JP4371289B2 - 真空成形型の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパネル或いはシートを真空成形する真空成形型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両等のパネルやシートを真空成形する真空成形型として、特開2000−176972号公報「樹脂成形型」が提案されている。この公報の真空成形型は、第1層(型表層)を炭化けい素の細粒を含むエポキシ樹脂で構成し、型表層をバックアップする第2層(バックアップ層)を鋼球を含むエポキシ樹脂で構成し、型表層の成形面でパネルやシートを所望形状に真空成形するものである。
【0003】
同公報の真空成形型は、型表層の成形面に金属メッキ層を規定の厚さに形成する必要がないので、メッキ処理にかける時間を型製造工程から省くことができる。従って、真空成形型を比較的短い時間で製造することができるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この真空成形型は、一例として車両用のインストルメントパネルのシート(表皮材)を所望形状に真空成形すると、100ショット未満のショット回数で型表層に亀裂が発生する。よって、真空成形型で量産品を多量に真空成形するためには、型表層に発生した亀裂を頻繁に補修する必要がある。
一方、亀裂を補修する手間を避けるために真空成形型を廃棄処分にすると、真空成形型の使用期間が短くなり、寿命を十分に確保することができない。このため、同公報の真空成形型は、試作品を真空成形する型として使用されることが多い。
【0005】
しかしながら、この真空成形型は、上述したように型製造の際にメッキ処理工程を省くことができるので、型製造時間を短くして型費を抑えることができる。このため、同公報の真空成形型を量産品に適用できるように改良することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、型製造時間を短くすることができ、かつ型表層の亀裂発生を抑えて量産品に適用することができる真空成形型の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した内容を踏まえて、型表層の亀裂発生を抑える実験を進めるなかで、型表層を構成するエポキシ樹脂の伸びが小さいことが亀裂発生の要因であることが判明した。
これにより、型表層を、伸びの大きな熱硬化性樹脂で構成することで、型表層に亀裂を発生させることを抑えることができるとの見通しを得え、伸びの大きな多種の熱硬化性樹脂について検討した。その結果、ポリウレア樹脂が好適であると判明した。
【0008】
図1は本発明に係る真空成形型の型表層を構成するエポキシ樹脂及びポリウレア樹脂の引張強度及び伸びを説明したグラフであり、横軸は樹脂の伸びを示し、縦軸は樹脂の引張強度を示す。なお、A1は従来技術のエポキシ樹脂を示し、A2はポリウレア樹脂を示す。
【0009】
エポキシ樹脂A1は、引張強度が60〜72MPa/mm2、伸びが13%以下である。エポキシ樹脂の伸びが13%以下と小さいために、エポキシ樹脂製の型表層は、真空成形型を冷却処理する際に十分に収縮することが難しい。このため、比較的少ないショット回数で型表層に亀裂が発生しやすい。
【0010】
一方、ポリウレア樹脂A2は、引張強度が10〜50MPa/mm2、伸びが38〜107%である。ポリウレア樹脂の伸びが38〜107%と大きいために、ポリウレア樹脂製の型表層は、真空成形型を冷却処理する際に十分に収縮することができる。
従って、ポリウレア樹脂A2で型表層を構成することで、型表層に亀裂を発生させることを抑えることができるとの見通しを得た。
【0011】
ところで、ポリウレア樹脂A2は、硬化時間を長くすると領域E1に近づいて引張強度が下がり、硬化時間を短くすると領域E2に近づいて引張強度を上げることができる。このため、ポリウレア樹脂A2の引張強度を50MPa/mm2に近づけるように硬化時間を設定することで、伸びを確保しながら所望の引張強度を得ることも可能になる。
【0012】
具体的には請求項1は、型表層を熱硬化性樹脂で構成し、この型表層のバックアップ層に金属粒を含ませることで金属粒間にエア通路を形成し、このエア通路に連通する小孔を型表層に形成し、これらの小孔及びエア通路で真空引き用の孔を構成する真空成形型の製造方法において、前記熱硬化性樹脂をポリウレア樹脂とし、このポリウレア樹脂を塗布して第1ポリウレア樹脂層を形成し、この第1ポリウレア樹脂層が半硬化状態のとき、この第1ポリウレア樹脂層に前記ポリウレア樹脂を塗布して第2ポリウレア樹脂層を形成し、前記第1ポリウレア樹脂層および前記第2ポリウレア樹脂層で前記型表層を形成することを特徴とする。
