JP4372924B2 - 動画像素材生成方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、CG(コンピューターグラフィクス)映像、TV番組、スクリーンセーバーなど映像一般に用いられる映像または映像素材の制作を行うための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CG映像、スクリーンセーバー等における映像には、ポリゴンを用いた処理が行われている。ポリゴンとは、映像を作成するための二次元平面または三次元空間上に定義される多角形であり、このポリゴン単位で色を持たせたり、動きを持たせたりすることにより、映像に複雑な変化を持たせることが可能になっている。従来、このようなポリゴンの形状や動きは、モデラーやアニメーターと呼ばれる専用のCGソフトウェアを用いて、人手により細かく定義されることにより、作成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のようなCGソフトウェアを用いた映像作成手法では、以下のような種々の問題がある。まず、動きをポリゴンの各頂点、各時刻に与えることは、オペレータの負荷が大きい。また、人手で美しく調和の取れた動きを作成することが困難である。また、動きの修正や調整を行う場合も、各ポリゴン同士の相互の関係を考慮して行わなければならない。
【0004】
また、生成した映像を映像素材として用いて、他の映像と合成することにより、変化に富んだ映像を生成することが行われているが、このような場合、一方の映像が前面に出て、他方の映像が隠れてしまう。一方の映像が他方の映像の隙間から後方に見え隠れするような複雑な映像を作成しようとすると、映像の動きに合わせて、互いの映像の合成率を変化させなければならず、そのような映像の合成処理を行うことは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、他の映像素材と合成して映像を生成する際に、変化に富んだ合成が可能な動画像素材を生成する動画像素材生成方法および装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1、に記載の発明では、必要なパラメータを入力し、入力されたパラメータに従ってポリゴンを生成し、生成されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って初期画像を描画すると共に、前景となるポリゴンと背景となるポリゴンにおいて異なる値を有する初期合成プレーンを描画し、あらかじめ設定された座標変換関数に従って前記生成されたポリゴンの各頂点を移動させ、前記頂点が移動されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って得られる画像と既に描画されている画像を所定の合成率で合成して画像の描画を行うと共に前記頂点が移動されたポリゴンに従って得られる合成プレーンと既に描画されている合成プレーンを所定の合成率で合成して合成プレーンの描画を行い、前記ポリゴンの各頂点の移動および画像、合成プレーンの描画を所定回数繰り返すことにより動画像を構成する所定数の画像および合成プレーンを生成し、その際、座標変換関数として周期定数を有する関数を用い、前記ポリゴンの各頂点を移動する段階および前記画像、合成プレーンの描画を行う段階を前記周期定数により定まる1周期分以上繰り返し、生成された画像および合成プレーンの内1周期分を記憶するようにしたことを特徴とする。
請求項1、に記載の発明では、入力されたパラメータに従ってポリゴンを生成し、あらかじめ設定された座標変換関数に従って前記ポリゴンを変形し、変形されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って得られる画像と既に描画されている画像を合成して画像の描画を行うと共に、変形されたポリゴンに従って得られる合成プレーンと既に描画されている合成プレーンを所定の合成率で合成して合成プレーンの描画を行うようにし、ポリゴンの変形と合成した画像、合成プレーンの描画を設定された回数分繰り返し行い、その際、ポリゴンを変形するための座標変換関数として周期関数を用い、周期定数により定まる1周期分の画像、合成プレーンを記憶するようにしたので、パラメータの設定および座標変換関数の指定を行うだけで、動画像が生成されると共に、動画像を構成する各画像に対応した合成プレーンが生成される。この合成プレーンを用いて、生成された動画像と他の映像素材を合成することにより、他の映像素材が、生成された動画像の絵柄に合わせた合成率で合成されることになるため、他の映像素材の絵柄が、生成された動画像の絵柄の隙間から後方に見え隠れするような変化に富んだ映像を作成することが可能になる。
