JP4370453B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、スロットマシン、所定数の球を一単位としてスロットマシンと同様の遊技を行なうパチンコ機等の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来には、例えば特許文献1に記載された遊技機がある。特許文献1の遊技機においては、入賞玉を処理して所定の賞球を払い出すための各種の機構が設けられる機構板に、基板ボックスの取付台が装着位置と退避位置とに位置変更可能に装着されている。機構板は、装着位置ではその裏側に位置する入賞球処理装置を隠しかつ退避位置では該入賞球処理装置を露出する。機構板には、処理装置カバー体が保持位置と非保持位置とに位置変更可能に設けられている。処理装置カバー体は、保持位置では取付台を退避位置に保持しかつ非保持位置では該取付台を装着位置に位置変更可能とする。したがって、作業者は、基板ボックスの取付台を手で支持する必要がなく、入賞球処理装置の検査やメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−70523号公報(第22−23頁、図13,14参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特許文献1の遊技機では、作業者は、基板ボックスの取付台を退避位置においた状態で、処理装置カバー体を手で保持位置に位置変更させなければならない。したがって、処理装置カバー体の保持位置への位置変更作業が煩わしいという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、保持部材の保持位置への位置変更作業を省略することのできる遊技機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明の手段1にかかる遊技機は、
「支持側部材には、遊技機裏側に配置される装着側部材が装着位置と退避位置とに位置変更可能に設けられ、
前記装着側部材は、装着位置ではその裏側に位置する隠蔽部材を隠しかつ退避位置では該隠蔽部材を露出し、
前記支持側部材には、保持部材が保持位置と非保持位置とに位置変更可能に設けられ、
前記保持部材は、保持位置では前記装着側部材を退避位置に保持しかつ非保持位置では該装着側部材を装着位置に位置変更可能とし、
前記装着側部材の装着位置から退避位置への位置変更に連動して前記保持部材が非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更されるように構成されていることを特徴とする遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、遊技機裏側に設けられた装着側部材の装着位置から退避位置への位置変更に連動して、保持部材が非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更される。このため、従来必要とされた保持部材の保持位置への位置変更作業を省略することができる。さらには、隠蔽部材を容易に露出させることができ、これにより、例えば隠蔽部材の検査やメンテナンス等を一層容易に行うことができる。なお、遊技機裏側とは、遊技機の遊技者に面する側の反対側をいう。
【0007】
本発明の手段2にかかる遊技機は、
「前記保持部材を非保持位置から保持位置へ向けて付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする前記手段1に記載の遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、保持部材が弾性部材の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更される。したがって、弾性部材を利用した簡単な構造によって、保持部材の保持位置への位置変更を自動化することができる。
【0008】
本発明の手段3にかかる遊技機は、
「前記弾性部材の付勢に抗して保持位置から非保持位置へ位置変更された前記保持部材を係合によって非保持位置に保持する仮止め手段を備え、
前記装着側部材が退避位置から装着位置に位置変更されたときは、前記保持部材に対する前記仮止め手段の係合が解除されかつ前記保持部材が前記弾性部材の付勢に抗して前記装着側部材で制止されるように構成されていることを特徴とする前記手段2に記載の遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、装着側部材が退避位置にあるときに、保持部材を弾性部材の付勢に抗して保持位置から非保持位置へ位置変更すると、保持部材が仮止め手段の係合によって非保持位置に保持される。この状態で、装着側部材を退避位置から装着位置に位置変更すると、保持部材に対する仮止め手段の係合が解除されたのち、保持部材が弾性部材の付勢に抗して装着側部材で制止される。したがって、次回の保持部材の保持位置への自動的な位置変更のための準備を容易に整えることができる。
【0009】
本発明の手段4にかかる遊技機は、
「前記支持側部材には、前記装着側部材の上端部がほぼ水平な軸線周りに回動可能に設けられているとともに、前記保持部材の基端部がほぼ垂直な軸線周りに回動可能に設けられていることを特徴とする前記手段1〜3のいずれか1つに記載の遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、装着側部材及び保持部材をそれぞれ回動によって容易に位置変更させることができる。
【0010】
本発明の手段5にかかる遊技機は、
「前記支持側部材に前記装着側部材の上端部をほぼ水平な軸線周りに回動可能に支持する軸受手段は、一方の部材に形成された軸部と、他方の部材に形成されかつ前記軸部を回動可能に支持する軸受部とにより構成され、
前記軸部は、その軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容されるように前記軸受部に対して遊嵌状に支持されていることを特徴とする前記手段4に記載の遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、支持側部材に対する装着側部材の回動に際し、軸受手段の軸部が軸受部内で軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容される。したがって、装着側部材の回動支点を退避位置では低くくずらし、装着位置では高くずらすことができる。
【0011】
本発明の手段6にかかる遊技機は、
「前記支持側部材は、遊技盤の後面側において該遊技盤の後方に突出する後方突出部位を嵌合する開口部を有する機構盤であり、
前記装着側部材は、前記機構盤の開口部の下方部位に配置される基板ボックスであり、