【0013】
型表層をポリウレア樹脂で構成した。この型表層を第1ポリウレア樹脂層および第2ポリウレア樹脂層の2層に分けて塗布することで、熱硬化時間の短いポリウレア樹脂を所望の厚さに塗布することができる。よって、型表層として強度上必要な厚さを確保することができる。
また、型表層を2層に分けて薄く塗布することにより、型表層のポリウレア樹脂全体を略同じ時間で熱硬化させることができる。よって、型表層の全体を同じ引張強度にすることができ、型表層の層間が脆弱になることを防止できる。
さらに、ポリウレア樹脂は伸びが大きいので、型表層を冷却処理する際に、十分に収縮することができる。よって、型表層の亀裂発生を抑えることができるので、型表層の補修間隔を長く確保することができる。一方、補修の手間を避けるために型を廃棄処分にする場合でも、型の使用期間を長く確保することができる。
【0014】
加えて、型表層をポリウレア樹脂で構成することで、型表層の成形面にメッキ被膜を規定厚さに形成する必要がない。このため、メッキ処理にかける時間を型製造工程から省くことができる。従って、真空成形型を比較的短い時間で製造することができる。
【0015】
また、請求項2は、前記ポリウレア樹脂に炭化けい素を50〜80重量%含めることを特徴とする。
炭化けい素の含有量を50重量%以上に設定することで、炭化けい素を型表層の凹部や凸部に隙間なく含ませて型表層を耐摩耗性に優れた層にできる。
一方、炭化けい素の含有量を80重量%以下に設定することで、ポリウレア樹脂を所定量確保して炭化けい素をポリウレア樹脂で接着して型表層の強度を充分に確保できる。
さらに、請求項3は、前記型表層と前記バックアップ層との間に、前記熱硬化性樹脂にステンレス製の不織布を含めた中間層を積層することを特徴とする。
中間層を型表層とバックアップ層との間に積層することで、型表層およびバックアップ層の熱膨張差を緩和することができる。
この結果、例えば型表層に発生する熱膨張差による応力を抑えることができるので、熱膨張差により型表層に亀裂が発生することを確実に抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図2は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の断面図である。
真空成形型10は、表面が成形面13となる型表層12と、この型表層12をバックアップするバックアップ層15と、このバックアップ層15の内部に複数の冷却用配管24・・・(・・・は複数個を示す)を配置し、バックアップ層15の裏面15a側に取付けた枠体26とからなる。
型表層12及びバックアップ層15については以下に詳しく説明する。
【0017】
図3は図2の3部拡大図である。
型表層12は、熱硬化性樹脂であるポリウレア樹脂で厚さt1(一例として、t1=2〜4mm)に形成し、キャビティ(図示せず)に対向する成形面13に「しぼ」用の凹部13a・・・及び凸部13b・・・を形成し、真空引き用の小孔14・・・(・・・は複数個を示す)を形成したものである。
【0018】
ポリウレア樹脂は、図1に示すように伸びが大きいな樹脂である。このため、ポリウレア樹脂製の型表層12は、真空成形型10を冷却用配管24・・・で冷却処理する際に十分に収縮することができる。従って、型表層12に亀裂が発生すること抑えることができる。
【0019】
バックアップ層15は、金属粒(鋼球)16・・・の球面に熱硬化樹脂(以下、「エポキシ樹脂」という)17を付着させ、エポキシ樹脂17で鋼球16・・・を接着して厚さt2(一例として、t2=50〜100mm)に形成し、鋼球16・・・間にエア通路18・・・を形成した多孔質の層である。
【0020】
このエア通路18・・・は小孔14・・・に連通する空間である。エア通路18・・・及び小孔14・・・で真空引き用の孔(真空引き孔)19を構成する。これにより、真空引き孔19で矢印a、矢印bの如く真空引きを行いながら表皮材を成形することができる。
また、全ての鋼球16・・・を同一径(一例として、粒径約1mm)とすることで、鋼球16・・・をバックアップ層15に効率よく充填することができる。このため、バックアップ層15の強度を上げることができる。
