JP4375370B2 - イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法 - Google Patents

イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4375370B2
JP4375370B2 JP2006223073A JP2006223073A JP4375370B2 JP 4375370 B2 JP4375370 B2 JP 4375370B2 JP 2006223073 A JP2006223073 A JP 2006223073A JP 2006223073 A JP2006223073 A JP 2006223073A JP 4375370 B2 JP4375370 B2 JP 4375370B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion beam
angle
electrode
electrostatic deflector
electrode pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006223073A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008047459A (ja
Inventor
貴敏 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Ion Equipment Co Ltd
Original Assignee
Nissin Ion Equipment Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Ion Equipment Co Ltd filed Critical Nissin Ion Equipment Co Ltd
Priority to JP2006223073A priority Critical patent/JP4375370B2/ja
Publication of JP2008047459A publication Critical patent/JP2008047459A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4375370B2 publication Critical patent/JP4375370B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、リボン状(これはシート状または帯状と呼ばれることもある。以下同様)のイオンビームをターゲットに入射させてイオン注入を行うイオン注入装置において、複数段の電極対を有する静電偏向器を用いて、イオンビームのY方向(長手方向)における複数位置での進行角を補正する方法に関する。
リボン状のイオンビームをターゲットに入射させてイオン注入を行うイオン注入装置においては、イオンビームの長手方向であるY方向における軌道の状態(例えば平行、発散または集束の状態)が重要である。例えば、ターゲットの広い領域(例えば実質的に全面)に均一性の良いイオン注入を行うためや、ターゲット(例えば半導体基板)の表面の微細構造部に、イオンビームが入射しない陰の部分を生じさせない等のためには、イオンビームのY方向における平行性が重要である。
リボン状のイオンビームのY方向における軌道状態を局所的に変えることができる手段の一例として、特許文献1には、Y方向に複数段に配置された複数の電極対を有する静電偏向器、具体的には電界レンズが記載されている。
特開2005−327713号公報(段落0062−0069、図1、図3、図7)
上記電界レンズは、イオンビームのY方向における軌道状態を局所的に変えて、イオンビームのY方向におけるビーム電流密度の均一性を高めるものであるけれども、このような電界レンズを用いて、イオンビームのY方向における複数位置での進行角を所定の角度(例えば実質的に0度)に補正する方法については、特許文献1には何も記載されていない。イオンビームのY方向における進行角とは、イオンビーム全体の進行方向をZ方向とすると、YZ平面内におけるZ方向からの角度のことである(後述する図6参照)。
そこでこの発明は、電極対をY方向に複数段に配置して成る静電偏向器を用いて、リボン状のイオンビームのY方向における複数位置での進行角を補正する方法を提供することを主たる目的としている。
