特許文献1では、天井に配置された器具本体に取付けられる光制御部材に係止手段を設け、器具本体に係止手段の受けである係止孔を設けている。これにより、天井側高所で実施される器具本体への光制御部材の取付け作業では、既述のように係止手段の軸をばね(付勢手段)に抗して操作しながら光制御部材を動かして、位置合わせをする必要があるので、器具本体に対する取付け操作性が良くない。又、器具本体から光制御部材を開いたり外したりする場合にも、係止手段のばねを縮める操作をしながら光制御部材を動かす必要があるので、その操作性が良くない。
本発明の目的は、器具本体に制光体を容易に着脱ないしは開閉できるようにした照明器具を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、蛍光ランプを取付け可能なランプ配設領域を囲む斜状の枠状壁を有し、この枠状壁に、前記ランプ配設領域を間に置いて第1の取付け孔と第2の取付け孔とを夫々設けるとともに、前記第1の取付け孔の近傍に通孔を設けた器具本体と;前記枠状壁の裏面に設けられ、かつ、前記第1の取付け孔に連通する係止孔及び前記通孔を通って前記枠状壁の内側に突出する解除部を有した弾性係止片と;前記第1の取付け孔に挿脱可能でかつ前記第1の取付け孔に挿入された状態で前記係止孔に引っ掛かるとともに、この引っ掛かりが前記解除部によって外される係止凸部が形成された第1の取付け部、及び前記第2の取付け孔に挿入される第2の取付け部を有して、前記枠状壁の内側に配置された制光体と;を具備することを特徴としている。
本発明及び以下の発明で、器具本体の枠状壁とは、その内側に蛍光ランプを取付け可能はランプ配設領域を形成する壁部を指しており、器具本体がシャーシのみで形成される場合には、このシャーシの周壁により形成され、又、器具本体がシャーシとこれに装着された枠体とで形成される場合には、枠体の内周側の壁部などによって形成される。本発明及び以下の発明で、第1、第2の取付け孔は夫々少なくとも一つあればよいが、特に、制光体が大きい場合等においてその取付け状態の安定性を得るために複数設けることが好ましい。本発明及び以下の発明で、通孔が第1の取付け孔の近傍に設けられるとは、制光体の取付け部などを持った手の指で、通孔を通った解除部を操作できる範囲に通孔及び解除部が位置していること意味している。本発明及び以下の発明で、弾性係止片には、例えば板ばねを好適に用いることができ、この弾性係止片は、枠状壁に対して、ねじやリベットなどの固定部品を用いても設けても良いし、溶接により設けてもよく、或いは複数個所の折り曲げや引っ掛かりを伴って結合することで設けることも可能である。本発明及び以下の発明で、弾性係止片の解除部とは、弾性係止片を弾性変形させて係止孔から制光体の係止凸部を外すために操作される部分を指している。本発明及び以下の発明で、制光体とは、バッフル、ルーバ、又は拡散板などであって、蛍光ランプに対向して設けられることで、所定の遮光角を得るものであり、或いは、所定の範囲外では蛍光ランプからの直接光を遮るように機能するものであり、又は、蛍光ランプからの直接光を拡散するように機能するものである。
この請求項1の発明では、制光体の第2の取付け部を、器具本体の枠状壁に設けた第2の取付け孔に挿入してから、制光体の第1の取付け部が有した係止凸部を枠状壁に設けた第1の取付け孔に挿入することによって、器具本体の枠状壁裏面に配置された弾性係止片の係止孔に係止凸部が引っ掛かる。それにより、枠状壁の内側に制光体を配置できる。この場合、弾性係止片が制光体ではなく器具本体に設けられているので、第1の取付け部を枠状壁に取付けるのに、器具本体に対して制光体を動かしながらこの制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがなく、係止凸部を第1の取付け孔に単に押し込めばよい。したがって、制光体を器具本体に容易に取付けることができる。
