JP4364197B2 - 交流電源装置およびその装置におけるアーク抑制方法 - Google Patents

交流電源装置およびその装置におけるアーク抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、交流電源装置に関し、特に、スパッタなどのプロセスを用いて半導体や液晶基板などを製造する製造装置分野において、プロセスの過程で発生するアークを検出し、発生したアークエネルギを最小限に抑えるのに適した交流電源装置およびその装置におけるアーク抑制方法に関するものである。
一般に、スパッタ装置(負荷装置に相当する)は、前記装置内においてプラズマ放電を起こすことにより、スパッタリングプロセスを実現している。このプロセスを実現するためには、高電圧の直流(DC)電源 や交流(AC)電源を使用して、前記装置内の電極に交流電力または直流電力を供給する必要がある。これにより、プラズマ放電を起こしている。
しかしながら、この高電圧の電源をプラズマが浮遊している電極間に印加すると、電極間で耐圧破壊が起こり、短絡現象が発生し、過大電流が流れることがある。この短絡現象が所謂、アークと呼ばれる現象である。このアークが発生すると、異物が成膜用基板(以下、基板という。)に飛散し、基板の商品価値を損なうという問題が発生する。このため、アーク現象を捉えて前記装置への給電を高速遮断することにより、基板への影響を抑えることが不可欠になっていた。従来、このアーク現象を捉える方式として、前記装置に供給する直流電流や交流電流の変化を捉える方式が用いられている。またアーク放電を抑制する方法として、アーク放電を検出し、前記装置への給電を瞬時に停止し、アーク放電が消去した後、スロースタートする方法が用いられていた。
また、アーク現象を捉えて高速遮断する装置として、特許文献1に記載のものがある。この装置は、図11のように、直流制御部1で得られ平滑回路2を介して取り出された直流電圧が、インバータスイッチング部3で交流(矩形波)に変換された後、昇圧トランス4、整流部5,放電電圧検出回路6及びカレントトランス7を介して処理装置本体12に供給される。整流部5と処理装置本体12との間に配置された放電電圧検出回路6から得られた放電電圧検出信号が、微分回路を含む放電電圧立ち下げ検出回路8へ送られる。放電電圧立ち下げ検出回路8には、インバータ制御部11からのインバータ制御信号が供給されている。インバータ制御部11は、放電電圧立ち下げ検出回路8の出力として得られるアーク検出信号に基づき、インバータ制御信号をゲートドライブ10に出力し、インバータスイッチング部3の動作を停止させ、処理装置本体12への給電を遮断させる。
特開平7−233472号公報
上述したように、従来は、供給する直流電流や交流電流(放電電流)の変化を捉えてアークを検出し、給電を遮断する方式を採用していた。この方式は、アークが発生してからアーク現象を検出するまでの動作が遅れ、かつ給電を遮断する電気回路の動作が遅れるため、アークが発生してから給電を遮断するまでの期間が長いという問題が生じる虞がある。
これらのうち、アーク現象を検出する動作が遅れることが、アークエネルギを抑制する場合に重要な技術的課題となる。放電電流は、実際にアークが発生すると、図12に示すように、アーク開始点から急激に変化し、時間の経過と共に漸増する。つまり、この放電電流値を監視して、アーク現象の検出を判断する場合、放電電流値が、あるしきい値(図示せず)とするアーク電流基準値に到達したとき初めてアークが発生したと判断するからである。すなわち、実際にアークが発生してからある時間経過後にアーク現象の検出を判断するので、アーク現象を捉えるまでの時間がかかるからである。
また、特許文献1では、放電電圧を検出する場合、放電電圧立下がり検出回路8が放電電圧に基づき微分回路によりアークの検出を判定し、アーク検出信号を出力する。そして、インバータ制御部11が、当該アーク検出信号に基づき、インバータスイッチング部3の動作を停止させ、処理装置本体12への給電を遮断させる。このため、この放電電圧の変化を検出してアーク現象を捉える方式は、放電電流の変化を検出してアーク現象を捉える方式に比べて、アーク現象を高速に捉えることができるが、電圧立ち下がり検出回路8における微分回路の信号処理による遅れやインバータのスイッチングノイズにより、電圧立ち下がり検出回路8における微分回路がないアークの検出回路に比べて、アーク検出信号の品質が劣化するという問題が生じる虞がある。
さらに、通常、アークが発生している間、放電電圧値がある一定値に降下したままであるが、負荷装置によって、例えば電極と電極との対向距離が短い場合、または電極と負荷装置24の内壁面との距離が短い場合、図10(A)に示すように、アークが発生しても放電電圧値が中途半端に変化する場合があるため、放電電圧の変化を検出して、アーク現象を的確に捉えることができないという問題が生じる虞がある。これらの問題は、直流電力を処理装置本体へ供給する前述の特許文献1の電源装置だけでなく、交流電力を供給する電源装置にも存在する。