前記隠蔽部材は、前記機構盤の開口部の下方部位に位置する下方配置部品であることを特徴とする前記手段1〜5のいずれか1つに記載の遊技機。」
を構成の要旨とするものである。
このように構成すると、機構盤の開口部の下方部位に基板ボックスが配置されるとともに、該基板ボックスで下方配置部品が隠蔽される。したがって、下方配置部品に基板ボックスが重畳配置されることにより、機構盤の外形を大きくすることになく、該機構盤の開口部を下方へ拡大することができる。ここで、遊技盤30の後方突出部位とは、例えばパチンコ機の入賞装置、スロットマシンの図柄表示装置等による後方への突出部位である。したがって、近年の入賞装置、図柄表示装置等の大型化にともなう後方突出部位の大型化に容易に適応することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1を図面にしたがって説明する。本実施の形態では、パチンコ球(単に球という)を使用してスロットマシンと同様の遊技を行う遊技機について例示する。なお、説明の便宜上、遊技機に対する遊技者側を前側、反対側を後側と称する。
【0013】
遊技機の概要から説明する。図3に示すように、遊技機1の外枠3は、ほぼ方形枠状に形成されている。外枠3の前面側の下端部には、前枠5(後述する)を受ける受け板4が設けられている。外枠3の前側には、ほぼ方形枠状の前枠5(図2参照)が前枠ヒンジ装置(図示省略)を介して開閉可能に装着されている。前枠5の自由端側は、外枠3に対して施錠装置6(図3参照)により閉じた状態に施錠されている。また、図2に示すように、前枠5の前側(図2において右側)には、ほぼ方形状の開閉扉7が扉ヒンジ装置(図示省略)を介して開閉可能に装着されている。開閉扉7の自由端側は、前枠5に対して前記施錠装置6(図3参照)によって閉じた状態に施錠されている。開閉扉7は、透明ガラス板、透明樹脂板等の透視板9(図1参照)を備えている。
【0014】
図1に示すように、前記開閉扉7の下部には、第1〜第3のベットボタン11,12,13、始動レバー14、第1〜第3の停止ボタン16,17,18、取込ボタン20、貯留精算ボタン21、返却ボタン22等が操作可能に配設されている。また、開閉扉7の右上部には音声、音楽、効果音等を発するスピーカ24が配設され、該開閉扉7の左右両側部には点灯又は点滅する演出ランプ25が配設されている。また、前記前枠5(図2参照)の前側の下部には、図1に示すように、上皿26及び下皿27が装着されている。上皿26内に貸球及び賞球が保留され、下皿27内に上皿26からオバーフローした球が貯留される。
【0015】
図2に示すように、前記前枠5の後側(図2において左側)には、ほぼ方形枠状に形成された装着枠29が脱着可能に装着されている。装着枠29の枠内には、その後方(図2において左方)から遊技盤30が着脱可能に嵌込まれている。遊技盤30は、ほぼ四角板状に形成された遊技盤本体31と、該遊技盤本体31に装着された図柄表示装置32とを備えている。遊技盤本体31は、装着枠29に対して機構盤48(後述する)により固定されている。また、図柄表示装置32は、前面側を表示部とする第1〜第3の計3つの表示部材33,34,35を備えている。図1に示すように、各表示部材33,34,35の表示部は、前記開閉扉7の透視板9を透して視認することができる。各表示部材33,34,35は、例えば無端状の回転ベルト、回転リール、回転ドラム等からなり、前記始動レバー14を操作することによりそれぞれ回転し、各停止ボタン16,17,18を操作することにより停止される。
【0016】
また、図2に示すように、前記遊技盤本体31の前面側の下部には、前面側を表示部とするクレジット表示器37、ゲーム数表示器38、ユニット数表示器39が配設されている。さらに、前記遊技盤本体31の右肩部には、前面側を表示部とする液晶表示器40が装着されている。図1に示すように、各表示器37,38,39及び液晶表示器40の表示部は、前記開閉扉7の透視板9を透して視認することができる。クレジット表示器37はクレジット数を表示する。ゲーム数表示器38はボーナスゲームにおける消化ゲーム数を表示する。ユニット数表示器39は払出しを行うユニット数を表示する。液晶表示器40は、図柄を用いる表示によってビッグボーナスゲームや期待度等を表示する。
【0017】
前記遊技盤本体31(図2参照)の前面側には、前記開閉扉7(図1参照)の透視板9を透して視認することのできる左右の適数個(図1では左右各5個を示す)の有効ランプ42が配置されている。各有効ランプ42は、水平方向に延びる3本と斜めに延びる2本の計5本の有効ライン43に対応して配置されている。例えば、前記第1のベットボタン11を操作すれば、中段1本の有効ライン43に対応する有効ランプ42が点灯あるいは点滅する。また、前記第2のベットボタン12を操作すれば、中段、上段及び下段の計3本の有効ライン43に対応する有効ランプ42が点灯あるいは点滅する。また、前記第3のベットボタン13を操作すれば、中段、上段、下段と斜め2方向の計5本の有効ライン43に対応する有効ランプ42が点灯あるいは点滅する。
【0018】
図2に示すように、前記遊技盤本体31の後側には、前記図柄表示装置32の後部を覆う裏カバー体44が配設されている。裏カバー体44の後面側には、副基板ボックス45と主基板ボックス46が上下に並んで配設されている。副基板ボックス45内には、前記スピーカ24(図1参照)を作動制御するための音声制御基板や、前記演出ランプ25及び前記有効ランプ42(図1参照)、その他のランプ、LED等の発光体(図示省略)を点滅制御するためのランプ制御基板等(図示省略)が収納されている。また、主基板ボックス46内には、遊技機1の遊技の制御を行うための主制御基板(図示省略)が収納されている。
【0019】
図2に示すように、前記装着枠29の後側には、ほぼ方形枠状の機構盤48が機構盤ヒンジ装置47(図3参照)を介して開閉可能に装着されている。機構盤48の自由端側(図3において左側)は、装着枠29に対して閉止具49によって閉じた状態に保持されている。図2に示すように、機構盤48の枠内の開口部からは、前記図柄表示装置32の後部、前記裏カバー体44、前記副基板ボックス45及び前記主基板ボックス46が突出されている。また、機構盤48は、装着枠29の枠内の周縁部に対して前記遊技盤30の遊技盤本体31の周縁部を押圧によって固定する。なお、図柄表示装置32の後部、裏カバー体44、副基板ボックス45及び主基板ボックス46は、本明細書でいう「後方突出部位」に相当している。また、機構盤48には、球を誘導する球通路(図示省略)が設けられている。
【0020】
図3に示すように、前記機構盤48の裏側(遊技機裏側に相当する)には、球タンク50、タンクレール51、球払出装置52、基板ボックス99等が装着されている。タンクレール51は、球を貯留した球タンク50から流下する球を球払出装置52へ誘導する。球払出装置52は、タンクレール51から流下した球を賞球数あるいは貸球数に応じて前記上皿26(図1参照)へ払出す。
