JP4375515B2 - 電磁弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁弁に関するもので、特に電磁弁内に配置される圧縮コイルスプリングの付勢力を調節するアジャストスクリュウを回すときに外部に接着剤などがはみだすのを防止する技術を備えた電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通常のスリーブ内にそのスリーブの軸方向に往復動可能なスプールを備えスリーブ内のポートを開閉する電磁弁が知られている。この電磁弁は、スプールを一方向に圧縮コイルスプリングにより付勢し、この圧縮コイルスプリングの付勢力に抗する方向に通電時に電磁吸引力によりスプールを移動することにより、ポートの開閉を切り替える機能を有する。圧縮コイルスプリングは、スリーブに対しねじ止め調整されるアジャストスクリュウの締め込み量により圧縮コイルスプリング設定圧が調節される。
【0003】
この電磁弁は、アジャストスクリュウのねじ部に接着剤を塗布させている。そのため、アジャストスクリュウのねじ回し時に接着剤がねじ部からスリーブの外部にはみ出す構造になっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の電磁弁で解決しようとする課題について説明する。
例えば図2に示すようなスプール式電磁弁が知られている。この電磁弁1では、スリーブ2の内部にスプール6がスプール軸方向に移動可能に設けられている。スリーブ2の端部の内部にはアジャストスクリュウ8がねじ止めされている。このアジャストスクリュウ8の一端に圧縮コイルスプリング7の一端71が当接し、スプール6の端面に圧縮コイルスプリング7の他端72が当接している。またアジャストスクリュウ8とスリーブ2の内壁との間にはOリング10が収容されることで、スプール6側と弁外部との液密が確保されている。アジャストスクリュウ8の雄ねじ部11とスリーブ2の雌ねじ部12との間には接着剤9が塗布されている。
【0005】
この種の油圧比例電磁弁などのスプール式電磁弁の特性を調節するとき、アジャストスクリュウ8に塗布するタイプの接着剤たとえばメック剤を使用している。スプール式電磁弁の特性を調節するときにアジャストスクリュウ8を回し締め込むとき、接着剤9のかす(以下、「異物」という)がねじ部11を通って外部にはみ出す恐れがある。ベースに接着剤のかすなどがこのスリーブ2の雌ねじ部12とアジャストスクリュウ8のねじ部11との間から外部にはみ出すときには、作業者がこの異物を除去する作業を強いられていた。
【0006】
本発明は、電磁弁の特性調整後の作業者による異物除去作業を省略することが可能な電磁弁を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、アジャストスクリュウのねじ回し時に接着剤などの異物が外部に排出されるのを防止する構造を有する電磁弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1による電磁弁によると、スリーブの開口端側から内部に弁体を挿入し、この弁体の端面に圧縮コイルスプリングを挿入し、さらにその外側からアジャストスクリュウをねじ回しする。このアジャストスクリュウをねじ回しするとき、調整ねじの第1雄ねじ部とスリーブ内壁との間に塗布した接着剤は、異物を貯蓄する空間に入り込むことができる。したがって、調整ねじの第2雄ねじ部とスリーブ内壁との間の隙間から外部に接着剤異物が外部に漏れ出ることは防止される。したがって作業者による異物除去作業の工程が省略される。
【0008】
また、請求項1による電磁弁によると、スリーブの内壁には、第1雌ねじ部、この第1雌ねじ部の内径より大きい内径をもつ前記第2雌ねじ部、及び第1雌ねじ部と第2雌ねじ部とを連結し、ねじが切られていない雌ねじ側段差部を有する。弁体はスリーブ内を往復動可能であり、付勢手段により一方向に付勢されている。
付勢手段の付勢力を調整する調整ねじは、第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部、第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部、及び、第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とを連結し、ねじが切られていない雄ねじ側段差部を外壁に有する。
そして、雄ねじ側段差部又は雌ねじ側段差部に、第1雄ねじ部に塗布されて前記調整ねじの螺合に際し移動する接着剤を貯留する空間が形成されている。
請求項1による電磁弁によると、第1雌ねじ部とこの第1雌ねじ部の内径より大きい内径をもつ前記第2雌ねじ部との間の段差部に空間が形成されるため、スリーブ内に調整ねじをねじ結合することができる。接着剤は空間内に容易に導かれる。
【0009】
また、請求項1による電磁弁によると、第1雄ねじ部と前記第2雄ねじ部の間の段差部に形成されるため、調整ねじの外壁径方向内側に延びる空間が確保されるため、接着剤を収容する容積を確保することができる。
【0010】
請求項2による電磁弁によると、スプール弁形式の電磁弁においては、細長い体格を有するが、そのような構成であっても、スリーブの内側に接着剤を溜め込む空間を簡単な構成で確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明をスプール式電磁弁に適用した実施例を図1に示す。
