JP4369003B2 - ハンダ付け用フラックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンダ付け用フラックスに関するものであって、特にハンダに対する濡れ性の良くない材料よりなる部品をハンダ付けするためのフラックスの、活性剤の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にハンダ付けを行う際には、ハンダおよび基板表面の金属酸化物を除去すると共に、ハンダ付け時の金属の再酸化を防止し、ハンダの表面張力を低下させて金属表面に対する濡れ性を改善し、ハンダ付けを良好にするために、ハンダ付け用フラックスが使用されている。
【0003】
特に従来のフラックスでは、ニッケル系合金などの濡れ性の良くない部品に対しては、ふっ素系の活性剤を添加するか、又は多量のハロゲン化水素酸アミン類を添加することで対応を行うことが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、フラックスの無洗浄化や、電子機器の小型化に伴うパターンの狭ピッチ化により、フラックスの高信頼化が求められるようになっている。上記に述べたふっ素系活性剤や多量のハロゲン化水素酸アミン塩を使用したフラックスでは、濡れ性の改善には効果があるが、無洗浄化、狭ピッチ化に対しては十分な信頼性を確保できないことが予想される。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、濡れ性の良くない部品に対しても、従来の強活性フラックスと同等の濡れ性を保ちつつ、無洗浄で高信頼性のハンダ付け用フラックスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
而して本願第一の発明は、活性剤として、エチレンアミン類と、モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩とを含有するハンダ付け用フラックスであって、前記エチレンアミン類の含有率が0.1〜1.0質量%であり、前記アミンハロゲン化水素酸塩が塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.5質量%となるよう含有されていることを特徴とするものである。
【0007】
また本願第二の発明は、活性剤として、エチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩と、モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩とを含有するハンダ付け用フラックスであって、前記エチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩を、塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.4質量%となるよう含有し、前記モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩を、塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.4質量%となるよう含有し、さらに上記2種のアミンハロゲン化水素酸塩の塩素換算のハロゲン含有量の合計が、0.5質量%を超えないように含有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、活性剤として、エチレンアミン類又は、エチレンアミン類とハロゲン化水素酸との塩と、金属酸化物との反応開始温度が130〜180℃のアミンハロゲン化水素酸塩とを含有するものである。
【0011】
本発明におけるフラックスのベース樹脂としては、通常のハンダ付け用フラックスのベース樹脂として使用されるものをそのまま使用することができる。例えばロジン類やアクリル樹脂が好適である。
【0012】
本発明に用いられるエチレンアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。またエチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩としては、エチレンジアミン臭化水素酸塩、ジエチレントリアミン塩酸塩、トリエチレンテトラミン臭化水素酸塩などを挙げることができる。
【0013】
また、金属酸化物との反応開始温度が130〜180℃のアミンハロゲン化水素酸塩としては、モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩、ブチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
【0014】
請求項1の発明に用いられるエチレンアミン類の量は、フラックス全体の0.1〜1.0重量%とするのが好ましい。0.1重量%未満であるとハンダ付け時において十分な濡れ性を得ることができないため、部品に対する濡れ不良が発生する恐れがある。逆にエチレンアミン類の量が1.0重量%を超えると、フラックス中に残存するアミン量が過度に多くなるため、残渣膜の信頼性を低下させる可能性がある。
【0015】
また、金属酸化物との反応開始温度が130〜180℃のアミンハロゲン化水素酸塩の添加量は、フラックス中に塩素換算のハロゲン含有量として0.01〜0.5重量%添加するのが好ましい。0.01重量%未満ではエチレンアミン類と共に用いた場合においても濡れ不良が発生する恐れがある。また0.5重量%を超えて使用した場合には、フラックス中に多量のハロゲンが残存することとなるため、フラックス残渣による腐食性、信頼性に問題がある。
【0016】
請求項2の発明に用いられるエチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩及び、金属酸化物との反応開始温度が130〜180℃のアミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、フラックス中に塩素換算ハロゲン含有量としてそれぞれ0.01〜0.5重量%含有させるのが好ましい。
【0017】
各成分のハロゲン含有量が0.01重量%未満であると、ハンダ付け時において金属酸化物の還元が困難になるため、ハンダ付け不良が発生する恐れがある。またエチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩はそれ自体がハロゲン化水素酸塩であるため、請求項1の発明におけるエチレンアミン類に比べると、その最大使用量は抑制される。
【0018】
またこれら2つの成分のハロゲン含有量の合計は、0.5重量%を超えないようにするのが好ましい。ハロゲン含有量の合計が0.5重量%を超えると、多量のハロゲンがフラックス中に残存することになるため、フラックス残渣による腐食性、信頼性に問題が発生する可能性がある。
【0019】