そこで、本発明は、特にスパッタなどのプロセスを用いて半導体や液晶基板などを製造する製造装置分野において、プロセスの過程で発生するアークを抑制し、発生したアークエネルギを最小限に抑えるのに適した交流型の電源装置およびその装置におけるアーク抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、商用交流電力から変換した高周波交流電力を負荷装置へ供給する電源であって、アークを抑制する交流電源装置において、商用交流電力から直流電力を生成するAC−DC整流器と、直流電力を前記負荷装置に見合う直流電力に変換するDC−DC電力変換器と、変換された直流電力を高周波交流電力に変換する高周波電力変換器と、高周波交流電力を商用交流電源と絶縁する高周波トランスと、負荷装置のシャーシと交流電源装置のシャーシとをアース線で接続し、かつ負荷装置のシャーシを接地して、アース線に流れるアース電流を検出するアース電流検出器と、アース電流からアークの発生を検出し、さらにアークの発生により出力する遮断信号によって高周波交流電力の前記負荷装置への電力供給を遮断することで、アークエネルギを抑制するアーク抑制手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、好適には、アーク抑制手段は、アース電流の変化を捉えてアークを検出し、アークの発生の検出に基づいて高周波電力変換器のパワー素子のゲートを遮断することを特徴とする。
さらに、好適には、アーク抑制手段は、アース電流と基準アース電流とを比較して、アース電流が基準アース電流に等しいとき、または大きいとき、アークの発生を検出することを特徴とする。
または、負荷装置に商用交流電力から変換される高周波電力を供給する電源であって、アークを抑制する交流電源装置におけるアーク抑制方法において、商用交流電力から直流電力を生成するAC−DC整流工程と、直流電力を負荷装置に見合う直流電力に変換するDC−DC電力変換工程と、変換された直流電力を高周波交流電力に変換する高周波電力変換工程と、高周波交流電力を前記交流電源と絶縁する電力絶縁工程と、接地した負荷装置のシャーシと交流電源装置のシャーシとを接続したアース線につき、アース線に流れるアース電流を検出するアース電流検出工程と、アース電流から前記アークの発生を検出し、さらにアークの発生により出力する遮断信号によって高周波交流電力の負荷装置への電力供給を遮断することで、アークエネルギを抑制するアーク抑制工程と、を備えることを特徴とする。
さらに、好適には、アーク抑制工程は、アース電流の変化を捉えてアークを検出し、アークの発生の検出に基づいて高周波電力変換器のパワー素子のゲートを遮断することを特徴とする。
さらに、好適には、アーク抑制工程は、アース電流と基準アース電流とを比較して、アース電流が基準アース電流に等しい、または大きいとき、アークの発生を検出することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、アークの発生が、最初に、負荷装置における電極とシャーシとの間の絶縁耐力の劣化等に伴ってアース電流の変化に表れることから、交流電源装置が、このアース電流からアークの発生を検出するようにした。これにより、交流電源装置は、成膜用基板製造装置などの交流電源装置として、アーク現象を高速に捕らえることができ、かつ高周波電力変換器から出力されるエネルギを高速に遮断できる。したがって、製造物に障害となるアークエネルギを最小限に抑えることができる。また、本発明によれば、アーク現象を捉えるための微分回路を備える必要がない。したがって、微分回路の信号処理による遅れを生じることなく、高周波交流電力の生成時に発生するスイッチングノイズの影響を受けることがないから、アーク現象を高速かつ確実に捉えることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔構成〕
先ず、本発明に係る交流電源装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る交流電源装置を成膜用基板製造装置に適用した場合の概略構成図である。図2は、本発明に係る交流電源装置を示す制御ブロック図である。図3は、本発明に係る交流電源装置における電力制御手段を示す制御ブロック図である。図4は、本発明に係る交流電源装置における発振制御手段を示す制御ブロック図である。図5は、本発明に係る交流電源装置における発振制御手段の一部分の回路例を示す図である。
成膜用基板製造装置61は、図1に示すように、商用交流電源22、スパッタ装置等の負荷装置24、および交流電源装置62を備える。商用交流電源22は、50毎秒ヘルツまたは60毎秒ヘルツの電源周波数の商用交流電力を供給する電源である。負荷装置24は、負荷装置のシャーシ66、カソード電極67a,67bおよび基板68を備える。負荷装置のシャーシ66は、一般に知られている成膜用真空装置であり、グランドに接地される。カソード電極67aおよび67bは、以下の説明を簡潔にするために、例えば角型形状した1対の電極であり、負荷装置のシャーシ66と絶縁されるものとする。
交流電源装置62は、アース電流検出器65、電力制御/発振部63、発振制御手段64および直流制御用電源37を備える。交流電源装置62は、入力する商用交流電力を一旦直流電力に変換し、さらに直流電力から交流電力に変換し、前記交流電力を負荷装置24へ出力する。交流電源装置62のシャーシと負荷装置24のシャーシ66との間にアース線を接続し、かつ商用交流電源22と交流電源装置62のシャーシとの間にアース線を接続する。アース電流検出器65は、負荷装置のシャーシ66と交流電源装置62のシャーシとを接続するアース線(太い実線)に流れるアース電流を検出する検出器である。アース電流検出器65は、アース線に直列に接続され、その一端がアース線を介し、交流電源装置62のシャーシに接続され、他端がアース線を介し、負荷装置のシャーシ66に接続される。アース電流信号U1はアース電流端子(図示せず)から出力する。
