JP4362894B2 - 臭素の採取方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は改良された臭素の採取方法に関するものである。さらに詳しくは、希薄な臭素イオン含有水溶液から、酸化還元反応により、工業的に効率よく、さらに純度よく、臭素を採取する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臭素は、酸化力を有し、無機、有機の反応薬品として広く、大量に用いられている重要な基幹化学製品であり、従来より、臭素は、かん水や海水から採取されている。
【0003】
かん水を原料として臭素を採取する場合は、通常その原料中の臭素イオン濃度が高いことから、塩素等の酸化剤によって臭素を遊離させた後、直接水蒸気蒸留によって臭素を採取している。この方法はクビルスキー法として文献に記載されている(例えば、「ハロゲン」,無機化学全書,丸善発行などの文献が挙げられる)が、この方法では、臭素イオン濃度が高いかん水が資源量としては有限であり、臭素を採取するにつれて資源が枯渇していくという課題があった。
【0004】
また、臭素イオンが通常50〜70mg/リットル含まれる海水や、臭素イオン濃度が0.3g/リットル以下の比較的低濃度のかん水を原料として臭素を採取する場合、資源量としては極めて多いものの、その臭素イオン濃度が低いことから、臭素を採取するプロセスが複雑でかつ大型になり、さらに臭素の採取効率が低くなることから、工業化に際しての大きな課題となっていた。
【0005】
一方、低濃度の臭素イオン含有液から臭素を採取する方法としては、NaOH法と、亜硫酸ガス法すなわちSO2法が知られている。ここで、NaOH法が遊離臭素の中和反応を原理として臭素を採取しているのに対して、SO2法は酸化還元反応を原理として臭素を採取している。これら両者の採取効率を比較すると、SO2法はNaOH法に比べ反応性に優れ、採取が容易であることが知られている。
【0006】
そこで、反応性に優れ、臭素の採取が容易であり、工業的に有利なSO2法を、その構成される発生工程、吸収工程及び蒸留工程の工程面から説明する。
【0007】
SO2法における発生工程では、塩素等の酸化剤によって海水などから臭素を遊離させ、この遊離した臭素を空気等により放散させて臭素を含んだ発生ガスとする。次に吸収工程において発生ガスから臭素を分離・捕捉するが、その方法として、亜硫酸ガスを遊離した臭素に対して等モルないしは若干過剰に添加し、気相で酸化還元反応により臭化水素と硫酸に転化させ、これらを循環水により吸収し、その後循環水を抜き出す。そして、蒸留工程では、この循環水中の臭化水素を塩素等の酸化剤により臭素に転化させ、蒸留により濃縮、精製して臭素製品を得るものである。
【0008】
殊に、吸収工程では臭素の吸収効率を高めるために、充填物として、ラシヒリング、コーク、ガラスウール等が用いられている。なお、臭素吸収後、吸収塔から排出される空気は洗浄工程で海水にて洗浄され、洗浄液は臭素発生原料の海水に循環・添加して、吸収に用いた過剰の亜硫酸ガス及び未反応の臭素分は塩素等の酸化剤により除去及び採取されている(米国特許第2143224号)。
【0009】
しかしながら、この方法によると、吸収工程における臭素と亜硫酸ガスの反応が十分に進行せず、臭素の採取率を上げるためには、SO2ガスを過剰量添加する必要があり、経済性が低下してしまうことになる。またこの時、過剰分のSO2は吸収排ガスに同伴するので、これを除去するための洗浄設備等も必要となってしまうことにもなる。さらに、この洗浄を海水で行う際には、洗浄海水の処理として一般に発生工程に循環利用するが、海水に洗浄吸収された、過剰分のSO2を酸化するための塩素等の酸化剤量が必要となって、その経済性はさらに低下してしまうことになってしまうのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来の臭素採取における課題を鑑み、臭素イオン濃度が0.3g/リットル以下の臭素イオンの含有量が低いかん水や海水から、効率的、効果的に臭素を純度よく採取する方法を提供することにある。