JP4371602B2 - 促進酸化処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理水を促進酸化処理する促進酸化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業排水や生活排水等の被処理水の汚染が進行するにつれて、水環境汚染が社会問題になっている。特に、上水用の水源である河川の上流域では、農薬、ダイオキシン類、環境ホルモン等の難分解性の汚染物質が微量含まれていることが指摘されており、また、河川の下流域では、更に有機塩素系の洗剤、農薬、合成洗剤、染料等の化学物質により汚染されていることが指摘されている。また、産業廃棄物および生活廃棄物の埋め立て地から流出する侵出水による水環境汚染は、きわめて深刻な状況となっている。
【0003】
このような水環境汚染を背景に、活性炭による処理、膜処理、オゾン処理、紫外線処理、生物学的な処理等の水環境保全技術により、原水や廃水等といった浄化が必要とされる被処理水の浄化処理が行われている。
【0004】
このような水環境保全技術のうち、オゾン、紫外線、および過酸化水素のそれぞれを組み合わせた促進酸化技術(AOP;Advanced Oxidation Process)が注目されている。
【0005】
図5は、被処理水を促進酸化技術により浄化処理(促進酸化処理)する、従来の促進酸化処理装置を示す構成図である。
【0006】
促進酸化処理装置は、原水取り込みポンプ22と、原水取り込みポンプ22に過酸化水素貯蔵槽4を介して接続されたオゾン処理槽23と、オゾン処理槽23に取り付けられたオゾン発生装置12とを備えている。オゾン処理槽23には紫外線照射槽24を介して貯水槽25が接続され、貯水槽25には排オゾン処理装置13が取り付けられている。
【0007】
被処理水は、原水取り込みポンプ22によりオゾン処理槽23に送られる。このとき、オゾン処理槽23に送られる被処理水には、過酸化水素貯蔵槽4から過酸化水素が注入される。オゾン処理槽23に送られた被処理水は、オゾン発生装置12によりオゾンが注入される。これにより、オゾンと過酸化水素が反応してOHラジカルが生成される。OHラジカルはオゾンよりも酸化力が強いので、オゾン単独では処理ができない難分解物質もOHラジカルにより分解される。被処理水は、オゾン処理槽23から紫外線照射槽24に送られ、紫外線が照射される。これにより、被処理水は、紫外線により直接光分解されるとともに、OHラジカルによる酸化が促進されて、難分解物質の分解効率をさらに向上させることができる。紫外線照射槽24で浄化処理された被処理水中に含まれるオゾン化ガスは、排オゾン処理装置13に送られて分解排気される。また、紫外線照射槽24で浄化処理された被処理水は、他の処理槽に送られたり、放流される。
【0008】
このような、オゾン、紫外線、および過酸化水素のそれぞれを組み合わせた促進酸化処理を行えば、難分解物質の分解効率、脱色、脱臭、殺菌作用の向上を図ることができ、さらには、二次廃棄物を生じさせない浄化処理を行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、被処理水は、促進酸化処理により効果的に浄化されている。
【0010】
しかしながら、被処理水にオゾンが十分に注入されていない場合には、難分解物質の分解効率が悪くなるということが考えられる。
【0011】
また、被処理水中に含まれる難分解物質量は変動し、また、被処理水の濁度等により被処理水の紫外線透過率は増減するので、オゾン注入量や紫外線照射量は、被処理水の状態に応じて最適に設定されているとは限らない。従って、処理される被処理水の状態によっては、促進酸化処理であっても、被処理水中に含まれる難分解物質の分解が不十分となることも考えられる。
【0012】
また、浄化処理がされた被処理水中に含まれるオゾン化ガスは、排オゾン処理装置13に送られて分解排気されるが、排オゾン処理装置13の電力消費量も多いので、総合的にはエネルギー効率が悪くなるということも考えられる。
【0013】
さらに、排オゾン処理装置13を設置するため促進酸化処理装置が大型化することも考えられる。