電力制御/発振部63は、図2に示すように、AC−DC整流器25、第1の平滑用コンデンサ26、DC―DC電力変換器27、第2の平滑用コンデンサ28、第1の電流検出器29、高周波電力変換器30、高周波トランス31および電力制御手段35を備える。
AC−DC整流器25は、整流素子例えば、ダイオードを用いた3相全波整流回路であり、3相交流電力を入力し、3相交流電力を整流し、直流電力を第1の平滑用コンデンサ26に出力する。AC−DC整流器25は、出力正極端子が第1の平滑用コンデンサ26の一端に接続され、出力負極端子が第1の平滑用コンデンサ26の他端に接続される。第1の平滑用コンデンサ26は、AC−DC整流器25による直流電力を入力し、直流電圧を平滑にし、得られる第1の直流電力をDC―DC変換器27に出力する。第1の平滑用コンデンサ26は、一端がDC―DC電力変換器27の入力正極端子に接続され、他端がDC―DC変換器27の入力負極端子に接続される。
DC―DC電力変換器27は、半導体スイッチング素子例えば、IGBT(Insulated Gate Bipola Transistor)(以下、第1のスイッチング素子という。)と直流リアクタとを備えるスイッチング回路であり、第1のスイッチング素子のゲートに入力する制御信号(以下、ゲート制御信号という。)Aにより、コレクターエミッタ間の導通/遮断を制御する。第1のスイッチング素子のコレクタおよびエミッタは、第1の平滑用コンデンサ26および第2の平滑用コンデンサ28の負極端子にそれぞれ接続される。直流リアクタは、その一端が第1の平滑用コンデンサ26の正極端子に接続され、他端が第2の平滑用コンデンサ28の正極端子に接続される。すなわち、DC―DC電力変換器27は、第1の直流電力を入力し、内在する第1のスイッチング素子のゲート制御信号Aによりオン/オフ動作させて、第2の直流電力を第2の平滑用コンデンサ28に出力する。
第2の平滑用コンデンサ28は、第2の直流電力を入力し、第2の直流電圧を平滑にし、高周波電力変換器30に出力する。第2の平滑用コンデンサ28は、その一端が高周波電力変換器30の入力正極端子に接続され、他端が高周波電力変換器30の入力負極端子に接続される。第1の電流検出器29は、例えば、磁電変換素子であるホール素子を利用して、被測定電流を非接触で検出するセンサであり、DC―DC電力変換器27の出力側の実際直流電流値〔C〕(以下、〔〕は信号レベルをいう。例えば、信号Cの信号レベルは〔C〕を示す。)や過電流を検出する。
高周波電力変換器30は、インバータ回路であり、相対向する2対の半導体スイッチング素子例えば、IGBT(Q1およびQ4スイッチ)およびIGBT(Q2およびQ3スイッチ)の対(以下、第2のスイッチング素子という。)が、第2のスイッチング素子のゲートに入力する制御信号(以下、スイッチング制御信号という。)Dにより、コレクターエミッタ間の導通/遮断を制御する。すなわち、高周波電力変換器30は、第2のスイッチング素子が、交互にオン/オフ動作を繰り返し、第2の平滑用コンデンサ28により平滑された波形の電圧を有する第2の直流電力を、略矩形波交流波形の電圧を有する第1の交流電力に変換する回路である。すなわち、高周波電力変換器30は、第2の直流電力を入力し、内在する第2のスイッチング素子のゲートをスイッチング制御信号Dによりオン/オフ動作させ、第2の直流電力を第1の高周波交流電力に変換し、前記交流電力を高周波トランス31に出力する。
高周波トランス31は、相互に電磁結合された1次巻線31pおよび2次巻線31sからなる変圧器であり、1次巻線31pに交流電圧を入力し、相互電磁誘導作用により、1次巻線31pと2次巻線31sとの巻数比に比例した交流電圧を2次巻線31sに発生させる。高周波トランス31の1次巻線31pは、巻き始めが第2のスイッチング素子Q1のエミッタおよびQ3のコレクタに接続され、巻き終りが第2のスイッチング素子Q2のエミッタおよびQ4のコレクタに接続される。高周波トランス31の2次巻線31sは、負荷装置24に接続される。すなわち、高周波トランス31は、第1の高周波交流電力を入力し、第1の高周波交流電力と電気的に絶縁させた第2の高周波交流電力に変換し、負荷装置24へ出力する。このように、高周波トランス31は、入力側の商用交流電源22と高周波交流電力とを電気的に絶縁する。
電力制御手段35は、図3に示すように、基本電力指令値設定器38、帰還電力演算器39、減算器40、PID制御器41およびGATE制御器42を備える。基本電力指令値設定器38は、負荷装置24に見合う、例えば装置の大きさ、生産効率等のパラメータにより定められる直流入力電力の基本電力指令値〔S〕を設定する設定器である。帰還電力演算器39は、実際直流電圧値〔B〕および実際直流電流値〔C〕を入力し、実際直流電圧値〔B〕と実際直流電流値〔C〕とを乗算し、演算の結果により、得られる帰還電力値を減算器40に出力する。
減算器40は、基本電力指令値設定器38による基本電力指令値〔S〕と帰還電力演算器39による帰還電力値とを入力し、基本電力指令値〔S〕から帰還電力値を減算し、演算の結果により、得られる電力偏差値をPID制御器41に出力する。PID制御器41は、電力偏差値を入力し、電力偏差値をPID制御して、操作量をGATE制御器42に出力する。GATE制御器42は、電力偏差値に応じてPID制御するPID制御器41による操作量に基づいて、ゲート制御信号AをDC−DC電力変換器27における第1のスイッチング素子のゲートに出力する。すなわち、電力制御手段35は、負荷装置24に見合う基本電力指令値〔S〕から帰還電力値を減算し、演算の結果により、得られる電力偏差値に基づいて、ゲート制御信号AをDC−DC電力変換器27に出力し、そのゲート制御信号Aによって、第2の直流電力を制御させる。
