JP7141668B1 - ハンドピース先端部の位置・方位検出装置、ハンドピース誘導システムおよびハンドピース誘導アシストシステム - Google Patents

ハンドピース先端部の位置・方位検出装置、ハンドピース誘導システムおよびハンドピース誘導アシストシステム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、GSRセンサを使用した磁界ベクトルセンサグリッドを開発し、ハンドピースの先端部に設置し、微小な磁石体の位置と方位を検出することを可能にするととも自動的に検出する誘導システムを可能にする。【解決手段】10nT以下の検出力を有する磁界ベクトルセンサと磁界ベクトルセンサグリッドを開発し、磁石体72が発する磁界を計測し、ガウスニュートン法を基礎にした計算方法に、入力データの誤差と数を適切に選択して入力することによって、磁石体の位置と方位を高い精度で検出する。【選択図】図11

Description

本発明は、口腔内の歯にミニ磁石を貼り付けて、ハンドピースに磁界ベクトルセンサグリッドを取り付けて、ハンドピースと磁石体との位置関係を測定して、それを基準にハンドピースの位置と方位を高精度かつリアルタイムに計測する検出装置および誘導システムに関するものである。
歯科のインプラント治療分野においては、インプラント埋設ホールとハンドピースの位置方位関係の高精度な計測とハンドピースを誘導するシステムの開発に関するニーズが高まっている。
光学的な位置方位関係を計測する方法が開発されている(非特許文献1)が、精度が悪くて直接的に口腔内でハンドピースを誘導することができていない。そのため、複雑な間接的な方法、つまり、口腔内の模型を作製し、模型とマウスピースに取り付けた光学的マーカを使って、模型上でハンドピースと光学的マーカの位置方位関係のデータを取りながら、模型上の治療を行い、その際のハンドピースの誘導軌跡をコンピュータに記憶させ、このデータに基づいて実際の治療を自動制御で行うが、その際、口腔内治療箇所とでハンドピースの相対的な位置関係をハンドピースとマウスピースに取り付けた光学的マーカとの位置方位関係を計測して、補正しながら治療を行っている。
磁石式は、口腔内に基準となる磁石マーカを歯に取り付けて、患者側に固定し設置した磁気センサグリッドを取り付けて、ハンドピースの位置と方位を計測するものである。簡便ではあるが、磁石体マーカとしては歯のサイズを最大の大きさとすると、幅4mm、長さ8mm程度の小さなものしか使用できないために優れた測定精度を実現するのは非常に困難である。しかも外部で磁石体マーカが発する微小磁界を感度よく計測する磁界ベクトルセンサは、開発されておらず、その結果現状では磁石式位置決め精度が1~5mmと市場が要求する0.1mm以下の精度と比べると大幅に劣るものしか開発されていない。また既存開発品の測定速さは1Hzと遅く、大幅な改善が求められている。
特許文献1に、磁石式の位置方位算出システムが開示されている。これは、4.8×10-9Wbm程度の磁気モーメントを有するNdFeB磁石(サイズは0.8mm×2.5mm、3個の磁石)を、1nT程度の磁界検出力を有するFGセンサなどからなる3軸の磁界センサを使って、磁石体マーカの位置の計測を可能にしたものである。この開示によると、磁石側が移動し、外部に固定された磁気センサで磁石体マーカの位置をトレースする方法である。ハンドピースと歯に張り付けた磁石体マーカとは、ハンドピースと患者自体にも動きがあり、磁石体マーカの位置も動くというもので、この開示をそのまま活用することはできない。
さらに、位置精度は4mm程度と、インプラント治療が求めている位置精度0.5mm以下に比べると大幅に性能が劣るものである。この主な原因は、磁界ベクトルセンサを使用していないため、3軸の磁界センサの相互の測定値の位置の間に大きなずれがあるためと思われる。本文献には、使用されている3軸磁気センサ(特許文献1、図2)は正確には記載されていないが、磁界センサの径を3mmから5mmと仮定すると,およそ各磁界センサが測定する位置は、1.5mmから2.5mm程度相互にずれることになり、この相互誤差が本開示の位置精度を大幅に損なう原因になっていると思われる。
また、この開示は、磁界ベクトルセンサを使用していないため、ガウスニュートン法に従って計算することができない。そのため、磁界勾配を活用した反復プロセスを行って、測定値と理論値の誤差を最小限にするX、Y、Z、Θ、Φを求めているが、反復プロセスのために計算速度が遅く、リアルタイム性に難点があると思われる。実際特許文献1には測定速度が記載されていない。以上、磁界ベクトルセンサを前提としていない本開示では磁石体マーカの位置を高精度に測定することはできない。
3軸の磁界センサとして、MIセンサを使ったタイプとしては、愛知製鋼(株)の電子コンパス(特許文献2)があるが、これは3個の素子を組み立てたもので、X軸、Y軸、Z軸方向の磁界の測定位置が1mm程度喰い違っており、所定の位置の磁界ベクトルを測定できないものである。また磁界検出力は200nTと劣るものである。本製品を特許文献1の発明に応用しても、磁石体マーカの位置精度の改善は期待できない。位置精度の向上のためには、磁界測定には3軸の磁界センサに代えて、3次元の磁気センサを使ってピンポイントに磁界ベクトルを測定できる磁界ベクトルセンサを利用することが重要である。
磁界ベクトルセンサは、ホールセンサを使った磁界測定器として旭化成(株)の電子コンパス(特許文献3)がある。4個のホール素子と1個のパーマロイ集磁体を組み合わせたもので、センサ素子の間隔は1mm程度でピンポイントの所定の位置での磁界ベクトルの測定が可能であり、サイズは2mmでセンサ間隔を高密度に配置したセンサグリッドを製作することは可能であるが、磁界検出能が10mG(=1000nT)程度しかなくて、微小磁界が計測できないという問題がある。
GMRセンサを使った磁界ベクトルセンサが、特許文献4に紹介されている。これはサイズが2mm×2mmと小さく、検出力は500nT程度で、しかもHx、HyとHzの測定精度が異なるという問題があり、特にHx、Hyの測定精度は800nT程度まで低下してしまう。その結果、微小磁界が計測できないという問題がある。
FGセンサを使った磁界ベクトルセンサとしては、MTI社のnTメータ(非特許文献2)がある。検出力は1nTレベルであるが、サイズが30mmの立方体の6面に素子を張り付けたもので、センサ素子の間隔は30mm程度もあり、ミニ磁石が作る大きな勾配の磁界ベクトルを測定した場合、磁界勾配を測定することになり、特定の位置で磁界測定をピンポイントで測定することはできない。またハンドピースのサイズよりも大きくて、それに貼り付けることができない。
GSRセンサ(特許文献5)を使ったタイプとしては、マグネデザイン(株)の電子コンパス(特許文献6)がある。4個のGSR素子と一対のパーマロイ集磁体を組み合わせたもので、センサ素子の間隔は0.5mm程度で、ピンポイントの所定の位置の磁界ベクトルの測定が可能で、しかも、磁界検出能が測定速さ200Hzで100nT以下とホールセンサやMIセンサよりは優れている。しかし、求められている磁界検出力が測定速さ1KHzで50nT以下と比較すると、不十分である。本製品を特許文献1の発明に応用すると、磁石体マーカの位置精度の改善は期待できるが、磁界検出能が低いので1.5mm程度が限界と思われる。また反復プロセス法である以上、測定速度は1Hz未満にならざるを得ないと考えられる。
検出体に設置した小さな磁石の位置方位を精度良くかつ高速に測定するためには、小型で高い磁界検出力を有する磁界ベクトルセンサの開発が必要である。具体的には、1KHzの測定速度で微小磁界50nT以下の検出能で、4mm×4mm×2mm以下の微小空間内でピンポイントの所定の位置の磁界ベクトルを測定できる磁界ベクトルセンサの開発が求められている。
磁石体の位置と方位の計算アルゴリズムについて、磁界ベクトルセンサグリッドを使って磁石体の位置と方位を同時に求める方法として、非特許文献3に誤差関数を定義して、誤差関数を最小にする座標成分X、Y、Zの三成分を求める方法が記載されている。ただし、θとφの求め方は記載されておらず、誤算関数から座標成分X、Y、Zの三成分および方位θ、φを求める方法は記載されていない。なお、非特許文献3の測定位置誤差は5.5mmと大きく、実用できるレベルのものではない。これは、本文献に記載されている磁界ベクトルセンサは、厳密には3軸センサの測定位置の間には1.8mmのずれがあり、それを無視して磁界ベクトルセンサとみなして計算をしているためと思われる。さらに使用しているセンサのサイズが大きすぎてハンドピースに貼り付けることはできない。
歯科用ハンドピースの磁石式位置方位測定および誘導システムの開発するにあたり、従来の磁石式位置決め方法の精度の向上を図るためには、高性能な磁界ベクトルセンサの開発と小さなハンドピース上にセンサグリッドを設計し、ハンドピースおよび口腔内部の磁石体の動きに関わらず、両者の相対的位置・方位関係を刻々と精度よく測定できる測定システムを開発する必要がある。性能の点では、1Hzから50Hzの測定速さで、0.1mm以下の位置精度と従来の100倍程度の性能を有する装置の開発が求められている。
特開2001-524012号公報 特許第3781056号公報 特開2004-61380号公報 特表2013-518273号公報 特許第6506466号公報 特許第6021239号公報 特許第6021239号公報
近藤尚知、小山田勇太朗:「口腔インプラント治療におけるロボット手術の現状と未来」、日本補綴会誌、13-21,2021 (株)エムティアイ社 ホームページ 製品情報FGS3-1000 永岡隆, 内山明彦著:立石科学技術振興財団助成研究成果集:15 号 52-55ページ(2006年) Y.Honkura, S.Honkura ; JMMM513(2020)167240
本発明は、歯に設置した磁石体をハンドピースに設置した磁界センサグリッドを使って、磁石体の位置と方位関係を計測し、その測定値を利用して、ハンドピースの先端の位置と口腔内の治療位置との相対的位置・方位関係を精度良く測定し、それを使ったハンドピース誘導システムを実現することである。そのために、歯に設置した磁石体とハンドピース先端との位置・方位関係を精度よく測定する技術を開発することである。
