整粒し分別するのに非常に手間がかかる点も難点であった。
【0007】
粉砕後にふるいにかけた場合、粒径によってFRPと熱可塑性樹脂の比率がまちまちに変化し、単純により分けられないことから、ふるい分け作業だけで両者を分離することも難しい。他方、液体中に粉砕物を投入し、比重差によりFRPと熱可塑性樹脂とを分離する方法が考えられるが、比重によらず単に気泡が付着することでFRPが浮上することも多いため完全分離は図りがたい。
【0008】
一方、粉砕前の廃棄品から熱可塑性樹脂を分離する、つまり熱可塑性樹脂被覆や中芯を剥ぎ取ろうとしても、各層間の接着力は非常に強いために難しい。他方、アセトン、MEK等の有機溶剤に溶解し、分離する方法も考えられるが、溶解に長時間を費やさねばならず、溶剤の蒸発分離回収をする必要があるなど、非常にコスト高になり実用的ではない。
【0009】
以上のように、繊維強化複合体を100%全量どころか、一部を構成するFRP部分すら完全にリサイクルすることは困難であった。
また、エネルギーリサイクル法を用いた場合、燃焼時発熱量を厳密にコントロールする必要があるが、種々の素材が混合されたFRP材料の発熱量をコントロールすることは困難であった。加えて、燃焼後に残るガラス繊維などの発生量を制御できないことから汎用性が低い上、燃焼に伴うエネルギーロスが大きく、有害ガスの発生というリサイクル理念に反する様な問題も存在した。
【0010】
その他、繊維強化複合体のマトリックス樹脂(熱硬化性樹脂)として使用される不飽和ポリエステル樹脂は、未硬化のまま廃棄されないよう、硬化させてから廃棄していた。したがって、廃棄に際して硬化作業が必要であり、未硬化の熱硬化性樹脂が再利用されることが望まれていた。
そこで、本発明はこのような従来の課題に着目してなされたもので、リサイクルにあたって繊維強化複合体及び未硬化の熱硬化性樹脂における廃棄物の全量を簡便かつ完全にリサイクル可能である繊維強化複合体のリサイクル方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層より形成される繊維強化複合体のリサイクル方法であって、前記繊維強化複合体を粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練する混練工程と、混練された繊維強化複合体を成形固化させる成形工程とを備え、前記混練工程において、前記粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体に未硬化の熱硬化性樹脂を混合してから、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練し、前記成形工程において、前記未硬化の熱硬化性樹脂が混合された繊維強化複合体を成形硬化させることを特徴とする。
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層より形成される繊維強化複合体のリサイクル方法であって、前記繊維強化複合体を粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練する混練工程と、混練された繊維強化複合体を成形固化させる成形工程とを備え、前記混練及び成形工程において、前記粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体に未硬化の熱硬化性樹脂を混合し、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して加圧硬化させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
===実施例1、2===
以下、本発明の好ましい実施の形態につき詳細に説明する。繊維強化複合体10とは、図1に示す様な、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる中空部11を有する複数の中芯12(本実施例では7本並列)と、この中芯12の外周を被覆しガラス繊維などの補強繊維13をビニエステル樹脂などの熱硬化性樹脂で一体に結着してなるFRP層14(中間層)と、該FRP層14を被覆しABS樹脂などの熱可塑性樹脂よりなる外層(被覆)15との三層よりなるものである。本実施例においてはこの繊維強化複合体10の製造工程で生じた不良品、端尺品をリサイクル対象とする。
【0015】
<繊維強化複合体の製造>
リサイクル対象となる繊維強化複合体10の製造工程を以下に概説する。ABS樹脂製の前記中芯12を押出し、真空サイジング方式により成形しておき、これを7本並列に供給し中芯全体を形成する。次にガラス繊維13をロービングスタンドより供給し、更に含浸槽にて不飽和ポリエステル樹脂を含浸して、分散ガイドにより中芯12の周囲に添接せしめる。この際、絞りノズルで過剰な不飽和ポリエステル樹脂を絞りつつ作業を行う。
【0016】
