JP4365764B2 - 顎位置測定装置、センサユニット、及び顎位置測定方法 - Google Patents
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Description
上顎と下顎との相対位置を測定する方法として、例えば、唇の上下に標点を付し、この標点をノギスによって測定する方法がある。
しかし、ノギスによる測定の場合、その精度に限界があり、特に上顎と下顎とが相対運動を行っている最中に、経時的に正確な測定を行うことは困難である。また、充分な再現性を得ることが困難となるおそれもある。
しかしながら、上記従来の顎位置測定装置においては、左右に配置した2個の磁気センサによって、顎位置の検出を行っており、測定精度を充分に向上させることは困難である。
該顎位置測定装置は、上記下顎又は上記上顎に固定されるマーカー磁石と、上記上顎又は上記下顎に固定されると共に上記マーカー磁石に対向して配置される複数の磁気センサからなるセンサユニットと、該センサユニットにおける上記複数の磁気センサのセンサ出力を基に上記上顎と上記下顎との相対位置を算出する演算部と、該演算部の演算結果を表示する表示部とを有し、
上記センサユニットは、上記複数の磁気センサを、互いに間隔を設けると共に配列ピッチを上記マーカー磁石の可動範囲よりも小さくしつつ上記顎開閉方向に配列させてなり、該各磁気センサは、その配列方向の磁気成分を検知することができるよう配設してあり、
上記マーカー磁石と上記センサユニットとは、上記マーカー磁石の着磁軸と上記磁気センサの配列方向とが直交するように配置され、
上記演算部は、上記センサユニットにおける複数の上記磁気センサのうち、上記マーカー磁石の着磁軸を挟む2つの磁気センサを選び出し、該2つの磁気センサのセンサ出力を基に、上記センサユニットに対する上記マーカー磁石の位置を算出することにより、上記上顎と上記下顎との相対位置を算出するよう構成してあることを特徴とする顎位置測定装置にある(請求項1)。
上記顎位置測定装置においては、下顎又は上顎に固定されるマーカー磁石と、上顎又は下顎に固定されるセンサユニットとが対向配置される。そして、該センサユニットに配列した複数の磁気センサは、その配列方向の磁気成分を検知することができる。
これにより、マーカー磁石が固定された下顎又は上顎の位置を、センサユニットが固定された上顎又は下顎に対する相対位置として算出することができる。
該センサユニットは、複数の磁気センサを、互いに間隔を設けると共に配列ピッチを上記マーカー磁石の可動範囲よりも小さくしつつ上記顎開閉方向に配列させてなり、該各磁気センサは、その配列方向の磁気成分を検知することができるよう配設してあり、
かつ、上記マーカー磁石の着磁軸に対して上記磁気センサの配列方向が直交するように配置することができるよう構成してあることを特徴とする顎位置測定用のセンサユニットにある(請求項4)。
そのため、各磁気センサは、上記マーカー磁石との位置関係によって、それぞれの大きさ及び向きの磁気を検知することができる。そして、着磁軸を挟む2つの磁気センサと、該2つの磁気センサの検知する磁気の大きさが分かれば、これに基づいてマーカー磁石の位置を求めることができる。
これにより、マーカー磁石が固定された下顎又は上顎の位置を、センサユニットが固定された上顎又は下顎に対する相対位置として算出することができる。
磁気センサの配設ピッチを小さくすることにより、顎位値の測定精度が高くなり、磁気センサの配設数、両端の磁気センサ間の距離を大きくすれば、測定範囲を広げることができる。
上記センサユニットとしては、上記複数の磁気センサを互いに間隔を設けつつ上記顎開閉方向に配列させてなり、上記各磁気センサが、その配列方向の磁気成分を検知することができるよう配設してあるものを用い、
上記マーカー磁石と上記センサユニットとは、上記マーカー磁石の着磁軸と上記磁気センサの配列方向とが直交するように配置し、
上記センサユニットにおける複数の上記磁気センサのうち、上記マーカー磁石の着磁軸を挟む2つの磁気センサを選び出し、該2つの磁気センサのセンサ出力を基に、上記センサユニットに対する上記マーカー磁石の位置を算出することにより、上記上顎と上記下顎との相対位置を算出することを特徴とする顎位置測定方法にある。
そして、着磁軸を挟む2つの磁気センサと、該2つの磁気センサの検知する磁気の大きさが分かれば、これに基づいてマーカー磁石の位置を算出することができる。
これにより、マーカー磁石が固定された下顎又は上顎の位置を、センサユニットが固定された上顎又は下顎に対する相対位置として算出することができる。
また、装着性等の観点から、マーカー磁石を下顎に固定しセンサユニットを上顎に固定することが好ましいが、これとは逆に、マーカー磁石を上顎に固定しセンサユニットを下顎に固定することもできる。
