JP4365267B2 - 両引き引出し構造及びそれを備えたキッチン台 - Google Patents

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Description

本発明は、引出し本体を収納庫の正面側からも背面側からも引き出すことができる双方向に引き出し自在な両引き引出し構造に関する。
両引き引出しは、例えば特許文献1に記載されているように、主婦がキッチン側で調理を終えハッチカウンタ上で盛り付けを行った後、ダイニング側に移動してダイニング側から引出しを開けその内に収納してある所望のスプーン、フォーク等の食器具等を取り出してダイニングテーブル上にて配膳し、その後、ダイニングテーブル上の使用済み食器等をハッチカウンタ上に片付け、キッチン側に移動して使用済み食器の洗浄を行い、キッチン側から引出しを開けてその洗浄した食器具等を引出し内に速やかに収納することができるので便利である。
そしてこのような両引き引出しの具体的構造は、例えば特許文献2に記載されているように、側板に固定の外レールと、引出しと一体の支持レールとの間に内レールを介在させ、双方向に引き出せるようにしたものが知られている。
特開平5−277017号公報(第2頁、図1) 特開昭56−91711号公報(第2頁、図1、2)
しかしながら、上記特許文献2に記載の引出しは、一方側から引き出すと他方側は凹み空間が形成されるので、体裁が悪いばかりでなく、引き出す度に気になり、しかもその凹み空間にゴミ等が入り込み易かった。また、双方向に引き出せるために、引出しの収納位置が定まらず、閉めたつもりで半開きになっていることがあった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、引出しを一方側から引き出しても、他方側からはその状況が目隠しされ、かつ引出しの収納箱体の位置を常に正確に位置決めできる両引き引出し構造を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の両引き引出し構造は、引出し本体を収納庫の正面側からも背面側からも引き出すことができる双方向に引き出し自在な両引き引出し構造であって、前記引出し本体は、収納箱体、正面側前板及び背面側前板を有し、前記両前板は収納庫側板に設けた固定レール体に摺動自在の支持レールをそれぞれ有し、前記収納箱体が収納位置にあるとき、両前板とも該収納箱体と分離され、両前板のいずれか一方の前板が外方に引き出されたとき、その前板と収納箱体とが連結状態になる構造であり、前記前板と前記収納箱体との分離位置の近傍で前記引出し本体の収納方向への動きに制動を与える制動手段により減速された後、前記前板と前記収納箱体とが分離し、前記制動手段が、前記収納箱体と前記収納庫側板との間に配置された緩衝器と、前記支持レールに設けられた前記緩衝器に当接できる当接部とで構成されたことを特徴としている。
この特徴によれば、一方の前板が収納箱体とともに連結状態となって外方に引き出されても、引出しの反対側は他方の前板で前面を塞いでいるので、体裁が良いだけでなく、ゴミ等が侵入することがない。また、引出し本体の収納箱体はその収納位置で前板と分離されるので、収納位置で収納箱体が前板の動きの影響を受けにくくなっているばかりか、収納庫の正面側または背面側のいずれか一方側から引出し本体を収納するとき、引出し本体の移動速度が制動手段によって一時的に制動され、その後前板と収納箱体とが分離するので、前板から分離された収納箱体が収納位置を通り越して収納庫の他方側から飛び出すことを防ぐことができる。そして収納箱体と収納庫側板との間に緩衝器が配置されるので、外部から緩衝器を隠蔽できるようになり、収納庫の美観が向上されるとともに、緩衝器と、この緩衝器に当接される支持レールに設けられた当接部という簡素な構成で制動手段を設けることができる。
本発明の請求項に記載の両引き引出し構造は、請求項に記載の両引き引出し構造であって、前記前板は、前記収納箱体の左右に配置される少なくとも2本の支持レールを有し、前記緩衝器が前記支持レールの当接部に当接できるように左右に少なくとも2つ配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納箱体の左右配置された2本の支持レールの当接部に、左右に配置された2つの緩衝器が当接されることで、収納箱体を安定して制動させることができる。
本発明の請求項に記載の両引き引出し構造は、請求項1または2に記載の両引き引出し構造であって、前記前板または前記支持レールに連結作動体が設けられ、前板が引出し収納位置にあるとき、前記連結作動体が前記収納箱体との分離状態を維持し、前板が引き出されたとき、前記連結作動体が前記収納箱体と係合して連結状態を保つことを特徴としている。
この特徴によれば、前板または支持レールに連結作動体が設けられていることで、前板の操作に応じて前板と収納箱体との連結、分離を自動的に行うことができる。
