JP4371610B2 - 蒸気タービンのシール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービンのシール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蒸気タービンはタービンシャフトと一体に設けられたタービンホィールの周方向に多数植設された動翼と、タービンケーシングにノズルダイアフラムを介して設けられた静翼とを交互に配置し、この動翼1列と静翼1列とでタービン段落1段を形成し、このタービン段落を複数段設けることにより構成されている。そして、タービン内に流入した蒸気を静翼にて膨張させて高速にし、この高速の蒸気流を動翼に流入することによりタービンシャフトを回転している。従って、静翼とタービンシャフトとの間にはタービンシャフトの回転を可能にするために間隙が設けられている。そして静翼に流入する蒸気の一部がこの間隙から静翼をバイパスする漏れ蒸気となって流れてタービンの性能低下の一因となる。そのためこの漏れ蒸気量を小さくするため、静翼内輪がタービンシャフトに近接する部分にシールフィンと呼ばれる一種の漏れ防止装置が設けられる。
【0003】
このようなシールフィンとして従来から非接触式のラビリンスシールが知られている。蒸気タービンは高温蒸気を使用し高速でタービンシャフトが回転する回転機械であり、タービンの性能を向上させるためには作動流体である蒸気が少しでも多く静翼および動翼に流入することが必要である。そのためタービンシャフトと静翼内輪の間隙や動翼先端と静翼外輪の間隙、または動翼先端とケーシングの間隙を通って漏洩する蒸気の量を出来るだけ少なくする必要がある。
【0004】
図3(a)、(b)、(c)および(d)は従来のラビリンスシールの代表例を示している。図3(c)を用いて従来技術を説明する。図中符号9は図示しないケーシングに嵌合して取り付けられたノズルダイアフラム8の内輪、すなわち、静翼内輪9であり、その内周に通常は板ばね等の弾性体11を介してパッキンリング2が取り付けられ、そのパッキンリング2からパッキンリングと一体または別体に形成され植設されたシールフィン4が内径側に向かって伸びている。図中符号5は回転構造物の一部分であるタービンシャフトであり、タービンシャフト5の表面には周方向に複数条の凸部6を形成させ、タービンシャフト5に相対する静止構造物であるパッキンリング2にはタービンシャフト5の凸部6に対応した短いシールフィン44と、タービンシャフト5の凹部60に対応した長いシールフィン45が形成されている。このような基本構造を有する非接触型のシールフィン装置を一般にラビリンスシール15と称しており、各シールフィン先端の間隙7をできる限り微小に設定し、静翼をバイパスしてこの間隙7を通って漏れ出る蒸気3を少なくして漏洩損失を小さくしている。
【0005】
以上、静翼内輪とタービンシャフト間の間隙のシールフイン装置について説明したが、動翼先端と静翼外輪または動翼先端とケーシングとの間の間隙についても類似の問題がある。図4(a)、(b)、(c)および(d)に従来から適用されてきた蒸気タービンの動翼先端と静翼外輪の間の間隙のシールフィン装置を示す。
【0006】
動翼14の先端16に設けられたシュラウドカバー21と静翼12の外輪17との間または図示しないケーシングとの間には、動翼14の回転を可能にするために間隙18が設けられている。このため、動翼14に流入する蒸気の一部はこの間隙18から動翼14をバイパスする漏れ蒸気となって流れ、タービン性能を低下させる一因となっている。この漏れ蒸気を小さくするために、動翼先端16に設けられたシュラウドカバー21に近接する静翼外輪17(またはケーシング)にシールフィン19が設けられる。このようなシールフィンとして、従来から図4(a)、(b)、(c)または(d)に代表されるラビリンスシール20が知られている。
【0007】
近年、蒸気タービンの高出力化、高効率化が従来にも増して要求されてきており、そのために、静翼および動翼における翼の空力設計による性能向上や蒸気タービンから復水器に蒸気が流れる際の排気損失低減などいろいろな改善が講じられて日々進歩してきている。このような改善の中で、タービンシャフトと静翼内輪の間隙や動翼先端と静翼外輪の間隙を通って漏洩する蒸気の量を出来るだけ少なくするというシール性能の向上が蒸気タービンの性能向上に大きく貢献する。
【0008】
このように、蒸気タービンの性能の向上を目指してクリアランスコントロールなる種々の径方向間隙調整装置が考案され、一部の蒸気タービンに適用されている。しかしながら、従来のクリアランスコントロール手法はタービンシャフトの径方向の間隙調整に止まり、蒸気の流れと蒸気タービンの運転時における熱膨張も考慮した効果的な効率向上策には到っておらず、軸長(軸受間の距離)が長くかつ高温になる蒸気タービンにおいて、伸び差を考慮したシールの最適化には大きな改善の余地が残されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図3および図4に示したようなラビリンスシール15、20のシール性能は一般にシールフィン先端とタービンシャフト又はシールフィン先端と静翼外輪(またはケーシング)の間隙7、18を小さくすれば向上する。他方、これらの間隙7、18が小さすぎると、何らかの要因により回転構造物と静止構造物が接触するいわゆるラビング現象が発生し、蒸気タービンの軸振動が運転継続が困難なほど過大になることがしばしば経験される。よってラビリンスシールのシール性能を更に向上させるためにはこの間隙を単に狭めることだけでは解決されない課題がある。
