JP4366217B2 - 液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、インクジェット記録装置やカラーフィルタ製造装置等に用いられ、各々のノズル径が異なる複数のノズル群を有するインクジェット記録用ヘッド内の各インク流路の流体抵抗を最適化することによって、インクジェット記録用ヘッドの機能維持のために行う吸引回復処理時にインクを無駄に消費することがない、液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置に関する。
複数のノズル群を有し、ノズル群毎にノズルの開口面積の合計値が互いに異なる複数のノズル板からインクを吐出する液体吐出ヘッドにおいて、吐出機能維持のために吸引回復処理を行うと、ノズル板から排出されるインクの量が互いに異なるが、従来は排出されるインクの量が最も少ないノズル板に合わせた量のインクの排出を行なっている。この際、それ以外のノズル板から排出されるインクの量は過剰なものとなっており、無駄にインクを消費する。このような問題点を解決するために、以下のような従来例が知られている。
引用文献1に記載された液体吐出ヘッドは、液体供給口と、この液体供給口に一端側が連通する複数の分岐供給管と、これら分岐供給管の他端側に各々連通する複数の共通液室を共通のフレーム内に設け、これらの共通液室に各々液路を介して連通し、かつ、各々の液滴が吐出される複数の吐出口群が形成された吐出口板を前記フレームと接着接合してなる液体吐出ヘッドであって、吐出口の開口面積の合計値が大きい吐出口群が形成された吐出口板に連通する分岐供給管の流路断面積、または流路長を吐出口の開口面積の合計値が小さい吐出口群に連通する分岐供給路の流路断面積、または流路長よりも各々小さく、または長くしたことを特徴とする。
引用文献2に記載されたインクジェット記録ヘッドは、共通液室から連通してインク吐出口へ至る個別液室流路の流体抵抗が共通液室の流体抵抗とインクタンクから共通液室へ至る流路の流体抵抗の和よりも大きく設定したことを特徴とする。
引用文献3に記載された記録ヘッドは、シリコン基板を用いたインクジェットプリンタヘッドであって、前記シリコン基板内に形成された共通液室から個別液室に至る流路の流体抵抗がノズルの流体抵抗より大きくしたことを特徴とする。
特開2003−266740号公報 特開2000−313123号公報 特開2002−178513号公報
本発明の液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置に関連する従来技術として、特許文献1〜3に開示されたような発明が知られているが、特許文献1に開示されている従来の液体吐出ヘッドは、フレーム内に形成された液体供給口から共通液室に至る分岐供給管の流体抵抗が、各吐出口板に形成された個別流路と全吐出口群の流体抵抗よりも小さい場合には、前記分岐供給管の断面積または長さを変化させても個別流路と吐出口の流体抵抗で全体の流体抵抗が律則されるため、吐出口板間で流体抵抗を等しくすることは困難であり、結局ヘッド機能回復動作で吸引排出される液体の量は吐出口間で差が生じ、無駄に液体を消費してしまうといった問題があった。
また、特許文献2に開示されている従来のインクジェット記録ヘッドの場合、個別液室からインク吐出口へ至る流体抵抗が大きく設定されているので、この領域の流体抵抗で全体の流体抵抗が律則されるために、前記分岐供給管の断面積や長さを変化させても各吐出板間の流体抵抗を制御することは不可能である。
また、特許文献3に開示されている従来の記録ヘッドは、シリコン基板を用いたインクジェットプリンタヘッドであって、シリコン基板内に形成された共通液室から個別液室に至る流路の流体抵抗がノズルの流体抵抗より大きく設定されているが、この場合においても共通液室から個別液室に至る流路の流体抵抗が一番大きいので、この領域の流体抵抗で全体の流体抵抗が律則されるために、フレーム内に形成された分岐供給管の断面積や長さを変化させて各吐出板管の流体抵抗を制御することは不可能であった。
本発明は、前記従来技術が有する問題点を解決するためになされたものであって、回復動作処理に伴う前記問題点を解決すること目的とし、各々の吐出口径が異なる複数の吐出口群を有する液体吐出ヘッド内の各流路の流体抵抗を最適化することによって、液体吐出ヘッドの機能維持のために行う吸引回復処理時に液体を無駄に消費することがない液体吐出ヘッド、液体吐出カートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、液体が供給される液体供給口に連通して途中から分岐する複数の分岐供給路と、該分岐供給路に夫々連通する複数の共通液室が設けられた共通のフレームと、前記共通液室に連通する複数の個別流路と該個別流路を大気に開口する複数の吐出口からなる吐出口群を備えた複数の吐出口板を接合してなり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記液体供給口から前記共通液室に至る前記フレームに形成された前記各分岐供給路の流体抵抗は、前記個別流路から前記各吐出口に至る前記吐出口板の流体抵抗より大であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記各吐出口の開口面積は前記複数の吐出口群毎に異なり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段は、前記各吐出口の開口面積が