この場合には、高感度の磁気センサを得ることができ、より高精度の顎位置測定を行うことができる。
この場合には、地磁気等の周辺磁界が上記磁気センサに作用したとき、その分の影響を補正して、上記マーカー磁石による磁気のみを検出することができる。これにより、一層正確な顎位置測定を行うことができる。
上記周辺磁界検知用センサは、上記磁気センサと感度軸が同一方向となるよう配設することが好ましい。
この場合には、上記センサユニットにおいて、上顎と下顎との相対位置を算出することができる。
この場合には、一層正確な顎位置測定を行うことができる。
本発明の実施例にかかる顎位置測定装置及びこれを用いた顎位置測定方法につき、図1〜図14を用いて説明する。
本例の顎位置測定装置1は、上顎a1と下顎a2との顎開閉方向Aの相対位置を測定するための装置である。
図3に示すごとく、マーカー磁石2とセンサユニット3とは、マーカー磁石2の着磁軸Bと磁気センサ31の配列方向(顎開閉方向A)とが直交するように配置される。なお、図3において、マーカー磁石2を起点に描いた矢線は、該マーカー磁石2による磁力線を表す。
本例においては、センサユニット3は20個の磁気センサ31を、約4mmピッチにて配設してなる。
また、上記演算部4は、センサユニット3を取り付けたセンサ基板30上に固定したマイクロプロセッサからなる(図示略)。
また、上記周辺磁界検知用センサ32も、上記と同様のMIセンサからなる。
まず、図1に示すごとく、マーカー磁石2とセンサユニット3とを、ぞれぞれ被測定者の下顎a2と上顎a1とに対して固定する。
そして、図14のフローに沿って測定作業を行う。
また、上記配設ピッチPmは、上述のごとく約4mmと一定としているが、実際には配設誤差によるばらつきがあるため、上記のごとく配設ピッチPmを予め測定しておく。
次いで、各磁気センサ31のセンサ出力Vm及び周辺磁界検知用センサ32のセンサ出力Veを、それぞれ磁界Hm、Heに変換する(ステップS3)。即ち、以下の計算式にセンサ出力Vm、Veを代入して、磁界Hm、Heを算出する。
Hm=(Vm−オフセット電圧)×ゲイン・・・式(1)
He=(Ve−オフセット電圧)×ゲイン・・・式(2)
式(1)、式(2)において、オフセット電圧及びゲインは、上記ステップS1において各磁気センサ31及び周辺磁界検知用センサ32について計測しておいた値である。
これにより得られた各磁気センサ31における補正後の磁界H'mは、図12、図13のように、磁気センサ31の位置xと磁界H'mとの関係を示すグラフにおいて、ある一点Qで磁界0の直線Mと交差する。
即ち、マーカー磁石2の位置xは、以下の式(3)により求めることができる。式(3)において、Δxは、センサ番号nの磁気センサ31からの上記交点Qまでの距離である。
さらに、次の測定を行う場合には、上記ステップS2に戻って、同様の演算を行う。
このようにして、基準位置からのマーカー磁石31の顎開閉方向Aについての位置を求める。これにより、上顎a1と下顎a2との相対位置が、ある一定の基準に対して、どれだけ変動しているかを測定することができる。
上記顎位置測定装置1においては、下顎a2に固定されるマーカー磁石2と、上顎a1に固定されるセンサユニット3とが対向配置される。そして、該センサユニット3に配列した複数の磁気センサ31は、その配列方向の磁気成分を検知することができる。
これにより、マーカー磁石2が固定された下顎a2の位置を、センサユニット3が固定された上顎a1に対する相対位置として算出することができる。
また、上記顎位置測定装置1は、周辺磁界検知用センサ32を有するため、地磁気等の周辺磁界が磁気センサ31に作用したとき、その分の影響を補正して、上記マーカー磁石2による磁気のみを検出することができる。これにより、一層正確な顎位置測定を行うことができる。
以上のごとく、本例によれば、測定精度の高い顎位置測定装置及び顎位置測定方法を提供することができる。
本例は、図15〜図18に示すごとく、上記実施例1において示した顎位置測定装置1及び顎位置測定方法の応用例である。
即ち、図15に示すごとく、上記顎位置測定装置1によって、基準となる上顎a1と下顎a2との相対位置を測定する。次いで、その基準の相対位置から、図16に示すごとく、上顎a1と下顎a2とを閉じる方向(或いは開く方向)に動かした状態において、上顎a1と下顎a2との相対位置を、同じく上記顎位置測定装置1によって測定する。
この2つの測定値から、上顎a1と下顎a2との相対位置の変動量を求める。
上記咬頭嵌合位とは、上下顎の天然歯または人工歯が咬合接触することにより決定される咬合位の一つで、上下顎歯列が最も多くの部位で接触嵌合した状態における顎位置である。
そこで、図15に示すごとく、上記顎位置測定装置1によって、まず下顎安静位を検出し、次いで、そこから安静空隙d分(例えば2mm)咬み込んだ位置を検出する。これにより、図16に示す咬頭嵌合位を検出することができる。
