JP4367359B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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また、材料強度が比較的に金属より低い材料である樹脂等で製造されたプーリAにおいては、図21(b)に示すようにネジ嵌合可能な金具E等をインサート成形等の方法でプーリAに結合させて、ボルトC等の手段でこの金具EとボルトCとを結合させることで、ハブBとプーリAとを結合させていた(特許文献2参照)。
更に、樹脂製プーリの場合、材料強度を向上させるためにガラス繊維等の強化材が混入されているが、金具のインサートによってガラス繊維の配向を狙い通りの配向にするのが難しく、その結果、金具周りの結合強度が得られないという問題もある。
しかしながら、この従来技術においては、過大トルクまたはトルク変動により、外側リングの凸部とプーリの凹部とが直接接触し、外側リングよりも強度、耐摩耗性に劣る樹脂製プーリの凹部が異常に摩耗してしまうという問題がある。
請求項1に記載の動力伝達装置は、プーリ1と、インナーハブ21、アウターハブ23及びトルク伝達用弾性部材22よりなるハブ2とを備えていて、アウターハブ23の内周面側又は外周面側、或いは内外周面側に設けられた弾性材よりなるハブ側係合部24と、プーリ1のアウターハブ23に対応する位置に設けられたプーリ側係合部12とを係合することにより、ハブ2とプーリ1とのトルク伝達構造を形成していると共に、ハブ側係合部24及びアウターハブ23のリア側部分が、円周方向に間隔をあけて複数のスリット25が形成されているものであり、これにより、ボルトやインサート金具等を必要とせず、プーリとハブとの高強度の結合が得られる。また、ハブ側係合部24及びアウターハブ23のリア側部分に、円周方向に間隔をあけて複数のスリット25を形成しているので、例えば金属製のプーリよりも比較的強度が低い樹脂等の材料からなる場合、強度を確保するための補強部分(リブ)が必要である場合がある。このような場合、ハブ側係合部24が完全に円環状に形成されていると、樹脂プーリのリブとハブ側係合部24とが干渉してしまい、組み付けられないという恐れがあるが、ハブ側係合部24及びアウターハブ23のリア側部分にスリット25を形成することで、組み付けの問題を回避することができる。
請求項3の動力伝達装置は、ハブ側係合部24とプーリ側係合部12の外形形状をインボリュートスプライン、トロコイド等の凹凸形状としたものであり、これにより、両係合部がしっかりと係合し、プーリとハブとの高強度の結合が得られる。
請求項5の動力伝達装置は、ハブ側係合部24をアウターハブ23に一体成形又は接着により設けたものである。即ちインサート成形によりアウターハブ23とハブ側係合部24を一体成形してもよいし、又は接着によってアウターハブ23にハブ側係合部24を貼り付けてもよい。
請求項6の動力伝達装置は、ハブ側係合部24をトルク伝達用弾性部材22の一部として一体に形成したものであり、これにより、部品点数の削減を図れる。
請求項9の動力伝達装置は、ハブ側係合部24の凸部241の先端部分241aとプーリ側係合部12の凹部122の底部分122aとの間に、0.001mm以上の隙間gを設けたものであり、これにより、弾性部材よりなるハブ側係合部24の凸部241の先端部分241aが、プーリ側係合部12に接触して摺動することによる摩耗を防止することができる。
請求項11の動力伝達装置は、ハブ側係合部24の各凸部241の側面241b,241c及びプーリ側係合部12の各凹部122の側面122b,122cとが当接してトルク伝達面TFが形成され、このトルク伝達面TFがプーリ1の法線NL上に配置されるようにしたものであり、これにより、ハブ側係合部24とプーリ側係合部12との凹凸嵌合部でのトルク伝達の際の微少滑りを防止することができる。
請求項13の動力伝達装置は、プーリ側係合部12の各凸部121の側面及びハブ側係合部24の各凹部242の側面とが当接してトルク伝達面TFを形成していて、プーリ側係合部の各凸部の回転側のトルク伝達面TFと反回転側のトルク伝達面TFとが略平行となるようにしたものであり、このような場合においても、プーリ1とハブ2の凹凸嵌合部での微少滑りの発生を防止することができる。
更に、ハブ側係合部24をトルク伝達用弾性部材22に比べて回転軸3の根元側にオフセットし、金属製の外輪23を径方向から圧迫して形成したものであり、これにより、トルク伝達用弾性部材22の外周に設置された金属製の外輪23を絞るためのスペースSが確保でき、トルク伝達用弾性部材22に絞り工程が追加でき、弾性部材22の耐久性が確保できる。