すなわち、資源量として豊富な低臭素イオン濃度かん水や無尽蔵の海水を原料とすることができ、吸収効率が高いために設備を極めてコンパクトとすることができ、使用する薬剤量も少なくて済むために経済的であり、また、排ガスの発生が皆無かまたは極少量でその除去も容易となる臭素の採取方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、従来のSO2法のかかる問題点が吸収工程における臭素とSO2との反応が十分でないことに起因すると考え、臭素とSO2との反応機構、反応方法等について鋭意検討したところ、1)臭素とSO2との反応で生成する臭化水素と硫酸はガスではなく微細ミストであること、2)このミストは循環水等を用いた従来のガス吸収方式では十分に捕捉できず、排ガスに同伴すること、3)臭素ガスとSO2ガスの混合も均一混合が難しく反応が不完全になることを把み、この対策として、フィラメントから構成された比表面積が100〜500m2/m3のエリミネータを吸収工程に用いることで、臭素とSO2との反応がほぼ定量的に進み、生成した臭化水素と硫酸とを効率的、効果的に捕捉でき、このことによってSO2の利用効率が向上し、装置のコンパクト化が図れ、さらに吸収工程からの排ガスに有害成分が含まれないか含まれたとしても微量であり、その除去も容易となることを見い出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、0.3g/リットル以下の臭素イオンを含む水溶液より臭素を採取する方法において、(1)臭素イオンを含む水溶液に酸化剤を加えて臭素イオンを臭素に転化する酸化工程、(2)酸化工程で臭素に転化された水溶液に水溶液全量に対して10〜100倍容量の臭素との反応性がないガスを接触させて臭素ガス(Br2)を放散させる発生工程、(3)発生工程で放散された臭素ガスに亜硫酸ガス(SO2)をSO2/Br2モル比0.8〜1.7となるように混合し、臭素を臭化水素に転化する還元工程及び、(4)還元工程で転化された臭化水素を含む反応混合物をフィラメントから構成された比表面積が100〜500m2/m3のエリミネータで捕捉する吸収工程、の4工程を少なくとも経、さらに必要に応じて、吸収された臭化水素を酸化剤により臭素とし、その後精製することも含む臭素の採取方法である。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明では、原料として、臭素イオン濃度が0.3g/リットル以下の水溶液を用い、このような比較的臭素イオン濃度が低い水溶液としては、大量に存在する地下かん水や、無尽蔵の海水等を挙げることができる。海水中の臭素イオン濃度は、海域、水深、季節等により異なるが、通常50〜70mg/リットルである。さらに原料の臭素イオン濃度は上記の範囲のうちでも高い程好ましいが、入手が容易な海水が好ましく用いられる。
【0015】
以下、本発明の方法を各工程毎に詳しく説明する。
【0016】
<酸化工程>
酸化工程では、原料として用いられる臭素イオン濃度が0.3g/リットル以下の水溶液に酸化剤を加え、臭素イオンを臭素に転化する。用いられる酸化剤としては、臭素イオンを臭素に酸化できる酸化力をもつものであれば特に制限はなく、標準酸化還元電位(pH0)1.07mV以上の酸化剤用いられる。これらのうちでもオゾン、酸素、過酸化水素、塩素や、過マンガン酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、及びこれらの塩が好ましく用いられ、さらに、酸化速度、海水への溶解度が大きく、安定で大量入手でき、低価格である塩素が好ましく用いられる。
【0017】
酸化剤の使用量としては、臭素イオンを臭素に転化するに必要な酸化当量以上が好ましく、さらに、酸化剤の原単位が増えたり臭素の採取率が低下するのを避けるために、原料に含まれる臭素イオン当量に対して1.05〜1.30倍酸化当量の範囲が好ましい。
【0018】
酸化剤により臭素イオンが臭素へ転化されるが、その際の水溶液のpHとしては、酸化剤の利用率及び臭素ガスの発生率をより高くするために3〜4のpHが好ましい。水溶液のpHが4よりも大きいと、次の臭素ガスを放散させる発生工程での臭素ガスの発生率が低下することがあり、pHが3よりも小さいと、塩素等の酸化剤の揮発性が高まり、酸化剤の利用率が低下することがある。酸化工程において、用いられる水溶液のpHを調整する必要がある場合、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸を加えて調整すればよく、加えるタイミングとしては、原料の水溶液に加えても、酸化工程で臭素イオンが臭素に転化された水溶液に加えてもよい。
【0019】
<発生工程>
次の発生工程では、臭素イオンが臭素に転化された水溶液に、この水溶液全量に対して10〜100倍容量の臭素との反応性がないガスを接触させて水溶液中の臭素を臭素ガスとして放散させる。
【0020】