本発明は、磁石体マーカとしての磁石体は、交流型電磁石またはパルス型電磁石または永久磁石にて、サイズの幅は6mm以下、長さは10mm以下とし、磁石体マーカの磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmとし、磁石体1個を口腔内の特定の歯に、磁化ベクトルを水平方向(X軸)に向けて設置して、磁石体の中心を原点にして、磁化ベクトルの向きをX軸、磁石体の厚み方向をY軸、長手方向をZ軸とする磁石座標系をCm系とし、
磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースに取り付けたグリッドに、少なくとも5個以上の磁界ベクトルセンサをグリッド状に配置したもので、グリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸をY軸、グリッドの横方向を水平方向X軸とし、グリッドの縦方向をZ軸とする座標系をC系とし、
両座標系の位置関係と方位関係を、1Hzから50Hz以下の測定速さで、位置精度0.1mm以下で、方位精度1度以下で測定することを可能とするハンドピースの位置・方位検出装置に関するものである。
そのための技術開発課題として、第1の課題は、検出力が1KHzの測定速度にて、50nT以下の検出力を有する磁界ベクトルセンサの開発である。小型で微小磁界を検出することができるセンサとしてGSRセンサが開発されており、本発明はGSRセンサを使って、ピンポイントの測定位置の磁界(Hx、Hy、Hz)をHx、Hy、Hzの測定誤差を同じとすることができる磁界ベクトルセンサの構造を考案することである。
第2の課題は、磁石体の設計に関するものである。磁石体のサイズは、歯に張り付けることができるほどの小さなサイズで、しかも20mmから100mmも離れた位置においても位置精度を0.1mm以下、方位精度を1度以下の精度でもって、計測することを可能にする必要がある。しかも周辺の磁界環境の変動、特にハンドピースに移動による変動の影響を受けないようにする工夫が必要である。さらに、歯に設置した1個の磁石体を使って、磁石座標系Cm系を特定する工夫が必要である。
第3の課題は、ハンドピース上に幾何学的にデザインされた磁界ベクトルセンサグリッドを設計することである。磁界ベクトルセンサグリッドの磁界ベクトルセンサ数が増えるほど位置・方位計算の精度は向上するが、設置する磁界ベクトルセンサが多くなるほど、ハンドピースのサイズが大きくなり、作業性を害するので、磁界ベクトルセンサを適切に配置することが重要である。
第4の課題は、精度よくかつリアルタイム性に優れた磁石体の位置と方位を計算する計算プログラムの考案である。磁界ベクトルセンサグリッドで、磁石体マーカが発する磁界ベクトルを各測定点で磁界ベクトルとして測定した場合、反復プロセスを必要とせず、測定値と理論値のずれを誤差として、それらを加算した関数として誤差関数を定義して、その最小値からX、Y、Z、およびθ、φを計算する方法は、ガウスニュートン法として広く知られている。この原理を用いて、磁石性能、センサ性能、センサの数と配置、磁石体マーカと磁界ベクトルセンサグリッドの距離および磁界ベクトルセンサをグリッドに配置する対象品の形状とサイズなどを考慮して、実際の計算プログラムを考案することは設計パラーメータの選択とは言えない難しさがある。
第5の課題は、磁界ベクトルセンサグリッドを利用してハンドピースの先端と口腔内の治療位置との相対的位置関係を求めて、所定の治療位置にハンドピースの先端が、位置ずれが0.1mm以下、方位ずれが1度以下となるように、誘導することができる誘導システムに関するものである。
第6の課題は、ハンドピースの誘導中に患者が動いた場合の対策である。
従来方法は、装置に固定したグリッド系(言い換えれば装置の座標系)において、移動する磁石体の位置と方位を求めるもので、装置と磁石体の位置関係がそのまま把握できるというものであった。しかし、本発明の対象は、ハンドピースは方位と位置が変動し、磁石体の位置と方位も患者の動きによって微妙に変動する場合である。つまり、両者は稼働的なもので、単に両者の相対的位置・方位関係を求めるだけでは、ハンドピースを操作する術者またはロボットなどの機械的な制御装置からはハンドピースの位置・方位がつかめず、制御に必要な情報を得ることができない。このような、稼働的なグリッド系と磁石を対象とした位置・方位を測定するアルゴリズムを新たに考案する必要がある。
本発明は、磁石体、磁界ベクトルセンサ、磁界ベクトルセンサグリッド、センサグリッドデータ処理回路および位置・方位計算プログラムとそれを内蔵したデータ処理装置およびハンドピース誘導システムとからなっている。
そこで、本発明者は、まず第1の課題である高い検出力を有する磁界ベクトルセンサの開発に取り組んだ。
GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサとしては、特許文献6、7に開示されているように、200Hzの測定速度で100nT以下の検出力を有し、サイズは集積回路のサイズ1.4×1.4mmを考えると2×2mm程度のものである。
ここで、GSRセンサについては、特許文献5に詳細に記載されており、本発明において引用する。GSRセンサは、図1に示すように、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個の電極を接続する配線で構成されるGSR素子、およびその磁性ワイヤにGHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路(図2)とからなる超高感度マイクロ磁気センサである。
本発明者は、GSR素子の長さを長くし、コイル巻き数を増加し、パーマロイの形状と磁気回路を工夫してZ軸方向の磁界Hzの集磁力を強化することや、ASIC表面に直接形成し電極用ビアホールでASIC回路と接続するによって、センササイズはそのままにして、磁界ベクトルセンサの性能を1KHzの測定速度で50nT以下の検出力へと向上させることができ、この一体式の磁界ベクトルセンサを本発明に用いることにした。なおASICとは、特定用途用集積回路である。
この一体式の磁界ベクトルセンサについて、図3、4により説明する。
ASIC31の上に原点を中心にしてX軸方向にX1素子、X2素子を対称的に配置し、X軸方向と直交するY軸方向にY1素子、Y2素子を対称的に配置する。各素子はASICの上面に塗布され、溝が加工されたレジスト層に磁性ワイヤ32が配置され、磁性ワイヤ32を周回する検出コイル、4つの電極(33、34)が形成されている。4つの電極(33、34)は連結用電極ホール38を介してASICと接続される。原点には磁性ワイヤ32の上部に上部軟磁性体35が1個形成され、4個の素子の原点とは反対側の端部には磁性ワイヤ32の下部に下部軟磁性体36がそれぞれ形成されている。
この構成により、X軸方向およびY軸方向の磁界を検出するとともにZ軸方向の磁界は上部軟磁性体35により集磁391(又は放磁)され、磁性ワイヤ32を介して下部軟磁性体36により放磁392(又は集磁)されることによって検出される。したがって、原点における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)が検出される。
GSRセンサは、1MHzから5MHzの速度で磁界を計測し、それを平均化して、200Hzから500KHzの測定速度で出力して用いられている。GSRセンサの検出力は磁性ワイヤの長さに比例して向上する。本発明者は、1kHzの測定速度で5nT以下の微小磁界を微小空間範囲で測定するために、磁性ワイヤの長さ1~2.4mmと長くしたGSR素子をASIC表面に直接成形し、小型のOn-ASICタイプのGSRセンサ(非特許文献4)を製作し、それを使って組み立て式の磁界ベクトルセンサを開発し、本発明に使用することにした。
組み立て式の磁界ベクトルセンサは、図5、6に示すように、On-ASICタイプのGSRセンサ41(サイズは、長さ2mm、幅1mm)の4個を、四角錐台40の稜線部402の4つの斜面に、4回対称かつ鏡面対称に貼り付けたものである。サイズは、底辺は最大6mmで、台座の高さは、最大2mmである。傾斜角度θsは、20度から45度とした。なお、on-ASICタイプのGSRセンサについては、本発明者により特開2019-191016号公報で詳細に記載されており、本発明において引用するものである。
本発明は、小型で高性能の磁界ベクトルセンサを使用するものであって、上記二つの発明品の使用に限定されるものではない。
第2の課題は、磁石体の設計に関するもので、歯に張り付けることができるほどのサイズで、しかも2cmから10cmも離れた位置で、位置精度を0.1mm以下、方位精度を1度以下にて磁石座標系Cm系における磁石体の位置と方位の測定を可能にする必要がある。しかも周辺の磁界環境の変動、特にハンドピースの移動による変動の影響を受けないようにする工夫が必要である。
そこで、発明者は、先ずパルス磁界型電磁石を考案した。
磁界ベクトルセンサは、振動する磁界を検知し、周辺磁界の影響を排除することができる。製作した電磁石のパルス周期は、50Hzから1KHz、パルス幅は0.1m秒から5m秒とした。励磁電流Iは、磁針素材を飽和することができる強さ、すなわちコイルの磁化力Hが保磁力Hcの5倍以上となるようにコイル巻き数を考慮して電流強度を決めた。
次に、交流式電磁石を考案した。
この場合、GSRセンサのノイズフィルターのバンドパスフィルターを指定された周波数を優先的に検知できるように設定する。電磁石の周波数は10Hzから1KHzとした。励磁電流Iは、磁針素材を直線的に磁化できる磁化力の範囲、およそ保磁力Hcの0.5倍以下として、コイルの磁化力HがH<0.5Hcとなるように、コイル巻き数を考慮して電流強度を求める。
