JP4376362B2 - カーボンコミテータの製造方法 - Google Patents

カーボンコミテータの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータのコミテータ(整流子)に係わり、特にモータのブラシとの摺動部にカーボンが用いられたカーボンコミテータの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなカーボンコミテータの製造方法としては、例えば特開平10−4653号公報において、カーボン層に金属製の導電性端子部材を取り付けて円環状のセグメント素体を形成し、上記導電性端子部材が突出する部分を除いてこのセグメント素体の表面全体をモールド樹脂により被覆し、次いでこのセグメント素体を周方向に切断して分割した後、モータのブラシとの摺動部となる上面側のモールド樹脂を切削等によって除去する方法が提案されている。従って、このような製造方法によれば、セグメント素体の分割加工時にはカーボン層がモールド樹脂に被覆されて保護された状態であり、また例えば上記導電性端子部材の曲げ加工などもこの状態で行うことにより、比較的脆いカーボン層がこれらの加工によって欠けやクラック等の損傷を生じるのを防ぐことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにセグメント素体の表面全体をモールド樹脂によって被覆する方法では、モールドによる成形の際に、導電性端子部材の突出している部分のみで固定、位置決めをするため、モールド樹脂の圧力によりセグメント素体に歪みや反りが生じ、セグメント素体上面の位置が不安定となり、モータのブラシとの摺動部となるセグメント素体の上面側のモールド樹脂を最後に除去する際に、このセグメント素体の上面の位置がモールド樹脂に覆われているために識別できず、この上面がちょうど露出する程度に切削によってモールド樹脂を除去するのはきわめて困難となる。このため、必要以上に深く切削してしまってセグメント素体が大きく切り込まれてしまい、製品としての精度が損なわれてしまったり、あるいは逆に、このような事態を避けるためにモールド樹脂を徐々に除去しようとして切削を数回に分けて行うことにより、この除去工程に多くの時間と労力とが費やされて製造効率の劣化を招いたりするという問題があった。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、セグメント素体の各種加工時におけるカーボン層の損傷は防止しながらも、製品精度の高いカーボンコミテータを効率的に製造することが可能なカーボンコミテータの製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、カーボン層を上面側に備えるとともに導電性端子部材が取り付けられたセグメント素体を形成し、上記セグメント素体の上面の一部に当接可能な凸部が突設されたモールド型に該セグメント素体を収容し、上記凸部の当接面を上記セグメント素体の上面の上記一部に密着させて、残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆することにより、このセグメント素体の上記上面の一部を除いて残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆し、後に上記上面を被覆している上記モールド樹脂を取り除くことを特徴とする。従って、このような製造方法によれば、セグメント素体に分割等の加工を行う場合には、カーボン層が形成された上面側がモールド樹脂で被覆されて保護される一方、この上面の一部を除いてモールド樹脂が被覆されることにより、モールドによる成形の際にこの上面の位置を確実に位置決めすることができ、その後に上面を被覆しているモールド樹脂を取り除く際に、削り過ぎなどを生じることなく1度でモールド樹脂を除去することができる。なお、このとき、露出したままの上記上面の一部を基準として該上面を被覆する上記モールド樹脂を取り除くようにすれば、一層高精度にこのモールド樹脂の除去を行うことができる。
【0006】
ここで、上記樹脂モールドによる被覆後に、上述のようにセグメント素体を切断したりして分割加工する場合には、この切断によってカーボン層が欠けたり上面の露出した部分がなくなってしまったりするのを防ぐため、この上面の露出した一部を避けるようにスリットを形成するなどして分割するのが望ましい。また、このようなカーボンコミテータの製造工程においては、モールド樹脂による被覆後に多数のコミテータがまとめられて次の加工工程等に移されることが多く、このとき、上記上面の一部が被覆されずに露出することによって該上面を被覆する上記モールド樹脂に形成される孔部が大きいと、上記モールド樹脂による被覆後に該モールド樹脂から突出する上記導電性端子部材の先端がこの孔部に嵌まり込んで、露出したカーボン層よりなるセグメント素体の上面を傷つけてしまうおそれがある。このため、上記孔部の最大幅は上記導電性端子部材の幅よりも小さく設定されるのが望ましい。