この発明に係るビーム進行角補正方法は、(a)イオンビーム全体の進行方向をZ方向とし、Z方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状のイオンビームをターゲットに入射させてイオン注入を行うイオン注入装置において、(b)前記イオンビームの経路に、当該イオンビームの経路をX方向において挟む電極の対から成る電極対をY方向に複数段に配置して成る静電偏向器を設けておき、しかもその各電極を、XZ平面に対して実質的に平行に配置された平板電極で構成しておき、(c)前記静電偏向器の下流側近傍において、かつ当該静電偏向器のY方向における各電極対間において、各電極対間を通過したイオンビームの、YZ平面内におけるZ方向からの角度である進行角をそれぞれ測定し、しかも当該進行角の測定を、Y方向よりもX方向が長いスリット開口を有しているスリットおよび当該スリットを通過したイオンビームのビーム電流を測定するビーム電流測定器を備えていて前記静電偏向器のY方向において隣り合う二つの電極対間を通過したイオンビームのY方向におけるビーム電流分布を測定するビーム進行角測定器をY方向に移動させて行い、(d)前記各進行角を所定の角度に補正するのに必要な各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求め、しかも当該直流電圧をそれぞれ求める際に、前記静電偏向器の各電極対間の電位差であって前記各進行角を所定の角度に補正するのに必要な電位差をそれぞれ計算し、その電位差を実現する各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求め、(e)その直流電圧を各電極対にそれぞれ印加することを特徴としている。
このビーム進行角補正方法によれば、上記のようにして静電偏向器を構成する各電極対間を通過したイオンビームの進行角をそれぞれ測定し、その進行角を補正するのに必要な各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求めて、その直流電圧を各電極対にそれぞれ印加するので、リボン状のイオンビームのY方向における複数位置での進行角をそれぞれ所定の角度に補正することができる。
前記静電偏向器の各電極対間を通過したイオンビームの進行角をそれぞれ実質的に0度に補正しても良い。
前記進行角の測定時に、前記静電偏向器の各電極対にそれぞれ実質的に同一の値の負の初期電圧を印加しておき、進行角の補正時に各電極対に印加する直流電圧が全て負電圧になるようにするのが好ましい。
請求項1に記載の発明によれば、上記のようにして静電偏向器を構成する各電極対間を通過したイオンビームの進行角をそれぞれ測定し、その各進行角を補正するのに必要な各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求めて、その直流電圧を各電極対にそれぞれ印加するので、リボン状のイオンビームのY方向における複数位置での進行角をそれぞれ所定の角度に補正することができる。
しかも、静電偏向器の各電極対を平板電極で構成することによって、Y方向において各電極対間に形成される等電位面を電極面に平行な平らなものに近づけることができるので、イオンビームにY方向以外の電界が作用してイオンビームがY方向以外に曲げられるのを極力小さくすることができる。
請求項に記載の発明によれば、リボン状のイオンビームのY方向における複数位置での進行角を実質的に0度に補正して、Y方向における平行性の良いイオンビームを静電偏向器から導出することができる。
請求項に記載の発明によれば、イオンビームの進行角の補正時に各電極対に印加する直流電圧が全て負電圧になるので、イオンビームの経路付近に存在する電子が各電極対に引き込まれるのを防止することができる。その結果、イオンビームの経路付近の電子量の減少、ひいてはイオンビームの空間電荷効果による発散の抑制を行うことができる。
図1は、静電偏向器を備えるイオン注入装置の一例を示す概略平面図である。以下の図において、イオンビーム2全体の進行方向を常にZ方向とし、このZ方向に実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向としている。例えば、X方向およびZ方向は水平方向であり、Y方向は垂直方向である。またこの明細書において、イオンビーム2を構成するイオンは正イオンの場合を例に説明している。
このイオン注入装置は、例えば図2に示す例のように、X方向の寸法WX よりもY方向の寸法WY が大きいリボン状のイオンビーム2をターゲット16に入射させてイオン注入を行う装置であり、リボン状のイオンビーム2を発生させるイオン源10と、このイオン源10からのイオンビーム2を偏向させて運動量分析(例えば質量分析。以下同様)を行うものであって下流側に所望運動量のイオンビーム2の焦点6を形成する分析電磁石12と、この分析電磁石12からのイオンビーム2の焦点6付近に設けられていて分析電磁石12と協働してイオンビーム2の運動量分析を行う分析スリット14とを備えている。分析電磁石12は、この実施形態では、リボン状のイオンビーム2をその主面4(図2参照)に実質的に直交する方向(換言すればX方向)に偏向させて、イオンビーム2をX方向において集束させて前記焦点6を形成する。
イオンビーム2は、リボン状と言ってもX方向の寸法WX が紙や布のように薄いという意味ではない。例えば、イオンビーム2のX方向の寸法WX は30mm〜80mm程度、Y方向の寸法WY は、ターゲット16の寸法にも依るが、300mm〜500mm程度である。このイオンビーム2の大きい方の面、即ちYZ面に沿う面が主面4である。
