ところで、上記従来例においては外部電源接続部101及び負荷接続部102とスイッチ機構部105との接続にリード線104,104が用いられているが、リード線104,104による接続作業が自動化し難いという問題があった。そこで、リード線104,104の代わりに導電性の金属板を加工した導電体で外部電源接続部101及び負荷接続部102とスイッチ機構部105とを電気的に接続することが考えられる。しかしながら、導体が被覆されているリード線と異なり、導電体は導体がむき出しであるためにスイッチ機構部105との絶縁性能が確保し難かった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、絶縁性能を確保しつつ組立作業が簡素化できるタイムスイッチを提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、外部の電源と電気的に接続される外部電源接続部と、負荷が電気的に接続される負荷接続部と、導電性を有する板材を加工してなり外部電源接続部から負荷接続部への給電路を形成する導電体と、導電体に電気的に接続されて給電路を開閉する接点部と、外部電源接続部を介して外部電源から電源供給を受けて動作するモータと、モータにより駆動されて時間を計時するタイマ機構部と、負荷への給電開始及び給電停止の時刻をタイマ機構部に対して設定する設定手段と、設定手段で設定される給電開始時刻又は給電停止時刻とタイマ機構部で計時する現在時刻とが一致したときに接点部を駆動して給電路を閉極又は開極するスイッチ機構部と、絶縁性を有する合成樹脂成形品からなり互いに結合されることで前記各部が収納される器体を構成するボディ及びカバーと、絶縁性を有する合成樹脂成形品からなり器体の内部をボディ側の収納空間とカバー側の収納空間に分割する中ボディとを備え、タイマ機構部は、器体の前面に回動自在に設けられるとともに設定手段たる設定子が周部に着脱自在に取り付けられるダイアルと、複数の歯車によってモータの回転をダイアルに伝達する歯車機構とを具備し、中ボディで分割された一方の収納空間に接点部及びスイッチ機構部が収納され、他方の収納空間に外部電源接続部、負荷接続部、導電体、モータが収納されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、外部電源接続部はコンセントの刃受けと接続する栓刃を有し、負荷接続部は負荷の電源線と接続する端子板を有し、スイッチ機構部はそれぞれに接点部を構成する接点が設けられる一対の接点ばねを有し、栓刃と端子板と接点ばねとが導電体に対してかしめ固定されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、導電体は、外部電源接続部並びに負荷接続部の異なる極と各々接続される複数の導電板と、これら複数の導電板を連結するとともに栓刃と端子板と接点ばねとが導電体に対してかしめ固定された後に切断される連結片とが一体に形成されてなることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかの発明において、ボディと中ボディとカバーの結合方向において導電体とモータとが重なるように配置されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、外部電源接続部が栓刃を有する場合に当該栓刃を結合するための結合部と、外部電源接続部が電源コードである場合に当該電源コードを接続するためのコード接続部とが導電体に設けられたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れかの発明において、タイマ機構部がモータの回転を減速する複数の歯車を具備してなり、これら複数の歯車の少なくとも何れか一つをタイマ機構部の収納されていない他方の収納空間に一部露出させる窓孔が中ボディに設けられたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかの発明において、スイッチ機構部は、接点部を構成する接点が設けられた一対の接点ばねと、器体に支持されたカム軸と、カム軸の周りに回動自在に軸支されて一方の接点ばねと径方向に当接する第1のカムと、第1のカムに対してカム軸の軸方向に隣接する形でカム軸の周りに回動自在に軸支されて他方の接点ばねと径方向に当接する第2のカムとを具備し、第2のカム側からカム軸の軸方向に沿って一対の接点ばねを当接させる際に第1のカムと当接する一方の接点ばねの側端縁に、第1のカムから離れる向きに傾斜する傾斜面が形成されたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ボディとカバーを結合してなる器体の内部が絶縁性を有する合成樹脂成形品の中ボディで分割され、中ボディで分割された一方の収納空間に接点部及びスイッチ機構部が収納されるとともに、他方の収納空間に外部電源接続部、負荷接続部、導電体、モータが収納されるため、導電性の板材を加工してなる導電体で外部電源接続部及び負荷接続部と接点部とを電気的に接続することにより当該接続作業が簡素化でき、しかも、中ボディによって外部電源接続部及び負荷接続部と接点部との絶縁性能が確保できる。
請求項2の発明によれば、栓刃、端子板、接点ばねの導電体に対する接続作業が簡素化できる。
請求項3の発明によれば、導電体を構成する複数の導電板が連結片で連結された状態で栓刃、端子板、接点ばねを導電体にかしめ固定できるので、当該固定作業の作業性が向上する。
請求項4の発明によれば、デッドスペースを利用して導電体の表面積を増やすことにより放熱性が向上する。
請求項5の発明によれば、外部電源接続部が栓刃を有する場合と、外部電源接続部が電源コードを有する場合とで導電体が兼用できて製造コストを抑えることができる。
請求項6の発明によれば、中ボディの窓孔から露出する歯車を手動で回転させることによりタイマ機構部の動作試験が簡単に行える。
請求項7の発明によれば、第1のカムが傾斜面に当接することで接点ばねが撓むから、接点ばねの組み込み作業が容易に行える。
以下、図1〜図12を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明では特に断りがない場合、図2(a)において上下左右の向きを規定し、図2(c)における左側を前方、右側を後方と規定する。
本実施形態は、外部の商用交流電源と電気的に接続される外部電源接続部2と、負荷が電気的に接続される負荷接続部3と、外部電源接続部2から負荷接続部3への給電路を形成する導電体4と、導電体4に電気的に接続されて給電路を開閉する接点部と、外部電源接続部2を介して商用電源から電源供給を受けて動作するモータMと、モータMにより駆動されて時間を計時するタイマ機構部7と、負荷への給電開始及び給電停止の時刻をタイマ機構部7に対して設定する設定手段と、設定手段で設定される給電開始時刻又は給電停止時刻とタイマ機構部7で計時する現在時刻とが一致したときに接点部を駆動して給電路を閉極又は開極するスイッチ機構部6と、略箱状に形成されて前記各部が収納される器体1とを備える。
器体1は略直方体状であって、絶縁性を有した合成樹脂成形品からなるボディ10及びカバー11で構成される。ボディ10は背面が開口した略矩形箱状に形成され、カバー11は前面が開口した略矩形箱状に形成され、互いの開口面を突き合わせるようにして組立ねじ1bでボディ10とカバー11が結合されることにより器体1が組み立てられる(図1参照)。また、ボディ10並びにカバー11の下面中央には凹溝10a,11aが形成されており、器体1を組み立てたときにこれら一対の凹溝10a,11aによって略矩形の窓孔1aが形成され、後述するように負荷接続部3の差込口14aが窓孔1aを通して外部に露出する。ここで、器体1内には合成樹脂成形品からなる中ボディ12が収納されており、この中ボディ12によって器体1の内部がボディ10側の収納空間とカバー11側の収納空間に分割されている。