また、基板ボックス99は、機構盤48の開口部の下方部位に配置されている。基板ボックス99は、樹脂製のボックス本体990(図9参照)と、そのボックス本体990の裏側の右半部を覆う樹脂製の第1の基板ボックスカバー54及び同じく裏側の左半部を覆う樹脂製の第2の基板ボックスカバー55(図3参照)とからなる。ボックス本体990と第1の基板ボックスカバー54とにより形成される内部空間には、払出用制御基板(図示省略)が収納されている。また、ボックス本体990と第2の基板ボックスカバー55とにより形成される内部空間には、電源基板(図示省略)が収納されている。
また、球払出装置52の駆動モータ(図示省略)は、前記払出制御基板(図示省略)を含む制御手段により制御される。
【0021】
図9に示すように、前記基板ボックス99のボックス本体990の上縁部は、機構盤48に対してヒンジ機構56を介して回動可能に連結されている。このため、基板ボックス99の下端部を持ち上げるようにして、該基板ボックス99をヒンジ機構56を介してほぼ水平な軸線周りに回動することにより、球取込装置58(後述する、図9中、二点鎖線58参照)を後方側に開放することができる。その基板ボックス99の開放位置(図9中、二点鎖線99参照)を「退避位置」という。
また、前記退避位置にある基板ボックス99の下端部(自由端部)を押し下げるようにして該基板ボックス99を戻す(回動する)ことにより、該基板ボックス99が所定の装着位置(図9中、実線99参照)へ位置変更される。これにより、球取込装置58(後述する)が基板ボックス99により隠蔽される。
なお、機構盤48は、本明細書でいう「支持側部材」に相当する。また、基板ボックス99は、本明細書でいう「装着側部材」及び「機構盤の開口部の下方部位に配置される基板ボックス」に相当する。
【0022】
図9に示すように、前記機構盤48には、前記基板ボックス99の裏側に位置するほぼ棒状の保持部材92の基端部が、ほぼ垂直な軸線(鉛直方向に延びる軸線)周りに回動可能に設けられている。保持部材92は、基板ボックス99を退避位置において受け止めて保持する保持位置(図9中、二点鎖線92参照)と、機構盤48側に傾倒する非保持位置(図示省略)とに位置変更可能になっている。保持部材92が非保持位置におかれると、基板ボックス99が装着位置(図9中、実線99参照)に位置変更可能となる。保持部材92は、図示しないコイルスプリング等の弾性部材の弾性により、非保持位置から保持位置へ向けて付勢されている。これにより、装着位置にある基板ボックス99の裏面に保持部材92の先端部が当接し、該保持部材92が弾性部材の付勢に抗して基板ボックス99により制止される。このため、基板ボックス99の装着位置から退避位置への位置変更に連動して、保持部材92が弾性部材の付勢により非保持位置から保持位置(図9中、二点鎖線92参照)へ自動的に位置変更することができる。
【0023】
前記基板ボックス99の下縁部は、機構盤48に回動可能に設けられた留め具53が係脱可能になっている(図3参照)。すなわち、装着位置におかれた基板ボックス99の下縁部に対して留め具53を回動させて係合することにより、該基板ボックス99が固定される。この状態から、留め具53を戻して(回動させて)、基板ボックス99の下縁部に対する係合を解除することにより、該基板ボックス99の退避位置への位置変更が可能となる。なお、留め具53に代え、弾性変形を利用したクリップ手段、ねじ止め手段等によって、基板ボックス99の下縁部を係脱可能とすることができる。
【0024】
上記した遊技機1は、次に述べる球取込装置58(図1参照)により、所定数(例えば5個)の球を一単位として単位毎の球を機内に取込んで遊技を行ない、その遊技の結果に応じて特典が付与される。球取込装置58は、図6に示すように、ケース体60と回転体70とを備えている。ケース体60は、前半部を形成するケース部材61と、ケース部材61に結合されかつ後半部を形成するカバー部材64とによりほぼボックス状に形成されている(図4参照)。図8に示すように、ケース部材61の右側壁61aには、例えばステッピングモータからなる取込モータ75が設置されている。取込モータ75の出力回転軸75a(図7参照)は、ケース部材61内に指向されている。
【0025】
図7に示すように、前記ケース部材61内において、前記取込モータ75の出力回転軸75aには、ほぼ羽根車状をなす回転体70が設けられている。図6に示すように、回転体70の外周部には、ほぼ放射状に等間隔で突出する適数枚(図6では6枚を示す)の羽根71を有している。隣り合う羽根71の相互間は、ほぼ軸方向に延びる条溝状をなしかつ1ユニットの球Bすなわち5個の球Bを一単位として回転体70の軸方向に整列した状態で収容可能な球収容部72となっている(図7参照)。回転体70は、取込モータ75の回転駆動によって、左回り方向(図6中、矢印Y1参照)に60°ずつ間欠的に回転される。また、羽根71は、断面ほぼ「く」の字状に形成されており、回転体70の回転時に球Bを受止め可能になっている。
【0026】
図8に示すように、前記ケース部材61の左側壁61bには、球入口62が形成されている。球入口62は、前記上皿26(図1参照)内から流下する球を誘導する流入通路57(図1参照)の下流端に対応し、かつ前記回転体70の前側位置を収容位置とする球収容部72(球収容部72に収容直後の球B(図6中、二点鎖線Ba参照)に対応している。図7に示すように、流入通路57及び球収容部72は、球Bが転動して流下し得る勾配をもって傾斜状に形成されている。このため、流入通路57を転動して流下する球Bは、球収容部72における下方位置(図7において右端位置)から上方(同左方)へ順に詰まる。
【0027】
図6に示すように、前記取込モータ75の駆動により、回転体70が回転によって所定方向(図6中、矢印Y1参照)に回転されると、収容位置で球収容部72に収容された球B(Ba)は、上死点を経て後方(図6において左方)へ搬送されることで、その自重を利用して回転体70の径方向外方へ転動して放出される(図6中、矢印Y2参照)。また、前記ケース部材61内には、前記回転体70の前方及び上方を取り囲み、かつ球収容部72に収容された状態で搬送される球Bの外方への放出を防止するガード部材63が設置されている。また、前記カバー部材64の後側壁64aの内側には、取込通路65が形成されている。取込通路65は、カバー部材64の後側壁64aを兼用する通路壁(後側壁と同一符号を付す)64aと、その後側壁64aから上下平行状にして回転体70に向けて突出された上壁65a及び下壁65bとによって形成されている。上壁65aの先端部は、ガード部材63の上側の後端部近くにまで延びている。また、下壁65bの先端部65b1は上方へ傾斜している。図4に示すように、カバー部材64の左側壁64bには、取込通路65を開放する球出口66が形成されている。また、取込通路65の下壁65b(図6参照)は、球Bが転動して球出口66(図4参照)へ流下し得る勾配をもって傾斜状に形成されている。このため、回転体70の球収容部72から放出された球Bは、取込通路65を通じて球出口66から排出される。球出口66から排出された球Bは、誘導通路(図示省略)を通じて遊技機1内の所定部位に取込まれるものとする。
