JP4377478B2 - 液体試料分析装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透光性容器中の血漿を光学的に分析する血液凝固測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫測定や血液凝固測定や生化学測定などの測定では、透光性容器に血漿や血清などの検体に所定の測定試薬を添加した試料を、散乱光や透過光などで光学的に検出して測定することが一般的に行われている。
【0003】
これらの測定は、試料の温度条件や攪拌条件などの反応条件が異なるとその測定結果も異なってくることが多い。そのため、測定結果の精度を上げようとすれば反応条件を一定にしなくてはならず、近年では検体や試薬の分注、その攪拌等の作業を全て自動化した分析装置が提供されるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、全自動分析装置は高価で大型であるので、検体数が多くない施設などでは、やはり用手法で検体や試薬を分注するような分析装置、いわゆる半自動分析装置が用いられている。それらの半自動分析装置では反応を開始させる試薬分注を用手法で行うため。その操作の僅かな差でも測定結果に誤差を生じ易く、測定の際には操作の熟練が要求される。この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、試薬を用手法でピペットにより分注する半自動分析装置においても、再現性の良い測定結果をうることが可能な血液凝固測定装置を提供するものである。
【0005】
本発明は透光性容器を離脱可能に収納する収納部と、収納部を外乱光から遮る開閉可能なカバーと、収納部に収納された透光性容器に光を照射する光源と、透光性容器を介しての光を検出する光検出器とを備え、血漿を収容した透光性容器に試薬をピペットで分注して光学的測定する血液凝固測定装置において、カバーは開放時には半固定的に保持され、その状態でピペットの先端部が透光性容器の内壁に接触してピペットの分注位置決めができる支持部がカバーに構成されていることを特徴とする血液凝固測定装置を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は検体と測定試薬とを反応させた試料を光学的に測定する分析装置に広く用いることができる発明である。その一例として、血液凝固測定装置が挙げられるが、これは人を含む哺乳動物の血漿に試薬を加えた後の凝固能を測定するもので、測定項目としては、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノーゲン量(Fbg)などがある。それらの測定は多段階の反応によるものを測定するため反応条件の僅かな差による影響を受けやすい。
【0007】
本発明に用いられる透光性容器とは、通常サンプルチューブやキュベットと呼ばれるガラス製や樹脂製の小型容器をさし、特に形状には制限がなく、円柱状や角柱状やそれらの組み合わせた形状のものが知られている。
本発明に用いられる収納部とは、上記透光性容器を収納するもので、収納された透光性容器に光を照射する光源と、透光性容器を介して光源からの光を検出する光検出器との間の光路を遮らないように構成されている。
【0008】
本発明に用いられるカバーとは、収納部に透過性容器を収納した状態で開閉可能に構成され、光学的測定中に収納部に収納された透過性容器に外乱光が入らないようにするもので、これらの分析装置で通常用いられるものである。カバーが開放時に半固定的に保持されるとは、カバーを開放した際にはその開放位置で停止することができるようになっていることをいう。
本発明に用いられるカバーの開放時にピペットの分注位置決めができる支持部とは、ピペット先端を透光性容器の内壁に当てて試薬等を分注する際にピペットの位置決めができる支持部がカバーに設けられていることをいう。この支持部は、開放したカバーの収納部側に凹凸などピペットを支持するのに適した形状が設けられていることをいう。この形状は用いるピペットに合わせて構成されることが好ましい。
【0009】
本発明に用いられる光源とは、光学的測定に用いるものあれば良く、例えば発光ダイオード等が適宜その測定原理に応じて用いられる。
本発明に用いられる光検出器とは、光学的測定に用いるものであれば良く、例えばフォトダイオード等が適宜その測定原理に応じて用いられる。そして、透過光量の変化を検出する場合には、光源と光検出器とが容器を挟んで直線上に互いに対向して配置され、散乱光量の変化を検出する場合には、光源と光検出器とが互いの光軸が容器のほぼ中央でほぼ直交するように配置されることが好ましい。
【0010】
以下図面を用いて本発明の液体試料分析装置の実施例として、血液凝固測定装置について説明をする。
