JP4362469B2 - 帯鋸盤 - Google Patents

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本発明は帯鋸盤に関する。
帯鋸盤には竪型帯鋸盤と横型帯鋸盤とがあるが、理解を容易にするために、横型帯鋸盤を例示して全体的構成について概略的に説明すると、図5に示すように、横型帯鋸盤1は、ベース3を備えており、このベース3上には切断すべきワークWを固定自在のバイス装置5が装着してある。このバイス装置5は、ワークWを支持するバイスベッド7上に固定バイスジョー9Aと可動バイスジョー9Bとを対向して備えた構成であって、前記可動バイスジョー9Bを作動するための油圧シリンダ11を備えている。そして、前記ベース3上には、前記ワークWを切断するための帯鋸刃13を備えた鋸刃ハウジング15が前記ワークWに対して相対的に接近離反する方向,すなわち図示例では上下方向に移動自在に設けられている。
すなわち、この例においては、前記ベース3上に立設したガイドポスト17に、前記鋸刃ハウジング15に一体的に備えた昇降部材19が上下動自在に案内されている。そして、前記鋸刃ハウジング15をワークWに対して接近離反する方向、すなわち上下方向に移動するために、切込み作動装置の一例として昇降用油圧シリンダ21が設けられている。さらに、横型帯鋸盤1には、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み位置を検出するために、前記鋸刃ハウジング15の上下動位置を検出してワークWに対する帯鋸刃13の切込み位置を検出するための切込み位置検出装置23が設けられている。
上記切込み位置検出装置23は、例えばガイドポスト17に設けた上下方向のリニアスケースと検出ヘッドの構成や、ラックに噛合したピニオンによってロータリーエンコーダを回転する構成等とすることができ、鋸刃ハウジング15が上下方向に揺動する形式においては鋸刃ハウジングのヒンジ部にロータリーエンコーダを設ける構成とすることができるものであり、種々の構成が採用されている。
前記鋸刃ハウジング15は左右方向に長いビーム部材25の左右両側部にホイールハウジング27A,27Bを備えた構成であって、一方のホイールハウジング27A内には駆動ホイール29を回転自在に備え、他方のホイールハウジング27B内には従動ホイール31を回転自在に備えた構成である。そして、前記駆動ホイール29と従動ホイール31とに前記帯鋸刃13を掛回した構成であって、前記両ホイールハウジング27A,27Bの間には、帯鋸刃13における歯先をワークWの方向に指向して帯鋸刃13を案内保持する帯鋸刃案内装置33が設けられている。
上述したごとき横型帯鋸盤1の構成は公知であるので、前記構成による作用の説明は省略する。
前述のごとき構成において、前記駆動ホイール29を回転駆動するためのモータ34(図6参照)は前記ホイールハウジング27Aの背面に装着してあり、このモータ34の出力軸35と前記駆動ホイール29の回転軸29Aとの間には、図6に示すように、例えば遊星歯車機構又はウォームギア機構よりなる減速機構37を備えた構成である(例えば特許文献1参照)。
そして、従来は、切削率(単位時間当りの切削面積)を一定に保持してワークの切断を行うべく、ワークの切削長に対応してワークに対する帯鋸刃の切込み速度を制御したり、ワークの切断加工中の共振等による騒音を低減するために帯鋸刃の走行速度をインバータにより周期的に制御することも行われている(例えば特許文献2参照)。
特開平11−104915号公報 特開平8−197330号公報
従来のごとく、モータと駆動ホイールとの間に減速機構を介在した構成においては、構成部品が多くなって構成が複雑になると共に比較的頻繁にメンテナンスが必要であるという問題があり、さらに慣性モーメントが大きくなって鋸速制御をミクロ的に制御することは難しいという問題がある。
また、従来は、帯鋸刃によるワークの切断中に鋸速の制御が行われているが、従来は鋸速を周期的に制御するものであり、例えば振動切削を行うがごとく鋸速を振動化することは難しいものであった。
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、エンドレス状の帯鋸刃を掛回するための駆動ホイールと従動ホイールとを回転自在に備えた鋸刃ハウジング(15)を上下動するための切込み作動装置(21)を備えると共に前記駆動ホイールを回転するための制御モータを備えた構成の帯鋸盤であって、当該帯鋸盤の制御を行うための制御装置は、前記制御モータの回転速度の制御を行うための回転速度制御手段と、この回転速度制御手段の制御の下に前記制御モータを駆動するモータドライバと、前記回転速度制御手段の制御の下に一定速度で回転している前記制御モータの回転速度を振動化するために、印加したパルスの立上り時には前記制御モータの回転速度を増速し、当該パルスの立下り時には前記制御モータの回転速度を減速するために、数Hz〜数百Hzの低周波の矩形パルスを前記モータドライバに印加するためのパルス発生手段と、印加された前記矩形パルスに対応して前記制御モータの回転速度を増速,減速して前記制御モータの回転速度を振動化するための前記モータドライバとを備え、かつ前記パルス発生手段(63)からの前記矩形パルスに基づいて前記切込み作動装置(21)を制御してワーク(W)に対する帯鋸刃(13)の切込み速度を振動化するための切込み速度制御手段(65)を備えていることを特徴とするものである。