中ボディ12は、図5に示すように前方(図5(b)における上方)に開口し下側のおよそ半分が上げ底となった箱状に形成され、取付ねじ12cによってボディ10に取り付けられるとともに、該上げ底の部分の背面側にモータMが収納固定される。なお、モータMの軸(図示せず)は中ボディ12を前後方向に貫通した貫通孔12aを通してボディ10側の収納空間に配置される。また中ボディ12の下面中央には一対の刃受け13,13が支持固定される刃受け支持部12b,12bが一体に形成されている。刃受け13は、一対の刃受けばね13a,13aと、これら一対の刃受けばね13a,13aを基端側で連結する連結片13bと、連結片13bの一端側から刃受けばね13aと反対向きに突出する端子板13cとが一体に形成されている。刃受け支持部12bは下方から見て後方に開口する略コ字形に形成されており、内側に形成されている溝に後方から連結片13bを差し込むことで刃受け13が取り付けられるようになっている。また、刃受け支持部12b,12bに支持された一対の刃受け13,13は、合成樹脂材料により有底筒状に形成されるとともに負荷(電気機器)が有する電源プラグの栓刃を差し込むための差込口14aが底面に貫設されたコンセントカバー14内に収納される。なお、差込口14aが開口したコンセントカバー14の底面は器体1の底面に開口した窓孔1aを通して外部に露出される。
また、中ボディ12の背面側には導電体4がかしめ固定される。導電体4は、金属板を打ち抜き加工や曲げ加工することで3つの導電板40,41,42が複数の連結片43で連結された状態に一体に形成される。導電板40,41の下端部に各々刃受け13,13の端子板13c,13cがかしめ固定により電気的且つ機械的に接続される。また、導電板40,42の上端部には外部電源接続部2を構成する一対の栓刃20,20が各々かしめ固定によって電気的且つ機械的に接続されるとともに、合成樹脂成形品からなり栓刃20,20を挿通する矩形の孔21a,21aが貫通した栓刃押さえ部材21が取り付けられる。なお、栓刃20,20並びに栓刃押さえ部材21の背面は、カバー11背面の上部中央に設けられた窓孔11bを通して外部に露出される(図2(d)参照)。また導電板40,42にはリード線44を介してモータMが接続されている。さらに中ボディ12を前後方向に貫通する開口12eを通して導電板41,42の中央部分がボディ10側の収納空間に露出しており、各導電板41,42の当該中央部分には後述する一対の接点ばね45,46がかしめ固定により電気的且つ機械的に接続される。なお、中央の導電板41は前後方向においてモータMと重なるように配置されるので、デッドスペースを利用して導電体4の表面積を増やすことにより放熱性が向上するという利点がある。
このように本実施形態では、3つの導電板40,41,42を連結片43で一体に連結した導電体4を形成し、上述のように刃受け13,13、栓刃20,20、接点ばね45,46を導電板40,41,42にかしめ固定した後に連結片43を切断して各導電板40,41,42を分離させているので、栓刃20、刃受け13(端子板13c)、接点ばね45,46の導電体4に対する接続作業が簡素化でき、しかも、導電体4を構成する複数の導電板40,41,42が連結片43で連結された状態で上記かしめ固定を行うため、当該固定作業の作業性が向上するという利点がある。
接点ばね45,46は、導電板41,42にかしめ固定される固定片45a,46aと、固定片45a,46aの端部から後方へ曲げ起こされたばね片45b,46bとが一体に形成され、ばね片45b,46bの先端部にそれぞれ接点部を構成する一対の接点31,31が固着されており、後述するようにスイッチ機構部6によって駆動されることで一対の接点31,31を接離するのである。つまり、図10の回路図に示すように、一方の栓刃20と一方の刃受け13とが導電板40からなる電路を介して常に導通し、他方の栓刃20と他方の刃受け13とは接点31,31が閉極(接触)したときに2つの導電板41,42と接点ばね45,46と接点31,31を介して導通し、接点31,31が開極(開離)した状態では導通しないのであって、スイッチ機構部6が接点ばね45,46を駆動して接点31,31(接点部)を開閉するのである。