又、ランプ交換などに際しては、制光体の第1の取付け部を掴みながら解除部を操作することで、弾性係止片が弾性変形され、それに伴って係止孔への係止凸部の引っ掛かりが外されるので、第1の取付け部を引き動かすことにより、枠状壁から第1の取付け部が外れる。そして、この状態で、第2の取付け部を第2の取付け孔から引き出して制光体を外すことができる。或いは、第2の取付け部が抜け止め部を有している場合には、この抜け止め部が第2の取付け孔に引っ掛かって、この引っ掛かり部を支点に制光体を開くことができる。この場合、既述のように外し方向に動かされる制光体ではなく、器具本体に固定された弾性係止片を操作するので、動かされる制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがなく、したがって、器具本体に対して制光体を容易に外したり開いたりすることができる。
又、請求項2の発明は、前記第2の取付け部が前記第2の取付け孔に対する抜け止め部を有していることを特徴としている。この発明で抜け止め部は、第2取付け孔を通って枠状壁の裏側に配置された第2の取付け部の一部、例えば端部を曲げて設けることが、部品点数を要しない点で好ましいが、抜け止め部を構成するねじ等の他の部品を取付けても良い。
この請求項2の発明では、制光体の第1取付け部を器具本体から既述の手順で取外したときに、制光体から誤って作業者が手を離した場合、第2の取付け部の抜け止め部が第2の取付け孔に引っ掛かって制光体が吊り下がる。このため、ランプ交換などを行う場合に、制光体が脱落しないように開くことができる点で好ましい。
又、請求項3の発明は、前記蛍光ランプが環形蛍光ランプ又は片口金型蛍光ランプであって、その口金が着脱自在に接続されるランプソケットを、前記第2の取付け部孔に配置するとともに、前記口金と反対側に位置する前記蛍光ランプのバルブ中間部を前記第1の取付け孔側に配置したことを特徴としている。
この請求項3の発明では、制光体が開いたときに、この制光体はランプソケットに近い側で吊り下がり、この吊り下がりに伴って蛍光ランプのバルブ中間部側は自ずと広い作業空間が確保される。このため、作業者に対して、蛍光ランプのバルブ中間部側をはじめに外した後に、ランプソケットに対しその略真下方向に蛍光ランプの口金を外すように仕向け易い。それにより、ランプソケット及び口金に過負荷を与えることを抑制しつつ蛍光ランプを外すことができる点で好ましい。
又、前記課題を解決するために、請求項4の発明は、蛍光ランプを取付け可能なランプ配設領域を囲む斜状の枠状壁を有し、この枠状壁に、前記ランプ配設領域を間に置いて第1の取付け孔と第2の取付け孔とを夫々設けるとともに、前記第1、第2の取付け孔の近傍に通孔を夫々設けた器具本体と;前記枠状壁の裏面に設けられ、かつ、前記第1の取付け孔又は前記第2の取付け孔に連通する係止孔及び前記通孔を通って前記枠状壁の内側に突出する解除部を有した第1及び第2の弾性係止片と;前記第1の取付け孔に挿脱可能でかつ前記第1の取付け孔に挿入された状態で前記第1の弾性係止片の係止孔に引っ掛かるとともに、この引っ掛かりが前記第1の弾性係止片の解除部によって外される係止凸部が形成された第1の取付け部、及び前記第2の取付け孔に挿脱可能でかつこの第2の取付け孔に挿入された状態で前記第2の弾性係止片の係止孔に引っ掛かるとともに、この引っ掛かりが前記第2の弾性係止片の解除部によって外される係止凸部が形成された第2の取付け部を有して、前記枠状壁の内側に着脱可能に配置される制光体と;を具備することを特徴としている。
この請求項4の発明では、制光体の第1、第2の取付け部が有した係止凸部を枠状壁に設けた第1、第2の取付け孔に夫々挿入することによって、器具本体の枠状壁裏面に配置された弾性係止片の係止孔に係止凸部が引っ掛かる。それにより、枠状壁の内側に制光体を配置できる。この場合、弾性係止片が制光体ではなく器具本体に固定されているので、第1、第2の取付け部を枠状壁に取付けるのに、器具本体に対して制光体を動かしながらこの制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがなく、係止凸部を第1、第2の取付け孔に単に押し込めばよい。したがって、制光体を器具本体に容易に取付けることができる。
又、ランプ交換などに際しては、制光体の第1又は第2の取付け部の一方を掴みながら、この掴み位置に近い解除部を操作することで、この解除部を有した弾性係止片が弾性変形され、それに伴って係止孔への係止凸部の引っ掛かりが外されるので、一方の取付け部を引き動かすことにより、枠状壁から一方の取付け部が外れる。同様に、他方の取付け部を掴みながら、この掴み位置に近い解除部を操作することで、この解除部を有した弾性係止片が弾性変形され、それに伴って係止孔への係止凸部の引っ掛かりが外されるので、他方の取付け部を引き動かすことにより、枠状壁から他方の取付け部が外れる。これにより、制光体を外すことができる。この場合、既述のように外し方向に動かされる制光体ではなく、器具本体に固定された弾性係止片を操作するので、制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがなく、したがって、器具本体から制光体を容易に外すことができる。
