JP4373698B2 - 超音波診断装置及び超音波診断支援プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置及び超音波診断支援プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得る医療用画像機器である。この超音波診断装置は、他の医療用画像機器に比べ、小型で安価、X線などの被爆がなく安全性が高い、血流イメージングが可能等の特長を有し、心臓、腹部、泌尿器、および産婦人科などで広く利用されている。
【0003】
この様な超音波診断装置においては、他の診断装置と同様に、検査者は取得された画像から様々な診断情報を読みとっている。例えば、視認可能な腫瘍の大きさ、心筋の壁厚、もしくは心臓の動態などから、その疾病の重症度などを読みとっている。
【0004】
このような診断の一つに、肝臓の硬変度の診断がある。肝細胞の破壊と再生が繰り返されると、肝臓内に繊維化組織が増え、次第に肝細胞数が減り、肝臓が硬く縮小した状態は肝硬変と呼ばれている。図13は正常肝臓を、図14は肝硬変肝臓を模式的に示している。肝硬変の初期の段階は、患者の自覚症状もない上に、超音波診断画像で微小な繊維化構造を観察することは難しい。しかしながら肝硬変度が高くなるに連れ、肝臓実質の超音波診断画像上にスペックルパタンの不均一さが視認できるようになるため、医療現場ではこの不均一さを目視観察することで、肝硬変の度合いを判断する基準としている。
【0005】
ここで、超音波診断画像に現れるスペックルパタンとは、無数の散乱体が超音波の解像度以下の細かさで分布しているときに、散乱波の無数の重畳によってエコー信号強度に高い部分と低い部分とが生じる現象である。これは、いわゆる干渉縞に近い物理現象であり、そのパタン自体は臓器の構造を直接に反映するものではないことは良く知られている。上記の肝硬変の観察も、スペックルパタンが繊維化組織の構造の様子を直接は反映していない。それにも関わらず、肝硬変の重症度が増すにつれて特徴的な視覚的パタンを呈し、これが診断に利用されていることは興味深い事実である。
【0006】
近年、上述のような「医師の経験的な判断による診断が人間のどのような認識パタンの元で行われているのか。」という疑問を客観的且つ科学的に解明しようという研究が、既にいくつかなされている(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3参照)。公知の文献によれば、肝硬変において発生する結節と繊維化組織は、病状の進行に従って徐々に大きくなってゆく過程で、超音波パルスに対しても構造物として認知されるレベルの大きさに徐々に変化してゆく。このため、図C1に示すように、スペックルパタンは徐々に構造物としての情報が増えていき、これにつれてパタンが徐々に変化してゆくと考察されている。
【0007】
さらに近年、肝硬変の進行度を定量化しようという試みもいくつかなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの定量解析手法は、肝臓実質の超音波診断画像上に出現するスペックルパタンの統計的性質に基づくものであり、肝臓が正常であるか異常であるかの判断を、エコー信号強度の確率密度分布曲線が呈する概形を観察することによって実行する。
【0008】
しかしながら、この様な定量解析手法は、主に基礎研究のためのものであり、実用性の点においては不十分であると言える。例えば、検査者は、注意深く時間をかけて解析する領域を設定する必要がある。この注意を怠り不適当な解析領域を設定すれば、当該解析領域に臓器実質部とは異なる組織(血管、臓器境界など)が混入し、結果を不本意に変化させることになるからである。
【0009】
加えて、実際の臨床現場では、被検者に対する診断情報は迅速に取得したいというニーズがあることは言うまでもない。仮に、解析手法が操作者の手技に多大な注意と時間を要求するものであれば、その手法の総合的な効果は低く、結果的には臨床使用に耐えないものとなってしまう。すなわち、現実的に有用な解析手法は、手法の原理のみにあるのではなく、解析プロトコル全体の信頼性にも大きく関係すると言える。
【0010】
【非特許文献1】
Yamaguchi T, Hachiya H, “Modeling of the Cirrhotic Liver Considering the Liver Lobule Structure”, Jpn, J. App;. Phys. Vol.38 (1999) pp. 3382-3392
【0011】
【非特許文献2】
大塚、山口、蜂屋:”病変肝の超音波Bモード画像のシミュレーションによる検討”, 信学技報, US96-16 (1996-06), pp.15-22
【0012】
【非特許文献3】
菊池恒夫、中澤敏弘他、”超音波診断装置のエコー波形スペクトル形状による間疾患定量診断技術の開発”日超医基礎技術研究会, BT-2000-31, pp.9-15 (2001)
【0013】
【特許文献1】
特開2001−238884号
【0014】
【特許文献2】
特開2003−61964号
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、実際の臨床現場で操作者(解析者)が手技に多大な注意と時間を要求することなしに、誤差が少なく客観性のある組織性状診断を迅速に実行可能な超音波診断装置、及び超音波診断支援プログラムを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0017】