【0010】
一方、蒸気タービンには、起動停止に伴うケーシングの不均一温度分布に起因する猫背現象や逆猫背現象、ケーシングや静翼とタービンシャフトや動翼の熱膨張量の差異、動翼などの回転構造物の遠心力による変形、軸受油膜によるタービンシャフト軸心の移動、アライメント変化、軸振動などの現象が発生する。従って、現状の間隙設定は、厳しいラビング現象を発生させることのない最小限の間隙設定であるといえる。このため、従来のシール方法の間隙調整だけでは大幅なシール性能の向上を望むことは困難な状況となっている。
【0011】
ところで、蒸気タービンは一般に500℃ないし600℃程度の高温の水蒸気を導入してその熱エネルギーをタービンシヤフトの回転という機械エネルギーに変換しており、常に高温にさらされている。蒸気タービンの回転構造物であるタービンシヤフトは静止構造物であるケーシングに比べて大きさ、重量ともに小さく、熱容量的にもケーシングに比べて小さいものとなっている。また、回転構造物であるタービンシャフトは熱伝達率もケーシングに比べて大きい。そのために、蒸気タービンの起動時に高温の蒸気がタービンに流入してくるとタービンシャフト5の方がケーシングよりも速やかに高温になる。その結果、タービンシャフト5の熱膨張量がケーシングの熱膨張量よりも大きくなって、タービン軸方向の相対位置が変化する。一般にこの相対変位量は伸び差と称され、タービンシャフトの変位拘束位置であるスラスト軸受(図示しない)から離れるほど大きくなる。タービンの負荷が大きくなって定常運転になると、タービンシャフトとケーシングの温度差が小さくなるのでこのタービン軸方向の相対変位量(伸び差)も小さくなりある一定値に近づく。他方、タービン停止に向けて負荷が減少するとタービンに流入する蒸気の量も減少するためタービンシャフトは速やかに温度低下するのに対してケーシングの温度低下は緩やかであり、伸び差は小さくなり、更にタービンシャフトの熱膨張量がケーシングの熱膨張量よりも小さくなって反対方向の伸び差が生じることになる。
【0012】
蒸気タービンにはこのような伸び差の問題があるために、静止側と回転側から互いにシールフィン等の突起物を突出し、静止側のシールフィン先端と回転側のシールフィン等の突起物先端とが径方向に負の間隙を持って形成される食違い型ラビリンスシールやハイロー型ラビリンスシールにおいては、軸方向のフィンピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値の差よりも小さく設定することができない。このため、シール性能が高いといわれる食違い型ラビリンスシールやハイロー型ラビリンスシールを蒸気タービンに適用する場合に、フィンピッチが大きく、決められた範囲にシールフィンを数多く形成することができずにシール性能を最大限に引き出すことができないでいる。現状の蒸気タービンにおいてはこのように、蒸気タービンの軸方向のシールフィンの数を増やすことが出来ないという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、蒸気タービンの運転に支障をきたすことなく、また、回転構造物にラビング現象などによる永久曲がりなどの不具合を発生させることなく蒸気タービンのシール性能を向上させ得る蒸気タービンのシール装置を提供することにあり、また、そのようなシール装置を適用した蒸気タービンを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、回転物体の周面にフィンを半径方向に突き出して設け、前記回転物体の周面と相対する周面を有する静止物体の前記周面にフィンを半径方向に突き出して設け、前記静止物体側のフィンのピッチを前記回転物体側のフィンのピッチと同等に配設した蒸気タービンのシール装置において、
組み立て時には前記静止物体側のフィン先端と前記回転物体側のフィン先端との間に径方向に正の間隙を有するように前記静止物体側のフィンを前記回転物体側のフィンに対して径方向外側に変位させるとともに、蒸気タービンの定常運転時には前記静止物体側のフィン先端と前記回転物体側のフィン先端とが蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食い違いつつ径方向に負の間隙を有するように前記静止物体側のフィンを前記回転物体側のフィンに対して径方向内側に変位させる、前記回転物体側のフィンに対して前記静止物体側のフィンを径方向に移動配置する径方向間隙調整装置設けることにより、
前記回転物体側フィン及び前記静止物体側フィンのピッチを、そのラビリンスシールが設置されている位置の蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値の差よりも小さくしつつ、