請求項16の動力伝達装置は、アウターハブである外輪23にハブ側係合部24の内部に突出する補強部23aを設けたものであり、これにより、凹凸状のハブ側係合部の凹凸部分の強度を向上することができる。
請求項18の動力伝達装置は、請求項15と同様の処理を施したものであり、また請求項19の動力伝達装置は、請求項16と同様に補強部23aを設けて、強度を向上したものである。
更に、請求項20の動力伝達装置は、請求項14と同様に外輪を金属製にして、径方向から圧迫して形成したものであり、絞り加工によって弾性部材22の耐久性が確保できる。
インナーハブ21は、回転軸3の先端部31に螺合される円筒部21aと、フロント側(図2の左側)に突出し、その外周面がダンパーゴム22に接合される円筒状のフランジ部21cと、円筒部21aとフランジ部21cとをつなぐ円盤状の中間部21bとよりなる。円筒部21aの内周面には、ネジ部が形成されている。インナーハブ21は、鉄等の金属材により形成される。
トルク伝達用弾性部材である環状のダンパーゴム22は、ゴム等の弾性材から形成され、インナーハブ21とアウターハブ23間に配置して、保持され、インナーハブ21のフランジ部21cの外周面及びアウターハブ23の内周面に接着等の手段によって接合されている。このダンパーゴム22は、トルク伝達用弾性体として機能するだけでなく、トルクダンパとしても機能する。
また、プーリ1側でなくハブ2側であるハブ側係合部24の第1又は第2のハブ側係合部24a,24bの一方又は両者の外形を略テーパー状に形成してもよい。
図8(b)の第2変形例では、アウターハブ23に径方向の外方を向くように設けられた補強部23aが、第2のハブ側係合部24bの凹凸部において、回転方向に対してグループ内の後側に相当する凸部内にのみ埋め込まれるようにしている。
図8(c)の第3変形例では、アウターハブ23に径方向の外方を向くように設けられた補強部23aが、第2のハブ側係合部24bの凹凸部において、回転方向に対してグループ内の前側に相当する凸部内にのみ埋め込まれるようにしている。
上記した第1〜第3変形例のいずれの場合においても、ハブ側係合部24の強度を向上させることができる。
図8(a)の第1変形例では、アウターハブ23の内周側に第1のハブ側係合部24a、外周側に第2のハブ側係合部24bの両方を備えたものにおいて、補強部23aを第1のハブ側係合の凸部に埋め込んだが、図9(a)、(b)に示すように、アウターハブ23に内周側のみにハブ側係合部24を備えるものにおいて、アウターリング23の一部を補強部23aとしてハブ側係合部24に埋め込むようにしてもよい。同様に、アウターハブ23の外周側にのみハブ側係合部24備えるものにおいて、アウターリング23の一部を補強部23aとしてハブ側係合部に埋め込むようにしてもよい。
尚、図9(a)は、図9(b)中の破線X−X´の断面図であり、図9(a)および図9(b)中に示された符号は他の実施例と同様構成を指すものである。
ここで、円筒弾性部22aの回転方向の歪みに対する耐久性は、円筒弾性部22aの径方向の歪み具合によって変動し、径方向に引っ張られて歪んでいる時ほど、回転方向の歪みに対する耐久性は低く、逆に径方向に圧迫されて歪んでいる時ほど、回転方向の歪みに対する耐久性は高くなる。
また、円筒弾性部22aは、アウターハブ23およびインナーハブ21に挟まれて高温で成形されるため、円筒弾性部22aが冷えるに従って収縮すると、アウターハブ23およびインナーハブ21の接着面が円筒弾性部22aを径方向に引っ張ることになる。
つまり、上記のように、絞り加工を行うことによって、円筒弾性部22aの径方向の引っ張り応力により歪みを緩和することができ、トルク伝達用弾性部材22の円筒弾性部22aの回転方向の歪みに対する耐久性を確保することが可能となる。
したがって、ハブ側係合部24の凹部242は、回転方向側と反回転方向側とで非対称である。
コーティングとしては、グラファイト、2硫化モリブデン、4フッ化エチレン(PTFE)、及びPFA等のフッ素化合物を低摩擦係数材として含有したもの等が好適である。
表面処理としては、2重結合を含有した材料である塩素化ブチルゴム、エチレン・プロピレン・ジエンの共重合体の弾性部材、アクリル・エチレンの共重合体の弾性部材からなる凹凸形状では、塩素処理も有効である。
11 凹部
11a 内側の面
11b 外側の面
11c リブ
12a 第1のプーリ側係合部
12b 第2のプーリ側係合部
121 凸部
122 凹部
2 ハブ
21 インナーハブ
21a 円筒部
21b 中間部
21c フランジ部
22 ダンパーゴム(トルク伝達用弾性部材)
22a 円筒弾性部
23 アウターハブ