このイオン注入装置は、更に、分析スリット14を通過したイオンビーム2をターゲット16に入射させる注入位置で、ホルダ18に保持されたターゲット16をイオンビーム2の主面4と交差する方向に往復直線移動させる(矢印C参照)、即ち機械的に走査するターゲット駆動装置20を備えている。イオン源10からターゲット16までのイオンビーム2の経路は真空雰囲気に保たれる。
イオン源10から発生させてターゲット16まで輸送するイオンビーム2のY方向の寸法WY は、ターゲット16のY方向の寸法よりも大きい。このことと、ターゲット16を上記のように往復移動させることとによって、ターゲット16の全面にイオンビーム2を入射させてイオン注入を行うことができる。ターゲット16は、例えば、半導体基板、ガラス基板、その他の基板である。その平面形状は円形でも良いし四角形でも良い。
上記イオンビーム2の経路に静電偏向器30を設けている。具体的には、この例では、分析スリット14とターゲット16との間に、より具体的には分析スリット14の下流側付近に、静電偏向器30を設けている。
静電偏向器30は、図3〜図5も参照して、イオンビーム2の経路をX方向において挟む電極34の対から成る複数の電極対32を有しており、この電極対32をY方向に複数段に配置している。電極対32の段数は、この例では6段であるが、それに限られるものではない。
各電極対32を構成する各電極34は、この例では、XZ平面に対して実質的に平行に配置された平板電極である。このような2枚の平板電極34が、イオンビーム2が通る隙間36(図3、図4参照)をあけて、イオンビーム2の経路をX方向において挟んで並べられており、それによって一つの電極対32を構成している。
各電極対32を平板電極で構成することは必須ではないけれども、平板電極で構成すると、Y方向において各電極対32間に形成される等電位面を電極面に平行な平らなものに近づけることができるので、イオンビーム2にY方向以外の電界が作用してイオンビーム2がY方向以外に曲げられるのを極力小さくすることができる。このような観点からは、各電極34は、平板でしかも薄いものが好ましい。また、電極34間の隙間36は、できるだけ小さいのが好ましい。但し、電極34にイオンビーム2が当たらないようにする。
各電極対32を構成する一対の電極34は、それぞれ、導体37によって、互いに電気的に接続されている(図4参照)。
各段の電極対32と接地電位部との間に、各電極対32に互いに独立した直流電圧をそれぞれ印加する電源の一例として、この例では、各段の電極対32ごとに独立した電圧可変の直流電源48を設けている。即ち、電極対32の数だけ直流電源48を設けている。但し、そのようにせずに、複数の電源を一つにまとめる等して、一つの直流電源を用いて、各電極対32に印加する直流電圧を互いに独立して制御することができるようにしても良い。
静電偏向器30の上流側(入口側)および下流側(出口側)には、この例のように、遮蔽板40および42を設けておいても良い。両遮蔽板40、42は、それぞれ、イオンビーム2が通る隙間44、46を有しており、電気的に接地されている(図5参照)。この遮蔽板40、42を設けておくと、静電偏向器30から電界が上流側および下流側に漏れ出すのを防止することができる。その結果、静電偏向器30の上流側付近および下流側付近においてイオンビーム2に不所望な電界が作用して、イオンビーム2が不所望に曲げられるのを防止することができる。また、入口側の遮蔽板40は、イオンビーム2が電極対32に当たるのを防止する働きもする。
次に、上記静電偏向器30を用いて、イオンビーム2のY方向における複数位置での進行角θを補正する方法を説明する。この進行角θは、図6を参照して、YZ平面内におけるZ方向からの角度である。このZ方向は、前述したように、イオンビーム2全体の進行方向である。イオンビーム2全体の設計上の進行方向であると言うこともできる。後述する図13における説明では、+Y方向(例えばY方向における上向き)の進行角θを正(+)に、−Y方向(例えばY方向における下向き)の進行角θを負(−)に取ることにしている。
まず、静電偏向器30の下流側近傍において、かつ好ましくは静電偏向器30のY方向における各電極対32間の中心線38(図8等参照)上付近において、各電極対32間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ測定する。
その測定方法の具体例を図7〜図9を参照して説明する。静電偏向器30の下流側近傍にビーム進行角測定器50aを設けている。このビーム進行角測定器50aは、エミッタンス測定器と同様の構造をしている。このビーム進行角測定器50aは、入口部に設けられたスリット52と、その下流側に設けられていてY方向に並べられた複数の(図示例の5個に限られない)ビーム電流測定器54とを有している。このスリット52とビーム電流測定器54との間の距離をL1 とする。これら52、54は、ビーム電流測定器54に不要な方向からイオンビーム2が入射しないように、電気的に接地された遮蔽容器56内に収納しておくのが好ましい。スリット52は、Y方向に狭く、X方向に長いスリット開口を有している。後述する可動スリット58も同様である。