最後に、永久磁石を使用する場合には、周辺磁界の影響を受けやすいので、可能な限り大きな磁石、例えば、20×10-9~100×10-9Wbm程度を使用し、その上で、特別な対策が必要である。ハンドピースの初期位置と治療位置を設定しておき、両位置での周辺磁界を測定しておく。つぎに患者を手術の際の所定の位置に固定して、ハンドピースのグリッドセンサを使って、患者の歯に設置した磁石からの磁界を測定して、両者の差分を磁石からの磁界の測定値として、その測定値を使って、初期位置および治療位置での位置は、ハンドピースの位置を求めることにする。また磁界測定中には、ハンドピースを稼働させないことにする。さらに、非磁性素材を使ったハンドピースを用いることが好ましい。
さらに、第2の課題において、歯に設置した1個の磁石体を使って、磁石座標系Cm系を特定する工夫が必要である。この点に対しては、通常の磁石体は、反磁界を小さくするために磁化方向と長手方向が一致している。このような磁石体を使った場合、磁化の向き(=磁石体マーカの長手方向)を歯の長手方向に合わせて、垂直方向に張り付けてZ軸とすると、磁石体の幅方向が水平方向になるが、水平方向は360度存在し、特定の方向をX軸に指定できない。そこで、磁石体の幅方向を磁化の向きとした電磁石を製作し、磁石体の長手方向を垂直方向にして歯に貼り付けてZ軸とし、その磁石体の磁化方向をX軸として、X軸とZ軸からY軸を求めて、磁石体の中心を原点にした磁石座標系Cm系を設定して、この問題を解決した。
以上の結果、交流型電磁石、パルス型電磁石および永久磁石のサイズ幅は6mm以下、長さは10mm以下とし、磁石体の磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmとし、磁石体1個を口腔内の特定の歯に磁石体の幅方向を垂直方向(Z軸)に、磁化ベクトルを水平方向(X軸)に向けて設置して、磁石体の中心を原点Omにして、磁化ベクトルの向きをY軸、磁石体の厚み方向をY軸、長手方向をZ軸とする磁石座標系をCm系とする。磁石体の垂直方向の貼り付け誤差は、0.5度以下が好ましい。
第3の課題である磁界ベクトルセンサグリッド(センサグリッドという。の設計については、ハンドピースを口腔内に挿入するために空間的制約および形状の制約を強く受ける。磁界ベクトルセンサ(以下、センサという)の数が多いほど、かつ磁石に近いほど磁界ベクトルセンサグリッドの性能は向上するが、幾何学的配置が難しくなる。
本発明では、ハンドピースの先端の円筒部に5個以上のセンサを円筒状に配置したグリッド(一例を図7に示す。)と、ハンドピースの先端部にグリッド板を配置し、そこに9個以上のセンサを配置したグリッド(一例を図8に示す。)を試作した。
磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸の向きをY軸、センサグリッドの横方向(水平方向)をX軸とし、センサグリッド板の縦方向(垂直方向)をZ軸とする座標系をC系としている。
磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点Ohにし、ハンドピース軸をY軸、センサグリッド板の水平方向をX軸とし、センサグリッド板の縦方向をZ軸とする座標系をC系とし、ハンドピースに加速度センサを設置して、Y軸は水平に保ち、グリッドセンサ面であるXZ面を垂直面に保つことにする。ハンドピースの初期位置は、ハンドピースのC系のXZ面と磁石座標系Cm系のXZ面が対向するように向けることにして、Y軸に沿ってハンドピースを口腔内に近づけて、ハンドピースの先端を口腔内の指定された治療位置に誘導していくことにする。この過程でハンドピースの先端と磁石の位置・方位関係は磁界ベクトルセンサグリッドを使って計測し、そのデータをセンサグリッドデータ処理回路に転送する。
センサグリッドデータ処理回路は、磁界ベクトルセンサグリッドにより計測した測定データを高速で処理する機能を有し、データ処理装置は、C座標系の原点から磁石体の位置(X、Y、Z)および方位Θ、Φをガウスニュートン法により計算する。ここで、Θは両系のXY面の角度ずれでZ軸回転することにより一致させることができる。ΦはZX面の角度ずれでY軸回転することにより一致させることができる。
磁界ベクトルセンサグリッド基板は、各センサとマルチプレクサMUXとを連結し、次の全データが最終MUXと連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線は、図示していないが、電源配線VDDとグランド配線GNDとが各センサに連結して、センサグリッド稼働時にはすべての磁界ベクトルセンサに電源が供給できるようにしている。グリッド電子回路基板は、ハンドピース本体に設置することが好ましい。
センサグリッドの組み立て精度については、極力小さくすることが求められて、10μm以下の精度が好ましい。
第4の課題は、精度よくかつリアルタイム性に優れた磁石体の位置と方位を計算する計算プログラムの考案である。
本発明者は、磁界ベクトルセンサグリッドで、磁石体が発する磁界ベクトルを各測定点で磁界ベクトルとして測定した場合、反復プロセスを必要とせず、測定値と理論値のずれを誤差として、それらを加算した関数として誤差関数を定義して、その最小値からX、Y、ZおよびΘ、Φを計算する方法は、ガウスニュートン法として広く知られている。この原理を用いて、磁石性能、センサ性能、センサの数と配置、磁石体マーカとセンサグリッドの距離およびセンサグリッド配置する対象品の形状とサイズなどを考慮して、実際の計算プログラムを考案することは設計パラーメータの選択とは言えない難しさがある。
この課題を解決するために、本発明者はまず磁石体マーカから発する磁界を磁界ベクトルセンサグリッドで磁界測定を行い、そのデータをガウスニュートン法により、磁石体マーカの位置・方位を計算するプログラム(図9)を作成した。
ガウスニュートン法に基づく位置と方位を同時に求める計算プログラムは次の通りである。前記磁界センサグリッドの中心を原点Ohにして、グリッド面をXY平面、XY平面に垂直軸をZ軸としたC座標系を指定して、前記磁石体マーカ( )の位置を(X、Y、Z)とし、方位は、Z軸に対する回転角をΘとし、Y軸に対する回転角をΦとして、さらにセンサのグリッド上の配置位置をグリッドの原点Ohを中心に、横方向に-iから+i、縦方向に-jから+jの位置(i,j、0)とし、これらの位置にある磁界ベクトルの測定値を使って、磁石体マーカ( )の位置X、Y、Zと方位Θ、Φを以下の要領で計算するものである。
(1)先ずステップ101にて、センサグリッド位置(i,j、k)における磁気を計測して磁気測定値H(→)ijkを求める。
(2)ステップ102にて、センサの測定誤差の値Nの割合S/Nが、500以上となることを確認する。
(3)次に、ステップ103にて、磁石体マーカ( )がセンサグリッドの(i,j、k)番目のセンサ位置であるPijkに作る磁気の理論値H(→)ijkを式(1)から求める。ここでまた磁石の傾きをZ軸に対する回転角をφ、X軸に対する回転角をθとする。ここで、磁石体マーカ( )と位置Pijkまでの距離ベクトルを ijkとする。
H(→)ijk = 1/4πμo {-M(→)/rijk 3 +3(M(→)・ r(→)ijk )r(→)ijk /rijk 5 }・・・(1)

(4)次に、ステップ104にて、磁気理論値と磁気測定値との差を測定誤差εijkとして、求める。
ijkH(→)ijkH(→)ijk
(5)次に、ステップ105にて、ステップ103により求めた測定誤差εijの誤差関数Eijを誤差の平方和として求める。
ijk=Σeijk
(6)次に、ステップ106にて、ガウスニュートン法で、ステップ104により求めた誤差平方和が最小となるx、y、z、θ、φを、以下の連立方程式を使って求める。
∂Eijk/∂x=0、∂Eijk/∂y=0、∂Eijk/∂z=0、
∂Eijk/∂φ=0、∂Eijk/∂θ=0
(7)次いでステップ107にて、上記方程式から座標系Oh―XYZにおける磁石体マーカの位置X、Y、Zと磁石の磁化の向きΘとΦを求める。
X=x+d×a、Y=y+d×b、Z=z、Θ=θ、Φ=φ
グリッド板は60mm×60mm、そこに10nTの検出力を持つ磁界ベクトルセンサを、列間隔は30mm、横間隔は15mmとして、3列5個に15個配置し、ハンドピース軸上の3cm歯に近い位置に1個を配置した合計16個のセンサグリッドを製作した。この磁界ベクトルセンサグリッドで歯に貼り付けた20×10-9Wbmの強さの磁石体マーカが発する磁界を測定するとして、上記計算プログラムを使って、磁石体マーカの位置と方位を計算して求めることにした。
誤差を確認する実験は、高さを40mmと基準点として固定し、磁石体マーカをX、Y、Z方向に±10mmの移動およびθとφを±30度回転を繰り返して、もとの位置に戻るたびに位置測定を繰り返して、そのばらつきを測定した。その結果、計算誤差を確認して、位置誤差は0.1mm以下、方位誤差は0.5度以下と、良好な測定誤差範囲で計算できることを確認した。
計算プログラム上で、磁石の磁気モーメントを1×10-9~200×10-9Wbmまで変化させてさらにセンサノイズを0.1nT、1nTおよび10nTと変えて入力して、た。また測定を繰り返して位置方位計算の誤差に対する磁気モーメントとセンサ性能の影響を調査した。その結果は、位置X、Y、Zの位置精度は、磁石体マーカからの距離に強く依存するが、言い換えれば磁石体とセンサグリッド面との距離に依存する。
その結果、図10(a)に示すように、磁気モーメントが増加するほど位置精度は向上した。磁気モーメントが、4倍になると精度が4倍、9倍になると9倍、100倍になると100倍改善し、センサノイズを0.1nT、1nTおよび10nTと変えて調査した結果、センサ性能を10倍にすると位置計算精度は10倍向上することが分かった。
同様に、方位精度計算の結果、図10(b)に示すように、磁気モーメントが増加するほど方位精度は向上した。なお、Y方向の位置精度およびφ角の方位精度に及ぼす磁気モーメントの影響と磁界センサ間隔の影響についても同様の結果が得られた。
以上の結果から、本発明では、0.1mm以下の位置精度と1度以下の方位精度を得るために、磁石体マーカの磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmおよび磁界センサの検出力を50nT以下とすることにした。