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積が、前記各吐出口の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積より小であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記各吐出口の開口面積は前記複数の吐出口群毎に異なり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段は、前記複数の吐出口群の中で、前記各吐出口の開口面積が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の長さが、前記吐出口の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の長さより大であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記個別流路に設けられる液体吐出エネルギー発生部は、液体に膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを発生する電気熱エネルギー変換体を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給する液体を蓄える液体タンクを具備した液体吐出カートリッジであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の液体吐出ヘッドまたは請求項5に記載の液体吐出カートリッジを搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記液体吐出ヘッドにおける前記各吐出口群は、共通のキャップ部材にて覆われ、一括して吸引が行なわれることを特徴とする。
請求項1に対する作用効果
共通液室に至る全分岐供給路の流体抵抗が液体吐出ヘッドの全吐出口群の流体抵抗より大きいので、ヘッド機能回復のために行う吸引動作時に、単位時間当たりに吸引排出される液量は、分岐された各供給路の流体抵抗で規定され、この分岐された各供給路の流体抵抗を独立に制御することで吸引回復処理に伴う各吐出口群の液体の排出量を独立に制御することが可能となる。この結果、吸引排出時に各吐出口群の間の液体排出量を等しく制御することが可能となり、吸引回復処理に伴う無駄な液体の排出を抑制できる。
請求項2に対する作用効果
各分岐供給路と、分岐供給路に連通した吐出口群の合計の流体抵抗を各々の液体経路で等しくする手段は、各吐出口の全開口面積の合計値が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積が、前記吐出口の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積より小さいので、吸引回復処理時に吐出口の開口面積の合計値が大きい吐出口群から吸引排出される液量と、吐出口の開口面積の合計値が小さい吐出口群から吸引排出される液量とをほぼ等しくすることができ、吸引回復処理に伴う無駄な液体排出を抑制できる。
請求項3に対する作用効果
各分岐供給路と、分岐供給路に連通した吐出口群の合計の流体抵抗を各々の液体経路で等しくする手段は、前記複数の吐出口群の中で、吐出口の開口面積の合計が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の長さが、前記吐出口群の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐路の長さより長いので、吸引回復処理時に吐出口の開口面積の合計値が大きい吐出口群から吸引排出される液量と、吐出口の開口面積の合計値が小さい吐出口群から吸引排出される液量とをほぼ等しくすることができ、吸引回復処理に伴う無駄な液体排出を抑制できる。
請求項4に対する作用効果
液体吐出ヘッドは、液体吐出エネルギー発生部が液体に膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを発生する電気熱エネルギー変換体であるので、エネルギーの変換効率が良く、吐出する液滴量も面積を変えることで容易に制御できる。
請求項5に対する作用効果
液体吐出ヘッドと、この液体吐出ヘッドに供給される液体を蓄える液体タンクを具備しているので、ヘッド機能回復動作時に無駄な液体の吸引排出を抑制したインクジェットカートリッジ等の液体吐出カートリッジが実現できる。
請求項6に対する作用効果
請求項1〜4記載の液体吐出ヘッド、または請求項5記載の液体吐出カートリッジを有する画像形成装置であるので、インク無駄のない、低コストの記録装置等が実現できる。
請求項7に対する作用効果
液体吐出ヘッドの各吐出口群は、共通のキャップ部材にて覆われ、一括で吸引するので、各液体吐出ヘッドの吸引回復処理を効率的に、短時間で行なうことができる。
本発明は、インクジェット記録ヘッド等の液体吐出ヘッドの機能回復のため液体吸引動作を行う際の問題点を解決するもので、各々の吐出口径が異なる複数の吐出口群を有する液体吐出ヘッド内の各インク流路の流体抵抗を最適化することによって、吸引回復処理時にインクを無駄に消費することがない液体吐出ヘッド、及び液体吐出カートリッジ、画像形成装置を提供することを目的とし、そのため、液体が供給される液体供給口に連通して途中から分岐する複数の分岐供給路と、該分岐供給路に夫々連通する複数の共通液室が設けられた共通のフレームと、前記共通液室に連通する複数の個別流路と該個別流路を大気に開口する複数の吐出口からなる吐出口群を備えた複数の吐出口板を接合してなり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記液体供給口から前記共通液室に至る前記フレームに形成された前記各分岐供給路の流体抵抗は、前記個別流路から前記各吐出口に至る前記吐出口板の流体抵抗より大であることを特徴としている。
