JP4363393B2 - 金属板の縁部加工方法および管楽器 - Google Patents
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カール部4は、芯材5を巻き込むように外方に湾曲して形成されている。
図5(b)に示すように、カール部4と芯材5の隙間には半田部8が形成されている。
管状体3の開口縁部を、芯材5を巻き込んで外方に湾曲させてカール部4を形成する。
次いで、溶融した半田をカール部4内に導入する。半田はカール部4と芯材5との隙間に導入される。近年では、環境に対する悪影響を防ぐため、鉛フリー半田が多く用いられている。半田の導入によって、カール部4と芯材5とを強固に接合させることができる。この種の接合方法としては、特許文献1に記載された方法がある。
次いで、管状体3にメッキや塗装を施し、管楽器11を得る。
欠陥9が形成されると、強度の低下や外観の悪化が生じることがあった。また、音質にも悪影響がおよぶことがあった。さらには、欠陥9を原因として、メッキや塗装に剥がれが生じることがあった。特に、鉛フリー半田は、ぬれ性に劣るため、前記隙間に残った空気によって欠陥9が形成されやすかった。
欠陥9が形成された場合には、その部分の半田部8を局所的に再溶融させて前記隙間に充填させることによって、欠陥9を除去することができる。再溶融によって半田部8の表面8aに凹凸が生じた場合には、表面8aが研磨処理によって平滑化される。
このように、欠陥が形成された場合には、その除去に手間がかかる。特に、大型の楽器では、研磨処理するべき箇所が広範囲となるため、作業にいっそう手間がかかるという問題があった。
従って、カール部と芯材の隙間に充填された半田合金には、ピンホールなどの欠陥が生じることがない。
管状体3は、真ちゅうなどの金属からなる板材を成形して得られたものである。管状体3は、断面略円形とされ、開口縁部に向かって徐々に径が大きくなるように形成することができる。
なお、管状体3の断面形状は略円形に限らず、任意の形状、例えば多角形、楕円形などとすることができる。
カール部4は、管状体3の全周にわたって形成されている。
芯材5は、管状体3の周方向に沿うリング状とされている。図示例では、芯材5は、断面略円形の円形リング状とされている。芯材5の外径(太さ)は2〜5mmが好ましい。
なお、芯材の形状はリング状に限らず、任意の形状、例えば略円弧状、直線状などとしてもよい。
半田合金部6を構成する半田合金としては、Snを含むものが用いられ、例えば鉛フリー半田、共晶半田などが使用できる。鉛フリー半田は、環境に対する悪影響が少ない点で優れている。
鉛フリー半田としては、例えばSn合金、SnAg合金、SnZn合金、SnAgCu合金、SnAgCuBi合金、SnCu合金、SnBi合金、SnAgInBi合金、SnAgInBi合金、SnSb合金が使用できる。また、前記合金にNiまたはGeを微量添加したものを使用することもできる。
図2に示すように、芯材5外面に、Snを含む金属材料からなるめっき膜7を形成する。この金属材料としては、上述の鉛フリー半田や共晶半田を使用してもよいし、Snを使用してもよい。特に、Sn、SnAg合金、SnZn合金のうちいずれか1つを使用すると、欠陥形成を防ぐ効果が高い。
めっき膜7のSn含有量は、例えば50質量%以上とすることができる。
めっき膜7は、薄すぎればカール部4と芯材5との間に欠陥ができやすくなる。また、めっき膜7が厚すぎる場合には、カール部4が形成しにくくなる。このため、めっき膜7の厚さは、5〜100μmが好ましい。
めっき膜7を形成する方法としては、溶融めっき、電気めっき、無電解めっきなどがあり、特に溶融めっきが好ましい。めっき膜7を形成する工程をめっき膜形成工程と呼ぶ。
Snを含むめっき膜7が溶融することによって、カール部4内面および芯材5外面のぬれ性が向上するため、導入された半田は、カール部4と芯材5との隙間に行き渡る。
従って、カール部4と芯材5の隙間に形成された半田合金部6には、ピンホールなどの欠陥が生じることがない。
半田は、カール部4の先端4aと管状体3外面との隙間にも充填される(図4を参照)。
半田の充填によって、カール部4と芯材5とを強固に接合させることができる。
次いで、必要に応じてメッキ、塗装などを施し、図1に示す管楽器1を得る。
また、欠陥形成を防ぐことができるため、管楽器のベル部に適用すると、発生した音波に対する影響が少なく、音質を向上させることができる。
(実施例1)
図1に示す管楽器1を、次のようにして作製した。
図2に示すように、ステンレスからなる芯材5外面に、溶融めっきによって、Snからなるめっき膜7(厚さ50μm)を形成した。芯材5は、外径(太さ)2mmの断面円形とした。
次いで、図3に示すように、真ちゅうからなる管状体3の開口縁部を、芯材5を巻き込むように外方に湾曲させカール部4を形成した。
次いで、バーナーを用いてカール部4を加熱しつつ、溶融した鉛フリー半田をカール部4内に導入した。鉛フリー半田としては、SnAg(Ag3質量%、残部がSn)を用いた。
カール部4内を観察したところ、欠陥は形成されていないことが確認された。
めっき膜7を構成する金属材料を、実施例1で用いたものと同様のSnAgとすること以外は実施例1と同様にして管楽器1を作製した。
カール部4内を観察したところ、欠陥は形成されていないことが確認された。
めっき膜7を構成する金属材料を、SnZn(Zn7質量%、残部がSn)とすること以外は実施例1と同様にして管楽器1を作製した。
カール部4内を観察したところ、欠陥は形成されていないことが確認された。
芯材5にめっきを施さないこと以外は実施例1と同様にして管楽器を作製した。
カール部4内を観察したところ、欠陥が形成されていることが確認された。
金属板の材料は、真ちゅうに限らず、鉄、ステンレス、銅、アルミニウムなどであってもよい。
Claims (5)
- 管楽器の管状体を形成する金属板の縁部に、金属からなる芯材を巻き込んでカール部を形成し、このカール部と前記芯材とを接合する金属板の縁部加工方法であって、
前記芯材に、Snを含む金属材料からなるめっき膜を形成する工程と、
前記金属板の縁部を、前記芯材を巻き込んで曲げてカール部を形成する工程と、
前記カール部を加熱し、溶融した半田を前記カール部と芯材との隙間に導入するとともに前記めっき膜を溶融させることによって、前記カール部と前記芯材との隙間および前記カール部の先端と管状体外面との隙間にSnを含む半田合金を充填する工程と、を含むことを特徴とする金属板の縁部加工方法。 - 前記めっき膜を構成する金属材料は、Sn、SnAg合金、SnZn合金のうちいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の金属板の縁部加工方法。
- 前記めっき膜の厚さは、5〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属板の縁部加工方法。
- 前記めっき膜および半田は、鉛フリー半田からなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の金属板の縁部加工方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の金属板の縁部加工方法によって加工された金属板からなる管状体を備えていることを特徴とする管楽器。
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JP2005309777A JP4363393B2 (ja) | 2005-10-25 | 2005-10-25 | 金属板の縁部加工方法および管楽器 |
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