本発明は、磁石体は交流型電磁石またはパルス型電磁石とし、サイズ幅は4mm以下、長さは10mm以下とし、磁石体の磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmとし、磁界ベクトルセンサグリッドに用いた磁気センサの検出力を0.1~10nTとした。交流型電磁石またはパルス型電磁石を使用する場合は、磁界の変動幅を磁石から発すル磁界の強さと判断して計測値とするプログラムを付加して、周辺磁界の影響を取り除いた。
永久磁石を使用する場合には、事前に周辺磁界分布を測定しておき、ハンドピースの位置に合わせて補正磁界を計算プログラムに取り組み、測定磁界から補正磁界を引き算するプログラムを付加した。また、このケースの場合、ハンドピースの稼働を停止、つまり電力が供給されていな状態にしておくことが必要である。そして、できるならハンドピースは非磁性であることが好ましい。
第5の課題は、センサグリッドを利用してハンドピースの先端と口腔内の治療位置との相対的位置関係を求めて、所定の治療位置にハンドピース先端が、位置ずれが0.1mm以下、方位ずれが1度以下となるように、誘導することができる誘導システムを考案することである。
そのために、本発明者は、患者の口腔内の治療位置を、3次元X線CT画像上で、歯に取り付けた磁石体を原点に指定し、磁石体とハンドピース先端との相対的関係をセンサグリッドで計測し、その測定値を使って、以下に示す方法を考案した。
患者の口腔内の治療位置は、3次元X線画像上で、磁石体の中心を原点Omとして、磁化の向きをX軸、磁石の長手方向をZ軸、XZ平面に垂直な向きをY軸とした磁石座標系Cm系を設定し、Cm系において、治療位置の中心点をB点(以下、治療位置Bという。)として、B点の位置をOmB=(Bx、By、Bz)とする(図11)。
また発明者は、ハンドピースに3軸加速度センサを取り付けて、傾斜度を測定し、それをつかってハンドピースのY軸を水平に維持し、ハンドピースの先端近くに磁気ベクトルセンサグリッドを取り付けて、グリッドの原点をOhとして、ハンドピースの長手方向をY軸とし、グリッドの横方向をX軸、縦方向をZ軸として、座標系C0とした。ハンドピースのドリルの先端位置をA点(以下、先端位置Aという。)とし、その位置をOhA=(0、L、―H)とした。なお、患者の開口した口腔部が手術中に動かないように、患者の顎顔面部を手術用ホルダーで固定しておく。
両座標系の相対的な初期位置として、C1系のXZ面とCm系のXZ面が対面するように向け、ハンドピースの先端を磁石に近づけて、ハンドピースの先端の初期位置とし、この初期状態におけるハンドピース上のグリッド系をC1系とした。
次に、その状態で、まずグリッドを使って座標系C1における磁石の位置R1と方位(θ、φ)を計算し、その計算値を使って、C1系の方位はZ軸を回転軸に-θ度回転させ、Y軸を回転軸に-φ度回転させて、両座標系の方位関係を一致させた。この状態のハンドピース系をC2系とした。
C2系から見て、A2B2=OmB2+R2-OhA2となる。ここで、C2系とCm系の方位は一致しているので、OmB2=OmB1になり、OhA2は、C系のベクトル量なので、OhA1と同じになる。R2は、C1系で求めたベクトル量なので、座標系の回転に対応して、R2=Ry(φ1)Rz(θ1)R1となる。
両系の相対的な位置と方位関係が把握できたので、治療位置に向けての進入パスを、3次元X線画像上で選択し、そのパスに沿って、ハンドピースの先端Aを治療位置Bに移動させる。最も基本的なパスは、ハンドピースの先端位置Aをまっすぐに治療箇所Bに移動させることである。R2とA2B2の水平面上の角度αを、両ベクトルの内積から求める。次に、Z軸を回転軸にα度回転させて、Y軸を点B2に向け、この状態をC3系とする。
C3系において、グリッドを使って磁石の位置R3と方位(θ、φ)を計算し、A3B3=OmB3+R3-OhA3となる。ここで、OmB3=R(-α)OmB2を求める。OhA3は、C系のベクトルなので変化はしない。
A3B3とZ軸(0,0,1)の角度から、Y軸の傾斜角βを求めて、C3系をX軸の回転軸にβ度回転させて、Z軸を点Bの方向に向け、その状態をC4系とする。
C4系で、グリッドを使って磁石の位置R4と方位(θ、φ)を計算し、A4B4=OmB4+R4-OhAを求める。ここで、OmB4=R(-β)OmB3である。
進入パスの方向と距離が決まったので、そのパスに沿って、ハンドピースの先端位置A治療位置Bに移動させて、その時の座標系をC5系とする。C5系で、グリッドを使って磁石の位置R5と方位(θ、φ)を計算し、R5≒0を確認する。
インプラント埋入するための穴加工を行う。穴加工の方向は、X軸を回転軸にEx度、Y軸を回転軸にEy度傾斜している方向で、穴の深さはDとすると、まずX軸を回転軸に(Ex-β)度回転させて、Y軸方向に(Ex-B)×hだけ水平移動させる。つぎにY軸を回転軸にEy度回転させて、X軸方向にEy×hだけ水平移動させる。この状態をC6系とする。C6系で、グリッドを使って磁石の位置R6と方位(θ、φ)を計算し、R6≒0を確認する。
ハンドピースの向きと位置を確認した後、ドリルを回転させながら、ハンドピースを距離Dだけ移動させて、C7系とする。C7系で、グリッドを使って磁石の位置R7と方位(θ、φ)を計算し、R7-R6≒Dを確認する。
確認後、ハンドピースを進入パスの逆ルートで初期位置まで戻す。以上の要領でハンドピースを誘導することができる。
第6の課題は、固定用ホルダーで患者の顎顔面部を固定しておくが、それでも患者がハンドピース誘導中に、動いた場合の対策については、常時位置方位を計測しておき、ハンドピースの移動量から計算できる変化量と1mm以上異なる場合、移動を一時停止して、その状態をC1系として、上記誘導操作を再開して、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保する。
または、CCDカメラでCCDカメラ系Caと口腔内の歯列系Cbの角度を初期設定しておき、患者の顎顔面部が移動して歯列系CbがCa系に対して、位置移動量が1mm以上の変化が確認きた場合は移動を一時停止し、その状態をC1系として上記誘導操作を再開し、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保する。
本発明により、デンタル治療に於ける口腔内でのハンドピースの精密な位置と方位が測定できて、しかもハンドピースを正確に誘導することが可能となり、インプラント治療のロボット化を実現することができるようになると期待される。
GSR素子の平面図である。 GSRセンサ用の電子回路図である。 GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサ(一体式タイプ)の平面図である。 GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサ(一体式タイプ)のA1-A2線の断面図である。 GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサ(組み立て式タイプ)の平面図である。 GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサ(組み立て式タイプ)のB1-B2線の断面図である。 ハンドピースの先端に設置した円筒型グリッドセンサの斜視図である。 ハンドピースの先端部に設置したグリッド板型配グリッドセンサの斜視図である。 計算プログラムのフローチャートを示す図である。 (a)は位置精度に及ぼす磁石の磁気モーメントの影響を示し、(b)は方位精度に及ぼす磁気モーメントの影響を示す図である。 誘導プログラムのフローチャートを示す図である。 ハンドピースの誘導システムの概念図である。 誘導システムにおける初期状態の座標C1系を示す図である。 誘導システムにおける移動開始状態の座標C3系を示す図である。 誘導システムにおける治療位置(B4)状態の座標C4系を示す図である。
本発明の第1実施形態は、以下の通りである。
歯に磁石体を貼り付けて、ハンドピースの位置・方位検出装置は、磁石体1個を口腔内の特定の歯に磁石体マーカの長さ方向を垂直方向(Z軸)にし、磁化ベクトルを水平方向(X軸)に向けて設置して、前記磁石体の中心を原点Omにして、磁化ベクトルの向きをX軸、磁石体の厚み方向をY軸、長手方向をZ軸とする座標系Cmとし、口腔内の治療位置の中心点をB点(以下、治療位置Bという。)として、、磁石体マーカの中心からの位置関係をOmBと定めておき、
前記ハンドピースは、本体に3軸加速度センサと、磁界ベクトルセンサからなる磁界ベクトルセンサグリッドを有し、
前記3軸加速度センサは、前記ハンドピースの本体に設置し、水平面に対する前記ハンドピースの傾斜角ηを計測し、その測定値を前記データ処理装置に転送する機能を有し、
前記磁界ベクトルセンサグリッドは、前記ハンドピースの患者の口腔側の先端近くに設置され、前記磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点Ohにし、前記ハンドピースの軸をY軸、前記磁界ベクトルセンサグリッドのグリッド板の横方向をX軸とし、グリッド板の縦方向をZ軸とする座標系C系とし、前記磁石体が発する磁界を測定し、測定データを前記センサデータ処理装置に転送する機能を有し、
さらにハンドピースのドリルの先端位置をA点(以下、先端位置Aという。)として、として、座標系Cとし、グリッドの中心からの位置関係をOhAと定めておき、
センサデータ処理装置は、前記3軸加速度センサおよび前記磁界ベクトルセンサグリッドより検出された測定値およびOmBとOhAの固定値とを一体的に処理して、腔内の治療位置とハンドピース先端部の位置・方位関係を算出する機能を有し、およびそれらの値を術者に知らせる表示装置とからなり、
前記センサデータ処理装置は、前記磁界ベクトルセンサグリッドの測定値を使って、前記C系による前記磁石体マーカの位置X、Y、Zおよび方位θ、φを計算し、また加速度センサの測定値を使って、方位ηを計算して、C系とCm系の方位関係および原点間の距離を計算し、さらにCm系のデータOmBをC系に座標転換することによって、口腔内の治療位置とハンドピース先端部の位置・方位関係を計算し、術者に知らせることを特徴とするものである。
各構成要素を具体的に以下に説明する。