請求項1に記載の発明は、被検体を超音波で走査することにより得られた複数のエコー信号に基づいて生成された超音波画像に関するデータを記憶する記憶手段と、前記超音波画像に関するデータ上に解析領域を設定すると共に、前記解析領域内に複数のサブ解析領域を設定する設定手段と、前記サブ解析領域のそれぞれに対応する前記エコー信号の強度又は振幅情報に関する各統計量を演算する統計量演算手段と、前記各統計量に基づいて、前記各サブ解析領域に対応する前記被検体内の所定部位における散乱体の分布状況を解析した複数の第1のサブ解析情報からなる前記第1の解析情報を生成する第1の解析手段と、前記複数の第1のサブ解析情報に基づいて、前記所定部位の組織性状の正常度又は異常度を示す値を少なくとも含む第2の解析情報を生成する第2の解析手段と、少なくとも前記第2の解析情報を提示する提示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
請求項12に記載の発明は、被検体を超音波で走査することにより得られた複数のエコー信号に基づいて生成された超音波画像に関するデータを記憶するコンピュータにと、前記超音波画像に関するデータ上に解析領域を設定させると共に、前記解析領域内に複数のサブ解析領域を設定させる設定機能と、前記サブ解析領域のそれぞれに対応する前記エコー信号の強度又は振幅情報に関する各統計量を演算させる統計量演算機能と、前記各統計量に基づいて、前記各サブ解析領域に対応する前記被検体内の所定部位における散乱体の分布状況を解析した複数の第1のサブ解析情報からなる前記第1の解析情報を生成させる第1の解析機能と、前記複数の第1のサブ解析情報に基づいて、前記所定部位の組織性状の正常度又は異常度を示す値を少なくとも含む第2の解析情報を生成させる第2の解析機能と、少なくとも前記第2の解析情報を提示させる提示機能と、を実現させるための超音波診断支援プログラムである。
【0019】
このような構成によれば、実際の臨床現場で操作者が手技に多大な注意と時間を要求することなしに、誤差が少なく客観性のある組織性状診断を迅速に実行可能な超音波診断装置、及び超音波診断支援プログラムを実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態〜第3実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成を示した図である。同図に示すように、本超音波診断装置10は、超音波プローブ12、入力装置13、モニタ14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成回路25、信号解析ユニット26、制御プロセッサ27、記憶媒体28、インタフェース部29を具備している。装置本体11に内蔵される超音波送信ユニット21等は、集積回路などのハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムである場合もある。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0022】
超音波プローブ12は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの境界、微小散乱等により後方散乱され、反射波(エコー)として超音波プローブ12に受信される。
【0023】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件(後述する検定における棄却域、有意水準、排除閾値、第1ROIの数、第1ROIが第2ROIをスイープする際のずらし幅、後述する排除閾値及びリカバリ閾値、その他の統計的パラメータ)、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむためのマウスやトラックボール、モード切替スイッチ、キーボード等を有している。本実施形態においては、上記統計的パラメータは、本装置10によって推奨される推奨値が自動的に設定されるものとする。
【0024】
モニタ14は、画像生成回路25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0025】
超音波送信ユニット21は、図示しない遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。超音波送信ユニット21は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0026】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性(走査線)が決定される。
【0027】
Bモード処理ユニット23は、超音波受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニタ14に表示される。
【0028】
ドプラ処理ユニット24は、超音波受信ユニット22から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成回路25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニタ14にカラー表示される。
【0029】
画像生成回路25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成回路25は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該画像生成回路25に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。