以下、本発明の実施例1の液体吐出ヘッドについて、図1〜図3を用いて説明する。実施例1の液体吐出ヘッドは、液体吐出ヘッドをインクジェット記録ヘッドに適用した例であるが、インクジェット記録ヘッドのみならず、カラーフィルタ製造装置における色材を吐出するヘッド等、広範囲の技術分野において微量の液体を制御しながら吐出する際の液体吐出ヘッドとして適用することが可能である。
図1は実施例1のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図、図2は図1の断面図、図3は実施例1のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。
インクジェット記録ヘッド10は、共通のフレーム内にインク等の液体が供給される1つの液体供給口11、分岐供給路12a,12b、2つの共通液室13a,13bが形成され、分岐供給路12a,12bにはそれぞれ2つの共通液室13a,13bが接続され、これらの分岐供給路12a,12bの他端部は相互に連結され、液体供給口11に連通している。共通液室13a,13bの分岐供給路12a,12bが接続されていないもう片方の端部には、個別流路(図示無し)とインク等の液体に膜沸騰を生じるような液体吐出エネルギー発生素子(図示無し)と液体吐出のための吐出口(ノズル)15a,15bが開口された吐出口板(ノズル板)14a,14bが接着、接合等により取り付けられている。
液体供給口11から供給されたインク等の液体は、二股に分岐した分岐供給路12a、12bをそれぞれ経由して共通液室13a,13bに入り、吐出口板14a,14bに形成された吐出口15a、15bから液滴となって吐出される。吐出口板14aは、個々の吐出口15aの直径とこれに連通する個別流路(個別液室)の容積が大きな大滴吐出用の吐出口板であって、一方、吐出口板14bは個々の吐出口15bの直径とこれに連通する個別流路(個別液室)の容積が小さな小滴吐出用の吐出口板である。本実施例においては、共に128個の吐出口15a,15bをそれぞれ600dpiの間隔で配置し、各吐出口の直径は大滴吐出用の吐出口15aが16μmであって、小滴吐出用の吐出口15bが10μmに設定した。この時、大滴吐出用の吐出口15aからは4plの体積の液体が吐出し、小滴吐出用の吐出口15bからは2plの体積の液体が吐出するように設定した。
このような構成のインクジェット記録ヘッド10において、液体供給口11から共通液室13a,13bに至る前記フレーム内に形成された各分岐供給路12a,12bの流体抵抗は、吐出口板14a,14bに形成した個別流路(図示無し)から吐出口15a,15bに至る全ノズル群が形成された吐出口板14a,14bの流体抵抗より大きくしている。
さらに、大滴吐出用の吐出口15aが形成された吐出口板14aに連通する分岐供給路12aの流路断面積は、小滴吐出用の吐出口15bが形成された吐出口板14bに連通する分岐供給路12bの流路断面積の1/3に設定した。このような構成にすることにより、後述するインクジェット記録ヘッド10の吐出回復時に排出されるインクの量を大滴用の吐出口板14aと小滴用の吐出口板14bの間で等しくすることが可能となる。
従来、液体供給口11から分岐供給路12a,12bを通り共通液室13a,13bに至る流体抵抗が、個別流路(図示無し)と液体に膜沸騰を生じるような液吐出エネルギー発生部(図示無し)と吐出口15a,15bが形成された吐出口板14a,14bの流体抵抗よりも小さくなる場合があった。このような場合は、吐出口板14a,14bの流体抵抗が大であることに基づいて生ずることとなるため、分岐供給路12a,12bの断面積を変更して液体供給口11から分岐供給路12a,12bを通り共通液室13a,13bに至る流体抵抗を可変しても、その効果は少なかった。しかしながら、実施例1のインクジェット記録ヘッドを用いて機能回復動作を行なったところ、ヘッド機能回復に用いた廃インクの量は従来の構成に比較して少量で済むことが分かった。
次に、インクジェット記録ヘッドの吐出機能回復について述べる。
インクジェット記録ヘッド10の吐出機能回復は、キャップ部材20を吐出口板14a,14bの吐出面16a,16bに対するキャッピングにより行なう。このような状態で、吸引ポンプ(図示無し)により液体吸引動作や液体供給路の途中に組み込んだ加圧ポンプ(図示無し)によって、インク等の液体を個々の液体吐出口15a,15bから強制的に排出させることにより、吐出口15a,15bと、それらに連通する個別流路内に存在するゴミや増粘したインクを除去する回復処理が行なわれる。この時、回復処理に用いられたインク等の液体は、液体を吸収保持するための廃インク等の廃液吸収体21から吸引配管22を介してインク等の廃液を回収している。さらに、液体の吐出が終了した場合は、このキャップ部材20により吐出面16a,16bを一括で被覆することで液体吐出口15a,15bを含む吐出面16a,16bを保護している。
本発明の実施例2の液体吐出ヘッドについて、図4〜図6を用いて説明する。