<磁石体>
磁石体としては、パルス型電磁石、交流型電磁石または永久磁石とし、サイズ幅は4mm以下、長さは10mm以下とし、磁石体マーカの磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmとする。磁石体マーカは歯に設置できるほど小さいことが必要であるが、小さいと磁気モーメントが小さくなって発生する磁界が弱くなり、位置決め精度が低下することから上記のサイズとする。
パルス磁界型電磁石は、パルス周期は、50Hzから1kHz、パルス幅0.1秒から5m秒とした。励磁電流Iは、磁針素材を飽和することができる強さ、すなわち磁化力Hが保磁力Hcの5倍以上となるようにコイル巻き数を考慮した電流強度とする。
交流式電磁石は、磁性体にコイルを巻き付けたもので、周波数は10Hzから10kHzとする。励磁電流Iは、磁針素材を直線的に磁化できる磁化力の範囲、およそ保磁力Hcの0.5倍以下として、磁化力HがH<0.5Hcとなるように、コイル巻き数を考慮した電流強度とする。
永久磁石を使用する場合には、周辺磁界の影響を受けやすいので、可能な限り大きな磁気モーメント、例えば、20×10-9~100×10-9Wbm程度を有する磁石体マーカを使用する。そのために、BHmax30MGOeから55MGOeの性能を有する希土類磁石を防錆処理して用いる。本発明は特定の磁石材質に限定されるものではないが、できるだけ磁力が大きい磁石を使用することが好ましい。
<磁界ベクトルセンサ>
GSRセンサは、1MHzから5MHzのパルス周期で磁界を繰り返し高速で測定し、それを平均化して、200Hzから1KHzの測定速度で出力する。
GSRセンサを使った磁界ベクトルセンサとしては、3次元GSR素子をASIC表面と直接形成した一体式タイプ(図3、4)と、On-ASICタイプのGSRセンサ(サイズは、長さ2mm、幅1mm)の4個を、四角錐台の稜線部の4つの斜面に、4回対称かつ鏡面対称に貼り付けた組み立て式タイプ(図5、6)を用いる。
一体式タイプは、1kHzの測定速度で50nT以下の検出力を有し、サイズは幅1.2mm×長さ1.2mm×高さ1mmから幅2mm×長さ2mm×高さ2mm程度のものである。
組み立て式タイプは、1KHzの測定速度は5nT以下で、サイズは幅5mm×長さ5mm×高さ2mm以下の超小型で磁界検出力の優れた組み立て式の磁界ベクトルセンサである。
本発明は、小型で高性能の磁界ベクトルセンサを使用するものであって、上記二つのタイプの使用に限定されるものではない。
磁界ベクトルセンサは、磁石体から発する磁界と周辺磁界と同時に測定するので、その測定値から周辺磁界の影響を排除して磁石体から発する磁界だけを検知して用いる。
パルス磁界型電磁石と交流式電磁石の場合、検出した磁界の変動幅を磁石体マーカから発する磁界とした。永久磁石の場合、あらかじめ周辺磁界を測定しておき、測定値からその値を差し引いて補正する。
<磁界ベクトルセンサグリッド>
磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースを口腔内に挿入するために空間的制約および形状の制約を強く受ける。
磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースの先端部に磁界ベクトルセンサを幾何学的に取り付けたもので、磁界ベクトルセンサがセンサグリッド体に3~25mmの磁界ベクトルセンサ間隔にて5個以上配置され、センサグリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸の向きをY軸、センサグリッドの横方向(水平方向)をX軸とし、センサグリッド板の縦方向(垂直方向)をZ軸とする座標系をC系としている。
第1実施形態は、ハンドピースの先端の円筒部に図7に示す9個の磁界ベクトルセンサを幾何学的に配置し、それをグリッド体とする。
磁界ベクトルセンサグリッドは、各磁界ベクトルセンサとマルチプレクサMUXと連結し、次の全データが最終MUXと連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線は、図示していないが、電源配線VDDとグランド配線GNDとが各磁界ベクトルセンサに連結して、センサグリッド稼働時にはすべての磁界ベクトルセンサに電源が供給できるようにしている。グリッド電子回路基板は、ハンドピース本体に設置することが好ましい。
センサグリッドの組み立て精度については、極力小さくすることが求められており、10μm以下の誤差が好ましい。
<磁界ベクトルセンサグリッドによる計測>
磁界ベクトルセンサグリッドによる磁石体マーカの計測については、グリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸をY軸、グリッド板の水平方向をX軸とし、グリッド板の縦方向をZ軸とする座標系をC系とし、ハンドピースに加速度センサを設置して、Y軸は水平に保ち、グリッドセンサ面であるXZ面を垂直面に保つことにする。
ハンドピースの初期位置は、ハンドピースのC系のXZ面と磁石のCm系のXZ面が対向するように向けることにして、Y軸に沿ってハンドピースを口腔内に近づけて、ハンドピースの先端を口腔内の指定された治療位置に誘導していくことにする。この過程でハンドピースの先端と磁石の位置・方位関係を磁界ベクトルセンサグリッドにより計測し、そのデータをセンサグリッドデータ処理回路に転送し、そこで、磁界ベクトルセンサグリッドにより計測した測定データを高速で処理する。
<データ処理装置における計算>
データ処理装置では、グリッドによる磁石体マーカの測定値を使って、磁石体マーカの位置と方位を算出する。C座標系の原点から磁石体の位置(X、Y、Z)と方位Θ、Φをガウスニュートン法により計算する。
その計算方法は、図9に示す通りで、C座標系における前記磁石体(M(→))の位置を(X、Y、Z)とし、磁化ベクトルの向きをX軸に対する回転角をΘとし、Z軸に対する回転角をΦとして、磁石体の位置と方位(X、Y、Z、ΘおよびΦ)を、ガウスニュートン法に従って、

(1)C座標系に固定された磁界センサグリッドの各磁界ベクトルセンサの位置(i,j)における磁界ベクトルH(→)ijを計測し(ステップ101)、
(2)その絶対値がS/N比で500倍以上あることを確認(ステップ102)し、
(3)磁石体(M(→))が、C座標系に対して、位置(x、y、z)および方位(θ、φ)にあるとして、前記磁界センサグリッドの位置(i,j)がつくる磁界ベクトル
H(→)ijの理論値を計算し(ステップ103)、
(4)測定誤差を、eijH(→)ijH(→)ijにより計算し(ステップ104)、
(5)誤差の平方和を、Eij=Σeij により計算し(ステップ105)、
(6)誤差平方和を最小とするx、y、z、θ、φを算出して(ステップ106)
(7)磁石体の位置X、Y、Zおよび方位Θ、Φを求め(ステップ107)、
位置精度0.5mm以下、方位精度1度以下、測定サンプリング速度は1~50H
zで位置・方位を測定し、データを1Hzから50Hzの速度で計算する方法であ
る。この方法により、センサグリッドでCh系における磁石体の位置と方位を、位置
精度0.1mm以下、方位精度1度以下で測定することができる。
本発明の第2実施形態は、第1実施形態を利用して、ハンドピースの先端位置A治療位置Bに誘導するための方法で、図11により説明する。
まず、3次元のX線CT画像マップから、口腔内の磁石体マーカの位置を特定し、磁石体マーカの中心点Omと磁化の向きをX軸、磁石体の縦方向をZ軸とするCm系を想定して、治療位置Bの位置と方位を指定する。
次に、センサグリッドでC系における磁石体の位置と方位を測定し、その磁石体の向きθ、φの測定値を使って、C系をC系のZ軸を回転軸に-θ回転で、両系のXY面の角度ずれを、C系のY軸を回転軸に-φ回転でZX面の角度ずれを、それぞれ修正し、両系の方位を一致させることができる。
回転後のC系における、Cm系における治療位置Bの座標点をC系のそれに変換することによって、C系におけるベクトルABを求めることができる。このベクトルABによって、ハンドピースの先端位置A治療位置Bとの相対的な位置方位関係が指定できる。
<誘導システム>
この方法を使ったハンドピースを、自動制御装置のロボットハンドで把持して歯の治療を行なう誘導システムは、図12に示す手順で行うものである。
(1)あらかじめ、ハンドピースC系におけるハンドピースの先端位置Aの座標位置と、口腔内の磁石系Cmにおける治療位置Bの座標位置、および穴あけ加工の向きY軸を回転軸にβ角回転、次にX軸を回転軸にγ角回転と穴の深さHを入力しておき、ハンドピースのY軸を水平に維持して、歯に設置した磁石の近くに保持し、その状態を誘導システムの初期位置として、この状態の座標系CをC1(図13)とし、センサグリッドによって前記磁石体から発する磁界を前記磁界ベクトルで測定し、磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出する(ステップ201)。
(2)ハンドピースの向きを、Z軸を軸に-θ回転させてこの状態の座標系CをC2系とし、治療位置BとY軸との角度αを計算する(ステップ202)。
(3)ハンドピースのZ軸を回転軸にα角回転させて、ハンドピースを治療位置Bの方向に向ける。その後穴あけ加工の方向にドリルを向けるために、Y軸を回転軸にβ角回転し、次にX軸を回転軸にγ角回転させ、この状態の座標系CをC3系(図14)とし、
磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出してハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係ABを計算する(ステップ203)。
(4)ハンドピースの先端位置AをY軸にそって移動させて、所定の治療位置Bに誘導して静止し、この状態の座標系CをC4系(図14)とし、
磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係ABを計算し、両者の位置ずれが0.1mm以下と方位ずれが1度以下となっており、両者が一致していることを確認する(ステップ204)。
