JP4371441B2 - 汚泥処理系返流水の処理方法 - Google Patents

汚泥処理系返流水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥処理プロセスより発生する返流水に含有する窒素、りんを効率良く処理し、水処理系の処理水質の安定および向上をねらった汚泥処理系返流水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場にて発生する多量の有機性汚泥は、濃縮、消化、脱水などの工程を経て処理され、各処理プロセス中で発生する分離液は、通常水処理系に返流される。この返流水中には、BOD、アンモニア性窒素、オルトりん態りんが高濃度に含まれており、返流水にともなう負荷が水処理系の処理水質の悪化の原因となっている。
【0003】
特に窒素とりんの同時除去を行なっている施設では、返流水によるアンモニア性窒素、オルトりん態りん負荷により、水処理系のBODが不足し、脱窒、りん除去が悪化するケースが少なくない。
【0004】
その対策として、BOD要求量の高いりんについては、特公平7−12477号公報に開示されている技術により、返流水中のりんを95%以上回収することができ、水処理系のりん負荷を約40%カットすることができる。特公平7−12477号公報に開示されている技術とは、アンモニウムイオンを多量に含むし尿,産業排水などからりんを効率良く除去する方法に関するものであり、排水中のりんをりん酸マグネシウムアンモニウム粒子として結晶化させるというものである。一方、アンモニア性窒素については、本出願人の一部が先に提案した特願平7−241365号、特願平7−330133号における2つの技術によりアンモニア性窒素を硝酸性窒素に90%程度硝化することができる技術が完成している。特願平7−241365号における技術とは、りんを含む高濃度アンモニア性窒素の処理方法に関するものであり、りんおよびアンモニア性窒素排水から、りんと一部のアンモニア性窒素をりん酸マグネシウムアンモニウム粒子として回収してから、残る高濃度アンモニア性窒素をMAP担体を利用した高速生物学的硝化法により処理する方法である。また、特願平7−330133号における技術とは、高濃度アンモニア性窒素の硝化方法に関するものであり、生物学的な硝化において、菌の付着媒体として繊維担体を用い、担体を投入した硝化槽のMLDOを制御することによって、担体の硝化能力を最大限に引き出す運転方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
下水処理のりん、窒素同時除去法として代表的なA2 O法は、嫌気槽−無酸素槽−好気槽の順に反応タンクが並べられ、原水がその順に流れるプロセスであり、最初沈殿池(以下、初沈という)はその前に置かれている。ここに硝化後の返流水を戻し、初沈内のBODと脱窒菌により脱窒することが、特願平7−241365号および特願平7−330133号に記載されている。これらの特許は水処理系のアンモニア性窒素負荷削減について検討したものであるが、抜本的な水処理系の水質向上を考えたとき、窒素負荷削減を考えなければならない。そうしたときに再度プロセスを見直すと、初沈−嫌気槽−無酸素槽−好気槽に並んだA2 Oのプロセスにおいて、初沈に硝化後の返流水を戻すと、初沈内の溶解性BODを使って脱窒が起こるため、水処理系のBOD量が減少する。次の嫌気槽はりん除去に関係するが、りん除去性能は、嫌気槽におけるりんの放出量と関係があり、一般的にりんの放出量が多い方がりんの処理性が安定するとされている。りんの放出量は供給できるBOD量と関係し、りん1に対し、約20倍のBODが必要とされている。返流水の脱窒のため、供給できるBOD量が減り、りん放出量に影響を及ぼすかもしれないが、初沈の後、原水が最初に流入する嫌気槽はBOD濃度が比較的高く維持できるので、その影響は少ないものと思われる。しかし、その後の無酸素槽における脱窒処理については、返流水の脱窒、りんの放出によるBOD消費が続き、反応タンクでのBODが不足し、脱窒プロセスが不安定で、処理水における窒素(NOX−N)濃度が高くなることが考えられる。脱窒槽のBODを確保するため、生汚泥の注入や、メタノールの注入などが必要となる。すなわち、水処理系のBODの不足が問題となっていた。