次にタイマ機構部7について説明する。タイマ機構部7は、器体1の前面に回動自在に設けられるとともに設定手段たる設定子8が周部に着脱自在に取り付けられるダイアル5と、複数の歯車によってモータMの回転をダイアル5に伝達する歯車機構70とを具備する。
歯車機構70は、図6に示すようにモータMの軸に固定されたモータ軸歯車(図示せず)と噛み合う2番歯車71、2番歯車71と択一的に噛み合う2つの3番歯車72a,72b、3番歯車72a,72bと択一的に噛み合うカム歯車73、カム歯車73のカム73aと噛み合う反転歯車74、順次噛み合った4つの4番歯車75、4番歯車75と噛み合った9番歯車76、9番歯車76と噛み合った9番かな歯車77を有し、軸78aによって2番歯車71がボディ10に軸支され、軸78bによってカム歯車73と2つの4番歯車75とがボディ10に軸支され、軸78cによって反転歯車74と残り2つの4番歯車75とがボディ10に軸支される(図4(b)(c)参照)。そして、9番かな歯車77の前端部が、ボディ10の前面側に回動自在に設けられたダイアル5の歯(図示せず)と噛み合うことでモータMの回転を減速してダイアル5に伝達している。なお、2つの3番歯車72a,72bは切換レバー79の下端部に回動自在に取り付けられ、この切換レバー79が軸78bによってボディ10に回動自在に軸支されている。切換レバー79は、軸78bに対して3番歯車72a,72bと反対側に延長された切換片79aを有し、切換片79aの先端に切換軸120が連結され、カバー11の背面に露出した操作部121をドライバで廻すことにより、切換軸120を介して切換レバー79を回動させて2番歯車71並びにカム歯車73と噛み合う3番歯車72a又は72bが選択できるようになっている。
而して、本実施形態では、モータMとして商用電源の電源周波数に同期して回転する同期モータを用いており、電源周波数が60Hzの地域では600rpmの一定速度で回転する。そして、モータMの回転が歯車機構70によって減速され、最終的にダイアル5を24時間で1回転させることになる。ここで、商用電源の電源周波数が60Hzの地域と50Hzの地域とで切換レバー79により3番歯車72a又は72bを択一的に切り換えて噛み合わせることでモータMの回転速度(600rpm又は500rpm)にかかわらずダイアル5を24時間で1回転させることができる。また、同期モータを用いているためにモータMの回転方向が一義的に決まらないので、本実施形態ではカム歯車73と反転歯車74によってモータMが一方向にしか回転しないように規制している。但し、このような歯車機構70は従来周知であるから詳細な説明は省略する。
ダイアル5は、円筒状であって時刻表示の目盛りが前面周部に記された突出部50と、突出部50の周囲を囲む円環状であって複数の取付溝52が周方向に沿って等間隔に設けられた取付部51とが合成樹脂成形品として一体に形成されている。突出部50の中央には前後方向に貫通する円形の軸受け孔50aが設けられている。ボディ10の前面にはダイアル5の外径よりも径の大きい円形状の凹所15が設けられるとともに凹所15の底面中央には突出部50の軸受け孔50aに挿通される円筒状の軸部16が前方に突出している(図3参照)。軸部16は、ダイアル5の径方向に撓み自在である3つの係合片16aが周部に設けられており、突出部50の軸受け孔50a内周面に設けられている係止段部50bに係合片16a先端の係合爪16bを係合させることでダイアル5を回動自在に軸支している(図4(b)参照)。なお、軸受け孔50aは軸部16に取り付けられるダイアルカバー53によって閉塞される。