【0028】
図7に示すように、前記回転体70のモータ側の端部には、ほぼディスク状のフランジ部74が設けられている。フランジ部74の外周縁には、前記各球収容部72に対応する検出孔74a(図6参照)が設けられている。一方、前記ガード部材63には原点センサ76が配設されている。原点センサ76は、例えば発光部と受光部とにより構成される光センサ(フォトセンサとも呼ばれる)からなり、前記フランジ部74の各検出孔74a(図6参照)を光学的に検出する。原点センサ76によってフランジ部74の各検出孔74aを検出した信号、言い換えれば球収容部72に対応した信号が所定の制御回路(図示省略)に出力され、回転体70の回転角度が確認される。また、図7に示すように、前記回転体70の各羽根71の外周部には、前記球収容部72に並ぶ球Bに対応する1ユニット分すなわち計5個のスリット73が設けられている。一方、前記ガード部材63には、1ユニット分すなわち計5個の取込センサ77が配設されている。各取込センサ77は、例えば発光部と受光部とにより構成される光センサ(フォトセンサとも呼ばれる)からなり、前記収容位置にある球収容部72に受け入れた球Bを羽根71のスリット73を通じて光学的に検出する。取込センサ77によって球Bを検出した信号は、所定の制御回路(図示省略)に出力され、回転体70の球収容部72に球Bが収容されたことが確認される。
【0029】
図6に示すように、前記ケース部材61内には、返却通路67が設けられている。返却通路67は、図7に示すように、前記回転体70の収容位置における球収容部72内に収容された球Bを前記下皿27(図1参照)内へ返却可能に形成されている。返却通路67の上流側開口部は、通常、ゲート部材68によって閉鎖されている。ゲート部材68は、返却レバー69(図6参照)の作動に連動して返却通路67を開放される。返却レバー69(図6参照)は、ケース部材61に設けられ、前記返却ボタン22(図1参照)の操作によってゲート部材68(図7参照)を開放させる。したがって、返却ボタン22の操作によって、回転体70の収容位置における球収容部72内に収容された球B(図6中、二点鎖線Ba参照)が返却通路67を通じて前記下皿27(図1参照)内へ返却される。これとともに、上皿26(図1参照)内の球Bが回転体70の収容位置における球収容部72及び返却通路67を通じて下皿27内へ返却される。
【0030】
上記した球取込装置58は、前記機構盤48に設けた開口部(図示省略)内に位置され、かつ前記前枠5の後面側に配置されている(図9参照)。球取込装置58のカバー部材64の後側壁64a(図4参照)は、前記基板ボックス99に面するように配置されている。すなわち、球取込装置58のカバー部材64の後側壁64a(図4参照)が、装着位置にある基板ボックス99(図9中、実線99参照)によって隠蔽される。また、基板ボックス99の下端部を持ち上げるようにして該基板ボックス99を退避位置(図9中、二点鎖線99参照)に位置変更することにより、前記カバー部材64の後側壁64a(図4参照)を露出させることができる。なお、球取込装置58は、本明細書でいう「隠蔽部材」及び「下方配置部材」に相当する。
【0031】
引き続いて、上記した球取込装置58の作用について説明する。前記上皿26内の球Bは、流入通路57を通じて、球取込装置58の球入口62から回転体70の収容位置にある球収容部72に収容される。球収容部72に受入れられた球Bは、取込モータ75の駆動による回転体70の60°ずつの間欠回転にともない、上死点を経由して後方へ約180°搬送された後、自重によって取込通路65へ放出される。取込通路65に放出された球Bは、球出口66から放出された後、誘導通路(図示省略)を通じて遊技機1内の所定部位に取込まれる。
【0032】
次に、上記した球取込装置58を備えた遊技機1によって遊技を行う場合を説明する。遊技機1(図1参照)のいずれかのベットボタン11,12,13を操作することにより、球取込装置58によって、上皿26内の球Bが所定数を一単位として、1ユニットずつ遊技機1内の所定部位に取込まれる。すなわち、第1のベットボタン11を操作すれば、球取込装置58の回転体70が60°回転することにより、1ユニット分の球Bが遊技機1内の所定部位に取込まれる。また、第2のベットボタン12を操作すれば、回転体70が60°ずつ120°回転することにより、2ユニット分の球Bが遊技機1内の所定部位に取込まれる。また、第3のベットボタン13を操作すれば、回転体70が60°ずつ180°回転することにより、3ユニット分の球Bが遊技機1内の所定部位に取込まれる。
【0033】
続いて、始動レバー14(図1参照)を操作することにより、図柄表示装置32のすべての表示部材33,34,35が回転され、その後、各停止ボタン16,17,18を操作することにより、各表示部材33,34,35が個別に停止される。そして、各表示部材33,34,35の図柄による図柄列が所定の当たり図柄列となったときに、有効ライン43に対応する所定数の賞球が球払出装置52(図3参照)によって上皿26内に払出される。なお、所定の当たり図柄列が本明細書でいう「遊技結果」に相当する。また、所定数の賞球の払出しが本明細書でいう「特典の付与」に相当する。また、返却ボタン22を操作することにより、上皿26及び球取込装置58に収容されていた球Bが返却通路67(図7参照)を通して下皿27上へ返却される。なお、貯留精算ボタン21を操作すると、クレジットしている球Bが下皿27内に返却される。
【0034】
次に、上記した遊技機1における球取込装置58の要部について説明する。図5及び図6に示すように、前記取込通路65の通路壁を兼用するケース体60のカバー部材64の後側壁64aには、前記回転体70の球放出部分に臨む適数個(図5は6個を示す)の球噛み解消用開口部80が設けられている。球噛み解消用開口部80は、図5に示すように、横長の長細孔状をなし、かつ上下2段で左右方向に3個が千鳥状にずらして形成されている。球噛み解消用開口部80の縦方向の孔幅80w(図4参照)は、それぞれ球噛み解消用工具90を差込み可能でかつ球B(図6参照)が抜け出ない大きさに設定されている。本実施の形態の球噛み解消用工具90としては、市販されているマイナス(−)型又はプラス(+)型のドライバー(ねじ回し)、六角棒等の工具が使用される。
【0035】