本発明のフラックスを液状として使用するために溶剤を添加する際には、溶剤はフラックス全体の20〜99重量%とするのが好ましい。溶剤が20重量%未満ではフラックスの粘度が高くなり、フラックス塗布性が悪くなる。また99重量%を超えると、フラックスとしての有効成分が少なくなり過ぎ、ハンダ付け性が悪化してしまう。
【0020】
【作用】
本発明のフラックスにおいては、活性剤としてエチレンアミン類又はエチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩と、金属酸化物との反応開始温度が130〜180℃のアミンハロゲン化水素酸塩とを使用しているために優れたハンダ付け性が確保できる。
【0021】
さらに、従来のフラックスで使用されていたようなふっ素系活性剤や、多量のハロゲン化水素酸アミン塩を含有していないため、残渣中にイオン性物質や腐食性の物質が残存せず、電気絶縁不良や腐食が発生することがなく、ハンダ付け性が良好で、信頼性の高いフラックスを提供することができる。
【0022】
【実施例】
[実施例1]
ベース樹脂としてのガムロジンを9.2重量%と、エチレンアミン類としてのジエチレントリアミンを0.3重量%と、アミンハロゲン化水素酸塩としてのアニリン臭化水素酸塩を0.5重量%(塩素換算のハロゲン含有量として0.1重量%)と、溶剤としてのイソプロピルアルコールを90重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0023】
[実施例2]
ベース樹脂として、酸価100、平均分子量4500のアクリル樹脂を9.83重量%と、エチレンアミン類としてエチレンジアミンを0.1重量%と、アミンハロゲン化水素酸塩としてモノエチルアミン塩酸塩を0.07重量部(塩素換算のハロゲン含有量として0.03重量%)と、溶剤としてのイソプロピルアルコールを90重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0024】
[実施例3]
ベース樹脂としてのガムロジンを9.1重量%と、エチレンアミン類ハロゲン化水素酸塩としてのトリエチレンテトラミン四塩酸塩を0.4重量%(塩素換算のハロゲン含有量として0.2重量%)と、アミンハロゲン化水素酸塩としてのモノエチルアミン塩酸塩を0.5重量%(塩素換算のハロゲン含有量として0.2重量%)と、溶剤としてのイソプロピルアルコールを90重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0025】
[実施例4]
ベース樹脂としての実施例2に述べたと同じアクリル樹脂を50重量%と、エチレンアミン類ハロゲン化水素酸塩としてのエチレンジアミン二臭化水素酸塩を0.1重量%(塩素換算のハロゲン含有量として0.03重量%)と、アミンハロゲン化水素酸塩としてのブチルアミン臭化水素酸塩を0.4重量%(塩素換算のハロゲン含有量として0.05重量%)と、溶剤としてのブチルカルビトールを49.5重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0026】
[比較例1]
ベース樹脂としてのガムロジンを9.7重量%と、活性剤としてアニリン臭化水素酸塩を0.3重量%(塩素換算ハロゲン含有量として0.1重量%)と、溶剤としてのイソプロピルアルコール90重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0027】
[比較例2]
ベース樹脂としての実施例2に述べたと同じアクリル樹脂を7.6重量%と、活性剤としてアニリン臭化水素酸塩を2.4重量%(塩素換算ハロゲン含有量として0.8重量%)と、溶剤としてのイソプロピルアルコール90重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0028】
[比較例3]
ベース樹脂としてのガムロジンを50重量%と、活性剤としてアニリン臭化水素酸塩を0.3重量%(塩素換算ハロゲン含有量として0.1重量%)と、アニリンフッ化水素酸塩を0.5重量%と、溶剤としてのブチルカルビトール49.2重量%とを混合し、均一に溶解してフラックスを得た。
【0029】
[試験項目]
以上の各実施例及び比較例のフラックスについて、絶縁性、腐食性、広がり率及びハンダ付け性試験を行なった。絶縁性、腐食性及び広がり率の試験は、JIS−Z−3197に従った。またハンダ付け性試験は、部品を挿入したガラスエポキシ基板を噴流ハンダ付け装置でハンダ付けした後、部品に対する濡れ不良の有無を目視観察した。試験の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より明らかなように本発明のフラックスは、従来のフラックスに比べ、ハンダ付け性に優れ、かつ信頼性が高いことがわかる。従って本発明のフラックスは、高信頼牲のハンダ付け用フラックスとして極めて有用であり、微細パターン用や無洗浄フラックスとして使用可能である。また、無洗浄ハンダ付けを実施した場合、洗浄コストの低減が可能である。
【0032】
なお、本発明のフラックスは噴流ハンダ付けに用いられるだけでなく、ソルダペーストなどの他のハンダ付け用フラックスとしても有用である。
【0033】
【発明の効果】
従って本発明により、優れた特徴を有する合成樹脂を用いたフラックスや従来のフラックスを、優れたハンダ付け性と高信頼性を保ちつつ、無洗浄工程を実現したものとすることができる。
【0034】
また本発明を採用することにより、ハンダ付け後のフラックス残渣の無洗浄化も可能となるため、生産コストの低減が可能となるだけでなく、フロンなどによる環境破壊も防止することができる。
Claims (2)
- 活性剤として、エチレンアミン類と、モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩とを含有するハンダ付け用フラックスであって、前記エチレンアミン類の含有率が0.1〜1.0質量%であり、前記アミンハロゲン化水素酸塩が塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.5質量%となるよう含有されていることを特徴とする、ハンダ付け用フラックス
- 活性剤として、エチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩と、モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩とを含有するハンダ付け用フラックスであって、前記エチレンアミン類のハロゲン化水素酸塩を、塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.4質量%となるよう含有し、前記モノエチルアミン塩酸塩、アニリン臭化水素酸塩及びブチルアミン塩酸塩から選ばれるアミンハロゲン化水素酸塩を、塩素換算のハロゲン含有率として0.01〜0.4質量%となるよう含有し、さらに上記2種のアミンハロゲン化水素酸塩の塩素換算のハロゲン含有量の合計が、0.5質量%を超えないように含有することを特徴とする、ハンダ付け用フラックス
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