【0030】
信号解析ユニット26は、超音波受信ユニット22直後の出力信号(radio frequency(RF)信号と呼ばれる)、Bモード処理ユニット23通過後の画像輝度信号、その他の生データや、画像生成回路25が出力する表示レベルのデータを読み込み、これらの信号に含まれるスペックルパタンに関する情報を利用して、後述する組織性状診断に係る解析処理を行う。
【0031】
制御プロセッサ27は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。また組織性状診断に係る解析処理においても、必要なプログラムやデータを記憶媒体28から信号解析ユニット26への転送を制御する。
【0032】
記憶媒体28は、超音波診断画像、各画像に係る診断情報(患者ID、医師の所見等)、後述する組織性状診断に係る解析処理を実現するソフトウェアプログラム等が保管されている。また、記憶媒体28は、統計的パラメータの推奨値を記憶している。この推奨値は、種々の条件にて事前に測定され装置出荷時に登録されるか、操作者によってマニュアル的に登録される。
【0033】
インタフェース部29は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェース部29よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0034】
(スペックルパタンの統計的性質)
まず、スペックルパタンの統計的性質の一般論について説明する。図2の曲線C1は、正常な肝臓から反射されるエコー信号の輝度値の確率密度分布を示している。確率・統計的な観点から言えば、散乱体がランダムに分布しているならば、それらの散乱体から反射されるエコー信号の強度である振幅値の確率密度分布P(x)は、次の式(1)によって表されるレイリー(Rayleigh)分布に従う。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、σ2はサンプルの分散を表し、平均0と規格化されている。肝臓が正常である場合、肝臓内には多くの散乱体(血管などの自明な構造物は除く)がランダムに存在していると仮定できるので、肝臓を表すエコー信号強度(振幅)の確率密度関数は図2の曲線C1のようにレイリー分布を呈する。
【0037】
しかし、肝臓に上述のような繊維化構造が増加していくと、そのスペックルパタンは構造物を反映するようになり、ランダムとは言えなくなる。その結果、輝度の確率密度関数は、図3の曲線C2に示すごとく、レイリー分布から逸脱する。
【0038】
このように、肝臓が正常であるか、異常であるかの判断は、エコー信号強度の確率密度分布曲線が呈する概形を観察することにより可能となる。この様な確率密度分布曲線の概形等の観点から肝硬変の進行度を判定する手法は、例えば特開2001−238884号、特開2003−61964号に詳しい。
【0039】
(組織性状診断における解析)
本実施形態が実行する組織性状診断は、上記スペックルパタンの統計的情報を利用して対象とする組織内の散乱体分布状況を、検定的手法により定量的かつ客観的な解析を行うものである。以下、最初に一般的な手法について説明した後、本解析処理のアルゴリズムについて説明する。なお、本実施形態において対象とする診断部位は、正常時には比較的均質な組織構造を持つ、肝臓、膵臓、心筋などに応用が可能であるが、本例では肝臓の肝硬変重症度を診断する場合について説明を行う。
【0040】
統計学の一般的手法として、あるサンプルの分散値σ2が、母集団の分散値σ0 2と異なるか否かを判定する際、「χ二乗検定」は最も良く知られた統計手法である。サンプルの分散値σ2は以下の式(2)で計算できる。
【0041】
【数2】
【0042】
ここで、μは平均値、nはサンプル数である。χ二乗分布X2 は、以下の式(3)で表される。
【0043】
【数3】
【0044】
n−1はこの分布の自由度と呼ばれる。χ二乗検定は、次の式(4)で示される帰無仮説(検定すべきもとになる仮説)の元、これが否定されるか否かを判定するものである。
【0045】
【数4】
【0046】
また、式(3)に少し変更を加えた次式(5)による「修正χ二乗分布」も使われることがある。
【0047】
【数5】
【0048】
この式(5)は、サンプルの分散値が母集団に相似すると、自由度に関わらずC2の平均値は1に近づく。
【0049】
以上述べた一般的手法を、本超音波診断装置10が対象とするような組織性状診断へ適用する場合、以下の問題が生じる。すなわち、検定には母集団の分散値σ0 2が必要である。しかしながら、今の場合、この値は「組織が正常だった場合の分散値」であり、計測するのは困難である。なぜなら、例えば既に慢性疾患を有する肝臓からこの値を取得することは、事実上不可能であるからである。さらに、母集団の分散値σ0 2として、他の人物等の正常肝臓の値を使うこともできない。なぜなら超音波信号の分散値は、患者の状態(生体の減衰定数や皮下脂肪の状態)によって異なってしまうからである。
【0050】
そこで、本実施形態では、計測したサンプルxi(後述する第1のROI内のスペックルパタン)を母集団の特性値としその平均値を利用して、母集団の分散値σ0 2を仮想的に次の式(6)によって求める。
【0051】
【数6】
【0052】
ここで、μmは「改良平均値」であり、xi<μ+ασを満足するサンプルxiのみによって、次の式(7)に基づいて求められる。
【0053】
【数7】
【0054】