請求項1の発明によれば、器具本体に対して制光体を着脱ないしは開閉する際に、動かされる制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがないので、器具本体に対して制光体を容易に着脱ないしは開閉できる照明器具を提供することができる。
請求項2の発明によれば、ランプ交換などを行う場合に制光体を脱落しないように開くことができる照明器具を提供することができる。
請求項3の発明によれば、ランプ交換の際にランプソケットからその略真下方向に蛍光ランプの口金を外すように仕向け易いので、ランプソケット及び口金に過負荷を与えることを抑制しつつ蛍光ランプを外すことができる照明器具を提供することができる。
請求項4の発明によれば、器具本体に対して制光体を着脱する際に、動かされる制光体上で弾性係止片を弾性変形させる手作業を要することがないので、器具本体に対して制光体を容易に着脱できる照明器具を提供することができる。
図1〜図11を参照して本発明の一実施形態に係る天井装着型の照明器具1について説明する。図1に示した照明器具1は天井C(図3及び図4参照)に直付け又は埋め込んで設置される。この照明器具1は、器具本体2と、複数の弾性係止片例えば板ばね31と、制光体41と、蛍光ランプ51とを具備している。
図2〜図4に示すように器具本体2は、例えばシャーシ3と枠体11とを連結して形成されている。詳しくは、シャーシ3は、金属製好ましくは白色表面を有したカラー鋼板製であり、下面が開放された四角形の浅い箱状に成形されている。このシャーシ3の内面は反射面として使用され、又、シャーシ3の開口縁3aは夫々外側に張り出している。照明器具1が天井Cに埋め込み設置される場合には、開口縁3aが天井Cの埋め込み孔の縁に下側から引っ掛けられる。照明器具1が天井Cに直付けされる場合には、シャーシ3の奥壁3bが天井Cに接するように設置される。
図2に示すように奥壁3bにはその一側縁に寄せて一対の通孔4a,4bが開けられている。一方の通孔4aには図示しない電源供給線(Fケーブル)が通され、他方の通孔4bには電源送り線(Fケーブル)が必要により通されるようになっている。これらの電源供給線及び電源送り線は、通孔4a,4b間に配置される図示しない端子台に接続される。前記一側縁と平行な奥壁3bの他側縁に寄せて、奥壁3b内面にはランプソケット5が取付けられている。ランプソケット5はその略真下から蛍光ランプ51の口金52(図1参照)が着脱できるように形成されている。
奥壁3bの内面には複数のランプホルダ6,7が取付けられている。蛍光ランプ51には、例えば環形蛍光ランプ、更に具体的には、見掛け上二本平行に並ぶように設けられたバルブ53を有した環形蛍光ランプが使用されている。口金52がランプソケット5に接続された蛍光ランプ51のバルブ53はランプホルダ6,7に着脱自在に支持される。ランプホルダ6はバルブ53のバルブ中間部53aを支持し、ランプホルダ7はバルブ53の口金側部分を支持する。
図2〜図4に示すように奥壁3bには、少なくとも一つ、例えば複数の係止片8が切起こされている。これらの係止片8は、通孔4a,4bの近くに設けられていて、奥壁3bから下向きに起きる根元部とこれから奥壁3bと略平行に曲がった先端部とから断面略L字状(図3参照)をなし、その先端部は奥壁3bの中央部側を向いている。
図3及び図4に示すように奥壁3bには、その内面に突出された複数の連結部9が形成されている。これら連結部9は例えば奥壁3bの対角線上に位置して合計で4個設けられている。
枠体11は、金属製好ましくは白色表面を有したカラー鋼板製であり、中央部が開放され四角形の枠である。つまり、図1、図2、及び図5に示すように枠体11は、蛍光ランプ51を間に置いて配置される第1の枠材12及びこれに平行な第2の枠材13と、これらの枠材12,13とは直角に配置されるとともに互いに平行な第3の枠材14及び第4の枠材15とを、互いに連結して形成されている。この枠体11はシャーシ3の開口縁3aを覆う大きさに形成されている。