本発明の請求項に記載の両引き引出し構造は、請求項に記載の両引き引出し構造であって、前記連結作動体は前記支持レールに垂直方向に回動自在に支承した回動レバーであり、前記収納箱体には、該回動レバーと係合可能な係合部が設けられており、前記回動レバーには、該回動レバーを前記係合部に係合させる方向に回動付勢することができる重しが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、支持レールに回動自在に支承された回動レバーと係合部という簡素な構成で前板と収納箱体とを連結、及び分離することができ、かつ重しによって回動レバーが、収納箱体の係合部に係合される方向に常に回動付勢されるようになり、回動レバーの作動不良を極力減少させることができる。
本発明の請求項に記載の両引き引出し構造は、請求項に記載の両引き引出し構造であって、前記回動レバーの内方側の先端には、前記収納箱体の係合部と当接して前記回動レバーを回動させるためのテーパが形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、回動レバーの作動不良等により収納箱体の係合部と係合されずに前板と支持レールが引き出された場合でも、前板と支持レールを収納庫内に収納させると、回動レバーの内方側の先端のテーパに、収納箱体の係合部が当接して回動レバーが回動されるようになり、再び収納箱体の係合部に回動レバーを係合させることができる。
本発明の請求項に記載のキッチン台は、請求項1ないしのいずれかに記載の両引き引出し構造を備えたことを特徴としている。
この特徴によれば、使用者がキッチン台の正面側と背面側の双方から引出し本体内の収納物を出し入れできるので、キッチン台を周り込んで移動する必要がなくなる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における両引き引出し構造を備えた収納庫としてのキッチン台を示す斜視図である。図1の符号1は、本発明の両引き引出し構造が適用されたキッチン台1であり、このキッチン台1は、システムキッチンなどにおけるキッチンとダイニングの間に設置されるようになっている。
図1に示すように、このキッチン台1は左右に脚体2、3が配置され、この脚体2、3の上部には、蛇口4やシンク5等が設けられた天板6が配置されており、キッチン台1の正面側はキッチンに向き、背面側はダイニングに向くようになっている。また、食器等を収納できるように、本実施例における引出し本体としての両引き引出し7を備えており、この両引き引出し7は、正面側及び背面側の何れか一方向に引き出せる収納箱体8を有している。
更に、この両引き引出し7には、収納箱体8と別体の2枚の前板9、10が正面側と背面側とに設けられており、正面側の前板9を引き出せば収納箱体8は連動して正面側の外方に引き出され、背面側の前板10を引き出せば背面側に引き出せるので、使用者がキッチン台1を周り込んで移動することなく、キッチン及びダイニングのどちらからでも収納箱体8内の食器等の収納物を取り出すことができるようになっている。
次に、両引き引出し7の具体的構造について図2に基づいて説明すると、図2は、両引き引出し7を示す斜視図であり、以下、図2の左斜め上を正面側、右斜め下を背面側として説明する。
図2に示すように、収納箱体8を挟んで正面側に前板9、背面側に前板10が配置されており、収納箱体8の両側部には、4つの固定レール体11、12、13、14が配置され、それぞれの固定レール体11、12、13、14には、摺動体15、16、17、18を介して全引き出し(フルエクステンション)可能な支持レール19、20、21、22が伸縮自在に取り付けられている。
支持レール19、20、21、22の外方側の端部には、連結部23、24、25、26が設けられ、前板9、10の裏面に固着された取付体31、32、33(図3参照)に対して、連結部23、24、25、26が連結されることで、それぞれの前板9、10が支持レール19、20、21、22に固定されており、正面側の前板9に固定された1組の支持レール19、21と、背面側の前板10に固定された1組の支持レール20、22が上下に平行配置(積層配置)されている。また、それぞれの前板9、10の上辺には、引出し7を開放させる際に、使用者が掴むことができる横長の把手34、35が、前板9、10の長手方向に沿って設けられている。
そして収納箱体8の側部には、4つのメインローラー51、52、53、54と4つの補助ローラー55、56、57、58が取り付けられ、図2に示すように、収納箱体8が背面側に引き出された状態では、収納箱体8の上方に配置されているメインローラー52、54と補助ローラー56、58を介して、収納箱体8が上方の支持レール20、22上に載置されている。複数のローラーを用いて収納箱体8が支持レール19、20、21、22上に載置されることで、収納箱体8が動き易くなっている。