【0014】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、浄化処理される被処理水の状態に応じて、被処理水への適切なオゾン注入量および紫外線照射量を確保して、被処理水中に含まれる有機物の分解効率を向上させるとともに、装置を小型化することができる促進酸化処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、直列に連結された複数の酸化処理ユニットを備え、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化水処置装置において、各酸化処理ユニットは、相互に区画された、オゾン散布装置が設置されたオゾン散布領域と、紫外線照射装置が設置され、当該酸化処理ユニットのオゾン散布装置によってオゾンが散布された被処理水に紫外線を照射し、これによりオゾン散布装置によってオゾンが散布された被処理水中の溶存オゾンに紫外線を照射して酸化分解効果をもつヒドロラジカルを生成する紫外線照射領域とを有し、1段目の酸化処理ユニットの入り口に、当該酸化処理ユニットに供給される被処理水の光透過率を検出する光透過率検出計をさらに備え、光透過率検出計の検出値に基づいて、各酸化処理ユニットのオゾン散布装置および紫外線照射装置を制御装置により制御し、被処理水の光透過率が低下した場合は、オゾン散布装置からのオゾン散布量を増加させ、かつ紫外線照射装置の紫外線光出力を増加させ、被処理水の光透過率が増加した場合は、オゾン散布装置からのオゾン散布量を減少させ、かつ紫外線照射装置の紫外線光出力を低下させることを特徴とする促進酸化処理装置である。
【0016】
本発明によれば、被処理水の状態に応じて、所望段数の酸化処理ユニットを相互に連結して、被処理水の浄化処理を行うことができる。
【0017】
また、好ましくは、各酸化処理ユニットは、上部あるいは下部の一部が開放されているユニット仕切板により仕切られ、各酸化処理ユニットのオゾン散布領域と紫外線照射領域とは、上部あるいは下部のうちユニット仕切板の開放部と逆側の一部が開放されている領域仕切板により仕切られている。
【0018】
また、好ましくは、各酸化処理ユニットのオゾン散布領域の容積は、紫外線照射領域の容積よりも大きい。
【0019】
また、好ましくは、各酸化処理ユニットのオゾン散布領域の気相部には排オゾン搬送管が接続され、この排オゾン搬送管はオゾン戻し管を介して後段に位置するオゾン散布領域のオゾン散気装置に接続されている。
【0020】
また、好ましくは、過酸化水素注入装置をさらに備え、酸化処理ユニットの前段、または酸化処理ユニットのオゾン散布領域において、過酸化水素注入装置から被処理水に過酸化水素を注入することを特徴とする促進酸化処理装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図である。ここで図1は、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化処理装置を示す構成図である。
【0024】
図1において、促進酸化処理装置は、相互に連結された4段の酸化処理ユニット1を備えている。
【0025】
各酸化処理ユニット1は、オゾンを散布するオゾン散布装置10が設置されたオゾン散布領域2と、紫外線を照射する紫外線照射装置11が設置された紫外線照射領域3とを有している。各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2の容積は、紫外線照射領域3の容積よりも大きくなっている。
【0026】
各酸化処理ユニット1は、上部の一部が開放されているユニット仕切板5により仕切られている。また、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2と紫外線照射領域3とは、下部の一部が開放されている領域仕切板6により仕切られている。
【0027】
各オゾン散布装置10にはオゾン発生装置12が接続され、オゾン発生装置12は各オゾン散布装置10にオゾンを供給している。また、各酸化処理ユニット1には、紫外線照射装置11の電源である紫外線ランプ電源17が取り付けられ、さらに各酸化処理ユニット1の上方に位置する気相部は、排オゾン搬送管7を介して排オゾン処理装置13に接続している。
【0028】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0029】
促進酸化処理装置に新たに供給され浄化処理される被処理水は、一段目の酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2の上方に送られる。
【0030】
オゾン散布領域2に送られた被処理水は、オゾン散布装置10によりオゾンが散布され、被処理水中で気泡を形成する。気泡となったオゾンは、被処理水に溶解するとともに微少気泡として残存することにより、被処理水中に取り込まれる。このようにして被処理水中に取り込まれたオゾンは、被処理水中に含まれる有機物を低分子有機物に分解する。なお、オゾンは、オゾン散布装置10により散布されることにより被処理水中に取り込まれ、また、一旦被処理水から排出されたオゾン化ガスが、気相部に滞留して被処理水界面に溶解することによっても被処理水中に取り込まれる。