一方、設定子8は、図3に示すように幅細で先端が三角形状である指示片80と、指示片80の後端側裏面より後方へ突出する脚片81と、指示片80の先端側裏面より後方へ突出する対向片82とが合成樹脂成形品として一体に形成されている。脚片81の対向片82との対向面には取付部51の取付溝52と嵌合する取付片(図示せず)が突設され、取付片には取付溝52の後端部に設けられた係止凹部(図4(b)参照)52aと係脱自在に係止する係止突起(図示せず)が突設されている。また、突出部50の周面には設定子8の取付方向(前後方向)に沿った嵌合溝50cが全周に渡って等間隔に設けられており、かかる嵌合溝50cと嵌合する突条部(図示せず)が対向片82に設けられている。なお、嵌合溝50cは15分刻みで記された時刻目盛りの位置と対応している。さらに脚片81の取付片が突設されている側と反対側の面には、後述するようにスイッチ機構部6の検出用カム63,64と当接する爪片83が突設されているが、この爪片83の位置の違いで入用と切用の2種類の設定子8が区別される。入用の設定子8Aは給電開始時刻を設定するためのものであって、脚片81の先端(後端)よりも前方の位置に爪片83が突設されるとともに、指示片80前面の後端部には「入」の文字が立体的に形成されている。また切用の設定子8Bは給電停止時刻を設定するためのものであって、脚片81の先端(後端)の位置に爪片83が突設されるとともに、指示片80前面の後端部には「切」の文字が立体的に形成されている。
例えば、給電停止時刻を設定する場合、まず対向片82に設けられた突条部を設定しようとする時刻の目盛りの位置と対応した嵌合溝50cに嵌合し、さらに脚片81に設けられた取付片を取付部51の取付溝52に位置合わせした後に設定子8Bを後方へ押し込めば、取付片が取付溝52に嵌合するとともに係止突起が取付溝52の後端部に設けられた係止凹部52aに係止することで設定子8Bが抜け止めされた状態で取付部51に取り付けられる。このように本実施形態では、ダイアル5の突出部50周面に設けられた嵌合溝50cに突条部を嵌合させることによって設定子8の指示片80を突出部50前面の目盛りに合わせ易くしている。
ところで、使用していない設定子8が収納される複数(本実施形態では4つ)の設定子収納部17が、器体10前面下部におけるダイアル5の周辺に互いに所定の間隔を空けて設けられている。設定子収納部17は、設定子8の脚片81及び対向片82が挿入される凹所からなり、脚片81の係止突起を凹所の底に設けた被係止部(図示せず)に係止することで設定子8が抜け止め状態で収納される。ここで、図13(a)に示すように従来例においても器体100の前面に複数の設定子収納部117が設けられているが、これら複数の設定子収納部117の間隔が非常に狭いため、爪の先で引っ掛けて設定子107を取り出さなければならなかった。これに対して本実施形態では、隣り合う設定子収納部17の間に人の指先に比べて十分に大きい間隔が空けてあるので、設定子8を指で摘んで容易に設定子収納部17から取り出すことができるものである。
次に、スイッチ機構部6について説明する。スイッチ機構部6は、上述した一対の接点ばね45,46と、スイッチカム体60とを具備する。スイッチカム体60は合成樹脂成形品からなり、中ボディ12の前面側底部に設けられた軸受け凹部12dに嵌合する軸突起61aを後端側に有するとともにボディ10の前壁から突設された軸突部10bが嵌合する軸受け溝61bを前端側に有する軸部61と、軸部61の略中央部に設けられた歯車部62と、軸部61の前端側周面から一定の間隔で径方向に突出して入用の設定子8Aが有する爪片83と当接する入用の4つの検出用カム63と、入用の検出用カム63よりも後端側において軸部61の周面から一定の間隔で径方向に突出して切用の設定子8Bが有する爪片83と当接する切用の4つの検出用カム64と、軸部61の後端側周面から一定の間隔で径方向に突出し一方の接点ばね45の先端部と径方向に当接する4枚の第1のカム65と、第1のカム65よりも後端側において軸部61の後端側周面から一定の間隔で径方向に突出し他方の接点ばね46の先端部と径方向に当接する4枚の第2のカム66とが一体に形成され、中ボディ12の軸受け凹部12dとボディ10の軸突部10bにより軸部61を支点として回動自在に枢支されている(図1及び図4(b)参照)。