なお、図15、図16に描いた歯は、無歯顎患者の仮想の歯である。
まず、顎位置測定装置1を無歯顎患者に装着すると共に、安静空隙dのデータ(例えばd=2mm)を、パソコン50に入力する(ステップT1)。なお、磁気センサ31の各種較正データについては、実施例1と同様に、センサ基板30におけるマイクロプロセッサ(演算部4)に入力してある。
また、このとき、患者に対しては、上顎a1と下顎a2との相対位置を自然な状態に保つよう指示する。即ち、下顎安静位が得られるようにする。
上記相対位置が安定して下顎安静位にあると判断した時点で、この相対位置をパソコン50に記憶させ、基準値x0とする(ステップT5)。
この咬み込みの過程で、下顎a2の相対位置が、上記基準値x0(下顎安静位)から安静空隙d分、上顎a1に近づいたか否かの判断を行う(ステップT7)。安静空隙d分近づいたと判断したとき、ビープ音や画面表示等により信号を出す(ステップT8)。これと同時に、患者に対して、咬み込みを中止するよう指示する。
この時点の上顎a1と下顎a2との相対位置を、咬頭嵌合位として検出する。
また、このとき得られた蝋堤を基に、入れ歯の高さ、幅等の形状を決定し、入れ歯を作製する。これにより、患者の口に合った入れ歯を容易に作製することができる。
12 下顎固定治具
13 上顎固定治具
2 マーカー磁石
3 センサユニット
31 磁気センサ
32 周辺磁界検知用センサ
4 演算部
5 表示部
Claims (7)
- 上顎と下顎との顎開閉方向の相対位置を測定するための顎位置測定装置であって、
該顎位置測定装置は、上記下顎又は上記上顎に固定されるマーカー磁石と、上記上顎又は上記下顎に固定されると共に上記マーカー磁石に対向して配置される複数の磁気センサからなるセンサユニットと、該センサユニットにおける上記複数の磁気センサのセンサ出力を基に上記上顎と上記下顎との相対位置を算出する演算部と、該演算部の演算結果を表示する表示部とを有し、
上記センサユニットは、上記複数の磁気センサを、互いに間隔を設けると共に配列ピッチを上記マーカー磁石の可動範囲よりも小さくしつつ上記顎開閉方向に配列させてなり、該各磁気センサは、その配列方向の磁気成分を検知することができるよう配設してあり、
上記マーカー磁石と上記センサユニットとは、上記マーカー磁石の着磁軸と上記磁気センサの配列方向とが直交するように配置され、
上記演算部は、上記センサユニットにおける複数の上記磁気センサのうち、上記マーカー磁石の着磁軸を挟む2つの磁気センサを選び出し、該2つの磁気センサのセンサ出力を基に、上記センサユニットに対する上記マーカー磁石の位置を算出することにより、上記上顎と上記下顎との相対位置を算出するよう構成してあることを特徴とする顎位置測定装置。 - 請求項1において、上記磁気センサは、感磁体と該感磁体の外周側に巻回した電磁コイルとを有し、上記感磁体に通電する電流の変化に応じて上記電磁コイルの両端に電位差を発生するMI素子を用いたMIセンサであることを特徴とする顎位置測定装置。
- 請求項1又は2において、上記顎位置測定装置は、上記磁気センサに作用する周辺磁界を検知して、上記磁気センサのセンサ出力を上記周辺磁界の影響分補正するための周辺磁界検知用センサを有することを特徴とする顎位置測定装置。
- 下顎又は上顎に固定されるマーカー磁石に対向した状態で上記上顎又は上記下顎に固定して、上記顎開閉方向の相対位置を測定するための顎位置測定用のセンサユニットであって、
該センサユニットは、複数の磁気センサを、互いに間隔を設けると共に配列ピッチを上記マーカー磁石の可動範囲よりも小さくしつつ上記顎開閉方向に配列させてなり、該各磁気センサは、その配列方向の磁気成分を検知することができるよう配設してあり、
かつ、上記マーカー磁石の着磁軸に対して上記磁気センサの配列方向が直交するように配置することができるよう構成してあることを特徴とする顎位置測定用のセンサユニット。 - 請求項4において、上記磁気センサは、感磁体と該感磁体の外周側に巻回した電磁コイルとを有し、上記感磁体に通電する電流の変化に応じて上記電磁コイルの両端に電位差を発生するMI素子を用いたMIセンサであることを特徴とする顎位置測定用のセンサユニット。
- 請求項4又は5において、上記センサユニットは、上記磁気センサに作用する周辺磁界を検知して、上記磁気センサのセンサ出力を上記周辺磁界の影響分補正するための周辺磁界検知用センサを有することを特徴とする顎位置測定用のセンサユニット。
- 請求項4〜6のいずれか一項において、上記センサユニットは、上記複数の磁気センサのセンサ出力を基に上記上顎と上記下顎との相対位置を算出する演算部を、一体的に配設していることを特徴とする顎位置測定用のセンサユニット。
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