【0031】
オゾン散布領域2内の被処理水は、上方から供給され、その後、領域仕切板6の下部を経て紫外線照射領域3に送られる。このため、オゾン散布領域2内の被処理水は、オゾン散布領域2の上方から下方へ向かう下降流となる。これにより、被処理水がオゾン散布領域2の上方から下方へ向かう間に、オゾンは効率的に被処理水中に取り込まれる。また、被処理水がオゾン散布領域2の上方から下方へ向かう間に、オゾンは効率的に被処理水中に含まれる有機物を分解する。
【0032】
次に、紫外線照射領域3に送られた被処理水は、紫外線照射装置11によりプランク定数h、紫外線の振動数vの条件で紫外線が照射され、以下に示す反応に従ってヒドロラジカル(・OH)が生成される。
【0033】
すなわち、被処理水に溶解したオゾンは以下のように反応する。
【0034】
+HO → O+H
→ 2・OH
あるいは、被処理水に溶解したオゾンは以下のように反応する。
【0035】
+HO → O+2・OH
また、被処理水中に残存するオゾンの気泡は以下のように反応する。
【0036】
→ O+O
O+O → H
→ 2・OH
このようにして生成されるヒドロラジカルは、オゾンよりも強力な酸化剤である。特に、ヒドロラジカルは、オゾンでは分解することができない難分解物質も分解する。従って、被処理水中に含まれる有機物は、紫外線照射領域3において、ヒドロラジカルにより素早くかつ効果的に分解され、ヒドロラジカルによる分解速度は、オゾンによる分解速度の数倍から数十倍速い。
【0037】
紫外線照射領域3内の被処理水は、オゾン散布領域2から領域仕切板6の下部を経て供給され、ユニット仕切板5の上部を経て、2段目の酸化処理ユニット1bのオゾン散布領域2に送られる。このため、紫外線照射領域3内の被処理水は、紫外線照射領域3を下方から上方へ向かう上昇流となる。これにより、被処理水が紫外線照射領域3の下方から上方へ向かう間に、ヒドロラジカルは効率的に被処理水中に含まれる有機物を分解する。
【0038】
2段目の酸化処理ユニット1bに送られた被処理水は、オゾン散布領域2および紫外線照射領域3において、1段目の酸化処理ユニット1aにおける場合と同様の浄化処理が行われる。その後、被処理水は、3段目の酸化処理ユニット1cに送られ、さらに4段目の酸化処理ユニット1dに送られ、同様の浄化処理が行われる。
【0039】
4段目の酸化処理ユニット1dにおける浄化処理を経た被処理水は、その後、他の処理装置に送られたり、放流される。
【0040】
なお、各酸化処理ユニット1の被処理水中に取り込まれず、各酸化処理ユニット1の気相部に排出されるオゾン化ガスは、排オゾン搬送管7を介して排オゾン処理装置13に送られ、この排オゾン処理装置13において分解排気される。
【0041】
本実施の形態では、4段の酸化処理ユニット1が相互に連結されているが、これに限定されるものではない。促進酸化処理装置に供給される被処理水中に含まれる難分解物質等の有機物量は、必ずしも一定ではないため、被処理水に必要とされる浄化処理の程度も一定ではない。従って、被処理水の状態に合わせて、促進酸化処理装置を構成する酸化処理ユニット1数を増減させて、被処理水の浄化処理の程度を調整することができる。
【0042】
なお、オゾン散布領域2の容積は紫外線照射領域3の容積よりも大きいので、オゾン散布領域2での被処理水の滞留時間は、紫外線照射領域3での被処理水の滞留時間よりも長い。これにより、オゾン散布領域2における被処理水へのオゾンの取り込みが促進されるとともに、オゾンによる被処理水中に含まれる有機物の分解も促進される。
【0043】
また、ユニット仕切板5は、上部を開放する代わりに下部を開放してもよい。この場合、領域仕切板6は、上部を開放しておく必要がある。これにより、被処理水は、オゾン散布領域2では下降流となり、オゾン散布領域2では上昇流となる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、所望段数の酸化処理ユニット1を相互に連結して被処理水の浄化処理を行うことができるので、被処理水の状態に応じて酸化処理ユニット1の段数を増減することにより、適切な被処理水の浄化処理を行うことができる。
【0045】
また、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2内の被処理水は、オゾン散布領域2の上方から下方へ向かう下降流である。また、各酸化処理ユニット1の紫外線照射領域3内の被処理水は、下方から上方へ向かう上昇流となる。これにより、オゾン散布領域2では、被処理水のオゾンの取り込みが促進されるとともに、オゾンによる有機物の分解が促進される。他方、紫外線照射領域3では、ヒドロラジカルによる有機物の分解が促進される。