23a 補強部
23b 露出された上面
23c 段差部
24 ハブ側係合部
24a 第1のハブ側係合部
24b 第2のハブ側係合部
241 凸部
241a 先端部分
242 凹部
242a 底部分
25 スリット
26 トルクリミッタ
3 回転軸
31 先端部
4 ハウジング
41 円筒部
5 軸受装置
9 バランサウェイト
A 円筒弾性部の軸方向中心
B ハブ側係合部の軸方向中心
F 引張り応力
SL 滑り
g 間隙
NL 法線
TF トルク伝達面
Claims (21)
- ハウジング(4)に回転可能に装着されるプーリ(1)と、
前記ハウジングから外部に突出する回転軸(3)の先端部に設けられ、前記回転軸と一体に回転するハブ(2)と、を備えていて、
前記ハブ(2)が、
前記回転軸に固定され、トルク伝達用弾性部材(22)の内側に配置されるインナーハブ(21)と、
前記トルク伝達用弾性部材(22)の外側に配置され、前記プーリ(1)のフロント側端面に連結されるアウターハブ(23)と、
前記インナーハブ(21)と前記アウターハブ(23)間に介在し、両者によって保持された前記トルク伝達用弾性部材(22)と、よりなる動力伝達装置において、
前記アウターハブの内周面側又は外周面側、或いは内外周面側に設けられたゴムや樹脂等の弾性材料よりなるハブ側係合部(24)と、前記プーリのフロント側端面の前記アウターハブに対応する位置に設けられたプーリ側係合部(12)とを係合することにより、前記ハブ(2)と前記プーリ(1)とのトルク伝達構造を形成していると共に、
前記ハブ側係合部(24)及び前記アウターハブ(23)のリア側部分が、円周方向に間隔をあけて複数のスリット(25)が形成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 前記プーリ(1)が樹脂材料より形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)と前記プーリ側係合部(12)の外形形状が、インボリュートスプライン、トロコイド等の凹凸形状をしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)と前記プーリ側係合部(12)とが、嵌合構造となっていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)が前記アウターハブ(23)に一体成形又は接着により設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)が前記トルク伝達用弾性部材(22)の一部を構成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)の第1又は第2のハブ側係合部(24a,24b)もしくは前記プーリ(1)の凹部(11)の内側又は外側の面(11a,11b)の少なくともいずれか一方が、略テーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 前記プーリ側係合部(12)の各凸部(121)の最大幅PWに対し、前記ハブ側係合部(24)の各凸部(241)の最大幅HWを同等以上にしていることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
- 凹凸嵌合する、前記ハブ側係合部(24)の凸部(241)の先端部分(241a)と前記プーリ側係合部(12)の凹部(122)の底部分(122a)との間に、0.001mm以上の隙間gが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)の凹部(242)の底部分(242a)の両側にR1部(242d)とR2部(242e)を形成すると共に、回転方向側のR1部(242d)の方が反回転方向側のR2部(242e)よりも大きな径をもつR形状であることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
- 凹凸嵌合する、前記ハブ側係合部(24)の各凸部(241)の側面及び前記プーリ側係合部(12)の各凹部(122)の側面とが当接してトルク伝達面TFを形成しており、前記トルク伝達面TFが前記プーリ(1)の法線NL上に配置されることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
- 前記トルク伝達面TFが前記プーリ(1)の回転方向に所定の角度だけ前記法線NLからずらしていることを特徴とする請求項11に記載の動力伝達装置。