図1は本発明の血液凝固測定装置本体を示す図である。測定装置本体1には、検出部2、サンプルチューブホルダ21、試薬加温部22、操作部23、表示部24、印字部25が設けられている。サンプルチューブホルダー21は測定に用いる透光性容器であるサンプルチューブ304を用意しておくためのホルダーである。試薬加温部22は測定に用いる測定試薬を予め37℃に保温しておくための加温部である。検出部2はサンプルチューブ304を収納して光学的測定を行う検出部である。
【0011】
図2は検出部2の断面図で、図3がその分解斜視図である。
検出部2は、サンプルチューブ304を離脱可能に収納する収納部材3と、収納部材3を支持するハウジング7と、ハウジング7の底部に設置された収納部材3を揺動させる揺動手段としてのモータ8と、ハウジング7に上部に設けられた開閉可能なカバー部材9とを備える。
【0012】
収納部材3は有底の円筒部を弾性的に支持する弾性ホルダー4とフレキシブル配線板5とチューブホルダー6とを備える。弾性ホルダー4は円筒部12とリング13と弾性部材14とからなる樹脂製であり、一体成型されたものである。弾性部材14は帯板をS字形に屈曲させた形に成形されているため、円筒部12はリング13に対して弾性部材14を介して弾性的に吊り下げられることになる。そしてリング13によってハウジング7に装着される。
【0013】
チューブホルダー6は弾性ホルダー4の円筒部の内壁に設けられた溝308、309に沿って円筒部12内に挿入され固定される。チューブホルダー6にはヒータ15及びサーミスタ16を備え、サンプルチューブ304を所定温度に保温するようにされている。
【0014】
フレキシブル配線板5は第1及び第2光源としてのLED10、11と、第一及び第二光検出器としてのフォトダイオード10a、11aを備え、円筒部12の外周に巻き付けられ固定される。LED10、11の発光部およびフォトダイオード10a、11aの受光部は、円筒部12の側壁の貫通孔(図示せず)を介して円筒部12の内壁からそれぞれ露出する。
これによって、LED10と11は、収納孔に収納されたサンプルチューブの軸心に対して並行に上下に配列され、フォトダイオード10aはLED10からの光がサンプルチューブを透過した透過光を受光できるように、LED10に対向して配置される。フォトダイオード11aはLED11からの光がサンプルチューブの内容物によって散乱した光を受光するためにLED11とフォトダイオード11aの光軸がサンプルチューブの軸心で直交するように配置される。
【0015】
モータ8は収納部材3と係合する係合部材8を備える。係合部材8aは、出力軸に対して偏心し収納部材3の底部の穴301に遊嵌し、出力軸の回転に伴う偏心した係合部材8aの円弧運動により収納部材3が揺動するようになっている。
【0016】
図4は検出部を覆うカバー部材9の平面図で、図5、6は側面断面図である。カバー部材9はカバー17とカバー基部18とからなり、カバー17が軸302を中心に回転して開閉するようにされている。カバー部材9は分析装置本体1の表面で、カバー開放時にサンプルチューブ304を着脱できるように検出部2の上部に取り付けられる。カバー開放時にはカバー17がほぼ垂直に開いた状態で停止して保持されるようになっている。カバー17の開放側には支持部20が、ピペット306のピペットチップ307の形状に対応させた形に設けられている。すなわち、図6のようにテーパをつけて下部が細くなってゆく円弧状の溝が形成されている。図8のようにピペット306で試薬等を分注する際に、サンプルチューブ304内壁の開放したカバー17と対向側にピペットチップ307先端を当て、ピペットチップ307側部をカバー17の支持部20に当てると、ピペットチップ307先端の位置は自ずとサンプルチューブ304内壁の一定の範囲にくるようになる。
【0017】
このカバー部材9は分析装置本体1と固定ネジ19で固定されていて、固定ネジ19を外すことで容易に着脱ができるようになっている。そして、このカバー部材9は方向を変えて取り付けることができるように固定ネジ19に対応したネジ穴が複数箇所に設けられている。それでカバー部材9の取り付け方向を変えることによって、カバー17の開閉方向を操作者のおもうように変えることができる。このことにより、右利きの操作者と左利きの操作者の両者に対しても対応することができる。さらに開閉方向を前側に変えるることによって、試薬分注時にこのカバーの支持部20を使用しないという使い方も可能である。
【0018】
次に図7、8を参照して、本分析装置を用いた測定手順を説明する。
測定をする前には図7のように、測定に必要な数量のサンプルチューブ304をサンプルチューブホルダー22にセットする。測定に使用する測定試薬をサンプルカップ303に分注して、試薬加温部21にセットして充分に加温させておく。
【0019】
まず、所定量の血漿をピペットでサンプルチューブホルダー22のサンプルチューブに注入して、カバー17を開けて検出部2に挿入してセットする。そして、操作部23の測定開始スイッチを押すと、チューブホルダー6に設けられたヒータ15によりサンプルチューブ内の血漿の加温が始まり、添加する試薬名と試薬添加タイミングまでの時間が分析装置の表示部24にカウントダウン表示される。