用いられるガスとしては、臭素との反応性がないものであれば特に制限はなく、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、窒素、酸素、炭酸ガス、空気等を例示でき、大量に入手でき、取り扱いが容易で安価な空気が好ましく用いられる。
【0021】
用いられるガスの使用量としては、臭素ガスの発生効率が高くかつガスに含まれる臭素ガス濃度も高く、また、電力コストも経済的とするために、酸化工程で臭素イオンが臭素に転化された水溶液全量に対して10〜100倍容量用いることが好ましい。使用量が10倍容量未満では臭素ガスの放散量、すなわち臭素ガス発生率が低下してしまい経済的でない。一方、100倍容量よりも多いと、放散ガスに含まれる臭素ガスの濃度が低下してしまい、後の還元工程での効率が低下するだけでなく、ガスの圧力損失が大きくなってガスを流通させる電力コストが増加してしまい経済的でない。また、臭素ガスの発生効率も限界に近いため、臭素ガスの放散量もそれ程高くできない。従って、本発明では、ガスの使用量は10〜100倍容量を必須とする。
【0022】
臭素に転化された水溶液にガスを接触させる方法としては、用いられるガスと水溶液中の臭素とが十分に接触できるものであれば特に制限はなく、通常、臭素の放散設備として充填塔が用いられる。その具体的な方法としては、充填塔上部より酸化工程で臭素に転化された水溶液をフィードし、臭素との反応性がないガスを充填塔下部よりフィードし、ガスと臭素を含む水溶液とを交流接触させて臭素ガスを放散させる方法が好ましく用いられる。
【0023】
さらに、この際用いられる充填物としては特に制限はないが、ガスと臭素を含む水溶液との接触効率を大きくすることが好ましく、具体的には、ラシヒリング、レッシングリングといったリング状充填物、テラレット等の不規則充填物や、ヒシパッキン、サンパッキンといった波状型充填物、格子等の規則充填物が例示できる。ここで、ガスと臭素を含む水溶液との接触効率は不規則充填物を用いる場合が高く、圧力損失は規則充填物を用いる場合が低く、いずれを採用するかは放散設備とその効率を考慮して適宜決めればよい。
【0024】
臭素との反応性がないガスを臭素に転化された水溶液へ供給する際には、放散された臭素ガスをブロアーで吸引しながらガスを供給することが好ましい。この理由は、ブロアーで吸引することで水溶液よりの臭素ガス発生を負圧に保つことができ、臭素ガスの発生効率をより高くすることができると共に、外部への臭素ガスの漏洩を防ぐことができるからである。
【0025】
<還元工程>
次の還元工程では、発生工程で発生する臭素ガスに亜硫酸ガス(SO2)をSO2/Br2モル比0.8〜1.7となるように混合して臭素を臭化水素に転化させ、臭化水素を含む反応混合物を得る。このBr2とSO2との反応は酸化還元反応であり、一般にその速度は大きく、反応により臭化水素と硫酸が生成する。
【0026】
ここで、用いられるSO2の量としては、Br2の還元率を高くし、かつSO2使用量も比較的少量で済むように、SO2/Br2モル比を0.8〜1.7の範囲とすることが好ましく、さらに1.0〜1.3の範囲とすることが好ましい。SO2/Br2モル比が0.8未満であると、臭素の還元が不十分となり、臭素の採取効率が低下してしまい、また、SO2/Br2モル比を1.7より大きくしても臭素の採取率は限界で増加せず、SO2が大過剰になり経済的でなくなってしまう。
【0027】
また、亜硫酸ガスを加える際、加えられる亜硫酸ガスが系内に均一になるようにすることが好ましく、その具体的方法としては、例えば、亜硫酸ガスの供給を多孔管ノズルで行う方法が挙げられる。
【0028】
臭素ガスと亜硫酸ガスとの混合そして反応はガス拡散により進行するが、より速く、より効率よく行うためにブロアを設置するのが好ましい。その設置場所は、SO2ガスを加えた後が望ましい。これにより、臭素とSO2の混合を完全に行うことができる。さらに、用いられるブロアは、前記の発生工程において臭素との反応性のないガスを供給するための吸引用ブロアとするのがより好ましい。
【0029】
<吸収工程>
次の吸収工程では、還元工程で転化された臭化水素をフィラメントから構成されたエリミネータで捕捉する。
【0030】