- 凹凸嵌合する、前記プーリ側係合部(12)の各凸部(121)の側面及び前記ハブ側係合部(24)の各凹部(242)の側面とが当接してトルク伝達面TFを形成していて、前記プーリ側係合部(12)の各凸部(121)の回転側の前記トルク伝達面TFと反回転側の前記トルク伝達面TFとが略平行であることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
- ハウジング(4)に回転可能に装着されるプーリ(1)と、
前記ハウジングから外部に突出する回転軸(3)の先端部に設けられ、前記回転軸と一体に回転するハブ(2)と、を備えていて、
前記ハブ(2)が、
前記回転軸に固定され、トルク伝達用弾性部材(22)の内側に配置されるインナーハブ(21)と、
前記トルク伝達用弾性部材(22)の外側に配置され、前記プーリ(1)のフロント側端面に連結されるアウターハブ(23)と、
前記インナーハブ(21)と前記アウターハブ(23)間に介在し、両者によって保持された前記トルク伝達用弾性部材(22)と、よりなる動力伝達装置において、
前記アウターハブの内周面側又は外周面側、或いは内外周面側に設けられたゴムや樹脂等の弾性材料よりなるハブ側係合部(24)と、前記プーリのフロント側端面の前記アウターハブに対応する位置に設けられたプーリ側係合部(12)とを係合することにより、前記ハブ(2)と前記プーリ(1)とのトルク伝達構造を形成していて、
前記アウターハブ(23)が前記ハブ側係合部(24)とは別体の金属製の外輪(23)であり、かつ
前記ハブ側係合部(24)は、前記トルク伝達用弾性部材(22)に比べて前記回転軸(3)の根元側にオフセットしており、前記金属製の外輪(23)は、径方向から圧迫されて形成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 前記外輪(23)の全面が、前記トルク伝達用弾性部材(22)又は前記ハブ側係合部(24)を形成するゴムや樹脂などの弾性材料に覆われていることを特徴とする請求項14に記載の動力伝達装置。
- 前記外輪(23)には、前記ハブ側係合部(24)の内部に突出する補強部(23a)が設けられていることを特徴とする請求項14又は15に記載の動力伝達装置。
- ハウジング(4)に回転可能に装着されるプーリ(1)と、
前記ハウジングから外部に突出する回転軸(3)の先端部に設けられ、前記回転軸と一体に回転するハブ(2)と、を備えていて、
前記ハブ(2)が、
前記回転軸に固定され、トルク伝達用弾性部材(22)の内側に配置されるインナーハブ(21)と、
前記トルク伝達用弾性部材(22)の外側に配置され、前記プーリ(1)のフロント側端面に連結されるアウターハブ(23)と、
前記インナーハブ(21)と前記アウターハブ(23)間に介在し、両者によって保持された前記トルク伝達用弾性部材(22)と、よりなる動力伝達装置において、
前記アウターハブの内周面側又は外周面側、或いは内外周面側に設けられたゴムや樹脂等の弾性材料よりなるハブ側係合部(24)と、前記プーリのフロント側端面の前記アウターハブに対応する位置に設けられたプーリ側係合部(12)とを係合することにより、前記ハブ(2)と前記プーリ(1)とのトルク伝達構造を形成していて、
前記アウターハブ(23)が前記ハブ側係合部(24)とは別体の外輪(23)であり、かつ
前記ハブ側係合部(24)は、前記トルク伝達用弾性部材(22)に比べて前記回転軸(3)の根元側にオフセットしており、前記ハブ側係合部(24)のフロント側には前記インナーハブ(21)又は前記回転軸(3)に取り付けられたバランサウェイト(9)が配置されることを特徴とする動力伝達装置。 - 前記外輪(23)の全面が、前記トルク伝達用弾性部材(22)又は前記ハブ側係合部(24)を形成するゴムや樹脂などの弾性材料に覆われていることを特徴とする請求項17に記載の動力伝達装置。
- 前記外輪(23)には、前記ハブ側係合部(24)の内部に突出する補強部(23a)が設けられていることを特徴とする請求項17又は18に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)は、前記トルク伝達用弾性部材(22)に比べて前記回転軸(3)の根元側にオフセットしており、前記外輪(23)は、金属製とされ径方向から圧迫されて形成されていることを特徴とする請求項17,18又は19に記載の動力伝達装置。
- 前記ハブ側係合部(24)の表面に低摩擦係数材(27)を接着、コーティング又は表面処理等によって設けることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
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