【0007】
一方、このようにセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆する際には、成形されるコミテータの形状に合わせたキャビティを有するモールド型に上記セグメント素体を収容してモールド樹脂を流し込むのが一般的であるが、本発明では、このモールド型として、上記セグメント素体の上面の一部に当接可能な凸部が突設されたモールド型を用いて、このモールド型に該セグメント素体を収容し、上記凸部の当接面を上記セグメント素体の上面の上記一部に密着させて、残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆することにより、このセグメント素体の上記上面の一部を除いて残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆し、後に上記上面を被覆している上記モールド樹脂を取り除く。そして、このような場合において、上記凸部の当接面の周縁に断面凸曲線状の面取りが施された上記モールド型に上記セグメント素体を収容し、上記凸部の当接面を上記セグメント素体の上面の上記一部に密着させて、残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆するのが望ましい。これは、すなわち、このような断面凸曲線状の面取りをモールド型の上記凸部の周縁に施すことにより、この凸部がセグメント素体の上面に当接したときにセグメント素体の上面側のカーボン層が傷つけられるのが防がれるとともに、この面取りを凸部をモールド樹脂から抜き去るときの抜きテーパとすることができるからである。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の一実施形態について説明するのに先立って、本実施形態の製造方法によって製造されるカーボンコミテータ1について図1を用いて説明する。このカーボンコミテータ1は、例えばインタンク式の燃料ポンプのモータに用いられるものであって扁平形構造をなしており、フェノール樹脂等の絶縁性の樹脂によって略円盤状に形成されたボス部2と、このボス部2の円形をなす上面2aに、周方向に等間隔をおいて環状に配列される複数(本実施形態では8つ)のセグメント3…とから構成されており、これらのセグメント3…の上面3aが、モータのブラシに摺接する摺動部とされている。さらに、各セグメント3には導電性端子部材としてライザ片4が取り付けられていて、このライザ片4の一端部4aは上記ボス部2の外周に突出させられている。
【0009】
上記ボス部2の上面2aには、その中央部に内壁部5が、また外周側には外壁部6がそれぞれ円筒状に形成される一方、セグメント3は図1(a)に示すように上記上面3aが扇型をなすブロック状に形成されていて、このようなセグメント3が、上記内外壁部5,6間にそれぞれ放射状を呈するようにして配設されることにより、上述のようにボス部2に環状に配列されている。なお、ボス部2の周方向に隣り合うセグメント3,3同士の間には、上記内外壁部5,6を切り欠いてボス部2の上記上面2aから一段凹む凹溝2bを形成するように、ボス部2の径方向に延びるスリット7が形成されており、このスリット7によって上記隣り合うセグメント3,3同士は互いに絶縁された状態とされている。また、上記内壁部5の内周部はボス部2の他端面側に貫通していて、当該カーボンコミテータ1をモータの回転軸に固定するための軸孔8とされている。
【0010】
さらに図1(b)に示すように、ボス部2の上記内壁部5の外周面5aはセグメント3の内周側の凹円弧面3bに密着形成される一方、上記外壁部6の内周面6aはセグメント3の外周側の凸円弧面3cに密着形成されている。なお、これら内外壁部5,6の上面5b,6bは上記上面3aと面一となるように形成されている。また、ボス部2の上面2aの外周の上記外壁部6の内周面6aとなす隅部には、段部9が形成されている。
【0011】
一方、このカーボンコミテータ1において導電性端子部材とされる上記ライザ片4は、銅または銅合金により形成された板状部材であって、図1(b)に示すようにセグメント3の下面3dから僅かに上面3a側に寄った位置に埋設され、ボス部2の径方向においてセグメント3の略中程から外周側に延びて上記外壁部6を貫通し、さらに後端側にL字型に屈曲するとともに外壁部6の外周面に沿って延びる幅広部4bを介して上記一端部4aに至っており、この一端部4aは、後端側に延びる舌片が先端側に向けてV字状に折り曲げられた形状とされている。また、このライザ片4の内周側の他端部4cは、上記セグメント3の下面3dからボス部2の上記上面2aに垂直に食い込むように突出させられている。