【0046】
さらに、オゾン散布領域2の容積を紫外線照射領域3の容積よりも大きくすることにより、オゾン散布領域2での被処理水の滞留時間を長くして、被処理水のオゾンの取り込みを促進するとともに、オゾンによる有機物の分解を促進することができる。
【0047】
第2の実施の形態
図2は本発明の第2の実施の形態を示す図である。ここで図2は、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化処理装置を示す構成図である。
【0048】
図2に示す第2の実施の形態において、促進酸化処理装置は、排オゾン搬送管7にオゾン濃度計18と切り替えバルブ8とが取り付けられている。切り替えバルブ8にはバルブ制御装置14が取り付けられ、バルブ制御装置14はオゾン濃度計18に接続されている。また、切り替えバルブ8は、オゾン戻し管7aを介して、各酸化処理ユニット1のうち後段に位置する4段目の酸化処理ユニット1dのオゾン散布領域2に設置されたオゾン散布装置10に接続されている。また、切り替えバルブ8と4段目の酸化処理ユニット1dのオゾン散布装置10との間のオゾン戻し管7aには、ブロアー19が取り付けられている。他の構成は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0049】
図2において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2でオゾン散布装置10により散布されたオゾンのうち、被処理水中に取り込まれず各酸化処理ユニット1の気相部に排出されたオゾン化ガスは、排オゾン搬送管7を介して排オゾン処理装置13へ送られる。
【0051】
このとき、排オゾン搬送管7により搬送されるオゾン化ガスのオゾンの濃度がオゾン濃度計18により検出される。バルブ制御装置14は、オゾン濃度計18から送られるオゾン濃度検出値に基づいて切り替えバルブ8を切り替えて、排オゾン搬送管7を流れるオゾン化ガスを排オゾン処理装置13または4段目の酸化処理ユニット1dのオゾン散布装置10へ送る。すなわち、オゾン濃度検出値が予め規定された人体および環境に悪影響を及ぼすと考えられる値を超える場合には、切り替えバルブ8はバルブ制御装置14により切り替えられ、オゾン化ガスはブロアー19およびオゾン戻し管7aを介して4段目の酸化処理ユニット1dのオゾン散布装置10へ送られる。他方、オゾン濃度計18による検出値が予め規定された値を超えない場合には、切り替えバルブ8はバルブ制御装置14により切り替えられ、オゾン化ガスは排オゾン処理装置13へ送られる。排オゾン処理装置13に送られたオゾン化ガスは、この排オゾン処理装置13内で分解排気される。
【0052】
このように、被処理水中に取り込まれず排出されたオゾン化ガスを、酸化処理ユニット1dのオゾン散布領域2に設置されたオゾン散布装置10に送り、オゾン散布領域2内の被処理水に散布することにより、被処理水中に取り込まれずに排出されたオゾン化ガスの再利用を図ることができる。これにより、促進酸化処理装置におけるオゾンの消費効率が高まり、また、被処理水を浄化処理するためのオゾンの注入量の総量を低減させることができる。
【0053】
なお、被処理水中に取り込まれず排出されたオゾン化ガスは、いずれの酸化処理ユニット1のオゾン散布装置10に送られてもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、バルブ制御装置14がオゾン濃度計18のオゾン濃度検出値に基づいて切り替えバルブ8を切り替えることにより、被処理水中に取り込まれず排出されたオゾン化ガスは、酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2に設置されたオゾン散布装置10に送られて、再び、被処理水に散布される。これにより、促進酸化処理装置におけるオゾンの消費効率を高め、また、促進酸化処理装置で被処理水を浄化処理するためのオゾンの注入量の総量を低減するすることができ、促進酸化処理装置の運転コストを低下させることができる。
【0055】
第3の実施の形態
図3は本発明の第3の実施の形態を示す図である。ここで図3は、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化処理装置を示す構成図である。
【0056】
図3に示す第3の実施の形態において、促進酸化処理装置は過酸化水素供給ポンプ20を有し、この過酸化水素供給ポンプ20により、各酸化処理ユニット1のうち前段に位置する1段目の酸化処理ユニット1aに新たに供給する被処理水に過酸化水素を供給するとともに、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2に過酸化水素を供給するようになっている。また、過酸化水素供給ポンプ20には過酸化水素貯蔵槽4が取り付けられており、過酸化水素供給ポンプ20と過酸化水素貯蔵槽4とから過酸化水素注入装置が構成される。他の構成は図2に示す第2の実施の形態と略同一である。