さらに、前の画像の内容が一部残ることになり、残像効果を有する動画像の生成を容易に行うことが可能になると共に、他の映像素材と合成する際に、生成された合成プレーンを用いることにより、隙間の後方に現れる他の映像素材の見え隠れを残像効果を用いて表現することが可能になる。
また、得られた1周期分の動画像素材を繰り返して再生することによりシームレスな動画像とすることができる。そのため、どのような長さのシーンにでも合成することができ、動画像としての利用価値が高くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による動画像素材生成方法のフローチャートである。まず、ステップS1において、パラメータの入力を行う。ここでは、パラメータとして、ポリゴンサイズ、ポリゴン数、描画フレーム数、画像合成率を入力する。ポリゴンサイズとは、動画像を構成する画像の生成のために二次元平面上に発生されるポリゴンの初期サイズであり、ここでは、発生される全てのポリゴンサイズを同一とする。ポリゴンサイズは横方向の値px、縦方向の値pyにより定義される。ポリゴン数は、発生させる前記ポリゴンの数を示すものであり、横方向の発生数nx、縦方向の発生数nyにより定義される。描画フレーム数は、発生する画像および合成プレーンの数を示す。動画像は発生された画像数分だけ動きが与えられることになる。この描画フレーム数はnfとして定義される。画像合成率は、現在描画されている画像と、次に発生された画像とを合成して、次に描画される画像を生成するときの合成率を示す。この画像合成率は、現在描画されている合成プレーンと、次に発生された合成プレーンとを合成して、次に描画される合成プレーンを生成する際にも用いられる。この画像合成率をパラメータとして導入することにより、前の画像情報の一部が残り、残像効果を有することになる。また、他の映像と合成する際には、合成プレーンにより隙間に現れる他の映像の見え隠れに対して残像効果を与えることができる。この画像合成率はβとして定義される。
【0010】
ポリゴンサイズ(px,py)、ポリゴン数(nx,ny)、描画フレーム数nf、画像合成率βが入力されたら、ステップS2では、入力されたパラメータに従って全ポリゴンを発生する。ここで、発生されるポリゴンの形状は、矩形状となるが、横方向にix番目、縦方向にiy番目のポリゴンの4頂点のx座標,y座標はそれぞれ以下のようになる。
【0011】
第1頂点:(ix−1)×px,(iy−1)×py
第2頂点:ix×px,(iy−1)×py
第3頂点:ix×px,iy×py
第4頂点:(ix−1)×px,iy×py
【0012】
このようにして全ポリゴンの座標値を決定することにより、同時に生成する画像サイズも決定されることになる。画像サイズは、(nx×px)×(ny×py)となる。つまり、ポリゴンは画像サイズいっぱいに敷き詰められた状態となる。ある画像サイズに生成される初期のポリゴンの状態を図3(a)に示す。図3(a)では、ポリゴン数nx=4、ny=4の場合を示している。
【0013】
また、各ポリゴンには、そのポリゴンが前景として表示されるものであるか、背景として表示されるものであるかの種別が定義される。前景と背景の比率は、あらかじめ設定しておき、その比率になるように乱数を用いてポリゴンごとに種別が決定される。続いて、各ポリゴンには色情報が定義されるが、背景として定義されたポリゴン(以下、背景ポリゴンという)は、全ての背景ポリゴンについて同一色となるように定義する。一方、前景として定義されたポリゴン(以下、前景ポリゴンという)は、デザインに応じた色の割り当てが行われる。定義される種別に関わらず、全ポリゴンの色はR,G,Bの3原色で定義される。色を割り当てる際、生成される画像の前景と背景の区別がつき易いように、背景ポリゴンの色は、(R,G,B)=(0,0,0)の黒色に設定し、前景ポリゴンの色は、R,G,Bの値が大きい明るい色に設定することも可能である。また、ポリゴンの色情報はポリゴン単位で1つのポリゴン内が同一色になるように定義しても良いし、ポリゴンを構成する各頂点ごとに定義しても良い。頂点ごとに定義した場合は、描画時にグーローシェーディング、すなわち、頂点間における各点の色情報を補間して得る等の手法により得られる値でレンダリングされることになる。色の与え方としては、パラメータとして設定された色(R,G,B)に対し一定の範囲で発生される乱数成分を加えることなどがデザイン上有用である。
【0014】