用いられるエリミネータの比表面積の範囲としては、臭化水素の捕捉効率を高めるために100〜500m2/m3の範囲が好ましい。この範囲にあれば、臭化水素の捕捉効率は98%以上にも達し、また、副生硫酸の捕捉効率も98%以上にも達する。このように高い捕捉効率が得られた理由は定かではないが、生成する臭化水素、硫酸がガスではなくミストであり、そのミストの捕捉にフィラメントから構成されたエリミネータが効力を発揮したものと考えられ、本発明の最大の骨子となる。また、このエリミネータの作用は、単なるミスト捕捉ではなく、臭素と亜硫酸ガスとの混合と反応の促進にも寄与していると考えられる。一方、エリミネータの比表面積が100m2/m3未満では、圧力損失は小さいが臭化水素の捕捉率が低下し、SO2の使用量増加、臭素の採取率低下を招くために好ましくない。500m2/m3より大きい場合には、本吸収工程での臭化水素の捕捉率は限界であり、採取率改善の効果は大きくなく、また、ガスの圧力損失が急激に大きくなり、ガスを流通させる電力コストが増加し、経済的でない。
【0031】
本発明で用いられるエリミネータの材質としては、耐食性に優れ、捕捉率向上に大きな効果があるものであればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、フッ素系樹脂等の樹脂や、樹脂がコーティングされた金属等が好ましく用いられ、さらに、加工のしやすさ、扱いやすさの点も考慮して、樹脂が好ましく用いられる。
【0032】
エリミネータのフィラメント径は特に限定されないが、0.1〜1mmの範囲にあれば臭化水素、硫酸の捕捉率を高め、取り扱いが容易であり、入手も容易であることから好ましい。また、エリミネータはフィラメントが不規則におられた綿状でも規則的に折り重ねられたものでもよいが、圧力損失を低くする場合には規則的に折り重ねられたものを用いることが望ましい。
【0033】
エリミネータの使用量としては、捕捉効率をより高くし、圧力損失を低くするために、吸収工程で用いられる装置の断面積1m2当たりのエリミネータの総表面積として100〜400m2の範囲とすることが好ましい。例えば、比表面積が300m2/m3のエリミネータを用いる場合には、厚みが40cmであれば120m2/m2となり、1mの厚みであれば300m2/m2となる。表面積が100m2/m2よりも小さいと、圧力損失は小さいが臭化水素の捕捉率が低下し、SO2の使用量増加、臭素の採取率低下を招くことがある。一方、400m2/m2より大きくしても臭化水素の捕捉率は限界で、採取率改善の効果は大きくなく、また、ガスの圧力損失が急激に大きくなって、ガスを流通させる電力コストが増加することがある。
【0034】
エリミネータの設置段数は1段でもよいが、分割して設置することにより、ガス線速分布が均一となって最終的な臭素の採取効率が向上するため、2以上に分割することが好ましく、さらに、臭素の採取効率と装置の複雑さを考慮して、2〜4分割とすることが好ましい。
【0035】
また、エリミネータによる捕捉をより効率的に行うため、先の還元工程及び/又は吸収工程で水をスプレーで供給することが好ましい。
【0036】
この場合、水の供給量としては、ガス1m3に対して0.2〜5.0リットルの範囲が好ましく、簡易な設備で捕捉効率をより高くできる。一方、水の供給量が0.2リットル/m3未満では、臭素の採取効率がやや低下することがあり、また、5.0リットル/m3よりも多いと、スプレー設備の大型化と送液コストの増加を招くことがある。
【0037】
水のスプレー供給は、臭素の採取率を向上させ、また、エリミネータ使用量を削減するために、前記したブロア直後からエリミネータ間で2〜3分割して行うことが好ましい。
【0038】
供給される水は純水でも工業用水でもよく、また、吸収工程で捕捉される臭化水素を含む水溶液の一部を循環使用してもよく、この場合には、より高濃度の臭化水素を含む水溶液を得ることができる。
【0039】
上記の条件下では、通常、吸収工程で得られる水溶液中の臭化水素の濃度は1〜20wt%、H2SO4は1〜20wt%となる。
【0040】
エリミネータを通過するガス線速としては、捕捉効率をより高くし、圧力損失を低くするために、空時で1〜5m/秒の範囲とすることが好ましい。ガス線速が空時で1m/秒未満の場合には捕捉効率がやや低下することがあり、5m/秒より大きい場合にはガスの圧力損失が大きくなることがある。
【0041】
また、吸収工程の排ガスにはSO2とBr2が同時に残存することはほとんどないが、SO2/Br2モル比が小さい場合は微量の未反応の臭素が、SO2/Br2モル比が大きい場合は過剰分のSO2が微量含まれていることがあり、これらは排ガスを海水等で洗浄することにより容易に除去できる。
【0042】