蒸気タービンの伸び差によって前記静止物体側のフィンと前記回転物体側のフィンの軸方向の相対位置が変化してもこれらのフィン同士が互いに干渉しないようにしたことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。
【0015】
また、本発明は、回転物体の周面に、周方向に延在する凸部と周方向に延在する凹部とを形成し、静止物体の周面であって、前記回転物体の周面に設けられた凸部に相対する位置に、径方向に突出する短いフィンを設け、前記静止物体の周面であって、前記回転物体の周面に設けられた凹部に相対する位置に、径方向に突出する長いフィンを設けた蒸気タービンのシール装置において、
組み立て時には前記静止物体側の前記長いフィンの先端と前記回転物体側の前記凸部の先端との間に径方向に正の間隙を有するように前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向外側に変位させるとともに、蒸気タービンの定常運転時には前記静止物体側の長いフィンの先端と前記回転物体側の凸部先端とが蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食い違いつつ径方向に負の間隙を有して配置されるように前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向内側に変位させる、前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向に移動配置する径方向間隙調整装置を設けることにより、
前記回転物体側の凹部の軸方向の幅、そのラビリンスシールが設置されている位置の蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値の差よりも小さくしつつ、
蒸気タービンの伸び差によって前記静止物体側の前記長いフィンと前記回転物体側の前記凸部の軸方向の相対位置が変化しても前記長いフィンと前記凸部が互いに干渉しないようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項1または2に記載の蒸気タービンのシール装置を適用した蒸気タービンである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2を参照して説明する。尚、以下の説明においては、蒸気タービンのタービンシャフトと静翼内輪の間に設けられたシール装置を例にとって説明するが、動翼の先端のシュラウドカバーと静翼外輪の間に設けられたシール装置においても同様のことが言え、一般にグランドシールと称されるところのタービンシャフトとケーシングとの間に設けられたシール装置においても同様のことが言える。
【0018】
「第1の実施の形態」(請求項1,3に対応)
図1(a)、(b)および(c)は、請求項13に対応する実施の形態を示すものであって、蒸気タービンのシール装置として使用されたラビリンスシール20の部分を示した断面図である。
【0019】
シールフィン23,24のピッチは蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定され、従来に比べて狭い範囲に多数のシールフィン23,24が設置されている。
【0020】
図1(a)は、蒸気タービンの定常運転状態におけるラビリンスシール20の状態を示す断面図である。この状態では、静止部側であるパッキンリング22のシールフィン23と回転部側であるタービンシャフト25のシールフィン24とが蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食違った状態となっているが、径方向間隙調整装置(図示せず)が作動して、パッキンリング22側シールフィン23が内径を小さくするように押し出されて、パッキンリング22のシールフィン23先端とタービンシャフト25側シールフィン24先端とが径方向に負の隙間27aを有し、流体Fが高圧側から低圧側(例えば図1(a)左側から右側へ)に向かって直進できないようにジグザグの流路が形成されている。
【0021】
図1(b)は、蒸気タービンの起動直後からの負荷上昇の際の低負荷における過渡的な運転状態におけるラビリンスシール20の状態を示す断面図である。この状態においては、静止側であるパッキンリング22のシールフィン23先端と回転側であるタービンシャフト25のシールフィン24先端とが、蒸気タービンの伸び差によって同じ軸方向位置となり径方向に互いに対向しているが、径方向間隙調整装置(図示せず)がまだ作動していないので、両者の間には径方向に正の隙間27bが生じており流体F高圧側から低圧側に向かって直進できる。従って、タービンシャフト25側のシールフィン24とパッキンリング22側のシールフィン23とが同じ軸方向位置になっても、タービンシャフト25側シールフィン24とパッキンリング22側シールフィン23とが接触することがない。
【0022】