発振制御手段64は、図4に示すように、アーク検出手段43およびパルス指令演算手段44を備える。アーク検出手段43は、電流−電圧変換器69、パルストランス45、差動増幅器46、絶対値変換器47、基準値設定器70、電流判定器71、アーク検出指令器72、ラッチおよび遮断信号発生器51、および再起動信号演算器52を備える。
電流−電圧変換器69は、図5に示すように、例えば、抵抗体73およびコンデンサ74を備え、図1に示したアース電流検出器65のアース電流出力端子(図示せず)とグランド(アース)との間に抵抗体73を直列に配設し、さらに抵抗体73に並列にコンデンサ74を配設する。電流―電圧変換器69は、アース電流信号U1を入力し、電圧信号U2をパルストランス45に出力する。
パルストランス45は、ディジタル信号用広帯域トランスであり、図5に示すように、電流―電圧変換器69によるアース電圧信号U2を入力し、アース電圧信号U2と電気的に絶縁するアース電圧信号U3を差動増幅器46に出力する。パルストランス45は、電流―電圧変換器69と差動増幅器46との間に配設し、パルストランス45の2次側巻線45sが、1次側巻線45pに対し、巻線比が例えば1:1とする。
差動増幅器46は、減算回路であり、図5に示すように、例えば、抵抗体75a〜75dおよびオペアンプ76を備える。差動増幅器46は、パルストランス45によるアース電圧信号U3を入力し、アース電圧信号U3を増幅し、得られる出力電圧値〔U4〕を絶対値変換器47に出力する。抵抗体75a〜75dは、出力電圧値〔U4〕をアース電流値〔U1〕の数値に等しくするように、それぞれの抵抗値が予め設定されており、差動増幅器46の電力入力線に接続されている。例えば、アース電流値〔U1〕が1アンペアであれば、出力電圧信号U4の電圧値〔U4〕を1ボルトにする。これにより、差動増幅器46の出力端子から電圧値〔U4〕を出力することによって、アース電流値〔U1〕を知ることができる。
絶対値変換器47は、図4に示すように、差動増幅器46による出力電圧値〔U4〕を入力し、出力電圧値〔U4〕の絶対値を演算し、演算の結果により、得られる絶対値信号である片極性のアース帰還電流信号Vを電流判定器71に出力する。
基準値設定器70は、アース電流値〔U1〕の変化に基づいてアーク放電と判定する基準であるアーク基準値〔N〕を設定する設定器である。電流判定器71は、基準値設定器70によるアーク基準値〔N〕と絶対値変換器47によるアース帰還電流値〔V〕とを入力し、アーク基準値〔N〕とアース帰還電流値〔V〕とを比較し、アース帰還電流値〔V〕が、アーク基準値〔N〕に等しいとき、または大きいとき、HIGH信号Wをアーク検出指令器72に出力し、アース帰還電流値〔V〕が、アーク基準値〔N1〕に満たないとき、LOW信号を出力する。
アーク検出指令器72は、前記HIGH信号Wを入力し、前記HIGH信号に基づいてアーク検出信号Kをラッチおよび遮断信号発生器51に出力する。ラッチおよび遮断信号発生器51は、アーク検出指令器72によるアーク検出信号Kを入力し、アーク検出信号Kを保持して、遮断信号Lを出力遮断切替器57および再起動信号演算器52に出力する。これにより、スイッチング指令信号Iを遮断し、さらに第2のスイッチング素子のゲートを遮断することによって、高周波電力変換器30の出力電力を高速遮断することができる。再起動信号演算器52は、遮断信号Lを入力し、当該遮断信号Lを入力してから所定時間だけ経過した後、ラッチおよび遮断信号発生器51のラッチを解除するためのリセット信号Mをラッチおよび遮断信号発生器51に出力する。これにより、ラッチおよび遮断信号発生器51により出力される遮断信号Lが、次のアーク検出信号Kを検出するために、所定時間後にリセットされる。
パルス指令演算手段44は、スイッチング周波数設定器53、デッドバンド設定器54、スイッチング信号生成器55、出力遮断切替器57、P側素子ドライブ回路58およびN側素子ドライブ回路59を備える。スイッチング周波数設定器53は、第2のスイッチング素子のゲートをオン/オフ動作させるためのスイッチング指令信号Iのスイッチング周波数指令値〔P〕を設定する設定器である。デッドバンド設定器54は、スイッチング指令信号IのP側とN側のパルス信号の切換えのとき、第2のスイッチング素子が確実にオフするためのデッドバンド期間〔Q〕を設定する設定器である。スイッチング信号生成器55は、スイッチング周波数指令値〔P〕とデッドバンド期間〔Q〕とを入力し、スイッチング周波数指令値〔P〕とデッドバンド期間〔Q〕とからスイッチング指令信号Iを生成し、スイッチング指令信号Iを出力遮断切替器57に出力する。
出力遮断切替器57は、スイッチング指令信号Iを入力し、ラッチおよび遮断信号発生器51による遮断信号Lによって、スイッチング指令信号Iを遮断して、P側素子ドライブ回路58およびN側素子ドライブ回路59への制御信号Rを遮断する。一方、遮断信号Lが出力しない場合、出力遮断切替器57は、P側素子ドライブ回路58およびN側素子ドライブ回路59に制御信号Rを出力する。P側素子ドライブ回路58は、制御信号Rを入力し、制御信号RによってP側の第2のスイッチング素子を駆動するためのスイッチング制御信号D(P)を高周波電力変換器30に出力する。N側素子ドライブ回路59は、P側と同様に、制御信号Rを入力し、制御信号RによってN側の第2のスイッチング素子を駆動するスイッチング制御信号D(N)を高周波電力変換器30に出力する。