【0012】
そして、このカーボンコミテータ1においては、少なくとも上記セグメント3の摺動部とされる上面3a側の部分が、カーボンに適宜の結合剤を混合して成るカーボン層10とされている。なお、このカーボンコミテータ1においては、このようにセグメント3の上面3a側の部分がカーボン層10とされる一方、図1(b)に示すように上記ライザ片4の周囲の下面3d側の部分は銅および錫より成る金属層11とされており、より詳しくは、この金属層11において銅および錫が液相焼結されることにより、銅と錫との合金、すなわち青銅が析出し、この合金化は銅または銅合金より成るライザ片4にも及んでいて、これによりライザ片4は、上記カーボン層10および金属層11、すなわちセグメント3と一体化されている。
【0013】
ただし、このセグメント3は、その全体がカーボン層10によって形成されていてもよく、すなわち上記摺動部とされる上面3a側にカーボン層10が形成されていればよい。また、上記カーボンコミテータ1においては、導電性端子部材としてのライザ片4がセグメント3の下面3dから僅かに上面3a側に寄った位置に埋設され、その内周側の他端部4cが直角に折り曲げられてセグメント3の下面3dから突出させられているが、このライザ片4はセグメント3の下面3dと面一となるように該セグメント3に埋設されていたりしてもよく、またこのライザ片4の内周側の他端部4cが折り曲げられることなく真っ直ぐ水平に延びるようにされていたりしていてもよい。
【0014】
このようなカーボンコミテータ1を製造する場合の、本発明の製造方法の一実施形態では、まず各セグメント3…と一体化される上記ライザ片4…の原型となる図2に示すようなライザ片素板21が用意される。このライザ片素板21は、銅板または銅合金板からプレス成形等によって外形円板状に形成されたものであって、製造されるカーボンコミテータ1の外径よりも十分大きな内径を有する円環板状のリング状部22の内周に、上記ライザ片4…と同数のライザ素片23…が一体に連結された構成とされている。ここで、これらのライザ素片23…は、ライザ片4の上記他端部4cとなる内周端部23aが予め折り曲げられている以外は、上記ライザ片4を平板状に延ばした形状に形成されているとともに、製造されたカーボンコミテータ1において環状に配列されるセグメント3…内のライザ片4…と同様に放射状に配設されていて、さらにこのライザ片4の上記一端部4aとなる外周端部23bが上記リング状部22に一体に連結されている。
【0015】
本実施形態では、このようなライザ片素板21を、図3(a)に示すように上記セグメント3の寸法に対して焼成時の収縮を考慮した寸法の円環状のキャビティ24を有する圧粉成形型25に同軸的に設置し、さらに図3(b)に示すようにこのキャビティ24内に、セグメント3の上面3aとなる側(キャビティ24の底面側)にカーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填してカーボン粉末層26を形成するとともに、下面3d側となる上記ライザ片素板21のライザ素片23…の周辺に銅および錫の混合粉末を充填して金属粉末層27を形成する。なお、これらカーボン粉末層26および金属粉末層27をキャビティ24に充填するに際しては、まずキャビティ24の底面側にカーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填してカーボン粉末層26を形成した後、一旦このカーボン粉末層26を仮押し型等により弱く押圧してその厚さが均一となるように均し、しかる後このカーボン粉末層26の上に銅および錫の混合粉末を充填して上記金属粉末層27を形成するのが望ましい。
【0016】
次に、このようにキャビティ24内に充填されたカーボン粉末層26および金属粉末層27を、図3(c)に示すように油圧プレス等を用いた突き固め型28A,28Bにより押圧してライザ片素板21ごと圧粉成形し、カーボン粉末層26と金属粉末層27とからなる二層構造の円環状の圧粉成形体29を形成する。なお、この圧粉成形の際、上記ライザ素片23の折り曲げられた内周端部23aは、金属粉末層27から突出して上記突き固め型28Aに形成された凹所28a内に収容される。さらに、こうして成形された圧粉成形体29は、ライザ板素片21ごと上記圧粉成形型25から抜き出される。
【0017】