また、吸収工程の排ガスを発生工程へと循環してもよい。この場合には、排ガス中のSO2又はBr2は微量であり、経済性の低下はほとんどなく、排ガスを発生工程での臭素の放散ガスとして利用できるため、ガスのクローズド化が実現でき、環境保全上極めて有効である。また、このようにガスを循環するプロセスで、不純物が蓄積する場合、循環ガスの一部をパージする必要があるが、その量は全ガス量に対して非常に少量であり、小規模の除去設備で対応できる。
【0043】
以上の工程により、低濃度の臭素イオンを含むかん水あるいは海水のような水溶液より臭素を採取することができるが、さらに、臭素を高純度化するように精製することもでき、このことにより、高純度の臭素を製品として高収率で採取できる。その場合、上記の吸収工程で得られる臭化水素を含む水溶液を常法により精製すればよい。例えば、吸収工程で得られる臭化水素を含む水溶液に塩素等の酸化剤を加えることで臭素が生成し、さらに生成した臭素を蒸留するなどして、精製することでよい。さらに具体的にいえば、特公昭51−27439号公報に記載の方法などを用い、蒸留塔上部より臭化水素を含む水溶液をフィードし、それと共に蒸留塔中程より臭化水素を酸化するのに必要な量の塩素をフィードして臭化水素を臭素へ転化させる、そして、蒸留塔下部よりスチーム等により加熱し蒸留塔の塔頂部を70〜100℃程度に制御しながら、臭素を蒸留することで高純度の臭素を取り出すことができる。
【0044】
以上の方法により比較的低濃度の臭素イオンを含む水溶液より高純度の臭素を採取できるわけであるが、本発明では、上記の酸化工程、発生工程、還元工程、吸収工程などの各工程をバッチ式あるいは連続式で行えばよい。さらに、設備のコンパクト化、運転操作性の向上そして臭素採取率の向上を実現できる連続式で行うことが好ましい。この連続式の具体的な態様は、原料、生産規模等により適宜選択して決められるが、これらの工程を相互に有機的に組み合わせてもよく、また、必要に応じて、一部の工程で得られる処理物を保管後そのままあるいは順次得られる処理物を集めた後次工程へと処理する方式であってもよい。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
臭素イオンが64mg/リットルの海水に硫酸を加えてpH3.5とした。この海水に塩素ガスを海水中の臭素イオンの量に対して1.1倍当量加えて臭素に酸化し、その後この水溶液に水溶液の容量の51倍容量の空気を導入して臭素ガスを放散した。
【0047】
一方、前部にブロアを設置した内径寸法950mmφ、長さ17mの吸収部に、比表面積 370m2/m3のポリプロピレン製エリミネータを、ブロアから10mの位置に40mmの厚みで(装置断面積に対するフィラメント断面積15m2/m2)、さらにこれから2mの位置(ブロアから12mの位置)に300mmの厚みで(装置断面積に対するフィラメント断面積110m2/m2)で、それぞれセットし、HBr 10wt%、H2SO4 7wt%の吸収液をブロア出口及び前段エリミネータ部にそれぞれ半量ずつスプレーにて循環噴霧した。循環噴霧量は3.0リットル−吸収液/m3−ガス(900リットル/時間)であった。前記装置に、発生工程からの臭素ガスを1000mg/m3含む空気を300m3/時間導入すると同時に、SO2ガスをスプレーにて臭素ガス1モルに対して1.2モルの割合でブロア前に導入した。吸収排ガスは、全量発生工程に循環した。排ガス中の臭素濃度を分光光度計により分析した結果5mg/m3以下であった。吸収液はHBr濃度が10wt%となるように連続的に少量の水を吸収液タンクに加えて混合した。増加した吸収液は連続的に抜き出し、塩素をHBrの当量加えた後、蒸留により臭素を製品として採取した。臭素の採取率は99.5%であった。
【0048】
比較例1
比表面積80m2/m3のエリミネータを用いる以外は実施例1と同じ条件、同じ操作で実施した。吸収排ガス中の臭素濃度は150mg/m3であり、臭素の採取率は85%であった。
【0049】
比較例2
SO2ガスのフィード量を臭素1モルに対して0.6モルで行う以外は実施例1と同じ条件、同じ操作で実施した。吸収排ガス中の臭素濃度は、400mg/m3であり、臭素の採取率は60%であった。
【0050】
実施例2
スプレー水を、HBr 10wt%、H2SO4 7wt%の吸収液に代えて水を0.3リットル−水/m3−ガス(900リットル/時間)ワンパスで噴霧する以外、実施例1と同じ条件、同じ操作で実施した。排ガス中の臭素濃度を分析した結果9mg/m3であった。また、吸収液の組成はHBr 3.4g/リットル、H2SO4 2g/リットルであり、吸収液は吸収液タンクから連続的に抜き出し、塩素をHBrの当量加えた後、蒸留により臭素を製品として採取した。臭素の採取率は99.1%であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、臭素イオン濃度が0.3g/リットル以下という比較的低濃度のかん水や海水から効率的、効果的に臭素を採取する方法であり、経済性が高く、工業的価値の高い方法である。