上記した遊技機1(図1参照)の球取込装置58(図6参照)における回転体70の球放出部分で球噛みが発生することがある。このような場合、球Bの取込みができず、遊技者から連絡を受けたホール店員すなわち作業者は、施錠装置6(図3参照)を解錠し、前枠5(図2参照)を開ける。この状態で、基板ボックス99の下縁部に対する留め具53(図3参照)の係合を解除して、該基板ボックス99を退避位置(図9中、二点鎖線99参照)に位置変更させる。これにより、球取込装置58のカバー部材64の後側壁64a(図4参照)が露出される。このとき、基板ボックス99は、装着位置から退避位置への位置変更に連動して、自動的に保持位置に回動された保持部材92(図9参照)によって退避位置に保持される。この状態で、ホール店員は、球噛み解消用工具(詳しくは、ドライバーの軸状部)90をカバー部材64の球噛み解消用開口部80に差込む(図6中、二点鎖線90参照)。そして、球噛み解消用工具90を操作して、回転体70を逆転させたり、球噛みした球Bを払い除けたりすることによって、球噛みを解消することができる。このように、球取込装置58のケース体60の構成部品(カバー部材64)を脱着することなく、球取込装置58内で発生した球噛みを簡単にかつ素早く解消することができる。
【0036】
また、前記ケース体60のカバー部材64の後側壁64aと取込通路65の通路壁とを兼用しており、その兼用する後側壁64aに球噛み解消用開口部80を設けているので、ケース体60の壁構造を簡素化するとともに球噛み解消用開口部80を容易に設けることができる(図6参照)。例えば、ケース体60のカバー部材64の後側壁64aと取込通路65の通路壁とが別個であると、ケース体60の壁構造が複雑化するうえ、各壁に球噛み解消用開口部80を相互に対応する関係をもって個々に設けなければならないという不具合がある。しかし、本遊技機1によれば、そのような不具合が改善される。
【0037】
また、市販されているドライバー等の工具を球噛み解消用工具90として球取込装置58のケース体60の球噛み解消用開口部80に差込むことができる(図6参照)。このため、特別な球噛み解消用工具90が不要であり、球噛み解消用工具90の維持管理を簡略化することができる。なお、球噛み解消用工具90には、専用の特殊工具を用いることもできる。
【0038】
上記のようにして、球取込装置58(図6参照)における球噛みが解消されたならば、作業者は、保持部材92を弾性部材の付勢に抗して非保持位置に位置変更するとともに、基板ボックス99を装着位置に位置変更する。そして、装着位置に戻した基板ボックス99の下縁部に留め具53(図3参照)を係合する。その後、前枠5(図2参照)を閉じて施錠装置6(図3参照)で施錠する。このようにして、球取込装置58の球噛み解消作業が終了する。
【0039】
上記した遊技機1によると、機構盤48の裏側に設けられた基板ボックス99の装着位置から退避位置への位置変更に連動して、保持部材92が弾性部材(図示省略)の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更される。このため、従来必要とされた保持部材92の保持位置への位置変更作業を省略することができる。さらには、球取込装置58を容易に露出させることができ、これにより、例えば球取込装置58の検査やメンテナンス等を一層容易に行うことができる。
【0040】
また、前に述べたように、保持部材92が弾性部材(図示省略)の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更されるように構成したので、弾性部材を利用した簡単な構造によって、保持部材92の保持位置への位置変更を自動化することができる。
【0041】
また、基板ボックス99が装着位置にあるときは、保持部材92が弾性部材の付勢に抗して該基板ボックス99で制止される。したがって、次回の保持部材92の保持位置への自動的な位置変更のための準備を容易に整えることができる。
【0042】
また、機構盤48には、基板ボックス99の上端部がほぼ水平な軸線周りに回動可能に設けられているとともに、保持部材92の基端部がほぼ垂直な軸線周りに回動可能に設けられている。したがって、基板ボックス99及び保持部材92をそれぞれ回動によって容易に位置変更させることができる。
【0043】
また、機構盤48の開口部の下方部位に基板ボックス99が配置されるとともに、該基板ボックス99で球取込装置58が隠蔽される。したがって、球取込装置58に基板ボックス99が重畳配置されることにより、機構盤48の外形を大きくすることになく、該機構盤48の開口部を下方へ拡大することができる。したがって、近年の図柄表示装置32等の大型化にともなう後方突出部位の大型化に容易に適応することができる。
【0044】
また、上記球取込装置58におけるケース体60のカバー部材64の球噛み解消用開口部80は、変更例1(図10参照)、変更例2(図11参照)に変更することができる。
変更例1は、図10に示すように、カバー部材64の後側壁64aに、その下縁部から上方に向かって切り込み溝状の球噛み解消用開口部82を形成したものである。球噛み解消用開口部82の溝幅82wは、実施の形態1と同様、球噛み解消用工具90を差込み可能でかつ球が抜け出ない大きさに設定されている。したがって、球噛み解消用工具90をカバー部材64の球噛み解消用開口部82に差込んで球噛みを解消することができる。
【0045】
また、変更例2は、図11に示すように、カバー部材64の後側壁64aには、回転体70(図6参照)の球放出部分を開放する開口窓84が形成されている。さらに、カバー部材64の後側壁64aには、前記開口窓84を塞ぐように格子状の網部材85が設けられている。そして、網部材85の網目83は、実施の形態1と同様、球噛み解消用工具90を差込み可能でかつ球が抜け出ない大きさの球噛み解消用開口部(網目と同一符号を付す)83に設定されている。したがって、実施の形態1と同様、球噛み解消用工具90をカバー部材64の球噛み解消用開口部83に差込んで球噛みを解消することができる。
【0046】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を説明する。実施の形態2は、上記した実施の形態1の一部に変更を加えたものであるからその変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。図12に示すように、前記基板ボックス99のボックス本体990の上縁部には、適数個の差込みタブ99aが突出されている。一方、機構盤48には、各差込みタブ99aを差込み可能な差込み孔48a(図14参照)がそれぞれ形成されている。各差込みタブ99aは、基板ボックス99の退避位置から装着位置への位置変更時に、機構盤48の各差込み孔48a(図14参照)にそれぞれ差込まれることにより、該基板ボックス99を位置決めする(図13参照)。また、各差込みタブ99aは、基板ボックス99を装着位置から退避位置への位置変更時には、機構盤48の各差込み孔48aから抜け外れるようになっている(図14参照)。
【0047】