更に、両引き引出し7の具体的構造について詳述すると、図3は、両引き引出し7を示す縦断側面図であり、図4は、図3におけるA−A縦断面図であり、以下、図3の左側を正面側、右側を背面側として説明する。
図3に示すように、下方の支持レール19に対応したメインローラー51と補助ローラー55はそれぞれ同じ高さの枢軸81、82に軸支されるとともに、上方の支持レール20に対応したメインローラー52と補助ローラー56はそれぞれ同じ高さの枢軸83、84に軸支されている。また、支持レール19、20の内方側の端部には、後述するように引出し7を出し入れする際に、メインローラー51、52、53、54及び補助ローラー55、56、57、58が当接される傾斜部材44、45が取り付けられている。
補助ローラー55、56の直径はメインローラー51、52の直径よりも小さく形成されており、図3に示すように、収納箱体8が収納位置にあるときには、直径の小さな補助ローラー55、56は支持レール19、20の上面に当接されておらず、側面視で対角線上に配置されているメインローラー51とメインローラー52のみが、上下のそれぞれの支持レール19、20の上面に載置され、収納箱体8の一側面が前後2つの支持位置で支持されるようになっている。そのため収納箱体8を支持するための最小限度の支持位置(メインローラー51、52、53、54)の4点で収納箱体8を支持することができ、両引き引出し7の組み立ての際に、多少の製作誤差が生じても、収納箱体8をがたつかせることなくスムーズに出し入れできるようになっている。
支持レール19、20、21、22の端部に取り付けられた連結部23、24、25、26内側部には、本実施例における連結作動体としての回動レバー27、28、29、30が枢軸59、60を軸として垂直方向に回動自在に支承され、回動レバー27、28の内方側の端部には、第1係合片61、62が上方に延設されている。この第1係合片61、62の近傍には、第2係合片63、64が延設されるとともに、回動レバー27、28の内方側の先端部にはテーパ65、66が形成されている。
そして図3に示すように、収納箱体8の側部には、本実施例における係合部としての係合ピン79、80が設けられており、この係合ピン79、80は第1係合片61、62もしくは第2係合片63、64のいずれかに係合できるようになっている。
また、図3に示す回動レバー27、28の下方には係止部67、68が形成され、前板9、10が閉められた状態では、この回動レバー27、28の係止部67、68が、固定レール体11、12に固着された係止片69、70に係止されるようになっており、正面側及び背面側双方の回動レバー27、28が係合ピン79、80と外れるので、回動レバー27、28は収納箱体8との分離状態を維持することができ、収納箱体8は収納位置に配置されるようになる。
更に、枢軸59、60を境に、回動レバー27、28の外方側の重さは、回動レバー27、28の内方側の重さよりも重くなるように形成され、前板9、10が引き出されたときに、固定レール体11、12の係止片69、70から回動レバー27、28の係止部67、68が離れ、回動レバー27、28は、自重によって内方側が上方に回動されるようになっている。
また、回動レバー27、28の枢軸59、60には、付加的に巻きバネ(図示略)等の付勢手段が設けられ、自重による回動と巻きバネ(図示略)によって、回動レバー27、28の作動不良を極力低減できるようになっている。回動レバー27、28の外方側には、縦長の案内孔71、72が形成されており、連結部23、24に固定されたガイドピン73、74が案内孔71、72に挿通されることで、回動レバー27、28の回動が所定範囲で規制されるようになっている。
更に、図3に示すそれぞれの固定レール体11、12、13、14の内側部には、本実施例における緩衝器としてのエアダンパー36、37、38、39が固着されており、それぞれの支持レール19、20の略中央部には、エアダンパー36、37に立設された当接片40、41に当接できるように当接部42、43が設けられ、エアダンパー36、37と支持レール19、20に設けられた当接部42、43とにより、本実施例における制動手段が構成されている。
図4に示すように、この固定レール体11、12は、断面が略L字状に形成され、ネジ(図示略)によりキッチン台1の板材75に固着され、上下の支持レール19、20は断面が略C字状をなし、摺動体15、16を介して固定レール体11、12と連結されるとともに、支持レール19、20及び固定レール体11、12と、摺動体15、16との間にはボール76が複数配置されており、このボール76を介することにより、それぞれの支持レール19、20がキッチン台1の正面方向及び背面方向に円滑に摺動案内されるようになっている。