各枠材12〜15の内周側の斜状の壁部12a〜15aは、互いに連続して、蛍光ランプ51を配設可能なランプ配設領域を囲む枠状壁をなしている。この枠状壁は本実施形態では反射壁として機能する。第1の枠材12の斜状をなした壁部12aの縁12bは、図2及び図3に示すようにシャーシ3の奥壁3bに接するように曲げられている。同様に、第2の枠材13の斜状をなした壁部13aの縁13bも、図2及び図3に示すようにシャーシ3の奥壁3bに接するように曲げられている。第3の枠材14の斜状をなした壁部14aの縁14b及び第4の枠材15の斜状をなした壁部15aの縁15bは、図2、図4、図5及び図7に示すように枠体11の中央部方向に向けて突出するように折れ曲がっている。
枠体11は、連結縁として機能する一対の縁14b,15bを夫々一対の連結部9に重ねてシャーシ3と組み合わされ、この状態で、両縁14b,15bの長手方向両端部に開けた通孔を通って各連結部9にねじ好ましくは化粧ねじ16(図1〜図4参照)をねじ込むことによって、器具本体2が組立てられている。この組立てでは、はじめに、天井Cにすでに固定されたシャーシ3の一対の係止片8に枠体11の縁12bを引っ掛けることによって、シャーシ3に枠体11を仮に位置決めできるとともに、この枠体11の第1の枠材12側をシャーシ3から脱落しないように引っ掛け保持できる。これにより、次に枠体11の第2の枠材13側を押し上げて、シャーシ3の各連結部9と縁14b,15bとを簡易に位置決めして、化粧ねじ16のねじ込みを行えるので、天井側高所での器具本体2の組み立てを容易に実施できる。この組立てにより、通孔4a,4b、係止片8は第1の枠材12で覆い隠されるともに、シャーシ3に固定される図示しない点灯装置及び各種の電線は枠体11によって覆い隠される。
図2、図6、及び図8に示すように第1の枠材12の壁部12aには複数例えば2つの第1の取付け孔21が開けられているとともに、第2の枠材13の壁部13aにも第1の取付け孔21と同数の第2の取付け孔22が開けられている。ランプ配設領域を間に置いて設けられた第1の取付け孔21と第2の取付け孔22とは、器具本体2の中心を通って第1の枠材12及び第2の枠材13と平行に引くことができる直線に対して線対称、従って前記中心に対して点対称の配置となっている。これらの取付け孔21,22は好ましい例として枠材12,13の傾斜に沿って延びるスリットで形成されている。
第1の枠材12の壁部12aには、第1の取付け孔21と同数の通孔23が図8に代表して示すように開けられている。これらの通孔23は、第1の取付け孔21の近傍に位置して、例えば枠材12の傾斜に沿って延びるスリットで形成されている。
前記板ばね31は、例えば第1の取付け孔21と同数用いられている。これらの板ばね31は図11に示すように例えば略長方形状をなし、その長手方向一端に固定孔32が設けられているとともに、自由端部となる長手方向他端部に係止孔33と、解除部34とを有している。係止孔33は板ばね31の長手方向に延びる長方形の角孔からなる。解除部34は、板ばね31の自由端部の側縁からL字状に折り曲げられた延出部分で形成されている。
これらの板ばね31は、第1の枠材12にその壁部12aの裏面に接するように固定されている。詳しくは、板ばね31は第1の取付け孔21の真上に固定孔32を位置させて、この固定孔32及び壁部12aを通る固定部品例えばリベット35で固定されている。それにより、板ばね31は壁部12aの裏面に沿って、かつ、この壁部12aの傾斜方向に延びて設けられている。この場合、板ばね31の解除部34は、図9等に示すように通孔23を通って、枠材12〜15の壁部12a〜15aがなした枠状壁の内側に突出されて、壁部12aの裏面への板ばね31の接触を妨げないようになっている。この接触状態で、図8に示すように第1の取付け孔21と係止孔33とは連通していて、かつ、第1の取付け孔21の下端よりも係止孔33の下端は上側に位置している。解除部34は後述する第1の取付け部42aの側方近傍に位置している。