【0052】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0053】
(1)資源量として豊富な、低臭素イオン濃度のかん水や無尽蔵の海水から高収率で臭素を採取できる。
【0054】
(2)酸化、発生、還元、吸収の効率が高く、その設備は極めてコンパクトで済む。殊に吸収の効率が高く、有用な方法である。
【0055】
(3)理論量に近い薬剤使用量で臭素を採取でき、経済性が高い。
【0056】
(4)Br2又はSO2を含んだ排ガスの発生が皆無かまたは極少量で除去も容易であり、環境保全上優れる。

Claims (15)

  1. 0.3g/リットル以下の臭素イオンを含む水溶液より臭素を採取する方法において、
    (1)臭素イオンを含む水溶液に酸化剤を加えて臭素イオンを臭素に転化する酸化工程、
    (2)前記酸化工程で臭素に転化された水溶液に該水溶液全量に対して10〜100倍容量の臭素との反応性がないガスを接触させて臭素ガス(Br2)を放散させる発生工程、
    (3)前記発生工程で放散された臭素ガスに亜硫酸ガス(SO2)をSO2/Br2モル比0.8〜1.7となるように混合し、臭素を臭化水素に転化する還元工程及び、
    (4)前記還元工程で転化された臭化水素を含む反応混合物をフィラメントから構成された比表面積が100〜500m2/m3のエリミネータで捕捉する吸収工程、
    の4工程を少なくとも経ることを特徴とする臭素の採取方法。
  2. 請求項1に記載の吸収工程の後に、さらに捕捉された臭化水素を含む反応混合物に酸化剤を加えて臭素とし、その後精製することを特徴とする臭素の採取方法。
  3. エリミネータの使用量を吸収工程の装置断面積に対して表面積で100〜400m2/m2とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の臭素の採取方法。
  4. エリミネータを通過するガス線速が空時で1〜5m/秒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  5. エリミネータを2〜4分割して設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  6. エリミネータが樹脂製であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  7. 還元工程及び/又は吸収工程において、水をスプレーで供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  8. 水が吸収工程で捕捉した臭化水素を含む水溶液の一部であることを特徴とする請求項7に記載の臭素の採取方法。
  9. 水の供給量がガス量に対して0.2〜5.0リットル/m3であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の臭素の採取方法。
  10. 吸収工程で臭化水素を捕捉した後の排ガスを発生工程へとリサイクルすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  11. 酸化剤が塩素であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  12. 臭素との反応性のないガスが空気であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  13. 発生工程で、放散した臭素ガスをブロアーで吸引して、臭素との反応性がないガスを供給することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  14. 亜硫酸ガスの供給をブロアー前で行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の臭素の採取方法。
  15. 酸化工程、発生工程、還元工程及び吸収工程を連続式で行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の臭素の採取方法。
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