図12に示すように、前記基板ボックス99のボックス本体990の下縁部の中央部には、タブ99bが突出されている。一方、機構盤48には、タブ99bに対応する位置において、上記実施の形態1と同様の留め具53が軸53aにより回動可能に配置されている。したがって、留め具53を図12に実線53で示す位置におきかつ基板ボックス99を装着位置においた状態で、該留め具53を回動させてタブ99bに係合(図12中、二点鎖線53参照)することにより、該基板ボックス99が固定される。この状態から、留め具53を戻して(回動させて)、前記タブ99bに対する係合を解除(図12中、実線53参照)することにより、基板ボックス99の退避位置への位置変更が可能となる。
【0048】
ところで、上記実施の形態1におけるヒンジ機構56(図9参照)に代えて、図12に示すように、前記基板ボックス99の上端部が機構盤48に軸受手段100を介してほぼ水平な軸線周りに回動可能に支持されている。軸受手段100は、左右対称状に配置されている。軸受手段100は、基板ボックス99の例えばボックスカバー54,55の側面の上端部に一体形成されたほぼ円柱状の軸部102と、その軸部102に対応するように機構盤48に一体形成されかつ該軸部102を回動可能に支持する軸受部104とにより構成されている。図15に示すように、軸受部104には、軸部102を受入れるほぼ四角形状の軸受凹部105が形成されている。軸受部104の突出端側に位置する軸受凹部105の壁部105aには、軸部102をその径方向に出し入れ可能とする切欠き部106が形成されている。軸部102は、軸受凹部105の壁部105aの切欠き部106を通じて軸受凹部105内に介入されている(図12参照)。これにより、軸部102は、その軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容されるように、軸受部104の軸受凹部105内に遊嵌状に支持されている。このため、基板ボックス99が装着位置にあるときは(図13中、実線99参照)、軸部102が軸受凹部105内の上端部付近に位置している。また、基板ボックス99が退避位置に位置変更されると(図14中、実線99参照)、軸部102が軸受凹部105内の下端部付近にずれて位置する。
【0049】
図12に示すように、前記機構盤48には、前記基板ボックス99の裏側に位置するほぼ三角板状の保持部材110の基端部がほぼ垂直な軸線周りに回動可能に設けられている。保持部材110は、前記基板ボックス99を退避位置において受け止めて保持する保持位置(図14参照)と、機構盤48側に傾倒しかつ該基板ボックス99を前記装着位置(図13参照)に位置変更可能とする非保持位置とに位置変更可能に設けられている。
詳しくは、図19に示すように、保持部材110は、ほぼ直角三角形板状に形成されている。保持部材110は、直角部と小さい方の角部を上部にし、大きい方の角部を下部に向けられている。保持部材110の直角側と大きい方の角部の上下縁には、同一軸線上に位置するほぼ円柱状の取付軸部111が突出されている。保持部材110の長辺側の側縁の上端部には、ほぼ四角形枠状の突出枠部113が形成されている。突出枠部113の先端部114は、保持部材110の表方へ突出するようにほぼL字状に形成されている(図17参照)。保持部材110の長辺側の側縁の上端部には、突出枠部113内に突出するバネ掛け部115が形成されている。バネ掛け部115の先端部116は保持部材110の表方へ指向するようにほぼL字状に形成されている(図17参照)。保持部材110の長辺側の側縁の中央部には、ほぼ四角形状の突出片117が形成されている。また、保持部材110の小さい方の角部の先端部110aは、断面ほぼ半円形状に形成され、上下方向に所定長さで延びている。
【0050】
図17及び図18に示すように、前記機構盤48には、前記保持部材110を嵌め込み可能な凹部120が形成されている。機構盤48には、上下一対をなす軸受片122が弾性変形いわゆる撓み変形可能(図16中、二点鎖線122参照)に形成されている。図16に示すように、機構盤48の各軸受片122の先端部に対して、保持部材110の取付軸部111が該軸受片122の撓み変形を利用して回動可能に嵌合される。これにより、機構盤48に保持部材110が取付軸部111の軸線周りに回動可能に支持されている。機構盤48の裏側には、保持部材110のバネ掛け部115に対応するバネ掛け部124が形成されている(図17参照)。保持部材110のバネ掛け部115と機構盤48のバネ掛け部124には、コイルスプリング130が掛装されている。コイルスプリング130の弾性によって、保持部材110が非保持位置(図17中、実線110参照)から保持位置(図17中、二点鎖線110(1)参照)へ向けて付勢されている。また、機構盤48には、保持部材110を保持位置にて停止させるために該保持部材110と当接可能なストッパ部126が設けられている。なお、コイルスプリング130は、本明細書でいう「弾性部材」に相当する。
【0051】
図17に示すように、前記機構盤48には、前記保持部材110の先端部110aに対して弾性変形いわゆる撓み変形を利用して係合可能な仮止め片128が形成されている。すなわち、機構盤48の仮止め片128に保持部材110の先端部110aが撓み変形を利用して係合することにより、該保持部材110が前記コイルスプリング130の付勢に抗して非保持位置に保持されるようになっている(図17中、実線110参照)。また、この状態において、前記基板ボックス99が装着位置(図17中、二点鎖線99参照)に位置変更されると、該基板ボックス99の裏面99c(図17参照)により保持部材110の突出枠部113の先端部114が押し下げられる。これにより、機構盤48の仮止め片128に対する該保持部材110の先端部110aの係合が解除される。なお、装着位置における基板ボックス99の裏面99cと、それに対面する機構盤48の当該面との間には、仮止め片128に対する保持部材110の先端部110aの係合が解除される相当分の空間部S(図17参照)が設定されているものとする。
すると、装着位置にある基板ボックス99の裏面99cには、保持部材110の先端部110aが当接し、保持部材110がコイルスプリング130の付勢に抗して基板ボックス99により制止される(図17中、二点鎖線110(2)参照)。したがって、次回の基板ボックス99の装着位置から退避位置への位置変更に連動して、保持部材110がコイルスプリング130の付勢により非保持位置から保持位置(図17中、二点鎖線110(1)参照)へ自動的に位置変更することができる。なお、仮止め片128は、本明細書でいう「仮止め手段」に相当する。
【0052】
