JP4376529B2 - アルミニウム表面の塗装方法及びアルミニウム用塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のアルミホイール等のアルミニウム表面の防食及び硬度向上ができる塗装方法及びアルミニウム用塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開昭64−30749号公報
【特許文献2】
特開平6−57177号公報
【特許文献3】
特公平7−77777号公報
アルミニウムは極めて反応性に富む材料であるため、空気中では直ちに酸化されて不動態皮膜を形成する。そのため、アルミニウム材料への塗装においては密着性が問題となってきた。また、アルミニウムは(不動態としての酸化アルミニウムも)酸・アルカリに反応するため腐蝕が問題となってきた。そこで、自動車のアルミホイール等においては、まず電着塗装によって防錆を施し、その後有機塗料によって保護塗装を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、保護塗装に用いられる有機塗料は乾燥しても軟らかいため、飛んでくる小石等からアルミホイールを守るため、4〜5工程の有機塗料塗装→乾燥を繰り返して200μm程度の厚さまで保護塗装を行っている。このため、全塗装工程に長時間を要し、塗装ラインの長さも長くなり、またコストも高くなる。さらに、保護塗装の硬度は有機塗料であるため鉛筆硬度でH程度であり大変摩擦に弱いという問題点があった。また、上記特許文献1,2,3においても、アルミニウム酸化膜を除去せずに塗装を行っているため、アルミニウム活性面と塗料成分との直接の結合は生ぜず、塗膜の密着性にも限界があるという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、塗装工程を短縮することによって塗装ラインも短くでき、低コスト化を図ることができるとともにアルミニウム活性面と塗料成分とを直接結合させ、さらに表面硬度を向上させることができるアルミニウム表面の塗装方法及びアルミニウム用塗料の提供を課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を塗布し乾燥硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程とを具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、前記アルミニウムの表面に対するアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理は不活性ガス雰囲気中で実施するものである。
【0006】
アルミニウムに対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子をブラスト処理すると、表面の酸化膜を除去してアルミニウムの活性面が表れるとともに、ブラスト処理による凹凸により表面積が著しく拡大される。この活性表面にポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応させた塗料によって皮膜を形成すると、ブラストによって凹凸ができた表面に球状シリカを高密度で充填した皮膜を形成することができる。イソシアネートによってアルミニウム表面とシリカ表面を反応結合させることで高い密着性を獲得することができる。そしてその結果、耐食性に優れたアルミニウム表面を得ることができる。また、シリカ同士が緻密に結合した強度硬度の高い皮膜が形成される。
【0007】
ブラスト処理を空気中で実施しても実際には殆ど不都合は生じないが、表面の酸化膜を除去して表れたアルミニウムの活性面が酸化されて不動態化されてしまう恐れがある。そこで、アルミニウムを窒素・アルゴン等の不活性ガス雰囲気中において、アルミナ粒子を吹き付けるガスも不活性ガスを用いてブラスト処理することによって、アルミニウムの活性面が確実に安定に保たれる。また、アルミニウムの粉塵爆発の危険性を大幅に減少させることができる。
【0008】
このように、ブラスト処理におけるアルミニウムの活性面が確実に安定に保たれるので、ブラスト処理と塗装の僅か2工程でアルミニウム表面に耐食性に優れ硬度の高い皮膜を形成することができ、処理時間とライン長さを大幅に短縮でき、低コスト化を図ることができる。
【0009】
請求項2の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1の構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされているものである。
【0010】
かかる塗料をアルミニウム表面の塗装に用いるのは、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成されるからである。アルミニウム表面との反応は、ブロック剤は100℃以上でイソシアネート基から分離するが(例えば、ε−カプロラクタムをブロック剤とした場合は140℃)、アルミニウム表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。加熱によってアルミニウム表面の吸着物質を除去してイソシアネート基が反応するのはアルミニウム表面の水酸基であると思われる。したがって、イソシアネート基と水酸基による強固なウレタン結合が得られることとなる。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成されたものと思われる。
【0011】
請求項3の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1または請求項2の構成において、前記コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が10nm〜20nmであり、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが10〜25であるものである。
【0012】
コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が10nm〜20nmと微細であることによって、電気二重層が形成され、水中で安定分散する。本発明の塗料は有機溶剤分散型であるために、例えば溶剤がキシロールの場合はn−ブタノールを添加して安定分散させている。そして、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが10〜25であるときに、非常に高い密度のシリカ粒子の皮膜が形成される。ポリイソシアネートがこれより多い場合はシリカ同士の密度が低下して皮膜の強度と硬度が低下し、これより少ない場合はシリカ同士の結合力が低下して皮膜の曲げ強度が低下する。
【0013】
請求項4の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項3の構成において、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが18.75であるものである。
【0014】
固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが18.75であるときに、最も高い密度のシリカ粒子の皮膜が形成される。これによって、最高の強度と硬度を有するシリカ粒子の皮膜を得ることができる。