(5)両者が一致していない場合には、各軸を微小移動させて、位置ずれを0.1mm以下となるように補正し、各軸を回転軸に微小回転させて、方位ずれが1度以下となるように補正し、この状態の座標系CをC5系とする(ステップ205)。
(6)ハンドピースを指定された向きに指定された距離Hだけ移動させて治療を終えて、この状態の座標系CをC6系とし、
磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aが、指定された穴の方向に深さHの位置にあることを確認する(ステップ206)。
(7)ハンドピースをC6系のZ軸に沿って、Hだけ戻し、次にY軸に沿って距離ABそのまま原点間距離ベクトル(-X、-Y、-Z)だけ移動させて、C4系のA点の位置に戻すことにより、インプラント穴あけ加工を自動制御で行うことができる(ステップ207)。
なお、ハンドピース誘導中は固定ホルダーで患者の顎顔面部は固定されているが、患者が動いた場合には次の対策を予め用意する。
常時、ハンドピースの位置方位を計測しておき、ハンドピースの移動量から計算できる変化量と1mm以上異なる場合にはハンドピースの移動を一時停止して、その状態をC1系として、上記誘導操作を再開し、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保するものとする。
または、CCDカメラでCCDカメラ系Caと口腔内の歯列系Cbの角度を初期設定しておき、患者の顎顔面部が移動して歯列系CbがCa系に対して、位置移動量が1mm以上の変化が確認できた場合、移動を一時停止して、その状態をC1系として、上記誘導操作を再開し、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保するものとする。
<術者への誘導アシストシステム>
本発明の第3実施形態は、第2実施形態を利用して、自動制御装置に代えて、術者が手でハンドピースを把持し、その術者へアシストするシステムである。
(1)術者は表示画面により指定された入力値、A点とB点の位置、および穴あけ加工の向きと穴の深さHを記憶しておき、
ハンドピース先端を水平にして、歯に設置した磁石の近くに保持し、その状態で、磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、誘導システムの初期位置として、その値を術者に伝えてアシストし、この状態の座標系CをC1とする(ステップ301)。
(2)ハンドピースの向きを、Z軸を軸に-θ回転させる際に回転中の回転角の変化を術者に伝えてアシストし、回転量がθに到達した時に静止し、この状態の座標系CをC2系とし、治療位置BとY軸との角度αを計算する(ステップ302)。
(3)術者は、ハンドピースのZ軸を回転軸にα角回転させて、ハンドピースを治療位置Bの方向に向ける。その後穴あけ加工の方向にドリルをむけるために、Y軸を回転軸にβ角回転し、次にX軸を回転軸にγ角回転させ、この状態の座標系CをC3系とし、回転の際には、回転角度の変化を術者に伝えてアシストし、所定の回転量に到達した時に静止し、この状態の座標系CをC3系(図13)とし、磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係ABを計算する(ステップ303)。
(4)術者は、ハンドピースの先端位置AをY軸にそって、所定の治療位置Bに移動する。移動の際には、磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係を計算し、移動量を術者に伝えてアシストし、B点に到達して静止し、この状態の座標系CをC4系とし、両者の位置ずれが0.1mm以下と方位ずれが1度以下となっていることを確認する(ステップ304)。
(5)両者の位置ずれが0.1mm以下と方位ずれが1度以下でない場合は、術者は、各軸を微小移動させて位置ずれを0.1mm以下となるように補正し、各軸を回転軸に微小回転させて方位ずれが1度以下となるように補正する。補正結果は術者に伝えられてアシストされ、この状態の座標系CをC5系とする(ステップ305)。
(6)ハンドピースを指定された向きに指定された距離Hだけ移動させる際に、移動中の移動量を術者に伝え、指定された値Hに到達すると術者が加工を終えることができるようにアシストし、この状態の座標系CをC6系とする。
磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aが穴の方向に深さHの位置にあることを確認する(ステップ306)。
(7)術者は、ハンドピースをC6系のZ軸に沿って、Hだけ戻し、次にY軸に沿って距離ABそのまま原点間距離ベクトル(-X、-Y、-Z)だけ移動させて、C4系のA点の位置に戻す動作において、動作中の移動距離を術者に伝えて(ステップ307)、
インプラント穴あけ加工をアシストすることを特徴とするハンドピース誘導アシストシステム。
本発明の第4実施形態は、第2実施形態において、
ハンドピースの先端の円筒部にグリッドを配置する方法に代えて、ハンドピースの先端部にグリッド板を配置し、そのグリッド板に12個のベクトルセンサを配置したグリッド(図7)を用いたもので、グリッドの形状以外は第2実施形態と同じである。
[実施例1]
第1実施形態で用いた磁界ベクトルセンサグリッドをベースにし、磁石体としてパルス型電磁石、磁界ベクトルセンサとして3次元素子とASICよりなる一体式タイプを用いたものである。
磁石体は、パルス型電磁石よりなり、サイズ幅は4mm、長さは5mm、厚み1mmにて、磁石体の磁気モーメントは40×10-9Wbmとし、パルス周期は500Hz、パルス幅は5m秒とした。磁針の磁性材料は透磁率30,000、保磁力80A/mよりなるパーマロイを使用した。コイル巻き数は400回にて1mm当たり100回で、励磁電流は0.5A、磁化力Hは200A/mとし、磁針を飽和させた。
なお、周辺磁界ノイズ対策として、磁界ベクトルセンサは、周辺磁界を中心に磁石体の発する磁界の強さHに相当する振動する磁界を検知する。振動した振動幅の平均の半分が磁石体から発する磁界ベクトルとなる。しかも周辺の磁界の環境の変動、特にハンドピースの移動による磁界Hの変動の影響を受けないことを確認した。
磁界ベクトルセンサは、ハンドピースの最先端部の円筒の上に貼り付けるので、小型サイズであることを優先して、一体的なタイプを採用した。その性能は1kHzの測定速度で50nTの検出力を有し、サイズは1.2mm×1.2mm×高さ1mmである。
磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースの先端の円筒部に図7に示すように9個のセンサを円筒状に配置したもので、直径10mmの円筒の両端に3列に6個、最先端部に3個張り付けた。
グリッドの中心は、6個のセンサを配置した平面の中心を原点にし、ハンドピース軸をY軸、グリッド板の水平方向をX軸とし、グリッド板の縦方向をZ軸とする座標系をC系とした。
磁石体の位置・方位を算出するプログラムは、第1実施形態で図9に示す方法を用いた。その結果、磁石体の位置と方位を、ハンドピース系の原点から磁石体の距離が5mmから50mmの距離の範囲で、20Hzの測定速さで、位置精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で求めることができた。
[実施例2]
第1実施例の磁石体の位置・方位検出装置を用いて、ハンドピースの先端部を口腔内の治療位置に誘導するシステムである。
ハンドピースの初期位置は、ハンドピースに加速度センサを設置して、Y軸は水平に保ち、グリッドセンサ面であるXZ面を垂直面に保つことにした。ハンドピースのC系のXZ面と磁石のCm系のXZ面が対向するように向けて、Y軸に沿ってハンドピースを口腔内に近づけて、可能な限り近い位置で、ハンドピースの初期位置を決定した。
センサグリッドで磁石体が発する磁界を検出し、そのデータをセンサグリッドデータ処理回路に転送した。センサグリッドデータ処理回路は、磁界センサグリッドにより計測した測定データを高速で処理するもので、データ処理装置は、C座標系の原点から磁石体マーカの位置(X、Y,Z)と方位Θ、Φをガウスニュートン法によりC系における磁石体の位置と方位を計算した。ここで、θは両系のXY面の角度ずれでZ軸回転により一致させることができる。φはZX面の角度ずれでY軸回転により一致させることができる。
その値を使って、ハンドピースの先端を口腔内の指定された治療箇所に誘導していくことにした。
図12に示すフローチャートでハンドピースを誘導した結果、ハンドピースの先端を、位置精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で、誘導することができた。
[実施例3]
実施例2において、磁石体に交流型電磁石を用いたものである。
磁石体は交流型電磁石で、サイズ幅は4mm、長さは5mm、厚みは1mmとし、磁石体マーカの磁気モーメントは40×10-9Wbmとし、交流周期は500Hzとした。磁針の磁性材料は透磁率30,000、保磁力80A/mよりなるパーマロイを使用し、コイル巻き数は400回にて1mm当たり100回で、励磁電流は0.1A、磁化力Hは40A/mとし、パーマロイのBH曲線における直線域を活用した。
なお、周辺磁界ノイズ対策として、磁界ベクトルセンサは、周辺磁界を中心に磁石体マーカの発する磁界の強さHに相当する振動する磁界を検知する。振動した振動幅の平均の半分が磁石体マーカから発する磁界ベクトルとなる。しかも周辺の磁界の環境の変動、特にハンドピースに移動による磁界Hの変動の影響を受けないことを確認した。
磁石体の位置・方位を算出するプログラムは、第1実施形態で用いた図9に示す方法と同じにした。この結果、磁石体の位置と方位は、ハンドピース系の原点から磁石体の距離が5mmから50mmの距離の範囲にて20Hzの測定速さでもって、位置の精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で求めることができた。
図12に示すフローチャートでハンドピースを誘導した結果、ハンドピースの先端は、位置の精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で、誘導することができた。