上記した実施の形態2によっても、前記実施の形態1と同様の作用・効果が得られる。すなわち、遊技機1(図1参照)の球取込装置58(図6参照)において球噛みが発生した場合に、遊技者から連絡を受けたホール店員すなわち作業者は、前に述べたようにして前枠5(図2参照)を開ける。この状態で、基板ボックス99のタブ99bに対する留め具53(図12参照)の係合を解除して、基板ボックス99を退避位置(図13中、二点鎖線99参照)に位置変更させる。これにより、前記球取込装置58が露出される。このとき、基板ボックス99は、装着位置から退避位置への位置変更に連動して、コイルスプリング130(図17参照)の付勢により自動的に保持位置に回動された保持部材110によって退避位置に保持される(図14参照)。この状態で、作業者は、前記実施の形態1と同様に、球取込装置58の球噛みを解消する。
【0053】
上記のようにして、球取込装置58(図6参照)の球噛みが解消されたならば、作業者は、保持部材110をコイルスプリング130の付勢に抗して非保持位置に位置変更すると、保持部材110が仮止め片128の係合によって非保持位置に保持される(図17中、実線110参照)。この状態で、基板ボックス99を退避位置から装着位置に位置変更すると、前に述べたように、保持部材110に対する仮止め片128の係合が解除されたのち、保持部材110がコイルスプリング130の付勢に抗して基板ボックス99で制止される(図17中、二点鎖線110(2)参照)。そして、装着位置に戻した基板ボックス99のタブ99bに留め具53(図12参照)を係合した後、前枠5(図2参照)を閉じることにより、球取込装置58の球噛み解消作業が終了する。
【0054】
上記した実施の形態2によると、機構盤48の裏側に設けられた基板ボックス99の装着位置から退避位置への位置変更に連動して、保持部材110がコイルスプリング130の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更される。このため、従来必要とされた保持部材110の保持位置への位置変更作業を省略することができる。さらには、球取込装置58を容易に露出させることができ、これにより、例えば球取込装置58の検査やメンテナンス等を一層容易に行うことができる。
【0055】
また、前に述べたように、保持部材110がコイルスプリング130の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更されるように構成したので、コイルスプリング130を利用した簡単な構造によって、保持部材110の保持位置への位置変更を自動化することができる。
【0056】
また、基板ボックス99が退避位置にあるときに、保持部材110をコイルスプリング130の付勢に抗して保持位置から非保持位置へ位置変更すると、保持部材110が仮止め片128の係合によって非保持位置に保持される。この状態で、基板ボックス99を退避位置から装着位置に位置変更すると、保持部材110に対する仮止め片128の係合が解除されたのち、保持部材110がコイルスプリング130の付勢に抗して基板ボックス99で制止される。したがって、次回の保持部材110の保持位置への自動的な位置変更のための準備を容易に整えることができる。
【0057】
また、機構盤48には、前記基板ボックス99の上端部がほぼ水平な軸線周りに回動可能に設けられているとともに、前記保持部材110の基端部がほぼ垂直な軸線周りに回動可能に設けられている。したがって、基板ボックス99及び保持部材110をそれぞれ回動によって容易に位置変更させることができる。
【0058】
また、機構盤48に基板ボックス99の上端部をほぼ水平な軸線周りに回動可能に支持する軸受手段100は、基板ボックス99に形成された軸部102と、機構盤48に形成されかつ前記軸部102を回動可能に支持する軸受部104とにより構成されている。軸部102は、その軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容されるように前記軸受部104に対して遊嵌状に支持されている。これにより、機構盤48に対する基板ボックス99の回動に際し、軸受手段100の軸部102が軸受部104内で軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容される。したがって、基板ボックス99の回動支点を退避位置では低くくずらし、装着位置では高くずらすことができる。それゆえ、図13に示すように、厚み(図13において実線99の左右方向の寸法が相当する)のある基板ボックス99を、該基板ボックス99の高さ分(図13において実線99の上下方向の寸法が相当する)のスペース内において、装着位置と退避位置との間で回動させることができる。例えば、前記実施の形態1におけるヒンジ機構56(図9参照)のように、回動支点が固定されている構造では、装着位置から退避位置へ回動させると、基板ボックス99が回動支点の上方へはみ出すことになってしまう。これに対し、本実施の形態2によれば、基板ボックス99を装着位置から退避位置へ回動させると、回動支点が低くずれることにより、基板ボックス99が装着位置の高さより上方へほとんどはみださない構造を実現することができる。
【0059】
また、軸受手段100は、樹脂製の基板ボックス99のボックスカバー54,55に一体形成された軸部102と、樹脂製の機構盤48に一体形成された軸受部104とにより構成されている。このため、例えば、軸部102及び軸受部104の少なくとも一方に金属製部品を採用した場合と異なり、樹脂製部品である基板ボックス99のボックスカバー54,55及び機構盤48のリサイクルを容易に実施することができる。
【0060】
また、機構盤48の開口部の下方部位に基板ボックス99が配置されるとともに、該基板ボックス99で球取込装置58が隠蔽される。したがって、球取込装置58に基板ボックス99が重畳配置されることにより、機構盤48の外形を大きくすることになく、該機構盤48の開口部を下方へ拡大することができる。したがって、近年の入賞装置、図柄表示装置等等の大型化にともなう後方突出部位の大型化に容易に適応することができる。
【0061】
また、前記保持部材110は、図20に示すように、その外方の非保持位置(図20中、実線110参照)からのほぼ垂直な軸線L1周りの回動によって保持位置(図20中、二点鎖線110参照)へ位置変更するように配置することができる。
【0062】
また、前記保持部材110は、図21に示すように、非保持位置(図21中、実線110参照)からスライドによって保持位置(図21中、二点鎖線110参照)へ位置変更するように配置することができる。この場合、保持部材110は、電磁ソレノイド、電動モータを利用したアクチュエータ等の駆動源132によるスライドによって保持位置と非保持位置とに位置変更可能とすることができる。
【0063】
また、前記基板ボックス99は、図22に示すように、ほぼ垂直な軸線L2周りの回動によって装着位置(図22中、実線99参照)と退避位置(図22中、二点鎖線99参照)とに位置変更可能とすることができる。