【0057】
図3において、図2に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
1段目の酸化処理ユニット1aに新たに供給される被処理水および各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2内の被処理水には、過酸化水素貯蔵槽4から過酸化水素供給ポンプ20を介して過酸化水素が供給される。これにより、各オゾン散布領域2において、過酸化水素とオゾンとが以下のように反応して、ヒドロラジカル(・OH)が生成される。
【0059】
+H→ ・OH+HO+O
→ HO +H
+HO → ・OH+O +O
従って、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2においても、有機物はヒドロラジカルにより分解されるので、被処理水中に含まれる有機物の分解が促進される。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2において、過酸化水素とオゾンとが反応してヒドロラジカルが生成されるので、オゾン散布領域2においてもヒドロラジカルによる有機物の分解が行われる。これにより、被処理水中に含まれる有機物の分解がさらに効率的に行なわれ、促進酸化処理装置において浄化処理を行うことができる被処理水の大量化を図ることができるとともに、酸化処理ユニット1の設置段数を減少させて、促進酸化処理装置の小型化を図ることができる。
【0061】
第4の実施の形態
図4は本発明の第4の実施の形態を示す図である。ここで図4は、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化処理装置を示す構成図である。
【0062】
図4に示す第4の実施の形態において、促進酸化処理装置は、1段目の酸化処理ユニット1aの入口に設けられた光透過率検出計21を有し、この光透過率検出計21により、促進酸化処理装置に新たに供給される被処理水の光透過率を検出するようになっている。また、光透過率検出計21には、紫外線ランプ電源17を制御する紫外線ランプ電源制御装置15が接続されるとともに、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2におけるオゾン散布装置10のオゾン散布量を調整するオゾン調整バルブ9を制御するオゾン調整バルブ制御装置16が接続されている。他の構成は図3に示す第3の実施の形態と略同一である。
【0063】
図4において、図3に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
促進酸化処理装置に新たに供給される被処理水は、光透過率検出計21により光透過率が検出される。光透過率検出計21の検出値は、紫外線ランプ電源制御装置15およびオゾン調整バルブ制御装置16に送られる。
【0065】
オゾン調整バルブ制御装置16は、光透過率検出計21の検出値に基づいて、各酸化処理ユニット1のオゾン散布領域2におけるオゾン散布装置10のオゾン散布量を調整するオゾン調整バルブ9を制御する。すなわち、促進酸化処理装置に供給される被処理水の濁度が増加し光透過率が低下した場合には、オゾン調整バルブ9を開放して被処理水へのオゾン散布量を増加させて、また、被処理水の濁度が低下し光透過率が増加した場合には、オゾン調整バルブ9を閉めて被処理水へのオゾン散布量を減少させる。
【0066】
紫外線ランプ電源制御装置15は、光透過率検出計21の検出値に基づいて、各酸化処理ユニット1に取り付けられた紫外線ランプ電源17の入力電力あるいは励起気周波数を調整して、紫外線ランプ電源17を制御する。すなわち、促進酸化処理装置に供給される被処理水の濁度が増加した場合には、紫外線ランプ電源17の入力電力あるいは励起気周波数を増加させて、紫外線ランプの紫外線光出力を上げる。また、促進酸化処理装置に供給される被処理水の濁度が低下した場合には、紫外線ランプ電源17の入力電力あるいは励起気周波数を低下させて、紫外線ランプの紫外線光出力を下げる。これにより、被処理水への紫外線照射量は調整される。
【0067】