【0015】
請求項5の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の粒子径が40μm〜200μmであるものである。
【0016】
これによって、アルミニウム表面の酸化アルミニウムの不動態層を迅速に除去してアルミニウムの滑らかな(表面粗度1μm〜5μm)活性表面を露出させることができる。
【0017】
請求項6の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm〜20μmであるものである。
【0018】
これによって、短時間で確実にアルミニウム表面の酸化アルミニウムの不動態層を迅速に除去してアルミニウムの滑らかな活性表面を露出させることができる。
【0019】
請求項7の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の条件が圧力0.3〜0.5MPa、噴射スピード50〜100m/秒であるものである。
【0020】
かかる条件でブラスト処理を行った場合、滑らかな活性度の高いアルミニウム表面が確実に得られ、次の塗装工程を順調に実施することができる。
【0021】
請求項8の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか1つの構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して塗布するものである。
【0022】
前記反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して反応させ、塗布することによって、塗装表面においてマジック等による油性汚染に対する有効な除去方法とすることができる。特に、前記反応塗料ではシリカ粒子の高い密度の皮膜を形成するために、油性汚染物が皮膜中に拡散する速度を低下させることができるので、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かすことができ、マジック汚染等を防止することができる。
【0023】
このようにして、油性汚染を防止することができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0024】
請求項9の発明にかかるアルミニウム用塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、顔料と、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされているアルミニウム用塗料であって、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有する下記化学式[化1]と[化2]または[化1]と[化3]で示されるシリコーン化合物を添加したものである。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
かかる塗料をアルミニウム表面の塗装に用いるのは、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成されるからである。アルミニウム表面との反応は、ブロック剤は100℃以上でイソシアネート基から分離するが(例えば、ε−カプロラクタムをブロック剤とした場合は140℃)、アルミニウム表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。加熱によってアルミニウム表面の吸着物質を除去してイソシアネート基が反応するのはアルミニウム表面の水酸基であると思われる。したがって、イソシアネート基と水酸基による強固なウレタン結合が得られることとなる。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成されると考えられる。
【0029】
前記反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して反応させ、塗布することによって、塗装表面においてマジック等による油性汚染に対する有効な除去方法とすることができる。特に、前記反応塗料ではシリカ粒子の高い密度の皮膜を形成するために、油性汚染物が皮膜中に拡散する速度を低下させることができるので、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かすことができ、マジック汚染等を防止することができる。
【0030】
このようにして、アルミニウム表面に強固で緻密な塗膜を形成することによって、アルミニウム表面を腐蝕や傷から防護することができるとともに、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かして油性汚染を防止することができるアルミニウム用塗料となる。
【0031】
請求項10の発明にかかるアルミニウム用塗料は、請求項9の構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に前記顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合したものである。
【0032】
ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に顔料を加えてなる請求項9の発明にかかるアルミニウム用塗料は、高い強度と硬度を有するシリカ粒子の皮膜を得ることができる優れた塗料であるが、無機材料のみから成るが故に柔軟性にやや劣り、塗膜を形成したアルミニウム材料を曲げ加工等したときに塗膜にクラックが入ることがある。そこで、有機樹脂を適量混合することによって、塗膜の脆さを補うことができるが、シリカ粒子の皮膜の緻密さを落とさずに塗膜の柔軟性を確保するためには、顔料を除いた無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合することが必要である。
【0033】
このようにして、高い強度と硬度を維持しながら曲げ加工等の際にクラックを生じない柔軟性をも兼ね備えた塗膜が得られるより優れたアルミニウム用塗料となる。
【0034】
請求項11の発明にかかるアルミニウム用塗料は、請求項10の構成において、前記有機樹脂はアクリル樹脂またはポリエステル樹脂であるものである。
【0035】
ここで、「アクリル樹脂」とは主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体例えばアクリルアミド、アクリロニトリル等の重合体を包含する高分子化合物の総称であり、「ポリエステル樹脂」とは主鎖にエステル結合(−CO−O−)をもつ高分子物質の総称で、多価アルコールと多塩基酸との重縮合体である。
【0036】
アクリル樹脂及びポリエステル樹脂は、有機樹脂の中でも強度と硬度に優れたものであり、アルミニウム用塗料に混合しても無機バインダの高い強度と硬度を殆ど落とすことがない。したがって、例えば自動車のアルミホイールに塗布した場合でも、飛んできた小石等に当っても塗膜に傷が付くことがない。
【0037】
このようにして、高い強度と硬度を維持しながら曲げ加工等の際にクラックを生じない柔軟性をも兼ね備えた塗膜が得られるより優れたアルミニウム用塗料となる。
