JP4370289B2 - 髄内固定くぎ - Google Patents

Description

本発明は、骨折治療用の髄内固定くぎに関する。

固定くぎは長骨、特に大腿骨と脛骨の骨折の治療用として使用されることが公知である。骨ねじを通すための少なくとも１個の横孔が固定くぎの各端部に形成される。その結果、骨折片がねじれ方向と軸方向の両方で固定される（例えば、特許文献１参照）。

固定くぎに関して、静的固定と動的固定が区別される。骨の静的固定では、ねじがくぎの円形の穴（holes）あるいは孔(bores)に受け入れられる。骨片がともに成長する場合、焼結法により短縮がしばしば生じる。固定くぎと骨が強固に連結しあうため、骨片は曲がることができない。骨片同士が確実に成長しない恐れが生じる。

上記のような事態を防ぐために、いわゆる動的固定が知られるようになった。この目的のために、少なくとも１個の孔が長孔として構成され、その結果、骨ねじは骨片とともにくぎに対して一定距離を移動することができる。したがって、固定くぎに圧縮手段が設けられる場合も動的固定が可能になる。固定くぎが導入された後、前記圧縮手段の助けによって骨片が互いに押圧される。
特開平２−２２４６５３号公報

本発明の目的は、静的および動的固定を任意に行なうことを可能にする、骨折治療用の髄内固定くぎを提供することにある。

この目的は請求項１の特徴によって達成される。

発明による固定くぎでは、長孔の端部が長孔の隣接部より広く形成される。骨ねじの横断面形状と長孔の端部の形状は、骨ねじが第１回転位置で端部内に固定され、第２回転位置では端部から隣接部に妨げられずに進入可能に形成される。

したがって、発明によれば、使用される骨ねじの横断面は円形から外れた形状で、したがって横断面形状の直径または幅が異なっている。１つの方向では、骨ねじが長孔の端部に隣接している部分へ移動することができるような幅である。しかし、骨ねじの別の幅は隣接部の幅より大きく、その結果、骨ねじが端部内に固定される。したがって、長孔の端部は長孔を横切る方向で、端部に隣接している隣接部より広い。

発明によるくぎは静的または動的な固定の選択を可能にし、それは長孔を介して骨にねじ込まれた後の骨ねじの回転位置に依存する。この目的のために、骨ねじはヘッド上にマークを備えることができ、これによって外科医は動的または静的な固定のいずれが設定されたか識別することができる。さらに、骨ねじを前設定した角度だけ後で回転させ、骨ねじとくぎの相対移動を可能にすることによって、当初の静的固定を動的固定に変換することが可能である。最後に、圧縮目的のために静的固定を先ず設定し、圧縮の完了後に動的固定に「切替える」ことが考えられる。

開示された効果を得るために、骨ねじおよび長孔の端部の種々の横断面形状が考えられる。発明の特に簡単な実施例では、端部が円形の縁によって形成され、その中心点が隣接部の長さ軸心に対して横に外れて位置し、隣接部の一方の長さ方向の縁が円の接線を形成する。さらに、円の直径は隣接部の幅より大きい。この孔形状だと、骨ねじの横断面は平坦部を１つだけ持てばよく、平坦部に直交する横断面の幅は隣接部の幅よりわずかに小さい。この形状の骨ねじは比較的簡単に作ることができ、骨に有効にねじ込むことができる。

発明の他の実施例において、端部は円形であるが、その中心点は長孔の隣接部の長さ軸心上に位置する。この場合、骨ねじの横断面は直径方向反対側に位置する２つの平坦部を備え、それらの直交間隔が長孔の隣接部の幅に相当する。この形も比較的簡単に作ることができるが、単一の平坦部と比べて骨ねじが横断方向に弱体化する。

この発明によれば、骨ねじの回転位置に応じて静的固定と動的固定とを任意に行うことができる。

図１〜図３は、例えば大腿骨用の固定くぎ１０を示している。その上端が基端側に向けられ、下端が先端側に向けられるが、固定くぎの基端と先端のどちらが示されても相違はない。固定くぎの基端と先端のそれぞれに、骨ねじを受け入れる少なくとも１個の横孔または横穴が設けられることが公知である。