各ビーム電流測定器54のX方向の寸法は、それに入射するイオンビーム2のX方向の寸法よりも大きく(好ましくは十分に大きく)しておき、X方向においてはイオンビーム2を全て受けることができるようにしておくのが好ましい。後述するビーム電流測定器60も同様である。各ビーム電流測定器54は、例えば、ファラデーカップであるが、それに限られるものではなく、棒状等の形状をした導体でも良い。後述するビーム電流測定器60も同様である。
このビーム進行角測定器50aを、測定したい電極対32間の中心線38上に位置させると、イオンビーム2がスリット52を通過して複数のビーム電流測定器54に入射するので、この複数のビーム電流測定器54によって、イオンビーム2のY方向におけるビーム電流分布を測定することができる。その一例を図9に示す。このビーム電流分布の例えばピークのY方向の位置64と上記中心線38との間の距離をL2 とすると、イオンビーム2の進行角θは次式から求めることができる。L1 は前述した距離である。
[数1]
θ=tan-1(L2 /L1
なお、上記ビーム電流分布のピークのY方向の位置64の代わりに、当該ビーム電流分布の重心のY方向の位置を用いても良い。後述するビーム進行角測定器50bにおいても同様である。
そして、ビーム進行角測定器50aを、矢印D(図8参照)に示すようにY方向に移動させて、上記と同様にして、各電極対32間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ求める。
測定が終了すれば、ビーム進行角測定器50aを、ターゲット16に対するイオン注入の邪魔にならない位置に移動させる。後述するビーム進行角測定器50bも同様である。
なお、上記例のようにビーム電流測定器54をY方向に複数個設ける代わりに、1個のビーム電流測定器54をY方向に相対的に小さく(即ち矢印Dに示すようにビーム進行角測定器50a全体をY方向に移動させるよりも小さく。以下同様)移動させて、図9に示したのと同様のビーム電流分布を測定しても良い。
また、一つのビーム進行角測定器50aを上記のようにY方向に移動させる代わりに、複数のビーム進行角測定器50aをY方向に配列して、各ビーム進行角測定器50aで各電極対32間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ測定しても良い。
上記ビーム進行角測定器50aの代わりに、図10、図11に示すようなビーム進行角測定器50bを用いても良い。このビーム進行角測定器50bも、エミッタンス測定器に似た構造をしている。上記ビーム進行角測定器50aとの相違点を主体に説明すると、このビーム進行角測定器50bは、上記スリット52の下流側に設けられていて、矢印Fに示すようにY方向に相対的に小さく移動させる可動スリット58を有している。スリット52と可動スリット58との間の距離をL3 とする。また、上記複数のビーム電流測定器54の代わりに、可動スリット58の下流側に設けられた1個のビーム電流測定器60を有している。
このビーム電流測定器60は、最大可動位置にある可動スリット58とスリット52とを結んだ線62の延長上よりも大きい(好ましくは十分に大きい)Y方向の寸法を有している。1個で、下記のようにして、イオンビーム2のY方向におけるビーム電流分布を測定するからである。このビーム電流測定器60の構成やX方向の寸法は、前述したとおりである。
このビーム進行角測定器50bを、測定したい電極対32間の中心線38上に位置させて、可動スリット58を上下に移動させると、イオンビーム2がスリット52および可動スリット58を通過してビーム電流測定器60に入射し、ビーム電流測定器60には両スリット52、58を通過するビーム量に応じたビーム電流が流れるので、イオンビーム2のY方向におけるビーム電流分布を測定することができる。その一例を図12に示す。このビーム電流分布の例えばピークのY方向の位置66と上記中心線38との間の距離をL4 とすると、イオンビーム2の進行角θは次式から求めることができる。L3 は前述した距離である。
[数2]
θ=tan-1(L4 /L3
そして、ビーム進行角測定器50bを、矢印D(図11参照)に示すようにY方向に移動させて、上記と同様にして、各電極対32間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ求める。
なお、一つのビーム進行角測定器50bを上記のようにY方向に移動させる代わりに、複数のビーム進行角測定器50bをY方向に配列して、各ビーム進行角測定器50bで各電極対32間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ測定しても良い。
上記のようにして、イオンビーム2のY方向における複数位置での進行角θをそれぞれ測定した後に、その進行角θを所定の角度(例えば実質的に0度)に補正するのに必要な各電極対32に印加する直流電圧をそれぞれ求め、その直流電圧を各電極対32に直流電源48からそれぞれ印加する。
各電極対32に印加する上記直流電圧は、例えばイオンビーム2の進行角θを実質的に0度に補正する場合は、簡単に言えば、イオンビーム2の進行角θが正(即ちイオンビーム2が上向き)の電極対32間では電界が下向きになるようにし、逆の場合は逆向きにする。電界の大きさは進行角θの大きさに比例させる。そのようにすることによって、イオンビーム2の進行角θを実質的に0度にすることができる。