【0038】
請求項12の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合した有機無機混合塗料を塗布し加熱硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程とを具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、前記ブラスト処理後の粉塵清掃に不活性ガスを吹き付けるものである。
【0039】
アルミニウムに対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子をブラスト処理すると、表面の酸化膜を除去してアルミニウムの活性面が表れる。この活性表面にポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に所定の重量比以下で有機樹脂を混合した有機無機混合塗料を塗布することによって、ブラストによってアルミニウムの活性面が表れた表面に球状シリカを高密度で充填した皮膜を形成することができる。そして加熱硬化させることでイソシアネートによってアルミニウム表面とシリカ表面を反応結合させることで高い密着性を獲得することができる。そしてその結果、耐食性に優れたアルミニウム表面を得ることができる。また、シリカ同士が緻密に結合した強度硬度の高い皮膜が形成されるとともに、有機樹脂を混合したことによって曲げ加工等でもクラックが生じない柔軟性をも兼ね備えた優れた塗膜が得られる。
【0040】
ここで、請求項1の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミニウムの表面に対するアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を不活性ガス雰囲気中で実施することによって、より確実にアルミニウムの活性表面を得ることとしているが、アルミニウムを窒素・アルゴン等の不活性ガス雰囲気中において、アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子を吹き付けるガスも不活性ガスを用いてブラスト処理するのは、装置もコスト高になり不活性ガスも大量に使用しなければならずさらにコストアップとなって経済的でない。
【0041】
実際には、空気中でアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子を吹き付けるガスも空気を用いてブラスト処理を行っても、得られたアルミニウムの活性表面はすぐには酸化されない。そこで、ブラスト処理後にアルミニウムの活性表面に付着して残ったアルミナ粒子またはジルコニア粒子或いはアルミニウムの粉塵を吹き飛ばして清掃するのに窒素・アルゴン等の不活性ガスを用いることによって、次の塗装工程までにアルミニウムの活性表面が酸化されるのを確実に防ぐことができ、コストもかからない。
【0042】
このように、ブラスト処理と塗装の僅か2工程でアルミニウム表面に耐食性に優れ硬度が高く柔軟性をも兼ね備えた皮膜を形成することができるので、処理時間とライン長さを大幅に短縮でき、低コスト化を図ることができる。そして、低コストでブラスト処理の効果を確実に維持することができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0043】
請求項13の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項12の構成において、前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の平均粒子径が10μm〜100μmであるものである。
【0044】
請求項5の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミナ粒子及びジルコニア粒子の平均粒子径が40μm〜200μmであるものを用いているが、その後の研究によってブラスト処理の深さがより浅い方が有利である場合が多いことが分かって、ブラスト処理に用いるアルミナ粒子及びジルコニア粒子の平均粒子径が粗いと短時間で深く削られてしまうため、制御がし難い。そこで、平均粒子径が10μm〜100μmであるアルミナ粒子及びジルコニア粒子を用いてブラスト処理を行うことによって、確実により浅いブラスト処理を行うことができる。
【0045】
請求項14の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項12または請求項13の構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm以下であるものである。
【0046】
請求項6の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さをアルミニウム表面から5μm〜20μmとしているが、その後の研究によってブラスト処理の深さがより浅い方が有利である場合が多いことが分かった。即ち、ブラスト処理の深さの3倍から5倍の厚さに皮膜を形成することによって、十分な防食性が得られることが判明したのである。したがって、ブラスト処理の深さがより浅い方がより薄い皮膜でも高い防食性が得られる。そこで、ブラスト処理の深さをアルミニウム表面から5μm以下とすることによって、短時間で形成できる薄い皮膜でも高い防食性が得られ、工程の短縮化と低コスト化が図れる優れたアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0048】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1について、比較例と比較しながら図1乃至図4を参照して説明する。図1は本発明のアルミニウム表面の塗装方法の実施の形態1で作製した供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。図2は比較例1としてアルミニウム酸化表面のままで塗装のみ施した供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。図3は比較例2としてブラスト処理を亜鉛粒子で行った供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。図4は比較例3としてブラスト処理をニッケル粒子で行った供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。
【0049】
まず、本発明の実施の形態1による供試体の作製方法について説明する。所定の大きさに切り出したアルミニウム板の表面を、窒素雰囲気に置換したブラスト装置の中でアルミナ粒子を用いてブラスト処理する。アルミナ粒子の粒径は約100μm、アルミナ粒子を吹き付けるガスとしても窒素を用い、噴出速度は80m/secである。アルミニウム表面から約10μmの深さまでブラスト処理したら、直ちに吹き付け塗装を行う。このとき、比較のためアルミニウム板の表面の半分をマスキングして塗料が付かないようにしておく。
【0050】
塗料としては、HDMI系ポリイソシアネートとコロイダルシリカを有機溶剤としての乾燥キシロールに溶解・分散させたものを用いている。硬化処理としては、160℃×40分間または180℃×20分間で行った。
【0051】