続いて、ステップS3において、各ポリゴンに定義されている色情報に基づいて各画素の色を決定することにより画像を生成する。生成された画像は第1のフレームバッファにレンダリング、すなわち、描画される。描画された画像は初期画像としてフレーム番号t=0が付される。生成される画像は、R、G、Bの3プレーンにより構成されるものとなる。各プレーンにおける1つの画素は8ビット256階調で表現可能である。
【0015】
また、同時にステップS3においては、各ポリゴンに定義されている前景か背景かの種別情報に従って、合成プレーンを生成する。合成プレーンはポリゴンから生成されるR,G,B各プレーンと同様の画像サイズであり、各プレーンと同様、各画素は8ビット256階調で表現される。ポリゴンが前景となる場合は、そのポリゴンに対応する各画素値αは最大値の255に設定される。また、ポリゴンが背景となる場合は、そのポリゴンに対応する各画素値は最小値の0に設定される。すなわち、この初期合成プレーンは0か255の2値で表現されるものとなる。ここで、図3(a)に示したポリゴンに基づいて、生成される初期合成プレーンの状態を図4(a)に示す。図4(a)においては、画素値α=255のところは白く、画素値α=0のところは黒く表現されている。図4(a)は、図3(a)において、ポリゴンA、B、Cが前景として設定された場合を示している。生成された初期合成プレーンは第2のフレームバッファにレンダリング、すなわち、描画され、フレーム番号t=0が付される。
【0016】
次に、ステップS4において、初期状態の各ポリゴンの各頂点を所定の座標変換関数に従って移動させることにより、各ポリゴンを変形させる。座標変換関数ΔP(x,y,t)は、ポリゴンの頂点の座標値(x,y)およびフレーム番号tにより定まる関数である。座標変換関数としては、二次元極座標系のものが用いられ、実際には、回転角Δθ(x,y,t)、移動距離Δr(x,y,t)の2関数により実現される。これらの関数はx,y,tの全ての変数について連続的であれば良く、この条件を満たしていれば三次元フラクタル等の関数や、移動距離Δrについては定数でも良い。二次元極座標系を用いた場合の座標変換関数の一例を以下の(数式1)に示す。
【0017】
(数式1)
Δθ(x,y,t)=sin(t/T+φ(x,y))
Δr=r0
【0018】
上記(数式1)において、上段の式は、回転角Δθをsin関数によって求めるものとなっており、パラメータとして動きの周期を示す周期定数Tを有している。また、上段の式におけるφ(x,y)は位置(x,y)におけるフレーム番号t=0のときの位相、すなわち初期位相を示す。下段の式の移動距離Δrはここでは、定数r0が設定されている。
【0019】
座標変換関数により求まる回転角度、移動距離により各頂点が移動されることにより、各ポリゴンが変形されることになる。図3(a)のポリゴンを座標変換関数を用いて変形した例を図3(b)に示す。この例では、描画範囲の境界の四辺にあたる頂点は固定し、座標変換の対象外としている。
【0020】
続いて、ステップS5では、まず、変形されたポリゴンを元に新たな画像を生成する。ポリゴンが変形されると、各ポリゴンに与えられている色情報もそれにしたがって移動することになるため、フレーム番号t=0の画像とは異なる画像が生成されることになる。ここで生成される画像を「仮画像」と呼ぶことにする。次に、既に描画されているフレーム番号t=0の画像と新たに生成された仮画像の合成を行う。この合成は、元の画像(ここでは、t=0)の座標(x,y)における画素値Vaと、仮画像の同一座標(x,y)における画素値Vb、およびパラメータとして入力された画像合成率βを用いて新たな画素値Vcを、以下の(数式2)により算出することにより行われる。
【0021】
(数式2)
Vc= β×Va +(1−β)×Vb
ただし、0 ≦ β ≦ 1
【0022】
(数式2)の性質により、画像合成率βを大きくすれば、元の画像の画素値が大きく影響することになり、見た目には残像が残るような印象を与える。各画素について(数式2)の処理を行うことにより、新たな画像が得られる。この画像合成により得られる新たな画像は第1のフレームバッファにレンダリングされ、フレーム番号t=1が付される。
【0023】