その後、中芯12外周が所定の形状(幅238mm、厚さ28mm)となるまで絞り成形し、更にこれをドラフトタイプクロスヘッドダイス(口径350mmφ)に導く。また、ABS樹脂を円環状に押出させ、平板状の未硬化ポリエステル樹脂を含浸した芯部に被覆する。この被覆後、水冷ローラーにより冷却し、熱湯硬化槽にて95℃の熱湯で硬化作業を行う。硬化後、冷却水槽にて水冷し引取機で速度1.0m/minにて引き取り、製造作業は完了する。
【0017】
<リサイクル過程>
上記のように製造された繊維強化複合体10であるが、通常の端尺品が生じる場面と同じ状況を想定し、本実施例においては例えばプレス切断機にて長さ50〜60cmに切断し、リサイクル用の供試体としている。切断した繊維強化複合体10の供試体は、粗粉砕機(商品名:U1-480XFS、ホウライ鉄工所製)を使用して粗粉砕される。この粗粉砕作業により、1時間当たり100kg以上の粉砕処理速度において、供試体中のABS樹脂は5〜15mm程度の無定形板状に、FRPは粉状から15mm程度の短冊状に粉砕されることとなる。この粉砕作業において繊維強化複合体10における被覆15(ABS樹脂)と中芯12(FRP)とは完全に分離される結果となった。なお、ここではスクリーン(ふるい)にはφ10mmのものを使用した。
【0018】
続いて、微粉砕機(商品名:HA-2542、ホウライ鉄工所製)を用いて、上記のように分離されたABS樹脂やFRPを微粉砕し、一時間当たり約200kgの微粉砕品を得た。なお、スクリーン(ふるい)にはφ2mmのものを使用した。微粉砕品のGC(炭酸カルシウム含む)を測定したところ40wt%であり、この値からFRPとABS樹脂の体積分率を算出するとFRPが40vol%、ABS樹脂が60vol%となる(以上、粉砕工程)。
【0019】
微粉砕品を80℃に設定したオーブンにより8時間乾燥させた後、ラボプラストミルによりABS樹脂の軟化温度以上で混練し、混練の結果得られた塊状の混練物を取り出す(混練工程)。この混練物は、リサイクル成形品となすべく冷却機構を備えた10トンホットプレス機にて150mm角で4mm厚の平板に成形する。この際の油圧は例えば4.9〜14.7Mpa、温度200〜220℃と設定した(成形工程)。
【0020】
また、実施例2として、繊維強化複合体10の中芯12(ABS樹脂)のB格品を別途粉砕したリサイクルペレット(φ数ミリ)を乾燥させ、上記実施例1における微粉砕品に混合し、ラボプラストミルにて混練を施して、ホットプレス成形を行った。以下、実施例1および2、並びに参考例(混練工程がないもの)の成形結果、曲げ強度、及び曲げ弾性率の試験結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
実施例1、2と参考例とを比較すれば、乾燥後、ABS樹脂の軟化温度以上で混練することにより、リサイクル成形品の強度が向上することが明らかである。ここでは実際に50%以上の強度向上が見られた。また、表面性状をみても、実施例1、2の成形品はいずれも表面滑らかで均一性がある一方、参考例では表面に孔が生じていたりして不均一性は否めなかった。
【0023】
このリサイクル成形品は、表面の均一性と適度な強度を備えるものであるから、コンクリート型枠、引き抜き型枠、メタルフォームの代替品、床材(タイル等)、道路舗装材、花壇縁石、U字溝とその蓋、プランター、ならびに植木鉢等に使用することができる。また、リサイクルされた成形品自体も上記と同様のリサイク工程を経て100%リサイクルが可能である。
【0024】
===比較例1===
FRPの充填材として原料に戻すことを考慮し、比較例1として以下のような実験を行った。実施例1の微粉砕機を使用して繊維強化複合体10の粗粉砕品を微粉砕(φ1mmパス)し、更に、別の極微粉砕機にて極微粉砕を行った。この粉砕品は極微粉砕を経たとはいえ炭酸カルシウムの粒度にはほど遠い粗い粒子となった。そこで、粒径分布の目安とするため、目開きの異なる金網を張った円形の篩を重ねて約10分間振るうことによりふるい分けを行うと、表2の結果を得た。
【0025】
【表2】
【0026】
全体として粒径はかなり粗いが、FRP分は150μm以下の比較的細かいものが多く、粗いものは熱可塑性樹脂分が多い結果となった。処理時間を長くしても500μm以上の粗いものはなくならなかった。篩目開き150μmパス品(GC75wt%)を不飽和ポリエステル(商品名:ユピカ3464、日本ユピカ株式会社製)中に10部入れて放置し容器中の沈降状態を観察し、また、比較のため炭酸カルシウム(NS#200)を15部入れたものについても同様に沈降状態の観察を行ったところ、攪拌後、2時間放置したが共に沈殿は生じなかった。
【0027】
不飽和ポリエステル樹脂中に上記150μmパス品を10部、15部、20部と入れて、更に常温硬化型の触媒を添加し常温硬化させた後、80℃で1日硬化させることで、幅25mm、厚さ10mmの板状試験片を作成しその曲げ試験を行った。その結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
150μmパス品を20部混合すると板状試験片の曲げ強度は34.3Mpaとブランク(52.0Mpa)の2/3程度に低下した。以上のように、微粉砕品(或いは極微粉砕品)を充填材として原料に戻すことは可能であるが、その100%全量を戻すことは困難である。