また、図1(c)は、蒸気タービンの負荷降下時の低負荷に至る過渡的な運転状態におけるラビリンスシール20の状態を示す断面図である。この状態においては、径方向間隙調整装置(図示せず)の作動が終了して静止部側であるパッキンリング22のシールフィン23が半径方向に径が大きくなるように押し戻されている。これにより、パッキンリング22側シールフィン23先端とタービンシャフト25側シールフィン24先端とが、蒸気タービンの伸び差によって同じ軸方向位置となり径方向に互いに対向しているものの、再び径方向に正の隙間27bを有して流体Fが高圧側から低圧側に向かって直進できる様になっている。従って、タービンシャフト25側のシールフィン24とパッキンリング22側のシールフィン23とが同じ軸方向位置になっても、タービンシャフト25側シールフィン24とパッキンリング22側シールフィン23とが接触することがない。
【0023】
このように、上記蒸気タービンのシール装置として使用されたラビリンスシール20においては、シールフィン23,24のピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定しているので、従来に比べて狭い範囲に多数のシールフィンを設置することが可能となり、シール性能を向上させることができる。しかしながら、シールフィンのピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定しているので、そのままでは蒸気タービンの伸び差によってパッキンリング側(静止側)シールフィンとタービンシャフト側(回転側)シールフィンの軸方向の相対位置が変化し互いのシールフィン同士が干渉することになって接触するのでこれを解決する手段が必要である。
【0024】
そこで、径方向間隙調整装置を使用することによって、今までの運転実績から蒸気タービンの伸び差によって回転側と静止側とのシールフィンが接触しそうな蒸気タービン負荷時までに、静止側のシールフィンを径方向外側に後退させて接触を防止し、両シールフィンの接触の可能性がないときは静止側のシールフィンを径方向内側に突出させてラビリンスシールのシール性能を向上させている。このようにすることによって、シールフィンのピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定できるようにし、これによって従来に比べて狭い範囲に多数のシールフィンを設置し、シール性能を大幅に向上することができる。
【0025】
また、上記のような蒸気タービンシール装置のラビリンスシールにおいて、静止側のフィンの径方向への移動は蒸気タービンの25%負荷以上のタービン負荷において作動完了させるのが好ましい。このようにすることによって、高性能が要求される蒸気タービンの高負荷時の運転状態(定常運転状態)において、シールフィンの軸方向間隙を従来より狭くすることができ、シールフィンの数を従来に比べて格段に多く形成した食違い型ラビリンスシール装置を提供することができ、シール部の流路をジグザグに形成できて高いシール性能を達成することができる。また、高いシール性能が特に要求されない起動停止時や低負荷運転時には、静止側シールフィンと回転側シールフィンが径方向に正の間隙を持って互いに接触することの無い蒸気タービンシール装置を提供できる。
【0026】
「第2の実施の形態」(請求項2,3に対応)
図2(a)、(b)および(c)は、請求項2,3に対応する実施の形態を示すものであって、蒸気タービンのシール装置として使用されたハイロー型のラビリンスシール30の部分を示した断面図である。この実施の形態においては、ハイロー型のラビリンスシールの回転側に設けられた凸部によって形成される凹部の幅が蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定され従来に比べて狭い範囲に多数のシールフィンが設置されている。図2(a)において、回転部側であるタービンシャフト35の外周面には周方向に延在する凸部33が複数個設けられ、これら凸部33の間には周方向に延在する凹部34が形成されている。他方、静止部側であるパッキンリング32の内周面であって、タービンシャフト35の凸部33に相対する位置には、径方向に突出する短いフィン38が設けられ、パッキンリング32の内周面であって、タービンシャフト35の凹部34に相対する位置には、径方向に突出する長いフィン39を設けられている。
【0027】
図2(a)は、蒸気タービンの定常運転状態におけるラビリンスシール30の状態を示す断面図である。この状態では、パッキンリング32の長いシールフィン39とタービンシャフト35の凸部33とが、蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食違った状態となっている。すなわち、径方向間隙調整装置(図示せず)が作動してパッキンリング32の長いシールフィン39が半径方向内方へ押し出され、タービンシャフト35側の凸部33の先端とパッキンリング32側の長いシールフィン39先端とが径方向に負の隙間37aを有していて流体Fが高圧側から低圧側(例えば図2(a)左側から右側へ)に向かって直進できないようにジグザグの流路が形成されている。
【0028】