収納箱体8の両側部には、上下2段の断面視で略コ字形状をなす隠蔽片77、78が形成されている。収納箱体8の両側部は同一構成なので、収納箱体8の片方の側部について説明すると、図4に示すように、隠蔽片77、78の内部に、上下の支持レール19、20及び摺動体15、16が配置されるようになっており、コンパクトに収納したレール構造を提供できるようになっている。
尚、図4に示すように、メインローラー51、52、53、54と、補助ローラー55、56、57、58、支持レール19、20と、摺動体15、16と、係合ピン79、80と、回動レバー27、28とが、隠蔽片77、78の内側に配置されることで、こられの部材が、引出し7を引き出したときに外部から隠蔽されるので、引出し7の見栄えを良くすることができる。
更に図4に示すように、固定レール体11、12の内側部に設けられたエアダンパー36、37は、収納箱体8と、本実施例における収納庫側板としての板材75との間に配置されており、常に外部から隠蔽されるとともに、引出し7を引き出したときであっても収納箱体8によって隠蔽されるので、キッチン台1の美観が向上するようになっている。
両引き引出し7の使用例について図5から図8を用いて詳述すると図5は、回動レバー27と係合ピン79を示す側面図であり、図6は、引出し7が引き出されたときの側面図であり、図7は、正面側の引出し7が引き出されたときの縦断側面図であり、図8は、背面側の引出し7が引き出されたときの縦断側面図であり、以下、図5から図8の左側を正面側、右側を背面側として説明する。
回動レバー27、28の動きについて詳述すると、図5に示すように、使用者が正面側の前板9の把手34を掴んで正面方向(前方側)に引くと、回動レバー27の係止部67が、固定レール体11の係止片69から離れるので、回動レバー27が枢軸59を中心に回転するようになり、このとき第2係合片63の高さは第1係合片61の高さよりも低くなるように形成されているため、回動レバー27の第2係合片63が収納箱体8の係合ピン79の下方を通過し易くなっている。
そして図6に示すように、収納箱体8の係合ピン79が回動レバー27の第1係合片61に係合されると、正面側の前板9と収納箱体8とが連結状態となり、前板9の移動とともに収納箱体8が正面側の外方(前方側)に引き出されるようになっている。第1係合片61は第2係合片63よりも高くなるように形成されているため、係合ピン79の下方を第2係合片63が通過した後、係合ピン79が第1係合片61に係合され易くなっており、回動レバー27の作動不良が低減されるようになっている。
図7に示すように、正面側の前板9と収納箱体8が引き出された際には、背面側の前板10は、収納箱体8と分離状態になり、収納箱体8と連動せず残るため、この前板10でキッチン台1の背面側を塞ぐことができ、キッチン台1の背面側に凹みをつくらずに体裁が良くなるばかりか、正面側の引き出し操作に違和感がない。かつゴミ等の侵入を防ぐことができるようになっている。このように回動レバー27、28と係合ピン79、80という簡素な構成により、前板9、10の引き出し操作に応じて前板9、10と収納箱体8との自動連結及びその自動分離が実現できるようになっている。
正面側の前板9が所定位置以上に引き出されたときには、図7に示すように、上方に配置されているメインローラー52が、上方の支持レール20から脱輪するとともに、下方に配置されている補助ローラー55が下方に配置されている支持レール19の上面に載置されるようになっている。このとき下方に配置されているメインローラー51と補助ローラー55によって前後2つの支持位置で、収納箱体8が下方の支持レール19に支持されるようになっている。
背面側の前板10の把手35を背面方向(前方側)に引いた際には、図8に示すように、上方の支持レール20に設けられている背面側の回動レバー28が作動し、背面側の前板10と収納箱体8が連結状態になって背面方向(前方側)に引き出すことができ、所定位置以上引き出された場合、下方に配置されているメインローラー51が、下方の支持レール19から脱輪するとともに、上方に配置されている補助ローラー56が上方に配置されている支持レール20の上面に載置されるようになっている。このとき上方に配置されているメインローラー52と補助ローラー56によって前後2つの支持位置で、収納箱体8が上方の支持レール20に支持されるようになっている。
収納箱体8が大きく引き出されたとき、すなわち上述した所定位置以上に引き出し量があった場合、下方の支持レール19及び上方の支持レール20のいずれかの前後2つの支持位置に載置されたメインローラー51、52及び補助ローラー55、56によって、収納箱体8が支持されるようになっているので、引出し7を大きく引き出して、収納箱体8を大きく開放させることができる。そのため収納箱体8内の正面側及び背面側のどちらかに食器具等の収納物が寄ることがあっても、双方から収納物を取り出し易くなっている。