なお、Nmは抽出したサンプル数であり、σはサンプルの標準偏差である。またαは排除閾値(Removing threshold)と呼ばれる任意の定数である。このαを好適な値にすることで、本解析において興味のない血管等の構造物に関わるデータを当該解析から排除することができる。なぜなら、血管等の構造物は、分散が大きく異なる値として認知され、xi<μ+ασを満足しない特異なサンプルとなり式(6)(7)に影響しないからである。
【0055】
上記式(6)による仮想的な母集団の分散値σ0 2の採用が有意義であるのは、次の理由による。一般に、解析するサンプルが互いに無相関な場合、サンプル群の振幅のヒストグラムは「レイリー分布曲線」で近似可能なことが知られている。また、既述の如く正常な肝臓から得られるサンプル群(スペックルパタンの信号群)の振幅は、この分布に従う。これらの場合、平均値μと母集団の分散値σR 2との関係は以下の式(8)で表される。
【0056】
【数8】
【0057】
本実施形態において採用される仮想的な母集団の分散値σ0 2は、この式(8)を、排除閾値をクリアする特定サンプルxiのみによって上記式(7)の改良平均値に基づき求めるように改良されている。この改良は、肝硬変情報等を含まない領域から取得したサンプル群、すなわち正常な肝臓から得られるサンプル群から求められるものに対応しており、上記式(8)の分布曲線に近いものと考えることができる。
【0058】
以上の考察を踏まえ、本解析処理は大きく二つの段階に分類することができる。第1段階では、χ二乗検定を用いた各第1ROIにおけるスペックルパタンについての解析を行う。また、当該段階では、得られた解析結果が、次段の正常度を判定するのに好適か否かを判定するためのリカバリモデルも導入される。第2段階では、第1段階での結果を利用して、第2ROIにおける肝硬変重症度(正常度又は異常度)、及び肝臓全体についての肝硬変重症度を定量的に解析する。ここで、第2ROIは、解析対象となる超音波診断画像(解析画像)上において少なくとも一つ設定される比較的大きなROIであり、肝硬変重症度の解析領域である。一方、第1ROIは、第2ROI内に複数設定される微小なROIである。以下、第1段階、第2段階の順にその内容を説明する。
【0059】
第1段階では、上記仮想的な母集団の分散値を利用した次の式(9)によって表現される「改良した修正χ二乗分布」を用いてχ二乗検定が実行される。
【0060】
【数9】
【0061】
ここで、σm 2は、上記改良平均値(式(6))と同様の観点から導入された改良分散値であり、xi<μ+ασを満足するサンプルxiのみによって、次の式(10)によって定義される。
【0062】
【数10】
【0063】
本解析処理のアルゴリズムでは、式(9)によるCm 2を検定統計量(帰無仮説の正否を検定するために選択される統計量)として用いた上で、帰無仮説σ2=σ0 2が棄却可能か否かを検定的手法により判定する。すなわち、棄却域をWとし有意水準をγとすれば、第1ROIについてのCm 2を求め、これがWに含まれる場合には、当該ROIに関しては帰無仮説σ2=σ0 2を棄却して「正常ではない(異常)」とする判定を行う。一方、Cm 2を求め、これがWに含まれない場合には、当該ROIに関しては帰無仮説σ2=σ0 2を採択し「正常ではないとは言えない(正常)」とする判定を行う。以下、各第1ROIについての帰無仮説σ2=σ0 2に関する検定を「主検定」と称する。
【0064】
(リカバリモデル)
上述したように、Cm 2による主検定は、サンプルの中に局所的に不要な構造物(血管等)が含まれても、その影響を比較的受けずに、背景の組織の特徴を評価できる。しかしながら、撮影によって取得されたデータが不要構造物を多く含み過ぎる場合には、上記解析手法のアルゴリズムを用いても除去できない場合が発生する。
【0065】
この様な場合、上記解析による結果を、肝臓の「異常」と提示する処理も考えられる。しかしながら、本解析処理では、これをそのまま「異常」として処理することはせず、得られた結果を「正常、異常、どちらでもない」と判断する。その後「どちらでもない」と判断された第1ROIを解析対象から外すことで、信憑性を向上させる。具体的には、後述する第1ROIのそれぞれについて、次の式(11)を用いた判定を行う。
【0066】
【数11】
【0067】
上記式(11)に従ってRcsを計算し、その値と定数β(βは「リカバリ閾値:recovery threshold」と呼ばれる任意の定数。)との大小関係を判定し、次の分類を行う。
【0068】
(1)主検定につき帰無仮説σ2=σ0 2が棄却された場合であって、Rcs>βなら、「解析結果=recovered」と判定する。
【0069】
(2)主検定につき帰無仮説σ2=σ0 2が棄却された場合であって、Rcs>βでないなら、「解析結果=abnormal」と判定する。
【0070】
(3)主検定につき帰無仮説σ2=σ0 2が棄却されない場合、「解析結果=normal」と判定する。なお、統計学的な見地によれば、このように帰無仮説σ2=σ0 2が棄却されない場合には、「当該患者の患者が正常であることは否定できない」という解釈がなされる。
【0071】
続いて、第2段階では、第1段階での解析結果を利用して、次の式(12)で定義される正常指標(Normality Index)を第2ROI毎に計算する。
【0072】
【数12】
【0073】
ここで、リカバリモデルにおいて(1)に分類された第1ROIの個数をNnorm、(2)に分類された第1ROIの個数をNabnormとしている。
【0074】
このNI値は、第2ROIにおける当該肝臓の正常度を定量的に表すものである。従って、このNI値に基づいて、当該患者の肝硬変重症度を客観的に判断することができる。第2ROIが複数設定されている場合には、その平均等の統計量により、肝硬変重症度を判断する。