また、ステップS5では、変形されたポリゴンを元に新たな合成プレーンの生成も行う。ポリゴンが変形されると、各ポリゴンに与えられている種別情報もそれにしたがって移動することになるため、フレーム番号t=0の合成プレーンとは異なる合成プレーンが生成されることになる。ここで生成される合成プレーンを「仮合成プレーン」と呼ぶことにする。ここで、図3(b)に示すポリゴンから生成される仮合成プレーンを図4(b)に示す。図4(b)に示す仮合成プレーンは図4(a)に示す合成プレーン同様、画素値α=255のところは白く、画素値α=0のところは黒く表現されている。次に、既に描画されているフレーム番号t=0の合成プレーンと新たに生成された仮合成プレーンの合成を行う。この合成は、元の合成プレーン(ここでは、t=0)の座標(x,y)における画素値Va、仮合成プレーンの同一座標(x,y)における画素値Vb、およびパラメータとして入力された画像合成率βを用いて、新たな合成プレーン上の画素値Vcを、画像生成の際と同様に上記の(数式2)により算出することにより行われる。図4(a)に示すフレーム番号t=0の合成プレーンと図4(b)に示す仮合成プレーンを合成することにより得られるフレーム番号t=1の合成プレーンを図4(c)に示す。図4(c)に示す合成プレーンは、画像合成率β=0.5としたときのものであり、画素値α=255のところは白く、画素値α=128のところは中間色で、画素値α=0のところは黒く表現されている。得られた合成プレーンは第2のフレームバッファにレンダリングされ、フレーム番号t=1が付される。
【0024】
ステップS4、ステップS5の処理は、t=nfとなるまで繰り返され、フレーム番号t=1からフレーム番号t=nfまでのnf個の画像およびnf個の合成プレーンが生成される。生成された画像および合成プレーンはフレーム番号と対応付けてハードディスク等の外部記憶装置またはDVD、CD−ROM、MO等の記憶媒体に記憶されることになる。記憶する形態としては、RGB3プレーンの画像と合成プレーンを別ファイルで記録しても良いし、まとめて4プレーンのファイルとして記録しても良い。このnfフレーム分の画像および合成プレーンは(数式1)に示したように、周期定数Tを有する周期関数を用いて生成されているため、生成されたnfフレームの動画像素材は、第nfフレームと第1フレームで連続性を持つことになる。これにより、このnfフレームの動画像素材は繰り返し何度も再生しても動きに違和感のないシームレスな動画像素材となり、一定時間分の動画像素材として生成しておけば、どのような長さのシーンにも合成できるため、動画像素材としての利用価値が高くなる。また、生成された画像は、この場でフレーム番号順にディスプレイに表示することも可能である。
【0025】
次に、上記ステップS1〜ステップS5までの処理を実行する動画像素材生成装置について説明する。図2は本発明による動画像素材生成装置の構成を示すブロック図である。図2において、1は入力手段、2はポリゴン生成手段、3は関数設定手段、4は画像描画手段、5は合成プレーン描画手段、6は記憶手段、7は表示手段である。
【0026】
入力手段1は、図1のフローチャートに示したステップS1のパラメータ入力処理や、数式1に示したような座標変換関数の指定を行うためのものであり、現実にはキーボードやマウス等の入力機器により実現される。ポリゴン生成手段2は、図1のステップS2のポリゴンの生成処理およびステップS4のポリゴン頂点の移動処理を行うためのものであり、実際には、コンピュータおよびコンピュータに搭載された専用のプログラムにより実現される。関数設定手段3は、入力手段1により指定された座標変換関数を保持する手段であり、ポリゴン生成手段2におけるポリゴンの頂点移動処理時に座標変換関数をポリゴン生成手段2に渡す機能を有する。画像描画手段4は、図1のステップS3およびステップS5における画像描画処理を行うためのものであり、生成された仮画像と第1のフレームバッファに描画されている画像を合成して、第1のフレームバッファの内容を上書きする機能を有する。合成プレーン描画手段5は、図1のステップS3およびステップS5における合成プレーン描画処理を行うためのものであり、生成された仮合成プレーンと第2のフレームバッファに描画されている合成プレーンを合成して、第2のフレームバッファの内容を上書きする機能を有する。ポリゴン生成手段2、関数設定手段3、画像描画手段4、合成プレーン描画手段5は、コンピュータおよびコンピュータに搭載された専用のプログラムにより実現される。記憶手段6は、本発明により生成される画像および合成プレーンを記憶するためのものであり、ハードディスク等の記憶装置またはDVD、CD−ROM、MO等の記憶媒体により実現される。表示手段7は、本発明により生成される画像をフレーム番号順に表示するためのものであり、CRT、液晶等のディスプレイにより実現される。
【0027】