【0021】
さらに、鋼球16・・・をバックアップ層15に効率よく充填することで、バックアップ層15の熱伝導率を高めることができる。従って、例えばインストルメントパネル用の表皮材(図示しない)を真空成形する際に、この表皮材から型表層12に伝わった熱をバックアップ層15から効率よく逃がすことができるので、比較的短い時間で型表層12及びバックアップ層15を冷却することができる。この結果、真空成形型10の待機時間が短くなり生産性を高めることができる。
【0022】
以上に述べた真空成形型10の製造工程(製造方法)を図4〜図6に基づいて説明する。
図4(a)〜(d)は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第1製造工程説明図である。
(a)において、真空成形型の下型模型30を準備する。
(b)において、下型模型30の表面31をシリコン転写し、このシリコン転写した上型シリコン32を矢印▲1▼の如く持上げる。
【0023】
(c)において、上型シリコン32の表面33をシリコン転写し、このシリコン転写したマスタモデル34から上型シリコン32を矢印▲2▼の如く持上げる。
(d)において、マスタモデル34を得る。このマスタモデル34は、(a)に示す下型模型30の表面31と同じ表面を構成する。
【0024】
図5(a)〜(c)は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第2製造工程説明図である。
(a)において、マスタモデル34の表面31にポリウレア樹脂12aを1〜2mmの薄い層に、例えば「はけ」を使用してはけ塗りする。
ここで、ポリウレア樹脂は熱硬化時間が短いため、ポリウレア樹脂12aを、例えば2〜4名で同時に塗り始める。これにより、塗布作業時間を15〜20分に短縮することができ、ポリウレア樹脂が硬化して粘度が高くなる前に塗布作業を完了させることができる。
【0025】
(b)において、ポリウレア樹脂12aが半硬化状態のとき、ポリウレア樹脂12aの表面にポリウレア樹脂12bを、ポリウレア樹脂12aと同様の作業内容で重ね塗りを行う。これにより、ポリウレア樹脂12aにポリウレア樹脂12bを接着させた型表層12を得る。この型表層12は、層の厚さt1が2〜4mmである。
【0026】
このように、型表層12を2層に分けて塗布することにより、熱硬化時間の短いポリウレア樹脂を所望の厚さに塗布することができる。よって、型表層12として強度上必要な厚さt1を確保することができる。
加えて、型表層12を2層に分けて薄く塗布することにより、型表層12のポリウレア樹脂全体を略同じ時間で熱硬化させることができる。よって、型表層12の全体を同じ引張強度にすることができ、型表層12の層間が脆弱になることを防止できる。
【0027】
ところで、図1に示すように、ポリウレア樹脂は、硬化時間を長くすると引張強度が下がり、硬化時間を短くすると引張強度が上がるという特性を備えている。このため、ポリウレア樹脂の硬化時間は、型表層12に必要な引張強度を得ることができるように適宜設定する。
【0028】
(c)において、型表層12の裏面12cに、鋼球16・・・を含むエポキシ樹脂を重ねて塗布する。これにより、型表層12の裏面12cにバックアップ層15の一部(厚さ数mm)15bを形成する。なお、鋼球16・・・は図3に示す。
【0029】
図6(a)〜(c)は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第3製造工程説明図である。
(a)において、バックアップ層15の一部15bの裏面に沿って複数の冷却用配管24・・・を配置し、次いで枠体26の支柱27・・・,28・・・を取付ける。
【0030】
(b)において、バックアップ層の一部15bの裏面に、鋼球16・・・を含むエポキシ樹脂を塗布することによりバックアップ層15を構成する。これにより、バックアップ層15の内部に複数の冷却用配管24・・・を含めることができる。なお、鋼球16・・・は図3に示す。
次に、枠体26とともに型表層12及びバックアップ層15をマスタモデル34から矢印▲3▼の如く離す。
【0031】
(c)において、支柱27・・・の頂部にプレート29をボルト26a,26a(図1も参照)で取付けた後、型表層12に真空引き用の小孔14・・・を複数個開ける。これにより、真空成形型10の製造工程が完了する。
【0032】