このようにして作製した供試体を、5%塩水に約2ヶ月間浸漬して防食試験を行った結果を図1に示す。図1に示される供試体1のうち、左側の部分2が塗料が塗られた部分で、右側の部分3がマスキングされて塗料が付かなかった部分である。右側の部分3は塗装されていないので、当然全面が侵食されている。これに対して、左側の部分2は全く侵食されていない。このように、アルミニウム表面に窒素雰囲気下でアルミナ粒子をブラスト処理して非常に活性度の高い表面とし、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を塗装することで、アルミニウム表面にシリカ微粒子の緻密な積層皮膜を形成することができる。
【0052】
この塗装の表面硬度は鉛筆硬度で9H以上を示し、しかも曲げ加工が可能な柔軟性を有する。これは、シリカ微粒子が緻密に積層されているからであり、高い硬度はシリカの硬度である。また、前述の通り、アルミナ粒子のブラスト処理により活性化した表面にシリカ微粒子の積層皮膜を形成すると高い防錆力を発揮するので、防錆処理を簡略化することができる。したがって、本実施の形態1のアルミニウム表面の塗装方法によれば、ブラスト処理と塗装という2工程しかなく大幅な製造工程の効率化を図ることができる。
【0053】
このようにして、塗装工程を短縮することによって塗装ラインも短くでき、低コスト化を図ることができるとともに表面硬度を向上させることができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0054】
なお、本実施の形態1においては、アルミナ粒子を用いてブラスト処理を行ったが、同様の粒径のジルコニア粒子を用いてブラスト処理を行っても、同様に良好な結果が得られた。また、アルミナ粒子とジルコニア粒子を混合して用いることもできる。
【0055】
さらに、上述のHDMI系ポリイソシアネートとコロイダルシリカを有機溶剤としての乾燥キシロールに溶解・分散させた塗料に、両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して反応させ、塗布することによって、塗装表面においてマジック等による油性汚染に対する有効な除去方法とすることができる。シリコーン化合物の具体的な構造式は次式[化1]で示される。
【0056】
【化1】
【0057】
そして、両末端水酸基を有するシリコーン化合物の具体例としては官能基Rが次式[化2]で示されるものである。
【0058】
【化2】
【0059】
また、両末端アミノ基を有するシリコーン化合物の具体例としては官能基Rが次式[化3]で示されるものである。
【0060】
【化3】
【0061】
特に、前記塗料ではシリカ粒子の高い密度の皮膜を形成するために、油性汚染物が皮膜中に拡散する速度を低下させることができるので、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かすことができ、マジック汚染等を防止することができる。
【0062】
[比較例1]
次に、比較例1として、ブラスト処理をせず塗装のみ行った場合について説明する。所定の大きさに切り出したアルミニウム板の表面の半分をマスキングして、実施の形態1と同一の塗料を吹き付け塗装し、同一の条件で硬化させる。このようにして作製した供試体を、5%塩水に約2ヶ月間浸漬して防食試験を行った結果を図2に示す。図2に示される供試体4のうち、左側の部分5が塗料が塗られた部分で、右側の部分6がマスキングされて塗料が付かなかった部分である。右側の部分6は塗装されていないので、当然全面が侵食されている。これに対して、左側の部分5は塗装したにも関わらず塗料が全て剥離してアルミニウム不動態(酸化アルミニウム)の表面が露出している。さらに、表面の一部7では侵食も始まっている。
【0063】
これは、ブラスト処理を行わなかったため、活性化されていない酸化アルミニウムの表面に塗料を塗ることになり、密着性が得られなかったため塗料が剥離してしまったものと考えられる。
【0064】
[比較例2]
次に、比較例2として、ブラスト材料としてアルミナ粒子の代わりに鉄防食用として用いられている亜鉛の粒子を用いた場合について説明する。所定の大きさに切り出したアルミニウム板の表面を、実施の形態1と同様に、窒素雰囲気に置換したブラスト装置の中で亜鉛粒子を用いてブラスト処理する。亜鉛粒子の粒径は約100μm、亜鉛粒子を吹き付けるガスとしても窒素を用い、噴出速度は80m/secである。亜鉛は軟らかいためアルミニウム表面から約5μmの深さまでしかブラスト処理できない。ブラスト処理したら、直ちに吹き付け塗装を行う。このとき、やはり比較のためアルミニウム板の表面の半分をマスキングして塗料が付かないようにしておく。
【0065】
実施の形態1と同一の塗料を吹き付け塗装し、同一の条件で硬化させる。このようにして作製した供試体を、5%塩水に約2ヶ月間浸漬して防食試験を行った結果を図3に示す。図3に示される供試体8のうち、左側の部分9が塗料が塗られた部分で、右側の部分10がマスキングされて塗料が付かなかった部分である。
【0066】
左側の部分9では、供試体の端面から内側にかけて膨れ11が生じている。これは、亜鉛粒子でブラスト処理したためアルミニウム表面と亜鉛粒子が反応して亜鉛の薄膜が形成され、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料との反応はこの薄膜との間で起こり、基材のアルミニウム表面との間では反応は起こらないものと考えられる。基板が鉄の場合は鉄の電位差は−0.44であるのに対して亜鉛は−0.76であり、亜鉛の方が値が大きいので防食効果が期待できるが、アルミニウムの電位差は−1.66であり亜鉛の方が値が小さいのでかえって腐蝕の方に向かうのではないかと思われる。その結果、供試体の端面から亜鉛の薄膜が腐蝕して膨れ11が生じ、塗装皮膜が剥離している。
【0067】
[比較例3]
次に、比較例3として、ブラスト材料としてアルミナ粒子の代わりに腐蝕に強いニッケルの粒子を用いた場合について説明する。所定の大きさに切り出したアルミニウム板の表面を、実施の形態1と同様に、窒素雰囲気に置換したブラスト装置の中でニッケル粒子を用いてブラスト処理する。ニッケル粒子の粒径は約100μm、ニッケル粒子を吹き付けるガスとしても窒素を用い、噴出速度は80m/secである。アルミニウム表面から約10μmの深さまでブラスト処理したら、直ちに吹き付け塗装を行う。このとき、やはり比較のためアルミニウム板の表面の半分をマスキングして塗料が付かないようにしておく。
【0068】
実施の形態1と同一の塗料を吹き付け塗装し、同一の条件で硬化させる。このようにして作製した供試体を、5%塩水に約2ヶ月間浸漬して防食試験を行った結果を図4に示す。図4に示される供試体12のうち、左側の部分13が塗料が塗られた部分で、右側の部分14がマスキングされて塗料が付かなかった部分である。
【0069】
左側の部分13では、程度は亜鉛の場合より小さいながらやはり膨れが生じている。これはニッケル粒子でブラスト処理したためアルミニウム表面とニッケル粒子が反応してニッケルの薄膜が形成され、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料との反応はこの薄膜との間で起こり、基材のアルミニウム表面との間では反応は起こらないものと考えられる。そして、アルミニウムの電位差−1.66に対してニッケルは−0.23でありニッケルの方が値が小さいのでかえって腐蝕の方に向かうのではないかと思われる。その結果、供試体の端面からニッケルの薄膜が腐蝕して膨れが生じ、皮膜内部への侵食が起こっている。