【0064】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、上記実施の形態の遊技機に限らず、パチンコ機、スロットマシンにも適用することができる。また、支持側部材は機構盤48に限定されるものでなく、装着側部材は基板ボックス99に限定されるものでもない。また、隠蔽部材は、球取込装置58に限定されるものではなく、例えばパチンコ機にあってはパチンコ球を発射する球発射装置や、その他の検査やメンテナンス等が必要とされる装置類、作動機構類、部品類であってもよい。また、装着側部材は、回動に限らず、スライドと平行移動との複式動作によって、装着位置と退避位置とに位置変更可能に設けるものでもよい。また、仮止め手段(仮止め片128)は省略することができる。また、弾性部材には、コイルスプリング130の他、リーフスプリング、クッション体等を採用することができる。また、軸受手段100の軸部102と軸受部104は、逆配置すなわち軸部102を機構盤48に設け、軸受部104を基板ボックス99に設けることができる。また、球取込装置58における回転体70の球収容部72の数は、適宜増減することができる。また、球取込装置58における球収容部72に受け入れる球Bの球数は、適宜増減することができる。また、球取込装置58における球噛み解消用開口部は、カバー部材64の後側壁64aに限定されるものではなく、例えばケース体の左右の側壁や上側壁あるいは下側壁等に設けることができる。また、球取込装置58における球噛み解消用開口部の形状、個数等は、適宜変更することができる。また、球取込装置58におけるケース体60のカバー部材64の後側壁64aと取込通路65の通路壁とは別個に形成することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の遊技機によれば、保持部材が弾性部材の付勢により非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更されるものであるから、従来必要とされた保持部材の保持位置への位置変更作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る遊技機を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】遊技機を示す背面図である。
【図4】球取込装置を示す斜視図である。
【図5】球取込装置を示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】球取込装置の内部構造を示す説明図である。
【図8】カバー部材を取外した状態の球取込装置を示す斜視図である。
【図9】球取込装置と基板ボックスとの関係を示す断面図である。
【図10】球噛み解消用開口部の変更例1を示す斜視図である。
【図11】球噛み解消用開口部の変更例2を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る基板ボックスの周辺部を示す背面図である。
【図13】装着位置にある基板ボックスを示す側断面図である。
【図14】退避位置にある基板ボックスを示す側断面図である。
【図15】軸受手段を一部破断して示す分解斜視図である。
【図16】非保持状態の保持部材を示す背面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線矢視断面図である。
【図18】図16のXVIII−XVIII線矢視断面図である。
【図19】保持部材を示す斜視図である。
【図20】保持部材の変更例を示す平面図である。
【図21】保持部材の変更例を示す側面図である。
【図22】基板ボックスの変更例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 遊技機
48 機構盤(支持側部材)
58 球取込装置(隠蔽部材)
92 保持部材
99 基板ボックス
110 保持部材
128 仮止め片(仮止め手段)
130 コイルスプリング(弾性部材)
100 軸受手段
102 軸部
104 軸受部

Claims (6)

  1. 支持側部材には、遊技機裏側に配置される装着側部材が装着位置と退避位置とに位置変更可能に設けられ、
    前記装着側部材は、装着位置ではその裏側に位置する隠蔽部材を隠しかつ退避位置では該隠蔽部材を露出し、
    前記支持側部材には、保持部材が保持位置と非保持位置とに位置変更可能に設けられ、
    前記保持部材は、保持位置では前記装着側部材を退避位置に保持しかつ非保持位置では該装着側部材を装着位置に位置変更可能とし、
    前記装着側部材の装着位置から退避位置への位置変更に連動して前記保持部材が非保持位置から保持位置へ自動的に位置変更されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
  2. 前記遊技機は、前記保持部材を非保持位置から保持位置へ向けて付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記遊技機は、前記弾性部材の付勢に抗して保持位置から非保持位置へ位置変更された前記保持部材を係合によって非保持位置に保持する仮止め手段を備え、
    前記装着側部材が退避位置から装着位置に位置変更されたときは、前記保持部材に対する前記仮止め手段の係合が解除されかつ前記保持部材が前記弾性部材の付勢に抗して前記装着側部材で制止されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記支持側部材には、前記装着側部材の上端部がほぼ水平な軸線周りに回動可能に設けられているとともに、前記保持部材の基端部がほぼ垂直な軸線周りに回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の遊技機。
  5. 前記支持側部材に前記装着側部材の上端部をほぼ水平な軸線周りに回動可能に支持する軸受手段は、一方の部材に形成された軸部と、他方の部材に形成されかつ前記軸部を回動可能に支持する軸受部とにより構成され、
    前記軸部は、その軸線に交差する方向への所定範囲の移動が許容されるように前記軸受部に対して遊嵌状に支持されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
  6. 前記支持側部材は、遊技盤の後面側において該遊技盤の後方に突出する後方突出部位を嵌合する開口部を有する機構盤であり、
    前記装着側部材は、前記機構盤の開口部の下方部位に配置される基板ボックスであり、
    前記隠蔽部材は、前記機構盤の開口部の下方部位に位置する下方配置部品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の遊技機。
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