【0030】
===比較例2===
実施例1で使用した粗粉砕機を使用して繊維強化複合体10の端尺物等を粗粉砕(篩目開き10mmをパスする程度)し、繊維強化複合体10の中芯12及び被覆15としてリサイクルする試みを以下のように行った。ABS樹脂に乾燥した粗粉砕品を5部、10部、15部、20部と混合し、押し出し成形、及び真空サイジングにより中芯成形を試みたところ、混合量が5部では表面荒れが発生するものの中芯として問題ないものが形成できた。混合量10部以上では、押出機の圧力変動を生じ性状が不安定となった。
【0031】
そこで、ABS樹脂ペレットに粗粉砕品を20部混合して押出した後、これを粉砕して混合する方法を採用してみると、粗粉砕品の混合量10部相当程度まではリサイクル可能であることがわかった。ただし、これ以上の混合量では押出機が不安定になり、また、押出物に伸びが無いためドラフトをかけることが出来ず切断した。
【0032】
被覆15へのリサイクルについても同様に、ドラフトを極力抑えることにより混合量10部程度までは可能であることが判明したが、形成された品の表面状態は混合量2部相当でも荒れるため、2層被覆ダイスを使用して表面層にはバージン樹脂を使用する必要があることも判明した。
【0033】
以上のように中芯12及び被覆15へのリサイクルにおいては、リサイクルできる量(比率)は非常に少ない事が明らかとなった。
【0034】
===実施例3===
この実施例においてはリサイクル対象として繊維強化複合体10の切断屑を集塵機で集めて使用した。切断屑のGCは40wt%、FRPは40vol%、ABS樹脂が60vol%である。また、不飽和ポリエステル樹脂は繊維強化複合体の生産後に残った未硬化の樹脂を使用した。
【0035】
内型として開口部の寸法が312L×180W×90H(mm)のSUS製のバットを、外型として同様の開口部寸法が343L×200W×100H(mm)のSUS製のバットを使用してリサイクル成形品を形成した。前記外型と内型の間に厚さ5mmのスペーサーを入れて浮かせ、この間に以下の組成の混合樹脂を入れ、そのまま常温硬化させる。
【0036】
【0037】
硬化時の発熱を抑制するため内型に水を入れ、また、外型と共にプラスチックバット中に入れ、このバットにも水を入れると好適である。このようにして、厚さ10〜15mmで表面が御影石状のリサイクル成形品を得ることができた。
【0038】
このリサイクル成形品の物性を評価するため、長さ240.77×幅31.21mmの内側をテフロンコートした金型を使用し、切断屑の充填量を変えて(0、10、15、20部)曲げ試験片を作成した。硬化後の寸法(収縮率)測定結果を表4に、曲げ試験結果を表5に示す。
【0039】
【表4】
結果から分かるように硬化収縮率は切断屑を入れていない場合と、約20部添加した場合とで約倍以上の開きがあり、切断屑をいれた場合、確実な硬化収縮率改善効果を得られる。
【0040】
【表5】
【0041】
なお、曲げ試験はスパン160mm、曲げ速度5mm/minにて行った。試験の結果から、曲げ強度はバージン樹脂と比べて向上はしないものの、側溝や縁石などとして十分使用可能な値であることが明らかである。
また、切断屑中のABS樹脂粉末による効果(熱可塑性樹脂の複合効果)により、硬化物(リサイクル成形品)の収縮、発熱の抑制と共に、耐衝撃性、強度が改善される。この硬化物は表面が御影石状となり、駐車場、花壇の縁石、プランターや側溝などにも使用できる。
【0042】
===実施例4===
この実施例におけるリサイクル対象としては、実施例1の微粉砕機を使用して繊維強化複合体10の粗粉砕品を微粉砕したものを採用する。この微粉砕品のGCは40wt%でFRP部分の体積分率は40wt%、ABS樹脂部分の体積分率は60wt%である。金型内に微粉砕品と未硬化の不飽和ポリエステル樹脂とを混合させたものを以下の組成比により充填し、100℃で成形硬化し100×100×5(mm)の板状物を得た。
【0043】
組成比
微粉砕品 ……75
未硬化の不飽和ポリエステル樹脂 ……25
(商品名:ユピカ3464、日本ユピカ株式会社製)
100℃硬化触媒 ……1.25
(カヤエステルO-50・・・1.01 トニゴノックス29B-75・・・0.25)
この実施例4における前記板状物について、曲げ試験を行って物性評価を行った。その結果を表6に示す。
【0044】
===実施例5===
繊維強化複合体10の粗粉砕品を用いたこと、および組成比を下記のようにしたこと以外は、上記実施例4と同様にリサイクル成形品たる板状物を形成した。
【0045】
組成比
微粉砕品 ……75
未硬化の不飽和ポリエステル樹脂 ……25
(商品名:ユピカ3464、日本ユピカ株式会社製)
130℃硬化触媒 ……0.5
(カヤブチルB)
この実施例5における前記板状物について、曲げ試験を行って物性評価を行った。その結果を表6に示す。
【0046】
===参考例2、3===
組成比を下記のようにした以外は実施例4と同様にリサイクル成形品たる板状物を形成した。
【0047】