図2(b)は蒸気タービンの起動直後からの負荷上昇の際の低負荷における過渡的な運転状態における本実施形態のラビリンスシール30の状態を示す断面図である。この状態においては、静止側であるパッキングリング32の長いシールフィン39の先端と回転側であるタービンシャフト35の凸部33の先端とが、蒸気タービンの伸び差によって同じ軸方向位置となり径方向に互いに対向しているが、径方向間隙調整装置(図示せず)がまだ作動していないので、両者の間には径方向に正の隙間37bを有していて、流体Fが高圧側から低圧側に向かって直進できる。従って、タービンシャフト35側の凸部33とパッキンリング32側の長いシールフィン39とが同じ軸方向位置になっても、長いシールフィン39と凸部33とが接触することがない。
【0029】
また、図2(c)は蒸気タービンの負荷降下時の低負荷に至る過渡的な運転状態における本実施形態のラビリンスシール30の状態を示す断面図である。この状態においては、径方向間隙調整装置(図示せず)の作動が終了して静止部側であるパッキンリング32のシールフィン38,39が半径方向外方に押し戻されている。これにより、パッキンリング32の長いシールフィン39の先端とタービンシャフト35の凸部33の先端とが、蒸気タービンの伸び差によって同じ軸方向位置となり径方向に互いに対向しているものの、再び径方向に正の隙間37bを有して流体が高圧側から低圧側に向かって直進できる。従って、タービンシャフト35の凸部33とパッキングリング32の長いシールフィン39とが同じ軸方向位置になっても、凸部33と長いシールフィン39とが接触することがない。
【0030】
このように、上記蒸気タービンのシール装置として使用されたハイロー型のラビリンスシール30においては、凹部34の軸方向の幅及び長いシールフィン39の軸方向ピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定しているので、従来に比べて狭い範囲に多数の凸部33及び長いシールフィン39を設置することが可能となり、シール性能を向上することができる。しかしながら、凹部34の軸方向幅及び長いシールフィン39のピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定しているので、そのままでは蒸気タービンの伸び差によってパッキンリング側(静止側)の長いシールフィン39とタービンシャフト側(回転側)の凸部33とが干渉することがある。
【0031】
そこで、径方向間隙調整装置を使用することによって、蒸気タービンの伸び差によって回転側の凸部33と静止側との長いシールフィン39が接触しそうなときは、静止側の長いシールフィン39を径方向外側に後退させて接触を防止し、凸部33と長いシールフィン39の接触の可能性がないときは静止側の長いシールフィン39を径方向内側に突出させてラビリンスシールのシール性能を向上させている。このようにすることによって、長いシールフィン39及び凸部33のピッチを蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値との差よりも小さく設定できるようにし、これによって従来に比べて狭い範囲に多数のシールフィンを設置し、シール性能を大幅に向上することができる。
【0032】
また、上記のような蒸気タービンシール装置のハイロー型ラビリンスシールにおいて、静止側のフィンの径方向への移動は蒸気タービンの25%以上のタービン負荷において作動完了させるのが好ましい。このようにすることによって、高性能が要求される蒸気タービンの高負荷運転状態(例えば定常運転時)において、シールフィン及び凸部の軸方向間隙を従来より狭くすることができ、シールフィンの数を従来に比べて格段に多く形成した食違い型ラビリンスシール装置を提供することができ、シール蒸気通路部をジグザグに形成できて高いシール性能を達成することができる。また、高いシール性能が特に要求されない起動停止時や低負荷運転時には、静止側シールフィンと回転側凸部が径方向に正の間隙を持って互いに接触することの無い蒸気タービンシール装置を提供できる。
【0033】
なお、いずれの実施の形態においても、図示しない径方向間隙調整装置は、発電機またはタービンシャフトに設けられたセンサ等により検出された蒸気タービンの出力信号に基づいて、パッキンリングをタービンシヤフトに対して突出させるものであり、その構成は、従来の装置のように、パッキンリングを蒸気の圧力と板バネに代表される弾性体の力を利用したクリアランスコントロールによるものでも、単にモータ等の駆動力によるクリアランスコントロールによるものでも良い。
【0034】
すなわち、径方向間隙調整装置が蒸気の圧力を利用したものであれば、前記出力信号に基づいて弁を開閉してパッキンリング導入される蒸気量を制御することによりパッキンリングの移動量を制御し、また、モータを利用したものであれば前記出力信号に基づいて回転を正転もしくは反転されることでパッキンリングの移動量を制御する。要するに、前記出力信号に基づいてパッキンリングの移動量を制御できれば、前記径方向間隙調整装置の駆動方法は従来技術の組合せで可能なもので十分である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、定常運転時のシール性能を従来よりも大きく向上させることが可能になってタービンの性能向上に貢献すると同時に、起動停止に伴う低負荷時においても回転構造物と静止構造物との接触を回避でき運転に支障をきたすことがない安全で信頼性の高いシール装置並びに蒸気タービンを提供することが可能となる。また、万一、接触に至った場合においても、回転構造物側に発生する損傷を最小限に抑えることが可能なシール装置並びに蒸気タービンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における第1の実施の形態のラビリンスシールを示した縦断面図であって、(a)は蒸気タービンの定常運転状態を示し、(b)は蒸気タービンの起動直後からの負荷上昇の際における過渡的な運転状態を示し、(c)は蒸気タービンの負荷降下時における過渡的な運転状態を示す。