そして、この圧粉成形体29を焼成炉に装入して焼き固めることにより、図4に示すように上記セグメント3…の原型となる円環状の焼成体、すなわちセグメント素体30を焼成するのであるが、このとき、圧粉成形体29全体としては上記カーボン粉末層26と金属粉末層27とが互いに一体的に焼結されて上記セグメント素体30に形成され、またカーボン粉末層26ではカーボン粉末が結合剤を介して結合させられて上記カーボン層10が形成される一方、上記金属粉末層27においては、上述したように液相焼結が生じて上記ライザ素片23の表面および銅粉末と錫粉末とが合金化し、これにより、ライザ素片23と一体に接合された状態で上記金属層11が形成される。従って、こうして焼成されたセグメント素体30においては、セグメント3…の摺動部となるその上面30a側のカーボン層10から下面30b側の金属層11までが、ライザ片4となるライザ素片23と電気的、機械的に一体に接合されることとなる。
【0018】
なお、本実施形態では、製造するカーボンコミテータ1が上述のようにカーボン層10と金属層11とを有するセグメント3を備えたものであるので、このようにライザ素片23と圧粉成形体29とをまとめて焼成して一体接合するようにしているが、このセグメント素体30がカーボン層10だけから形成されるような場合には、セグメント素体30のみを焼成するなどして形成し、これに導電性端子部材となるライザ素片23を取り付けるようにしてもよい。この場合には、上記特開平10−4653号公報に提案されているように、ライザ素片23とセグメント素体30とに互いに係合可能な係合孔と係合突起とを形成しておいてこれらを係合させるようにしてもよいし、このとき焼き嵌めや圧入、バーリング加工などによって係合突起を締め付けるようにしてもよく、またライザ素片23に形成された係合孔や係合突起の周縁部をかしめて切り起し片を形成し、これをセグメント素体30側に食い込ませるようにしてもよい。さらに、セグメント素体30にはその下面30b側に放射状に延びる凹溝を形成しておいて、この凹溝にライザ素片23の内周端部23aの放射状に延びる部分を嵌め込んでライザ素片23を取り付けるようにしてもよい。
【0019】
次に、このセグメント素体30の露出した上下面30a,30bおよび内外周面に、絶縁性を有する樹脂による加圧成形法(モールディング法)によってモールド樹脂を被覆し、これにより上記内外壁部5,6を含めてボス部2を一体成形するとともに上面30aをも被覆する。すなわち、本実施形態では図5に示すように上記ボス部2の外形と略同大同形状のキャビティ31が形成されたモールド型32に、上記セグメント素材30の上面30aとこの上面30aに対向するキャビティ31の内面31aとの間に所定の間隔の間隙部31bが画成されるようにして、このキャビティ31にセグメント素体30をライザ片素板21ごと収容してモールド型32を型締めし、このキャビティ31内のセグメント素体30の周りに溶融したフェノール樹脂等の絶縁性のモールド樹脂を流し込んで加圧、冷却することにより、上記内外壁部5,6を備えてその上面2aに上記ライザ素片23の内周端部23aが食い込んだボス部2をセグメント素体30に一体に成形するとともに、上記間隙部30bに回り込んだ被覆モールド樹脂33によってセグメント素体30の上面30aをも被覆する。
【0020】
しかして、本実施形態では、この被覆モールド樹脂33による被覆に際して、図5に示すようにセグメント素体30の上面30aに対向するキャビティ31の上記内面31aに、モールド型32を型締めした状態において上記上面30aに当接する凸部31cが突設されており、従ってこの凸部31cが当接した部分においては上面30a上にモールド樹脂が回り込むことがなく、このため加圧成形後のセグメント素体30は図6に示すようにその上面30aの一部が被覆モールド樹脂33に被覆されずに露出したままの状態となる。なお、このモールド型32を型締めした状態においてセグメント素体30の上面30aに当接する当接面となる凸部31cの下面31dの周縁部には、該下面31d側に向かうに従いその内側に向かうように傾斜する凸円弧等の断面凸曲線状の面取り部31eが形成されている。また、図5において符号32aで示すのは、キャビティ31内に溶融モールド樹脂を流し込むためのゲートであり、符号32bで示すのは被覆モールド樹脂33によって被覆されたセグメント素体30をモールド型32から抜き出すためのエジェクタピンである。
【0021】
ここで、このモールド成形において、セグメント素体30の上面30aの一部が被覆されずに露出することによって該上面30aを被覆した被覆モールド樹脂33に形成されることとなる孔部33aは、本実施形態では図6(a)に示すように上面30a側からみて、放射状に延びる上記ライザ素片23…の内周端部23a側の部分をそれぞれ中心としたライザ素片23…と同数の扇型をなすように形成され、互いに隣接する孔部33a…同士の間には、ボス部2の内外壁部5,6間に放射状に延びるリブ状部33b…が上記モールド樹脂33によって形成されて上面30aを被覆することとなる。言い換えれば、本実施形態ではキャビティ31の上記凸部31cは、このような孔部33aが形成されるような形状とされている。