上記進行角θの測定および補正を行う方法のより具体例を図13を参照して説明する。なお、図13においては、各電極対32を互いに区別する必要があるために、Y方向の上側から順に電極対32a〜32fとしている。この各電極対32a〜32fに直流電源48(図5参照)からそれぞれ印加する直流電圧をVa 〜Vf とする。図13中の破線68は、ビーム進行角測定器50aまたは50bの入口位置を示す。また、イオンビーム2は、図2、図3等からも分かるように、Y方向の寸法WY の全域に亘って存在するが、図13においては、当該イオンビーム2を構成する各部分のイオンビームの進行方向を分かりやすくするために、イオンビーム2の内の一部分を図示している。図14においても同様である。
進行角θの測定時に、各電極対32a〜32fに、それぞれ同一の値の負の初期電圧V0 を予め印加しておき、進行角θの補正時に、各電極対32a〜32fに印加する電圧Va 〜Vf が全て負電圧になるようにするのが好ましい。そのようにすると、イオンビーム2の経路付近に存在する電子が各電極対32a〜32fに引き込まれるのを防止することができる。即ち、仮に正電圧を印加する電極対があると、その電極対に電子が引き込まれて消滅して、イオンビーム2の空間電荷効果による発散が強くなるけれども、それを防止することができる。その結果、イオンビーム2の経路付近の電子量の減少、ひいてはイオンビーム2の空間電荷効果による発散の抑制を行うことができる。従って、進行角θの測定をより正確に行うことができると共に、進行角θの補正後のイオンビーム2の空間電荷効果による発散を抑制することができる。
例えば、イオンビーム2のエネルギーに相当する電圧をVE とすると、初期電圧V0 は次式で表されるものとすれば良い。係数αは、例えば、0.01〜5程度の範囲内にする。
[数3]
0 =−αVE
以下の例では、イオンビーム2のエネルギーが10keV(即ちVE =10kV)であり、α=0.1として、V0 =−1kVとした。即ち、次式にして進行角θの測定を行った(具体的にはシミュレーションを行った。以下に述べる進行角の補正も同様)。
[数4]
a =Vb =Vc =Vd =Ve =Vf =V0 =−1 [kV]
上記初期電圧V0 を印加した状態で、上記測定方法によって、電極対32aと32b間、電極対32bと32c間、電極対32cと32d間、電極対32dと32e間、電極対32eと32f間の中心線38上においてそれぞれ測定したイオンビーム2の進行角θを、それぞれ、θab、θbc、θcd、θde、θefとする。これらは、例えば、それぞれ、−2度、+1度、0度、−1度、+1度である。
各電極対32a〜32f間の間隔は、この例ではそれぞれ同じであり、従って、イオンビーム2を1度補正するのに必要な電位差ΔVは、イオンビーム2のエネルギーが決まれば、一つに決まる。例えば、この例の静電偏向器30では、ΔV=0.025VE [kV/度]であり、イオンビーム2のエネルギーを10keV(即ちVE =10kV)とすると、ΔV=0.25kVである。
従って、上記のようにして進行角θab、θbc、θcd、θde、θefが測定されたら、それらをいずれも実質的に0度に補正する場合、次のようにして、各電極対32a〜32fに印加する直流電圧Va 〜Vf をそれぞれ求める。
[数5]
a −Vb =θab×ΔV
∴Vb =Va −θab×ΔV
[数6]
b −Vc =θbc×ΔV
∴Vc =Vb −θbc×ΔV
同様にして次式となる。
[数7]
d =Vc −θcd×ΔV
e =Vd −θde×ΔV
f =Ve −θef×ΔV
従って、一つの電極対32aに印加する電圧Va を任意に決めれば、上記数5〜数7から、他の電極対32b〜32fに印加する直流電圧Vb 〜Vf の全てを順に求めることができる。
例えば、直流電圧Va =V0 =−1kVにすれば、他の直流電圧Vb 〜Vf は次式のようにして求めることができる。
[数8]
b =−1−(−2)×0.25=−0.5 [kV]
c =−0.5−(+1)×0.25=−0.75 [kV]
d =−0.75−(0)×0.25=−0.75 [kV]
e =−0.75−(−1)×0.25=−0.5 [kV]
f =−0.5−(+1)×0.25=−0.75 [kV]
上記から分かるように、各電極対32a〜32fに印加する直流電圧Va 〜Vf は全て負電圧になる。従って、前述したイオンビーム2の経路付近の電子量の減少、ひいてはイオンビーム2の空間電荷効果による発散の抑制を行うことができる。仮に、直流電圧Va 〜Vf の内で正電圧になるものがあれば、直流電圧Va =V0 を−1kVよりも負側に大きくすれば良い。例えば、−1.5kVにすれば良い。
上記のようにして求めた直流電圧Va 〜Vf を各電極対32a〜32fにそれぞれ印加することによって、図14に示す例のように、静電偏向器30の各電極対32a〜32f間を通過したイオンビーム2の進行角θをそれぞれ実質的に0度に補正することができる。従って、Y方向における平行性の良いイオンビーム2を静電偏向器30から導出することができる。その結果、ターゲット16に入射する際のイオンビーム2の平行度を良くすることができる。