【0070】
このように、ブラスト材料として亜鉛やニッケル等の金属材料を用いると、アルミニウム表面と反応して金属薄膜が形成され、アルミニウムの活性表面にポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を直接塗布することができないため、アルミニウムの防食をすることができない。これに対して、ブラスト材料としてアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子を用いると、アルミニウムの活性表面と反応せずポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を直接塗布することができ、アルミニウム表面の−OH基とイソシアネートの−NCO基が反応して強固な結合ができる。そして、アルミニウム表面にシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成される。
【0071】
[実施の形態2]
次に、本発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法及びアルミニウム用塗料の実施の形態2について、図5を参照して説明する。図5は実施の形態2にかかるブラスト処理後のアルミニウム表面の表面粗度を測定した図である。
【0072】
本実施の形態2においては、アルミニウム用塗料としてHDMI系ポリイソシアネートとコロイダルシリカに白色顔料とアクリル樹脂を添加して、有機溶剤としての乾燥キシロールに溶解・分散させたものを用いている。有機樹脂としてのアクリル樹脂の添加割合は、顔料を除いてHDMI系ポリイソシアネートとコロイダルシリカに対して重量比で約1対1である。即ち、これ以上入れると乾燥塗膜が軟らかくなり過ぎるほぼ限界までアクリル樹脂を添加している。これによって、強度・硬度とともに適度な柔軟性をも兼ね備えた曲げ加工等でもクラックを生じない優れた塗膜が得られる。
【0073】
本実施の形態2においても、防食性の試験のために供試体を作製している。この供試体の作製方法について説明する。所定の大きさに切り出したアルミニウム板の表面を、実施の形態1とは異なり、空気中でブラスト装置の中でアルミナ粒子を用いてブラスト処理する。アルミナ粒子の平均粒径は約30μm、アルミナ粒子を吹き付けるガスとしても空気を用い、噴出速度は80m/secである。この条件でアルミニウム板の表面を一巡ブラスト処理すると、アルミニウム表面から約5μmに近い約5μm以下の深さにブラスト処理される。
【0074】
ブラスト処理後のアルミニウム表面の表面粗度を表面粗度計で測定したものが、図5に示されている。図5に示されるように、上記条件でブラスト処理したアルミニウム表面は表面粗度が±2.5μm以内に収まっており、極めて平滑な面が得られている。
【0075】
ブラスト処理後、直ちにアルミニウム表面に残ったアルミナ粒子及びアルミニウム粉塵を不活性ガスとしてのアルゴンガスを吹き付けることによって、吹き飛ばして清掃する。これによって、ブラスト処理で不動態皮膜(酸化膜)が取り除かれたアルミニウム表面が再び酸化されるのを防ぐことができる。次に、上述した有機無機混合塗料をアルミニウム表面全面に吹き付け塗装し、加熱硬化させる。硬化条件は、170℃×30分間で行った。
【0076】
このようにして作製した供試体に対して、塩水噴霧試験を行って防食性を確認した。塩水噴霧試験はJIS−Z−2371にしたがって行い、供試体を専用容器に入れて塗装面に5%塩水を連続的にスプレーし続けた。塗膜の厚さが異なる2種類の供試体を作製して試験したところ、結果は15μm厚さ(5μmの3倍)の塗膜の場合500時間異常なしであり、25μm厚さ(5μmの5倍)の塗膜の場合1000時間異常なしで、優れた防食性を示した。
【0077】
また、この供試体の塗料にはシリコーン化合物は添加されていないが、塗装後の表面にマジックインク等でマーキングしたり文字を書いたりしても、アクリル樹脂が含まれているにも関わらずインクが塗膜内に浸透せず、アルコールで容易に拭き取ることができる。これは、より細かいアルミナ粒子(平均粒径約30μm)でブラスト処理したことと、コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が約10nm〜約20nmと極めて微細なシリカゾルを用いたことによって、表面に緻密な球状シリカの充填皮膜が形成されているためである。
【0078】
塗料にシリコーン化合物を添加した場合にも、マジックインク等の油性物質の浸透を防止することができるが、この場合にはシリコーン化合物によってマジックインクがはじかれてしまって文字を書くことができない。これに対して、本実施の形態2にかかる供試体では、マジックインクで文字等を書くことができ、しかも簡単に拭き取ることができるので、より使い勝手が良い。
【0079】
さらに、本実施の形態2にかかる供試体の塗膜の表面硬度は鉛筆硬度で5Hであり、実施の形態1の供試体の塗膜よりは劣るが十分に高い硬度を示している。これは、シリカ微粒子が緻密に積層されているからであり、高い硬度はシリカの硬度である。また、前述の通り、アルミナ粒子のブラスト処理により活性化した表面にシリカ微粒子の積層皮膜を形成すると高い防食性を発揮するので、防錆処理を簡略化することができる。したがって、本実施の形態2のアルミニウム表面の塗装方法によれば、ブラスト処理と塗装という2工程しかなく大幅な製造工程の効率化を図ることができる。
【0080】
このようにして、塗装工程を短縮することによって塗装ラインも短くでき、低コスト化を図ることができるとともに表面硬度を向上させることができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0081】
なお、本実施の形態2においては、アルミナ粒子を用いてブラスト処理を行ったが、同様の平均粒径のジルコニア粒子を用いてブラスト処理を行っても、同様に良好な結果が得られた。また、アルミナ粒子とジルコニア粒子を混合して用いることもできる。
【0082】
アルミニウム表面の塗装方法のその他の工程及びアルミニウム用塗料のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を塗布し乾燥硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程とを具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、前記アルミニウムの表面に対するアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理は不活性ガス雰囲気中で実施するものである。
【0084】