前述のごとき本発明によれば、帯鋸刃の走行速度を振動化してワークの切断加工を行うことができ、振動切削による切断加工となるものであり、加工硬化を生じ易いワークの切断加工をも容易に行うことができるものである。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明するに、帯鋸盤の全体的構成は前述したごとき従来の構成と同様であるので、その構成の相違点について説明することとする。
本実施形態においては、駆動ホイール29を回転駆動するためのモータとしてサーボモータ等のごとき制御モータ39を採用し、この制御モータ39の出力軸41と前記駆動ホイール29は直結してある。
より詳細には、図1に示すように、制御モータ39は、鋸刃ハウジング15に取付けたモータベース43にボルト等の取付具を介して取付けてあり、このモータベース43に備えた円筒状の軸受部45内に前記出力軸41が配置してある。そして、前記軸受部45には、外周に配置した軸受47を介して前記駆動ホイール29が回転自在に支持されており、この駆動ホイール29に一体的に備えたホイールキャップ49と前記出力軸41とが複数のボルト等のごとき連結固定具を介して一体的に連結してある。
上記構成により、制御モータ39を回転駆動すると、出力軸41と一体的に直結した駆動ホイール29が一体に回転され、駆動ホイール29と従動ホイール31とに掛回した帯鋸刃13が走行駆動されて、ワークWの切断加工(切削加工)が行われるものである。そして、ワークWの切断加工時におけるラジアル方向の負荷は、モータベース43における軸受部45によって受けるので、制御モータ39における出力軸41にはラジアル方向の負荷は作用せず、常に円滑な回転が行われるものである。
前記帯鋸盤1の制御を行うために、CNC装置のごとき制御装置51が備えられている。この制御装置51は、図2に主要部のみを概念的、概略的に示すように、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み位置を検出するための切込み位置検出手段としての前記切込み位置検出装置23によって検出した検出位置と予め入力してあるワークWの形状,寸法に基いてワークWの切削長を演算する切削長演算手段53を備えている。
さらに前記制御装置51には、前記切削長演算手段53の演算結果に基いて帯鋸刃13の走行速度を演算する鋸速演算手段55が備えられている。この鋸速演算手段55は、ワークWの材質に対応して切削長と鋸速との関係を予めデータ化して格納してある鋸速データテーブル57から、ワークWの材質,切削長に応じて適切な鋸速を検索するものである。
さらにまた、前記制御装置51には、前記鋸速演算手段55の演算結果に基いて前記制御モータ39の回転速度を制御するための回転速度制御手段59が備えられており、この回転速度制御手段59の制御の下にモータドライバ61を介して制御モータ39の回転速度が制御されるものである。そして、前記制御モータ39の回転速度を振動化するために、前記モータドライバ61に対してパルスの一例としての矩形パルスを印加するためのパルス発生手段の一例としての矩形パルス発生手段63が備えられている。
上記矩形パルス発生手段63は、例えば前記回転速度制御手段59の制御の下に一定の回転速度で回転している制御モータ39の回転速度を振動化し、一定の速度で走行している帯鋸刃13が、帯鋸刃13の走行方向(進行方向)に振動するように、帯鋸刃13の速度を振動化するものでる。換言すれば、例えば一定速度で走行している帯鋸刃13があたかも振動切削を行っているように鋸速を瞬間的に変動するものである。
さらに、前記制御装置51には、切込み作動装置の一例としての前記昇降用油圧シリンダ21の作動を制御して、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み速度を制御するための切込み速度制御手段65が備えられている。上記切込み速度制御手段65は、切込み作動装置が流体圧シリンダよりなる場合には流量制御弁を備えてなるものであり、切込み作動装置が例えばサーボモータによって回転されるボールネジ等よりなる場合には当該サーボモータの回転速度制御を行う回転速度制御手段を備えてなるものである。