固定くぎ１０は長孔１２を備え、それは円弧形状の端部１４、１６によって形成される。端部間に接続部分（発明の「隣接部」に相当する）が位置し、それは互いに間隔をおいた平行な縁１８を備える。左側の縁が円形の縁１４、１６に対する接線を形成することが図から明らかであろう。円形縁１４、１６の中心点は接続部分の長さ方向軸心から外れた位置にあり、円形縁１４、１６の直径は接続部分の縁１８の間隔より大きい。図１に、それぞれが長孔１２の端部に配置された２本の骨ねじ２０、２２の横断面形状が示されている。骨ねじ２０、２２の直径は円形縁１４、１６の直径よりわずかに小さい。骨ねじ２０、２２は横断面視で平坦部２４を持っていることが更に分かる。図１に示された骨ねじ２０、２２の回転位置では、前記骨ねじは端部内に「固定」される。言いかえれば、相対的な軸方向の力がくぎ１０と骨ねじ２０、２２に加えられても、骨ねじは移動することができない。

図２では骨ねじ２０が省略され、骨ねじ２２は約９０度回転している。平坦部２４に直交する骨ねじ２２の直径が長さ方向縁１８の間隔よりわずかに小さいことが理解されよう。そして、図３に示すように、長孔１２と骨ねじ２２との相対移動が可能になる。進行方向が矢印２６で示される。

図示の骨ねじ２０、２２の横断面は軸部の横断面を示し、骨ねじ２０、２２のヘッドは皮質上でのより有効な位置づけの目的で直径がより大きくてもよい。

図１〜図３の固定くぎ１０と骨ねじ２２が図４〜図１０に斜視図で示されている。固定くぎの基端または先端が示されているが、それは治療用として骨にどのように挿入されるかに依る。固定くぎ１０の他端は示されていない。それは従来の設計でよい。

さらに、上記のようにくぎ１０を横切って延びる特別設計の長孔１２に加えて、骨ねじを通すこともできる円形の孔３０が設けられていることが分かる。しかし、前記骨ねじは、ねじ２０、２２のように平坦部２４を備える必要はない。図５で骨ねじ２２は長孔１２の幅広部分１６に位置し、図８および図９では長孔１２の幅広部分１４に位置する。図８および図１０で、平坦部２４（見えない）は下端側に設けられ、その結果、図１０に示すように、くぎ１０と骨ねじ２２の相対移動が可能になる。しかし、図９では、骨くぎ１０と骨ねじ１２が固定され、両者の相対移動が防止される。

発明の特徴を備えた固定くぎの部分図である。 図１と同様な図だが、固定くぎの動的固定を示す。 図２と同様な図だが、固定くぎの動的固定の有効状態を示す。 発明による骨ねじを備えた固定くぎの斜視図である。 図２に対応する図であり、骨ねじが挿入された図４に関連する図である。 図４の固定くぎの拡大側面図である。 図６の固定くぎの別図である。 図５と同様な図だが、骨ねじの別の位置を示す。 図８と同様な図だが、回転した骨ねじを示す。 図８および図９と同様な図だが、図３の固定くぎと骨ねじが相対移動した状態を示す。

符号の説明

１０ … 固定くぎ
１２ … 長孔
１４、１６ … 円形縁
１８ … 縁
２０、２２ … 骨ねじ
２４ … 平坦部

Claims (4)

1. 互いに間隔をおいた領域に骨ねじを受け入れるための少なくとも１個の横孔をそれぞれ備え、少なくとも一方の横孔が軸方向に延びる長孔として構成された、骨折の治療用の髄内固定くぎであって、長孔（１２）の端部が長孔（１２）の隣接部より広く、隣接部がその長さ方向に一定の幅を有し、長孔（１２）の端部は、骨ねじ（２０、２２）が第１回転位置にあるときにその端部内に固定されるように形成され、骨ねじ（２０、２２）が第２回転位置にあるときにその端部から隣接部へ妨げられずに進入可能に形成されていることを特徴とする固定くぎ。
2. 長孔（１２）の２つの端部が同一形状であることを特徴とする請求項１記載の固定くぎ。
3. 長孔（１２）の端部が円形の縁（１４、１６）によって形成され、その中心点が隣接部の長さ方向の軸心に対して横に外れて位置し、隣接部の一方の長さ方向縁が円形の縁の接線を形成し、円形の縁の直径が隣接部の幅より大きく、長孔（１２）の隣接部の幅は、横断面に平坦部（２４）を備えた骨ねじ（２０、２２）の、平坦部（２４）に直交する横断面サイズに対応することを特徴とする請求項１または２記載の固定くぎ。
4. 長孔の端部が円形の縁によって形成され、その中心点が長孔の隣接部の長さ方向の軸心上に位置し、円形の縁の直径が隣接部の幅より大きく、長孔の隣接部の幅は、横断面に直径方向反対側に位置する２つの平坦部を備えた骨ねじの、２つの平坦部の直交間隔に対応することを特徴とする請求項１または２記載の固定くぎ。
   

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