【0022】
次いで、こうして上記ボス部2および被覆モールド樹脂33が形成された後に、ライザ片素板21の加工やセグメント素体30の分割加工を行う。すなわち、これらボス部2および被覆モールド樹脂33がセグメント素体30に一体成形された状態で、ボス部2の外周からは上記ライザ片素板21が突出しているので、まずこのライザ片素板21のライザ素片23の上記外周端部23bとリング状部22との間を切断して各ライザ素片23を独立させ、次いで上記幅広部4bを後端側に折り曲げるとともに外壁部6の外周面に沿って湾曲させ、また上記外周端部23bをV字状に折り曲げて上記形状のライザ片4に成形する。さらに、周方向に隣り合う各ライザ片4,4同士の間に、上記セグメント素体30からボス部2の上記上面2aに僅かに食い込む深さのスリット7…を、被覆モールド樹脂33の上記リブ状部33bに沿って円環状のセグメント素体30の径方向に上記外壁部6の外周面から軸孔8に達するように切削加工等によって形成し、セグメント素体30を扇型のブロック状に切断して互いに絶縁されたセグメント3…に分割する。
【0023】
しかる後に、上記セグメント素体30の上面30aを被覆していた上記被覆モールド樹脂33を、本実施形態では切削または研削加工によって除去するのであるが、このときの取り代は、上記孔部33aから露出するセグメント素体30の上面30a部分、すなわち分割されたセグメント3の上面3aの一部を基準として、この上面3aの一部にちょうど達するか、あるいは所定の深さだけセグメント3の上面3aが削り取られるように設定される。従って、これにより、各セグメント3…の上面3a全体が露出し、かつ該上面3aが平坦に加工された図1に示すようなカーボンコミテータ1が製造される。
【0024】
しかして、このようなカーボンコミテータ1の製造方法によれば、まずモールド樹脂によってセグメント素体30にボス部2が形成されると同時に、このセグメント素体30の上面30aに被覆モールド樹脂33が形成されるので、その後にこのボス部2外周から突出するライザ片素板21を切断、折り曲げ加工して導電性端子部材としてのライザ片4に成形する際や、環状に形成された上記セグメント素体30を個々のセグメント3…に分割するために切断してスリット7…を形成する際に、脆いカーボン層10によって形成されたセグメント素体30の上面30aがこの被覆モールド樹脂33によって保護され、折り曲げの際の応力によって上面30aに亀裂が生じたり、切断の際に切断面に欠けやクラックが発生したりするのを防止することができる。
【0025】
そして、その一方で、モールド樹脂の注入の際にはモールド型32のキャビティ31に形成された凸部31cがセグメント素体30の上面30aに当接することにより、この被覆モールド樹脂33に上記上面30aに達する孔部33aが形成されるとともにセグメント素体30がキャビティ31内で確実に位置決め固定され、上記上面30aの位置も所定の位置に設定される。このため、上記ライザ片4の曲げ加工やスリット7…を形成した後にこの被覆モールド樹脂33を除去する際に、取り代が大きすぎてセグメント素体30を必要以上に多く削り取ってしまったり、逆にこのような事態を避けるのに数回に分けて徐々に被覆モールド樹脂33を削り取るようにしたために加工効率が損なわれたりするようなことがなく、1度の研削で確実かつ適正に被覆モールド樹脂33を除去してセグメント素体30の上面30aを露出させることができ、製品精度の高いカーボンコミテータ1を効率的に製造することが可能となる。しかも、このようにセグメント素体30がキャビティ31内で正確に位置決めされることにより、上記ボス部2もこのセグメント素体30の周りに精度よく形成することが可能となるので、この凸部31cによる位置決めがなくてライザ片素板21だけでセグメント素体30が支持される場合に比べ、一層の製品精度の向上を図ることができる。
【0026】