直流制御用電源37は、図1に示すように、電力制御/発振部63、発振制御手段64およびアース電流検出器65における直流回路に直流定電圧を供給するための制御用定電圧電源である。本実施の形態において、直流制御用電源37は、商用交流電源22から2相商用電源を入力し、直流定電圧を出力するようにしたが、商用交流電源22とは別系統の電源を用いることにより、全く独立した直流制御用電源として直流定電圧を出力するようにしてもよい。
以上の説明では、発振制御手段64のアーク検出手段43に入力する信号U1を電流信号としたが、電流信号の代わりに電圧信号、例えば所定の抵抗体をアース線に直列に接続し、前記抵抗体の両端子間の電圧を入力するようにしてもよい。この場合、信号U1は、図4に示した電流―電圧変換器69に入力することなく、パルストランス45の入力側に直接的に入力するようにする。
〔アークの抑制方法〕
次に、本発明に係る交流電源装置におけるアークの抑制方法について説明する。図6は、本発明に係る交流電源装置におけるアーク抑制方法の処理手順を示すフローチャート図である。
交流電源装置62におけるアーク抑制方法は、商用交流電力から直流電力を生成するAC−DC整流工程(S−1)と、前記直流電力を、内在する第1のスイッチング素子のゲートをオン/オフ動作させて、負荷装置24に見合う直流電力に変換するDC−DC変換工程(S−2)と、前記変換された直流電力を高周波交流電力に交換する高周波電力変換工程(S−3)と、前記高周波交流電力を前記商用交流電力と絶縁する電力絶縁工程(S−4)と、前記負荷装置のシャーシ66と交流電源装置62のシャーシとを接続するアース線に流れるアース電流を検出するアース電流検出工程(S−5)と、前記アークの発生を前記アース電流から検出し、アークの発生により生成される遮断信号にて前記高周波交流電力を遮断するアーク抑制工程(S−6)とを備える。これにより、アーク現象を高速に捕らえて、これにより生成される遮断信号Lによって高周波電力変換器30から出力するエネルギを高速に遮断することができる。
〔動作〕
次に、本発明に係る交流電源装置62の動作について説明する。先ず、交流電源装置62の全体的な動作について説明する。交流電源装置62は、図2に示すように、AC−DC整流器25によって、商用交流電源22の交流電力を整流し、直流電力を出力する。第1の平滑用コンデンサ26によって、直流電力に基づく直流電圧を平滑にし、第1の直流電力を出力する。DC−DC電力変換器27によって、第1の直流電力を第2の直流電力に変換する。すなわち、DC−DC電力変換器27は、第1の直流電力を入力し、DC−DC電力変換器27に内在する第1のスイッチング素子のゲートを、電力制御手段35によるゲート制御信号Aによってオン/オフ制御し、一定の直流電圧、電流、電力(以下、総称して電力という)を制御し、第2の直流電力を出力する。第2の平滑用コンデンサ28によって、第2の直流電力に基づく第2の直流電圧を平滑にし、平滑した第2の直流電力を出力する。
高周波電力変換器30によって、平滑された第2の直流電力を高周波交流電力に変換する。すなわち、高周波電力変換器30は、平滑された第2の直流電圧を入力し、高周波電力変換器30に内在する第2のスイッチング素子のゲートを、発振制御手段64によるスイッチング制御信号Dによって、高速でスイッチングし、高周波交流電力を出力する。高周波トランス31によって、生成された高周波交流電力と入力の商用交流電源22とを電気的に絶縁する。高周波トランス31は、必要に応じて設置され、絶縁した高周波交流電力を負荷装置24に供給する。
次に、電力制御手段35の動作について説明する。電力制御手段35は、図2および図3に示すように、実際直流電圧値〔B〕と、第1の電流検出器29による実際直流電流値〔C〕とを入力し、実際直流電圧値〔B〕と、実際直流電流値〔C〕とから求めた帰還電力値と、基本電力指令値設定器38による基本電力指令値〔S〕とに基づいて、第1のスイッチング素子を動作させるためのゲート制御信号AをDC−DC電力変換器27に出力する。
実際直流電圧値〔B〕と実際直流電流値〔C〕とが帰還電力演算器39に入力すると、帰還電力演算器39によって、実際直流電圧値〔B〕と実際直流電流値〔C〕を乗算し、得られる帰還電力値を減算器40に出力する。減算器40によって、基本電力指令値〔S〕から実際帰還電力値を減算し、得られる電力偏差値をPID制御器41に出力する。PID制御器41によって、電力偏差値に比例動作させるとともに、前記電力偏差値の積分に比例して入力値を変化させる積分動作、および前記電力偏差値の微分に比例して入力値を変化させる微分動作を組み合わせた制御を行って、操作量をGATE制御器42に出力する。この場合、PID動作の代わりにPI動作のみの制御を行うようにしてもよい。GATE制御器42によって、PID制御器41による操作量に基づいて、ゲート制御信号Aを第1のスイッチング素子のゲートに出力する。すなわち、電力偏差値が増加すれば、ゲート制御信号Aのオン動作時間が長くなるように制御し、電力偏差値が減少すれば、ゲート制御信号Aのオン動作時間が短くなるように制御する。これにより、電力制御手段35は、DC−DC電力変換器25が入力する直流電力を一定の直流電力になるように制御することができる。