以上説明したように、真空成形型10によれば、型表層12をポリウレア樹脂で構成することで、型表層12の成形面13にメッキ被膜を規定厚さに形成する必要がない。このため、メッキ処理にかける時間を型製造工程から省くことができる。従って、真空成形型10を比較的短い時間で製造することができるので、型費を抑えることができる。
【0033】
次に、真空成形型10の作用を図7及び図8に基づいて説明する。
図7(a),(b)は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第1作用説明図であり、真空成形型(上型)10でシート38を真空成形する例を説明する。なお、(a)は真空成形型10の断面図、(b)は(a)のb部拡大図を示す。
(a)において、表皮材38を所定温度に加熱した後、真空成形型(上型)10を矢印▲4▼の如く下降する。これにより、真空成形型10の型表層12に表皮材38が接触する。
【0034】
(b)において、型表層12で表皮材38を矢印▲4▼の如く押圧しながら真空手段(図示しない)を作動する。よって、図3に示す真空引き孔19(バクアップ層15のエア通路18・・・及び型表層12の小孔14・・・)から矢印▲5▼の如く真空引きする。これにより、成形面13の凹部13a・・・及び凸部13b・・・に倣わせて表皮材38を高精度に形成することができる。
【0035】
図8は本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第2作用説明図である。
真空成形型(上型)10を矢印▲6▼の如く上昇して、真空成形した表皮材38を取り出し、表皮材38の成形工程が完了する。
【0036】
ここで、新たな表皮材38を継続して真空成形するために、冷却用配管24・・・に冷却水を流すことで型表層12やバックアップ層15を所定温度まで下げる必要がある。型表層12は真空成形の際に、加熱した表皮材38に接触するので温度は比較的高い。このため、冷却用配管24・・・に冷却水を流すと、型表層12を急冷することになる。
しかし、型表層12は伸びの大きなポリウレア樹脂で構成したので、型表層12を十分に収縮することができる。この結果、型表層12に亀裂が発生することを防ぐことができる。
【0037】
このように、型表層12を伸びの大きなポリウレア樹脂で構成したので、例えば、真空成形型10でインストルメントパネルの表皮材38を真空成形する際に、ショット回数を15万ショット以上まで延ばすことができた。
これに対して、従来の真空成形型は、型表層をエポキシ樹脂で構成したので、100ショット未満の回数で型表層に亀裂が発生する。
【0038】
よって、本発明に係る真空成形型10は従来の真空成形型と比較して寿命を1500倍以上に延ばすことができる。このため、型表層12の補修間隔を長く確保することができる。一方、補修の手間を避けるために型を廃棄処分にする場合でも、型表層12の使用期間を長く確保することができる。従って、真空成形型10で量産品を多量に成形することができる。
【0039】
次に、第2実施例及び第3実施例について説明する。なお、第1実施例と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
図9は本発明に係る真空成形型(第2実施例)の断面図である。
真空成形型40は、型表層42を、細粒の炭化けい素(SiC)45・・・を50〜80重量%含めたポリウレア樹脂で構成したもので、その他の構成は第1実施例の真空成形型10と同じである。
【0040】
炭化けい素45は、細粒(例えば、粒径は約10μmである。)に形成したものである。型表層42に炭化けい素45を50〜80重量%含めることで、耐摩耗性に優れた型表層42を得ることができる。なお、炭化けい素45を50〜80重量%含めた理由は以下の通りである。
【0041】
細粒の炭化けい素45・・・の含有量を50重量%未満とすると、炭化けい素45・・・を型表層42の成形面13全域に隙間なく含ませることができない虞れがある。この結果、型表層42を耐摩耗性に優れた層にすることができない虞れがある。
そこで、細粒の炭化けい素45・・・の含有量を50重量%以上に設定することで、炭化けい素45・・・を型表層42の凹部13a・・・や凸部13b・・・に隙間なく含ませて、型表層42を耐摩耗性に優れた層にした。
【0042】
また、細粒の炭化けい素45・・・の含有量が80重量%を超えると、型表層42のポリウレア樹脂を必要量確保することができない虞れがある。この結果、流動性を良好に保つことができないので、型表層42の形成作業が困難になる。