【0075】
(組織性状診断における動作)
次に、本超音波診断装置10の組織性状診断(今の場合、肝硬変重症度診断)における一連の動作について、図4乃至図9を参照しながら説明する。
【0076】
図4は、組織性状診断において実行される処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、スクリーニングとしての臓器全体の描出、ドプラ法などによる血行動態の観察など、通常の検査を行う(ステップS1)。
【0077】
次に、上記検査の最中又は終了後、入力装置13上のボタン等を操作することにより、現行の送受信条件から本組織性状診断用の送受信条件(以下この送受信条件をTCモードと呼ぶ)に遷移し、当該条件に従った超音波走査を実行する(ステップS2)。
【0078】
ここで、TCモードとしての送受信条件とは、通常の診断画像に求められる描画性重視の送受信条件より、本解析の精度向上を優先する送受信条件(設定値)を指し、組織の状態に関する情報をより多く抽出するためのものである。具体的には、(a)フレームレート増加による時間分解能よりも、走査線密度増加による空間分解能の増加を優先する、(b)低周波数駆動による観測深度よりも、高周波数により空間分解能を優先する、(c)微分処理、フレーム相関などの画像処理法による人工的な描画性よりも、エコー振幅値を簡素に表現する方法を優先する、などである。
【0079】
次に、TCモードによって取得された、解析する超音波画像を描出する(ステップS3)。ここで、肝臓実質の硬変度を解析するという主旨に従えば、なるべく大きな構造物が混入しない、広い実質部を含む断面を描画するべきである。しかし、現実には比較的小さな血管断面は避けられず、従来ならこの断面描画に多大な時間を要していた。これに対し、本手法によれば、比較的小さな血管などの構造は、自動的に除去可能なアルゴリズムを有しているため、操作者はあまり慎重に操作する必要がなく、断面の描出時間が短縮することが期待できる。
【0080】
次に、フリーズボタンなどにより、画像を一時停止(「ポーズ」又は「フリーズ」)させ、静止画像を表示する(ステップS4)。また、この一時停止の操作に応答して、表示された静止画像に対応する超音波RF受信信号若しくは包絡線検波後の振幅信号又は画像輝度信号が、信号解析ユニット26から記憶媒体28へとりこまれる。
【0081】
なお、解析に使用する信号は、最も情報量が多く未加工状態であるRF信号等が望ましい。しかしその一方で、RF信号は、データ容量が大きい、保管して後日閲覧する際に扱いにくいといった短所もある。また、包絡線検波後の信号は、対数変換処理の他、様々な画像加工が施されると、正確な解析結果を得ることは出来なくなる。しかしながら、事前に画像加工処理を行わない設定とし、対数変換後のデータに対しては逆変換を施すことで、解析可能な情報に再変換できることがわかっている。本解析手法は、必要に応じていずれの信号に対して適用可能である。
【0082】
次に、モニタ14に表示された静止画像上に、解析処理の対象範囲を表す第2ROIを設定する(ステップS5)。この第2ROIの形状は、楕円、矩形、あるいは任意形状など、種々の形状を選択可能である。ただし、本装置10を利用した組織性状診断の主旨に従えば、操作者(解析者)は解析領域の設定を注意深く行う必要がない。従って、楕円などの簡単な形状を積極的に用いることができる。
【0083】
また、第2ROIの個数についても限定はなく、例えば複数個の第2ROIを設定することも可能である。好ましくは、図5に示すように、比較的大きな構造物(胆嚢や横隔膜など)を避けながら、複数の第2ROIによってなるべく臓器全体をカバーするように設定する。
【0084】
なお、図5中の白点線は、解析推奨領域を示している。この解析推奨領域は、システムは現在の送受信条件(送信口径、フォーカス点、走査線密度等)から予め設定される。例えば、図5に示す例では、解析推奨領域がフォーカス点を中心に±3cmの深度に設定されているものとする。この様に解析推奨領域を装置側で積極的に設定するのは、次の理由による。すなわち、一般に、超音波音場は常に均一ではなく、例えば近距離領域は音場プロファイルが乱れ、統計解析の精度が損なわれる可能性がある一方、フォーカス点は最も分解能が高い。このため、このフォーカス点を含む解析推奨領域の解析を積極的に促すことで、精度の向上を図るためである。
【0085】
次に、第2ROI内の解析処理が実行される(ステップS6)。以下、図6を参照しながら、当該解析処理の手順について説明する。
【0086】
図6は、第2ROI内の解析処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、第2ROIが設定されると(図4ステップS5)、当該第2ROIに対応するデータが記憶媒体28から読み出される(ステップS61)。すなわち、画像輝度信号に対して解析処理を行う場合には、操作者が第2ROIを設定する静止画像上に指定した領域に対応する画像メモリ上のデータが、制御プロセッサ27の解析処理領域に読み出される。また、解析にRF信号を利用する場合には、操作者が第2ROIを設定する静止画像上に指定した領域に対応する、RF信号のデータが、記憶媒体28から制御プロセッサ27の解析処理領域に読み出されることになる。
【0087】