次に、発振制御手段64の動作について説明する。図7は、本発明に係る交流電源装置を示す制御ブロックの各信号波形と経過時間との関係を示す図である。図7(U1)は、アース電流信号U1のレベルと経過時間との関係を示す図であり、横軸は、経過時間t、縦軸は、アース電流信号U1のレベルをそれぞれ示す。図7(V)は、アース電流信号U1のレベルの絶対値と経過時間との関係を示す図であり、横軸は、経過時間t、縦軸は、アース電流信号U1のレベルの絶対値をそれぞれ示す。図7(N&V)は、アース電流信号U1の絶対値および基準電流信号Nと経過時間との関係を示す図であり、横軸は、経過時間t、縦軸は、アース電流信号のレベルの絶対値Vおよび基準電流信号(2点鎖線で示す)Nをそれぞれ示す。図7(W)は、アーク検出前信号と経過時間との関係を示す図である。横軸は、経過時間t、縦軸は、アーク検出前信号Wをそれぞれ示す。図7(K)は、アーク検出信号と経過時間との関係を示す図であり、横軸は、経過時間t、縦軸は、アーク検出信号Kをそれぞれ示す。図7(L/M)は、遮断信号および再起動信号と経過時間との関係を示す図である。横軸は、経過時間t、縦軸は、遮断信号Lおよび再起動信号Mをそれぞれ示す。
図8は、本発明に係る交流電源装置における信号波形の拡大図と経過時間との関係を示す図である。図8(U1、アークなし)は、アークの発生が無いときのアース電流信号と経過時間との関係を示す図であり、横軸は、経過時間t、縦軸は、アークの発生が無いときのアース電流信号U1のレベルをそれぞれ示す。ここで、アース電流信号U1の周期t1は、スイッチング信号Dのスイッチング周波数が、例えば25毎秒キロヘルツとすると、20マイクロ秒である。
図8(U1、アークあり)は、アークの発生が有るときのアース電流信号と経過時間との関係を示す図である。横軸は、経過時間t、縦軸は、アークが有るときのアース電流信号U1のレベルをそれぞれ示す。符号V1は、アークが有るときのアース電流信号U1の最大アース電流値を示す。また、符号V2は、アークが発生しない定常状態の場合のアース電流信号U1の最大電流値を示す。点Tは、アークが発生する場合、アース電流信号U1のレベルが、瞬時に立上る時刻を示す。
図8(K)は、アーク検出信号と経過時間との関係を示す図である。点Uは、パルス状のアーク検出信号Kが出力し始める時刻を示す。図8(L/M)は、遮断信号および再起動信号と経過時間との関係を示す図である。点Vは、アーク検出信号Kに基づいて、遮断信号Lが出力し始める時刻を示す。点Wは、再起動信号Mが出力し始める時刻を示す。t5は、遮断信号Lが出力した後、再起動信号Mが出力するまでの所定時間を示す。
図9は、本発明に係る交流電源装置におけるアース電流の流れ方の一例を示す図である。アース電流は、プラズマの条件や負荷装置24の構造的な仕様によって、アークが最初電極間で発生するのではなく、むしろカソード電極67の片極から一旦、負荷装置のシャーシ66を仲介して、対向する他の電極との間で発生することにより、負荷装置のシャーシ66と交流電源装置62のシャーシとを接続するアース線に流れる。すなわち、真空装置内のプラズマが過剰に発生し、かつ負荷装置24が、例えば電極と負荷装置のシャーシ66との間隙が狭いような構造を有するとき、負荷装置のシャーシ66と電極との間の絶縁耐圧が劣化して、負荷装置のシャーシ66と電極とが導通することにより、アース電流はアース線に流れる。何故ならば、図9に示すように、仮想コンデンサC1およびC2が高周波トランス31の出力線とシャーシとの間に存在するかのように作用し、アース線を経由し電流ループ(イ〜ル)を形成して、アース電流が流れると推定できるからである。
図10(B)は、本発明に係る交流電源装置における実際アース電流信号と経過時間との関係を示す図である。横軸は、経過時間t、縦軸は、アース電流信号U1の実際レベルをそれぞれ示す。結果として、アークが発生したときのアース電流値〔U1〕は、20アンペアであり、アークが発生しないときのアース電流値〔U1〕は、5アンペアである。ここで負荷装置24に印加する交流電圧は、500ボルトとする。したがって、アークが発生したときのアース電流値は、アークが発生しないときのアース電流値に対し、4倍だけ感度が高い結果を得たことになる。
アース電流検出器65によるアース電流信号U1が、図4に示したアーク検出手段43の電流―電圧変換器69に入力すると、図5に示すように、電流―電圧変換器69によって電圧値〔U2〕をパルストランス45に出力する。前記電圧値〔U2〕がパルストランス45に入力すると、絶縁した電圧値〔U3〕を差動増幅器46に出力する。これにより、パルストランス45の1次側巻線45p側の入力信号と2次側巻線45s側の出力信号とを絶縁することができ、パルストランス45を有しない発振制御手段に比べて、入力信号に対する出力信号の絶縁性を向上させることができる。さらに、パルトランス45の代わりに、フォトカプラを使用する場合に比べて、入力信号に対する出力信号の伝達遅れを、さらに低減することができる。
前記電圧値〔U3〕が差動増幅器46に入力すると、差動増幅器46によって、電圧値〔U3〕を増幅させた出力電圧値〔U4〕を絶対値変換器47に出力する。これにより、配線経路のグランドに対し、高圧側の電圧に電気的ノイズが重畳するとき、コモンモードノイズを軽減することができる。
出力電圧値〔U4〕が絶対値変換器47に入力すると、出力電圧値〔U4〕の絶対値を演算して、絶対値を電流判定器71に出力する。前記絶対値と基準値設定器70による基準電流値〔N〕とが電流判定器71に入力すると、絶対値と基準電流値〔N〕との大小を比較し、演算の結果により、得られる絶対値が基準電流値〔N〕に等しいときまたは、より大きいとき、アーク検出前信号Wをアーク検出指令器72に出力する。すなわち、成膜中にアークが発生すると、アーク検出前信号Wは、例えば、図7(W)に示すように、片極性の波状の信号として出力する。