ここで、ボディ10の凹所15周面における水平方向中央の上側に開口部15aが設けられており、この開口部15aを通して入用及び切用の各4つの検出用カム63,64が凹所15内に進出し、ダイアル5の取付部51に取り付けられた設定子8の爪片83に当接可能となっている(図3参照)。なお、2種類の検出用カム63,64は軸方向からみて約45度の間隔で交互に配置され、同じく第1及び第2のカム65,66も軸方向からみて約45度の間隔で交互に配置されている。
またスイッチ機構部6は、タイマ機構部7によらずに手動で接点31,31を開閉するためのスイッチ送り軸67と操作摘み68を具備している。スイッチ送り軸67は、スイッチカム体60と同様にボディ10と中ボディ12に回動自在に枢支された軸体67aと、軸体67aの略中央に設けられてスイッチカム体60の歯車部62と噛み合う歯車67bと、歯車67bの前面側に設けられたクラッチ歯67cとが合成樹脂材料で一体に形成されてなる。操作摘み68は、円筒状の摘み本体68aと、摘み本体68aの後端側に設けられてスイッチ送り軸67のクラッチ歯67cと噛み合うクラッチ歯68bとが一体に形成されてなり、スイッチ送り軸67の前端側に挿着される。なお、操作摘み68の摘み本体68aはボディ10の前壁を貫通する孔10cを通してボディ10前面側に突出している。ここで、通常の状態ではスイッチ送り軸67の回動向きとクラッチ歯67c,68bの噛み合う向きとが逆であるが、操作摘み68を所定の向きに廻せばクラッチ歯67c,68bが噛み合ってスイッチ送り軸67を手動で回動させることができる。
続いて、図8を参照してスイッチ機構部6の動作を説明する。図8(h)に示すように接点ばね45の先端が第1のカム65に当接して撓められるとともに接点ばね46の先端が第2のカム66に当接している状態では、各接点ばね45,46の先端部に固着されている接点31,31が開離(開極)したオフ状態となり、外部電源接続部2から負荷接続部3への給電路が開極されるために負荷接続部3に接続された負荷(電気機器)には通電されない。そして、給電開始時刻になってダイアル5の取付部51に取り付けられた入用の設定子8Aが現在時刻の位置、つまり凹所15の開口部15aと対向する位置に到達すると、入用の設定子8Aの爪片83が一方の検出用カム63に当接してスイッチカム体60を後方から見て時計回りに回動させ(図8(a)及び(b)参照)、一方の接点ばね45が第1のカム65に当接しなくなるとともに他方の接点ばね46が第2のカム66で押されることによって各接点ばね45,46の先端部の接点31,31が接触する(図8(c)及び(d)参照)。よって、接点31,31が接触(閉極)したオン状態となり、外部電源接続部2から負荷接続部3への給電路が閉極されるために負荷接続部3に接続された負荷(電気機器)に通電される。
一方、給電停止時刻になってダイアル5の取付部51に取り付けられた切用の設定子8Bが現在時刻の位置に到達すると、切用の設定子8Bの爪片83が他方の検出用カム64に当接してスイッチカム体60を後方から見て時計回りに回動させ(図8(e)及び(f)参照)、他方の接点ばね46がそれまで当接していた第2のカム66の隣にある第2のカム66に当接するともに一方の接点ばね45が第1のカム65で押されることによって各接点ばね45,46の先端部の接点31,31が開離してオフ状態に戻る(図8(g)及び(h)参照)。また、操作摘み68を操作してスイッチ送り軸67を手動で回動すれば、スイッチ送り軸67の歯車67bとスイッチカム体60の歯車部62とが噛み合っているためにスイッチカム体60が回動して強制的に接点31,31を開極若しくは閉極させることができる。