次に、第2ROI内に、解析処理の対象となる微小領域である第1ROIが設定され、当該第1ROI内の信号の読み込みが実行される(ステップS62)。この第1ROIは、第2ROI内を移動(スイープ)しながら解析するため、初めは例えば図7に示すように左上部などに設定される。また、当該第1ROI内の形状についても、第2ROIと同様、楕円、矩形、あるいは任意形状など、種々の形状を選択可能である。
【0088】
次に、第1ROI内から取得されるサンプル(今の場合、RF信号等)から、主検定に必要な統計量(平均値、分散値、改良平均値、改良分散値等)が算出される(ステップS63)。各統計量の定義、意味等については、既述した通りである。
【0089】
次に、式(6)及び改良平均値(式(7)参照)に基づいて、仮想的母集団の分散値σ0 2が算出される(ステップS64)。算出された仮想的母集団の分散値σ0 2及び改良分散値から、改良型修正χ二乗分布を用いて検定を行い、かつ「normal、abnormal、recover」の分類を行う。
【0090】
次に、第2ROi内を全部スイープしたか否かの判定を行う(ステップS66)。全てスイープしたと判定した場合にはステップS67に移行し、していないと判定した場合には、次段の第1ROIに位置移動し、ステップS62乃至ステップS65の処理を実行する。このステップS62乃至ステップS65の処理は、第2ROI内に存在する全ての第1ROIについて実行される。
【0091】
全第1ROIに関する主検定及びリカバリが終了すると、その結果に基づいてNI値を算出する(ステップS68)。算出されたNI値は、モニタ14に所定の形式にて表示される(ステップS69)。
【0092】
図8は、各第2ROIにおける第1ROIの分類結果、及び各第1ROIのNI値解析結果の表示例を示した図である。例えば、ROINo.1の第2ROIについては、normalに判定された第1ROIが51個、abnormalと判定された第1ROIが0個、recovered(除外)と判定された第1ROIが21個である。また、「total」は、各第2ROIにおけるNI値(ROINo.1の場合、abnormalが0個であるので、「1」となっている)を、右側の「Normality Index」の値0.92は、当該超音波診断画像全体のNI値(すなわち、6個の第2ROIの平均値)をそれぞれ表示している。なお、今の場合、解析領域が完全に均一でレイリー分布に従う場合は、「Normality Index」が1となるように定めてある。
【0093】
結果の提示方法は、図8の例に限定されない。例えば、図9(a)に示すように結果の数値を適当にクラス分けを行い、0=正常、1、2、3、4となるに従い重症度が高い、といった具合に数値化を行ってもよい。また好適には、一目で結果の意味合いが解るように、図9(b)のように記号、あるいは図形などで表記する、もしくは数値と図形の併用等を行うことが好ましい。
【0094】
次に、図4の説明に戻る。ステップS6において各第2ROIについての解析処理を終了すると、さらに新たな第2ROIを追加するか否かの判定を行い(ステップS7)、追加する場合には、ステップS5及びステップS6の処理を繰り返す。一方、新たな第2ROIを追加しない場合には、解析処理の最終結果をモニタ14に表示する(ステップS8)。
【0095】
次に、さらに別の超音波診断画像について新たな解析を行うか否かを判定する(ステップS9)。新たな解析を実行する場合には、現在表示中の画像のフリーズを解除し、新たに対象となる超音波診断画像を描画してモニタ14に表示し、当該画像についてステップS3乃至ステップS8の処理を実行する。一方、新たな解析を実行しない場合には、一連の動作を終了する。
【0096】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0097】
本超音波診断装置によれば、超音波受信信号の統計的性質を利用して組織スペックルパタンの均質度を定量評価することができる。その結果、操作者の主観に依存しない客観的な解析による組織性状診断を実現することができ、超音波診断法の新たな診断情報を提供することができる。また、当該解析においては排除閾値を導入し、これにより比較的小さな血管などの構造物を自動的に除去している。従って、操作者は厳格なROI指定等の慎重な操作を要求されず、当該操作者の負担を軽減させると共に、診断に要する時間を短縮することができる。
【0098】
また、超音波診断装置では、取得したサンプルに基づいて、仮想的な母集団の分散値σ0 2を推定し、これを利用して検定を行っている。従って、たとえ当該患者の患部が正常でない場合であっても、正常な患部の統計的情報を取得することができ、客観的な組織性状診断を実現することができる。
【0099】
また、超音波診断装置では、検定的手法に基づいて得られた第1ROIに関する判定結果を再度検討するリカバリモデルを導入し、組織性状診断に不要な構造物に関する情報を多量に含む不適切なデータを除外して、患部に対する最終的な判定を行っている。従って、信憑性の高いデータのみに基づく客観的な診断結果を得ることができる。さらに、リカバリモデルによる不適切データの自動的除外機能により、操作者は厳格なROI指定等の慎重な操作を要求されない。従って、当該操作者の負担を軽減させると共に、診断に要する時間を短縮することができる。
【0100】
また、超音波診断装置では、第2ROI毎の結果、及び全第2ROIに基づく最終的な結果を、NI値により定量的に提示することができる。また、必要に応じて各結果を患部の症状が一目で解るような図形等にて提示することができる。従って、操作者は、本装置による診断結果を容易に認識することができる。その結果、当該操作者の負担を軽減させると共に、診断に要する時間を短縮することができる。