【0006】
また、初沈内でも脱窒が期待できるのは、沈降汚泥が堆積する汚泥ピットのみであり、その滞留時間はあまりにも短すぎるものと考えられる。さらに、脱窒に作用する微生物量が少ないことからも、初沈における脱窒はかなり難しいと考えられる。
【0007】
また、返流水中のりんの除去は、特公平7−12477号公報に開示の技術により95%以上のりんを回収し、返流水のりん負荷を下げることができる。その効果は、りん濃度が高い脱水ろ液で得られるが、汚泥処理方式の違いにより、りんを効率的に回収できない場合もある。返流水には生汚泥系のものと、余剰汚泥系のものが存在し、生汚泥系のものはBODが高く、余剰汚泥系のものは水処理系の運転方法にもよるが、汚泥中にアンモニア性窒素とオルトりん態りんが高濃度に含まれる。これらを別途に濃縮し、消化−脱水する方法(図参照)と、濃縮前に混合し、一緒に濃縮−消化−脱水する方法(図参照)があるが、前者の方法では消化槽でアンモニア性窒素、りんを吐き出すだけなのに対して、後者の方法では生汚泥と余剰汚泥を混合した時点からの各プロセス、流路内でアンモニア性窒素、りんを吐き出す。後者の図に示すフローでは、生汚泥と余剰汚泥を均一に混合するため、中間槽が設けられるが、その中間槽で吐き出すりんが問題となっている。この生汚泥と余剰汚泥の混合により、生汚泥がBODを供給し、余剰汚泥に含まれるNOX −NがそのBODによりほとんど消費され、BODの菌体内取り込みにともないりんの放出が生じる。中間槽で吐き出すりん濃度は20〜30ppmと低い濃度であるが、分離液の流量が多い。また、この現象によるアンモニア性窒素の放出は少なく、りんの回収を対象とした特公平7−12477号公報に示される技術も、りん濃度20ppm、アンモニア性窒素濃度20ppm程度ではりん除去率25%程度であり、効率が悪い。すなわち、この濃縮分離液はりん回収ができず水量が多いため、りん負荷にすると大半が水処理系に返流される形となってしまい、水処理系のBOD不足を招くという問題があった。
【0008】
ところで、図に示すフローについて説明すると、流入水は、最初沈殿池1で比重の重い成分を沈降させ、生物反応槽21で生物処理した後、最終沈殿池3にて活性汚泥を沈降させ、固液分離を行なって放流される。これが水処理系と呼ばれる本ラインである。
【0009】
汚泥処理系は最初沈殿池1で沈降する汚泥ほぼ全量と最終沈殿池3で沈降する汚泥の一部の余剰汚泥処理に該当する。最初沈殿池1で沈降した生汚泥2は、重力濃縮槽23で濃縮され、濃縮生汚泥24あるいは濃縮生汚泥25として引き抜かれる。重力濃縮槽23での分離液26は、流入水と混合されて最初沈殿池1に戻される。
【0010】
一方、最終沈殿池3で分離された汚泥の一部の余剰汚泥4として加圧浮上槽5で浮上濃縮され、浮上濃縮汚泥6は濃縮生汚泥24と一緒に消化タンク17に入る。加圧浮上槽5で固液分離される分離液22は、流入水と混ざり、最初沈殿池1に戻る。
【0011】
消化タンク17で減量化された消化汚泥9は、濃縮生汚泥25と混合される場合もあり、脱水機10で脱水される。脱水ろ液11は流入水と混ざって、最初沈殿池1に戻される。
【0012】
また、図に示すフローについて説明すると、最初沈殿池1で沈降した生汚泥2と最終沈殿池3で分離された汚泥の一部である余剰汚泥4は、脱窒槽である中間槽7で混合され、常圧浮上槽27で浮上濃縮される。分離された分離液14は流入水と混ぜられ、最初沈殿池1に戻される。一方、濃縮汚泥6は消化タンク17で減量化され、脱水機10で脱水される。分離液の脱水ろ液11は流入水と混ぜられ、最初沈殿池1に戻される。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するものであって、本発明の要旨は、汚泥プロセスより発生する返流水から、りんおよび一部のアンモニア性窒素をりん酸マグネシウムアンモニウム粒子として回収した後、残留するアンモニア性窒素を生物学的に硝化し、その処理水に生汚泥を加えて、水処理系とは関係しないBODを使って脱窒を行なうとともに、脱窒の際に硝酸性窒素を5〜10mg/リットル存在させることを特徴とする汚泥処理系返流水の処理方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により説明する。