但し、静電偏向器30(遮蔽板40、42を設ける場合はそれも)を設ける位置は、上記例の位置に限られるものではなく、他の位置、例えば分析電磁石12と分析スリット14との間に設けても良い。
また、静電偏向器30の各電極対32を通過したイオンビーム2の進行角θを実質的に0度以外の角度に補正しても良い。例えば、静電偏向器30から導出するイオンビーム2を、Y方向において幾分集束するイオンビームとしても良い。イオンビーム2は空間電荷効果によって発散する性質を有しているので、特に低エネルギー、大ビーム電流のイオンビーム2はその性質が強いので、静電偏向器30から集束するイオンビーム2を取り出して、静電偏向器30からターゲット16間での空間電荷効果による発散とバランス(相殺)させることによって、ターゲット16に入射する際のイオンビーム2を実質的に平行ビーム化することもできる。
静電偏向器を備えるイオン注入装置の一例を示す概略平面図である。 リボン状のイオンビームの一例を部分的に示す概略斜視図である。 静電偏向器の一例を示す斜視図である。 図3の静電偏向器の平面図である。 図3の静電偏向器を電源と共に示す正面図である。 イオンビームの進行角を説明する図である。 静電偏向器の下流側近傍にビーム進行角測定器の一例を設けた平面図である。 図7の正面図である。 図7および図8中のビーム進行角測定器によって測定されるビーム電流分布の一例を示す図である。 静電偏向器の下流側近傍にビーム進行角測定器の他の例を設けた平面図である。 図10の正面図である。 図10および図11中のビーム進行角測定器によって測定されるビーム電流分布の一例を示す図である。 進行角補正前のイオンビームのシミュレーション結果の一例を示す図である。 進行角補正後のイオンビームのシミュレーション結果の一例を示す図である。
符号の説明
2 イオンビーム
16 ターゲット
30 静電偏向器
32、32a〜32f 電極対
34 電極
48 直流電源
50a、50b ビーム進行角測定器

Claims (3)

  1. (a)イオンビーム全体の進行方向をZ方向とし、Z方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状のイオンビームをターゲットに入射させてイオン注入を行うイオン注入装置において、
    (b)前記イオンビームの経路に、当該イオンビームの経路をX方向において挟む電極の対から成る電極対をY方向に複数段に配置して成る静電偏向器を設けておき、しかもその各電極を、XZ平面に対して実質的に平行に配置された平板電極で構成しておき、
    (c)前記静電偏向器の下流側近傍において、かつ当該静電偏向器のY方向における各電極対間において、各電極対間を通過したイオンビームの、YZ平面内におけるZ方向からの角度である進行角をそれぞれ測定し、しかも当該進行角の測定を、Y方向よりもX方向が長いスリット開口を有しているスリットおよび当該スリットを通過したイオンビームのビーム電流を測定するビーム電流測定器を備えていて前記静電偏向器のY方向において隣り合う二つの電極対間を通過したイオンビームのY方向におけるビーム電流分布を測定するビーム進行角測定器をY方向に移動させて行い、
    (d)前記各進行角を所定の角度に補正するのに必要な各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求め、しかも当該直流電圧をそれぞれ求める際に、前記静電偏向器の各電極対間の電位差であって前記各進行角を所定の角度に補正するのに必要な電位差をそれぞれ計算し、その電位差を実現する各電極対に印加する直流電圧をそれぞれ求め、
    (e)その直流電圧を各電極対にそれぞれ印加することを特徴とするビーム進行角補正方法。
  2. 前記静電偏向器の各電極対間を通過したイオンビームの進行角をそれぞれ実質的に0度に補正する請求項1記載のビーム進行角補正方法。
  3. 前記進行角の測定時に、前記静電偏向器の各電極対にそれぞれ実質的に同一の値の負の初期電圧を印加しておき、進行角の補正時に各電極対に印加する直流電圧が全て負電圧になるようにする請求項1または2記載のビーム進行角補正方法。
JP2006223073A 2006-08-18 2006-08-18 イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法 Active JP4375370B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223073A JP4375370B2 (ja) 2006-08-18 2006-08-18 イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223073A JP4375370B2 (ja) 2006-08-18 2006-08-18 イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008047459A JP2008047459A (ja) 2008-02-28