さらに、アーク検出前信号Wがアーク検出指令器72に入力すると、パルス状のアーク検出信号Kをラッチおよび遮断信号発生器51に出力する。アーク検出信号Kがラッチおよび遮断信号発生器51に入力すると、ラッチおよび遮断信号発生器51によって、ラッチされた遮断信号Lを再起動信号演算出力器52および出力遮断切替器57に出力する。この場合、遮断信号Lは、図7または図8(L/M)に示すように、点Vにおいて出力する。実際上、ラッチおよび遮断信号発生器51による信号処理時間の遅延によって、アーク検出信号Kが出力する点Uから僅かな時間だけ遅れた点V’(図示せず)において、負荷装置24への通電状態HIGH状態から遮断状態LOWに変化するように、遮断信号Lを出力する
遮断信号Lが再起動信号演算出力器52に入力すると、再起動信号演算出力器52に内蔵するタイマが作動し、図8(L/M)に示すように、所定時間t5だけ経過した後、タイマがオフとなって、リセット信号Mをラッチおよび遮断信号発生器51に出力する。すなわち、遮断信号Lは、リセット信号Mにより、点Wにおいて、LOW状態からHIGH状態に変化するように出力する。また、出力遮断切替器57は、P側のスイッチング信号Dがオン状態のときに遮断信号Lを入力した場合、リセット信号Mによって再起動するスイッチング信号Dを、先ずN側からオンし、続いてP側がオンするように設定する。逆に、N側のスイッチング信号Dがオン状態のときに遮断信号Lを入力した場合、リセット信号Mによって再起動するスイッチング信号Dを、先ずP側からオンし、続いてN側がオンするように設定する。すなわち、リセット信号Mによって、再起動するP側およびN側からなるスイッチング信号Dは、アークを検出する前記P側またはN側と反対側の前記N側またはP側のいずれかのスイッチングが開始する。
この場合、アークが検出された際の極性と同じP側またはN側にてスイッチングが開始すると、高周波トランス31において、磁気飽和が起きて抵抗値が小さくなる。この結果、電流が増大し、アークが発生する可能性がある。つまり、反対側の極性のP側またはN側にてスイッチングを開始させることにより、高周波トランス31の磁気飽和を防止することができ、結果として、アークの発生を抑制することができる。また、プラズマに起因して、アークを増長させないようにすることもできる。すなわち、高周波トランス31は、DC−AC変換器30により出力される第1の高周波交流電力を第2の高周波交流電力に変換する際に、飽和することなく、発振制御手段64により出力されるスイッチング信号Dに応じた第2の高周波交流電力を負荷装置24へ供給することができる。
予め設定されたスイッチング信号のスイッチング周波数〔P〕およびデッドバンド期間〔Q〕をスイッチング信号生成器55に入力すると、スイッチング信号生成器55は、スイッチング周波数〔P〕およびデッドバンド期間〔Q〕を有するパルス状信号であるスイッチング指令信号Iを出力遮断切替器57に出力する。
遮断信号Lがパルス指令演算手段44の出力遮断切替器57に入力すると、遮断信号Lによって、第2のスイッチング素子を駆動するためのP側素子ドライブ回路58およびN側素子ドライブ回路59に入力する制御信号Rを遮断する。これにより、アース電流の変化を検出することによって、アーク現象を捉えた後、遮断信号Lによって第2のスイッチング素子のゲートを高速に遮断することができる。すなわち、アース電流を検出してアーク現象を捉える方法は、放電電流が変化する場合並びに放電電圧を検出するだけではアークを確実に捉えることができないような場合に比べて、アークをより早く検出することができる。つまり、アークを高速に検出することができる。これにより、第2のスイッチング素子のゲートを高速に遮断して、アークのエネルギを抑制することができる。
以上の説明では、負荷装置24内に1対または複数対の電極を配置し、前記各対の電極間の放電域を制限する導体からなるグランドシールド(例えば直方体状の導体とし、電極に対向しない面の一端を基板68に対向させ、他端を負荷装置のシャーシ66と直接的に、またはアース線(図示せず)を介して、接続する)を備えていないが、グランドシールドを備える負荷装置24についても、アース線に流れるアース電流を検出することにより、アーク現象を高速に捉え、これにより高周波電力変換器30から出力されるエネルギを高速に遮断することができる。
以上により、本発明によれば、交流電源装置62は、成膜用基板製造装置21の交流電源装置として、負荷装置のシャーシ66と交流電源装置62のシャーシとの間に接続するアース線に流れるアース電流値〔U1〕の変化を検出するようにした。すなわち、アークの発生が、最初に、電極と負荷装置のシャーシ66との間の絶縁耐力の劣化等に伴うアース電流値〔U1〕の変化に表れることから、交流電源装置62は、このアース電流値〔U1〕に基づいてアーク現象を捉えるようにした。これによって、アーク現象を高速に捉え、高周波電力変換器30から出力されるエネルギを高速に遮断することができる。したがって、製造物に障害となるアークエネルギを最小限に抑えることができる。
本発明に係る交流電源装置を成膜用基板製造装置に適用した場合の概略構成図である。 本発明に係る交流電源装置を示す制御ブロック図である。 本発明に係る交流電源装置における電力制御手段を示す制御ブロック図である。 本発明に係る交流電源装置における発振制御手段を示す制御ブロック図である。 本発明に係る交流電源装置における発振制御手段の一部分の回路例を示す図である。 本発明に係る交流電源装置におけるアーク抑制方法の処理手順を示すフローチャート図である。 本発明に係る交流電源装置を示す制御ブロックの各信号波形と経過時間との関係を示す図である。 本発明に係る交流電源装置における信号波形の拡大図と経過時間との関係を示す図である。 本発明に係る交流電源装置におけるアース電流の流れ方の一例を示す図である。 本発明に係る交流電源装置における実際アース電流波形および放電電圧と経過時間との関係を示す図である。 従来技術における装置を示す制御ブロック図である。 従来技術における他の装置における実際放電電流波形と経過時間との関係を示す図である。