上記構成により、制御モータ39を回転駆動すると共に切込み作動装置21を作動してワークWの切断加工を開始すると、切込み位置検出手段23によってワークWに対する帯鋸刃13の切込み位置が検知できるので、従来の一般的な帯鋸盤と同様に、帯鋸刃13がワークWに近接するまでは高速で切込み(空切削)が行われ、ワークWに帯鋸刃13が近接すると、切込み速度が低速に制御され、この低速の切込み速度でもってワークWに対して帯鋸刃13の切削が行われる。
この際、帯鋸刃13がワークWに接触して僅かに切込むまでの切削開始初期は、回転速度制御手段59の制御の下に帯鋸刃13の走行速度は低速に制御されるものである。すなわち、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み開始時には、切込み速度及び鋸速は鋸歯に急激に大きな負荷が作用して歯欠けを生じないように低速に制御されているものである。また、帯鋸刃13によるワークWの切断の終期には、バリの発生を抑制するために、帯鋸刃13の走行速度及びワークに対する切込み速度は低速に制御されるものである。
ワークWに対する帯鋸刃13の切込み位置が切込み位置検出手段23によって検出され、この検出された切込み位置によってワークWの切削長が切削長演算手段53によって演算される。そして、その演算結果に基いて鋸速演算手段55によって切削長に対応した鋸速が演算され、回転速度制御手段59の制御の下に、ワークWの切削長に対応した鋸速に制御されるものである。
上述のごとく、回転速度制御手段59の制御の下にモータドライバ61を介して制御モータ39の回転速度を制御し、帯鋸刃13を走行してワークWの切断を行うとき、矩形パルス発生手段63から矩形パルスを発生してモータドライバ61に印加すると、制御モータ39の回転速度は振動化されるものである。
すなわち、制御モータ39が例えば図3(A)に示すように、一定速度で回転している状態にあるとき、前記矩形パルス発生装置63から図3(B),図3(D)に示すように、立上りが急峻な矩形パルスをモータドライバ61に印加すると、制御モータ39の回転速度は、図3(C),図3(E)に示されるように、瞬間的に増速される。逆に立下りが急峻な矩形パルスをモータドライバ61に印加すると、制御モータ39の回転速度は瞬間的に減速されるものである。したがって、前記矩形パルス発生手段63からモータドライバ61へ矩形パルスを印加すると、前記制御モータ39の回転速度を振動化することができ、帯鋸刃13の走行速度を振動化することができるものである。
すなわち、帯鋸刃13によってワークWの切削を行うとき、帯鋸刃13は走行方向(移動方向)に振動し、あたかも振動切削を行う態様となるものである。したがって、帯鋸刃13が瞬間的に増速されるとき、急激に勢いよく移動される態様となり、ワークWの切削を能率良く行うことができるものである。
なお、印加するパルスとしては+側のパルスのみ、又は−側のパルスのみであっても良く、また、立上り、立下りが急峻な波形であれば、矩形パルスに限ることなく、図5に示すごとく、矩形パルスの角度がだれた状態に近似の正弦波パルスとすることも可能である。
ところで、一般的な工作機械において、回転しているワークに対して切削工具を移動してワークの振動切削を行う場合、前記切削工具に数kHzの高周波を印加して切削工具の微小振動を行うものである。帯鋸盤において帯鋸刃13の走行速度を振動化する場合、帯鋸刃13を回転駆動するための制御モータ39の回転速度を振動化する必要がある。
ところが、帯鋸盤において帯鋸刃13を掛回した駆動ホイール29の重量は大きく慣性が大きいので、前述したごとき高周波のパルスをモータドライバ61に印加しても、制御モータ39の回転速度を目的に沿って振動化することはできないものである。そこで、制御モータ39の回転速度を振動化して帯鋸刃13の走行速度を振動化するには、数Hz〜数百Hz、望ましくは100Hz前後の低周波であり、かつ立上り、立下りが明確な矩形パルスをモータドライバ61に印加することが望ましいものである。
すなわち、矩形パルス発生手段63から低周波の矩形パルスをモータドライバ61に印加することにより、制御モータ39の回転速度,帯鋸刃13の走行速度を振動化することができるものである。
前述のごとく、矩形パルス発生手段63からモータドライバ61へ矩形パルスを印加し、帯鋸刃13の走行速度を振動化してワークWの切削を行っているとき、前記矩形パルス発生手段63から矩形パルスが印加される際の矩形パルスの立上り時には鋸速が瞬間的に急激に増速され、矩形パルスの立下り時には鋸速は急激に瞬間的に減速されるものである。