JP4375370B2 true JP4375370B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=39180983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006223073A Active JP4375370B2 (ja) 2006-08-18 2006-08-18 イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4375370B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7897944B2 (en) * 2008-07-21 2011-03-01 Axcelis Technologies, Inc. Method and apparatus for measurement of beam angle in ion implantation
JP5648919B2 (ja) * 2011-08-17 2015-01-07 日新イオン機器株式会社 イオン注入装置
US9502213B2 (en) 2013-03-15 2016-11-22 Nissin Ion Equipment Co., Ltd. Ion beam line
US9142386B2 (en) 2013-03-15 2015-09-22 Nissin Ion Equipment Co., Ltd. Ion beam line
KR102506984B1 (ko) * 2018-08-31 2023-03-08 주식회사 히타치하이테크 이온 밀링 장치
JP7132828B2 (ja) * 2018-11-13 2022-09-07 住友重機械イオンテクノロジー株式会社 イオン注入装置およびビームパーク装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008047459A (ja) 2008-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI489515B (zh) 離子束線
JP4747876B2 (ja) イオンビーム照射装置
TWI418257B (zh) 緞帶狀離子束的成形方法
TWI364052B (en) Method to increase low-energy beam current in irradiation system with ion beam
JP4375370B2 (ja) イオン注入装置におけるビーム進行角補正方法
US8653490B2 (en) Ion implanter
TWI430337B (zh) 在離子植入機中提供成段的靜電透鏡的技術
TW201145343A (en) Ion injection device
US7772573B2 (en) Ion implanting apparatus and method of correcting beam orbit
US8890506B2 (en) Apparatus and method for measuring ion beam current
JP5885474B2 (ja) 質量分布分析方法及び質量分布分析装置
TWI597760B (zh) 離子束掃描總成
JP2009152002A (ja) イオンビーム照射装置
US10222400B2 (en) Beam current measuring device and charged particle beam irradiation apparatus
US9502213B2 (en) Ion beam line
US7598498B2 (en) Electric field lens and ion implanter having the same
TW202036175A (zh) 多重射束用孔徑基板組及多重帶電粒子束裝置
CN106469634A (zh) 离子束线
US7394069B1 (en) Large-field scanning of charged particles
US8405052B2 (en) Ion implanter provided with beam deflector and asymmetrical einzel lens
JP7132828B2 (ja) イオン注入装置およびビームパーク装置
US20200211816A1 (en) Ion implanter and measuring device
JP2018170086A (ja) イオン注入装置及びイオン注入方法
JP4492591B2 (ja) イオン注入装置およびその調整方法
TW201227796A (en) System and method for producing a mass analyzed ion beam

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4375370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250