先ず、図1に示す汚泥処理系では、最初沈殿池1において沈殿した生汚泥2と、最終沈殿池3に沈殿した余剰汚泥4を加圧浮上槽5にて浮上させた濃縮汚泥6が発生する。濃縮汚泥6と生汚泥2は、脱窒槽7にて返流硝化液8と混合され、脱窒が起こる。なお、ここでいう返流硝化液8とは、消化汚泥9を脱水機10により脱水した後の脱水ろ液11から、りんおよび一部のアンモニア性窒素をりん酸マグネシウムアンモニウムとして回収した後、残留するアンモニア性窒素を生物学的に硝化した後の処理水のことである。なお、脱水機10により消化汚泥9を前記脱水ろ液11とスラッジ15に分離する。脱窒槽7からの返流脱窒液12には、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素がほとんど存在しない状態である。ただし、再浮上槽13での汚泥からのりんの吐き出しを抑制するため、5〜10mg/リットルの硝酸性窒素を残しておくことが必要である。脱窒における硝酸性窒素のコントロールは、脱窒槽にORP電極を入れ、ORP値の相対的変化から見ることができ、りんの吐き出しを抑制するには、ORP値を−5〜−250mvに制御することが好ましい。硝酸性窒素がない場合、またはBODが過剰に残存する場合では再浮上槽13において、汚泥からのりんの吐き出しが生じ、分離液14のラインで水処理系に返される。分離液14のラインのりんの回収は、りん濃度が低いため、造粒脱りん装置では困難である。
【0015】
脱窒槽7からの返流脱窒液12は再浮上槽13にて再濃縮され、再濃縮汚泥16は消化タンク17に導かれる。消化タンク17では、汚泥の減量化が生じるが、同時にアンモニア性窒素、オルトりん態りんの吐き出しも生じる。再浮上槽13にてりんの吐き出しを生じた場合、この消化タンク17での吐き出し分が少なくなり、回収量も少なくなるため、好ましくない。
【0016】
減量化され、アンモニア性窒素、りんを高濃度に含む消化汚泥9は脱水機10にて順次脱水される。このとき生じた脱水ろ液11には、アンモニア性窒素、りんが多量に含まれ、造粒脱りん装置18にてりんと一部のアンモニア性窒素を回収する。その処理水(造粒脱りん水19)は、硝化槽20に導かれ、微生物によりアンモニア性窒素が、硝酸性窒素に硝化される。この硝酸性窒素を高濃度に含む硝化液は返流硝化液8として前記したように脱窒槽7にて、余剰汚泥4の濃縮汚泥6と生汚泥2と混合され、硝酸性窒素は無害な窒素ガスへ転換される。使われた汚泥は消化タンク17で汚泥消化され、脱水されて汚泥返流水となり、汚泥処理系を循環する。水処理系(最初沈殿池1−生物反応槽21−最終沈殿池3)の工程に戻るのは、窒素20mg/リットル、りん10mg/リットル以下の低負荷に処理した分離液14と加圧浮上槽5からの分離液22のみとなる。
【0017】
図1に示す汚泥処理系では、生汚泥2と、濃縮された余剰汚泥4を脱窒槽7に入れる方式を採っている。これは、汚泥濃度を高め、脱窒槽7の容量を小さくするためである。余剰汚泥4をそのまま脱窒槽7に入れれば、消化タンク17の前の汚泥濃縮は、加圧浮上槽5でまかなえるため、再浮上槽13は必要なくなる。しかし、余剰汚泥4をそのまま濃縮せずに脱窒に用いると、脱窒槽7の容量が大きくなる。そこで、水処理系とは切り離した形で、脱窒菌の馴養が行なえる担体法がクローズアップされる。担体法は脱窒槽に担体を投入し、無酸素状態で撹拌流動させるものであり、担体への汚泥の付着を助けるため、余剰汚泥の一部を流入させ、担体と汚泥を併用して脱窒を行なっても良い。
【0018】