したがって、前記矩形パルス発生手段63からモータドライバ61へ印加される矩形パルスの立下り時に切込み速度制御手段65によって切込み作動装置21を制御して、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み速度を瞬間的に急激に大きくすると、ワークWに対する帯鋸刃13における鋸歯の喰い込みが良好に行われるものである。
すなわち、帯鋸刃13を走行方向に振動すると共に、ワークWに対する帯鋸刃13の切込み速度をも振動化することが望ましいものである。この場合、帯鋸刃13の走行速度が低速になったときにワークWに対する帯鋸刃13の切込み速度を急激に増速することにより、ワークWに対する鋸歯の喰い込みが効果的に行われるものである。この際、ワークWに加工硬化層が生じている場合であっても、鋸歯の先端は上記加工硬化層を破ってワークWに深く喰い込むことになるので、加工硬化層を生じ易いワークであっても容易に切削することができるものである。
さらに、ワークに対する鋸歯の喰い込み性が向上することにより、帯鋸刃がワークWと擦れ合うことによる騒音発生を抑制でき、従来よりも静かにワークの切断加工を行うことができると共に切断面をより良好に切断し得るものである。
上記説明より理解されるように、帯鋸盤において駆動ホイール29を回転するためのモータとして制御モータ39を採用し、この制御モータ39の出力軸41と前記駆動ホイール29とを直結した構成であるから、構成が簡単であると共に、回転系の慣性モーメントが小さくなり、帯鋸刃13の走行速度の制御性が向上し、帯鋸刃13の走行速度の振動化が容易なものである。
なお、本発明は前述のごとき実施形態のみに限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他の態様で実施可能なものである。例えば、駆動ホイール29のみならず従動ホイール31も別個の制御モータに直結し、駆動ホイール29及び従動ホイール31をそれぞれ別個の制御モータによって駆動する構成とすることも可能である。
上述のごとき構成とすることにより、制御モータをより小型化することができ、慣性モーメントがより小さくなって制御性がより向上するものである。この場合、両方の制御モータを同期して制御する構成であっても、一方の制御モータにのみ矩形パルスを印加する構成であっても良いものである。
なお、前記説明においては、帯鋸盤として横型帯鋸盤を例示したが、竪型帯鋸盤においても同様に実施し得るものである。
本発明の実施の形態に係る帯鋸盤の主要部分の構成を示す断面説明図である。 帯鋸刃の鋸速を制御する主要部分の構成を概念的に示したブロック図である。 制御モータの回転速度を振動化する場合の説明図である。 印加するパルスの第2例を示す説明図である。 帯鋸盤の一例としての横型帯鋸盤の全体的構成を示す正面説明図である。 従来の駆動系の一例を示した断面説明図である。
符号の説明
1 帯鋸盤
13 帯鋸刃
15 鋸刃ハウジング
21 切込み作動装置
23 切込み位置検出装置
29 駆動ホイール
31 従動ホイール
39 制御モータ
41 出力軸
43 モータベース
45 軸受部
49 ホイールキャップ
51 制御装置
53 切削長演算手段
55 鋸速演算手段
57 鋸速データテーブル
59 回転速度制御手段
61 モータドライバ
63 矩形パルス発生手段
65 切込み速度制御手段

Claims (1)

  1. エンドレス状の帯鋸刃(13)を掛回するための駆動ホイール(29)と従動ホイール(31)とを回転自在に備えた鋸刃ハウジング(15)を上下動するための切込み作動装置(21)を備えると共に前記駆動ホイール(29)を回転するための制御モータ(39)を備えた構成の帯鋸盤であって、当該帯鋸盤の制御を行うための制御装置は、前記制御モータ(39)の回転速度の制御を行うための回転速度制御手段(59)と、この回転速度制御手段(59)の制御の下に前記制御モータ(39)を駆動するモータドライバ(61)と、前記回転速度制御手段(59)の制御の下に一定速度で回転している前記制御モータ(39)の回転速度を振動化するために、印加したパルスの立上り時には前記制御モータ(39)の回転速度を増速し、当該パルスの立下り時には前記制御モータ(39)の回転速度を減速するために、数Hz〜数百Hzの低周波の矩形パルスを前記モータドライバ(61)に印加するためのパルス発生手段(63)と、印加された前記矩形パルスに対応して前記制御モータ(39)の回転速度を増速,減速して前記制御モータ(39)の回転速度を振動化するための前記モータドライバ(61)とを備え、かつ前記パルス発生手段(63)からの前記矩形パルスに基づいて前記切込み作動装置(21)を制御してワーク(W)に対する帯鋸刃(13)の切込み速度を振動化するための切込み速度制御手段(65)を備えていることを特徴とする帯鋸盤。
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