図4は実施例2のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図、図5は図4の断面図、図6は実施例2のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。
実施例2のインクジェット記録ヘッドは、実施例1と同様に液滴吐出ヘッドを記録用に適用した例であるが、インクジェット記録ヘッドのみならず、記録用以外の液体を吐出するヘッドにも適用することが可能である。なお、実施例1のインクジェット記録ヘッドと同様の構成要素については、実施例1のインクジェット記録ヘッドで用いた用語を用いて説明し、説明を省略する。
インクジェット記録ヘッド10に形成された2つの共通液室13c,13dには、それぞれ分岐供給路12c,12dが接続され、これらの分岐供給路12c,12dの他端部は相互に連結され、インク等の液体が供給される1つの液体供給口11に連通している。共通液室13c,13dの分岐供給路12c,12dが接続されていないもう片方の端部には、個別流路(図示無し)と液体に膜沸騰を生じるような液体吐出エネルギー発生素子(図示無し)と液体吐出のための吐出口15c,15dが開口された吐出口板14c,14dが取り付けられている。液体供給口11から供給されたインク等の液体は、二股に分岐した分岐供給路12c,12dをそれぞれ通って共通液室13c,13dに入り、吐出口板14c,14dが形成された吐出口15c,15dから液滴となって吐出される。吐出口板14cは、個々の吐出口15cの直径とこれに連通する個別流路(個別液室)の容積が大きな大滴吐出用の吐出口板であって、一方吐出口板14dは、個々の吐出口15dの直径とこれに連通する個別流路(個別液室)の容積が小さな小滴吐出用の吐出口板である。
本実施例においては、共に256個の吐出口15c,15dをそれぞれ600dpiの間隔で配置し、各吐出口の直径は大滴用の吐出口15cが16μmであって、小滴用の吐出口15dが10μmに設定した。この時、大滴吐出用の吐出口15cからは4plの体積の液体が吐出し、小滴吐出用の吐出口15dからは2plの体積の液体が吐出するように設定した。このような構成のインクジェット記録ヘッド10において、液体供給口11から共通液室13c,13dに至る前記フレーム内に形成された各分岐供給路12c,12dの流体抵抗は、吐出口板14c,14dに形成した個別流路(図示無し)から吐出口15c,15dに至る全吐出口が形成された吐出口板14c,14dの流体抵抗より大きくしている。
さらに、大滴吐出用の吐出口15cが形成された吐出口板14cに連通する分岐供給路12cの長さを小滴吐出用の吐出口15dが形成された吐出口板14dに連通する分岐供給路12dの長さの3倍に設定した。このような構成にすることにより、後述するインクジェット記録ヘッドの吐出回復時に排出されるインクの量を大滴用吐出口板14cと小滴用吐出口板14dの間で等しくすることが可能となる。
従来、液体供給口11から分岐流路12c,12dを通り共通液室13c,13dに至る流体抵抗が、個別流路(図示無し)と液体に膜沸騰を生じるような液吐出エネルギー発生素子(図示無し)と吐出口15c,15dが形成された吐出口板14c,14dの流体抵抗よりも小さくなる場合があった。このような場合は、吐出口板14a,14bの流体抵抗に基づいて生ずることとなるため、分岐流路の断面積を変更して液体供給口11から分岐供給路12c,12dを通り共通液室13c,13dに至る流体抵抗を可変しても、その効果は少なかった。一方、実施例2のインクジェット記録ヘッドを用いて回復動作を行なったところ、ヘッド機能回復に用いた廃インクの量は従来の構成に比較して少量で済むことが分かった。
実施例2のインクジェット記録ヘッドの吐出機能回復について述べる。
インクジェット記録ヘッドの吐出機能回復は、キャップ部材20をインクジェット記録ヘッド10の吐出面16c,16dに対するキャッピングにより行なう。このような状態で、吸引ポンプ(図示無し)により液体吸引動作や液体供給路の途中に組み込んだ加圧ポンプ(図示無し)によって、液体を個々の吐出口15c,15dから強制的に排出させることにより、吐出口15c,15dとそれらに連通する個別流路内に存在するゴミや増粘したインクを除去する回復処理が行なわれる。この時、回復処理に用いられたインクは液を吸収保持するための廃液吸収体21から吸引配管22を介して廃液を回収している。更に、液の吐出が終了した場合は、このキャップ部材20により吐出面16c,16dを一括で被覆することで、インクジェット記録ヘッドの吐出口15c,15dを含む吐出面16c,16dを保護している。
本発明の実施例3の液体吐出ヘッドについて、図7〜図9を用いて説明する。
図7は実施例3のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図、図8は図7の断面図、図9は実施例3のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。
実施例3のインクジェット記録ヘッドは、吐出口群が3列以上のインクジェット記録ヘッドであって、図7〜図9は吐出口群が3列のインクジェット記録ヘッドに適用した例であるが、インクジェット記録ヘッドのみならず、記録用以外の液体を吐出するヘッドにも適用することが可能である。なお、実施例1のインクジェット記録ヘッドと同様の構成要素については、実施例1のインクジェット記録ヘッドで用いた用語を用いて説明し、説明を省略する。