また、本実施形態では、この凸部31cの下面31dの周縁部に断面凸曲線状の面取り部31eが形成されており、すなわちセグメント素体30の上面30aに当接する当接面に角張った部分が形成されるのが避けられている。このため、この当接面とされる凸部31cの下面30dがこの上面30aに当接する際に、比較的脆いカーボン層10よりなるセグメント素体30の上面30a部分が傷つけられてしまったりするのを防ぐことができ、これによってもより製品精度の高いカーボンコミテータ1を製造することが可能となる。しかも、このような面取り部31eを形成することにより、被覆モールド樹脂33によってセグメント素体30を被覆した後にモールド型32を開く際に、この面取り部31eが抜きテーパとなって凸部31cを上記孔部33aから確実かつ容易に抜き出すことができ、より円滑な製造を促すことができるという効果も得られる。なお、このような凸部31cを設けるに際しては、セグメント素体30の成形誤差などによってカーボン層10よりなるセグメント素体30の上面30aに凸部31cが強く押し付けられたりするのを避けるため、例えば凸部31cを突出方向に付勢した状態でキャビティ31内に出没自在にモールド型32に取り付けるようにしてもよい。
【0027】
さらに、こうして被覆モールド樹脂33によって被覆されたセグメント素体30においては、上記孔部33aを介してセグメント素体30の上面30aの一部が露出させられているため、モールド成形後であってもこの孔部33aからセグメント素体30の上面30aの位置を確実に識別することが可能となる。従って、本実施形態によれば、該上面30aを被覆する被覆モールド樹脂33を取り除くのに先立って、改めてこの露出したセグメント素体30の上面30a部分を基準として切削や研削加工による取り代を適当に設定することもでき、これにより一層確実にセグメント素体30を削りすぎることなくその上面30aを被覆する被覆モールド樹脂33を所定の取り代分だけ取り去って該上面30aを露出させることが可能となる。
【0028】
さらにまた、本実施形態では、こうしてセグメント素体30の上面30aの一部を露出させるに際して形成される孔部33a…を、該セグメント素体30に埋設されて放射状に延びるライザ素片23…の内周端部23a側の部分を中心とした扇型に形成し、互いに隣接する孔部33a…同士の間に放射状に延びるリブ状部33b…が形成されるようにし、このセグメント素体30を分割してセグメント3…に形成するときには、その上面30aが露出する孔部33aを避けて、このリブ状部33bに沿ってスリット7を形成するようにしている。従って、このスリット7の形成時には、該スリット7との交差稜線部の上面30a部分は上記リブ状部33bによって被覆モールド樹脂33に被覆されたままの状態となるので、スリット7形成時の切断加工によって上面30aの上記交差稜線部分にチッピングなどが生じたりするのも、確実に防止することが可能となる。
【0029】
ところで、本実施形態ではこのように上記孔部33a…がライザ片4…と同数の扇型となるように開口していて、セグメント素体30の上面30aが比較的大きく露出するようにされているが、例えば上記ライザ片4の曲げ加工工程やスリット7…の形成工程が終了した後に上記被覆モールド樹脂33の研削工程に移る際には、モールド樹脂が被覆されたセグメント素体30(カーボンコミテータ1)を乱雑な姿勢のまま多数まとめて取り扱うことがあり、この状態で上記ライザ片4はライザ片素板21のリング状部22が取り外されてその外周側の一端部4aが突出しているので、このような取り扱いを受ける場合に上述のように孔部33aが大きく開口していると、この孔部33aから露出したカーボン層10よりなる上面30aに他のカーボンコミテータ1のライザ片4の一端部4aが当たってこのカーボン層10を傷つけたりするおそれがある。
【0030】
そこで、このような問題を防ぐためには、例えば上記凸部31cの当接面に凹溝を格子状に形成して図7に示すように孔部33aがさらに網目状の小孔33c…に分割されるようにしたり、あるいは図8に示すように孔部33a自体を小さく、あるいは少数で形成したりして、個々の小孔33cあるいは小径とされた孔部33aの最大幅W1を、ライザ片4の一端部4aの幅W2よりも小さくなるように形成し、この一端部4aが小孔33cや孔部33aに嵌まり込まないようにすればよい。なお、このように孔部33aが小さく、あるいは少なくなることにより、セグメント素体30の上面30aが被覆モールド樹脂33によって被覆される部分の面積は大きくなるので、モールド樹脂による加圧成形時にセグメント素体30の露出面に比較的均等に成形圧力を与えることが可能となり、この成形圧力が特定の部分に集中することによってセグメント素体30の特にカーボン層10に亀裂が生じたりするような事態も抑えることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、セグメント素体にスリットを形成して分割加工したり、導電性端子部材の曲げ加工を行ったりする際には、セグメント素体の露出面がモールド樹脂によって被覆されていて保護される一方、このセグメント素体のカーボン層よりなる上面がモールド樹脂によって被覆される際には、その一部が除かれて被覆されることにより、この上面を正確に位置決め固定することができ、その後に該上面を被覆するモールド樹脂を除去する際に