【0020】
試薬添加タイミングに達するとアラームが鳴り始め、検出部LED305が点滅する。それまでに添加する試薬を試薬加温部21からピペット306で吸引して、図8のようにピペットチップ307を検出部2のカバー17内側の支持部20である円弧状の溝に当て、ピペットチップ307の先端をサンプルチューブ304内壁に当てて分注位置決めをする。そして、この試薬添加タイミング中にピペット306から試薬を排出してサンプルチューブ304内壁に沿わせて添加して、カバー17を閉める。
【0021】
試薬の添加によって、フォトダイオード10aによる透過光の検出値が変化することにより、サンプルチューブ304への試薬添加が検出される。カバー17の支持部20を用いることによって、試薬はサンプルチューブの内壁面の一定方向に沿って分注される。このようにサンプルチューブ304の一定の内壁面に分注がされるので、用手法であるが試薬分注が安定して行なえ、測定の再現性を向上することができる。又、カバーの開閉方向を左右に取り付け変えてもその対向方向の内壁面に沿って分注されるので、試薬添加検出のための透過光はその分注される対向方向の内壁面を通過して検出されるようにすれば、試薬添加の検出も確実に行なえる。
【0022】
分析装置は試薬添加を認識すると、モータ8を駆動して所定時間収納部材3の揺動攪拌を行い、サンプルチューブ内の試料を攪拌する。
試薬添加により、フォトダイオード11aがサンプルチューブ内の試料による散乱光の検出を開始し、試料の凝固時間測定を行う。この測定の際にはカバー17を閉めておかなければ、外乱光によって測定結果に誤差が生じるので、所定時間以内にカバー17を閉めなければ警告を発するようにされている。
【0023】
尚、第二試薬が必要な測定項目では、第一試薬添加後に再び添加する第二試薬名と試薬添加タイミングまでの時間が表示部24にカウントダウン表示される。そして第二試薬添加により、上記と同様の攪拌測定を行うようにされている。
【0024】
本分析装置1では、検出部2を複数架設しているので、測定が終了するのを待つことなく次の測定を操作部23に入力して測定してゆくことができる。それらの測定状態は表示部24に検出部別に表示され、測定が終われば印字部25よりその測定結果がそれぞれ印字される。
【0025】
【発明の効果】
本発明の血液凝固測定装置では、このようにピペットで試薬等をサンプルチューブに分注する際にカバーに設けられた支持部にてピペットの位置決めができるので、分注を安定して行うことができる。そのため分注の再現性が上がり、測定結果も高い再現性を得ることができる。又、試薬添加のサンプルチューブ内壁方向も一定となるので試薬添加の光学的検出も確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の分析装置本体の図
【図2】本発明の実施例の分析装置の検出部の断面図
【図3】本発明の実施例の分析装置の検出部の分解斜視図
【図4】本発明の実施例の分析装置のカバーの上面図
【図5】本発明の実施例の分析装置のカバーの断面図
【図6】本発明の実施例の分析装置のカバーの断面図
【図7】本発明の実施例の分析装置の試薬準備の図
【図8】本発明の実施例の分析装置の試薬添加の図
【符号の説明】
1 本体
2 検出部
3 収納部材
4 弾性ホルダー
5 フレキシブル配線板
6 チューブホルダー
7 ハウジング
8 モータ
9 カバー部材
10 LED
10a フォトダイオード
12 円筒部
13 リング
14 弾性部材
17 カバー
18 カバー基部
19 固定ネジ
20 支持部
Claims (4)
- 透光性容器を離脱可能に収納する収納部と、収納部を外乱光から遮る開閉可能なカバーと、収納部に収納された透光性容器に光を照射する光源と、透光性容器を介しての光を検出する光検出器とを備え、血漿を収容した透光性容器に試薬をピペットで分注して光学的測定する血液凝固測定装置において、
カバーは開放時には半固定的に保持され、その状態でピペットの先端部が透光性容器の内壁に接触してピペットの分注位置決めができる支持部がカバーに構成されていることを特徴とする血液凝固測定装置。 - カバーが軸中心に開閉し、支持部がカバーの収納部側にピペットの形状に対応した形状で構成されていることを特徴とする請求項1記載の血液凝固測定装置。
- カバーは開閉方向を変えて装置本体に取り付けることができることを特徴とする請求項1記載の血液凝固測定装置。
- 試薬添加検出用光源および試薬添加検出用光検出器をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の血液凝固測定装置。
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