【図2】 本発明における第2の実施の形態のハイロー型ラビリンスシールを示した縦断面図であって、(a)は蒸気タービンの定常運転状態を示し、(b)は蒸気タービンの起動直後からの負荷上昇における過渡的な運転状態を示し、(c)は蒸気タービンの負荷降下時における過渡的な運転状態を示す。
【図3】 従来から適用されてきた蒸気タービンの静翼内輪とタービンシャフトとの間のラビリンスシール装置を示す縦断面図。
【図4】 従来から適用されてきた蒸気タービンの動翼先端と静翼外輪との間のラビリンスシール装置を示す縦断面図。
【符号の説明】
20 ラビリンスシール
22 パッキンリング
23,24 シールフィン
25 タービンシャフト
27a,27b 間隙
30 ラビリンスシール
32 パッキンリング
33 凸部
34 凹部
35 タービンシャフト
37a,37b 間隙
38 短いシールフィン
39 長いシールフィン
F 流体の流れ

Claims (3)

  1. 回転物体の周面にフィンを半径方向に突き出して設け、前記回転物体の周面と相対する周面を有する静止物体の前記周面にフィンを半径方向に突き出して設け、前記静止物体側のフィンのピッチを前記回転物体側のフィンのピッチと同等に配設した蒸気タービンのシール装置において、
    組み立て時には前記静止物体側のフィン先端と前記回転物体側のフィン先端との間に径方向に正の間隙を有するように前記静止物体側のフィンを前記回転物体側のフィンに対して径方向外側に変位させるとともに、蒸気タービンの定常運転時には前記静止物体側のフィン先端と前記回転物体側のフィン先端とが蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食い違いつつ径方向に負の間隙を有するように前記静止物体側のフィンを前記回転物体側のフィンに対して径方向内側に変位させる、前記回転物体側のフィンに対して前記静止物体側のフィンを径方向に移動配置する径方向間隙調整装置設けることにより、
    前記回転物体側フィン及び前記静止物体側フィンのピッチを、そのラビリンスシールが設置されている位置の蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値の差よりも小さくしつつ、
    蒸気タービンの伸び差によって前記静止物体側のフィンと前記回転物体側のフィンの軸方向の相対位置が変化してもこれらのフィン同士が互いに干渉しないようにしたことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。
  2. 回転物体の周面に、周方向に延在する凸部と周方向に延在する凹部とを形成し、静止物体の周面であって、前記回転物体の周面に設けられた凸部に相対する位置に、径方向に突出する短いフィンを設け、前記静止物体の周面であって、前記回転物体の周面に設けられた凹部に相対する位置に、径方向に突出する長いフィンを設けた蒸気タービンのシール装置において、
    組み立て時には前記静止物体側の前記長いフィンの先端と前記回転物体側の前記凸部の先端との間に径方向に正の間隙を有するように前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向外側に変位させるとともに、蒸気タービンの定常運転時には前記静止物体側の長いフィンの先端と前記回転物体側の凸部先端とが蒸気タービンの伸び差によって軸方向に互いに食い違いつつ径方向に負の間隙を有して配置されるように前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向内側に変位させる、前記静止物体側の長いフィンを前記回転物体側の凸部に対して径方向に移動配置する径方向間隙調整装置を設けることにより、
    前記回転物体側の凹部の軸方向の幅、そのラビリンスシールが設置されている位置の蒸気タービンの伸び差の最大値と最小値の差よりも小さくしつつ、
    蒸気タービンの伸び差によって前記静止物体側の前記長いフィンと前記回転物体側の前記凸部の軸方向の相対位置が変化しても前記長いフィンと前記凸部が互いに干渉しないようにしたことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。
  3. 請求項1または2に記載の蒸気タービンのシール装置を適用したことを特徴とする蒸気タービン。
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