アルミニウムに対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子をブラスト処理すると、表面の酸化膜を除去してアルミニウムの活性面が表れるとともに、ブラスト処理による凹凸により表面積が著しく拡大される。この活性表面にポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応させた塗料によって皮膜を形成すると、ブラストによって凹凸ができた表面に球状シリカを高密度で充填した皮膜を形成することができる。イソシアネートによってアルミニウム表面とシリカ表面を反応結合させることで高い密着性を獲得することができる。そしてその結果、耐食性に優れたアルミニウム表面を得ることができる。また、シリカ同士が緻密に結合した強度硬度の高い皮膜が形成される。
【0085】
ブラスト処理を空気中で実施しても実際には殆ど不都合は生じないが、表面の酸化膜を除去して表れたアルミニウムの活性面が酸化されて不動態化されてしまう恐れがある。そこで、アルミニウムを窒素・アルゴン等の不活性ガス雰囲気中において、アルミナ粒子を吹き付けるガスも不活性ガスを用いてブラスト処理することによって、アルミニウムの活性面が確実に安定に保たれる。また、アルミニウムの粉塵爆発の危険性を大幅に減少させることができる。
【0086】
このように、ブラスト処理におけるアルミニウムの活性面が確実に安定に保たれるので、ブラスト処理と塗装の僅か2工程でアルミニウム表面に耐食性に優れ硬度の高い皮膜を形成することができ、処理時間とライン長さを大幅に短縮でき、低コスト化を図ることができる。
【0087】
請求項2の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1の構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされているものである。
【0088】
かかる塗料をアルミニウム表面の塗装に用いるのは、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成されるからである。アルミニウム表面との反応は、ブロック剤は100℃以上でイソシアネート基から分離するが(例えば、ε−カプロラクタムをブロック剤とした場合は140℃)、アルミニウム表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。加熱によってアルミニウム表面の吸着物質を除去してイソシアネート基が反応するのはアルミニウム表面の水酸基であると思われる。したがって、イソシアネート基と水酸基による強固なウレタン結合が得られることとなる。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成されたものと思われる。
【0089】
請求項3の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1または請求項2の構成において、前記コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が10nm〜20nmであり、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが10〜25であるものである。
【0090】
コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が10nm〜20nmと微細であることによって、電気二重層が形成され、水中で安定分散する。本発明の塗料は有機溶剤分散型であるために、例えば溶剤がキシロールの場合はn−ブタノールを添加して安定分散させている。そして、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが10〜25であるときに、非常に高い密度のシリカ粒子の皮膜が形成される。ポリイソシアネートがこれより多い場合はシリカ同士の密度が低下して皮膜の強度と硬度が低下し、これより少ない場合はシリカ同士の結合力が低下して皮膜の曲げ強度が低下する。
【0091】
請求項4の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項3の構成において、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが18.75であるものである。
【0092】
固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが18.75であるときに、最も高い密度のシリカ粒子の皮膜が形成される。これによって、最高の強度と硬度を有するシリカ粒子の皮膜を得ることができる。
【0093】
請求項5の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の粒子径が40μm〜200μmであるものである。
【0094】
これによって、アルミニウム表面の酸化アルミニウムの不動態層を迅速に除去してアルミニウムの滑らかな(表面粗度1μm〜5μm)活性表面を露出させることができる。
【0095】
請求項6の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm〜20μmであるものである。
【0096】
これによって、短時間で確実にアルミニウム表面の酸化アルミニウムの不動態層を迅速に除去してアルミニウムの滑らかな活性表面を露出させることができる。
【0097】
請求項7の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1つの構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の条件が圧力0.3〜0.5MPa、噴射スピード50〜100m/秒であるものである。
【0098】
かかる条件でブラスト処理を行った場合、滑らかな活性度の高いアルミニウム表面が確実に得られ、次の塗装工程を順調に実施することができる。
【0099】
請求項8の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか1つの構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して塗布するものである。
【0100】
前記反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して反応させ、塗布することによって、塗装表面においてマジック等による油性汚染に対する有効な除去方法とすることができる。特に、前記反応塗料ではシリカ粒子の高い密度の皮膜を形成するために、油性汚染物が皮膜中に拡散する速度を低下させることができるので、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かすことができ、マジック汚染等を防止することができる。
【0101】
このようにして、油性汚染を防止することができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0102】
請求項9の発明にかかるアルミニウム用塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、顔料と、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされているアルミニウム用塗料であって、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有する下記化学式[化1]と[化2]または[化1]と[化3]で示されるシリコーン化合物を添加したものである。
【0103】