【0101】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態にて説明した解析処理を、診断終了後あるいは後日行う場合の例である。この場合の動作を、図10のフローチャートに従って説明する。
【0102】
図10に示すように、まず操作者は、予め当該患者から解析画像を撮影・取得し、記憶媒体28に保存する(ステップA)。この解析画像と同時に、患者データ(名前、患者ID、検査所見レポートなど)、他の診断画像のほか各画像に関するRF信号、包絡線検波後の信号等のデータも記憶媒体28に保存される。
【0103】
上記超音波診断画像の撮影・取得後、操作者は所望のタイミングにおいて、所定の操作により記憶媒体から各データを呼び出し(ステップB)、第1実施形態にて説明した図4のステップS5乃至ステップS9の処理を行うことが可能である。この様な構成によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
なお、解析画像等のデータは、必ずしも当該超音波診断装置10によって撮影・取得される必要はない。例えば、図1に示した様にネットワークを介して、他の装置から所望のデータを取得することも可能である。この場合には、本実施形態に係る装置は超音波診断装置である必要はなく、本解析処理のアルゴリズムを具備したソフトウェアを内蔵したコンピュータであれば、同様の効果を得ることができる。前記PC上で同様の定量解析処理を行うことも可能である。
【0105】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態にて説明した解析処理を、三次元画像を対象として行う場合の例である。
【0106】
一般に、超音波診断においては、複数の断層画像を3次元的に配置することで、ボリウムデータの再構築、あるいは立体像、もしくはボリウムデータから任意方向の断層像を再構成する手法が行われている。第1乃至第3実施形態において実行される組織性状診断に係る解析も、臓器を3次元的に俯瞰できる三次元画像を使用すれば、全体像を容易に把握することができる。
【0107】
このような三次元画像を使用した組織性状診断に係る解析は、図4中ステップS5の第2ROIの設定操作のみ異なり、その他は第1実施形態と同様である。以下、第2ROIの設定操作について説明する。
【0108】
三次元画像を使用した解析を実行する場合、操作者は、三次元メモリ空間上のボリウムデータに対して第2ROIを設定する。この設定手法は、例えば図11に示すように、ボリウムデータの3次元画像を表示し、入力装置13からの所定操作により当該画像上にマニュアル的に、又は所定の領域に自動的に実行される。また、図12(a)乃至(c)に示すように、三次元メモリ空間上のx平面、Y平面、z平面にそれぞれ平行な切平面を表示し、各切平面上に二次元的な第2ROIを設定することで、ボリウムデータに対する第2ROIを設定する構成であってもよい。特に、後者の切断面を利用した設定によれば、第2ROIのサイズ、位置の調整を容易に行うことができる。
【0109】
以上述べた構成によれば、全体像を容易に把握することができる三次元画像を利用して、組織性状診断に係る解析を容易に実現することができる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、第1実施形態においては、正常指標(NI値)を式(12)にて定義し、解析結果として肝臓の正常度を定量的に示した。これに対し、肝臓の異常度を定量的に示す「異常指標」を導入する構成であってもよい。この異常指標は、式(12)の分子をNabnormとすることで定義することができる。
【0111】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0112】
【発明の効果】
以上本発明によれば、実際の臨床現場で操作者が手技に多大な注意と時間を要求することなしに、誤差が少なく客観性のある組織性状診断を迅速に実行可能な超音波診断装置、及び超音波診断支援プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成を示した図である。
【図2】図2は、正常肝臓からのエコー信号強度の確率密度分布を示した図である。
【図3】図3は、正常肝臓と硬変肝臓とのエコー信号強度の確率密度分布の違いを示した図である。
【図4】図4は、組織性状診断において実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】図5は、診断画像上に複数個設定された第2ROIを示した図である。
【図6】図6は、組織性状診断に係る解析処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】図7は、超音波診断画像中に設定された一つの第2ROI中において、左上部に設定された円形の第1ROIを示した図である。
【図8】図8は、各第2ROIにおける第1ROIの分類結果、及び各第1ROIのNI値解析結果の表示例を示した図である。
【図9】図9は、各第2ROIにおける第1ROIの分類結果、及び各第1ROIのNI値解析結果の他の表示例を示した図である。
【図10】図10は、診断終了後あるいは後日に組織性状診断に係る解析処理を行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、ボリウムデータに第2ROIを設定する手法の一例を説明するための図である。
【図12】図12(a)乃至(c)は、ボリウムデータに第2ROIを設定する手法の他の例を説明するための図である。
【図13】図13は、正常肝臓を模式的に示した図である。