符号の説明
1 直流制御部
2 平滑回路
3 インバータスイッチング部
4 昇圧トランス
5 整流部
6 放電電圧検出回路
7 カレントトランス
8 放電電圧立ち下げ検出回路
10 ゲートドライブ
11 インバータ制御部
12 処理装置本体
13 サイリスタ制御部
22 商用交流電源
24 負荷装置
25 AC−DC整流器
26 第1の平滑用コンデンサ
27 DC−DC電力変換器
28 第2の平滑用コンデンサ
29 第1の電流検出器
30 高周波電力変換器
31 高周波トランス
35 電力制御手段
37 直流制御用電源
38 基本電力指令値設定器
39 帰還電力演算器
40 減算器
41 PID制御器
42 GATE制御器
43 アーク検出手段
44 パルス指令演算手段
45 パルストランス
46 差動増幅器
47 絶対値変換器
51 ラッチおよび遮断信号発生器
52 再起動信号演算器
53 スイッチング周波数設定器
54 デッドバンド設定器
55 スイッチング信号生成器
57 出力遮断切替器
58 P側素子ドライブ回路
59 N側素子ドライブ回路
61 成膜用基板製造装置
62 交流電源装置
63 電力制御/発振部
64 発振制御手段
65 アース電流検出器
66 負荷装置のシャーシ
67a、67b カソード電極
68 基板
69 電流―電圧変換器
70 基準値設定器
71 電流判定器
72 アーク検出指令器
73 抵抗体
74 コンデンサ
75a、75b、75c、75d 抵抗体
76 オペアンプ
A ゲート制御信号
B 実際直流電圧信号
C 実際直流電流信号
C1 仮想コンデンサ
C2 仮想コンデンサ
D スイッチング制御信号
I スイッチング指令信号
K アーク検出信号
L 遮断信号
M 再起動信号
N 基準電流信号
S 基本電力指令信号
U1 アース電流信号

Claims (6)

  1. 商用交流電力から変換した高周波交流電力を負荷装置へ供給する電源であって、アークを抑制する交流電源装置において、
    前記商用交流電力から直流電力を生成するAC−DC整流器と、
    前記直流電力を前記負荷装置に見合う直流電力に変換するDC−DC電力変換器と、
    前記変換された直流電力を高周波交流電力に変換する高周波電力変換器と、
    前記高周波交流電力を商用交流電源と絶縁する高周波トランスと、
    前記負荷装置のシャーシと当該交流電源装置のシャーシとをアース線で接続し、かつ前記負荷装置のシャーシを接地して、前記アース線に流れるアース電流を検出するアース電流検出器と、
    前記アース電流から前記アークの発生を検出し、さらにアークの発生により出力する遮断信号によって高周波交流電力の前記負荷装置への電力供給を遮断することで、アークエネルギを抑制するアーク抑制手段と、
    を備えることを特徴とする交流電源装置。
  2. 前記アーク抑制手段は、
    前記アース電流の変化を捉えてアークを検出し、アークの発生の検出に基づいて前記高周波電力変換器のパワー素子のゲートを遮断することを特徴とする請求項1に記載の交流電源装置。
  3. 前記アーク抑制手段は、
    前記アース電流と基準アース電流とを比較して、前記アース電流が前記基準アース電流に等しいとき、または大きいとき、アークの発生を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交流電源装置。
  4. 負荷装置に商用交流電力から変換される高周波電力を供給する電源であって、アークを抑制する交流電源装置におけるアーク抑制方法において、
    前記商用交流電力から直流電力を生成するAC−DC整流工程と、
    前記直流電力を負荷装置に見合う直流電力に変換するDC−DC電力変換工程と、
    前記変換された直流電力を高周波交流電力に変換する高周波電力変換工程と、
    前記高周波交流電力を前記交流電源と絶縁する電力絶縁工程と、
    接地した前記負荷装置のシャーシと前記交流電源装置のシャーシとを接続したアース線につき、該アース線に流れるアース電流を検出するアース電流検出工程と、
    前記アース電流から前記アークの発生を検出し、さらにアークの発生により出力する遮断信号によって高周波交流電力の負荷装置への電力供給を遮断することで、アークエネルギを抑制するアーク抑制工程と、
    を備えることを特徴とする交流電源装置におけるアーク抑制方法。
  5. 前記アーク抑制工程は、
    前記アース電流の変化を捉えてアークを検出し、アークの発生の検出に基づいて前記高周波電力変換器のパワー素子のゲートを遮断することを特徴とする請求項4に記載の交流電源装置におけるアーク抑制方法。
  6. 前記アーク抑制工程は、
    前記アース電流と基準アース電流とを比較して、前記アース電流が前記基準アース電流に等しい、または大きいとき、アークの発生を検出することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の交流電源装置におけるアーク抑制方法。
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