次に、生汚泥、余剰汚泥の混合濃縮において、りんの吐き出しが問題となっているが、図に示す返流水の硝化、脱窒プロセスを組み込んだフローでは、りんの吐き出しが解消される。図において、最初沈殿池1で沈降した生汚泥2と最終沈殿池3で分離された汚泥の一部である余剰汚泥4は、脱窒槽である中間槽7で混合され、常圧浮上槽27で浮上濃縮される。分離された分離液14は流入水と混ぜられ、最初沈殿池1に戻される。一方、濃縮汚泥6は消化タンク17で減量化され、脱水機10で脱水される。脱水機10により分離された脱水ろ液11のりんを造粒脱りん装置18によりりん酸マグネシウムアンモニウムとして回収し、残るNH4 −Nは硝化槽20でNO3 −N、NO2 −Nに硝化される。その後、図では中間槽であった水槽を脱窒槽7に改造し、NO3−Nが多量に含まれる返流硝化液8とBOD源である生汚泥2、脱窒菌を含む余剰汚泥4を混合して脱窒が生じ、窒素ガスに転換される。
【0019】
以上述べた図のフローにおいて、生汚泥2と余剰汚泥4が中間槽7で均一に混合される。従来は脱水ろ液11がそのまま最初沈殿池1の前に戻っていたが、水処理系の窒素負荷の低減に際し、造粒脱りん装置18と硝化槽20が加えられ、返流硝化液8が中間槽7に戻り、中間槽7を脱窒槽として改造する。この場合、この脱窒槽(中間槽7)で硝酸性窒素を5〜10mg/リットル程度残存させることが重要である。そうすれば、図の分離液14でのりん濃度が低下し、その分脱水ろ液11のりん濃度が上昇して造粒脱りん装置でのりんの回収率が高くなり、窒素、りんの両方の負荷を低減できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
図1で示した汚泥処理系のフローを考え、生汚泥をBODとして、余剰汚泥を使った硝酸カリウム溶液の脱窒実験を行ない、生汚泥をBODとした脱窒プロセスが可能であるかどうかを調べた。
【0021】
バッチ実験条件
生汚泥量 150mリットル (溶解性BOD 1700〜2000mg/リットル)
余剰汚泥 500mリットル (汚泥濃度 5000mg/リットル)
返流水 500mリットル (硝酸性窒素 200mgN/リットル)
混合汚泥濃度 2180mg/リットル
上記条件でのバッチ実験の結果、4.8mgN/gSS・hrの脱窒速度、必要BOD/N比 3.8〜4.4 を得た。このときの水処理系の脱窒速度が、1.3mgN/gSS・hrであり、水処理系の脱窒速度よりも若干速くなり、生汚泥と余剰汚泥を使った脱窒が可能であった。
【0022】
本実施例によれば、汚泥処理系で発生するアンモニア性窒素を水処理系のBOD源を使わずに、汚泥処理系内にて生汚泥と余剰汚泥を使い、返流水の脱窒を行なうことにより、返流水由来の窒素負荷を20%カットすることができる。また、造粒脱りん装置により、返流水からりんの回収を行ない、返流水由来のりん負荷を42%カットすることができる。これにより、水処理系のりん除去、窒素除去にともなうBOD要求量の低減ができ、最初沈殿池のバイパスがなくても、処理の安定性が確保できる。窒素除去においては30%程度の処理水質の向上が見込める。
比較例1
生汚泥と余剰汚泥を混合してから、濃縮、脱水する従来の図に示すフローに基づいて汚泥の処理を行なった。常圧浮上槽27の分離液14に40mg/リットル程度のりんの吐き出しが生じていることがわかる。これは、りんを含む余剰汚泥に濃厚なBODを持つ生汚泥が混ぜられたために、瞬時に嫌気雰囲気となり、汚泥のBODの取り込みが起こり、それとともにりんの吐き出しが生じたためである。
【0023】
この分離液14のりん負荷は、流入水のりん負荷に対して60%であり、これが流入水に戻されれば、水処理系の流入水のりん負荷は、分離液分のみで1.6倍に上昇する。さらに脱水ろ液11のりん負荷分15%が返流水として流入水に加わるので、流入水のりん負荷は、トータル1.75倍に増加する。
【0024】
ここで、分離液14と脱水ろ液11のりん負荷を流入水のりん負荷に対する比率で見ると、前者が60%であるのに対し、後者は15%と低く、生汚泥と余剰汚泥と混合したことによるりんの吐き出し量が、予想以上に大きな負荷となっていることがわかる。また、この分離液14は、オルトりん態りん濃度自体が40mg/リットル程度であるが、水量が脱水ろ液11の3.5倍と多い。
【0025】
りん負荷の高いところにりんの回収装置を導入するのが常套手段であるが、この場合、りん濃度が低く、かつアンモニア性窒素濃度も20〜30mg/リットルと低いため、りんの回収率が25%程度にとどまり、放出されたりんをうまく回収する手法がないのが現状である。