【化1】
【0104】
【化2】
【0105】
【化3】
【0106】
かかる塗料をアルミニウム表面の塗装に用いるのは、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成されるからである。アルミニウム表面との反応は、ブロック剤は100℃以上でイソシアネート基から分離するが(例えば、ε−カプロラクタムをブロック剤とした場合は140℃)、アルミニウム表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。加熱によってアルミニウム表面の吸着物質を除去してイソシアネート基が反応するのはアルミニウム表面の水酸基であると思われる。したがって、イソシアネート基と水酸基による強固なウレタン結合が得られることとなる。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成されると考えられる。
【0107】
前記反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して反応させ、塗布することによって、塗装表面においてマジック等による油性汚染に対する有効な除去方法とすることができる。特に、前記反応塗料ではシリカ粒子の高い密度の皮膜を形成するために、油性汚染物が皮膜中に拡散する速度を低下させることができるので、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かすことができ、マジック汚染等を防止することができる。
【0108】
このようにして、アルミニウム表面に強固で緻密な塗膜を形成することによって、アルミニウム表面を腐蝕や傷から防護することができるとともに、シリコーン化合物の被付着性を有効に生かして油性汚染を防止することができるアルミニウム用塗料となる。
【0109】
請求項10の発明にかかるアルミニウム用塗料は、請求項9の構成において、前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に前記顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合したものである。
【0110】
ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に顔料を加えてなる請求項9の発明にかかるアルミニウム用塗料は、高い強度と硬度を有するシリカ粒子の皮膜を得ることができる優れた塗料であるが、無機材料のみから成るが故に柔軟性にやや劣り、塗膜を形成したアルミニウム材料を曲げ加工等したときに塗膜にクラックが入ることがある。そこで、有機樹脂を適量混合することによって、塗膜の脆さを補うことができるが、シリカ粒子の皮膜の緻密さを落とさずに塗膜の柔軟性を確保するためには、顔料を除いた無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合することが必要である。
【0111】
このようにして、高い強度と硬度を維持しながら曲げ加工等の際にクラックを生じない柔軟性をも兼ね備えた塗膜が得られるより優れたアルミニウム用塗料となる。
【0112】
請求項11の発明にかかるアルミニウム用塗料は、請求項10の構成において、前記有機樹脂はアクリル樹脂またはポリエステル樹脂であるものである。
【0113】
ここで、「アクリル樹脂」とは主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体例えばアクリルアミド、アクリロニトリル等の重合体を包含する高分子化合物の総称であり、「ポリエステル樹脂」とは主鎖にエステル結合(−CO−O−)をもつ高分子物質の総称で、多価アルコールと多塩基酸との重縮合体である。
【0114】
アクリル樹脂及びポリエステル樹脂は、有機樹脂の中でも強度と硬度に優れたものであり、アルミニウム用塗料に混合しても無機バインダの高い強度と硬度を殆ど落とすことがない。したがって、例えば自動車のアルミホイールに塗布した場合でも、飛んできた小石等に当っても塗膜に傷が付くことがない。
【0115】
このようにして、高い強度と硬度を維持しながら曲げ加工等の際にクラックを生じない柔軟性をも兼ね備えた塗膜が得られるより優れたアルミニウム用塗料となる。
【0116】
請求項12の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合した有機無機混合塗料を塗布し加熱硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程とを具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、前記ブラスト処理後の粉塵清掃に不活性ガスを吹き付けるものである。
【0117】
アルミニウムに対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子をブラスト処理すると、表面の酸化膜を除去してアルミニウムの活性面が表れる。この活性表面にポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に所定の重量比以下で有機樹脂を混合した有機無機混合塗料を塗布することによって、ブラストによってアルミニウムの活性面が表れた表面に球状シリカを高密度で充填した皮膜を形成することができる。そして加熱硬化させることでイソシアネートによってアルミニウム表面とシリカ表面を反応結合させることで高い密着性を獲得することができる。そしてその結果、耐食性に優れたアルミニウム表面を得ることができる。また、シリカ同士が緻密に結合した強度硬度の高い皮膜が形成されるとともに、有機樹脂を混合したことによって曲げ加工等でもクラックが生じない柔軟性をも兼ね備えた優れた塗膜が得られる。
【0118】
ここで、請求項1の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミニウムの表面に対するアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を不活性ガス雰囲気中で実施することによって、より確実にアルミニウムの活性表面を得ることとしているが、アルミニウムを窒素・アルゴン等の不活性ガス雰囲気中において、アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子を吹き付けるガスも不活性ガスを用いてブラスト処理するのは、装置もコスト高になり不活性ガスも大量に使用しなければならずさらにコストアップとなって経済的でない。
【0119】
実際には、空気中でアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子を吹き付けるガスも空気を用いてブラスト処理を行っても、得られたアルミニウムの活性表面はすぐには酸化されない。そこで、ブラスト処理後にアルミニウムの活性表面に付着して残ったアルミナ粒子またはジルコニア粒子或いはアルミニウムの粉塵を吹き飛ばして清掃するのに窒素・アルゴン等の不活性ガスを用いることによって、次の塗装工程までにアルミニウムの活性表面が酸化されるのを確実に防ぐことができ、コストもかからない。
【0120】