而して、負荷である電気機器に給電を開始したい時刻に合わせてダイアル5の取付部51に入用の設定子8Aを取り付けるとともに給電を停止したい時刻に合わせて切用の設定子8Bを取付部51に取り付け、突出部50を指で摘んでダイアル5を回動させることによりダイアル5の時刻表示の目盛りを現在時刻の位置、すなわち、凹所15の開口部15aの位置に合わせて現在時刻を設定する。それから、コンセントカバー14の差込口14aに電気機器の電源プラグを差し込んで負荷接続部3に電気機器を接続し、さらに栓刃20,20を壁面に配設されているコンセント等に差し込むことで外部電源接続部2を商用電源に接続する。そうすると、商用電源からの電源供給によりモータMが動作してダイアル5を回動させ、設定された給電開始時刻になると上述のようにスイッチ機構部6が動作して接点31,31を閉極することで電気機器への給電が開始され、さらに設定された給電停止時刻になるとスイッチ機構部6が動作して接点31,31を開極することで電気機器への給電が停止されるのである。ここで、図13に示した従来例ではダイアル106前面が平坦であるために指で摘んで廻すという操作が行い難いものであったが、本実施形態では器体1(ボディ10)の前面より前方に突出する突出部50がダイアル5の略中央に設けられているので、突出部50を掴んでダイアル5を廻すことができてダイアル5の操作性が向上するという利点がある。また、本実施形態では現在時刻の表示位置(検出用カム63,64が凹所15に臨む開口部15aの位置)が器体1前面におけるダイアル5の真上の位置にあるため、従来例のように真上の位置からずれている場合に比べて時刻の確認が容易になる。なお、本実施形態においては外部電源接続部2に外部電源が接続されているときに点灯して通電状態を表示するための表示灯ブロック30がボディ10側の収納空間に収納されており、ボディ10の前面に設けられた透孔10hを通して表示灯ブロック30の点灯・消灯が視認できるようになっている。
上述のように本実施形態では、ボディ10とカバー11を結合してなる器体1の内部が絶縁性を有する合成樹脂成形品の中ボディ12で分割され、中ボディ12で分割された一方の収納空間(ボディ10側の収納空間)に接点部(接点ばね45,46)及びスイッチ機構部6が収納されるとともに、他方の収納空間(カバー11側の収納空間)に外部電源接続部2、負荷接続部3、導電体4、モータMが収納されるようにしたので、導電性の板材を加工してなる導電体4で外部電源接続部2及び負荷接続部3と接点部(接点ばね45,46)とを電気的に接続することにより当該接続作業が簡素化でき、しかも、中ボディ12によって外部電源接続部2及び負荷接続部3と接点部(接点ばね45,46)との絶縁性能が確保できる(図2(e)参照)。ここで、中ボディ12をボディ10に組み付ける際、一方の接点ばね45をスイッチカム体60の第1のカム65に径方向から当接させるに当たって当該接点ばね45を第1のカム65から離れる向きに撓ませる必要がある。そのために本実施形態では、図7に示すように接点ばね45のばね片45bの先端部における前端縁から斜め前方へ突出するガイド片45cが突設されている。すなわち、中ボディ12をボディ10に組み付ける際、図7(b)及び(c)に示すようにガイド片45cの傾斜面に第1のカム65の後端部が摺接することで接点ばね45が撓むので、接点ばね45を強制的に撓ませなくても接点ばね45をスイッチカム体60の第1のカム65に径方向から当接させて中ボディ12をボディ10に組み付けることができる(図7(d)参照)。なお、ガイド片45cが摺接する第1のカム65の後端部にもガイド片45cと平行になるような傾斜面65aを形成しておけば、接点ばね45をよりスムーズに撓ませて組立作業がさらに容易になる。