インクジェット記録ヘッド10の3つの共通液室13e,13f,13gには、それぞれ分岐供給路12e,12f,12gが接続され、これらの分岐供給路12e,12f,12gの他端部は相互に連結され、液体が供給される液体供給口11に連通している。共通液室13e,13f,13gの分岐供給路12e,12f,12gが接続されていないもう片方の端部には、個別流路(図示無し)と液体に膜沸騰を生じるような液吐出エネルギー発生素子(図示無し)と液体吐出のための吐出口15e,15f,15gが開口された吐出口板14e,14f,14gが取り付けられている。液体供給口11から供給された液体は、分岐供給路12e,12f,12gをそれぞれ通って共通液室13e,13f,13gに入り、吐出口板14e,14f,14gが形成された吐出口15e,15f,15gから液滴となって吐出される。
吐出口板14eは、個々の吐出口15eとこれに連通する個別液室の容積が相対的に大きな大滴吐出用の吐出口板であって、一方吐出口板14fは、個々の吐出口15fとこれに連通する個別液室の容積が相対的に中位の中滴吐出用の吐出口板であり、更に吐出口板14gは、個々の吐出口15gとこれに連通する個別液室の容積が相対的に小さな小滴吐出用の吐出口板である。
実施例3のインクジェット記録ヘッド10においては、共に128個の吐出口15e,15f,15gをそれぞれ600dpiの間隔で配置し、各吐出口の直径は大滴用の吐出口15eが20μmであって、中滴用の吐出口15fが16μmであり、小滴用の吐出口15gが10μmに設定した。この時、大滴吐出用の吐出口15eからは6plの体積の液体が吐出し、中滴吐出用の吐出口15fからは4plの液体が吐出し、更に、小滴吐出用の吐出口15gからは2plの体積の液体が吐出するように設定した。
このような構成のインクジェット記録ヘッド10において、液体供給口11から共通液室14e,14f,14gに至る前記フレーム内に形成された各分岐供給路12e,12f,12gの流体抵抗が、吐出口板14e,14f,14gに形成した個別流路(図示無し)から吐出口15e,15f,15gに至る全ノズルが形成された液体吐出板14e,14f,14gの流体抵抗より大きくしている。
この時、大滴吐出用の吐出口15eが形成された吐出口板14eに連通する分岐供給路12eの流路断面積を、小滴吐出用の吐出口15gが形成された吐出口板14gに連通する分岐供給路12gの1/3に設定し、更に液体供給口11から大適吐出用の分岐供給路12eに至る流路長を小滴吐出用の分岐供給路12gの流路長の3倍に設定した。一方、中滴吐出用の吐出口15fが形成された吐出口板14fに連通する分岐供給路12fの流路断面積を1/2に設定し、液体供給口11から中適吐出用の分岐供給路12fに至る流路長を小滴吐出用の分岐供給路12gの流路長の2倍に各々設定した。このような構成にすることにより、後述するインクジェット記録ヘッドの吐出回復時に排出されるインクの量を大滴用の吐出口板14eと中滴用の吐出口板14fと小滴用の吐出口板14gの間で等しくすることが可能となる。
従来、液体供給口11から分岐流路12e,12f,12gを通り共通液室13e,13f,13gに至る流体抵抗が、個別流路(図示無し)と液体に膜沸騰を生じるような液吐出エネルギー発生素子(図示無し)と吐出口15e,15f,15gが形成された吐出口板14e,14f,14gの流体抵抗よりも小さくなる場合があった。このような場合は、吐出口板14e,14f,14gの流体抵抗に基づいて生ずることとなるため、分岐流路の断面積を変更したり、流路長を変更して液体供給口11から分岐流路12e,12f,12gを通り共通液室13e,13f,13gに至る流体抵抗を可変しても、その効果は少なかった。しかしながら、実施例3のようなインクジェット記録ヘッドを用いて回復動作を行なったところ、ヘッド機能回復に用いた廃液の量は従来の構成に比較して少量で済むことが分かった。
実施例3のインクジェット記録ヘッド10の吐出機能回復について述べる。
実施例3のインクジェット記録ヘッド10の吐出機能回復は、キャップ部材20をヘッドカートリッジの吐出面16e,16f,16gに対するキャッピングにより行なう。このような状態で、吸引ポンプにより液体吸引動作や液体供給路の途中に組み込んだ加圧ポンプ(図示無し)によって、液体を個々の吐出口15e,15f,15gから強制的に排出させることにより、吐出口15e,15f,15gに連通する個別流路内に存在するゴミや増粘したインクを除去する回復処理が行なわれる。この時、回復処理に用いられたインクは液を吸収保持するための廃液吸収体21から吸引配管22を介して廃液を回収している。更に、液体の吐出が終了した場合は、このキャップ部材20により吐出面16e,16f,16gを一括で被覆することにより吐出口15e,15f,15gを含む吐出面16e,16f,16gを保護している。
次に、本発明の液滴吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例について説明する。
図10は実施例4のインクジェット記録装置の斜視図、図11は同インクジェット記録装置の機構部の側断面図である。
実施例4のインクジェット記録装置は、記録装置本体31の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ43、キャリッジ43に搭載し本発明を実施したインクジェット記録ヘッドからなる記録ヘッド44、記録ヘッド44へインクを供給するインクカートリッジ45等で構成される印字機構部32等を収納し、記録装置本体31の下方部には前方側から多数枚の用紙33を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)34を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙33を手差しで給紙するための手差しトレイ35を開倒することができ、給紙カセット34或いは手差しトレイ35から給送される用紙33を取り込み、印字機構部32によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ36に排紙する。