収納箱体8が収納されるときの両引き引出し7について図9及び図10を用いて説明すると、図9は、引出し7が収納されるときの縦断側面図であり、図10は、支持レール19がダンパー36に当接されたときの縦断側面図であり、以下、図9及び図10の左側を正面側、右側を背面側として説明する。
引出し7が引き出された状態において、図9に示すように、使用者が正面側の前板9の把手34を押すと、収納箱体8の係合ピン79と回動レバー27が連結状態で、前板9とともに収納箱体8が収納方向へ移動されるようになる。すると上方のメインローラー52が背面側の前板10に連結された支持レール20の端部の傾斜部材45の傾斜面に沿って載り上がり、上方の支持レール20の上面に載置される。すると上方の補助ローラー55が下方の支持レール19から離れ、収納箱体8はメインローラー51、52のみで上方と下方の支持レール19、20に支持されるようになる。
更に前板9が押し込まれると、図10に示すように、回動レバー27と係合ピン79との分離位置の近傍で、下方の支持レール19に設けられた当接部42がエアダンパー36に形成された当接片40に当接され、エアダンパー36の付勢力によって前板9、支持レール19、及び収納箱体8の移動速度が共に減速される。収納箱体8の減速直後に、回動レバー27が係止片69に当接して回動され、回動レバー27と収納箱体8の係合ピン79とが分離される。収納箱体8が十分に減速された状態で、回動レバー27が収納箱体8の係合ピン79分離されるので、収納箱体8が収納位置を通り越して背面側から飛び出すことなく、収納位置に安定して配置されるようになっている。
また、収納箱体8がメインローラー51と補助ローラー55によって支持レール19上に載置され前後方向に摺動され易くなっていても、回動レバー27の第1係合片61と第2係合片63によって、収納箱体8の前後方向の移動を規制できる。そのため引出し7を閉鎖する際に、第2係合片63が係合ピン79を押圧することで、収納箱体8を収納方向へ確実に移動させることができるとともに、第1係合片61が係合ピン79に当接されることで、収納箱体8を確実に減速させることができるので、使用者が勢い良く前板9を閉めたときであっても収納箱体8が背面側から飛び出さないようになっている。
また、図2に示すように、エアダンパー36、38は、収納箱体8の左右両側の固定レール体11、13に固着されているので、前板9を閉めるときに、収納箱体8の左右に配置された支持レール19、21を同時に減速させることができ、支持レール19、21に支持される収納箱体8を安定して減速させることができるようになっている。
尚、背面側に配置された前板10の把手35を掴んで引出し7を操作したときも同様に、上方の固定レール体12に固着されているエアダンパー37に、上方の支持レール20の当接部43が当接されることで、収納箱体8を減速させることができ、正面側及び背面側のどちらからでも同様な引き出し操作が行えるようになっている。
回動レバー27が作動不良を起したときの両引き引出し7ついて図11及び図12を用いて説明すると、図11は、回動レバー27が作動不良を起したときの縦断側面図であり、図12は、回動レバー27のテーパ65に収納箱体8の係合ピン79が当接されたときの縦断側面図であり、以下、図11及び図12の左側を正面側、右側を背面側として説明する。
図11に示すように、正面側の前板9を引き出した際に、回動レバー27が作動不良を起し、回動レバー27の第1係合片61が、収納箱体8の係合ピン79と係合されずに前板9が引き出される場合があるが、このとき再び前板9を収納方向へ移動させると、図12に示すように、回動レバー27の内方側の先端部に形成されたテーパ65に収納箱体8の係合ピン79が当接され、回動レバー27の内方側の先端部が下方に回動されるようになり、再度、第1係合片61が係合ピン79に係合させ、収納箱体8を引き出すことができるようになっている。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、上記実施例では、本発明の両引き引出し構造は、システムキッチンなどに用いられるシンク等が設けられたキッチン台に適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の家庭用の家具等に備えて使用してもよいし、オフィス等で使われる机や棚等の什器類に適用してもよい。
また、上記実施例では、連結作動体が支持レールの外方側の端部に設けられた連結部に取り付けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、支持レールの内方側の端部や支持レールの中間部に取り付けてもよいし、前板に連結作動体を設けたとしても、上記実施例と同様な効果を得ることができる。