電磁弁21の筒状のスリーブ2の内部には第1内壁22、第2内壁23、第3内壁24、第4内壁25がこの順に次第に大径の内径になる大きさに形成されている。第3内壁24には第1雌ねじ部44が形成され、第4内壁25には第2雌ねじ部45が形成されている。
【0013】
スリーブ2の軸方向の内部側に第1内壁22に対し軸方向に摺動可能にスプール6が取り付けれている。スプール6の図1で右側部分は省略されているが、この部分の外壁にランド部と凹凸溝が形成されている。またスリーブは、供給ポート、排出ポート、制御ポートなどが設けられている。電磁弁への通電によりスリーブに対するスプールの位置が決まると、これらの各種ポートとスプールのランド部と凹凸溝との位置関係が決まることで、各種ポートの開閉が決まる。
【0014】
付勢手段としての圧縮コイルスプリング7は、スリーブ2の内部の第2内壁23に相当する部分の空間に使用されている。圧縮コイルスプリング7の一端71はスプール6のアジャストスクリュウ側の端部に当接し、他端72はアジャストスクリュウの端部に当接している。これにより、圧縮コイルスプリング7は、スプール6を図1に示す右側一方向に付勢する。
【0015】
調整ねじとしてのアジャストスクリュウ8は、基本形が中実筒状であり、小径部34と中径部35と大径部36からなる。小径部34の外壁にリング溝27が形成されている。リング溝27に嵌合するOリング10は、スリーブ2の第2内壁23に接合し、スリーブ2内とスプール6の外壁で形成される空間を液密に確保している。中径部35の外壁に第1雄ねじ部31が形成され、大径部36の外壁に第2雄ねじ部32が形成されている。アジャストスクリュウ8の外壁であって第1雄ねじ部31と第2雄ねじ部32との間には小径部とほぼ同一外径の段差部としてのリング溝38が形成されている。このリング溝38の窪み部分に相当する部分が接着剤異物溜まり50である。
【0016】
組み付け時、まず、スリーブ2の内部にスプール6を挿入し、次いで圧縮コイルスプリング7を挿入する。第1雌ねじ部44にあらかじめ接着剤を塗布しておく。次いでOリング10をあらかじめアジャストスクリュウ8のリング溝27に嵌め込んだものをスリーブ2の開口端側から内部に挿入し、アジャストスクリュウ8をねじ回しする。すると、第1雌ねじ部44に第1雄ねじ部31がねじ結合し、第2雌ねじ部45に第2雄ねじ部32がねじ結合する。スリーブ2に対しアジャストスクリュウ8をねじ回しすることにより第1雄ねじ部31の接着剤9の一部が接着剤異物溜まり50に押し出される。異物を溜め込むことのできる接着剤異物溜まり50は十分に大きな容積を有するため、この接着剤異物溜まり50から第2雄ねじ部32を通って外部に異物が排出されることは防止される。接着剤異物溜まり50が空間をリング上に形成することで、第1雄ねじ部31の塗布接着剤がこの空間で吸収され、この空間内に収まり、外部にはみ出ない。
【0017】
したがって、スプール式電磁弁の圧縮コイルスプリング調整をするとき、電磁弁の特性が調整されるが、このとき、自動ライン上で人手作業により接着剤の異物を除去する作業は不要になる。
【0018】
この実施例では、スプール式電磁弁に本発明を適用した実施例について説明したが、電磁弁の内部にアジャストスクリュウ塗布用接着剤を用いるタイプのものであれば、この接着剤が外部にねじ回しにより外部にはみ出すことの恐れのあるすべての弁に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による電磁弁の部分断面図である。
【図2】従来例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
2 スリーブ
6 スプール(弁体)
7 圧縮コイルスプリング(付勢手段)
21 電磁弁
22 第1内壁
23 第2内壁
24 第3内壁
25 第4内壁
31 第1雄ねじ部
32 第2雄ねじ部
34 小径部
35 中径部
36 大径部
50 接着剤異物溜まり(空間)

Claims (2)

  1. 第1雌ねじ部、その開口端側に形成され前記第1雌ねじ部よりも内径の大きな第2雌ねじ部、及び、前記第1雌ねじ部と前記第2雌ねじ部とを連結し、ねじが切られていない雌ねじ側段差部を内壁に有する筒状のスリーブと、
    前記スリーブ内で往復動可能な弁体と、
    前記弁体を一方向に付勢する付勢手段と、
    前記付勢手段の付勢力を調整するねじであって、前記第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部、前記第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部、及び、前記第1雄ねじ部と前記第2雄ねじ部とを連結し、ねじが切られていない雄ねじ側段差部を外壁に有する調整ねじとを備
    え、
    前記雄ねじ側段差部又は前記雌ねじ側段差部に、前記第1雄ねじ部に塗布されて前記調整ねじの螺合に際し移動する接着剤の異物を貯留する空間が形成されていることを特徴とする電磁弁。
  2. 前記弁体は、スプールであることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
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