実施例2
余剰汚泥濃度4400mg/リットルの汚泥に、NO3 −N150mg/リットル、BOD2000mg/リットルの生汚泥を添加し、図に示すフローとなるように次の条件でりんの吐き出しについて調べた。分離液14のりんの吐き出し量を抑制できれば、消化タンクでの吐き出し量が増加し、りんの回収率が高くなるはずである。
【0026】
バッチ実験条件
生汚泥量 300mリットル (溶解性BOD 2000mg/リットル)
余剰汚泥 800mリットル (汚泥濃度 4000mg/リットル)
返流水 500mリットル (硝酸性窒素 150mgN/リットル)
混合汚泥濃度 2750mg/リットル
上記の液を、余剰汚泥、返流水、生汚泥の順に加えた場合(硝酸性窒素存在下におけるりんの吐き出し抑制の確認と脱窒後のりんの吐き出しの確認の系)と、返流水の代わりに工業用水を加えた場合(BODと余剰汚泥だけを加え、りんの吐き出しを確認する系)で実験を行なった。前者は、脱水ろ液を硝化し、硝酸性窒素が多量に含まれる返流水と、余剰汚泥、生汚泥を混合した図に示すフローを想定し、後者は生汚泥と余剰汚泥が混合される従来通りの図に示すフローを想定したものである。それぞれを無酸素状態で撹拌するため、窒素ガスによる散気撹拌を行なった。
【0027】
上記の結果、図に示すグラフのようなりんの吐き出しとなった。従来の図に示すフローを想定した硝酸根のない系(□印)では、生汚泥と余剰汚泥を混合した瞬間からりんの吐き出しが生じた。一方、硝酸根のある系(△印)では、硝酸根の存在により、最初はりんの吐き出しは起こらなかったが、脱窒反応が終了してからりんの吐き出しが生じた。なお、図中、□印は硝酸根のない系でのPO−P濃度を示す。また、△印は硝酸根のある系でのPO −P濃度を示し、◆印はNOx −N濃度を示す。
【0028】
このことから、図における脱窒プロセスにおけるORPを−10mv程度,硝酸性窒素濃度を5〜10mg/リットルで制御して汚泥からのりんの吐き出しを阻止すれば脱水ろ液からのりん回収率の増加が見込める。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の汚泥処理系返流水の処理方法は、汚泥処理系から発生する返流水のりんおよび、窒素を水処理系のBOD源を使わずに除去でき、かつ硝酸性窒素の残留により浮上槽でのりんの吐き出しを抑制でき、水処理系の処理の安定と水質向上をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥処理系返流水の処理方法の第1の例を示すフロー図である。
【図2】本発明の汚泥処理系返流水の処理方法の第2の例を示すフロー図である。
【図3】りんの吐き出しと脱窒速度との関係を示すグラフである。
【図4】従来の処理方法の第1の例を示すフロー図である。
【図5】従来の処理方法の第2の例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 最初沈殿池
2 生汚泥
3 最終沈殿池
4 余剰汚泥
5 加圧浮上槽
6 濃縮汚泥
7 脱窒槽
8 返流硝化液
9 消化汚泥
10 脱水機
11 脱水ろ液
12 返流脱窒液
13 再浮上槽
14 分離液
15 スラッジ
16 再濃縮汚泥
17 消化タンク
18 造粒脱りん装置
19 造粒脱りん水
20 硝化槽
21 生物反応槽
22 分離液
23 重力濃縮槽
24 濃縮生汚泥
25 濃縮生汚泥
26 分離液
27 常圧浮上槽

Claims (2)

  1. 汚泥処理プロセスより発生する返流水から、りんおよび一部のアンモニア性窒素をりん酸マグネシウムアンモニウム粒子として回収した後、残留するアンモニア性窒素を生物学的に硝化し、その処理水に生汚泥を加えて、水処理系とは関係しないBODを使って脱窒を行なうとともに、脱窒の際に硝酸性窒素を5〜10mg/リットル存在させることを特徴とする汚泥処理系返流水の処理方法。
  2. 脱窒プロセスに担体を用いて、窒素除去を行うことを特徴とする請求項1記載の汚泥処理系返流水の処理方法。
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