前記制光体41には、図1に例示したように2枚の第1のバッフル片42と、他の2枚の第2のバッフル片43とを井桁状に組み合わせてなるバッフルが使用されている。第1、第2のバッフル片42,43は例えば金属製である。これらのバッフル片により区画された中央の四角の領域には、透光性の制光場ネルを取付けても良い。互いに平行な第1のバッフル片42の両端部、つまり、第2のバッフル片43に対して突出した一端部及び他端部は、第1の取付け部42a及び第2の取付け部42bとして使用されている。
図6、図8〜図10に示すように第1の取付け部42aには係止孔33に係脱される斜状に突出する係止凸部44が形成されている。係止凸部44は、器具本体2に制光体41が取付けられた状態で前記壁部12aに対して略直角となるように設けられている。図8に示すように係止凸部44の下縁が係止孔33の下端に引っ掛かることによって、第1の取付け部42aが枠体11に支持されるようになっている。
図6及び図10に示すように第2の取付け部42bは、第1のバッフル片42の長手方向に延びて突出する挿入端部45を有している。この挿入端部45は、壁部12aに対向した壁部13aの第2の取付け孔22に挿通される。この挿通状態で挿入端部45の先端部は図10(B)中二点鎖線に示すように折り曲げられて、抜け止め部46を形成している。この抜け止め部46は第2の取付け孔22を通過不能である。なお、図10(B)中符号45aは、抜け止め部46の形成を容易にするための通孔を示している。
次に、天井Cに取付けられているシャーシ3に枠体11と制光体41とを取付ける手順を説明する。この取付けは、枠体11に対して制光体41が以下の手順で予め支持された状態で、既述のように第1の枠材12の縁12bを、シャーシ3の係止片8に引っ掛け支持しながら、枠体11の位置を微調整した上で、化粧ねじ16を連結部9に夫々ねじ込んで実行される。
そして、これに先立って制光体41を枠体11に支持させるには、まず、制光体41が有した一対の第2の取付け部42bの挿入端部45を、第2の枠材13の壁部13aに開けられている一対の第2の取付け孔22に夫々挿入させる。この状態で、挿入端部45の先端部を曲げて抜け止め部46を形成する。この後、枠体11内に制光体41が配置されるように第2の取付け部42b側を起点に制光体41を上向きに回転させて、第1の取付け部42aの係止凸部44を、枠材12の壁部12aに開けられている第1の取付け孔21に押し込む。この場合、複数の第2の取付け孔22がスリットであって、これらを挿通した第2の取付け部42bが薄板であるので、第2のバッフル片43が延びる方向に制光体41が位置決めされ、自然に係止凸部44を第1の取付け孔21に入れることができる。
第1の取付け孔21に押し込まれた係止凸部44は、はじめに板ばね31の第1の取付け孔21に臨んでいる部分に当たるので、板ばね31が壁部12aの裏面から離れるようにリベット35を支点として弾性変形する。それによって、係止凸部44が第1の取付け孔21を挿通するようになるので、板ばね31はその弾性力で壁部12aの裏面に密接し、同時に、図8に示すように係止凸部44の下縁が係止孔33の下端に引っ掛かる。以上の手順により、制光体41は、その第1、第2の取付け部42a、42bを介して枠体11の第1の枠材12と第2の枠材13とにわたって両端支持される。この支持状態で、第2のバッフル片43の一端は第3の枠材14の壁部14aに接近し、他端は第4の枠材15の壁部15aに近接している。
又、照明器具1が天井Cに設置された状態で、ランプ交換をするには、第1の取付け部42aを掴むとともに、この掴んだ手の親指で解除部34を押し込む。それにより、板ばね31が壁部12aの裏面から離れるようにリベット35を支点として弾性変形するので、係止孔33が第1の取付け部42aの係止凸部44から外れる。この状態で、第1の取付け部42aを引き下げることにより、制光体41を開くことができる。
この場合、制光体41から誤って作業者が手を離した場合、第2の取付け部42bの抜け止め部46が第2の取付け孔22に引っ掛かって、制光体41が吊り下がる。これにより、この制光体41が脱落しないようにできるとともに、第1の枠材12から外された制光体41を置く場所を考慮する必要がない。そして、この状態で、ランプ交換ができる。