次に、本装置で生成された動画像素材を用いて、他の映像素材と合成して、合成映像を生成する場合について説明する。本装置で生成される動画像素材とは、上述のように動画像を構成する複数枚の画像と、各画像に対応した合成プレーンから成る。また、ここでは合成の対象となる他の映像素材も複数枚の画像により構成されているものとする。実際には、この映像も動画像であるが、同じ用語を使用すると紛らわしいので、ここでは、上記本装置により生成されたものを「動画像」とし、別に用意されたものを「映像」とする。合成は、動画像を構成する画像と、映像を構成する画像1枚ずつ行われるが、この合成率の算出のために合成プレーンが用いられる。合成プレーンは各画素が0から255までの256階調の値を取り、また、合成プレーンを作成するための元のポリゴンからは動画像を構成する画像が生成されるため、動画像の前景、背景に対応して画素値が変化することになる。そのため、合成プレーンの画素が大きい値を取るときは、動画像の前景であるため、動画像の値を大きな割合で、他の映像を小さな割合で合成する。合成プレーンの画素が小さい値を取るときは、そこは動画像の背景であるため、動画像の値を小さな割合で、他の映像を大きな割合で合成する。このようにすることにより、動画像の背景部分に他の映像を合成することができる。例えば、動画像を構成する画像の画素値をVd、映像を構成する画像の画素値をVe、合成プレーンの画素値をα、画素値αの取り得る最大値をαmaxとすると、合成映像を構成する画像の画素値Vfは以下の(数式3)により算出される。
【0028】
(数式3)
Vf = (α/αmax)×Vd+(1−α/αmax)×Ve
【0029】
上記(数式3)において、α/αmaxは、0≦α/αmax≦1の範囲の値を取り得る。上記の例のように1画素が8ビットで表現される場合、αmax=255となる。上記(数式3)では、Vfの値は、αの値が大きい程Vdの影響が大きくなり、αの値が小さい程Veの影響が大きくなる。すなわち、合成プレーンの画素の値が大きい程、動画像を構成する画像が強く表現され、合成プレーンの画素の値が小さい程、映像を構成する画像が強く表現されることになる。合成プレーンの画素の値は、上述のように動画像を構成する画像の前景(画素値が比較的大きい)に対応する位置において大きく、動画像を構成する画像の背景(画素値が比較的小さい)に対応する位置において小さくなっているため、合成された映像においては、動画像の背景部分に他の映像が表現されるようになる。
【0030】
本発明により生成された動画像素材は、CD、MOなどの記憶媒体またはネットワークを介して提供することができ、この動画素材を用いて、上述のように他の映像と合成することにより、より多様な表現が可能な合成映像を生成することが可能になる。生成された合成映像も元の動画像や映像と同様、複数の画像の形式で所定の記憶手段に記憶される。
【0031】
さらに、生成された合成映像は、各画像をフレーム番号順に所定のタイミングで切り替えて表示させることにより動画像として表示される。切り替えのタイミングは各画像を表示させる装置またはコンピュータのソフトウェアの仕様に従ったものとなる。
【0033】
記実施形態では、図1のフローチャートに示したステップS5の処理で生成された動画像および合成プレーンを、フレーム番号t=1からt=nfまでのnf個分ハードディスク等の記憶装置に記憶するようにしている。これは、画像および合成プレーンに残像効果を与えない場合は問題ないが、残像効果を与える場合は問題が生じる。残像効果を与える場合、画像も合成プレーンも生成過程において、一定時間以前からのポリゴンの描画結果の影響を受けることになる。例えば、10フレーム目の画像には、9フレーム目の画像の影響が残り、それより影響は少ないものの8フレーム目の画像の影響も残り、という具合に、画像合成率βの値にも依存するが、数フレーム分の影響を受けることになる。そのため、上記の例のようにt=1からt=nfまでの動画像素材を繰り返し再生していくと、nfフレーム目から1フレーム目にスムーズにつながらないことになる。つまり、時間的に完全にシームレスにするためには、1フレーム目にその前のフレームであるnfフレーム目や(nf−1)フレーム目などの影響が残っていなくてはならない。そのため、画像合成率βの値も考慮して残像効果が十分に残るフレーム数からnfフレーム個記憶装置、記憶媒体に記憶させるようにする。好ましくは、図1に示すフローチャートにおいて、t=2nfまでステップS4、ステップS5の処理を繰り返して行い、記憶装置、記憶媒体等には、(nf+1)フレーム目から2nfフレーム目までの画像、合成プレーンを記憶させるようにする。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、入力されたパラメータに従ってポリゴンを生成し、あらかじめ設定された座標変換関数に従って前記ポリゴンを変形し、変形されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って得られる画像と既に描画されている画像を合成して画像の描画を行うと共に変形されたポリゴンに従って得られる合成プレーンと既に描画されている合成プレーンを合成して合成プレーンの描画を行い、ポリゴンの変形とそのポリゴンにより得られる画像、合成プレーンの描画を設定された回数分繰り返し行うようにしたので、パラメータの設定および座標変換関数の指定を行うだけで、動画像が生成されると共に、動画像を構成する各画像に対応した合成プレーンが生成される。