【図14】図14は、肝硬変肝臓を模式的に示した図である。
【符号の説明】
10…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニタ、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成回路、26…信号解析ユニット、27…制御プロセッサ、28…記憶媒体、29…インタフェース部
Claims (12)
- 被検体を超音波で走査することにより得られた複数のエコー信号に基づいて生成された超音波画像に関するデータを記憶する記憶手段と、
前記超音波画像に関するデータ上に解析領域を設定すると共に、前記解析領域内に複数のサブ解析領域を設定する設定手段と、
前記サブ解析領域のそれぞれに対応する前記エコー信号の強度又は振幅情報に関する各統計量を演算する統計量演算手段と、
前記各統計量に基づいて、前記各サブ解析領域に対応する前記被検体内の所定部位における散乱体の分布状況を解析した複数の第1のサブ解析情報からなる前記第1の解析情報を生成する第1の解析手段と、
前記複数の第1のサブ解析情報に基づいて、前記所定部位の組織性状の正常度又は異常度を示す値を少なくとも含む第2の解析情報を生成する第2の解析手段と、
少なくとも前記第2の解析情報を提示する提示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記統計量演算手段は、前記解析領域に対応する前記複数のエコー信号の強度又は振幅情報のうち、特異的な前記エコー信号の強度又は振幅情報を除外して前記統計量を演算することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記統計量演算手段は、前記複数のエコー信号の強度又は振幅情報の平均値及び標準偏差値に基づく閾値処理により、前記特異的な前記エコー信号の強度又は振幅情報を除外することを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
- 前記第1の解析手段は、前記各統計量に基づいて仮想的母集団の分散値を推定し、当該仮想的母集団の分散値及び前記各統計量に基づいて、統計的検定の手法により前記第1の解析情報を生成することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記第1の解析手段は、前記統計量に基づいて、前記各第1のサブ解析情報が前記第2の解析情報の生成に好適か否かを判別し、
前記第2の解析手段は、前記第1の解析手段によって好適と判定された前記第1のサブ解析情報に基づいて、前記第2の解析情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。 - 前記統計的検定の手法における棄却域、有意水準、前記閾値処理の閾値、前記第1のサブ解析領域の数その他の統計的パラメータを入力するための入力手段をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
- 前記提示手段は、前記解析領域の設定においては、前記超音波画像とともに推奨する少なくとも一つの解析領域を提示することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記設定手段は、自動的に又はマニュアル操作に応答して前記解析領域を設定することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記超音波画像に関するデータは、
フレームレート増加による時間分解能よりも走査線密度増加による空間分解能の増加を優先する第1の条件、又は低周波数駆動による観測深度よりも高周波数により空間分解能を優先する第2の条件に基づく超音波走査により得られた複数のエコー信号に基づいて生成され、
微分処理又はフレーム相関その他の人工的画像処理よりも、前記複数のエコー信号の強度又は振幅情報を表現することを優先させて生成されたこと、
を特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。 - 前記超音波画像に関するデータは、二次元画像データ又はボリウムデータであることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記第1の解析情報及び前記第2の解析情報のうちの少なくとも一方を、ネットワークを介して他の装置に送信する送信手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 被検体を超音波で走査することにより得られた複数のエコー信号に基づいて生成された超音波画像に関するデータを記憶するコンピュータにと、
前記超音波画像に関するデータ上に解析領域を設定させると共に、前記解析領域内に複数のサブ解析領域を設定させる設定機能と、
前記サブ解析領域のそれぞれに対応する前記エコー信号の強度又は振幅情報に関する各統計量を演算させる統計量演算機能と、
前記各統計量に基づいて、前記各サブ解析領域に対応する前記被検体内の所定部位における散乱体の分布状況を解析した複数の第1のサブ解析情報からなる前記第1の解析情報を生成させる第1の解析機能と、
前記複数の第1のサブ解析情報に基づいて、前記所定部位の組織性状の正常度又は異常度を示す値を少なくとも含む第2の解析情報を生成させる第2の解析機能と、
少なくとも前記第2の解析情報を提示させる提示機能と、
を実現させるための超音波診断支援プログラム。
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