、セグメント素体まで大きく取り除きすぎたりすることなく、1度で正確に上記モールド樹脂を除去することが可能となり、製品精度の高いカーボンコミテータをより効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態により製造されるカーボンコミテータ1の(a)は平面図、(b)は(a)におけるbb断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係わるライザ片素板21の(a)は平面図、(b)は(a)におけるbb断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係わる圧粉成形型25の断面図であって、(a)は圧粉成形型25を分割した状態、(b)はカーボン粉末層26および金属粉末層27を形成した状態、(c)は突き固め型28A,28Bにより圧粉成形した状態を示す図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係わるセグメント素体30の(a)は平面図、(b)は(a)のbb断面図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係わるモールド型32の断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態においてモールド樹脂が被覆されたセグメント素体30の(a)は平面図、(b)は(a)におけるbb断面図である。
【図7】 本発明の一実施形態においてモールド樹脂が被覆されたセグメント素体30の変形例を示す(a)は平面図、(b)は(a)におけるbb断面図である。
【図8】 本発明の一実施形態においてモールド樹脂が被覆されたセグメント素体30の変形例を示す(a)は平面図、(b)は(a)におけるbb断面図である。
【符号の説明】
1 カーボンコミテータ
2 ボス部
3 セグメント
4 ライザ片(導電性端子部材)
7 スリット
10 カーボン層
30 セグメント素体
30a セグメント素体30の上面
31 キャビティ
31c 凸部
31d 凸部31cの下面(当接面)
31e 面取り部
32 モールド型
33 セグメント素体30の上面30aを被覆する被覆モールド樹脂
33a 被覆モールド樹脂33の孔部
33b 被覆モールド樹脂33のリブ状部
33c 孔部33aの網目状に形成された小孔
1 孔部33aまたは小孔33cの最大幅
2 ライザ片(導電性端子部材)の一端部4aの幅

Claims (5)

  1. カーボン層を上面側に備えるとともに導電性端子部材が取り付けられたセグメント素体を形成し、上記セグメント素体の上面の一部に当接可能な凸部が突設されたモールド型に該セグメント素体を収容し、上記凸部の当接面を上記セグメント素体の上面の上記一部に密着させて、残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆することにより、このセグメント素体の上記上面の一部を除いて残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆し、後に上記上面を被覆している上記モールド樹脂を取り除くことを特徴とするカーボンコミテータの製造方法。
  2. 露出したままの上記上面の一部を基準として該上面を被覆する上記モールド樹脂を取り除くことを特徴とする請求項1に記載のカーボンコミテータの製造方法。
  3. 上記樹脂モールドによる被覆後に、上記上面の露出した一部を避けるようにして上記セグメント素体を分割加工し、しかる後この上面を被覆する上記樹脂モールドを取り除くことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカーボンコミテータの製造方法。
  4. 上記上面の一部が被覆されずに露出することによって該上面を被覆する上記モールド樹脂に形成される孔部の最大幅が、上記モールド樹脂による被覆後に該モールド樹脂から突出する上記導電性端子部材の幅よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカーボンコミテータの製造方法。
  5. 上記凸部の当接面の周縁に断面凸曲線状の面取りが施された上記モールド型に上記セグメント素体を収容し、上記凸部の当接面を上記セグメント素体の上面の上記一部に密着させて、残りのセグメント素体の露出面をモールド樹脂によって被覆することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のカーボンコミテータの製造方法。
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