そこで、炭化けい素45・・・の含有量を80重量%以下に設定することで、ポリウレア樹脂を所定量確保して炭化けい素45・・・をポリウレア樹脂で接着して型表層42の強度を充分に確保した。
なお、炭化けい素45の含有量を50〜80重量%にすることは一例であり、炭化けい素42の含有量は型表層の厚さt1や形状などに合せて任意に設定することができる。
【0043】
図10は本発明に係る真空成形型(第3実施例)の断面図である。
真空成形型50は、型表層12及びバックアップ層15を有し、さらに型表層12とバックアップ層15との間に中間層52を積層したものであり、この中間層52を備えた点で第1実施例(真空成形型10)と異なる。
【0044】
図11は図10の11部拡大図である。
中間層52は、熱硬化性樹脂(以下、「エポキシ樹脂」という)54にステンレス製の不織布56を含めたもので、厚さt3(一例として、t3=2〜5mm)に形成したものである。
【0045】
ここで、バックアップ層15には鋼球16・・・を含んでいるので、型表層12にはバックアップ層15と比較して多量の樹脂で構成されている。よって、型表層12の熱膨張率はバックアップ層15の熱膨張率より高くなる。
このため、中間層52に含む不織布56の含有量を調整して、中間層52の熱膨張率を、型表層12の熱膨張率より低く、かつバックアップ層15の熱膨張率より高くなるように設定する。
【0046】
従って、中間層52を型表層12とバックアップ層15との間に積層することで熱膨張差を緩和することができる。この結果、例えば型表層12に発生する熱膨張差による応力を抑えることができるので、熱膨張差により型表層12に亀裂が発生することを確実に抑えることができる。
【0047】
また、真空成形型50を型表層12、中間層52及びバックアップ層15の3層構造としたので、第1実施例の真空成形型10と比較して型表層12の強度をより高めることもできる。
【0048】
なお、前記実施例では、一例としてインストルメントパネルの表皮材(シート)38を真空成形成形する例について説明したが、その他にパネルなど成形することも可能である。なお、シートやパネルは車両用のものに限らないで、その他の製品に適用することも可能である。
【0049】
前記実施例では、型表層12,42の厚さt1を2〜4mm、バックアップ層15の厚さt2を50〜100mm、中間層52の厚さt3を2〜5mmに設定した例を説明したが、各々の厚さt1、t2,t3はこれらの値に限らないで任意に設定することができる。
【0050】
前記実施例では、型表層12,42を形成するために、ポリウレア樹脂を「はけ」で塗布する例について説明したが、その他の手段でポリウレア樹脂を塗布することも可能である。
また、型表層12,42の成形面13に凹凸部13a・・・、13b・・・を形成した例について説明したが、型表層12,42の成形面13に凹凸部13a・・・、13b・・・を備えないものにも適用することができる。
【0051】
前記実施例では、金属粒を鋼球16としたが、その他に銅球やアルミニウム球のように熱伝導率の高い球体を使用してもよい。また、金属粒は、球体に限らないで、例えばフレーク(破片)、グリッド(塊)を使用してもよい。
加えて、鋼球16・・・は、粒径が約1mmで且つ同一径のものを使用したが、1mm以外の粒径でもよく、また同一径でなくてもよい。
【0052】
前記実施例では、バックアップ層15及び中間層52をエポキシ樹脂とした例を説明したが、その他の熱硬化性樹脂として例えばポリウレタン樹脂を使用してもよい。
さらに、第2実施例では、強化材として炭化けい素45を型表層42に含めた例について説明したが、強化材は炭化けい素45に限らないで酸化アルミ(アルミナ:Al23)を含ませてもよい。加えて、炭化けい素45の粒径を約10μmとしたが、粒径は型表層12の耐摩耗性を確保できる範囲で任意に設定することができる。
また、第3実施例では、強化材を含まない型表層12について説明したが、第2実施例の様に型表層に炭化けい素45などの強化材を含めてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、型表層をポリウレア樹脂で構成した。この型表層を第1ポリウレア樹脂層および第2ポリウレア樹脂層の2層に分けて塗布することで、熱硬化時間の短いポリウレア樹脂を所望の厚さに塗布することができる。よって、型表層として強度上必要な厚さを確保することができる。