この合成プレーンを用いて、生成された動画像と他の映像素材を合成することにより、他の映像素材が、生成された動画像の絵柄に合わせた合成率で合成されることになるため、他の映像素材の絵柄が、生成された動画像の隙間から後方に見え隠れしながら動くような変化に富んだ映像を生成することが可能になる。この際、前の画像の内容が一部残ることになり、残像効果を有する動画像の生成を容易に行うことが可能になると共に、他の映像素材と合成する際に生成された合成プレーンを用いることにより、他の映像素材の見え隠れを残像効果を用いて表現することが可能になる。さらに、ポリゴンを変形するための座標変換関数として周期関数を用いて周期定数により定まる1周期分の画像、合成プレーンを記憶するようにした場合は、得られた1周期分の動画像素材を繰り返して再生することによりシームレスな動画像とすることができる。そのため、どのような長さのシーンにでも合成することができ、動画像素材としての利用価値が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による動画像素材生成方法のフローチャートである。
【図2】本発明による動画像素材生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】初期のポリゴンおよび頂点が移動された状態のポリゴンを示す図である。
【図4】合成プレーンの変化の様子を示す図である。
【符号の説明】
1・・・入力手段
2・・・ポリゴン生成手段
3・・・関数設定手段
4・・・画像描画手段
5・・・合成プレーン描画手段
6・・・記憶手段
7・・・表示手段

Claims (2)

  1. 他の映像素材と合成するために、合成対象とする画像と合成率を定める合成プレーンからなる動画像素材を生成する方法であって、
    必要なパラメータを入力する段階と、入力されたパラメータに従ってポリゴンを生成する段階と、生成されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って初期画像を描画すると共に、前景となるポリゴンと背景となるポリゴンにおいて異なる値を有する初期合成プレーンを描画する段階と、あらかじめ設定された座標変換関数に従って前記生成されたポリゴンの各頂点を移動させる段階と、前記頂点が移動されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って得られる画像と既に描画されている画像を所定の合成率で合成して画像の描画を行うと共に、前記頂点が移動されたポリゴンに従って得られる合成プレーンと既に描画されている合成プレーンを所定の合成率で合成して合成プレーンの描画を行う段階を有し、
    前記座標変換関数は周期定数を有する関数であり、前記ポリゴンの各頂点を移動する段階および前記合成して画像の描画を行うと共に合成して合成プレーンの描画を行う段階を前記周期定数により定まる1周期分以上所定回数繰り返すことにより動画像を構成する所定数の画像および合成プレーンを、各回ごとに対応付けて生成し、生成された画像および合成プレーンの内1周期分を記憶することを特徴とする動画像素材生成方法。
  2. 他の映像素材と合成するために、合成対象とする画像と合成率を定める合成プレーンからなる動画像素材を生成する装置であって、
    必要なパラメータを入力すると共に、座標変換関数を指定可能な入力手段と、入力された座標変換関数を保持する関数設定手段と、入力されたパラメータに従ってポリゴンを生成すると共に、前記関数設定手段に設定された周期定数を有する座標変換関数に従って前記生成されたポリゴンの各頂点を移動させるポリゴン生成手段と、前記頂点が移動されたポリゴンに割り当てられた色情報に従って得られる画像と既に描画されている画像を所定の合成率で合成して画像の描画を行う画像描画手段と、前記頂点が移動されたポリゴンに割り当てられた情報に基づいて得られる合成プレーンと既に描画されている合成プレーンを所定の合成率で合成して合成プレーンの描画を行う合成プレーン描画手段と、前記画像描画手段により描画された画像、前記合成プレーン描画手段により描画された合成プレーンを前記周期定数により定まる1周期分記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする動画像素材生成装置。
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