しかも、蛍光ランプ51の口金52が着脱自在に接続されるランプソケット5を、第2の取付け孔22が設けられた第2の枠材13側に配置するとともに、口金52と反対側に位置する蛍光ランプ51のバルブ中間部53aを第1の取付け孔21が設けられた第1の枠材12側に配置している。それにより、以上のように制光体41を開いたときに、この制光体41はランプソケット5に近い側で吊り下がるので、この吊り下げりに伴って蛍光ランプ51のバルブ中間部53a側には自ずと広い作業空間が確保される。このため、作業者に対して、蛍光ランプ51のバルブ中間部53a側をはじめに外した後に、ランプソケット5からその略真下方向に蛍光ランプ51の口金52を外すように仕向け易い。よって、ランプソケット5及び口金52に過負荷を与えることを抑制しつつ蛍光ランプ51を外すことができる点で好ましい。
それだけではなく、以上のように広い作業空間が確保される第1の枠材12側からFケーブルが導入され、このケーブルは、以上のように制光体41の回転の支点となる第2の枠材13側には配線されない。このため、制光体41の開閉に伴って第2の取付け部42bの挿入端部45がFケーブルと干渉して、このケーブルを傷つける恐れがない点でも好ましい。
又、ランプ交換後には、制光体41の第1の取付け部42a側を押し上げて、この制光体41を枠体11の内側に配置すればよい。この場合、第1の取付け部42aを第1の枠材12に支持させるときの板ばね31と係止凸部44の挙動は既述の通りであるから、制光体41を上向きに回転させて第1の取付け部42aを第1の取付け孔21に押し込むだけの簡単な手間で、制光体41を支持させることができる。
以上のように板ばね31が制光体41ではなく器具本体2に固定されているので、枠材12〜15の壁部12a〜15aがなした枠状壁の内側に制光体41を配置する場合、第1の取付け部42aを枠状壁に取付けるのに、器具本体2に対して制光体41を動かしながらこの制光体41上で板ばね31を弾性変形させる手作業を要することがなく、制光体41の係止凸部44を第1の取付け孔22に単に押し込めばよい。これとともに、枠状壁の内側に配置された制光体41を開く際に、枠状壁から第1の取付け部42aを外すのに、外し方向に動かされる制光体41ではなく、器具本体2に固定された板ばね31を押し込み操作するので、制光体41上で板ばね31を弾性変形させる手作業を要することがない。したがって、前記構成の照明器具は、制光体41を器具本体2に対して容易に開閉することができる。
しかも、係止凸部44を拘束しないように板ばね31を弾性変形させるのに、その際、第1の取付け部42aを持った手で、第1の取付け部42aの側方近傍に位置した解除部34を、第1の取付け部42aに妨げられることなく押し込み操作できる点でも、操作性がよい。そして、以上のように解除部34が第1の取付け部42aの側方近傍に突出しているので、板ばね31をむやみに大きくする必要がなく、そのコストを低減できる点で好ましい。
又、前記構成の照明器具1は、板ばね31を固定するリベット35が、器具を下方から見て奥まっている縁12bの近傍に設けられている。しかも、器具本体2に制光体41が支持された状態では、図6及び図8に示すように第1の取付け部42aの略真上に設けられていて、第1の取付け部42aによりリベット35の視認を邪魔できる。このため、リベット35の視認が抑制されるので、照明器具1の体裁がよい。
図12は本発明の他の実施形態を示している。この実施形態は、以下説明する事項以外は、一実施形態と同じ構成であるので、同じ部分には一実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。なお、必要に応じて図1〜図9なども参照する。
この実施形態では、第2の取付け部42bには一実施形態で用いた挿入端部に代えて係止凸部44を設けている。更に、第2の枠材13にもその壁部13aの裏面に接するように弾性係止片としての板ばね31が固定されているとともに、この板ばね31の解除部34が通る通孔(図12では図示されない)が設けられている。