また、型表層を2層に分けて薄く塗布することにより、型表層のポリウレア樹脂全体を略同じ時間で熱硬化させることができる。よって、型表層の全体を同じ引張強度にすることができ、型表層の層間が脆弱になることを防止できる。
さらに、ポリウレア樹脂は伸びが大きいので、型表層を冷却処理する際に、十分に収縮することができる。よって、型表層の亀裂発生を抑えることができるので、型表層の補修間隔を長く確保することができる。一方、補修の手間を避けるために型を廃棄処分にする場合でも、型の使用期間を長く確保することができる。
従って、型表層の寿命を十分に確保することができるので、型表層で量産品を多量に成形することができる。
【0054】
加えて、型表層をポリウレア樹脂で構成することで、型表層の成形面にメッキ被膜を規定厚さに形成する必要がない。このため、メッキ処理にかける時間を型製造工程から省くことができる。従って、真空成形型を比較的短い時間で製造することができるので、型費を抑えることができる。
また、請求項2は、炭化けい素の含有量を50重量%以上に設定することで、炭化けい素を型表層の凹部や凸部に隙間なく含ませて型表層を耐摩耗性に優れた層にできる。
一方、炭化けい素の含有量を80重量%以下に設定することで、ポリウレア樹脂を所定量確保して炭化けい素をポリウレア樹脂で接着して型表層の強度を充分に確保できる。
さらに、請求項3は、中間層を型表層とバックアップ層との間に積層することで、型表層およびバックアップ層の熱膨張差を緩和することができる。
この結果、例えば型表層に発生する熱膨張差による応力を抑えることができるので、熱膨張差により型表層に亀裂が発生することを確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空成形型の型表層を構成するエポキシ樹脂及びポリウレア樹脂の引張強度及び伸びを説明したグラフ
【図2】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の断面図
【図3】図2の3部拡大図
【図4】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第1製造工程説明図
【図5】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第2製造工程説明図
【図6】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第3製造工程説明図
【図7】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第1作用説明図
【図8】本発明に係る真空成形型(第1実施例)の第2作用説明図
【図9】本発明に係る真空成形型(第2実施例)の断面図
【図10】本発明に係る真空成形型(第3実施例)の断面図
【図11】図10の11部拡大図
【符号の説明】
10,40,50…真空成形型、12…型表層、12a…ポリウレア樹脂(第1ポリウレア樹脂層)、12b…ポリウレア樹脂(第2ポリウレア樹脂層)、14…小孔、15…バックアップ層、16…金属粒(鋼球)、18…エア通路、19…真空引き用の孔(真空引き孔)、45…炭化けい素、52…中間層、56…不織布

Claims (3)

  1. 型表層を熱硬化性樹脂で構成し、この型表層のバックアップ層に金属粒を含ませることで金属粒間にエア通路を形成し、このエア通路に連通する小孔を型表層に形成し、これらの小孔及びエア通路で真空引き用の孔を構成する真空成形型の製造方法において、
    前記熱硬化性樹脂をポリウレア樹脂とし
    このポリウレア樹脂を塗布して第1ポリウレア樹脂層を形成し、
    この第1ポリウレア樹脂層が半硬化状態のとき、この第1ポリウレア樹脂層に前記ポリウレア樹脂を塗布して第2ポリウレア樹脂層を形成し、
    前記第1ポリウレア樹脂層および前記第2ポリウレア樹脂層で前記型表層を形成することを特徴とする真空成形型の製造方法
  2. 前記ポリウレア樹脂に炭化けい素を50〜80重量%含めることを特徴とする請求項1記載の真空成形型の製造方法。
  3. 前記型表層と前記バックアップ層との間に、前記熱硬化性樹脂にステンレス製の不織布を含めた中間層を積層することを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空成形型の製造方法。
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