[実施例4]
実施例2において、パルス型電磁石を永久磁石にしたものである
永久磁石として、NdFeB磁石を用いた。周辺磁界ノイズ対策としては、ハンドピースの初期位置と治療位置の両方の位置における周辺磁界を測定した。次に患者を手術の際の所定の位置に固定して、ハンドピースのグリッドセンサを使って、患者の歯に設置した磁石からの磁界を測定した。両者の差分を磁石からの磁界の測定値としてその測定値を使って、初期位置および治療位置での位置からハンドピースの位置を求めることにした。この時、非磁性素材を使ったハンドピースを用いることが好ましい
その結果、ハンドピースの先端を位置精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で誘導することができた。
[実施例5]
実施例2において、磁界ベクトルセンサとして、組み立て式を使用し、ハンドピースの先端部にグリッド板を配置し、そこに12個の磁界ベクトルセンサを配置したグリッドを用いたものである。
磁界ベクトルセンサの組立式タイプは、1KHzの測定速度で5nT以下の検出力を有し、サイズは幅5mm×長さ5mm×高さ2mmの超小型で磁界検出力の優れた磁界ベクトルセンサである。グリッド板に取り付ける方式は、先端の円筒部に設置する場合に比べて磁石体との距離が大きくなる。そこで、より高い検出力を有する磁界ベクトルセンサを使用することにした。
磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースに取り付けた透明なセンサグリッド板、サイズは横幅60mm、縦幅45mmに、磁界ベクトルセンサを平面上に15mmの磁界センサ間隔に12個のセンサをグリッド上に配置し、かつハンドピース軸上に1個のセンサを設置した(図7)。センサグリッド基板は、列ごとにマルチプレクサMUXと連結し、次に全データが最終MUXと連結し、外部の信号処理回路に転送される。電源配線系統はセンサグリッド稼働には、すべてのセンサに電源供給するようにしている。センサグリッドの組み立て精度については、10μm以下で組み立てた。
磁石体の位置・方位を算出するプログラムは、第1実施形態で用いた図9に示す方法と同じとした。この結果、磁石体マーカの位置と方位は、ハンドピース系の原点から磁石体の距離が5mmから50mmの距離の範囲において20Hzの測定速さで、位置精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で求めることができた。
図12に示すフローチャートでハンドピースを誘導した結果、ハンドピースの先端は、位置の精度は0.1mm以下、方位の精度は0.7度以下で、誘導することができた。
なお、ハンドピース誘導中は固定ホルダーで患者の顎顔面部は固定されているが、患者が動く場合があるので、次の対策を予め用意する。
常時、ハンドピースの位置方位を計測しておき、ハンドピースの移動量から計算できる変化量と1mm以上異なる場合にはハンドピースの移動を一時停止して、その状態をC1系として、上記誘導操作を再開し、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保するものとする。
または、CCDカメラでCCDカメラ系Caと口腔内の歯列系Cbの角度を初期設定しておき、患者の顎顔面部が移動して歯列系CbがCa系に対して、位置移動量が1mm以上の変化が確認できた場合、移動を一時停止して、その状態をC1系として、上記誘導操作を再開し、位置精度を0.1mm以下、方位精度1度以下を確保するものとする。
本発明により、口腔内のインプラント加工に必要な顎骨の穴加工は治療用ハンドピースの自動誘導が可能となり、インプラント治療がより安全で精度よく行うことができるようになり、本発明は今後広く応用されるものと期待される。
1:GSR素子
11:基板、12:磁性ワイヤ、13:コイル、14:ワイヤ端子、15:ワイヤ電極、16:接続配線(ワイヤ電極用)、17:コイル端子、18:コイル電極、19:接続配線(コイル電極用)
2:電子回路(GSRセンサの電子回路)
21:パルス発振器、22:GSR素子、221:ワイヤ電極、222:コイル電極、23:寄生容量、24:回路入力電極、25a:1段目検波タイミング調整回路(T1)、25b:2段目検波タイミング調整回路(T2)、26:サンプルホールド回路(出力側回路)、27a:1段目電子スイッチ(SW1)、27b:2段目電子スイッチ(SW2)、28a:1段目サンプルホールド用コンデンサ(C1)、28b:2段目サンプルホールド用コンデンサ(C2)、29:増幅器
3:磁界ベクトルセンサ(一体式)
31:ASIC、32:磁性ワイヤ、33:ワイヤ電極、34:コイル電極、35:上部軟磁性体、36:下部軟磁性体、37:レジスト層(感光性樹脂)、38:連結用電極ホール、391:集磁(放磁)、392:放磁(集磁)、X1:X1軸素子、X2:X2軸素子、Y1:Y1軸素子、Y2:Y2軸素子
4:磁界ベクトルセンサ(組み立て式)
40:台座(四角錘台)、401:三角形の斜面、402:長方形の斜面(四角錘台の稜線部)、403:正方形の上面、404:傾斜角(θs)、41:GSRセンサ(on-ASICタイプ)、411:ASIC、412:GSR素子、413:磁性ワイヤ
5:ハンドピース(円筒部タイプ)
50:円筒部、51:磁界ベクトルセンサ、52:ドリル先端、Oh:原点
6:ハンドピース(軸部グリッド板タイプ)
60:軸部、61:磁界ベクトルセンサグリッド、62:グリッド板(軸部設置)、63:磁界ベクトルセンサ、64:ドリル、65:加速度センサ、Oh:原点
7:3次元X画像マップ
71:ハンドピース、710:ハンドピースの原点Oh、711:位置関係OhA
72:磁石体(パルス型電磁石)、720:磁石体の原点Om、721:磁化の向き(X軸)、722:位置関係OmB
73:骨
74:歯
A:ハンドピースの先端位置
B:治療位置
8:誘導システムにおける座標系C
801:磁界ベクトルセンサ(磁界ベクトルセンサグリッドを構成するセンサ)
81:ハンドピース、8101:C1系の原点Oh1、8103:C3系の原点Oh3、8104:C4系の原点Oh4
82:磁石体、820:磁石体の原点Om、821:角度θ、822:α回転角
83:歯
C1:初期状態の座標系、C3:ハンドピース移動開始状態の座標系、C4:ハンドピースの治療位置への到達時の座標系
R1:C1系における磁石の位置、R3:C3系における磁石の位置、R4:C4系おける磁石の位置

Claims (9)

  1. 歯に取り付けた磁石体を原点にして口腔内の治療に使用するハンドピース先端部の
    位置・方位検出装置において、
    前記磁石体は、口腔内の特定の歯に磁石体1個を該磁石体の長さ方向を垂直方向(Z軸)にして磁化ベクトルを水平方向(X軸)に向けて設置されてなり、前記磁石体の中心を原点Omとして磁化ベクトルの向きをX軸、磁石体の厚み方向をY軸、長手方向をZ軸とする磁石座標系Cm系(以下、Cm系という。)とし、口腔内の治療位置の中心点をB点(以下、治療位置Bという。)として、磁石体の原点Omからの位置関係をOmBと定め、
    ハンドピースは、3軸加速度センサと磁界ベクトルセンサよりなる磁界ベクトルセンサグリッドとを備え、
    前記3軸加速度センサは、前記ハンドピースの本体に設置し、水平面に対する前記ハンドピースの傾斜角ηを測定し、その測定値をセンサデータ処理装置に転送し、
    前記磁界ベクトルセンサグリッドは、前記ハンドピースの患者の口腔側の先端近くに設置され、前記磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点Ohとして、前記ハンドピースの軸をY軸、前記磁界ベクトルセンサグリッドのグリッド板の横方向をX軸、グリッド板の縦方向をZ軸とするグリッド座標系C系(以下、C系という。)とし、前記磁石体が発する磁界を測定し、その測定値を前記センサデータ処理装置に転送し、
    さらに、ハンドピースのドリルの先端位置をA点(以下、先端位置Aという。)として、グリッドの原点Ohからの位置関係をOhAと定め、
    前記センサデータ処理装置は、前記3軸加速度センサの測定値と、前記磁界ベクトルセンサグリッドの測定値と、前記Cm系の前記OmBと前記C系の前記OhAとを一体的に処理して、腔内の治療位置Bとハンドピースの先端位置Aとの位置・方位関係を算出してそれらの値を術者に知らせる表示装置を備え、
    また、前記センサデータ処理装置は、前記磁界ベクトルセンサグリッドの測定値を使って、前記C系による前記磁石体の位置X、Y、Zおよび方位Θ、Φを計算し、また加速度センサの測定値を使って、傾斜角ηを計算して、前記C系と前記Cm系の方位関係および原点間の距離を計算し、さらに前記Cm系のデータOmBを前記C系に座標転換することによって、口腔内の治療位置Bとハンドピースの先端位置Aとの位置・方位関係を計算し、術者に知らせることを特徴とするハンドピース先端部の位置・方位検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記磁石体は、交流型電磁石、パルス型電磁石または永久磁石とし、
    前記磁石体のサイズは、幅6mm以下、長さ10mm以下とし、
    前記磁石体の磁気モーメントを5×10-9~100×10-9Wbmとすることを特徴とするハンドピース先端部の位置・方位検出装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記磁界ベクトルセンサは、X軸方向とY軸方向に2個ずつ配置した4個の磁界センサ素子とZ軸方向の磁界を集磁・放磁する軟磁性体とからなり、4つの磁界センサ素子で検出した磁界Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を、Hx=(Hx1+Hx2)/2、Hy=(Hy1+Hy2)/2、Hz=(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)/4なる式で、電子回路と演算回路とを使って計算して、前記4個の磁界センサの中央部の磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を計測する一体的なものであって、