また本実施形態では、図9に示すように歯車機構70と対向する側の中ボディ12の側壁に切り欠きからなる窓孔18が設けられ、この窓孔18を通して歯車機構70を構成する一つの4番歯車75の端部がカバー11側の収納空間に露出させてある。つまり、ボディ10に全ての部品を組み付けた後、中ボディ12の窓孔18から露出する4番歯車75を指で回動させてタイマ機構部7やスイッチ機構部6、ダイアル5等が正常に動くか否かを確認することができるのである。なお、カバー11をボディ10に結合して器体1を組み立てれば、窓孔18がカバー11で覆われるために4番歯車75が不用意に操作されることはない。
ところで本実施形態では、器体1(ボディ10)前面を覆う位置(閉位置)と器体1前面を開放する位置(開位置)との間で回動自在に器体1(ボディ10)に取り付けられる透明な扉9を備えている。扉9は、アクリル樹脂のような透明な合成樹脂材料によって背面側に開口する略箱状に形成されており、先端部分が円弧状であって上下両側面の左側端部から後方へ突出した一対のヒンジ片90,90を具備している。ヒンジ片90の外側面には凹み状の軸受け部91がそれぞれ設けられ、またヒンジ片90の先端部分は先端に向かって徐々に厚みが薄くなって傾斜面が形成されている。
一方、ボディ10の左側面には前方と側方とに開口した凹部10d,10dがそれぞれ設けられ、各凹部10dの側面にはヒンジ片90の軸受け部91に着脱自在に嵌る突起状の軸部10eがそれぞれ突設されている。したがって、ヒンジ片90,90を凹部10d,10dに挿入していくとヒンジ片90の先端部分の前記傾斜面に軸部10eが摺接してヒンジ片90が撓められ、やがて軸部10eが軸受け部91に嵌ることで軸部10eを支点として扉9が器体1(ボディ10)前面に回動自在に取り付けられる。また、扉9を器体1から離す向きに引けば、ヒンジ片90,90が撓んで軸部10e,10eが軸受け部91,91から抜けて扉9を器体1より取り外すことができる。さらに、扉9の自由端(右端)側の内側面には一対のロック爪92,92が突設されており、扉9が閉位置にあるときにこれら一対のロック爪92,92がボディ10の右側面前端部に設けられた一対のロック溝10f,10fに係合することで扉9が器体1(ボディ10)に対して閉位置でロックされる。なお、扉9の右端側の外側面には突条93が設けられており、この突条93に指を引っかけて扉9を前方に引けば、ロック爪92,92とロック溝10f,10fの係合が解けて扉9を開くことができる。ここで、ボディ10前面の上端部並びに下端部には、閉位置にある扉9の上側及び下側の側面全体を覆う突出部10g,10gが前方へ突設されており、誤って落としてしまった場合等に扉9に強い衝撃が加わるのを突出部10gで防いで扉9を保護することができる。
而して、現在時刻等の設定が終了した後は扉9を閉じておくことで不用意にダイアル5が操作されることが防止でき、しかも、扉9が透明であるから扉9を閉じた状態でもダイアル5や設定子8等の状態が視認できる。また、扉9の回動支点が器体1側面に設けられているので、器体1前面を開放する位置における扉9の開き角度が、扉9の回動支点が器体1前面にある場合に比較して大きくなって設定子8による設定作業が行い易いという利点がある。さらに、ヒンジ片90の軸受け部91にボディ10の軸部10eを嵌めることで扉9を器体1に対して着脱自在に取り付けることができるから、ダイヤル5の操作や設定子8による設定を頻繁に行う場合に扉9を器体1から取り外すことで作業が行い易くなる。
なお、本実施形態では外部電源接続部2を栓刃20,20で構成しているが、図11に示すように先端に電源プラグ22が付設された電源コード23を用いてもよい。ここで、栓刃20,20が接続される端子板40,42の先端に、電源コード23の一対の電線23a,23aを接続するためのコード接続部40a,42aがそれぞれ設けられている。つまり、端子板40,42には栓刃20,20をかしめ固定によって結合するための結合部(孔)と、電線23a,23aをはんだ付けによって接続するためのコード接続部40a,42aとが双方とも設けられており、ボディ10とカバー11を交換するだけで外部電源接続部2が栓刃20,20で構成される商品と電源コード23で構成される商品の何れにも対応できてコストダウンが図れるという利点がある。