すなわち、この実施形態の照明器具1は、蛍光ランプ51が取付けられるとともに、この蛍光ランプ51を配設可能なランプ配設領域を囲む斜状の枠状壁をなす壁部12a〜15aを有し、この枠状壁に、ランプ配設領域を間に置いて第1の取付け孔21と第2の取付け孔22とを夫々設けるとともに、これら第1、第2の取付け孔21,22の近傍に通孔23を夫々設けた器具本体2を備えている。更に、照明器具1は、枠状壁をなす壁部12a,13aに固定されてこの枠状壁(壁部12a,13a)の裏面に接するように設けられ、かつ、第1の取付け孔21又は第2の取付け孔22に連通する係止孔33及び通孔23を通って壁部12a〜15aがなした枠状壁の内側に突出する解除部34を有した第1、第2の板ばね31(弾性係止片)を備えている。更に加えて、照明器具1は、枠状壁の壁部12aの第1の取付け孔21に挿脱可能でかつこの第1の取付け孔21に挿入されて第1の板ばね31の係止孔33に引っ掛かるとともに、この引っ掛かりが第1の板ばね31の解除部34の押し込みによって外される係止凸部44が形成された第1の取付け部42a、及び枠状壁の壁部13aの第2の取付け孔22に挿脱可能でかつこの第2の取付け孔22に挿入されて第2の板ばね31の係止孔33に引っ掛かるとともに、この引っ掛かりが第2の板ばね31の解除部34の押し込みによって外される係止凸部44が形成された第2の取付け部22bを有して、壁部12a〜15aがなした枠状壁の内側に着脱可能に配置される制光体41を備えている。
これにより、制光体41の第1、第2の取付け部42a,42bが有した係止凸部44を枠状壁の壁部12a、13aに設けた第1、第2の取付け孔21,22に夫々挿入することによって、器具本体2の枠状壁の壁部12a、13a裏面に配置された第1、第2の板ばね31の係止孔33に係止凸部44が引っ掛かる。それにより、壁部12a〜15aがなした枠状壁の内側に制光体41を配置できる。この場合、板ばね31が制光体41ではなく器具本体2に固定されているので、第1、第2の取付け部42a,42bを枠状壁の壁部12a、13aに取付けるのに、器具本体2に対して制光体41を動かしながらこの制光体41上で板ばね31を弾性変形させる手作業を要することがなく、係止凸部44を第1、第2の取付け孔21,22に単に押し込めばよい。したがって、制光体41を器具本体2に容易に取付けることができる。
又、ランプ交換などに際しては、制光体41の例えば第1の取付け部42aを掴みながら、この掴み位置に近い解除部34を枠状壁の壁部12aの裏側に押し込むことで、この解除部34を有した第1の板ばね31が弾性変形され、それに伴って第1の板ばね31の係止孔33への第1の取付け部42aの係止凸部44の引っ掛かりが外されるので、第1の取付け部42aを引き動かすことにより、枠状壁の壁部12aから第1の取付け部42aが外れる。同様に、第2の取付け部42bを掴みながら、この掴み位置に近い解除部34を枠状壁の壁部13aの裏側に押し込むことで、この解除部34を有した第2の板ばね31が弾性変形され、それに伴って第2の板ばね31の係止孔33への第2の取付け部42bの係止凸部44の引っ掛かりが外されるので、第2の取付け部42bを引き動かすことにより、枠状壁の壁部13aから第2の取付け部42bが外れる。これにより、制光体41を外すことができる。この場合、既述のように外し方向に動かされる制光体41ではなく、器具本体2に固定された板ばね31を押し込み操作するので、動かされる制光体41上で板ばね33を弾性変形させる手作業を要することがなく、したがって、器具本体2に対して制光体41を容易に外すことができる。
以上のように図12に示した他の実施形態の照明器具1でも、器具本体2に対して制光体41を着脱する際に、制光体41上で板ばね31を弾性変形させる手作業を格別に要することがないので、器具本体2に対して制光体41を容易に着脱できる。
なお、本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、板ばね31は枠状壁をなす壁部12aの長手方向に沿って延びるように設けることも可能である。この場合、板ばねを隣接した第1の取付け部42aにわたる長さとして、その長手方向両端部に夫々係止孔33と解除部34を設けた構成とすることにより、板ばね31の使用数を減らすことが可能である。
1…照明器具、2…器具本体、3…器具本体のシャーシ、5…ランプソケット、11…器具本体の枠体、12…第1の枠材、13…第2の枠材、14…第3の枠材、15…第4の枠材、12a〜15a…第1〜第4の枠材の壁部(枠状壁)、21…第1の取付け孔、22…第2の取付け孔、23…通孔、31…板ばね(弾性係止片)、33…係止孔、34…解除部、41…制光体、42a…第1の取付け部、42b…第2の取付け部、44…係止凸部、45…挿入端部、46…抜け止め部、51…蛍光ランプ、52…口金、53…バルブ、53a…バルブの中間部