印字機構部32は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド41と従ガイドロッド42とでキャリッジ43を主走査方向に摺動自在に保持し、キャリッジ43にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明の実施例1〜3に係るインクジェット記録ヘッドからなる記録ヘッド44を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ43には記録ヘッド44に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ45を交換可能に装着している。
インクカートリッジ45は、上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェット記録ヘッド10へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド44へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッド44として、ここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。ここで、キャリッジ43は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド41に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド42に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ43を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ47で回転駆動される駆動プーリ48と従動プーリ49との間にタイミングベルト50を張装し、このタイミングベルト50をキャリッジ43に固定しており、主走査モータ47の正逆回転によりキャリッジ43が往復駆動される。
一方、給紙カセット34にセットした用紙33を記録ヘッド44の下方側に搬送するために、給紙カセット34から用紙33を分離給装する給紙ローラ51及びフリクションパッド52と、用紙33を案内するガイド部材53と、給紙された用紙33を反転させて搬送する搬送ローラ54と、この搬送ローラ54の周面に押し付けられる搬送コロ55及び搬送ローラ54からの用紙33の送り出し角度を規定する先端コロ56とを設けている。搬送ローラ54は副走査モータ57によってギヤ列を介して回転駆動される。そして、キャリッジ43の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ54から送り出された用紙33を記録ヘッド44の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材59を設けている。この印写受け部材59の用紙搬送方向下流側には、用紙33を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ61、拍車62を設け、さらに用紙33を排紙トレイ36に送り出す排紙ローラ63及び拍車64と、排紙経路を形成するガイド部材65,66とを配設している。
記録時には、キャリッジ43を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド44を駆動することにより、停止している用紙33にインクを吐出して1行分を記録し、用紙33を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙33の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙33を排紙する。また、キャリッジ43の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド44の吐出不良を回復するための回復装置67を配置している。回復装置67はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ43は印字待機中にはこの回復装置67側に移動されてキャップ手段で記録ヘッド44がキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中等に記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャップ手段で記録ヘッド44の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示無し)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、実施例4のインクジェット記録装置においては、本発明の実施例1〜4の発明を実施したインクジェット記録ヘッド、またはインクジェットカートリッジを搭載しているので、ヘッド機能回復時の廃液の量が少なくて済み、インク消費の少ない低コストの印字が可能となる。