このように、ブラスト処理と塗装の僅か2工程でアルミニウム表面に耐食性に優れ硬度が高く柔軟性をも兼ね備えた皮膜を形成することができるので、処理時間とライン長さを大幅に短縮でき、低コスト化を図ることができる。そして、低コストでブラスト処理の効果を確実に維持することができるアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0121】
請求項13の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項12の構成において、前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の平均粒子径が10μm〜100μmであるものである。
【0122】
請求項5の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミナ粒子及びジルコニア粒子の平均粒子径が40μm〜200μmであるものを用いているが、その後の研究によってブラスト処理の深さがより浅い方が有利である場合が多いことが分かって、ブラスト処理に用いるアルミナ粒子及びジルコニア粒子の平均粒子径が粗いと短時間で深く削られてしまうため、制御がし難い。そこで、平均粒子径が10μm〜100μmであるアルミナ粒子及びジルコニア粒子を用いてブラスト処理を行うことによって、確実により浅いブラスト処理を行うことができる。
【0123】
請求項14の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法は、請求項12または請求項13の構成において、前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm以下であるものである。
【0124】
請求項6の発明にかかるアルミニウム表面の塗装方法においては、アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さをアルミニウム表面から5μm〜20μmとしているが、その後の研究によってブラスト処理の深さがより浅い方が有利である場合が多いことが分かった。即ち、ブラスト処理の深さの3倍から5倍の厚さに皮膜を形成することによって、十分な防食性が得られることが判明したのである。したがって、ブラスト処理の深さがより浅い方がより薄い皮膜でも高い防食性が得られる。そこで、ブラスト処理の深さをアルミニウム表面から5μm以下とすることによって、短時間で形成できる薄い皮膜でも高い防食性が得られ、工程の短縮化と低コスト化が図れる優れたアルミニウム表面の塗装方法となる。
【0125】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のアルミニウム表面の塗装方法の実施の形態1で作製した供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。
【図2】 図2は比較例1としてアルミニウム酸化表面のままで塗装のみ施した供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。
【図3】 図3は比較例2としてブラスト処理を亜鉛粒子で行った供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。
【図4】 図4は比較例3としてブラスト処理をニッケル粒子で行った供試体を塩水に浸漬試験した結果を示す平面図である。
【図5】 図5は実施の形態2にかかるブラスト処理後のアルミニウム表面の表面粗度を測定した図である。
Claims (14)
- アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、
ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料を塗布し乾燥硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程と
を具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、
前記アルミニウムの表面に対するアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理は、不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とするアルミニウム表面の塗装方法。 - 前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤でブロックされていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が10nm〜20nmであり、固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが10〜25であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 固形分重量比でシリカゾルが30に対してポリイソシアネートが18.75であることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の粒子径が40μm〜200μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の条件が圧力0.3〜0.5MPa、噴射スピード50〜100m/秒であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料に両末端水酸基または両末端アミノ基を有するシリコーン化合物を添加して塗布することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に前記顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合したことを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム用塗料。
- 前記有機樹脂はアクリル樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項10に記載のアルミニウム用塗料。
- アルミニウムの表面に対してアルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理を施し表面を活性化する工程と、
ポリイソシアネートとコロイダルシリカの反応塗料(無機バインダ)に顔料を除いて無機バインダ/有機樹脂の重量比が1以上になるように有機樹脂を混合した有機無機混合塗料を塗布し加熱硬化させアルミニウム表面にシリカの密度の高い充填皮膜を形成する工程とを具備するアルミニウム表面の塗装方法であって、
前記ブラスト処理後の粉塵清掃に不活性ガスを吹き付けることを特徴とするアルミニウム表面の塗装方法。 - 前記アルミナ粒子及び前記ジルコニア粒子の平均粒子径が10μm〜100μmであることを特徴とする請求項12に記載のアルミニウム表面の塗装方法。
- 前記アルミナ粒子及び/またはジルコニア粒子によるブラスト処理の深さがアルミニウム表面から5μm以下であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載のアルミニウム表面の塗装方法。
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