更に、上記実施例では、固定レール体に固着されたダンパーが、支持レールの当接部に当接されることで、制動手段を構成していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダンパーが前板に当接されるようにしてもよいし、収納箱体に当接されるようにしてもよい。また、ダンパーの固着される部位も固定レール体に限ることなく、支持レールにダンパーを固着させ、ダンパーに当接できる当接部を固定レール体に形成し、制動手段を構成するようにしてもよいし、収納箱体にダンパーを固着させ、このダンパーに当接できる当接部を収納庫側板などから延設することで、制動手段を構成するようにしてもよい。
尚、上記実施例では、緩衝器としてエアダンパーが用いられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、オイルダンパーを用いてもよいし、ダンパーのみならずコイルバネ等の付勢手段をダンパーの換わりに用いても上記実施例と同様な効果を得ることができる。
本発明の実施例における両引き引出し構造を備えたキッチン台を示す斜視図である。 両引き引出しを示す斜視図である。 両引き引出しを示す縦断側面図である。 図3におけるA−A縦断面図である。 回動レバーと係合ピンを示す側面図である。 引出しが引き出されたときの側面図である。 正面側の引出しが引き出されたときの縦断側面図である。 背面側の引出しが引き出されたときの縦断側面図である。 引出しが収納されるときの縦断側面図である。 支持レールがダンパーに当接されたときの縦断側面図である。 回動レバーが作動不良を起したときの縦断側面図である。 回動レバーのテーパに収納箱体の係合ピンが当接されたときの縦断側面図である。
符号の説明
1 キッチン台(収納庫)
2、3 脚体
4 蛇口
5 シンク
6 天板
7 両引き引出し(引出し本体)
8 収納箱体
9、10 前板
11、12 固定レール体
13、14 固定レール体
15、16 摺動体
17、18 摺動体
19、20 支持レール
21、22 支持レール
23、24 連結部
25、26 連結部
27、28 回動レバー(連結作動体)
29、30 回動レバー(連結作動体)
31、32、33 取付体
34、35 把手
36、37 エアダンパー(制動手段、緩衝器)
38、39 エアダンパー(制動手段、緩衝器)
40、41 当接片(制動手段)
42、43 当接部(制動手段)
44、45 傾斜部材
51、52 メインローラー
53、54 メインローラー
55、56 補助ローラー
57、58 補助ローラー
59、60 枢軸
61、62 第1係合片
63、64 第2係合片
65、66 テーパ
67、68 係止部
69、70 係止片
71、72 案内孔
73、74 ガイドピン
75 板材(収納庫側板)
76 ボール
77、78 隠蔽片
79、80 係合ピン(係合部)
81、82 枢軸
83、84 枢軸

Claims (6)

  1. 引出し本体を収納庫の正面側からも背面側からも引き出すことができる双方向に引き出し自在な両引き引出し構造であって、前記引出し本体は、収納箱体、正面側前板及び背面側前板を有し、前記両前板は収納庫側板に設けた固定レール体に摺動自在の支持レールをそれぞれ有し、前記収納箱体が収納位置にあるとき、両前板とも該収納箱体と分離され、両前板のいずれか一方の前板が外方に引き出されたとき、その前板と収納箱体とが連結状態になる構造であり、前記前板と前記収納箱体との分離位置の近傍で前記引出し本体の収納方向への動きに制動を与える制動手段により減速された後、前記前板と前記収納箱体とが分離し、前記制動手段が、前記収納箱体と前記収納庫側板との間に配置された緩衝器と、前記支持レールに設けられた前記緩衝器に当接できる当接部とで構成されたことを特徴とする両引き引出し構造。
  2. 前記前板は、前記収納箱体の左右に配置される少なくとも2本の支持レールを有し、前記緩衝器が前記支持レールの当接部に当接できるように左右に少なくとも2つ配置されている請求項に記載の両引き引出し構造。
  3. 前記前板または前記支持レールに連結作動体が設けられ、前板が引出し収納位置にあるとき、前記連結作動体が前記収納箱体との分離状態を維持し、前板が引き出されたとき、前記連結作動体が前記収納箱体と係合して連結状態を保つ請求項1または2に記載の両引き引出し構造。
  4. 前記連結作動体は前記支持レールに垂直方向に回動自在に支承した回動レバーであり、前記収納箱体には、該回動レバーと係合可能な係合部が設けられており、前記回動レバーには、該回動レバーを前記係合部に係合させる方向に回動付勢することができる重しが設けられている請求項に記載の両引き引出し構造。
  5. 前記回動レバーの内方側の先端には、前記収納箱体の係合部と当接して前記回動レバーを回動させるためのテーパが形成されている請求項に記載の両引き引出し構造。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の両引き引出し構造を備えたことを特徴とするキッチン台。
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