なお、以上の実施例1〜4においては、本発明をインクジェット記録ヘッド、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置に適用した例を示したが、インク以外の液体、例えばパターニング用の液体レジストやDNAを吐出する液吐出ヘッド等多方面の用途にも適用することができる。
実施例1のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図である。 図1の断面図である。 実施例1のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。 実施例2のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図である。 図4の断面図である。 実施例2のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。 実施例3のインクジェット記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされた状態を断面するとともに透視して示す模式的斜視図である。 図7の断面図である。 実施例3のインクジェット記録ヘッドの吐出口板を示す正面図である。 実施例4のインクジェット記録装置の斜視図である。 実施例4のインクジェット記録装置の機構部の側断面図である。
符号の説明
10…インクジェット記録ヘッド、11…液体供給口、12a〜12g…分岐供給路、13a〜13g…共通液室、14a〜14g…吐出口板、15a〜15g…吐出口、16a〜16g…吐出面、20…キャップ部材、21…廃液吸収体、22…吸引配管、31…記録装置本体、32…印字機構部、33…用紙、34…給紙カセット、35…手差しトレイ、36…排紙トレイ、41…主ガイドロッド、42…従ガイドロッド、43…キャリッジ、44…記録ヘッド、45…インクカートリッジ、47…主走査モータ、48…駆動プーリ、49…従動プーリ、50…タイミングベルト、51…給紙ローラ、52…フリクションパッド、53…ガイド部材、54…搬送ローラ、55…搬送コロ、56…先端コロ、57…副走査モータ、59…印写受け部材、61…搬送コロ、62…拍車、63…排紙ローラ、64…拍車、65,66…ガイド部材、67…回復装置。

Claims (7)

  1. 液体が供給される液体供給口に連通して途中から分岐する複数の分岐供給路と、該分岐供給路に夫々連通する複数の共通液室が設けられた共通のフレームと、前記共通液室に連通する複数の個別流路と該個別流路を大気に開口する複数の吐出口からなる吐出口群を備えた複数の吐出口板を接合してなり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段を有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記液体供給口から前記共通液室に至る前記フレームに形成された前記各分岐供給路の流体抵抗は、前記個別流路から前記各吐出口に至る前記吐出口板の流体抵抗より大であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記各吐出口の開口面積は前記複数の吐出口群毎に異なり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段は、前記各吐出口の開口面積が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積が、前記各吐出口の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の断面積より小であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記各吐出口の開口面積は前記複数の吐出口群毎に異なり、前記各分岐供給路から前記共通液室と前記個別流路を経て前記複数の吐出口群に至る夫々の液体経路の流体抵抗を等しくする手段は、前記複数の吐出口群の中で、前記各吐出口の開口面積が大きい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の長さが、前記吐出口の開口面積が小さい方の吐出口群に連通する前記分岐供給路の長さより大であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記個別流路に設けられる液体吐出エネルギー発生部は、液体に膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを発生する電気熱エネルギー変換体を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給する液体を蓄える液体タンクを具備したことを特徴とする液体吐出カートリッジ。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の液体吐出ヘッドまたは請求項に記載の液体吐出カートリッジを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項に記載の画像形成装置において、
    前記液体吐出ヘッドにおける前記各吐出口群は、共通のキャップ部材にて覆われ、一括して吸引が行なわれることを特徴とする画像形成装置
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