    大きさは、底辺は2mm~6mm、高さは0.5mm~2mm、1KHzの高速で測定した場合の磁界検出力は50nT以下の性能を有し、一体型の磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)で測定し得ることを特徴とするハンドピース先端部の位置・方位検出装置。
  4. 請求項1または2において、
    磁界ベクトルセンサ素子は、一軸のGSR素子をASIC上面に形成したOn-ASICタイプのGSRセンサの4個を傾斜角度θの四角錐台の4つの斜面に、4回対称かつ鏡面対称に貼り付け、4個のセンサの出力電圧Vx1、Vx2、Vy1、Vy2を計測し、
    Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
    Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
    Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
    なる式で、4個の磁界センサの中央部の磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を計測する組み立て式なものであって、
    サイズは、長さ2mmから6mm、高さ1mmから2mm、傾斜角度θは、20度から45度で、1KHzの高速で測定した場合の磁界検出力は1nT以下の性能を有し、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)で測定し得ることを特徴とするハンドピース先端部の位置・方位検出装置。
  5. 請求項1~3のいずれか1項において、
    前記磁界ベクトルセンサグリッドは、前記ハンドピースの先端部に磁界ベクトルセンサを幾何学的に取り付けたものであって、
    前記磁界ベクトルセンサが磁界ベクトルセンサグリッド体に3~25mmの磁界センサ間隔にて5個以上配置され、
    前記磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸の向きをY軸、センサグリッドの横方向(水平方向)をX軸とし、センサグリッド板の縦方向(垂直方向)をZ軸とする座標系をC系としていることを特徴とするハンドピースの位置・方位検出装置。
  6. 請求項1~4のいずれか1項において、
    前記磁界ベクトルセンサグリッドは、ハンドピースの先端部の特定の位置にグリッド板を配置し、そのグリッド板に9個以上の前記磁界ベクトルセンサを3~25mmの磁界センサ間隔にて平面幾何学的に配置したグリッドを用いたものであって、
    前記磁界ベクトルセンサグリッドの中心を原点にし、ハンドピース軸の向きをY軸、センサグリッドの横方向(水平方向)をX軸とし、センサグリッド板の縦方向(垂直方向)をZ軸とする座標系をC系としていることを特徴とするハンドピースの位置・方位検出装置。
  7. 請求項1~4のいずれか1項において、
    Oh-XYZ座標系における前記磁石体(M(→))の位置を(X、Y、Z)とし、前記磁化ベクトルの向きをX軸に対する回転角をΘとし、Z軸に対する回転角をΦとして、磁石体の位置と方位(X、Y、Z、Θ、Φ)を、ガウスニュートン法に従って、
    (1)前記C系に固定された磁界センサグリッドの各磁界センサの位置(i,j)における磁界ベクトルH(→)ijを計測し、
    (2)前記磁石体(M(→))が、前記C系に対して、位置(X、Y、Z)および方位(Θ、Φ)にあるとして、前記磁界センサグリッドの位置(i,j)がつくる磁界ベクトルH(→)ijの理論値を計算し、
    (3)測定誤差を、eijH(→)ijH(→)ijにより計算し、
    (4)誤差の平方和を、Eij=Σeij により計算し、
    (5)誤差平方和を最小とするx、y、z、θ、φを算出して、
    (6)磁石体の位置X、Y、Zおよび方位Θ、Φを求め、
    位置精度0.5mm以下、方位精度1度以下、測定サンプリング速度は1~50Hzで位置・方位を測定し、データを1Hzから50Hzの速度で計算することを特徴とするハンドピース先端部の位置・方位検出装置。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載されている前記ハンドピースを自動制御装置のロボットハンドで把持して歯の治療を行なう誘導システムにおいて、
    (1)あらかじめ、ハンドピースC系における前記ハンドピースの先端位置Aの座標位置と、口腔内の前記Cm系における治療位置Bの座標位置、および穴あけ加工の向きY軸を回転軸にβ角回転、次にX軸を回転軸にγ角回転と穴の深さHを入力しておき、
    前記ハンドピースのY軸を水平に維持して、歯に設置した前記磁石体の近くに保持し、その状態を誘導システムの初期位置として、この状態の座標系CをC1系とし、
    前記センサグリッドによって前記磁石体から発する磁界を前記磁界ベクトルセンサで測定し、前記磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、
    (2)前記ハンドピースの向きを、Z軸を軸に-θ回転させてこの状態の座標系CをC2系とし、治療位置BとY軸との角度αを計算し、
    (3)前記ハンドピースのZ軸を回転軸にα角回転させて前記ハンドピースを治療位置Bの方向に向ける。その後穴あけ加工の方向にドリルを向けるために、Y軸を回転軸にβ角回転させ、次にX軸を回転軸にγ角回転させた状態の座標系CをC3系とし、
    前記磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係ABを計算し、
    (4)ハンドピースの先端位置AをY軸に沿って移動させて、所定の治療位置Bに誘導して静止し、この状態の座標系CをC4系とし、
    磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係を計算し、両者の位置ずれが0.1mm以下と方位ずれが1度以下となっていて、両者が一致していることを確認し、
    (5)そうでない場合は、各軸を微小移動させて、位置ずれを0.1mm以下となるように補正し、各軸を回転軸に微小回転させて、方位ずれが1度以下となるように補正し、この状態の座標系CをC5系とし、
    (6)前記ハンドピースを指定された向きに指定された距離Hだけ移動させて治療を終えて、この状態の座標系CをC6系とし、
    磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピース先端の位置Aが指定された穴の方向に深さHの位置にあることを確認し、
    (7)前記ハンドピースをC6系のZ軸に沿って、Hだけ戻し、次にY軸に沿って距離ABそのまま原点間距離ベクトル(-X、-Y、-Z)だけ移動させて、C4系のA点の位置に戻すことにより、
    インプラント穴あけ加工を自動制御で行うことを特徴とするハンドピース誘導システム。
  9. 請求項8において、
    自動制御装置に代えて、術者が手で前記ハンドピースを把持し、
    (1)術者は指定された入力値、A点とB点の位置、および穴あけ加工の向きと穴の深さHを記憶しておき、
    ハンドピース先端を水平にして、歯に設置した磁石の近くに保持し、その状態で、磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、誘導システムの初期位置として、その値を術者に伝えてアシストし、この状態の座標系CをC1とし、
    (2)術者が前記ハンドピースの向きを回転軸としてZ軸を-θ回転させる際に、回転中の回転角の変化を術者に伝えてアシストして回転量がθに到達した時に静止し、この状態の座標系CをC2系として治療位置BとY軸との角度αを計算し、
    (3)術者はハンドピースのZ軸を回転軸として角度αを回転してハンドピースを治療位置Bの方向に向け、その後穴あけ加工の方向にドリルをむけるために、Y軸を回転軸として角度βを回転させるとともにX軸を回転軸として角度γを回転させる際には、回転角度の変化を術者に伝えてアシストし、所定の回転量に到達した時に静止し、この状態の座標系CをC3系として磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係ABを計算し
    (4)術者はハンドピースの先端位置AをY軸にそって移動させて所定の治療位置Bに誘導され、移動の際には磁石体の位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピースの先端位置Aと所定の治療位置Bとの位置関係を計算し、移動量を術者に伝えてアシストし、B点に到達して静止し、この状態の座標系CをC4系とし、
    両者の位置ずれが0.1mm以下と方位ずれが1度以下となっていることを確認し、
    (5)そうでない場合は、術者は、各軸を微小移動させて、位置ずれを0.1mm以下となるように補正し、各軸を回転軸に微小回転させて、方位ずれが1度以下となるように補正し、補正結果を術者に伝えてアシストし、この状態の座標系CをC5系とし、
    (6)前記ハンドピースを指定された向きに指定された距離Hだけ移動させる際に、移動中の移動量を術者に伝え、指定された値Hに到達すると術者が加工を終えることができるようにアシストし、この状態の座標系CをC6系とし、
    磁石体の位置位置(x、y、z)と方位(θ、φ)を算出し、ハンドピース先端の位置Aが、指定された穴の方向に深さHの位置にあることを確認し、
    (7)前記ハンドピースをC6系のZ軸に沿って、Hだけ戻し、次にY軸に沿って距離ABそのまま原点間距離ベクトル(-X、-Y、-Z)だけ移動させて、C4系のA点の位置に戻す動作において、動作中の移動距離を術者に伝えて
    インプラント穴あけ加工をアシストすることを特徴とするハンドピース誘導アシストシステム。
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