このようにして、促進酸化処理装置に供給される被処理水の濁度に応じてオゾン散布量および紫外線照射量を調整することにより、被処理水の処理効率を向上させることができ、かつ、促進酸化処理装置の運転のエネルギー効率を向上させることができる。また、被処理水の濁度にかかわらず、常に一定量の被処理水を促進酸化処理装置において浄化処理することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態によれば、促進酸化処理装置に新たに供給される被処理水の濁度に応じて、被処理水へのオゾン散布量および紫外線照射量を調整することができる。従って、被処理水の状態に対応した浄化処理を行うことができ、被処理水の処理効率および促進酸化処理装置の運転エネルギー効率の向上を図ることができ、また、常に一定量の被処理水を促進酸化処理装置において浄化処理することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理水の状態に応じて酸化処理ユニットの段数を増減させることにより、被処理水の状態に応じた適切なオゾン注入量および紫外線照射量を確保して、適切な浄化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による促進酸化処理装置の第1の実施の形態を示す構成図
【図2】本発明による促進酸化処理装置の第2の実施の形態を示す構成図
【図3】本発明による促進酸化処理装置の第3の実施の形態を示す構成図
【図4】本発明による促進酸化処理装置の第4の実施の形態を示す構成図
【図5】従来の促進酸化処理装置を示す構成図
【符号の説明】
1 酸化処理ユニット
1a 1段目の酸化処理ユニット
1b 2段目の酸化処理ユニット
1c 3段目の酸化処理ユニット
1d 4段目の酸化処理ユニット
2 オゾン散布領域
3 紫外線照射領域
4 過酸化水素貯蔵槽
5 ユニット仕切板
6 領域仕切板
7 排オゾン搬送管
7a オゾン戻し管
8 切り替えバルブ
9 オゾン調整バルブ
10 オゾン散布装置
11 紫外線照射装置
12 オゾン発生装置
13 排オゾン処理装置
14 バルブ制御装置
15 紫外線ランプ電源制御装置
16 オゾン調整バルブ制御装置
17 紫外線ランプ電源
18 オゾン濃度計
19 ブロアー
20 過酸化水素供給ポンプ
21 光透過率検出計
22 原水取り込みポンプ
23 オゾン処理槽
24 紫外線照射槽
25 貯水槽

Claims (5)

  1. 直列に連結された複数の酸化処理ユニットを備え、供給された被処理水を促進酸化処理する促進酸化水処置装置において、
    各酸化処理ユニットは、オゾン散布装置が設置されたオゾン散布領域と、紫外線照射装置が設置され、当該酸化処理ユニットのオゾン散布装置によってオゾンが散布された被処理水に紫外線を照射し、これによりオゾン散布装置によってオゾンが散布された被処理水中の溶存オゾンに紫外線を照射して酸化分解効果をもつヒドロラジカルを生成する紫外線照射領域とを有し
    1段目の酸化処理ユニットの入り口に、当該酸化処理ユニットに供給される被処理水の光透過率を検出する光透過率検出計をさらに備え、
    光透過率検出計の検出値に基づいて、各酸化処理ユニットのオゾン散布装置および紫外線照射装置を制御装置により制御し、被処理水の光透過率が低下した場合は、オゾン散布装置からのオゾン散布量を増加させ、かつ紫外線照射装置の紫外線光出力を増加させ、被処理水の光透過率が増加した場合はオゾン散布装置からのオゾン散布量を減少させ、かつ紫外線照射装置の紫外線光出力を低下させることを特徴とする促進酸化処理装置。
  2. 各酸化処理ユニットは、上部あるいは下部の一部が開放されているユニット仕切板により仕切られ、
    各酸化処理ユニットのオゾン散布領域と紫外線照射領域とは、上部あるいは下部のうちユニット仕切板の開放部と逆側の一部が開放されている領域仕切板により仕切られていることを特徴とする請求項1記載の促進酸化処理装置。
  3. 各酸化処理ユニットのオゾン散布領域の容積は、紫外線照射領域の容積よりも大きいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の促進酸化処理装置。
  4. 各酸化処理ユニットのオゾン散布領域の気相部には排オゾン搬送管が接続され、この排オゾン搬送管はオゾン戻し管を介して後段に位置するオゾン散布領域のオゾン散気装置に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の促進酸化処理装置。
  5. 過酸化水素注入装置をさらに備え、
    各酸化処理ユニットの前段、または各酸化処理ユニットのオゾン散布領域において、過酸化水素注入装置から被処理水に過酸化水素を注入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の促進酸化処理装置。
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