組成比(参考例2)
微粉砕品 ……60
未硬化の不飽和ポリエステル樹脂 ……40
(商品名:ユピカ3464、日本ユピカ株式会社製)
100℃硬化触媒 ……2.0
組成比(参考例3)
微粉砕品 ……67
未硬化の不飽和ポリエステル樹脂 ……33
(商品名:ユピカ3464、日本ユピカ株式会社製)
100℃硬化触媒 ……1.65
【0048】
===比較例3===
未硬化の不飽和ポリエステル樹脂を混合しないで、200℃の加熱成形を行ったこと以外は実施例4と同様にリサイクル成形品たる板状物を得て曲げ試験を行った。その結果は表6に示す。
【0049】
===比較例4===
繊維強化複合体10の粗粉砕品を用いたこと、および未硬化の不飽和ポリエステル樹脂を混合しないで、200℃の加熱成形を行ったこと以外は実施例4と同様にリサイクル成形品たる板状物を得た。
【0050】
【表6】
【0051】
結果から分かるように、実施例4および5における曲げ強度はバージン樹脂と比べて向上はしないものの、側溝や縁石などとして十分使用可能な値であることが明らかである。その他の参考例2、3と比較例3、4においては、曲げ強度が極端に低下してしまったり、熱硬化性樹脂のはみ出しやガラス繊維の毛玉化などリサイクル成形品の状態が不良となる結果となった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層より形成される繊維強化複合体のリサイクル方法であって、前記繊維強化複合体を粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練する混練工程と、混練された繊維強化複合体を成形固化させる成形工程とを備えることを特徴とする。
【0053】
したがって、繊維強化複合体全量を対象としたリサイクルを他に廃棄物を伴うことなくクリーンかつ簡便に行うことができる。また、リサイクルにあたって繊維強化複合体に含まれる未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる必要もなくなるためリサイクル工程の単純化を図ることができ、作業全体の効率とコストとを大幅に改善することにもつながる。
【0054】
更に、リサイクルすることで生み出されるリサイクル成形品の強度特性や表面性状なども適度かつ均一なものであるため、従来の各種建設資材と共に花壇の縁石、プランター、タイルなどの床材、並びに植木鉢など広範な範囲に亘る応用も可能となっている。しかも、このリサイクル成形品自体がリサイクル対象となりうる上、そのリサイクル方法も本発明のリサイクル方法を適用することで上記に述べたのと同様の全量を対象としたクリーンかつ簡便なリサイクルを行うことができるのである。しかして、繊維強化複合体に関していえば、本発明のリサイクル方法を適用する限り、ほぼ完全な再生循環サイクルを確立でき、環境上並びに経済上も著しい貢献を行うことととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてリサイクル対象となる繊維強化複合体の構造を示す説明図である。
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層より形成される繊維強化複合体のリサイクル方法であって、
前記繊維強化複合体を粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練する混練工程と、混練された繊維強化複合体を成形固化させる成形工程とを備え、
前記混練工程において、
前記粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体に未硬化の熱硬化性樹脂を混合してから、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練し、
前記成形工程において、
前記未硬化の熱硬化性樹脂が混合された繊維強化複合体を成形硬化させることを特徴とする繊維強化複合体のリサイクル方法。 - 熱可塑性樹脂からなる中空部を備える中芯と、補強繊維を熱硬化性樹脂で一体に結着してなり前記中芯外周を被覆する中間層と、該中間層を被覆し熱可塑性樹脂よりなる外層との三層、あるいは前記中間層と外層との二層より形成される繊維強化複合体のリサイクル方法であって、
前記繊維強化複合体を粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体を熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して混練する混練工程と、混練された繊維強化複合体を成形固化させる成形工程とを備え、
前記混練及び成形工程において、
前記粉砕工程により粉砕された繊維強化複合体に未硬化の熱硬化性樹脂を混合し、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱して加圧硬化させることを特徴とする繊維強化複合体のリサイクル方法。
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